(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図3は、画像形成装置1の全体構成を示す図である。
図4は、画像形成装置1の制御系の主要部を示す図である。
図3、4に示す画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。画像形成装置1には、CMYKの4色に対応する感光ドラム213を中間転写ベルト221の走行方向(鉛直方向)に直列配置し、中間転写ベルト221に一回の手順で各色トナー像を順次転写させる縦型タンデム方式が採用されている。
すなわち、画像形成装置1は、感光ドラム213上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト221に一次転写し、中間転写ベルト221上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙に二次転写することにより、画像を形成する。
【0014】
図3、4に示すように、画像形成装置1は、画像読取部11、操作表示部12、画像処理部13、画像形成部20、給紙部14、排紙部15、用紙搬送部16、及び制御部17を備える。
【0015】
制御部17は、CPU(Central Processing Unit)171、ROM(Read Only Memory)172、RAM(Random Access Memory)173等を備える。CPU171は、ROM172又は記憶部182から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM173に展開し、展開したプログラムと協働して、画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。
【0016】
通信部181は、例えばNIC(Network Interface Card)、MODEM(MOdulator-DEModulator)、USB(Universal Serial Bus)等の各種インターフェースを有する。
記憶部182は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。記憶部182には、例えば各ブロックの動作を制御する際に参照されるルックアップテーブルが格納される。
【0017】
制御部17は、通信部181を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部17は、例えば、外部の装置から送信されたページ記述言語(PDL:Page Description Language)による画像データ(入力画像データ)を受信し、これに基づいて用紙に画像を形成させる。
【0018】
画像読取部11は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置111及び原稿画像走査装置112(スキャナー)等を備える。
自動原稿給紙装置111は、原稿トレイに載置された原稿を搬送機構により搬送して原稿画像走査装置112へ送り出す。自動原稿給紙装置111により、原稿トレイに載置された多数枚の原稿の画像(両面を含む)を連続して読み取ることが可能となる。
原稿画像走査装置112は、自動原稿給紙装置111からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー112aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部11は、原稿画像走査装置112による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部13において所定の画像処理が施される。
【0019】
操作表示部12は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部121及び操作部122として機能する。表示部121は、制御部17から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部122は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部17に出力する。
【0020】
ユーザーは、操作表示部12を操作して、原稿設定、画質設定、倍率設定、応用設定、出力設定、片面/両面設定、及び用紙設定(用紙の坪量、光沢の有無を含む)などの画像形成に関する設定を行うことができる。設定された情報は、例えば記憶部182に記憶される。
【0021】
画像処理部13は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部13は、制御部17の制御下で、階調補正データに基づいて階調補正を行う。また、画像処理部13は、入力画像データに対して、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部20が制御される。
【0022】
画像形成部20は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによるトナー像を形成するためのトナー像形成部21、トナー像形成部21により形成されたトナー像を用紙に転写する中間転写部22、及び用紙に転写されたトナー像を定着する定着部23等を備える。
【0023】
トナー像形成部21は、Y成分用、M成分用、C成分用、K成分用の4つのトナー像形成部21Y、21M、21C、21Kで構成される。トナー像形成部21Y、21M、21C、21Kは、同様の構成を有するので、図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、Kを添えて示すこととする。
図3では、Y成分用のトナー像形成部21Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他のトナー像形成部21M、21C、21Kの構成要素についての符号は省略されている。
【0024】
トナー像形成部21は、露光装置211、現像装置212、感光ドラム213、帯電装置214、及びドラムクリーニング装置215等を備える。
【0025】
感光ドラム213は、例えばアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。
電荷発生層は、電荷発生材料(例えばフタロシアニン顔料)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト)に分散させた有機半導体からなり、露光装置211による露光を受けて一対の正電荷と負電荷を発生する。電荷輸送層は、正孔輸送性材料(電子供与性含窒素化合物)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネート樹脂)に分散させたものからなり、電荷発生層で発生した正電荷を電荷輸送層の表面まで輸送する。
【0026】
帯電装置214は、例えばスコロトロン帯電装置やコロトロン帯電装置等のコロナ放電発生器で構成される。帯電装置214は、コロナ放電によって感光ドラム213の表面を一様に負極性に帯電させる。
【0027】
露光装置211は、例えば複数の発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が直線状に配列されたLEDアレイ、個々のLEDを駆動するためのLPH駆動部(ドライバーIC)、及びLEDアレイからの放射光を感光ドラム213上に結像させるレンズアレイ等を有するLEDプリントヘッドで構成される。LEDアレイの1つのLEDが、画像の1ドットに対応する。制御部17によってLPH駆動部が制御されることにより、LEDアレイに所定の駆動電流が流れ、特定のLEDが発光する。
【0028】
露光装置211は、感光ドラム213に対して各色成分の画像に対応する光を照射する。光の照射を受けて感光ドラム213の電荷発生層で発生した正電荷が電荷輸送層の表面まで輸送されることにより、感光ドラム213の表面電荷(負電荷)が中和される。これにより、感光ドラム213の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
【0029】
現像装置212は、各色成分の現像剤(例えばトナーと磁性キャリアーとからなる二成分現像剤)を収容する。現像装置212は、感光ドラム213の表面に各色成分のトナーを付着させることにより、静電潜像を可視化してトナー像を形成する。具体的には、現像剤担持体(現像ローラー)に現像バイアス電圧が印加され、感光ドラム213と現像剤担持体との間に電界が形成される。感光ドラム213と現像剤担持体との電位差によって、現像剤担持体上の帯電トナーが感光ドラム213の表面の露光部に移動し、付着する。
【0030】
ドラムクリーニング装置215は、感光ドラム213の表面に摺接されるドラムクリーニングブレード等を有し、一次転写後に感光ドラム213の表面に残存する転写残トナーを除去する。
【0031】
中間転写部22は、中間転写ベルト221、一次転写ローラー222、複数の支持ローラー223、二次転写ローラー224、及びベルトクリーニング装置225等を備える。
【0032】
中間転写ベルト221は無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー223にループ状に張架される。複数の支持ローラー223のうちの少なくとも一つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。駆動ローラーが回転することにより、中間転写ベルト221は矢印A方向に一定速度で走行する。
【0033】
一次転写ローラー222は、各色成分の感光ドラム213に対向して、中間転写ベルト221の内周面側に配置される。中間転写ベルト221を挟んで、一次転写ローラー222が感光ドラム213に圧接されることにより、感光ドラム213から中間転写ベルト221へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される(以下「一次転写部」と称する)。
【0034】
二次転写ローラー224は、複数の支持ローラー223のうちの一つに対向して、中間転写ベルト221の外周面側に配置される。中間転写ベルト221に対向して配置される支持ローラー223はバックアップローラーと呼ばれる。中間転写ベルト221を挟んで、二次転写ローラー224がバックアップローラーに圧接されることにより、中間転写ベルト221から用紙へトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される(以下「二次転写部」と称する)。
【0035】
一次転写部において、感光ドラム213上のトナー像が中間転写ベルト221に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー222に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト221の裏面側(一次転写ローラー222と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト221に静電的に転写される。
【0036】
その後、用紙が二次転写部を通過する際、中間転写ベルト221上のトナー像が用紙に二次転写される。具体的には、二次転写ローラー224に二次転写バイアスを印加し、用紙の裏面側(二次転写ローラー224と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は用紙に静電的に転写される。トナー像が転写された用紙は定着部23に向けて搬送される。
【0037】
ベルトクリーニング装置225は、中間転写ベルト221の表面に摺接するベルトクリーニングブレード等を有し、二次転写後に中間転写ベルト221の表面に残留する転写残トナーを除去する。
【0038】
なお、中間転写部22において、二次転写ローラー224に代えて、二次転写ローラーを含む複数の支持ローラーに、二次転写ベルトがループ状に張架された構成(いわゆるベルト式の二次転写ユニット)を採用してもよい。
【0039】
定着部23は、用紙の定着面(トナー像が形成されている面)側に配置される定着面側部材を有する上側定着部231、用紙の裏面(定着面の反対の面)側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部232、定着面側部材を加熱する加熱源233、及び裏面側支持部材を定着面側部材に対して圧接する圧接離間部(図示略)等を備える。
【0040】
例えば、上側定着部231がローラー加熱方式である場合は定着ローラーが定着面側部材となり、ベルト加熱方式である場合は定着ベルトが定着面側部材となる。また例えば、下側定着部232がローラー加圧方式である場合は加圧ローラーが裏面側支持部材となり、ベルト加圧方式である場合は加圧ベルトが裏面側支持部材となる。
図3は、上側定着部231がローラー加熱方式で構成され、下側定着部232がローラー加圧方式で構成される場合について示している。
【0041】
上側定着部231は、定着面側部材を回転させるための上側定着部用駆動部(図示略)を有する。制御部17によって上側定着部用駆動部の動作が制御されることにより、定着面側部材は所定の速度で回転(走行)する。下側定着部232は、裏面側支持部材を回転させるための下側定着部用駆動部(図示略)を有する。制御部17によって下側定着部用駆動部の動作が制御されることにより、裏面側支持部材は所定の速度で回転(走行)する。なお、定着面側部材が裏面側支持部材の回転に従動する場合は、上側定着部用駆動部は必要ない。
【0042】
加熱源233は、定着面側部材の内部又は近傍に配置される。制御部17によって加熱源233の出力が制御されることにより、定着面側部材が加熱され、所定の温度(例えば定着許容温度、定着アイドリング温度)で保持される。制御部17は、定着面側部材に近接して配置される定着温度検出部(図示略)の検出結果に基づいて加熱源233の出力を制御する。
【0043】
圧接離間部(図示略)は、裏面側支持部材を定着面側部材に向けて押圧する。圧接離間部は、例えば裏面側支持部材を支持する軸の両端部に当接し、軸の両端をそれぞれ独立して押圧する。これにより、定着ニップにおける軸方向のニップ圧のバランスを調整することができる。制御部17によって圧接離間部(図示略)の動作が制御され、定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、用紙を狭持して搬送する定着ニップが形成される。
【0044】
トナー像が二次転写され、通紙経路に沿って搬送されてきた用紙は、定着部23を通過する際に加熱、加圧される。これにより、用紙にトナー像が定着する。
なお、定着部23は、定着面側部材又は裏面側支持部材を冷却したり、定着面側部材又は裏面側支持部材から用紙を分離したりするために、定着面側部材又は裏面側支持部材に対して送風を行う送風部を備えていてもよい。
【0045】
給紙部14は、給紙トレイ部141及び手差し給紙部142を有する。給紙トレイ部141には、坪量やサイズ等に基づいて識別された枚葉紙(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された紙種ごとに収容される。手差し給紙部142には、大容量の外部給紙装置(図示略)を接続することもできる。給紙部14は、給紙トレイ部141又は手差し給紙部142から給紙された用紙を用紙搬送部16に送り込む。
【0046】
排紙部15は、排紙ローラー部151等を有し、用紙搬送部16から送出された用紙を機外に排紙する。
【0047】
用紙搬送部16は、主搬送部161、スイッチバック搬送部162、裏面印刷用搬送部163、及び通紙経路切替部164等を備える。用紙搬送部16の一部は、例えば定着部23とともに1つのユニットに組み込まれ、画像形成装置1に着脱可能に装着される(用紙搬送ユニットADU)。
【0048】
主搬送部161は、用紙を挟持して搬送する用紙搬送要素として、ループローラー部及びレジストローラー部を含む複数の搬送ローラー部を有する。主搬送部161は、給紙トレイ部141又は手差し給紙部142から給紙された用紙を搬送して画像形成部20(二次転写部、定着部23)に通紙するとともに、画像形成部20(定着部23)から送出された用紙を排紙部15又はスイッチバック搬送部162に向けて搬送する。
【0049】
スイッチバック搬送部162は、定着部23から送出された用紙を一旦停止させ、搬送方向を逆転させて、排紙部15又は裏面印刷用搬送部163に搬送する。
【0050】
裏面印刷用搬送部163は、スイッチバック搬送部162でスイッチバックされた用紙を主搬送部161に循環搬送する。主搬送部161には、裏面が画像形成面となった状態で用紙が通紙されることになる。
【0051】
通紙経路切替部164は、定着部23から送出された用紙をそのままの状態で排紙するか、反転させて排紙するか、又は裏面印刷用搬送部163に搬送するかによって通紙経路を切り替える。具体的には、制御部17が、画像形成処理の処理内容(片面/両面印刷、フェイスアップ/フェイスダウン排紙等)に基づいて、通紙経路切替部164の動作を制御する。
【0052】
給紙部14から給紙された用紙は、主搬送部161によって画像形成部20に搬送される。そして、用紙が二次転写部を通過する際、中間転写ベルト221上のトナー像が用紙の第1面(表面)に一括して二次転写され、定着部23において定着処理が施される。画像が形成された用紙は、排紙部15により機外に排紙される。用紙の両面に画像を形成する場合、第1面に画像が形成された用紙はスイッチバック搬送部162に送出され、裏面印刷用搬送部163を通って主搬送部161に戻ることにより反転されて、第2面(裏面)に画像が形成される。
【0053】
また、
図3の破線で示すように、画像形成装置1の用紙搬送部16は、湾曲形状の通紙経路を有する。これにより、装置の小型化や両面印刷を可能とすることができる。
図5は、通紙経路の湾曲部分の一例を示す図である。
図5に示す通紙経路165は、例えば定着部23の用紙搬送方向下流側に位置する定着後の通紙経路である。
【0054】
図5に示すように、画像形成装置1の通紙経路165は、用紙の表裏面のそれぞれに対向する搬送ガイド35、36によって形成される。通紙経路165の湾曲部分を「湾曲部165R」と称する。搬送ガイド35は、用紙の画像形成面と接触しうる側、ここでは上側に配置される。
【0055】
湾曲部165Rには、搬送ガイド35から通紙経路165内に突出するように、摩擦係数の小さい搬送コロ32、34が配置される。搬送コロ32、34は、搬送される用紙に接触して連れ回りする回転体(コロ本体)を有する搬送機構であり、用紙幅方向に延びる幅広の一つのコロ部材を有するものや、幅狭の複数のコロ部材を用紙幅方向に並設したものがある。ここでは、
図5Bに示すように、搬送コロ32、34は、それぞれ用紙幅方向に並設された4つのコロ部材321〜324、341〜344を有するものとする。以下において、用紙搬送方向上流側に配置される搬送コロ32を「上流側搬送コロ32」と称し、用紙搬送方向下流側に配置される搬送コロ34を「下流側搬送コロ34」と称する。
【0056】
上流側搬送コロ32は、初期位置として、通紙経路165の湾曲部165Rにおける用紙搬送方向最上流側、すなわち搬送ローラー部31から送出された用紙が突入することとなる位置に配置される。上流側搬送コロ32は、例えば搬送コロユニットのフレーム(図示略)のガイド溝に沿って移動可能に取り付けられた軸受け(図示略)に支持される。初期位置における上流側搬送コロ32の搬送ガイド35からの突出量は、搬送ローラー部31から送出された用紙の先端が45°以下で突入するように設定される。
【0057】
コロ部材321〜324は互いに独立して構成され、それぞれに対応して、軸受けが設けられる。なお、コロ部材321〜324のコロ軸が共通である場合、軸受けは、上流側搬送コロ32の両端(コロ部材321、324の用紙幅方向外側)に設けられる。
【0058】
コロ部材321は、用紙に接触するコロ本体321Aとコロ本体321Aの挿通孔321a(
図9参照)に挿通されるコロ軸321Bを有する。コロ軸321Bは、コロ部材321〜324ごとに設けられた軸受けの軸穴421(
図7参照)に遊嵌される。コロ本体321Aは、用紙の搬送に伴いコロ軸321Bを中心に回転する。なお、コロ本体321Aとコロ軸321Bとが一体的に回転する構成であってもよい。その他のコロ部材322〜324についても同様である。
【0059】
下流側搬送コロ34は、通紙経路165の湾曲部165Rにおける用紙搬送方向最下流側、すなわち下流側搬送コロ34を通過した用紙の画像形成面が搬送ガイド35に接触しない状態となる位置に配置される。下流側搬送コロ34は、例えば搬送コロユニットのフレーム(図示略)に固定された軸受けに支持される。下流側搬送コロ34の搬送ガイド35からの突出量は、上流側搬送コロ32から送出された用紙の先端が45°以下で突入するように設定される。下流側搬送コロ34のコロ部材341〜344は、上流側搬送コロ32のコロ部材321〜324と同様の構成を有する。
【0060】
上流側搬送コロ32及び下流側搬送コロ34は、用紙搬送方向に離間して配置される。具体的には、上流側搬送コロ32が初期位置から移動しない場合に、上流側搬送コロ32を通過した用紙が下流側搬送コロ34に到達する前に搬送ガイド35に接触するように、上流側搬送コロ32及び下流側搬送コロ34が配置される。
【0061】
上流側搬送コロ32の軸受けは、動力伝達機構及び駆動モーター(例えばステッピングモーター)を有するコロ駆動部37に接続される。制御部17によってコロ駆動部37(駆動モーター)の動作が制御されることにより、上流側搬送コロ32は通紙経路165に沿って移動する。具体的には、上流側搬送コロ32は、用紙が到達した後に移動を開始し、搬送ガイド35に接触することなく用紙を下流側搬送コロ34に受け渡すことができる位置まで移動する。
【0062】
ここで、上流側搬送コロ32の搬送ガイド35からの突出量は、通紙経路165の湾曲部165Rの曲率に応じて変化するようにしてもよい。これにより、用紙を滑らかに用紙搬送方向下流側に搬送することができる。上流側搬送コロ32の搬送ガイド35からの突出量は、例えばフレーム(図示略)のガイド溝の形状によって制御することができる。
【0063】
搬送ローラー部31と上流側搬送コロ32の間には、用紙の有無を検出する用紙検出部38が配置される。用紙検出部38は、例えば反射型又は透過型の光センサーで構成される。制御部17は、用紙検出部38の検出結果に基づいて、コロ駆動部37の動作を制御する。用紙検出部38を設けることにより、搬送ローラー部31から送出された用紙が上流側搬送コロ32に到達するタイミング等を正確に判断できるので、コロ駆動部37の誤動作を防止できる。
【0064】
具体的には、制御部17は、
図6に示すフローチャートに従ってコロ駆動部37の動作を制御する。
図6は、搬送コロ移動処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、例えば、画像形成装置1において用紙への画像形成処理が開始されることに伴い、CPU171がROM172に格納されている所定のプログラムを実行することにより実現される。
【0065】
ステップS101において、制御部17は、上流側搬送コロ32に用紙が到達したか否かを判定する。上流側搬送コロ32に用紙が到達したか否かは、用紙検出部38の検出結果に基づいて判断される。上流側搬送コロ32に用紙が到達すると(ステップS101で“YES”)、ステップS102の処理に移行する。
【0066】
ステップS102において、制御部17は、コロ駆動部37の動作を開始させ、上流側搬送コロ32を通紙経路165に沿って所定の位置まで移動させる。このときの上流側搬送コロ32の移動速度は、用紙の搬送速度に応じて設定される。用紙の搬送に伴い上流側搬送コロ32が移動するので、用紙は、画像形成面が搬送ガイド35に接触することなく下流側搬送コロ34に受け渡される。したがって、用紙の画像形成面が搬送ガイド35に接触することによる傷の発生を抑制できる。
【0067】
ステップS103において、制御部17は、上流側搬送コロ32を用紙が完全に通過したか否かを判定する。上流側搬送コロ32を用紙が通過したか否かは、用紙検出部38の検出結果に基づいて判断される。上流側搬送コロ32を用紙が通過すると(ステップS103で“YES”)、ステップS104の処理に移行する。
【0068】
ステップS104において、制御部17は、コロ駆動部37の動作を開始させ、上流側搬送コロ32を通紙経路165に沿って初期位置まで移動させる。この動作は、上流側搬送コロ32の初期位置に次の用紙が到達するまでに行われる。これにより、上流側搬送コロ32の移動に伴って画像形成処理が中断するのを防止できる。
【0069】
なお、用紙が下流側搬送コロ34に受け渡された後であれば、用紙が上流側搬送コロ32を完全に通過する前に、上流側搬送コロ32の初期位置への復帰動作を開始するようにしてもよい。
【0070】
ステップS105において、制御部17は、一連の画像形成処理が終了したか否かを判定する。一連の画像形成処理とは、画像形成を指示する信号(例えば印刷ジョブ)により設定された画像形成を行う処理である。一連の画像形成処理が終了すると(ステップS105で“YES”)、搬送コロ移動処理は終了となる。一連の画像形成処理が終了していない場合(ステップS105で“NO”)、ステップS101の処理に移行する。すなわち、2枚目、3枚目、・・・N枚目の用紙が搬送される際に、同様に上側搬送コロ32の移動処理が行われる。
【0071】
このように、実施の形態に係る画像形成装置1は、用紙に画像を形成する画像形成部20と、画像形成部20の用紙搬送方向下流側において用紙の画像形成面側及び裏面側に配置され、用紙を搬送するための通紙経路165を形成する搬送ガイド35、36と、通紙経路165の湾曲部165Rにおいて搬送ガイド35から通紙経路内に突出するように配置される上流側搬送コロ32(搬送コロ)と、搬送される用紙の画像形成面が搬送ガイド35に接触しない状態となるまで、上流側搬送コロ32を通紙経路165に沿って移動させるコロ移動部(コロ駆動部37及び制御部17)と、を備える。
【0072】
具体的には、画像形成装置1は、上流側搬送コロ32(搬送コロ)の用紙搬送方向下流側に配置される下流側搬送コロ34を備え、コロ移動部(コロ駆動部37及び制御部17)は、搬送される用紙が搬送ガイド35に接触することなく下流側搬送コロ34に受け渡される位置となるまで、上流側搬送コロ32を移動させる。
【0073】
画像形成装置1によれば、用紙の搬送に伴い、湾曲形状を有する通紙経路165に沿って上流側搬送コロ32が移動するので、不具合(画像形成面の傷や用紙の幅方向端部における損傷等)が生じることなく容易に用紙を通紙することができる。また、隣り合う搬送コロのコロ部材を用紙幅方向に互い違いに配置する必要もないので、設計上の自由度が格段に向上し、様々なサイズの用紙に対応することができる。
さらには、画像形成装置1においては、搬送ガイド35に接触することなく用紙が搬送されるので、画像形成面への傷の発生を抑制でき、高品質な画像形成物を作成することができる。
【0074】
また、上流側搬送コロ32は、用紙の搬送状態(例えばカールの発生状況)に追従する構成であることが好ましい。具体的には、コロ部材321〜324が、用紙の搬送状態に応じて変位する可動コロ部材を含むようにする。「変位」とは、用紙厚さ方向における移動及び用紙幅方向に対する傾斜を含む。ここでは、コロ部材321〜324の全てが可動コロ部材として機能する。なお、コロ部材321〜324の一部、例えば上流側搬送コロ32の中央に位置するコロ部材322、323又は両端に位置するコロ部材321、324だけが可動コロ部材として機能するようにしてもよい。
【0075】
図7は、上流側搬送コロ32における可動コロ部材(コロ部材321〜324)の一例を示す図である。
図7において、一点鎖線Lは下に凸状のカールを有する用紙の通紙位置、一点鎖線Mは平坦な用紙の通紙位置、一点鎖線Nは上に凸状のカールを有する用紙の通紙位置である。
【0076】
図7に示すように、コロ部材321〜324は、それぞれに対応する軸受けの軸穴421〜424にコロ軸321B〜324Bが遊嵌されることにより、支持される。軸穴421〜424は、用紙厚さ方向に延びる長円形状を有する。用紙が通紙されていない非通紙状態では、コロ部材321〜324のコロ軸321B〜324Bは、軸穴421〜424の最下部に位置する。すなわち、コロ部材321〜324は、軸穴421〜424に沿って移動可能で、かつ傾斜可能となっている。
【0077】
また、コロ部材321〜324は、付勢部材411〜414(例えば引張コイルばね)を介して固定体(例えば搬送コロユニットのフレーム(図示略))に吊設される。非通紙状態においては、コロ部材321〜324に働く重力と付勢部材411〜414の復元力とが釣り合っており、通紙状態においては、用紙との接触圧によってコロ部材321〜324は上方に押し上げられる。
【0078】
図8は、通紙時の上流側搬送コロ32の状態を示す図である。
図8Aは平坦な用紙が通紙される場合、
図8Bは上に凸状のカールを有する用紙が通紙される場合、
図8Cは下に凸状のカールを有する用紙が通紙される場合を示す。
【0079】
上流側搬送コロ32に平坦な用紙が通紙される場合、コロ部材321〜324が用紙から受ける力は均一である。したがって、
図8Aに示すように、コロ部材321〜324は一様に押し上げられる。
【0080】
上流側搬送コロ32に上に凸状のカールを有する用紙が通紙される場合、コロ部材321〜324が用紙から受ける力は、両端部よりも中央部の方が大きい。したがって、
図8Bに示すように、中央に位置するコロ部材322、323の方が、両端に位置するコロ部材321、324よりも大きく押し上げられる。また、用紙のカール形状に沿って、コロ部材321は時計回りに傾斜し、コロ部材324は反時計回りに傾斜する。
【0081】
上流側搬送コロ32に下に凸状のカールを有する用紙が通紙される場合、コロ部材321〜324が用紙から受ける圧力は、中央部よりも両端部の方が大きい。したがって、
図8Cに示すように、両端に位置するコロ部材321、324の方が、中央に位置するコロ部材322、323よりも大きく押し上げられる。また、用紙のカール形状に沿って、コロ部材321は反時計回りに傾斜し、コロ部材324は時計回りに傾斜する。
【0082】
図9は、コロ部材321に形成される挿通孔321aの一例を示す図である。
図9Aは平坦な用紙が通紙される場合、
図9Bは上に凸状のカールを有する用紙が通紙される場合、
図9Cは下に凸状のカールを有する用紙が通紙される場合を示す。
【0083】
図9に示すように、用紙のカール形状に応じて傾斜することとなるコロ部材321において、コロ本体321Aに形成される挿通孔321aは、両端部から長手方向中央に向けて縮径するテーパー形状を有するのが好ましい。コロ部材321と用紙幅方向において対称に配置されるコロ部材341についても同様である。コロ部材341の場合は、下に凸状のカールを有する用紙が通紙される場合に
図9Bに示す状態となり、上に凸状のカールを有する用紙が通紙される場合に
図9Cに示す状態となる。
【0084】
用紙のカール形状が緩い場合にはコロ軸321B、324Bに対してコロ本体321A、324Aが傾斜し、カール形状がきつい場合にはさらにコロ軸321B、324Bが傾斜することとなる。したがって、コロ部材321、324は、様々なカール形状の用紙に容易に追従することができる。
【0085】
図10は、上流側搬送コロ32における可動コロ部材(コロ部材321〜324)の他の一例を示す図である。
図10Aは平坦な用紙が通紙される場合、
図10Bは上に凸状のカールを有する用紙が通紙される場合を示す。なお、
図10に示す構成の場合、下に凸状のカールには対応できない。
【0086】
図10に示すように、コロ部材321、341に対応する軸受けの軸穴421、424は、用紙幅方向内側(軸穴421A、424A)が長円形状で、用紙幅方向外側(軸穴421B、424B)が円形状となっていてもよい。軸穴421B、424Bの外径は、コロ部材321、341が傾斜できる程度に、コロ軸321B、324Bの外径よりも大きい。
【0087】
上流側搬送コロ32に平坦な用紙が通紙される場合、コロ部材321〜324が用紙から受ける力は均一であるが、コロ部材321、324のコロ軸321B、324Bが軸穴421B、424Bによって拘束されている。したがって、
図9Aに示すように、コロ部材321〜324は変位しない。
【0088】
上流側搬送コロ32に上に凸状のカールを有する用紙が通紙される場合、コロ部材321〜324が用紙から受ける力は、両端部よりも中央部の方が大きい。したがって、
図9Bに示すように、中央に位置するコロ部材322、323が押し上げられ、両端に位置するコロ部材321、324は、用紙のカール形状に沿って傾斜する。
【0089】
図7〜
図10に示すように、上流側搬送コロ32を用紙の搬送状態(例えばカールの発生状況)に追従する構成とすることにより、上流側搬送コロ32に対して用紙を適切な角度で突入させることができるので、用紙の角折れが発生するのを防止できる。また、上流側搬送コロ32と用紙とが用紙幅方向において均等に接触するので、上流側搬送コロ32と用紙とが部分的に接触することによる搬送コロ痕の発生を防止することができる。下流側搬送コロ34についても同様のことがいえる。
【0090】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、実施の形態では湾曲部165Rに上流側搬送コロ32と下流側搬送コロ34を配置しているが、上流側搬送コロ32だけを配置し、搬送される用紙の画像形成面が搬送ガイド35に接触しない状態となるまで上流側搬送コロ32を移動させるようにしてもよい。また、装置の小型化を阻害しない範囲で、通紙経路165に他の搬送コロを配置するようにしてもよい。
【0091】
また例えば、上流側搬送コロ32を用紙の搬送状態(例えばカールの発生状況)に追従する構成とする場合、通紙される用紙の形状を検出する用紙形状検出部と、用紙形状検出部の検出結果に基づいて可動コロ部材を変位させるコロ変位部を備えるようにしてもよい。この場合、上流側搬送コロ32の用紙搬送方向上流側に配置される用紙検出部38を、用紙形状検出部として利用することができる。また、上流側搬送コロ32の軸受けは、動力伝達機構及び駆動モーター(例えばステッピングモーター)を有する変位用コロ駆動部(図示略)に接続される。用紙検出部38の検出結果に基づいて、制御部17が変位用コロ駆動部(図示略)の動作を制御することにより、上流側搬送コロ32は用紙の形状に追従して変位する。すなわち、制御部17及び変位用コロ駆動部(図示略)によってコロ変位部が構成される。
【0092】
また、
図11に示すように、上流側搬送コロ32にける可動コロ部材321、322をリンク部材431によって連結し、可動コロ部材323、324をリンク部材432によって連結するようにしてもよい。リンク部材431、432は、付勢部材(図示略)を介して固定体(例えば搬送コロユニットのフレーム(図示略))に吊設される。この場合、リンク部材431、432の移動方向を規制する規制部材441、442を配置するのが好ましい。
図11Bに示すように、上流側搬送コロ32に上に凸状のカールを有する用紙が通紙される場合、中央に位置するコロ部材322、323が押し上げられ、リンク機構によってコロ部材321、324の中央側が引き上げられるので、上流側搬送コロ32は、確実に用紙の搬送状態に追従する。
【0093】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。