特許第6052223号(P6052223)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中国電力株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6052223-電工作業用手袋 図000002
  • 特許6052223-電工作業用手袋 図000003
  • 特許6052223-電工作業用手袋 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052223
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】電工作業用手袋
(51)【国際特許分類】
   A41D 19/015 20060101AFI20161219BHJP
   A41D 19/00 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   A41D19/015 110Z
   A41D19/00 N
   A41D19/00 K
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-82788(P2014-82788)
(22)【出願日】2014年4月14日
(65)【公開番号】特開2015-203165(P2015-203165A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2015年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】領野 昌治
(72)【発明者】
【氏名】阪本 晃弘
【審査官】 一ノ瀬 薫
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3134485(JP,U)
【文献】 特開2006−214077(JP,A)
【文献】 特開2007−321262(JP,A)
【文献】 特開2009−235621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 19/00 − 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反利き手で持った線材の被覆を利き手で持ったナイフで剥ぎ取る電工作業の際に、反利き手に装着される電工作業用手袋であって、
親指と人差し指の内側側面部および親指と人差し指の甲側面部が第1の部材で構成され、前記第1の部材以外の部分が第2の部材で構成され、
前記第1の部材は、内側から順にアラミド繊維生地と、超高分子量ポリエチレン繊維不織布製で親指と人差し指の内側側面部および親指と人差し指の甲側面部を覆う補強材と、人工皮革とが積層して構成され、
前記第2の部材は、内側から順にアラミド繊維生地と、人工皮革とが積層して構成され、
前記第1の部材は前記第2の部材よりも耐切創性が高く、かつ、前記第2の部材は前記第1の部材よりも可撓性が高く設定されてい
前記人口皮革は、耐紫外線性を備える、
ことを特徴とする電工作業用手袋。
【請求項2】
前記補強材は、親指の内側側面部を覆う部分と人指し指の内側側面部を覆う部分とが一体に設けられていて、親指の甲側面部を覆う部分と人差し指の甲側面部を覆う部分とが別体に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の電工作業用手袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電工作業の際に装着される電工作業用手袋に関し、特に、電工ナイフで電線などの皮剥ぎを行う際に手を保護するための電工作業用手袋に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、配電作業において電線などの皮剥ぎを行う場合、電工ナイフを使用しているが、誤って電工ナイフで手を切創させてしまうおそれがあり、特に、作業経験が乏しい作業者の場合には、手を切創させてしまうおそれが高い。このため、例えば、耐切創性の生地(アラミド繊維やケブラー繊維等)に皮を縫製した手袋などを装着して、作業を行うようにしている。また、金属ワイヤから成るワイヤメッシュの保護層を、手のひら全体と指の横方向面の部分に設けた手袋が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2002−524671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本願発明者の調査によると、電工ナイフで電線などの皮剥ぎを行う場合、親指や人差し指を切創させてしまうおそれが高く、他の部位への切創のおそれが低いことが確認された。さらに、耐切創性が高い生地で手袋全体を構成すると、作業性が低くなることも確認された。従って、特許文献1の手袋では、ワイヤメッシュの保護層が手のひら全体と指の横方向面の部分に設けられているため、電工ナイフで電線などの皮剥ぎを行う場合に、切創を適正に防止することができない。しかも、手のひら全体とすべての指の横方向面の部分に、ワイヤメッシュの保護層が設けられているため、可撓性が低くて作業がしづらく、疲労感も増す。
【0005】
そこでこの発明は、作業性を確保しつつ、ナイフで電線などの皮剥ぎを行う際の切創を適正に防止することが可能な電工作業用手袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、反利き手で持った線材の被覆を利き手で持ったナイフで剥ぎ取る電工作業の際に、反利き手に装着される電工作業用手袋であって、親指と人差し指の内側側面部および親指と人差し指の甲側面部が第1の部材で構成され、前記第1の部材以外の部分が第2の部材で構成され、前記第1の部材は、内側から順にアラミド繊維生地と、超高分子量ポリエチレン繊維不織布製で親指と人差し指の内側側面部および親指と人差し指の甲側面部を覆う補強材と、人工皮革とが積層して構成され、前記第2の部材は、内側から順にアラミド繊維生地と、人工皮革とが積層して構成され、前記第1の部材は前記第2の部材よりも耐切創性が高く、かつ、前記第2の部材は前記第1の部材よりも可撓性が高く設定されてい前記人口皮革は、耐紫外線性を備える、ことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の電工作業用手袋において、前記補強材は、親指の内側側面部を覆う部分と人指し指の内側側面部を覆う部分とが一体に設けられていて、親指の甲側面部を覆う部分と人差し指の甲側面部を覆う部分とが別体に設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、電工ナイフで電線などの皮剥ぎを行う場合に切創させてしまうおそれが高い、親指と人差し指の内側側面部および親指と人差し指の甲側面部(保護強化必要部位)が、耐切創性が高い第1の部材で構成されている。このため、ナイフで電線などの皮剥ぎを行う際の切創を適正に防止することが可能となる。また、第1の部材以外の部分、つまり保護強化必要部位以外の部分が、可撓性・変形性が高い第2の部材で構成されているため、作業性を良好に確保することが可能となる。また、第1の部材および第2の部材の人口皮革は、耐紫外線性を有するため、内側に積層されたアラミド繊維生地および超高分子量ポリエチレン繊維不織布が紫外線で劣化することがなく、管理も容易となる。
【0009】
請求項2の発明によれば、第1の部材および第2の部材が積層構造となっているため、積層する生地や積層数を適正に選択・設定することで、所望・所定の耐切創性や可撓性を適正、柔軟かつ容易に形成することが可能となる。また、積層構造であるため可撓性が高く、作業性を良好に確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の実施の形態に係る電工作業用手袋の外観を示す、甲側の図(a)と掌側の図(b)である。
図2図1の電工作業用手袋の内部構造を示す、甲側の図(a)と掌側の図(b)である。
図3図2の状態の電工作業用手袋を装着して、電工ナイフで電線の皮剥ぎを行っている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0012】
図1は、この発明の実施の形態に係る電工作業用手袋1の外観を示す、甲側の図(a)と掌側の図(b)である。この電工作業用手袋1は、電工作業の際に装着される手袋であり、この実施の形態では、利き手が右手であり、反利き手である左手に電工作業用手袋1を装着する場合について説明する。
【0013】
この電工作業用手袋1は、親指と人差し指の内側側面部および親指と人差し指の甲側面部(保護強化必要部位)が第1の部材2で構成され、第1の部材2以外の部分が主として第2の部材3で構成され、第1の部材2は第2の部材3よりも耐切創性が高く、かつ、第2の部材3は第1の部材2よりも可撓性・変形性が高く設定されている。また、第1の部材2および第2の部材3は、複数の生地を積層して構成されている。
【0014】
具体的には、図2(a)に示すように、手の甲側の面において、耐切創性のアラミド繊維生地製で手形状の甲側アラミド繊維版(生地)41が形成され、この甲側アラミド繊維版41の親指部からその付け根を覆うように、超高分子量ポリエチレン繊維不織布製で耐切創性の親指補強材(生地)42が配設されている。さらに、甲側アラミド繊維版41の人差し指部から親指部の付け根近くを覆うように、超高分子量ポリエチレン繊維不織布製で耐切創性の人差し指補強材(生地)43が配設されている。
【0015】
一方、図2(b)に示すように、手の掌側の面において、耐切創性のアラミド繊維生地製で手形状の掌側アラミド繊維版(生地)51が形成されている。この掌側アラミド繊維版51の親指部の内側(人差し指部側)の側縁部と人差し指部の内側(親指部側)の側縁部とにわたって、超高分子量ポリエチレン繊維不織布製で耐切創性の内側補強材(生地)52が配設されている。ここで、内側補強材52は、L字状で、親指部に延びる部分を第1の内側補強材52aとし、人差し指部に延びる部分を第2の内側補強材52bとする。
【0016】
このような甲側アラミド繊維版41と掌側アラミド繊維版51とを、補強材42、43、52が外側に位置するように縫い合わせて、手袋状に形成されている。これにより、手に装着した際に、第1の内側補強材52aと親指補強材42の一部(内側)とが親指の内側側面部に位置し、第2の内側補強材52bと人差し指補強材43の一部(内側)とが人差し指の内側側面部に位置し、さらに、親指補強材42が親指の甲側面部に位置し、人差し指補強材43が人差し指の甲側面部に位置するようになっている。ここで、親指補強材42と人差し指補強材43と内側補強材52の形状および配設位置は、後述するようにして電線Dの皮剥ぎを行う際に、ナイフKによって切創するおそれがある部位を中心に、これらの補強材42、43、52が位置するように設定されている。
【0017】
また、図1(a)に示すように、手の甲側の面において、甲側アラミド繊維版41の全面(外面)を覆うように、人工皮革製で耐切創性および耐紫外線性を有する甲側外装材(生地)6が配設され、この甲側外装材6と甲側アラミド繊維版41との間に衝撃吸収材としての綿材(図示せず)が配設されている。一方、図1(b)に示すように、手の掌側の面において、掌側アラミド繊維版51の全面(外面)を覆うように、滑り止め付き人工皮革製で耐切創性および耐紫外線性を有する掌側外装材(生地)7が配設されている。さらに、この掌側外装材7のアテ部(指の付け根から手首に至る部位)には、滑り止め付き人工皮革製で耐切創性および耐紫外線性を有する掌側アテ材(生地)8が配設されている。
【0018】
このように、第1の部材2は、手の甲側において内側(手側)から順に、アラミド繊維生地(甲側アラミド繊維版41)、超高分子量ポリエチレン繊維不織布(親指補強材42、人差し指補強材43)および人工皮革(甲側外装材6)、という耐切創性生地が3層構造となっており、綿材を含めて4層構造となっている。また、手の掌側においては、内側(手側)から順に、アラミド繊維生地(掌側アラミド繊維版51)、超高分子量ポリエチレン繊維不織布(内側補強材52)および人工皮革(掌側外装材7)、という耐切創性生地が3層構造となっている。
【0019】
一方、第2の部材3は、手の甲側において内側(手側)から順に、アラミド繊維生地(甲側アラミド繊維版41)および人工皮革(甲側外装材6)、という耐切創性生地が2層構造となっており、綿材を含めて3層構造となっている。また、手の掌側においては、内側(手側)から順に、アラミド繊維生地(掌側アラミド繊維版51)および人工皮革(掌側外装材7)、という耐切創性生地が2層構造となっており、アテ部においては、人工皮革(掌側アテ材8)を含めて耐切創性生地が3層構造となっている。
【0020】
このように、第1の部材2が耐切創性生地の3層構造で、第2の部材3が耐切創性生地の2層構造となっており、特に、耐切創性が良好な超高分子量ポリエチレン繊維不織布が第1の部材2に含まれているため、第1の部材2が第2の部材3よりも耐切創性(耐突き刺し性、耐切断性)が高い。一方、第2の部材3が耐切創性生地の2層構造で、超高分子量ポリエチレン繊維不織布が含まれていないため、第2の部材3が第1の部材2よりも可撓性・変形性が高くなっている。ここで、第1の部材2の耐切創性は、後述するようにしてナイフKで皮剥ぎ作業を行う際に、ナイフKの刃先を第1の部材2に当てて動かしたとしても、第1の部材2が損傷、破損しないように設定されている。
【0021】
ここで、少なくとも、甲側外装材6と掌側外装材7と掌側アテ材8は、アラミド繊維糸で縫い付けられている。また、親指部と人差し指部と中指部の先端部は、掌側外装材7が甲側(甲側外装材6側)まで回り込んでロールアップされ、手の甲側のゴム絞り9は、2段しぼりとなっている。
【0022】
次に、このような構成の電工作業用手袋1の作用などについて説明する。ここで、電線Dの皮剥ぎを行う場合について説明する。
【0023】
まず、反利き手である左手に電工作業用手袋1を装着し、利き手である右手でナイフKを握る。これにより、電工作業用手袋1の第1の部材2によって左手の親指と人差し指とが覆われ、第2の部材3によって左手の他の部分が覆われる。
【0024】
そして、図3に示すように、左手で電線Dを持ち、ナイフKを電線Dに当てて、手前(左手側)から先に向けてナイフKを動かして電線Dの被覆を剥ぎ取る。この際、誤ってナイフKの刃先を電線Dよりも手前(左手側)に位置させて、親指と人差し指の内側側面部あるいは親指と人差し指の甲側面部(保護強化必要部位)に、ナイフKの刃先を当ててしまうおそれがある。しかしながら、親指と人差し指の内側側面部および親指と人差し指の甲側面部は、耐切創性が高い第1の部材2でカバーされているため、ナイフKの操作を誤っても、手の切創が防止されるものである。ここで、図3中符号44は、甲側アラミド繊維版41と掌側アラミド繊維版51との縫い合わせ部を示す。
【0025】
以上のように、本電工作業用手袋1によれば、電工ナイフKで電線Dの皮剥ぎを行う場合に切創させてしまうおそれが高い、親指と人差し指の内側側面部および親指と人差し指の甲側面部(保護強化必要部位)が、耐切創性が高い第1の部材2で構成されている。このため、ナイフKで電線Dの皮剥ぎを行う際の切創を適正に防止することが可能となる。特に、作業経験が乏しい作業者に対しても、切創を適正に防止することが可能となる。また、第1の部材2以外の部分、つまり保護強化必要部位以外の部分が、可撓性・変形性が高い第2の部材3で構成されているため、作業性を良好に確保することが可能となる。
【0026】
さらに、第1の部材2および第2の部材3が積層構造となっているため、積層する生地や積層数を適正に選択・設定することで、所望・所定の耐切創性や可撓性を適正、柔軟かつ容易に形成することが可能となる。また、積層構造であるため可撓性が高く、作業性を良好に確保することが可能となる。
【0027】
また、甲側アラミド繊維版41や掌側アラミド繊維版51および各補強材42、43、52が、耐紫外線性を有する甲側外装材6や掌側外装材7で覆われているため、これらが紫外線で劣化することがなく、管理も容易となる。
【0028】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、各生地の種類・素材は、上記のものに限らず、所望・所定の耐切創性や可撓性が得られればよい。また、第1の部材2および第2の部材3を積層構造としているが、一体的な材料で構成してもよい。さらに、電工作業用手袋1を左手に装着、適用する場合について説明したが、右手にも適用できるのは勿論であり、両手に適用してもよい。また、電線Dの皮剥ぎを行う場合について説明したが、通信線などの線材の皮剥ぎを行う場合にも適用できることは勿論である。
【符号の説明】
【0029】
1 電工作業用手袋
2 第1の部材
3 第2の部材
41 甲側アラミド繊維版(生地)
42 親指補強材(生地)
43 人差し指補強材(生地)
51 掌側アラミド繊維版(生地)
52 内側補強材(生地)
6 甲側外装材(生地)
7 掌側外装材(生地)
8 掌側アテ材(生地)
9 ゴム絞り
D 電線
K 電工ナイフ
図1
図2
図3