(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外側部材は、前記気流に対して前記第1リブより上流側で且つ前記第2リブより下流側に配置された部分の少なくとも一部が透光性を有する請求項1から請求項8の何れか一項に記載のサイクロン分離装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面を参照し、本発明を説明する。重複する説明は、適宜簡略化或いは省略する。各図において、同一の符号は同一の部分又は相当する部分を示す。
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1における電気掃除機1を示す斜視図である。
図1は、コードレスタイプの縦型の電気掃除機1を一例として示す。電気掃除機1は、例えば充電池を備える。また、充電台(図示せず)が備えられる。充電台は、電源ケーブルによって外部の電源に接続される。充電台に電気掃除機1が適切に載せられると、電気掃除機1の充電池が充電台に電気的に接続される。これにより、充電池が充電される。なお、電気掃除機1はコードレスタイプのものに限られない。電気掃除機1は、外部の電源に接続するための電源コードを備えても良い。
【0012】
電気掃除機1は、例えば吸込口体2、吸引パイプ3及び掃除機本体6を備える。
吸込口体2は、下向きの開口を備える。吸込口体2は、長手方向の中央部に円筒形状の接続部を備える。上記開口と接続部とは、吸込口体2の内部で通じている。
【0013】
吸引パイプ3は、例えば円筒形状の真直ぐな部材からなる。吸引パイプ3は、一方の端部が吸込口体2の接続部に接続される。吸込口体2は、吸引パイプ3に着脱可能である。吸引パイプ3の他方の端部は、掃除機本体6に接続される。吸引パイプ3は、掃除機本体6に着脱可能である。吸込口体2及び吸引パイプ3は、外部から掃除機本体6にごみを含む空気(含塵空気)を流入させるための風路を形成する。
【0014】
掃除機本体6は、ごみを含む空気からごみを分離し、分離したごみを捕集する機能を備える。掃除機本体6は、例えば本体ユニット12と集塵ユニット13とを備える。集塵ユニット13は、本体ユニット12に着脱可能である。
【0015】
図2は、
図1に示す電気掃除機1から集塵ユニット13を取り外した状態の斜視図である。
図3は、
図1に示す電気掃除機1から集塵ユニット13を取り外した状態の背面図である。
図4は、
図3のA−A断面を示す図である。
【0016】
本体ユニット12は、例えば吸気風路形成部16、取っ手7及び収容体14を備える。本体ユニット12は、収容体14の内部に、例えば充電池、電動送風機10及び排気風路形成部17を備える。
【0017】
吸気風路形成部16は、吸気風路19を形成する。吸気風路19は、本体ユニット12に形成された風路である。吸気風路19は、吸引パイプ3からのごみを含む空気を集塵ユニット13に導くための風路である。吸気風路形成部16は、例えば円筒形状の真直ぐな部材からなる。吸気風路形成部16の一方の端部に、吸引パイプ3の他方の端部が接続される。吸引パイプ3が掃除機本体6に適切に接続されると、吸引パイプ3は、吸気風路形成部16に対して一直線状に配置される。吸気風路形成部16は、他方の端部に、側方を向く接続口20を備える。
【0018】
集塵ユニット13は、吸気風路19から流入したごみを含む空気からごみを分離する。集塵ユニット13は、ごみを含む空気を高速で旋回させることにより、遠心力によってごみを分離する。即ち、集塵ユニット13は、サイクロン分離機能を有する。集塵ユニット13は、分離したごみを捕集し、一時的に溜めておく。集塵ユニット13の具体的な構成及び機能については後述する。
【0019】
取っ手7は、掃除をする人が持つ部分である。取っ手7は、例えば、吸気風路形成部16の他方の端部側に配置される。取っ手7に、操作スイッチ8が設けられる。操作スイッチ8は、例えば、電気掃除機1の運転を制御するための複数のボタンを備える。
【0020】
収容体14は、本体ユニット12の要部の外郭を形成する。収容体14は、例えば成型品からなる。収容体14は、例えば集塵ユニット13の直上に配置される。
【0021】
排気風路形成部17は、排気風路21を形成する。排気風路21は、本体ユニット12に形成された風路である。排気風路21は、集塵ユニット13においてごみが取り除かれた空気を排気口(図示せず)に導くための風路である。即ち、排気風路21には、集塵ユニット13から清浄な空気が流入する。排気風路形成部17は、収容体14の下面に接続口22を備える。
【0022】
電動送風機10は、電気掃除機1に形成された風路に気流を発生させる。電気掃除機1に形成された風路には、例えば、外部から掃除機本体6にごみを含む空気を流入させるための風路、吸気風路19、集塵ユニット13に形成された風路及び排気風路21が含まれる。電動送風機10は、排気風路21に配置される。
【0023】
電動送風機10は、操作スイッチ8に対する操作に応じて予め設定された吸引動作を行う。電動送風機10が吸引動作を行うと、電気掃除機1に形成された風路に気流が発生する。これにより、吸込口体2の下面に形成された開口から、床面上のごみが空気と一緒に吸い込まれる。吸込口体2に吸い込まれたごみを含む空気は、吸引パイプ3を通って掃除機本体6の内部に取り込まれる。
【0024】
掃除機本体6の内部に流入したごみを含む空気は、吸気風路19を通って接続口20から集塵ユニット13に送られる。集塵ユニット13の内部で発生する気流については後述する。集塵ユニット13から排出された空気は、接続口22を通って排気風路21に送られる。集塵ユニット13から排出された空気は、排気風路21で電動送風機10を通過する。電動送風機10を通過した空気は、排気風路21を更に進み、排気口から掃除機本体6の外部に放出される。例えば、電動送風機10を通過した空気は、排気口から掃除中の部屋に戻される。
【0025】
次に、
図5から
図11も参照し、集塵ユニット13について詳細に説明する。
図5は、この発明の実施の形態1における集塵ユニット13を示す斜視図である。
図6は、この発明の実施の形態1における集塵ユニット13を示す正面図である。
図7は、
図5及び
図6に示す集塵ユニット13の分解図である。以下の集塵ユニット13に関する説明については、
図6に示す向きを基準に上下を特定する。
【0026】
集塵ユニット13は、全体として円柱形状を呈する。集塵ユニット13は、例えば、フィルタ部ケース61、流出部ケース24、流入部ケース25及び集塵部ケース26を備える。フィルタ部ケース61、流出部ケース24、流入部ケース25及び集塵部ケース26は、例えば成型品である。フィルタ部ケース61、流出部ケース24、流入部ケース25及び集塵部ケース26は、予め設定された操作を行うことにより、
図7に示す状態に分解したり
図5に示す状態に組み立てたりすることができる。例えば、ロック機構に対して解除操作を行うことにより、
図7に示す状態に分解できる。例えば、
図5に示す状態から集塵部ケース26のみを取り外すことができる。また、フィルタ部ケース61に、フィルタ62が収納される。
【0027】
図8は
図6のB−B断面を示す図である。
図9は
図8のC−C断面を示す図である。
図10は
図8のD−D断面を示す図である。
図11は
図8のE−E断面を示す図である。フィルタ部ケース61、流出部ケース24、流入部ケース25及び集塵部ケース26が適切に配置されることにより、集塵ユニット13に、流入風路27、旋回室29、0次集塵室30、一次集塵室31及び流出風路32が形成される。
【0028】
流入部ケース25は、例えば、円筒部33、円錐部34、隔壁部35、流入管36及び外壁部38を備える。円筒部33は、中空の円筒形状を呈する。円筒部33は、中心軸が上下方向を向くように配置される。円錐部34は、先端部が切り取られた中空の円錐形状を呈する。円錐部34は、中心軸が上下方向を向くように配置される。例えば、円錐部34の中心軸は、円筒部33の中心軸と一直線状に配置される。円錐部34は、上端部が円筒部33の下端部に接続される。円錐部34は、上端部から下方に向かうにしたがって径が小さくなる。円錐部34は、下端部が下方を向いて開口する。円錐部34の下端部に形成されたこの開口が一次開口39である。
【0029】
円筒部33の内側に形成された空間と円錐部34の内側に形成された空間とからなる一続きの空間が旋回室29である。旋回室29は、ごみを含む空気を旋回させるための空間である。旋回室29の中心軸は、上下方向を向く。旋回室29を形成する側壁は、旋回室29の中心軸に直交する方向の断面が円形状を呈する。
【0030】
旋回室29を形成する側壁に、0次開口48が形成される。0次開口48は、例えば、円筒部33の下端部から円錐部34の上端部にかけて形成される。0次開口48は、一次開口39より高い位置、即ち上流側に形成される。また、0次開口48は、外壁部38より僅かに低い位置に形成される。
【0031】
隔壁部35は、例えば円筒形状を呈する。隔壁部35の径は、円筒部33の径より小さい。円錐部34と隔壁部35とは、円錐部34が隔壁部35の内側に形成された空間に上方から挿入されるように配置される。隔壁部35は、上端部が円錐部34の外周面に接続される。例えば、隔壁部35の中心軸は、円錐部34の中心軸と一致する。
【0032】
外壁部38は、例えば円筒形状を呈する。外壁部38の径は、円筒部33の径より大きい。外壁部38は、円筒部33の上端部の周囲を囲み、円筒部33の上端より更に上方に延びるように設けられる。外壁部38の中心軸と円筒部33の中心軸とは、一定の間隔を空けて平行に配置される。即ち、外壁部38の中心軸は円筒部33の中心軸に一致しない。外壁部38と円筒部33との間に、外壁部38と円筒部33とを接続する部材が設けられる。外壁部38と円筒部33との間は、この部材によって完全に塞がれる。
【0033】
流入管36は、流入風路27を形成する。流入風路27は、集塵ユニット13に形成された風路である。流入風路27は、吸気風路形成部16からのごみを含む空気を旋回室29に導くための風路である。吸気風路19からのごみを含む空気は、流入風路27を通って旋回室29に流入する。
【0034】
流入管36は、例えば四角筒形状を呈する。流入管36の内側に形成された空間が流入風路27である。流入管36は、一端部が外壁部38に接続される。流入管36は、一端が外壁部38の外面で開口する。流入管36のこの一端は、ユニット流入口40を形成する。ユニット流入口40は、集塵ユニット13にごみを含む空気を取り込むための開口である。流入管36は、他端部が円筒部33に接続される。流入管36は、他端が円筒部33の内面で開口する。流入管36のこの他端は、流入口41を形成する。流入口41は、流入風路27を通過したごみを含む空気を旋回室29に取り込むための開口である。
【0035】
流入管36は、円筒部33の上部に接続される。このため、流入口41は、円筒部33の上部に形成される。例えば、流入口41は、旋回室29を形成する側壁の最上部に形成される。0次開口48は、流入口41より低い位置、即ち下流側に形成される。流入管36は、例えば一直線状を呈する部材からなる。流入管36は、流入風路27からのごみを含む空気が旋回室29にその接線方向から流入するように、円筒部33に接続される。例えば、流入管36の軸は、円筒部33の中心軸に対して直角をなす。
【0036】
集塵部ケース26は、例えば底部46及び外壁部47を備える。
底部46は、全体として円形状を呈する。外壁部47は、例えば円筒形状を呈する。外壁部47の径は、円筒部33の径より大きい。外壁部47は、例えば底部46の縁から直立するように設けられる。底部46及び外壁部47により、上方が開口し且つ下方が閉じた筒状の部材が形成される。
【0037】
集塵部ケース26が流入部ケース25に対して適切に配置されると、外壁部47の内側に形成された空間に隔壁部35が配置される。隔壁部35は、下端部が底部46に接触する。隔壁部35の中心軸と外壁部47の中心軸とは、一定の間隔を空けて平行に配置される。即ち、隔壁部35の中心軸は外壁部47の中心軸に一致しない。外壁部47は、上端部が外壁部38の下端部に接触する。外壁部47の中心軸は、外壁部38の中心軸に一直線状に配置される。集塵部ケース26が流入部ケース25に対して適切に配置されると、集塵部ケース26の内部に、旋回室29以外に隔壁部35によって区切られた2つの空間が形成される。
【0038】
隔壁部35の内側に形成された空間のうち、円錐部34の内側に形成された空間を除く空間が一次集塵室31である。一次集塵室31は、一次開口39を介して旋回室29に通じる。一次集塵室31は、円錐部34の下方を覆い且つ円錐部34の下端部の周囲を取り囲むように形成される。
【0039】
外壁部47の内側に形成された空間のうち、旋回室29及び一次集塵室31を除く空間が0次集塵室30である。0次集塵室30は、外壁部47と隔壁部35との間並びに外壁部47と円筒部33及び円錐部34の各一部との間に形成された一続きの空間である。本実施の形態で示す例では、0次集塵室30が特許請求の範囲に記載された集塵室に対応する。また、隔壁部35と円筒部33及び円錐部34の各一部とが、内側部材に対応する。外壁部47が、内側部材の周囲を囲む外側部材に対応する。
【0040】
0次集塵室30は、全体として円筒形状を呈する。0次集塵室30は、円筒部33と外壁部38とを接続する部材によって上方が塞がれる。0次集塵室30は、底部46によって下方が塞がれる。0次集塵室30は、旋回室29の大部分の周囲を取り囲む。また、0次集塵室30は、一次集塵室31の周囲を取り囲む。0次集塵室30は、0次開口48を介して旋回室29に通じる。0次開口48は、0次集塵室30の最上部で開口する。このため、0次集塵室30は、0次開口48から下方に延びるように設けられる。0次開口48は、円筒部33の周方向の幅より中心軸方向の幅の方が小さい横長形状であることが好ましい。
【0041】
図10に示すように、円筒部33は、外壁部47に接触しない範囲で外壁部47に対してずらして配置される。即ち、円筒部33の中心軸と外壁部47の中心軸とは同一直線上に配置されない。円筒部33の中心軸は、外壁部47の中心軸に対して一定の間隔を空けて平行に配置される。狭隘部59は、円筒部33と外壁部47との間隔が小さい部分である。円筒部33と外壁部47との間隔は、円筒部33の外面と外壁部47の内面との距離に等しい。
【0042】
図10において、円筒部33と外壁部47との間隔は、狭隘部59から離れるにつれて徐々に大きくなる。円筒部33と外壁部47との間隔は、狭隘部59から最も離れた箇所が最も大きい。流入管36は、例えば、円筒部33と外壁部47との間隔が最も大きい箇所の上方に配置される。
【0043】
図9に示す点Pは、流入風路27から旋回室29に流入した空気の進行方向が旋回室29の接線方向に一致する点を示す。円筒部33の軸方向に直交する方向の断面において、円筒部33の中心軸を中心に、点Pから旋回室29で空気が旋回する方向に回転した角度をθ1とする。角度θ1が0°〜180°である範囲に狭隘部59を形成することが好ましい。より好ましくは、狭隘部59は、角度θ1が90°である位置に形成される。
【0044】
また、円筒部33の軸方向に直交する方向の断面において、円筒部33の中心軸を中心に、円筒部33と外壁部47との間隔が最も狭い箇所から旋回室29で空気が旋回する方向に回転した角度をθ2とする。角度θ2が90°〜270°である範囲に0次開口48を形成することが好ましい。より好ましくは、0次開口48は、角度θ2が180°である位置に形成される。
図10は、角度θ2が180°である位置に0次開口48が形成されている例を示す。
図10に示す例では、0次開口48は、円筒部33と外壁部47との間隔が最も大きい箇所に配置される。
【0045】
0次集塵室30に、複数のリブが備えられる。
外壁部47に、1つの捕捉リブ64が設けられる。捕捉リブ64は、外壁部47から0次集塵室30に突出する。捕捉リブ64は、外壁部47の内面から隔壁部35の中心軸に向かう方向に延びる。捕捉リブ64と隔壁部35との間隔aは、例えば上下に渡って一定である。他の例では、捕捉リブ64と隔壁部35との間隔aは、下方に向かうに従って大きくなる。かかる場合、間隔aは、0次開口48から離れるに従って大きくなる。
【0046】
0次集塵室30を形成する内側部材に、誘導リブ65、逆流防止リブ66、バックアップリブ67及び減速リブ68が設けられる。本実施の形態では、上記各リブを隔壁部35に設ける例を示す。上記各リブを隔壁部35と円錐部34とに渡って設けても良い。捕捉リブ64は、例えば、誘導リブ65等が設置されている高さと同様の高さに設置される。
【0047】
誘導リブ65は、隔壁部35から0次集塵室30に突出する。誘導リブ65は、隔壁部35の外面から隔壁部35の中心軸に向かう方向とは反対の方向に延びる。誘導リブ65と外壁部47との間隔bは、例えば上下に渡って一定である。誘導リブ65と外壁部47との間隔bは、捕捉リブ64と隔壁部35との間隔aより大きい。誘導リブ65が隔壁部35の外面から外壁部47側に突出する距離は、例えば間隔aより短い。
【0048】
逆流防止リブ66は、隔壁部35から0次集塵室30に突出する。逆流防止リブ66は、隔壁部35の外面から隔壁部35の中心軸に向かう方向とは反対の方向に延びる。逆流防止リブ66と外壁部47との間隔cは、例えば上下に渡って一定である。逆流防止リブ66と外壁部47との間隔cは、捕捉リブ64と隔壁部35との間隔aより大きい。
【0049】
バックアップリブ67は、隔壁部35から0次集塵室30に突出する。バックアップリブ67は、隔壁部35の外面から隔壁部35の中心軸に向かう方向とは反対の方向に延びる。バックアップリブ67と外壁部47との間隔dは、例えば上下に渡って一定である。バックアップリブ67と外壁部47との間隔dは、捕捉リブ64と隔壁部35との間隔aより大きい。
【0050】
減速リブ68は、隔壁部35から0次集塵室30に突出する。減速リブ68は、隔壁部35の外面から隔壁部35の中心軸に向かう方向とは反対の方向に延びる。誘導リブ65、逆流防止リブ66、バックアップリブ67及び減速リブ68は、隔壁部35の中心軸を中心に隔壁部35の外面から放射状に延びる。減速リブ68と外壁部47との間隔eは、例えば上下に渡って一定である。減速リブ68と外壁部47との間隔eは、捕捉リブ64と隔壁部35との間隔aより大きい。間隔a〜eの中で間隔aが最も小さい。
【0051】
旋回室29でごみを分離する際に0次集塵室30に気流が発生する。0次集塵室30では、旋回室29で空気が旋回する方向と同じ方向に空気が旋回する。誘導リブ65は、0次集塵室30に発生するこの気流に対して、捕捉リブ64の上流側に配置される。逆流防止リブ66は、上記気流に対して誘導リブ65の更に上流側に配置される。バックアップリブ67は、上記気流に対して捕捉リブ64の下流側に配置される。
【0052】
隔壁部35の軸方向に直交する方向の断面において、隔壁部35の中心軸を中心に、0次開口48の中心から旋回室29で空気が旋回する方向に回転した角度をθ3とする。
図11に示す例では、角度θ3が90°である位置に逆流防止リブ66が配置される。また、誘導リブ65は、角度θ3が180°である位置に配置される。バックアップリブ67は、角度θ3が270°である位置に配置される。減速リブ68は、角度θ3が0°である位置に配置される。
【0053】
捕捉リブ64は、隔壁部35と外壁部47との間隔が小さい箇所に配置されることが好ましい。本実施の形態は、誘導リブ65を隔壁部35と外壁部47との間隔が最も小さい箇所に配置し、捕捉リブ64を誘導リブ65のすぐ下流側に配置した例を示す。例えば、隔壁部35と外壁部47との間隔が最も小さい箇所に捕捉リブ64を配置しても良い。隔壁部35と外壁部47との間隔が最も小さい箇所が誘導リブ65と捕捉リブ64との間に配置されても良い。
【0054】
流出部ケース24は、例えば、蓋部49及び流出部51を備える。蓋部49は、例えば板状を呈する。流出部ケース24が流入部ケース25に対して適切に配置されると、円筒部33の上方を塞ぐように蓋部49が配置される。即ち、旋回室29の上壁は蓋部49によって形成される。
【0055】
蓋部49と流入部ケース25の外壁部38とにより、フィルタ部ケース61を収納するための空間が形成される。フィルタ部ケース61は、流出部ケース24を上方から覆うように外壁部38の内側に形成された空間に設けられる。フィルタ部ケース61は、流出部ケース24に上方から密着するように載せられる。フィルタ部ケース61の上面に、ユニット流出口58が形成される。ユニット流出口58は、集塵ユニット13から空気を流出させるための開口である。
【0056】
流出部51は、旋回室29の空気を旋回室29の外に流出させるための部材である。流出部51は、蓋部49の中央部に設けられる。流出部51は、蓋部49から下方に突出する。流出部ケース24が流入部ケース25に対して適切に配置されると、流出部51は、旋回室29の上壁から旋回室29の内部に突出するように配置される。
【0057】
流出部51は、例えば予め設定された中間位置より上方の部分が円筒状を呈する。流出部51は、蓋部49の上面で開口する。流出部51の上記中間位置より下方の部分は、下方に向かうにしたがって径が小さくなる中空の円錐状を呈する。流出部51の下端は、例えば0次開口48の下端より下方に配置される。流出部51の中心軸は、円筒部33の中心軸と一致する。
【0058】
流出部51の内側に形成された空間は、流出風路32の一部を形成する。流出風路32は、旋回室29の空気を集塵ユニット13の外に流出させる風路である。流出風路32の上記一部、旋回室29及び一次集塵室31は、集塵ユニット13においてほぼ同心状に配置される。
【0059】
流出部51に、流出口54が形成される。流出口54は、旋回室29の空気を旋回室29の外に流出させるための開口である。旋回室29の空気は、流出口54を介して流出風路32に取り込まれる。本実施の形態は、多数の微細孔によって流出口54を形成する例を示す。例えば、微細孔の一部は、流入口41の下端より上方に形成される。微細孔の一部は、0次開口48の下端より下方の位置まで形成される。但し、流出部51の円筒形状を呈する部分のうち流入口41が直接対向する部分に、微細孔は形成されない。
【0060】
図12は、
図1に示す電気掃除機1を
図3のA−A断面と同じ断面で切断した図である。集塵ユニット13は、本体ユニット12に取り付けられる。集塵ユニット13が本体ユニット12に適切に取り付けられると、フィルタ部ケース61の上面が収容体14の下面に密着する。ユニット流入口40は、本体ユニット12の接続口20に接続される。ユニット流出口58は、本体ユニット12の接続口22に接続される。
【0061】
次に、集塵ユニット13の機能について具体的に説明する。
電動送風機10が吸引動作を開始すると、上述したように、吸込口体2に吸い込まれたごみを含む空気は、吸気風路19を通過して接続口20に達する。吸気風路19のごみを含む空気は、接続口20及びユニット流入口40を通過して流入風路27に流入する。流入風路27に流入したごみを含む空気は、流入風路27を通過し、流入口41から旋回室29に流入する。流入口41を通過したごみを含む空気は、円筒部33の内面、即ち旋回室29を形成する側壁に沿うように旋回室29にその接線方向から流入する。かかる経路は、
図9において経路fとして実線の矢印で示されている。
【0062】
流入口41から旋回室29に流入した空気は、旋回室29を形成する側壁に沿うように予め設定された方向に回り、旋回室29で旋回気流を形成する。この旋回気流は、中心軸近傍の強制渦領域とその外側の自由渦領域とを形成しながら、その経路構造と重力とによって下向きに流れていく。
【0063】
旋回室29内の空気、即ち上記旋回気流に含まれるごみには、遠心力が作用する。例えば繊維ごみ及び毛髪といった比較的嵩の大きなごみαは、作用する遠心力によって円筒部33に押し付けられながら落下する。このため、ごみαは、0次開口48の高さに達すると0次開口48を通過する。また、旋回室29内の空気の一部も0次開口48を通過する。
【0064】
0次開口48を通過したごみαは、0次集塵室30に送られる。また、0次開口48を通過した空気は、旋回室29で空気が旋回する方向と同じ方向に旋回しながら0次集塵室30を進む。即ち、電動送風機10が吸引動作を開始すると、0次集塵室30にも気流が発生する。0次開口48から0次集塵室30に進入したごみαは、旋回室29での空気の旋回方向と同じ方向に移動しながら落下する。
【0065】
0次集塵室30に送られたごみαには、遠心力が作用する。また、0次集塵室30に送られたごみαは、隔壁部35と外壁部47との間隔が徐々に小さくなる部分を通過する際に誘導リブ65によって外壁部47側に誘導される。これにより、ごみαは、外壁部47から突出する捕捉リブ64に接触し、その移動が止められる。また、大きなごみαは、捕捉リブ64と隔壁部35との間を通過できず、その移動が止められる。一部のごみαが捕捉リブ64によって捕捉されると、その捕捉されたごみαを起点にして他のごみαが捕捉リブ64の上流側に徐々に蓄積していく。
【0066】
0次開口48から0次集塵室30に進入しなかったごみは、旋回室29内の気流に乗って旋回しながら下方に移動する。砂ごみ及び細かい繊維ごみといった比較的嵩の小さなごみβは、一次開口39を通過する。そして、ごみβは、一次集塵室31に落下して捕捉される。
【0067】
旋回室29の旋回気流は、旋回室29の最下部に達するとその進行方向を上向きに変え、旋回室29の中心軸に沿って上昇する。この上昇気流を形成する空気からはごみα及びごみβが除去されている。ごみα及びごみβが取り除かれた清浄空気は、流出口54を通過して旋回室29から流出する。流出口54を通過した空気は、流出風路32を通過してユニット流出口58に達する。そして、清浄空気は、ユニット流出口58及び接続口22を通過して排気風路21に送られる。
【0068】
電動送風機10が吸引動作を行うことにより、ごみαが0次集塵室30に溜まる。また、ごみβが一次集塵室31に溜まる。
図13は、
図8のE−E断面を示す図である。
図13は、清掃時の集塵ユニット13の内部の状態を示す。0次集塵室30及び一次集塵室31に溜まったごみは、集塵部ケース26を取り外すことによって簡単に廃棄することができる。
【0069】
上記構成を有する電気掃除機1であれば、誘導リブ65によってごみαを外壁部47側に誘導できる。これにより、捕捉リブ64によるごみαの捕捉力を向上させることができる。なお、間隔a〜eの中で間隔aが最も小さく、捕捉リブ64以外のリブは隔壁部35から突出する。このため、ごみαは、捕捉リブ64を起点にして捕捉リブ64の上流側に徐々に蓄積していく。上記構成を有する電気掃除機1であれば、ごみαが0次集塵室30で旋回し続けることを抑制できる。ごみαの舞い上がりを抑制でき、ごみαが0次開口48から旋回室29に再進入することを防止できる。また、集塵ユニット13を大型化することなくごみの分離性能を向上させることができる。
【0070】
捕捉リブ64によるごみαの捕捉力を更に向上させるため、捕捉リブ64の一部又は全部をゴムのような軟質材で構成しても良い。例えば、捕捉リブ64を集塵ユニット13の外郭の一部を構成する外壁部47より軟質な部材にしても良い。
【0071】
捕捉リブ64の上流側に蓄積したごみαは、捕捉リブ64から離れるほど気流の影響を受け易く、逆流し易い。上記構成を有する電気掃除機1であれば、逆流防止リブ66によってごみαの逆流を防止できる。ごみαの舞い上がりを更に抑制できる。
【0072】
捕捉リブ64と隔壁部35との間からはみ出たごみαをバックアップリブ67によって捕捉できる。このため、ごみαの舞い上がりを更に抑制できる。
【0073】
0次集塵室30に備えられた複数のリブは圧損体になる。このため、0次集塵室30に発生する気流の速度を低くすることができる。このため、ごみαの舞い上がりを更に抑制できる。
【0074】
間隔aについて、上部の間隔より下部の間隔を大きくすれば、ごみαが0次集塵室30の上部で旋回することを抑制できる。即ち、0次集塵室30内のごみαを0次開口48から遠ざけることができる。ごみαが0次開口48から旋回室29に再進入することを抑制でき、ごみαの分離性能を向上できる。
【0075】
捕捉リブ64を隔壁部35と外壁部47との間隔が小さい箇所に配置することにより、ごみαの捕捉が容易になる。これにより、捕捉リブ64によるごみαの捕捉力を向上させることができる。
【0076】
外壁部47を透明度の高い樹脂材料で形成すれば、ごみαの溜まり具合を集塵ユニット13の外から確認できる。ごみαは捕捉リブ64を起点に蓄積される。このため、外壁部47のうち捕捉リブ64の上流側に配置された部分が透光性を有していれば、ごみαの溜まり具合を容易に確認することができる。
【0077】
図14は、この発明の実施の形態1における集塵ユニット13の他の例を示す背面図である。
図14に示す集塵ユニット13では、外壁部47に窓部69が備えられる。窓部69は、透光性を有する部材からなる。窓部69は、例えば、捕捉リブ64の位置に合わせて配置される。例えば、窓部69は、捕捉リブ64より上流側で且つ誘導リブ65より下流側に配置された部分の全体或いは一部に備えられる。窓部69を適切な大きさ及び形状にすれば、電気掃除機1の意匠性が損なわれることもない。
【0078】
上述したように、角度θ1が0°〜180°である範囲に狭隘部59を形成することが好ましい。また、角度θ1が90°である位置に狭隘部59を形成することが更に好ましい。吸込口体2から吸い込まれた空気は、吸気風路19から流入風路27に進入する際に流れが乱れる。ユニット流入口40から流入口41までの距離が短いと、乱れた気流が整う前に旋回室29に流入してしまう。かかる場合は、旋回室29に流入する空気の速度が低下する。旋回室29内を旋回する空気の速度が低下すると、ごみの分離性能が悪化してしまう。
【0079】
このような事態を防止するためには、流入口41から旋回室29に流入する空気の速度(流速)を上げる必要がある。流速を上げる方法として、例えば、電動送風機10を大型化することが考えられる。しかし、この方法では、電気掃除機1が大型化してしまう。特に縦型の電気掃除機1では、大型化すると操作性が大幅に悪化してしまう。上記構成を有する電気掃除機1では、狭隘部59を形成する位置を適切に設定することによってユニット流入口40から流入口41までの距離を長くすることができる。これにより、乱れの少ない気流を旋回室29に送り込むことができる。旋回室29内を旋回する空気の速度が低下することを防止し、ごみの分離性能を向上させることができる。また、電気掃除機1の小型化も可能となる。
【0080】
上述したように、角度θ2が90°〜270°である範囲に0次開口48を形成することが好ましい。また、角度θ2が180°である位置に0次開口48を形成することが更に好ましい。このような構成であれば、0次開口48から狭隘部59までの距離を十分に確保でき、集塵容積を有効に活用できる。また、0次開口48が円筒部33と外壁部47との間隔が大きい箇所に形成されるため、ごみαの舞い上がりが生じた場合にもごみαが0次開口48に付着し難い。これにより、ごみの分離性能を更に向上させることができる。
【0081】
0次開口48を横長に形成すれば、底部46から0次開口48までの高さを十分に確保できる。0次集塵室30の集塵容量を大きくすることができる。また、集塵ユニット13の小型化にも貢献できる。
【0082】
上記構成を有する電気掃除機1では、嵩の大きなごみαは、0次開口48から0次集塵室30に進入する。旋回室29の上流側に大きなごみを捕捉するための別の分離装置を備える必要はない。このため、集塵ユニット13の小型化が可能である。また、掃除機本体6及び電気掃除機1の小型化も可能となる。なお、上記構成を有する電気掃除機1では、ごみα及びごみβを分離して捕捉することができるため、フィルタ62がなくても高い分離性能を備えることが可能である。
【0083】
一次集塵室31は、円錐部34の下方を覆い、更に円錐部34の下端部の周囲を取り囲むように形成される。旋回室29の側方の空間までごみβを捕捉するための空間として利用することができる。集塵ユニット13の高さを抑制でき、集塵ユニット13の小型化が可能である。また、集塵ユニット13の小型化を実現した上で十分な集塵容積を確保できる。
【0084】
本実施の形態では各部材の形状について言及したが、当然のことながら、これらは文字通りの完全な形状を意味するものではない。例えば、円形状の部材は、完全な円形を呈していなくても良い。円筒形状の部材は、完全な円筒形を呈していなくても良い。例えば、円筒形状の部材は、他の部材との接続等のために表面に凹凸が含まれていても良い。また、他の部材との接続等のために、表面の一部が平坦に形成されていても良い。
【0085】
電気掃除機1及び集塵ユニット13は、上述した形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。以下に、いくつかの変形例を示す。
【0086】
例えば、電気掃除機1は縦型のものに限定されない。電気掃除機1は、本体部分に車輪を備えたものでも良い。このような電気掃除機1にも集塵ユニット13と同様の機能を有するサイクロン分離装置を搭載できる。
【0087】
また、0次集塵室30、流入管36、0次開口48、狭隘部59及び各リブ等の形状、個数及び配置は、上記説明のものに限定されない。これらの仕様は、旋回室29内の気流の速度、集塵ユニット13の大きさ及び電動送風機10の出力等によって適宜設定される。即ち、これらの仕様は、電気掃除機1に要求される性能等に合わせて最適なものが選択される。
【0088】
図15は、電気掃除機に搭載可能な集塵ユニットの例を示す断面図である。
図15に示す集塵室70は、外壁部71との間隔が上記間隔b〜eと同様に設定されたリブ72〜75を備える。
図15に示す集塵ユニットでは、外壁部71の内側に形成された空間の全体が集塵室70である。なお、
図15に示す集塵ユニットでは、ごみα及びごみβが集塵室70に流入する。ごみβはごみαと比較して密度が高いため、ごみβの舞い上がりが発生する恐れはない。このため、ごみβが集塵室70に流入しても特に問題は生じない。