(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052251
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】折れ戸の開閉検知機構
(51)【国際特許分類】
H01H 3/16 20060101AFI20161219BHJP
E06B 3/48 20060101ALI20161219BHJP
E05F 7/00 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
H01H3/16 B
E06B3/48
E05F7/00 F
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-160361(P2014-160361)
(22)【出願日】2014年8月6日
(65)【公開番号】特開2016-38977(P2016-38977A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2015年10月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 知未
(72)【発明者】
【氏名】濱崎 将
(72)【発明者】
【氏名】峯 永治
【審査官】
澤崎 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−209550(JP,A)
【文献】
特開平11−062428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 53/02
E05F 7/00
E06B 3/48 , 7/28
H01H 3/16 , 13/18
H01H 21/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の障子を折り曲げ可能に連結してなる障子部と、前記障子部が取り付けられる間口に沿って取り付けられる枠部とを備える折れ戸の開閉検知機構であって、
前記障子部に取り付けられ、前記障子部の開閉に伴って移動する検出片と、
前記枠部の、前記障子部を閉じた状態で上記検出片と対向する位置に固定して取り付けられ、ある検出方向における前記検出片の有無に応じてオン・オフするセンサとを有しており、
前記検出片の移動方向は、前記障子部の開放時に水平面内で屋内側から屋外側へ移動する方向であることを特徴とする折れ戸の開閉検知機構。
【請求項2】
請求項1に記載の折れ戸の開閉検知機構であって、
前記センサの検出方向と前記検出片の移動方向とが互いに直交するように設定されていることを特徴とする折れ戸の開閉検知機構。
【請求項3】
2枚の障子を折り曲げ可能に連結してなる障子部と、前記障子部が取り付けられる間口に沿って取り付けられる枠部とを備える折れ戸の開閉検知機構であって、
前記障子部に取り付けられ、前記障子部の開閉に伴って移動する検出片と、
前記枠部の、前記障子部を閉じた状態で上記検出片と対向する位置に固定して取り付けられ、ある検出方向における前記検出片の有無に応じてオン・オフするセンサとを有しており、
前記障子部は、前記2枚の障子のそれぞれと結合される2つのヒンジ結合部を有する連結器を備えており、前記2枚の障子を前記連結器を介して接続した構成であり、
前記検出片は前記連結器に対して取り付けられていることを特徴とする折れ戸の開閉検知機構。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載の折れ戸の開閉検知機構であって、
前記センサは、前記検出方向に進退する検出ロッドを備えたリミットスイッチであり、前記検出片との離接による検出ロッドの進退によってオン・オフすることを特徴とする折れ戸の開閉検知機構。
【請求項5】
請求項1から3の何れか一項に記載の折れ戸の開閉検知機構であって、
前記センサは、ビーム照射方向が前記検出方向に設定された光学センサであり、前記検出片の移動に伴うビーム光路の変化によってオン・オフすることを特徴とする折れ戸の開閉検知機構。
【請求項6】
請求項1から3の何れか一項に記載の折れ戸の開閉検知機構であって、
前記センサは、磁界方向が前記検出方向に設定されたマグネットセンサであり、前記検出片の移動に伴う磁界の変化によってオン・オフすることを特徴とする折れ戸の開閉検知機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折れ戸の開閉検知機構に関し、特に、シャッターと組み合わされて使用される折れ戸の開閉検知機構に関する。
【背景技術】
【0002】
折れ戸は、引き戸とは異なり、間口のほぼ全体を開放できるといった利点がある。このため、近年の住宅等においては、屋内と屋外(特にテラスやバルコニー)との間に折れ戸(オープンサッシ)を設けることが増えている。また、折れ戸のさらに屋外側に雨戸や防火用としてシャッター(電動シャッター)を設けることもある。
【0003】
但し、折れ戸は開放時に折れ曲がり部分が屋外側に突出する。このため、折れ戸を開いた状態でシャッターを閉じると、突出した折れ戸にシャッターが衝突する虞がある。現状では、このような不具合に対し、室内側から折れ戸の開閉を検知するものは無く、室外側に折れ戸の開閉を検知するセンサを設けるか、使用者がシャッターを閉める時には、使用者自身が折れ戸が閉まっていることを確認する以外に無い。
【0004】
住宅用のオープンサッシ以外では、収納庫の扉等に折れ戸を用い、折れ戸の開閉動作に伴ってオン・オフするスイッチを用いて収納庫の照明を点灯する技術が開示されている(特許文献1)。特許文献1の例では、折れ戸が閉まっている状態では折れ戸に取り付けられた操作板によってスイッチ(リミットスイッチ)が押し込まれてオフ(照明消灯)となり、折れ戸が開いた状態ではスイッチの押し込みが解除されてオン(照明点灯)となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−62428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、室外側に検知センサを設けて折れ戸の開閉検知を行う場合には、サッシの耐火性能に支障が出るといった問題がある。また、折れ戸の開閉状態について使用者の確認に任せると、人為的ミスがどうしても発生してしまう。
【0007】
また、特許文献1の例では、リミットスイッチにおけるオン検知までのクリアランスが小さく(通常、1mm未満)、使用できる用途に限界がある。例えば、上述したように、折れ戸の外側にシャッターを設け、シャッターと折れ戸との衝突防止のために折れ戸の開閉を検知するような用途には不向きである。
【0008】
屋内と屋外との間に設けられる折れ戸では、折れ戸に対して、風圧等によって屋内側に押し付けられたり、屋外側に引っ張られたりする力が生じる。そして、折れ戸が屋外側に引っ張られる場合、スイッチにおけるオン検知までのクリアランスが小さいと、屋外側(開放側)への僅かな変位によっても、折れ戸が開いていると検知されやすい。すなわち、実際には折れ戸が殆ど開いておらず、シャッターと折れ戸との衝突の虞が無い状況であるにも関らず、折れ戸の開放が誤検知されるといった不都合がある。
【0009】
また、従来技術の応用として、防犯用のマグネットスイッチを折れ戸の開閉検知に用いることも考えられる。しかしながら、マグネットスイッチを用いた場合は、磁界の強さにばらつきがあり、磁石の劣化等の問題もあるため、検知が不安定になり、一定の精度を保つことができない。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、折れ戸の開閉を室内側から確実に検知できる開閉検知機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明の折れ戸の開閉検知機構は、2枚の障子を折り曲げ可能に連結してなる障子部と、前記障子部が取り付けられる間口に沿って取り付けられる枠部とを備える折れ戸の開閉検知機構であって、前記障子部に取り付けられ、前記障子部の開閉に伴って移動する検出片と、前記枠部の、前記障子部を閉じた状態で上記検出片と対向する位置に固定して取り付けられ、ある検出方向における前記検出片の有無に応じてオン・オフするセンサとを有していることを特徴としている。
【0012】
上記の構成によれば、障子部の開閉に伴って検出片が移動し、この移動をセンサが検知することで、折れ戸の開閉を検知することができる。センサは、ある検出方向における前記検出片の有無に応じてオン・オフする。これにより、センサによって折れ戸の開閉状態を確実に検知でき、折れ戸の閉め忘れによる不都合(例えば、折れ戸を開いた状態でシャッターを閉じ、突出した折れ戸にシャッターが衝突するような不都合)を回避できる。また、センサは室内側に設けることができるため、サッシの耐火性能に支障をきたすことも無い。
【0013】
上記開閉検知機構では、前記センサの検出方向と前記検出片の移動方向とが互いに直交するように設定されている構成とすることができる。
【0014】
上記の構成によれば、センサの検出方向と検出片の移動方向とが互いに直交するように設定されていることで、風圧等によって障子部が屋外側に引っ張られ僅かな変位が生じても、この変位によって障子部の開放が誤検知されるといった不都合を回避できる。また、センサのオン・オフが切り替わる検出位置は、検出片の長さによって任意に設定でき、その検出精度も高いものとなる
上記開閉検知機構では、前記障子部は、前記2枚の障子のそれぞれと結合される2つのヒンジ結合部を有する連結器を備えており、前記2枚の障子を前記連結器を介して接続した構成であり、前記検出片は前記連結器に対して取り付けられている構成とすることができる。
【0015】
上記の構成によれば、連結器は、2枚の障子のそれぞれと結合される2つのヒンジ結合部を有しており、特に障子部2の全開状態においては、2枚の障子の間には、連結器における2つのヒンジ結合部間幅とほぼ等しいスペースが生じ、連結器はこのスペースに納まった状態となる。このため、障子部を開放するときに、検出片が邪魔とならずに障子部を容易に全開状態にすることができる。
【0016】
上記開閉検知機構では、前記センサは、前記検出方向に進退する検出ロッドを備えたリミットスイッチであり、前記検出片との離接による検出ロッドの進退によってオン・オフする構成とすることができる。あるいは、上記開閉検知機構では、前記センサは、ビーム照射方向が前記検出方向に設定された光学センサであり、前記検出片の移動に伴うビーム光路の変化によってオン・オフする構成とすることができる。あるいは、上記開閉検知機構では、前記センサは、磁界方向が前記検出方向に設定されたマグネットセンサであり、前記検出片の移動に伴う磁界の変化によってオン・オフする構成とすることができる。
【0017】
これらの構成では、センサの検出方向と検出片の移動方向とが直交する構成を容易に実現できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の折れ戸の開閉検知機構は、センサによって折れ戸の開閉状態を確実に検知でき、折れ戸の閉め忘れによる不都合(例えば、折れ戸を開いた状態でシャッターを閉じ、突出した折れ戸にシャッターが衝突するような不都合)を回避できるといった効果を奏する。また、センサは室内側に設けることができるため、サッシの耐火性能に支障をきたすことも無い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】実施の形態に係る折れ戸の開いた状態を示す上面図である。
【
図3】実施の形態に係る折れ戸の閉じた状態を示す上面図である。
【
図4】実施の形態に係る折れ戸の上部付近と上枠との構成を示す断面図である。
【
図6】上記開閉検知機構における検出片の外観を示す図である。
【
図7】上記開閉検知機構におけるリミットスイッチを組み込んだシャッターの安全回路を示す図である。
【
図8】(a)〜(c)は、開閉検知機構の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る折れ戸1の正面図である。
図2は折れ戸1の(途中まで)開いた状態を示す上面図であり、
図3は閉じた状態を示す上面図である。
【0021】
折れ戸1は、
図1に示すように障子部2と枠部3とから構成されている。障子部2は、二枚の障子(例えば、ガラス戸)21からなる二枚折れ戸を二組用いた構成を例示している。一組の二枚折れ戸において、障子21同士は連結器22によって連結されている。枠部3は、上枠31、下枠32および立枠33・33とを含む。上枠31および下枠32には、障子部2の開閉時に、これを案内するレール34が設けられている。
【0022】
障子部2における一組の二枚折れ戸では、一方(外側)の障子21の一端(連結器12で連結されていない側)がピボット軸となっており、平行移動はしないが該ピボット軸を中心に回転移動となっている。また、他方(内側)の障子21は、その一端(連結器12で連結されていない側)がフリー軸となっており、レール34上での平行移動と該フリー軸を中心とする回転移動とが可能となっている。
【0023】
連結器22は、鉛直方向に障子21と同一の長さを有しており、
図2,3に示すように、連結器22はそれぞれの障子21に対してヒンジ結合されている。そして、二箇所のヒンジ結合部での折れ曲がりによって障子部2の開閉がされるようになっている。但し、本発明において、障子21・21を連結する連結器は、上述の連結器22に限定されるものではなく、例えば、蝶番のような簡易な構成の連結器を用いても良い。
【0024】
続いて、折れ戸1における開閉検知機構について、
図2〜
図4を参照して説明する。
図4は、折れ戸1の上部付近と上枠31との構成を示す断面図である。
図5は、上記開閉検知機構の動作を説明する図である。
【0025】
上枠31は、折れ戸1が設けられる間口の上辺部に沿って取り付けられるフレーム部材であり、上述したように、障子部2を案内するレール34が形成されている。また、上枠31には、上記開閉検知機構の一部であるリミットスイッチ35が取り付けられる。
【0026】
リミットスイッチ35は、
図4に示すように、センサハウジング36内に保持され、センサハウジング36を上枠31に対してネジ等を用いて固定することで取り付けられる。また、リミットスイッチ35の取付位置は、障子部2を閉じた状態で、折れ曲がり部(すなわち連結器22)と対向する位置である。また、センサハウジング36には、連結器22との対向面(屋外側の面)に開口部36Aが設けられており、この開口部36Aに対して挿抜される検出片23によってリミットスイッチ35がオン・オフされる。
【0027】
具体的には、連結器22における屋内側の見付面には検出片23が取り付けられる。検出片23は、
図6に示すように、2つの主板23A,23Bからなる断面略L字形状の部材(例えば、金属板)である。検出片23は、例えば、一方の主板23Aを連結器22の屋内側の見付面にネジ固定して取り付けられる。また、検出片23におけるもう一方の主板23Bは、水平面と平行となるように配置される。さらに、主板23Bの先端は、下方に向けて僅かに折り曲げられている。
【0028】
このように、2枚の障子21・21のそれぞれと結合される2つのヒンジ結合部を有する連結器22を用いた構成では、障子部2を開放するときに、検出片23が邪魔とならずに障子部2を全開状態にすることができ、好適である。この場合、特に障子部2の全開状態において、2枚の障子21・21は全閉状態から90度回動され、連結器22における屋内側の見付面は障子21・21の主面に対して直交する向きとなる。また、2枚の障子21・21の間には、連結器22における2つのヒンジ結合部間幅とほぼ等しいスペースが生じ、連結器22はこのスペースに納まった状態となる。したがって、検出片23が邪魔とならずに障子部2を全開状態にすることができる。
【0029】
尚、障子21・21の連結に、上述の連結器22ではなく、蝶番のような簡易な連結器を用いる場合、検出片23は連結器に取り付けてもよく、あるいは、どちらか一方の障子21に直接取り付けてもよい。検出片23を障子21に取り付ける場合は、障子21・21の連結部付近に取り付けることが好ましい。この場合も、検出片23は、例えば、一方の主板23Aを障子21の屋内側の面にネジ固定して取り付けられ、もう一方の主板23Bは水平面と平行となるように配置される。
【0030】
本実施の形態における折れ戸の開閉検知機構は、リミットスイッチ35と検出片23とによって構成されるが、この開閉検知機構においては、リミットスイッチ35における検出方向と検出片23の移動方向とが互いに直交している。すなわち、検出片23の移動方向は水平方向であり、これに対してリミットスイッチ35における検出方向は鉛直方向に設定される。この開閉検知機構の動作について、
図5を参照して説明する。
【0031】
リミットスイッチ35は鉛直方向に進退する検出ロッド35Aを有しており、検出ロッド35Aの進退によってオン・オフが切り替わる。本実施の形態では、
図5に示すように、検出ロッド35Aの移動方向(すなわち検出方向)が鉛直方向(Y方向)に設定されている。一方、検出片23は、障子部2の開閉に伴って連結器22と共に移動するため、その移動方向は水平方向(X方向)となる。
【0032】
障子部2が閉じられた状態(
図5(b)の状態)では、検出片23の先端がセンサハウジング36の開口部36Aから内部に挿入され、検出ロッド35Aの先端に当接する。この時、検出ロッド35Aは検出片23との当接によってセンサ本体側に押し込まれ、リミットスイッチ35はオンとなる。一方、障子部2がある程度開かれた状態(
図5(a)の状態)では、検出片23がセンサハウジング36から抜き出され、検出片23と検出ロッド35Aとの当接が解除されてリミットスイッチ35はオフとなる。
【0033】
尚、検出ロッド35Aの先端は球面を有しており、検出片23の主板23Bの先端は下方に向けて僅かに折り曲げられている。このため、障子部2が閉じられる時には検出片23の先端が検出ロッド35Aの側面にあたることは無く、検出片23をスムーズに挿入することができるようになっている。
【0034】
ここで、リミットスイッチ35における検出方向と検出片23の移動方向とが直交しているため、障子部2が閉じられた状態(
図5(b)の状態)から検出片23が僅かに移動した程度では、検出ロッド35Aと検出片23との当接は解除されず、リミットスイッチ35がオフとなることはない。すなわち、風圧等によって折れ戸1の障子部2が屋外側に引っ張られ僅かな変位が生じても、この変位によって障子部2の開放が誤検知されるといった不都合を回避できる。
【0035】
また、リミットスイッチ35のオン・オフが切り替わる検出位置は、検出片23の主板23Bの長さによって任意に設定でき、その検出精度も高いものとなる。例えば、折れ戸1の外側にシャッターを設け、シャッターと障子部2との衝突防止のために障子部2の開閉を検知するような用途において、上記衝突を確実に防止できる位置で障子部2の開放を検知することができる。
【0036】
本実施の形態では、障子部2は、二枚の障子21からなる二枚折れ戸を二組用いており、リミットスイッチ35は、一組の二枚折れ戸に一つ、すなわち2つ設けられる。そして、本実施の形態の開閉検知機構を、シャッターと障子部2との衝突防止の用途に用いる場合、
図7に示すように、2つのリミットスイッチ35を、シャッターの閉スイッチに対して直列に配置すると良い。この場合、2つのリミットスイッチ35の両方がオンでなければ(2組の二枚折れ戸の両方が閉まっていなければ)、シャッターの閉スイッチを押してもシャッターは動作せず、シャッターと障子部2との衝突を確実に防止することができる。
【0037】
(センサ変形例)
上記例では、折れ戸1の開閉検知機構にリミットスイッチを用いた例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他のセンサ類を用いることも可能である。
【0038】
例えば、
図8(a)に示すように、検出片23と透過型光学センサ37とによって開閉検知機構を構成してもよい。透過型光学センサ37は、発光素子37Aと受光素子37Bとからなり、これらがセンサハウジング36内で鉛直方向に対向して配置される。障子部2の閉鎖時には発光素子37Aから照射されるビーム光が検出片23によって遮断されて受光素子37Bに届かず、センサはオンとなる。一方、障子部2の開放時には発光素子37Aから照射されるビーム光は検出片23によって遮断されず、受光素子37Bによって検出され、センサはオフとなる。
【0039】
あるいは、
図8(b)に示すように、検出片23と反射型光学センサ38とによって開閉検知機構を構成してもよい。反射型光学センサ37は、発光素子38Aと受光素子38Bとからなり、これらがセンサハウジング36内で同一面に並んで配置される。障子部2の閉鎖時には発光素子38Aから照射されるビーム光が検出片23によって反射され、受光素子38Bによって検出され、センサはオンとなる。一方、障子部2の開放時には発光素子38Aから照射されるビーム光は検出片23によって反射されず、センサはオフとなる。
【0040】
あるいは、
図8(c)に示すように、検出片23とマグネットセンサ39とによって開閉検知機構を構成してもよい。マグネットセンサ39は、センサハウジング36に固定されるセンサ本体39Aと検出片23の主板23Bに固定されるマグネット体39Bからなる。センサ本体39Aは、内部に電磁マグネットと接点とを有し、マグネット体39Bとの位置関係に応じて接点がオン・オフされる構成である。また、センサ本体39Aの電磁マグネットおよびマグネット体39Bにおける磁界の向きは何れも鉛直方向に設定されている。
【0041】
障子部2の閉鎖時には、センサ本体39Aとマグネット体39Bとが磁界方向に対向して近接するため、磁力の作用によってセンサ本体39A内の接点がオンとなる(センサはオンとなる)。一方、障子部2の開放時には、センサ本体39Aとマグネット体39Bとが磁界方向に対向しなくなり、磁力の作用が弱まってセンサ本体39A内の接点がオフとなる(センサはオフとなる)。
【0042】
図8(a)〜(c)の何れの構成でも、センサの検出方向(光学センサにおけるビーム照射方向、マグネットセンサにおける磁界方向)と検出片23の移動方向とは直交している。すなわち、センサの検出方向は鉛直方向であり、検出片23の移動方向は水平方向である。このため、リミットスイッチ35を用いた場合と同様に、風圧等によって折れ戸1の障子部2が屋外側に引っ張られ僅かな変位が生じても、この変位によって障子部2の開放が誤検知されるといった不都合を回避できる。また、センサのオン・オフが切り替わる検出位置の検出精度も高いものとなる。
【0043】
さらに、
図8(a)〜(c)の構成では、センサと検出片23とを非接触とすることができるため、検出片23はセンサの検出方向(すなわち鉛直方向)に対する位置決めが容易となる。
【0044】
尚、これまでの説明では、検出片23の移動方向とセンサにおける検出方向とが互いに直交となるように設定した例を挙げている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、検出片23の移動方向とセンサにおける検出方向とが互いに平行に設定される場合や、検出片23の移動方向に対してセンサにおける検出方向が斜めに設定される場合も本発明に含まれる。すなわち、このような構成であっても、センサによって折れ戸の開閉状態を確実に検知でき、折れ戸の閉め忘れによる不都合(例えば、折れ戸を開いた状態でシャッターを閉じ、突出した折れ戸にシャッターが衝突するような不都合)を回避できるといった効果が得られる。また、センサは室内側に設けることができるため、サッシの耐火性能に支障をきたすことも無い。
【0045】
(本発明の他の用途例)
上記例では、折れ戸1の外側にシャッターを設け、シャッターと障子部2との衝突防止のために障子部2の開閉を検知する用途に本発明を適用する場合を説明した。しかしながら、本発明の用途はこれに限定されるものではなく、例えば、HEMS(Home Energy Management System)と組み合わせた用途に本発明を適用することもできる。
【0046】
HEMSでは、例えば、室内の温度や湿度を管理するにあたって、折れ戸1が閉まっているときに換気のために折れ戸の開放を住民に促したり、折れ戸1が開いているときに雨を検知して折れ戸の閉鎖を促したりするといった管理を行うようなことが考えられる。このような管理を行うためには、折れ戸の開閉状態を検知するための機構が必要であるが、そのための開閉検知に本発明における開閉検知機構を用いることができる。
【0047】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
1 折れ戸
2 障子部
3 枠部
21 障子
22 連結器
23 検出片
31 上枠
32 下枠
33 立枠
35 リミットスイッチ
36 センサハウジング
37 透過型光学センサ
38 反射型光学センサ
39 マグネットセンサ