(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052287
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】色彩選別機
(51)【国際特許分類】
B07C 5/02 20060101AFI20161219BHJP
B07C 5/342 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
B07C5/02
B07C5/342
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-516712(P2014-516712)
(86)(22)【出願日】2013年4月3日
(86)【国際出願番号】JP2013060156
(87)【国際公開番号】WO2013175870
(87)【国際公開日】20131128
【審査請求日】2016年3月4日
(31)【優先権主張番号】特願2012-118366(P2012-118366)
(32)【優先日】2012年5月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】佐々本 悟
(72)【発明者】
【氏名】西本 昌昭
【審査官】
福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−122837(JP,A)
【文献】
特開2009−285639(JP,A)
【文献】
特開昭55−70614(JP,A)
【文献】
特開昭60−84185(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3001556(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 5/02
B07C 5/342
B65G 17/16
B02B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料を受け入れるための投入ホッパ(6)を昇降部筐体(7)の背面下部に備えた昇降部(2)と、
前記昇降部筐体(7)の前面側中間部に配置して、前記昇降部(2)により上昇させられた原料を流下させて光学的な選別を行う光学選別部(3)と、
該光学選別部(3)の下方に配置して、光学的な選別の結果により、良品と、不良品又は異物とにそれぞれに分別して機外排出を行う機外排出部(4)と、
前記昇降部(2)の前面側上部と前記光学選別部(3)との間に設けられ、前記昇降部(2)により上昇させられた原料を一時貯留する貯留タンク部(5)と、を備えて構成される色彩選別機において、
前記原料を受け入れるための投入ホッパ(6)は、左右一対の側壁(6f),(6g)と、前記昇降部筐体(7)側の前壁(6b)と、該前壁(6b)と対向する後壁(6c)と、前記前壁(6b)下部から傾斜して延設される短尺状の傾斜棚板(6d)と、該傾斜棚板(6d)よりも下方に位置し、かつ、前記後壁(6c)下部から前記昇降部筐体(7)の供給口(7a)に向けて傾斜して延設される長尺状の傾斜棚板(6e)とにより形成する一方、
前記長尺状の傾斜棚板(6e)下部には、原料の受け入れ量を調節する流量調節バルブ(12)を設けるとともに、前記貯留タンク部(5)には、貯留量に応じて上下動する一時貯留タンク(21)を設け、
さらに、前記一時貯留タンク(21)と前記流量調節バルブ(12)とを、前記一時貯留タンク(21)が下動したときに原料の受け入れ量を制限するように連結したことを特徴とする色彩選別機。
【請求項2】
前記一時貯留タンク(21)は、前記昇降部筐体(7)上部との間で、上部リンク(22)及び下部リンク(23)からなるリンク機構によって取り付けるとともに、前記昇降部筐体(7)上部の前面側に流下樋(25)を突設し、該流下樋(25)下方で前記一時貯留タンク(21)が上下動するよう、前記流下樋(25)と一時貯留タンク(21)との間を吊バネ(24)によって保持してなる請求項1記載の色彩選別機。
【請求項3】
前記流量調節バルブ(12)は、回動軸(13)を中心とするアーム(14)によって前記投入ホッパ(6)に係止するとともに、常時はバネ(15)の引っ張り力により前記流量調節バルブ(12)が傾斜棚板(6b)に接近するよう回動させる一方、前記一時貯留タンク(21)が下動したときに前記流量調節バルブ(12)が原料の受け入れ量を制限するよう、該流量調節バルブ(12)と前記一時貯留タンク(21)との間を、第1ロッド(17)、第2ロッド(19)及び中継アーム部(18)により連結してなる請求項1又は2記載の色彩選別機。
【請求項4】
前記一時貯留タンク(21)の流出口(21a)には、その開口度を調節することができる開閉シャッター(27)を設けるとともに、前記光学選別部(3)の側面には、前記開閉シャッター(27)を操作者が手動で開閉できるように開閉レバー(28)を設け、該開閉レバー(28)と前記開閉シャッター(27)との間をワイヤー(29)によって連動できるように構成してなる請求項1から3のいずれかに記載の色彩選別機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米、麦などの穀粒や樹脂ペレットなどの粒状物を良品と不良品とに選別したり、粒状物中に混入する異物を除去したりする色彩選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、農家における籾摺ラインに適した性能と低価格を実現することをコンセプトとした小型の色彩選別機を開発し、複数の特許出願を行っている。
このうち、特許文献1に記載の色彩選別機によれば、原料を上昇させる昇降機を複数備える昇降部と、少なくとも1台の前記昇降機により上昇させられる原料を選別する光学選別部と、を備えてなる色彩選別機において、当該色彩選別機の高所には機外に良品を排出する排出部が設けられ、前記昇降機の1台は、光学選別部で良品と判定された原料を当該排出部に向けて上昇させることを特徴とする色彩選別機としたものである。
これにより、光学選別部で良品と判定された原料を昇降機の1台により上昇させて、当該色彩選別機の高所に設けられる排出部から排出するものであるので、当該排出部から後工程における計量機や袋詰機に直接原料を供給することが可能となり、籾摺ラインの各装置の配置を簡単に行うことができるという作用・効果がある。
また、特許文献1の請求項2に記載の色彩選別機によれば、前記昇降部は、光学選別部の背後であって当該色彩選別機の幅方向に複数の昇降機を隣接配置してなることを特徴としたものである。
これにより、昇降部をコンパクトなものとすることができ、しかも、当該昇降部が光学選別部の背後であって幅方向に沿って配置されるため、装置の幅を広げることなく、装置の設置スペースを小さく抑えることができるという作用・効果がある。
さらに、特許文献1の請求項3に記載の色彩選別機によれば、前記昇降部のさらに背後であって色彩選別機の低所には、当該色彩選別機に原料を投入する投入ホッパを設けたことを特徴とするものである。
これにより、前工程における籾摺機から原料を楽に搬送することが可能となり、装置の配置を簡単に行うことができ、また、装置の幅を広げることがないという作用・効果がある。
そして、特許文献1の請求項4に記載の色彩選別機によれば、光学選別部により選別される原料を所定の昇降機に搬送する横送りコンベアを備えたことを特徴とするものである。
これにより、横送りコンベアを配置するための新たなスペースを必要としないという作用・効果がある。
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載の色彩選別機にあっては、前工程における籾摺機から原料が直接投入ホッパに投入されるものであるから、例えば、籾摺機から不良品混入率が高い原料が投入されると、光学選別部のシュート上を滑流する原料の流量を下げて選別精度を向上させる操作が必要となる。従来は、作業者が目視でシュート上を滑流する原料の多寡を判断し、流量調節を行っていた。また、前工程の籾摺機から当該色彩選別機の最大処理能力以上の原料が供給された場合、昇降機が詰まって過負荷が生じ、昇降機用モータなどの搬送系モータの損傷や焼損に繋がる虞(おそれ)があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−92861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題点にかんがみ、光学選別部のシュート上を滑流する原料の流量調整を容易に行い、かつ、前工程の籾摺機から最大処理能力以上の原料が供給された場合は、投入ホッパへの投入量を自動的に制限して、搬送系モータの損傷や焼損を防止することができる色彩選別機を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため本発明は、原料を受け入れるための投入ホッパ(6)を昇降部筐体(7)の背面下部に備えた昇降部(2)と、前記昇降部筐体(7)の前面側中間部に配置して、前記昇降部(2)により上昇させられた原料を流下させて光学的な選別を行う光学選別部(3)と、該光学選別部(3)の下方に配置して、光学的な選別の結果により、良品と、不良品又は異物とにそれぞれに分別して機外排出を行う機外排出部(4)と、前記昇降部(2)の前面側上部と前記光学選別部(3)との間に設けられ、前記昇降部(2)により上昇させられた原料を一時貯留する貯留タンク部(5)と、を備えて構成される色彩選別機において、前記原料を受け入れるための投入ホッパ(6)は、左右一対の側壁(6f),(6g)と、前記昇降部筐体(7)側の前壁(6b)と、該前壁(6b)と対向する後壁(6c)と、前記前壁(6b)下部から傾斜して延設される短尺状の傾斜棚板(6d)と、該傾斜棚板(6d)よりも下方に位置し、かつ、前記後壁(6c)下部から前記昇降部筐体(7)の供給口(7a)に向けて傾斜して延設される長尺状の傾斜棚板(6e)とにより形成する一方、前記長尺状の傾斜棚板(6e)下部には、原料の受け入れ量を調節する流量調節バルブ(12)を設けるとともに、前記貯留タンク部(5)には、貯留量に応じて上下動する一時貯留タンク(21)を設け、さらに、前記一時貯留タンク(21)と前記流量調節バルブ(12)とを、前記一時貯留タンク(21)が下動したときに原料の受け入れ量を制限するように連結したことを特徴とする。
【0007】
また、前記一時貯留タンク(21)は、前記昇降部筐体(7)上部との間で、上部リンク(22)及び下部リンク(23)からなるリンク機構によって取り付けるとともに、前記昇降部筐体(7)上部の前面側に流下樋(25)を突設し、該流下樋(25)下方で前記一時貯留タンク(21)が上下動するよう、前記流下樋(25)と一時貯留タンク(21)との間を吊バネ(24)によって保持した。
【0008】
そして、前記流量調節バルブ(12)は、回動軸(13)を中心とするアーム(14)によって前記投入ホッパ(6)に係止するとともに、常時はバネ(15)の引っ張り力により前記流量調節バルブ(12)が傾斜棚板(6b)に接近するよう回動させる一方、前記一時貯留タンク(21)が下動したときに前記流量調節バルブ(12)により原料の受け入れ量を制限するよう、該流量調節バルブ(12)と前記一時貯留タンク(21)との間を、第1ロッド(17)、第2ロッド(19)及び中継アーム部(18)により連結した。
【0009】
また、前記一時貯留タンク(21)の流出口(21a)には、その開口度を調節することができる開閉シャッター(27)を設けるとともに、前記光学選別部(3)の側面には、前記開閉シャッター(27)を操作者が手動で開閉できるように開閉レバー(28)を設け、該開閉レバー(28)と前記開閉シャッター(27)との間をワイヤー(29)によって連動できるように構成した。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、原料を受け入れるための投入ホッパ(6)が、左右一対の側壁(6f),(6g)と、前記昇降部筐体(7)側の前壁(6b)と、該前壁(6b)と対向する後壁(6c)と、前記前壁(6b)下部から傾斜して延設される短尺状の傾斜棚板(6d)と、該傾斜棚板(6d)よりも下方に位置し、かつ、前記後壁(6c)下部から前記昇降部筐体(7)の供給口(7a)に向けて傾斜して延設される長尺状の傾斜棚板(6e)とにより形成してある。これにより、複数の傾斜棚板(6d),(6e)によって、原料を受け入れたときの落下衝撃力が緩和されるとともに、傾斜棚板(6e)が傾斜棚板(6d)よりも長く形成されてあり、傾斜面が左右非対称となっているから、粒同士がアーチ構造を形成するおそれが低く、原料を供給口(7a)に向けて速やかに供給することができる。そして、前工程の籾摺機から色彩選別機の最大処理能力以上の原料が供給された場合には、一時貯留タンク(21)に原料が充満してきて重くなり、自重により一時貯留タンク(21)が下動するに伴い、流量調節バルブ(12)が閉調節されるために、投入ホッパ(6)への投入量が自動的に制限され、昇降部が詰まることによる搬送系モータの損傷や焼損を防止することが可能となる。
【0011】
また、請求項2記載の発明によれば、一時貯留タンク(21)が、昇降部筐体(7)上部との間で、上部リンク(22)及び下部リンク(23)からなるリンク機構によって取り付けるとともに、前記昇降部筐体(7)上部の前面側には流下樋(25)を突設し、該流下樋(25)下方で前記一時貯留タンク(21)が上下動するよう、前記流下樋(25)と一時貯留タンク(21)との間を吊バネ(24)によって保持したので、一時貯留タンク(21)の上下動機構を簡単に構成することができる。
【0012】
そして、請求項3記載の発明によれば、流量調節バルブ(12)が、回動軸(13)を中心とするアーム(14)によって投入ホッパ(6)に係止されるとともに、常時はバネ(15)の引っ張り力により流量調節バルブ(12)が傾斜棚板(6b)に接近するよう回動させる一方、一時貯留タンク(21)が下動したときに流量調節バルブ(12)により原料の受け入れ量を制限するよう、流量調節バルブ(12)と一時貯留タンク(21)との間を、第1ロッド(17)、第2ロッド(19)及び中継アーム部(18)により関連的に連結したので、一時貯留タンク(21)の下動に伴う流量調節バルブ(12)の閉鎖調節の即応性が格段に向上する。これにより、搬送系モータの損傷や焼損をいち早く防止することが可能となる。
【0013】
さらに、請求項4記載の発明によれば、一時貯留タンク(21)の流出口(21a)に、その開口度を調節することができる開閉シャッター(27)を設けるとともに、光学選別部(3)の側面には、開閉シャッター(27)を操作者が手動で開閉できるように開閉レバー(28)を設け、該開閉レバー(28)と前記開閉シャッター(27)との間をワイヤー(29)によって連動できるように構成してある。これにより、原料中に不良品の混入率が高い場合は、操作者は開閉レバー(25)を操作して光学選別部(3)のシュート上を流れる被選別物を確認しながらシュート上を流れる原料の流量の変更が可能となる。これは、例えば、シュートへの原料供給に振動フィーダなどの搬送機器を用いた場合と比較して極めて即応性がよく、適正流量となるまで待機する時間を削減することが可能となり、ひいては選別効率が格段に向上するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の色彩選別機の全体を示す斜視図である。
【
図3】同上の色彩選別機を一部切り欠いて内部の構造を説明するための一部破断面図である。
【
図4】同上の色彩選別機の昇降部下部の拡大図である。
【
図5】同上の色彩選別機の昇降部上部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態を図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の色彩選別機の全体を示す斜視図であり、
図2は同上の色彩選別機の右側面図であり、
図3は同上の色彩選別機の一部破断面図であり、
図4は昇降部下部の拡大図であり、
図5は昇降部上部の拡大図である。
【0016】
本発明の色彩選別機1は、穀粒、樹脂ペレット、コーヒー豆、その他の粒状物を原料として良品と不良品、あるいは原料に混入する異物を色彩により選別することができるものである。
【0017】
図1乃至
図3に示すように、本発明の色彩選別機1は、昇降部筐体7の背面側下部に原料を受け入れるための投入ホッパ6を備えた昇降部2と、該昇降部2の前面側中間部に位置させて原料を流下させる際に光学的な選別を行う光学選別部3と、該光学選別部3の下方に設けて良品と不良品又は異物とに分別して機外排出を行う機外排出部4と、前記昇降部2の前面側上部と前記光学選別部3との間に設けられ、前記昇降部2により上昇させた原料を一時貯留する貯留タンク部5と、を備えて構成される。
【0018】
前記昇降部2は、昇降部筐体7内の上下位置に駆動プーリ8と従動プーリ9とをそれぞれ設け、前記駆動プーリ8と前記従動プーリ9との間には、多数のバケット10を取り付けられた無端状ベルト11を回動可能に掛け回すことによって構成されている(
図2及び
図3参照)。そして、前記無端状ベルト11が前記プーリ8,9間を回動することで、前記投入ホッパ6から受け入れた原料が上昇搬送され、多数のバケット10が従動プーリ9により転回される瞬間に、前記貯留タンク部5に投擲(てき)されることで原料の搬送が行われる。
【0019】
前記昇降部2の背面側下部には投入ホッパ6が設けられる。該投入ホッパ6は左右一対の側壁6f,6gと、前記昇降部筐体7側の前壁6bと、該前壁6bと対向する後壁6cと、前記前壁6b下部から傾斜して延設される短尺状の傾斜棚板6dと、該傾斜棚板6dよりも下方に位置し、かつ、前記後壁6c下部から前記昇降部筐体7の供給口7aに向けて傾斜して延設される長尺状の傾斜棚板6eとにより形成してある。
【0020】
そして、投入ホッパ6の傾斜棚板6e下部には、前記貯留タンク部5と連係して原料の受け入れ量を調節する流量調節バルブ12が設けられる(
図2、
図3及び
図4参照)。該流量調節バルブ12は、回動軸13により軸着されており、該回動軸13はアーム14を固定し、該アーム14にはバネ15の一端を固定する一方、バネ15の他端は昇降部筐体7に設置した固定部16に固定し、常時はバネ15の引っ張り力により流量調節バルブ12が傾斜棚板6eに接近するように回動させておく。その一方で、アーム14の回動軸13と対向する位置には、第1ロッド17の一端側17aを固定するとともに、該第1ロッド17の他端側17bは中継アーム部18の一端側を固定する。そして、該中継アーム部18の第1ロッド他端側17bと対向する位置には、第2ロッド19の一端側19aを固定するとともに、該第2ロッド19の他端側19bは前記貯留タンク部5のタンク中間金具20に接続する。
【0021】
ところで、前記貯留タンク部5を形成する一時貯留タンク21は、昇降部2の昇降部筐体7上部との間で、上部リンク22及び下部リンク23からなるリンク機構によって自由度を有する構造で取り付けられている(
図3、
図5参照)。そして、前記昇降部筐体7上部の前面側には流下樋25が突設され、該流下樋25の下方で前記一時貯留タンク21を保持するよう、前記上部リンク部22には吊バネ24の一端側を固定するとともに、吊バネ24の他端側は流下樋25に設置した固定部26に固定し、一時貯留タンク21を吊設する構成としてある。
【0022】
これにより、前記一時貯留タンク21の貯留量の多寡によって第2ロッド19が上下動し、流量調節バルブ12は実線の位置と一点鎖線の位置とに回動可能になる。すなわち、一時貯留タンク21の貯留量が少なければ、第2ロッド19の下動は少なく、流量調節バルブ12は実線の位置となって供給口7aが大きく開口された状態となり、大流量の原料がケース底部7bに供給される。一方で、一時貯留タンク21の貯留量が多ければ自重により第2ロッド19の下動が大きくなり、流量調節バルブ12は一点鎖線の位置となって供給口7aの開口度が制限された状態となり、流量の制限された原料がケース底部7bに供給されることになる。
【0023】
前記一時貯留タンク21の流出口21aには、その開口度を調節することができる開閉シャッター27を設けるとともに、該開閉シャッター27を手動で開閉できるよう、前記光学選別部3の側面に開閉レバー28を設け、該開閉レバー28と前記開閉シャッター27との間をワイヤー29によって連動できるように構成されている(
図2参照)。また、ワイヤー29の連動によらず、操作者が直接開閉シャッター27を開閉できる構成としてもよい。これにより、原料中に不良品の混入率が高い場合に、操作者は開閉レバー25や開閉シャッター27を操作して光学選別部3のシュート上を流れる被選別物を確認しながらシュート上を流れる原料の流量の変更が可能となる。
【0024】
次に、前記光学選別部3の構成について詳述する。光学選別部3は、水平位置から約60度の角度で傾斜して配置したシュート30と、前記一時貯留タンク21からの原料をシュート30に搬送するための棚板31と、シュート30下端から落下する原料の落下軌跡の上下を挟んで設けられる光学検出部32と、さらに下方に設けたエジェクターノズル33と、を備えたものである。
【0025】
前記シュート30の表面形状は、原料となる粒状物を広幅で帯状に滑走させるために溝部のない平板形状で形成するのが好ましい。そして、シュート30からの粒状物の溢流を防止するため、かつ、選別対象の粒状物がシュート30を滑走中に底面から浮き上がるのを防止するために、底面から所定間隔をあけてシュートカバー30aを設けてもよい(
図3参照)。
【0026】
また、前記光学選別部3下方の機外排出部4は、前記エジェクターノズル33下方において前記シュート30と同傾斜線上にあり、エジェクターノズル33からの噴風を受けずにそのまま落下軌跡の粒状物を受ける良品回収ホッパ34と、該良品回収ホッパ34に並設され、エジェクターノズル33からの噴風を受けて正常な原料から不良品を回収するための不良品回収ホッパ35と、を備えている。さらに、前記良品回収ホッパ34には良品排出樋36が、前記不良品回収ホッパ35には不良品排出樋37がそれぞれ接続されている。
【0027】
前記光学検出部32は、CCDラインセンサー等からなるセンサー38,39と、蛍光灯等からなる光源40,41,42,43と、背景手段としてのバックグラウンド44,45と、ミラー46,47を備えたものである。そして、各センサー38,39は、前記シュート30下端から落下する原料を検出位置において撮像し、該撮像信号に基づいて原料の良品と不良品、あるいは原料に混入する異物を判断するものである。エジェクターノズル33は、不良品及び異物と判断したものを噴風して原料の流れから弾き出し、不良品回収ホッパ35側へ除去する。なお、エジェクターノズル33はエアにより原料を弾くものに代えて、ソレノイド等を駆動手段とする板バネ等を用いてもよい。
【0028】
以下、本発明の実施の形態における作用を説明する。
原料を投入ホッパ6の開口部6aから投入すると、傾斜棚板6d,6eによって衝撃が緩和されながら流下して、傾斜棚板6e下部に至る。投入ホッパ6の傾斜棚板6e下部には、前記貯留タンク部5と連係して原料の受け入れ量を調節する流量調節バルブ12が設けられている。このとき、一時貯留タンク21は未だ空の状態であるため、流量調節バルブ12は
図4の実線の位置にあって供給口7aが全開された状態にある。このため、比較的大流量の原料がケース底部7bに供給されることになる。ケース底部7bに供給された原料は、バケット10により昇降部筐体7内を上昇し、従動プーリ9で転回される瞬間に投擲(てき)されて流下樋25から一時貯留タンク21に貯留される。このとき、一時貯留タンク21の流出口21aが開閉シャッター27により閉鎖された状態にあると、一時貯留タンク21は原料が充満してきて重くなり、吊バネ24に抗して下動する。これに伴い、タンク中間金具20に接続した第2ロッド19も下動する。これにより、第2ロッドに連係した中継アーム部18が回動し(
図4参照)、さらに、第1ロッド17が図面右下方向に下動することになる。これにより、アーム14が回転軸14を中心に回動して流量調節バルブ12が
図4の一点鎖線の位置となって供給口7aの開口度が制限された状態となり、流量の制限された原料がケース底部7bに供給される。そして、一時貯留タンク21が満量になれば、流量調節バルブ12によって供給口7aが閉鎖されることになる。
【0029】
そして、一時貯留タンク21の貯留量が満量となった段階で、操作者が開閉レバー25を操作して流出口21aを開口すると、原料はその開口度に応じた流量で棚板31に落下し、次いで、シュート30上に供給されることになる。一方、一時貯留タンク21はその貯留量の減少に伴って重量が軽くなるため、第2ロッド19が上動することとなる。これにより、流量調節バルブ12が閉鎖状態から開放されて投入ホッパ6から新たな原料が供給されるようになる。
【0030】
シュート30上を流下する原料は、その下端から落下して光学選別部3のセンサー38,39により検出されることになる。そして、センサー38,39の撮像信号に基づいて原料の良品と不良品、あるいは原料に混入する異物が判断される。不良品及び異物と判断されたものはエジェクターノズル33の噴風によって原料の流れから弾き出され、不良品回収ホッパ35を介して不良品排出樋37から機外に排出される。一方、良品と判断されたものはエジェクターノズル33の噴風を受けずに良品回収ホッパ34から良品排出樋36を経て機外に排出される。
【0031】
以上説明したように、本発明にあっては、原料を受け入れるための投入ホッパ6が、左右一対の側壁6f,6gと、前記昇降部筐体7側の前壁6bと、該前壁6bと対向する後壁6cと、前記前壁6b下部から傾斜して延設される短尺状の傾斜棚板6dと、該傾斜棚板6dよりも下方に位置し、かつ、前記後壁6c下部から前記昇降部筐体7の供給口7aに向けて傾斜して延設される長尺状の傾斜棚板6eとにより形成してある。これにより、複数の傾斜棚板6d,6eによって、原料を受け入れたときの落下衝撃力が緩和されるとともに、傾斜棚板6eが傾斜棚板6dよりも長く形成され、傾斜面が左右非対称となっているから、粒同士がアーチ構造を形成するおそれが低く、原料を供給口7aに向けて速やかに供給することができる。そして、前工程の籾摺機から当該色彩選別機の最大処理能力以上の原料が供給された場合には、一時貯留タンク21に原料が充満してきて重くなり、自重により一時貯留タンク21が下動に伴い、流量調節バルブ12が閉調節されるために、投入ホッパ6への投入量が自動的に制限され、昇降部が詰まることによる搬送系モータの損傷や焼損を防止することが可能となる。なお、本発明の色彩選別機は、上記実施の形態に限らず、種々の設計変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、米、麦などの穀粒や樹脂ペレットなどの粒状物を良品と不良品とに選別したり、粒状物中に混入する異物を除去したりする色彩選別機に適用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 色彩選別機
2 昇降部
3 光学選別部
4 機外排出部
5 貯留タンク部
6 投入ホッパ
7 昇降部筐体
8 駆動プーリ
9 従動プーリ
10 バケット
11 無端状ベルト
12 流量調節バルブ
13 軸
14 アーム
15 バネ
16 固定部
17 第1ロッド
18 中継アーム部
19 第2ロッド
20 タンク中間金具
21 一時貯留タンク
22 上部リンク
23 下部リンク
24 吊バネ
25 流下樋
26 固定部
27 開閉シャッター
28 開閉レバー
29 ワイヤー
30 シュート
31 棚板
32 光学検出部
33 エジェクターノズル
34 良品回収ホッパ
35 不良品回収ホッパ
36 良品排出樋
37 不良品排出樋
38 センサー
39 センサー
40 光源
41 光源
42 光源
43 光源
44 バックグラウンド
45 バックグラウンド
46 ミラー
47 ミラー