(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コード表示用コントラストデータと前記通常表示用コントラストデータを前記メモリに記憶させるために、前記電子機器をセットアップモードにする設定手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
データが通常表示されているときに所定のキー操作が行われることに応じて前記コード表示をすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電子機器。
ユーザによりコード表示解除の操作がなされると、前記通常表示用コントラストデータに基づいてコントラストを調整して前記ディスプレイ上に表示を行わせる状態に戻すことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子機器。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る電子機器の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下では、電子機器が関数電卓である場合について説明するが、本発明は、電子機器が関数電卓である場合に限定されず、ディスプレイ上に1次元コードや2次元コード等のコード表示を行うことが可能な電子機器であればどのような電子機器にも適用される。また、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0013】
図1は、本実施形態に係る電子機器の例としての関数電卓の平面図である。
図1に示すように、関数電卓1は、各種キー群を有する入力キー群2と、ディスプレイ10とを備えている。
【0014】
入力キー群2は、ユーザから数値や計算記号等の数式構成要素の入力操作を受けたり、各種処理の指示操作を受けたりするためのキー群であり、それぞれ固有の機能を割り当てられた複数のキーを備えている。本実施形態においては、入力キー群2は、テンキー20やカーソルキー21、SET UPキー22、ACキー23、CODEキー24、EXITキー25等を備えている。
【0015】
このうち、テンキー20は数値の入力操作を受けるキーである。また、カーソルキー21は、ディスプレイ10内で編集対象位置や選択対象位置を示すカーソルを所定の方向に移動させる場合等に押下されるキーであり、本実施形態では、上下左右の4方向について入力可能に構成されている。
【0016】
SET UPキー22は、関数電卓1のセットアップ時にユーザが種々の機能を設定したり選択したりする際に押下されるキーであり、ACキー23は、それまで行った計算を全てクリアするために押下するキーである。また、CODEキー24は、ディスプレイ10に表示されたデータを2次元コードに変換して表示させる際に押下されるキーであり、EXITキー25は、処理を終了する際に押下するキーである。なお、これらのキーの本発明における具体的な機能や使い方等については後で説明する。
【0017】
また、ディスプレイ10は、反射型の単純マトリクス型の液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)等により構成されており、入力キー群2などの操作に応じた文字や符号、記号、式、計算結果等の各種データや、前述したQRコード等の2次元コードを、複数のドットにより表示するようになっている。なお、ディスプレイ10に、タッチパネルを、例えば表示画面全面に亘って一体的に設けることも可能である。また、以下では、コード表示として2次元コードを表示する場合について説明するが、バーコード等の1次元コードを表示する場合も同様に説明される。
【0018】
[内部構成]
次に、関数電卓1の内部構造について説明する。
図2は、関数電卓1の内部構成を示すブロック図である。
図2に示すように、関数電卓1は、CPU(Central Processing Unit)11と、表示駆動部12と、キー入力部13と、通信部14と、記録媒体読取部15と、記憶部16とを備えて構成されている。
【0019】
表示駆動部12は、CPU11からの制御に従って、前述したディスプレイ10上に各種情報を表示するように駆動制御する。また、表示駆動部12は、コントラスト調整回路12Aを備えており、コントラスト調整回路12Aによりディスプレイ10上に表示を行う際のコントラスト比を調整するようになっている。反射型の単純マトリクス型液晶ディスプレイの場合、印加する電圧値を変化させることで点灯(黒)部の反射率と非点灯(白)部の反射率が変化し、反射率の割合(白部の反射率/黒部の反射率)が、つまりコントラスト比が変化する。以下、液晶に印加する電圧値を変化させてコントラスト比を変化させることをコントラストの調整と呼ぶ。なお以下では、コントラスト比を単純にコントラストと称する場合もある。このように、本実施形態では、表示駆動部12が、コントラストを調整してディスプレイ10上に表示を行わせる表示駆動手段として機能するようになっている。
【0020】
キー入力部13は、前述した入力キー群2(前述したようにタッチパネルを設ける場合には入力キー群2とタッチパネル)を備えており、ユーザ操作により入力されたキーに対応するキー入力信号をCPU11に出力する。そして、CPU11は、ユーザ操作により入力されたキーに対応するキー入力信号を受け付けて対応する数式をディスプレイ10上に表示させたり、計算実行したり、或いは種々の処理を行う。
【0021】
通信部14は、関数電卓1を例えば図示しないネットワークに接続した場合等に、これを介してネットワーク等に接続される外部機器(例えばサーバやコンピュータ等)との間で通信を行う。
【0022】
記録媒体読取部15は、着脱自在に装着されるUSBメモリ等の外部情報記録媒体15Aから情報を読み取るようになっている。なお、後述する本発明に係るプログラムpを外部情報記録媒体15Aから記録媒体読取部15経由で読み込むように構成することも可能であり、また、本発明に係るプログラムpを関数電卓1から外部情報記録媒体15Aに読み出すことができるように構成することも可能である。
【0023】
記憶部16は、関数電卓1の各種機能を実現するためのプログラムやデータ(変数や数式等を含む。)等を記憶するとともに、CPU11の作業領域として機能するメモリである。なお、プログラムの中には、後述するように、例えば数式を2次元コード化するためのプログラム等も含まれる。
【0024】
また、本実施形態では、記憶部16は、前述した本発明に係るプログラムpを記憶する記憶領域160を備えている。なお、本発明に係るプログラムpは、後述するコントラスト設定処理や動作・表示処理、コントラストの調整処理(
図3、
図5、
図7参照)をCPU11に実行させるためのプログラムである。
【0025】
また、記憶部16には、ディスプレイ10上に表示を行う際のコントラスト比を設定するための2種類のコントラストデータが記憶されるようになっている。本実施形態では、コントラストデータとして後述するコード表示用コントラスト値Ccと通常表示用コントラスト値Cuとを記憶する記憶領域161、162が設けられている。すなわち、本実施形態では、記憶部16の記憶領域161、162がそれぞれ、コード表示用コントラストデータ(すなわちコード表示用コントラスト値Cc)を記憶するコード表示用コントラストデータ記憶手段、およびコード表示以外の通常表示用のコントラストデータ(すなわち通常表示用コントラスト値Cu)を記憶する通常表示用コントラストデータ記憶手段として機能するようになっている。
【0026】
CPU11は、関数電卓1の各部を中央制御する。具体的には、CPU11は、記憶部16の各記憶領域に記憶されているシステムプログラムや各種アプリケーションプログラムの中から指定されたプログラムを読み出して記憶部16の作業領域に展開し、記憶部16に展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。また、CPU11は、表示駆動部12を制御して、ディスプレイ10上に必要な表示を行わせるようになっている。
【0027】
[動作]
次に、本実施形態に係る電子機器である関数電卓1における動作について、各図面に示すフローチャートに基づいて説明する。また、本実施形態に係る電子機器である関数電卓1の作用についてもあわせて説明する。なお、以下で説明する関数電卓1の動作は、
図2に示した本発明に係るプログラムpに従って行われるため、以下の説明は、本発明に係るプログラムpについての説明にもなっている。
【0028】
[セットアップ時のコントラストの設定処理について]
まず、関数電卓1におけるセットアップ時のコントラストの設定処理について、
図3に示すフローチャート等に基づいて説明する。
【0029】
なお、以下では、コード表示用コントラスト値Ccと通常表示用コントラスト値Cuとは、それぞれ00〜1F(h)のデータ値を取ることが可能とされており、コントラスト比をそれぞれ31段階で調整できるようになっているものとする。また、デフォルトの状態(すなわち関数電卓1の工場出荷時やユーザによる購入時等)では、記憶部16の各記憶領域161、162(
図2参照)にそれぞれ、コード表示用コントラスト値Ccと通常表示用コントラスト値Cuとして、適切な値が記憶されているものとする。ここでは上記の00〜1F(h)の中間値である0F(h)がそれぞれに記憶されているものとするが、異なる値であっても良い。
【0030】
関数電卓1のCPU11は、SET UPキー22が押下されると、表示駆動部12に、ディスプレイ10上に
図4(A)に示すようなセットアップ画面を表示させる(ステップS1)。そして、ユーザにより上方向または下方向のカーソルキー21が操作されると、セットアップ画面上で「通常表示コントラスト」と「2次元コード表示コントラスト」の2つの項目の横に表示されたラジオボタンを、カーソルキー21の操作にあわせて切り替えて表示し、2つの項目のうちのいずれかをユーザに選択させる(ステップS2)。
【0031】
そして、ユーザにより「2次元コード表示コントラスト」の項目が選択されると(ステップS3;YES)、CPU11は、記憶部16からコード表示用コントラスト値Ccを読み出してコントラスト調整回路12A内の図示しないレジスタにセットする(ステップS4)。上記のように、デフォルトの状態ではコード表示用コントラスト値Ccは0F(h)である。
【0032】
表示駆動部12のコントラスト調整回路12Aは、コード表示用コントラスト値Ccが内部のレジスタにセットされると、ディスプレイ10上にコード表示する際のコントラストを、セットされたコード表示用コントラスト値Ccに基づいて調整して、そのコントラストで、ディスプレイ10上に
図4(B)に示すような調整用の2次元コードを表示させる(ステップS5)。
【0033】
ここで、ユーザはディスプレイ10上に表示された調整用の2次元コードを撮像機能付き携帯電話等のリーダで読み取らせるが、リーダが2次元コードを認識できずに読み取ることができなかった場合には、
図4(B)のガイド表示に従って上方向または下方向のカーソルキー21を操作する。上下方向のカーソルキー21が操作された場合には(ステップS6;YES)、CPU11は、ユーザのカーソルキー21の操作に従ってコード表示用コントラスト値Ccを変更する(ステップS7)。
【0034】
すなわち、例えばユーザがカーソルキー21を上方向に操作した場合には、CPU11は、コントラスト調整回路12A内のレジスタのコード表示用コントラスト値Ccを1(h)増加させる。そして、表示駆動部12は、増加されたコード表示用コントラスト値Ccに基づくコントラストに調整し、ディスプレイ10上に表示した調整用の2次元コード(
図4(B)参照)のコントラストを切り替えて表示する(ステップS5)。
【0035】
つまり、この場合は、ディスプレイ10上に表示されている調整用の2次元コードのコントラストが若干高くなる。また、例えばユーザがカーソルキー21を下方向に操作した場合には、上記とは逆の処理が行われ、その場合は、ディスプレイ10上に表示されている調整用の2次元コードのコントラストが若干低くなる。
【0036】
なお、ディスプレイ10上に表示された2次元コード等を読み取らせるリーダは、携帯電話だけでなく、例えば、スマートフォンやタブレット端末、携帯型のコンピュータ、デジタルカメラなど、ディスプレイ10上に表示された2次元コード等を読み取ることができるものであれば特に限定されない。
【0037】
そして、上記のようにしてコード表示用コントラスト値Ccが変更され、ディスプレイ10上に表示された調整用の2次元コードのコントラストが変更された状態で、ユーザが、ディスプレイ10上に表示された2次元コードを携帯電話等のリーダで読み取らせる。そして、以上のステップS5〜S7の処理が、ディスプレイ10上に表示された2次元コードを携帯電話等のリーダが認識して読み取るようになるまで行われる。
【0038】
そして、上記のようにして、携帯電話等のリーダで、ディスプレイ10上に表示された2次元コードを読み取ることができるようになり、ユーザが、このセットアップ時のコントラストの設定処理を終了するために、上方向または下方向のカーソルキー21を操作せずに(ステップS6;NO)ACキー23を押下すると(ステップS8;YES)、CPU11は、レジスタにその時点で保存されているコード表示用コントラスト値Ccを記憶部16の記憶領域161に上書き保存して記憶させて(ステップS9)、セットアップ時のコントラストの設定処理を終了する。
【0039】
一方、CPU11は、ステップS3の選択処理でユーザにより「2次元コード表示コントラスト」の項目が選択されず(ステップS3;NO)、「通常表示コントラスト」の項目が選択されると(ステップS10;YES)、記憶部16から通常表示用コントラスト値Cuを読み出してコントラスト調整回路12A内の図示しないレジスタにセットする(ステップS11)。上記のように、デフォルトの状態では通常表示用コントラスト値Cuは0F(h)である。
【0040】
表示駆動部12は、上記と同様にして、コントラスト調整回路12Aで、ディスプレイ10上に通常の表示を行う際のコントラストを、送信されてきた通常表示用コントラスト値Cuに基づくコントラストに調整して、そのコントラストで、ディスプレイ10上に、例えば
図4(C)に示すようなグラデーションの調整用のパターンを表示させる(ステップS12)。
【0041】
なお、
図4(C)に示すようなグラデーションの調整用パターンの代わりに、例えば後述する
図6(A)に示すような数式や文字等のデータを調整用に表示するように構成することも可能である。また、調整用にパターンを表示する場合も、
図4(C)に示すようなグラデーションのパターンではなく他のパターンを表示するように構成することも可能である。
【0042】
さらに、
図4(C)に示すようなグラデーションの調整用パターンを表示すると、ユーザが、そのコントラストで明るい表示の部分と暗い表示の部分とがどのように表示されるかを一目で把握することが可能となり、コントラスト調整を行い易くなるといったメリットがある。
【0043】
そして、この場合は、コントラストが付き過ぎている、或いはもう少しコントラストを付けたいというユーザの好みに応じて、
図4(C)の表示に従って上方向または下方向のカーソルキー21が操作された場合には(ステップS13;YES)、CPU11は、ユーザのカーソルキー21の操作に従って通常表示用コントラスト値Cuを変更する(ステップS14)。
【0044】
すなわち、例えばユーザがカーソルキー21を上方向に操作した場合には、CPU11は、コントラスト調整回路12A内のレジスタ内の通常表示用コントラスト値Cuを1(h)増加させる。そして、表示駆動部12は、増加された通常表示用コントラスト値Cuに基づくコントラストに変更する。
【0045】
そして、表示駆動部12は、このようにして変更した通常表示用コントラスト値Cuに基づいて変更したコントラストでディスプレイ10上に調整用パターンを表示する(ステップS12)。また、例えばユーザがカーソルキー21を下方向に操作した場合には、上記とは逆の処理が行われる。
【0046】
そして、このようにして通常表示用コントラスト値Cuが変更され、ディスプレイ10上に表示された調整用パターンのコントラストが変更されるごとに、ディスプレイ10上にコントラストが変更された調整用パターンを表示する。そして、以上の処理が、ユーザがコントラストを気に入るまで行われる。
【0047】
そして、ユーザが、コントラストはこれでよいと判断し、このセットアップ時のコントラストの設定処理を終了するために、上方向または下方向のカーソルキー21を操作せずに(ステップS13;NO)ACキー23を押下すると(ステップS15;YES)、CPU11は、レジスタにその時点で保存されている通常表示用コントラスト値Cuを記憶部16の記憶領域162に上書き保存して記憶させて(ステップS16)、セットアップ時のコントラスト値の設定処理を終了する。
【0048】
本発明に係る電子機器(すなわち上記の実施形態では関数電卓1)では、以上のようにして、ディスプレイ10上に、2次元コードを表示する際のコントラストを決めるコード表示用コントラスト値Ccと、文字や数式等のデータの通常の表示を行う際のコントラストを決める通常表示用コントラスト値Cuとを別々に設定したり調整したりすることができるように構成することで、ディスプレイ10上に表示させた2次元コードを携帯電話等のリーダで的確に読み取り可能で、かつ、ユーザの好みのコントラストでディスプレイ10上に文字や数式等のデータを表示することができるようになっている。
【0049】
[使用時の動作・表示処理について]
次に、関数電卓1の使用時の動作・表示処理について、
図5に示すフローチャート等に基づいて説明する。
【0050】
関数電卓1のCPU11は、装置の電源がオンされて(ステップS21)、関数電卓1の使用が開始されると、記憶部16から通常表示用コントラスト値Cuを読み出してコントラスト調整回路12A内のレジスタに設定する(ステップS22)。この設定により、表示駆動部12は、コントラスト調整回路12Aで、ディスプレイ10上に数式や文字等のデータを表示する際のコントラストを、通常表示用コントラスト値Cuに基づくコントラストに調整して、そのコントラストで、ディスプレイ10上でのデータの表示を行うようになる(
図6(A)参照)。
【0051】
このように、本実施形態では、CPU11は、使用開始時には、その時点で記憶部16に記憶されている通常表示用コントラスト値Cuを読み出して表示駆動部12に設定して、表示駆動部12に、その通常表示用コントラスト値Cuに基づいてコントラストを調整してディスプレイ10上での表示を行わせるようになっている。
【0052】
そして、ユーザによるコード表示指令すなわち2次元コード等を表示することの指令がない限り(ステップS23;NO)、CPU11は、ユーザが数式や文字等の入力等の通常動作を行い(ステップS24)、それに基づいてディスプレイ10上に数式や文字等を表示する際には(ステップS25)、表示駆動部12に、通常表示用コントラスト値Cuに基づくコントラストで数式や文字等をディスプレイ10上に表示させる。
【0053】
なお、ユーザが通常表示用コントラスト値Cuを変更したい場合、本実施形態では、上記のセットアップ時の操作によって通常表示用コントラスト値Cuを変更するが、例えば、関数電卓1の使用時に、ユーザが何らかの操作を行うことで通常表示用コントラスト値Cuを変更することができるように構成することも可能である。
【0054】
一方、本実施形態では、ユーザがCODEキー24を押下するなど所定のキー2を操作すること(すなわち所定のキー操作)で、ディスプレイ10上に表示されているデータ(例えば
図6(A)に示した数式等)を2次元コードにコード化して、例えば
図6(B)に示すようにディスプレイ10上にコード化した2次元コードを表示することができるようになっている。すなわち、本実施形態では、ユーザは、ワンタッチ(CODEキー24の押下)で、データをコード化してディスプレイ10上に表示することができるようになっている。
【0055】
具体的には、CPU11は、ユーザがCODEキー24を押下する等してコード表示指令が行われると(ステップS23;YES)、ディスプレイ10上に表示されているデータがコード化可能なデータであるか否かを判断する(ステップS26)。そして、コード化できないと判断すると(ステップS26;NO)、例えばディスプレイ10上に「2次元コード化できません」等の表示を行ってエラー表示を行った上で(ステップS27)、通常動作(ステップS24)に戻る。その際のディスプレイ10におけるコントラストは、通常表示用コントラスト値Cuに基づくコントラストである。
【0056】
また、CPU11は、表示されているデータがコード化可能であると判断すると(ステップS26;YES)、ディスプレイ10上に表示されているデータを2次元コード化し(ステップS28)、その時点で記憶部16に記憶されているコード表示用コントラスト値Ccを読み出して表示駆動部12のコントラスト調整回路12A内のレジスタにコード表示用コントラスト値Ccを設定する(ステップS28)。
【0057】
表示駆動部12のコントラスト調整回路12Aは、この設定に基づいて、ディスプレイ10上にコード表示する際のコントラストを、コード表示用コントラスト値Ccに基づくコントラストに調整して、そのコントラストで、
図6(B)に示すようにディスプレイ10上に2次元コードを表示する(ステップS30)。そして、ユーザは、ディスプレイ10上に表示された2次元コードを携帯電話等のリーダで読み取らせる等の動作を行う。
【0058】
そして、ユーザが、表示された2次元コードを携帯電話やスマートフォン等のリーダで読み取って、一連の動作(例えば読み取った数式に対応するグラフのスマートフォン等の画面上への表示等)が行われた場合には、ユーザは、EXITキー25を押下してコード表示を解除する(ステップS31)。コード表示が解除されると、CPU11は、ステップS22の処理に戻り、通常表示用コントラスト値Cuを表示駆動部12に設定し直し、通常表示用コントラスト値Cuに基づいてコントラストを調整してディスプレイ10上に表示を行わせる状態に戻す。
【0059】
以上のように、本発明に係る電子機器(すなわち上記の実施形態では関数電卓1)では、セットアップ時に設定した通常表示用コントラスト値Cuに基づいて調整したコントラストで数式や文字等のデータを表示することで、ユーザの好みのコントラストでディスプレイ10上に文字や数式等のデータを表示するとともに、セットアップ時に設定したコード表示用コントラスト値Ccに基づいて調整したコントラストで2次元コードを表示することで、ディスプレイ10上に表示させた2次元コードを携帯電話等のリーダで的確に読み取ることが可能となる。
【0060】
[使用時のコード表示のコントラストの調整処理について]
上記のように、セットアップ時に、ディスプレイ10上に表示される2次元コードを携帯電話等のリーダで的確に読み取ることができるようにコード表示用コントラスト値Ccを調整して設定したにもかかわらず、実際に関数電卓1を使用している際に、ディスプレイ10上に表示させた2次元コードをリーダで読み取らせようとしても、リーダの種類が異なる等の理由によりうまく読み取れない場合が生じ得る。
【0061】
そこで、前記実施形態のステップS30におけるコード表示の処理では、関数電卓1でコードを表示している場合にも、コード表示用コントラストの調整を行うことができるようにしても良い。以下、関数電卓1におけるコード表示中のコントラストの調整処理について、
図7に示すフローチャート等に基づいて説明する。
【0062】
この例では、関数電卓1の使用時のコード表示のコントラストの調整処理は、
図5に示した使用時のコントラスト値の設定処理におけるコード表示(ステップS30)において行われる。そして、ディスプレイ10上に表示されている2次元コード等のコントラストを一定時間ごとに切り替えて表示させるようにする。
【0063】
具体的には、使用時のコード表示のコントラストの調整処理では、CPU11は、コード表示(ステップS30)の際、まず、レジスタに保存しているコード表示用コントラスト値Ccに基づいてコード表示用コントラスト値Ccを変更する際の上限値Ccmaxと下限値Ccminとを設定する(ステップS301)。
【0064】
その際、上限値Ccmaxや下限値Ccminを、コード表示用コントラスト値Cc自体が取り得る最大値1F(h)や最小値00(h)に設定することも可能であるが、本実施形態では、セットアップ時に、コード表示用コントラスト値Ccがすでに適切な値に設定されているため、コード表示用コントラスト値Ccをさほど大きく変更させなくてもよいと考えられる。よって、ここでは、CPU11は、レジスタに保存しているコード表示用コントラスト値Ccに、例えば3(h)を加算したものを上限値Ccmaxとし、3(h)を減算したものを下限値Ccminとして設定する。
【0065】
なお、以下では、コード表示用コントラスト値Ccに3(h)を加算したり減算したりして上限値Ccmaxや下限値Ccminとする場合について説明するが、この場合に限定されず、例えば5(h)を加算、減算するように構成することも可能である。また、上記のように、コード表示用コントラスト値Ccに加算して上限値Ccmaxとする値と減算して下限値Ccminとする値との絶対値が同じである必要はなく、コード表示用コントラスト値Ccを変更する際の上限値Ccmaxや下限値Ccminは適宜決められる。
【0066】
そして、CPU11は、上記のようにして変更するコード表示用コントラスト値Ccの上限値Ccmax、下限値Ccminを設定すると(ステップS301)、続いて、まず、現時点で設定されているコード表示用コントラスト値Ccに基づいてコントラストを調整して、2次元コードをディスプレイ10上に表示させる(ステップS302)。
【0067】
そして、一定時間が経過すると(ステップS303;YES)、CPU11は、コード表示用コントラスト値Ccが上限値Ccmax或いは下限値Ccminでなければ(ステップS304;NO)、レジスタに保存しているコード表示用コントラスト値Ccを1(h)増加させるように変更する(ステップS305)。そして、変更したコード表示用のコントラスト値Ccに基づいてコントラストを変更させて、ディスプレイ10上に2次元コードを表示させる(ステップS302)。
【0068】
この場合は、ディスプレイ10上に表示されている2次元コードのコントラストが若干高くなる。そして、ユーザは、ディスプレイ10上でコントラストが変更されて表示された2次元コードを携帯電話等のリーダで読み取らせ、読み取ることができた場合には、ユーザによりEXITキー25が押下されてコード表示が解除されるため(
図5のステップS31)、
図7に示した使用時のコード表示のコントラストの調整処理は終了する。
【0069】
また、コード表示用のコントラスト値Ccを変更して2次元コードを表示しても、リーダでうまく読み取れない場合には、CPU11は、一定時間が経過した時点で(ステップS303;YES)、コード表示用コントラスト値Ccが上限値Ccmaxになっていなければ(ステップS304;NO)、コード表示用コントラスト値Ccをさらに1(h)増加させるように変更する(ステップS305)。
【0070】
このようにして、CPU11は、
図8(A)に示すように、変更させたコード表示用コントラスト値Ccに基づくコントラストでディスプレイ10上に2次元コードを表示させても携帯電話等のリーダで読み取ることができなければ、CPU11は、一定時間ΔTごとにコード表示用コントラスト値Ccを段階的に増加させていく。
【0071】
本実施形態では、CPU11は、上記のようにして、一定時間ΔTごとにコード表示用コントラスト値Ccを段階的に増加させていっても、携帯電話等のリーダでディスプレイ10上に表示されている2次元コード等を読み取れず、コード表示用コントラスト値Ccが上限値Ccmaxになった場合(ステップS304;YES)、コード表示用コントラスト値Ccを変更する方向(すなわち上記の場合は増加)を逆転させて(ステップS306。すなわち上記の場合は減少させて)、コード表示用コントラスト値Ccを変更する(ステップS305)ようになっている。
【0072】
その際、コード表示用コントラスト値Ccを、例えば
図8(A)に示すようにその上限値Ccmaxから減少させるように構成することも可能であり、また、例えば
図8(B)に示すように、コード表示用コントラスト値Ccを一旦元のコード表示用コントラスト値Cc(すなわち記憶部16の記憶領域161に記憶されているコード表示用コントラスト値Cc)に戻し、そこから減少させるように構成することも可能である。
【0073】
以上のように、本発明に係る電子機器(すなわち上記の実施形態では関数電卓1)では、設定されたコード表示用コントラスト値Ccに基づくコントラストでディスプレイ10上に表示された2次元コードを携帯電話等のリーダで読み取ることができなくても、コード表示用コントラスト値Ccを、設定された値から増加させたり減少させたりして変更することで、携帯電話等のリーダでディスプレイ10上に表示された2次元コード等を読み取ることが可能となる。
【0074】
このように、本発明に係る電子機器によれば、携帯電話等のリーダで、ディスプレイ10上に表示された2次元コード等を読み取ることが可能となる。
【0075】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施形態等に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
コントラスト比の調整が可能なディスプレイと、
コードを表示する際の前記ディスプレイのコントラスト比を設定するコード表示用のコントラストデータを記憶しているコード表示用コントラストデータ記憶手段と、
前記コード表示以外の通常の表示をする際のディスプレイのコントラスト比を設定する通常表示用のコントラストデータを記憶している通常表示用コントラストデータ記憶手段と、
前記コード表示を行う場合には、前記コード表示用コントラストデータ記憶手段に記憶されている前記コード表示用のコントラストデータによりコントラスト比を設定し、コード表示以外の通常の表示を行う場合には、前記通常表示用コントラストデータ記憶手段に記憶されている前記通常表示用のコントラストデータによりコントラスト比を設定し、前記ディスプレイ上に表示を行わせる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする電子機器。
<請求項2>
前記コード表示用コントラストデータ記憶手段に記憶されている前記コード表示用のコントラストデータと、前記通常表示用コントラストデータ記憶手段に記憶されている前記通常表示用のコントラストデータとを、ユーザ操作により変更して設定するセットアップ手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
<請求項3>
前記表示制御手段は、
使用開始時には、前記通常表示用コントラストデータ記憶手段から読み出した前記通常表示用のコントラストデータに基づいてコントラストを調整して前記ディスプレイ上に表示を行わせ、
所定の操作が行われた場合に、前記コード表示用コントラストデータ記憶手段から前記コード表示用のコントラストデータを読み出して、前記コード表示用のコントラストデータに基づいてコントラストを調整して前記ディスプレイ上にコード表示を行わせることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
<請求項4>
前記所定の操作は、所定のキー操作で行われることを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
<請求項5>
前記表示制御手段は、コード表示解除の操作がなされると、前記通常表示用のコントラストデータに基づいてコントラストを調整して前記ディスプレイ上に表示を行わせる状態に戻すことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子機器。
<請求項6>
前記コード表示には、少なくとも2次元コードの表示が含まれることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電子機器。
<請求項7>
前記表示制御手段は、前記ディスプレイ上にコード表示を行っている際に、一定時間ごとに前記コード表示用のコントラストデータを変更して、変更した前記コード表示用のコントラストデータに基づいてコントラストを変更させて前記ディスプレイ上にコード表示を行わせることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の電子機器。
<請求項8>
前記ディスプレイは反射型単純マトリクス型の液晶ディスプレイであることを特徴する請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の電子機器。
<請求項9>
コントラスト比の調整が可能なディスプレイを備えたコンピュータを、
コードを表示する際の前記ディスプレイのコントラスト比を設定するコード表示用のコントラストデータを記憶するコード表示用コントラストデータ記憶手段と、
前記コード表示以外の通常の表示をする際のディスプレイのコントラスト比を設定する通常表示用のコントラストデータを記憶する通常表示用コントラストデータ記憶手段と、
前記コード表示を行う場合には、前記コード表示用コントラストデータ記憶手段に記憶された前記コード表示用のコントラストデータによりコントラスト比を設定し、コード表示以外の通常の表示を行う場合には、前記通常表示用コントラストデータ記憶手段に記憶された前記通常表示用のコントラストデータによりコントラスト比を設定し、前記ディスプレイ上に表示を行わせる表示制御手段、
として機能させるためのプログラム。