特許第6052235号(P6052235)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052235
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】歩行訓練装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 1/02 20060101AFI20161219BHJP
   A61H 3/00 20060101ALI20161219BHJP
   A63B 22/02 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   A61H1/02 R
   A61H3/00 B
   A61H3/00 Z
   A63B22/02
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-109471(P2014-109471)
(22)【出願日】2014年5月27日
(65)【公開番号】特開2015-223295(P2015-223295A)
(43)【公開日】2015年12月14日
【審査請求日】2015年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 宏史
(72)【発明者】
【氏名】今井田 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】鴻巣 仁司
(72)【発明者】
【氏名】藤掛 祥則
(72)【発明者】
【氏名】中島 一誠
(72)【発明者】
【氏名】才藤 栄一
【審査官】 増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−543749(JP,A)
【文献】 米国特許第06821233(US,B1)
【文献】 特開2015−223294(JP,A)
【文献】 特開2009−183657(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103263338(CN,A)
【文献】 登録実用新案第3155741(JP,U)
【文献】 国際公開第2015/164421(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0087418(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0197168(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0275043(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 1/02
A61H 3/00
A63B 22/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの脚部に装着され、該ユーザの歩行を補助する歩行補助装置と、
前記歩行補助装置及び前記ユーザの脚部のうち少なくとも一方を前方に引張する第1引張手段と、
前記歩行補助装置及び前記ユーザの脚部のうち少なくとも一方を後方に引張する第2引張手段と、を備える歩行訓練装置であって、
前記第1及び第2引張手段による前記歩行補助装置及び/又は前記ユーザの脚部の引張点は、前記ユーザの脚部周りに移動可能に設けられている、ことを特徴とする歩行訓練装置。
【請求項2】
請求項1記載の歩行訓練装置であって、
前記第1引張手段の引張点がユーザの脚部の外側、及び、前記第2引張手段の引張点がユーザの脚部の内側、のうち少なくとも一方に設定される、ことを特徴とする歩行訓練装置。
【請求項3】
請求項1記載の歩行訓練装置であって、
前記第1引張手段の引張点がユーザの脚部の内側、及び、前記第2引張手段の引張点がユーザの脚部の外側、のうち少なくとも一方に設定される、ことを特徴とする歩行訓練装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちいずれか1項記載の歩行訓練装置であって、
前記第1及び第2引張手段は、夫々、前記歩行補助装置及び前記ユーザの脚部のうち少なくとも一方に一端が取り付けられたワイヤと、
前記ワイヤを引張する引張部と、を有しており、
前記引張部は、左右方向に移動可能に設けられている、ことを特徴とする歩行訓練装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちいずれか1項記載の歩行訓練装置であって、
前記第1引張手段は、前記歩行補助装置及び前記ユーザの脚部のうち少なくとも一方を上方かつ前方に引張し、
前記第2引張手段は、前記歩行補助装置及び前記ユーザの脚部のうち少なくとも一方を上方かつ後方に引張する、ことを特徴とする歩行訓練装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちいずれか1項記載の歩行訓練装置であって、
前記第1引張手段の引張力と前記第2引張手段の引張力と、を独立して制御する制御手段を更に備える、ことを特徴とする歩行訓練装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちいずれか1項記載の歩行訓練装置であって、
前記第1及び第2引張手段による引張力の鉛直上方の成分の合力が前記歩行補助装置の重力と等しい、ことを特徴とする歩行訓練装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが歩行訓練を行うための歩行訓練装置、及びその歩行訓練方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トレッドミル上を歩行するユーザの脚部を前方に引張して脚部の振出しを補助するバンドを備える歩行訓練装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−183657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、ユーザの歩行訓練時、脚部が内旋あるいは外旋する傾向が生じることがある。しかしながら、上記歩行訓練装置は、ユーザ脚部を前方への引張し振出しを補助するだけで、その脚部の内旋量および外旋量を調整するのは困難である。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、歩行訓練時におけるユーザの歩行を補助しつつ脚部の内外旋制御量を調整できる歩行訓練装置、及びその歩行訓練方法を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、ユーザの脚部に装着され、該ユーザの歩行を補助する歩行補助装置と、前記歩行補助装置及び前記ユーザの脚部のうち少なくとも一方を前方に引張する第1引張手段と、前記歩行補助装置及び前記ユーザの脚部のうち少なくとも一方を後方に引張する第2引張手段と、を備える歩行訓練装置であって、前記第1及び第2引張手段による前記歩行補助装置及び/又は前記ユーザの脚部の引張点は、前記ユーザの脚部周りに移動可能に設けられている、ことを特徴とする歩行訓練装置である。
この一態様において、前記第1引張手段の引張点がユーザの脚部の外側、及び、前記第2引張手段の引張点がユーザの脚部の内側、のうち少なくとも一方に設定されてもよい。
この一態様において、前記第1引張手段の引張点がユーザの脚部の内側、及び、前記第2引張手段の引張点がユーザの脚部の外側、のうち少なくとも一方に設定されてもよい。
この一態様において、前記第1及び第2引張手段は、夫々、前記歩行補助装置及び前記ユーザの脚部のうち少なくとも一方に一端が取り付けられたワイヤと、前記ワイヤを引張する引張部と、を有しており、前記引張部は、左右方向に移動可能に設けられていてもよい。
この一態様において、前記第1引張手段は、前記歩行補助装置及び前記ユーザの脚部のうち少なくとも一方を上方かつ前方に引張し、前記第2引張手段は、前記歩行補助装置及び前記ユーザの脚部のうち少なくとも一方を上方かつ後方に引張してもよい。
この一態様において、前記第1引張手段の引張力と前記第2引張手段の引張力と、を独立して制御する制御手段を更に備えていてもよい。
この一態様において、前記第1及び第2引張手段による引張力の鉛直上方の成分の合力が前記歩行補助装置の重力と等しくてもよい。
上記目的を達成するための本発明の一態様は、ユーザの脚部に装着され、該ユーザの歩行を補助する歩行補助装置と、前記歩行補助装置及び前記ユーザの脚部のうち少なくとも一方を前方に引張する第1引張手段と、前記歩行補助装置及び前記ユーザの脚部のうち少なくとも一方を後方に引張する第2引張手段と、を備える歩行訓練装置であって、前記第1及び第2引張手段は、夫々、前記歩行補助装置及び前記ユーザの脚部のうち少なくとも一方に一端が取り付けられたワイヤと、前記ワイヤを引張する引張部と、を有しており、前記第1及び第2引張手段の引張部のうち少なくとも一方は、左右方向に移動可能に設けられている、ことを特徴とする歩行訓練装置であってもよい。
上記目的を達成するための本発明の一態様は、ユーザの脚部に装着され、該ユーザの歩行を補助する歩行補助装置と、前記歩行補助装置及び前記ユーザの脚部のうち少なくとも一方を前方に引張する第1引張手段と、前記歩行補助装置及び前記ユーザの脚部のうち少なくとも一方を後方に引張する第2引張手段と、を備える歩行訓練装置の歩行訓練方法であって、前記第1及び第2引張手段による前記歩行補助装置及び/又は前記ユーザの脚部の引張点は、前記ユーザの脚部周りに移動させ設定する、ことを特徴とする歩行訓練装置の歩行訓練方法であってもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、歩行訓練時におけるユーザの歩行を補助しつつ脚部の内外旋制御量を調整できる歩行訓練装置、及びその歩行訓練方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施の形態に係る歩行訓練装置の概略的な構成を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施の形態に係る歩行補助装置の概略的な構成を示す斜視図である。
図3】第1及び第2引張部による引張力を説明するための図である。
図4】脚部の内旋制御量を調整する方法を示す図である。
図5】脚部の外旋制御量を調整する方法を示す図である。
図6】脚部の内旋制御量を調整する方法を示す図である。
図7】脚部の外旋制御量を調整する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る歩行訓練装置の概略的な構成を示す斜視図である。本実施の形態に係る歩行訓練装置1は、例えば、脳卒中片麻痺患者などのユーザの歩行訓練を行うための装置である。歩行訓練装置1は、ユーザの脚部に装着された歩行補助装置2と、ユーザの歩行訓練を行う訓練装置3と、を備えている。
【0010】
歩行補助装置2は、例えば、歩行訓練を行うユーザの患脚に装着され、ユーザの歩行を補助する(図2)。歩行補助装置2は、上腿フレーム21と、上腿フレーム21に膝関節部22を介して連結された下腿フレーム23と、下腿フレーム23に足首関節部24を介して連結された足平フレーム25と、膝関節部22を回転駆動するモータユニット26と、足首関節部24の可動範囲を調整する調整機構27と、を有している。なお、上記歩行補助装置2の構成は一例であり、これに限られない。例えば、歩行補助装置2は、足首関節部24を回転駆動するモータユニットを備えていてもよい。
【0011】
上腿フレーム21は、ユーザの脚部の上腿部に取り付けられ、下腿フレーム23はユーザの脚部の下腿部に取り付けられる。上腿フレームには、例えば、上腿部を固定するための上腿装具212が設けられている。上腿装具212は、例えば、マジックテープ(登録商標)などを用いて、上腿部に固定される。これにより、歩行補助装置2がユーザの脚部から左右方向あるいは上下方向にずれるのを防止できる。
【0012】
上腿フレーム21には、後述の第1引張部35のワイヤ34を接続するための、左右方向に延在する横長の第1フレーム211が設けれている。第1フレーム211には、第1引張部35のワイヤ34を接続し引張するための接続部が左右方向に沿って複数設けられている。第1引張部35のワイヤ34を接続する接続部を変えることで、第1引張部35の引張点をユーザの脚部周りに移動させることができる。
【0013】
下腿フレーム23には、後述の第2引張部37のワイヤ36を接続するための、左右方向に延在する横長の第2フレーム231が設けられている。第2フレーム231には、第2引張部37のワイヤ36を接続し引張するための接続部が左右方向に沿って複数設けられている。第2引張部37のワイヤ36を接続する接続部を変えることで、第2引張部37の引張点をユーザの脚部周りに移動させることができる。
【0014】
なお、上記第1及び第2引張部の接続部は一例であり、これに限らない。例えば、第1及び第2引張部35、37のワイヤ34、36を上腿装具に接続してもよく、第1及び第2引張部35、37の引張点をユーザの脚部周りに移動させることができれば、任意の位置に接続してもよい。
【0015】
モータユニット26は、ユーザの歩行動作に応じて膝関節部22を回転駆動することでユーザの歩行を補助する。なお、上記歩行補助装置2の構成は一例であり、これに限られない。ユーザの脚部に装着され、その歩行を補助できる任意の歩行補助装置が適用可能である。
【0016】
訓練装置3は、トレッドミル31と、フレーム本体32と、制御装置33と、を有している。トレッドミル31は、リング状のベルト311を回転させる。ユーザは、ベルト311上に乗り該ベルト311の移動に応じて歩行を行い、その歩行訓練を行う。
【0017】
フレーム本体32は、トレッドミル31上に立設された2対の柱フレーム321と、各柱フレーム321に接続され前後方向に延在する一対の前後フレーム322と、各前後フレーム322に接続され左右方向に延在する3つの左右フレーム323と、を有している。なお、上記フレーム本体32の構成は、これに限られない。後述の第1及び第2引張部35、37が適切に固定できれば、フレーム本体32は任意のフレーム構成であってもよい。
【0018】
前方の左右フレーム323には、ワイヤ34を上方かつ前方に引張する第1引張部35が設けられている。後方の左右フレーム323には、ワイヤ36を上方かつ後方に引張する第2引張部37が設けられている。
【0019】
第1及び第2引張部35、37は、例えば、ワイヤ34、36を巻取り及び巻き戻す機構、該機構を駆動するモータ、などから構成されている。第1及び第2引張部35、37が引張するワイヤ34、36の一端は、歩行補助装置2に接続されている。第1引張部35は、ワイヤ34を介して歩行補助装置2を上方かつ前方に引張する。第2引張部37は、ワイヤ36を介して歩行補助装置2を上方かつ後方に引張する。
【0020】
第1及び第2引張部35、37は、モータの駆動トルクを制御することで、ワイヤ34、36の引張力を制御しているが、これに限らない。例えば、各ワイヤ34、36にバネ部材が接続されており、バネ部材の弾性力を調整することで、ワイヤ34、36の引張力を調整してもよい。
【0021】
第1及び第2引張部35、37による引張力f1、f2の鉛直上方の成分fy1、fy2が歩行補助装置2の重さを支える(図3)。そして、第1及び第2引張部35、37による引張力f1、f2の水平成分fx1、fx2により、脚部の振出しを補助する。これにより、歩行訓練時におけるユーザの歩行負荷を軽減できる。また、各ワイヤ34、36は、夫々、ユーザの脚部の歩行補助装置2から上方かつ前方及び上方かつ後方に延びる。したがって、各ワイヤ34、36がユーザの歩行時にユーザに干渉せず、歩行訓練の妨げとならない。
【0022】
制御装置33は、制御手段の一具体例であり、第1及び第2引張部35、37の引張力f1、f2と、トレッドミル31の駆動と、歩行補助装置2と、を夫々制御する。制御装置33は、例えば、演算処理、制御処理等と行うCPU(Central Processing Unit)51、CPU51によって実行される演算プログラム、制御プログラム等が記憶されたROM(Read Only Memory)、各種のデータなどを記憶するRAM(Random Access Memory)、外部と信号の入出力を行うインターフェイス部(I/F)、などからなるマイクロコンピュータを中心にして、ハードウェア構成されている。CPU、ROM、RAM及びインターフェイス部は、データバスなどを介して相互に接続されている。
【0023】
制御装置33には、訓練指示、訓練メニュー、訓練情報(歩行速度、生体情報等)などの情報を表示する表示部331が設けられている。表示部331は、例えば、タッチパネルとして構成されており、ユーザは表示部331を介して各種の情報を入力できる。
【0024】
制御装置33は、例えば、第1及び第2引張部35、37による引張力の鉛直上方の成分の合力(fy1+fy2)が歩行補助装置2の重量と等しくなるように、第1及び第2引張部35、37の引張力f1、f2を制御する。これにより、ユーザは脚部に装着された歩行補助装置2の重さを感じることなく、より自然な歩行訓練を行うことができる。
【0025】
さらに、制御装置33は、第1及び第2引張部35、37の引張力f1、f2を制御し、該引張力の鉛直上方の成分fy1、fy2を変更することで、脚部免荷量を調整してもよい。これにより、例えば、患者の回復度合いに応じて脚部免荷量を調整し、歩行訓練の難易度を適切に設定できる。
【0026】
制御装置33は、第1引張部35の引張力f1と第2引張部37の引張力f2とを独立して夫々制御してもよい。これにより、鉛直上方の脚部免荷量とは別に前後方向の振出しアシスト量を調整することができる。
【0027】
例えば、制御装置33は、図3に示す如く、第1引張部35の引張力f1を第2引張部37の引張力f2よりも大きく制御する。この場合、第1及び第2引張部35、37の引張力の鉛直上方の成分の合力(fy1+fy2)が鉛直上の脚部免荷量となり、第1及び第2引張部35、37の引張力の水平成分の合力(fx1−fx2)が振出しアシスト量となる。このように、ユーザに応じて脚部免荷量および振出しアシスト量を適切に設定できるため、歩行訓練の効率を向上させることができる。
【0028】
ところで、ユーザの歩行訓練時、脚部が内旋あるいは外旋する傾向が生じることがある。例えば、患脚は、リハビリ初期に内旋、回復期に外旋し易い傾向にあるが、さらに、歩行補助装置の重さも加わるため、その内外旋傾向がより大きくなる。
【0029】
これに対し、本実施形態に係る歩行訓練装置1において、第1及び第2引張部35、37による歩行補助装置2の引張点P1、P2は、ユーザの脚部周りに移動可能に設けられている。第1及び第2引張部35、37の引張点P1、P2をユーザの脚部周りに移動させ引張することで、脚部に内外旋方向のモーメント力を生じさせることができる。このモーメント力を用いることで、ユーザの脚部の内外旋傾向に応じて、その脚部の内外旋制御量を最適に調整できる。
【0030】
例えば、第1引張部35の引張点P1がユーザの脚部の外側、及び、第2引張部37の引張点P2がユーザの脚部の内側、のうち少なくとも一方に設定される。これにより、脚部を内旋させる内旋制御量を調整できる(図4)。より具体的には、第1引張部35の引張点P1をユーザの脚部のより外側、及び、第2引張部37の引張点P2をユーザの脚部のより内側に設定することで、脚部の内旋制御量をより増加させることができる。
【0031】
一方、第1引張部35の引張点P1がユーザの脚部の内側、及び、第2引張部37の引張点P2がユーザの脚部の外側、のうち少なくとも一方に設定される。これにより、脚部を外旋させる外旋制御量を調整できる(図5)。より具体的には、第1引張部35の引張点P1をユーザの脚部のより内側、及び、第2引張部37の引張点P2をユーザの脚部のより外側、に設定することで、脚部の外旋制御量をより増加させることができる。このように、ユーザの脚部の内外旋傾向に応じて、第1及び第2引張部35、37の引張点P1、P2の位置を設定し、その内外旋制御量を最適に設定できる。
【0032】
以上、本実施形態に係る歩行訓練装置1において、第1及び第2引張部35、37による歩行補助装置2の引張点P1、P2は、ユーザの脚部周りに移動可能に設けられている。第1及び第2引張部35、37の引張点P1、P2をユーザの脚部周りに移動させることで、脚部の内外旋制御量を調整できる。すなわち、歩行訓練時におけるユーザの歩行を補助しつつ脚部の内外旋制御量を調整できる。
【0033】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0034】
上記実施形態において、第1及び第2引張部35、37による歩行補助装置2の引張点P1、P2をユーザの脚部周りに移動させることで脚部の内外旋制御量を調整しているがこれに限られない。第1及び第2引張部35、37のうち少なくとも一方を、左右フレーム323に左右方向に移動可能に設け、第1及び第2引張部35、37のうち少なくとも一方を左右方向に移動させることで脚部の内外旋制御量を調整してもよい。
【0035】
例えば、第1引張部35を左方向に移動させ、第2引張部37を右方向に移動させる。これにより、脚部に内旋方向のモーメント力を生じさせることができ、脚部の外旋を抑制することができる(図6)。一方、第1引張部35を右方向に移動させ、第2引張部37を左方向に移動させる。これにより、脚部に外旋方向のモーメント力を生じさせることができ、脚部の内旋を抑制することができる(図7)。また、第1及び第2引張部35、37の左右方向の移動量を大きくすることで内外旋制御量を増加させることができる。このように、ユーザの脚部の内外旋傾向に応じて、第1及び第2引張部35、37の左右方向の移動位置を設定し、その内外旋制御量を最適に設定できる。
【0036】
上記実施形態において、第1引張部35はワイヤ34を介して歩行補助装置2を上方かつ前方に引張し、第2引張部37はワイヤ36を介して歩行補助装置2を上方かつ後方に引張する構成であるが、これに限定されない。例えば、第1引張部35はワイヤ34を介して歩行補助装置2を前方に引張し、第2引張部37はワイヤ36を介して歩行補助装置2を後方に引張する構成であってもよい。
【0037】
上記実施形態において、訓練装置3はフレーム本体32を有しない構成であってもよい。この場合、第1及び第2引張部35、37は、例えば、壁面あるいは天井に設けられていても良い。
【0038】
上記実施形態において、第1及び第2引張部35、37のワイヤ34、36は歩行補助装置2に接続されているが、これに限られない。例えば、第1及び第2引張部35、37のワイヤ34、36は、ユーザの脚部にベルト、リングなどの装着具を介して接続される構成であってもよい。さらに、第1及び第2引張部35、37のワイヤ34、36は、歩行補助装置2及びユーザの脚部に接続される構成であってもよい。
【0039】
上記実施形態において、歩行補助装置2を装着したユーザはトレッドミル31上を歩行する構成であるが、これに限られない。歩行補助装置2を装着したユーザが静止する路面上を歩行し、ユーザの移動に応じて第1及び第2引張部35、37を移動させる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 歩行訓練装置、2 歩行補助装置、3 訓練装置、21 上腿フレーム、22 膝関節部、23 下腿フレーム、24 足首関節部、25 足平フレーム、26 モータユニット、27 調整機構、31 トレッドミル、32 フレーム本体、33 制御装置、34 ワイヤ、35 第1引張部、36 ワイヤ、37 第2引張部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7