特許第6052303号(P6052303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052303
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】角加速度センサおよび加速度センサ
(51)【国際特許分類】
   G01P 15/08 20060101AFI20161219BHJP
   G01P 15/12 20060101ALI20161219BHJP
   H01L 29/84 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   G01P15/08 101A
   G01P15/12 D
   H01L29/84 A
【請求項の数】14
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-552029(P2014-552029)
(86)(22)【出願日】2013年12月9日
(86)【国際出願番号】JP2013082931
(87)【国際公開番号】WO2014092040
(87)【国際公開日】20140619
【審査請求日】2015年2月24日
(31)【優先権主張番号】特願2012-271987(P2012-271987)
(32)【優先日】2012年12月13日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北居 正弘
(72)【発明者】
【氏名】市丸 正幸
【審査官】 續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−283402(JP,A)
【文献】 特開2007−309654(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/153439(WO,A1)
【文献】 特開2010−256234(JP,A)
【文献】 特開2010−085142(JP,A)
【文献】 特開2009−244070(JP,A)
【文献】 特開平02−162263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P 15/08
G01P 15/12
H01L 29/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板面を有し、
固定部と、
前記固定部に対して1箇所で支持されている錘部と、
前記平板面内で延伸しており、前記固定部と前記錘部とに接続されている梁部と、
前記梁部に設けられて前記梁部の平板面内での撓みによる応力を検出する検出素子と、
を備え、
前記梁部における平板面内で延伸方向に直交する幅方向の寸法は、前記梁部と前記固定部との接続部における前記幅方向の寸法よりも大きく、
前記検出素子は、前記梁部のうち、前記接続部の前記幅方向の寸法より大きい前記幅方向の寸法を有する部分に設けられ、かつ、前記延伸方向における前記梁部の端部以外の部分に設けられ、
前記梁部は、前記幅方向に突出する幅方向凸部を備え、
前記検出素子は、前記延伸方向での位置が前記幅方向凸部からずれている、
角加速度センサ。
【請求項2】
平板面を有し、
固定部と、
前記固定部に対して1箇所で支持されている錘部と、
前記平板面内で延伸しており、前記固定部と前記錘部とに接続されている梁部と、
前記梁部に設けられて前記梁部の平板面内での撓みによる応力を検出する検出素子と、
を備え、
前記梁部は、平板面に直交する板厚方向に貫通する貫通孔を備え、
前記検出素子は、前記延伸方向での位置が前記貫通孔と重なっている、
角加速度センサ。
【請求項3】
前記梁部は、前記幅方向に突出する幅方向凸部を備え、
前記検出素子は、前記延伸方向での位置が前記幅方向凸部からずれている、
請求項2に記載の角加速度センサ。
【請求項4】
前記梁部における平板面内で延伸方向に直交する幅方向の寸法は、前記梁部と前記固定部との接続部における前記幅方向の寸法よりも大きい、
請求項〜3のいずれかに記載の角加速度センサ。
【請求項5】
前記梁部は、
前記固定部に接続されている固定部側梁端部と、
前記錘部に接続されている錘部側梁端部と、
前記固定部側梁端部と前記錘部側梁端部との間に接続されており、平板面に直交する板厚方向の寸法が、前記固定部側梁端部および前記錘部側梁端部の前記板厚方向の寸法よりも小さい平板部と、
を備え、
前記検出素子は、前記平板部に設けられている、
請求項1〜4のいずれかに記載の角加速度センサ。
【請求項6】
前記平板部における前記幅方向の寸法は、前記固定部側梁端部における前記幅方向の寸法よりも大きい、
請求項5に記載の角加速度センサ。
【請求項7】
前記錘部は、前記幅方向に凹む凹部を有し、
前記固定部は、前記幅方向に突出し前記凹部に対向する凸部を有し、
前記梁部は、前記錘部の重心位置の近傍で前記凸部と前記凹部とに接続されている、
請求項1〜6のいずれかに記載の角加速度センサ。
【請求項8】
平板面を有し、
固定部と、
前記固定部に対して1箇所で支持されている錘部と、
前記平板面内で延伸しており、前記固定部と前記錘部とに接続されている梁部と、
前記梁部に設けられて前記梁部の平板面内での撓みによる応力を検出する検出素子と、
を備え、
前記梁部における平板面内で延伸方向に直交する幅方向の寸法は、前記梁部と前記固定部との接続部における前記幅方向の寸法よりも大きく、
前記検出素子は、前記梁部のうち、前記接続部の前記幅方向の寸法より大きい前記幅方向の寸法を有する部分に設けられ、かつ、前記延伸方向における前記梁部の端部以外の部分に設けられ、
前記梁部は、前記幅方向に突出する幅方向凸部を備え、
前記検出素子は、前記延伸方向での位置が前記幅方向凸部からずれている、
加速度センサ。
【請求項9】
平板面を有し、
固定部と、
前記固定部に対して1箇所で支持されている錘部と、
前記平板面内で延伸しており、前記固定部と前記錘部とに接続されている梁部と、
前記梁部に設けられて前記梁部の平板面内での撓みによる応力を検出する検出素子と、
を備え、
前記梁部は、平板面に直交する板厚方向に貫通する貫通孔を備え、
前記検出素子は、前記延伸方向での位置が前記貫通孔と重なっている、
加速度センサ。
【請求項10】
前記梁部は、前記幅方向に突出する幅方向凸部を備え、
前記検出素子は、前記延伸方向での位置が前記幅方向凸部からずれている、
請求項9に記載の加速度センサ。
【請求項11】
前記梁部における平板面内で延伸方向に直交する幅方向の寸法は、前記梁部と前記固定部との接続部における前記幅方向の寸法よりも大きいことを特徴とする、
請求項〜10のいずれかに記載の加速度センサ。
【請求項12】
前記梁部は、
前記固定部に接続されている固定部側梁端部と、
前記錘部に接続されている錘部側梁端部と、
前記固定部側梁端部と前記錘部側梁端部との間に接続されており、平板面に直交する板厚方向の寸法が、前記固定部側梁端部および前記錘部側梁端部の前記板厚方向の寸法よりも小さい平板部と、
を備え、
前記検出素子は、前記平板部に設けられている、
請求項8〜11のいずれかに記載の加速度センサ。
【請求項13】
前記平板部における前記幅方向の寸法は、前記固定部側梁端部における前記幅方向の寸法よりも大きい、
請求項12に記載の加速度センサ。
【請求項14】
前記錘部は、前記幅方向に凹む凹部を有し、
前記固定部は、前記幅方向に突出し前記凹部に対向する凸部を有し、
前記梁部は、前記錘部の重心位置の近傍で前記凸部と前記凹部とに接続されている、
請求項8〜13のいずれかに記載の加速度センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、梁に生じる撓み応力から角加速度を検出する角加速度センサと、梁に生じる撓み応力から加速度を検出する加速度センサと、に関する。
【背景技術】
【0002】
角加速度センサおよび加速度センサは、固定部と錘部と梁部と検出部とを備えている。錘部は、梁部によって固定部に対して弾性支持される。検出部は、錘部に作用する角加速度または加速度を、梁部に生じる応力から検出するように構成される。
【0003】
また、ある種の角加速度センサおよび加速度センサでは、梁部の剛性を抑制するために梁部に貫通孔が設けられる(例えば特許文献1参照。)。
【0004】
図8は、特許文献1を参考にした角加速度センサの従来構成を示す平面図である。
【0005】
角加速度センサ101は、枠状の固定部102と、板状の錘部103と、錘部103と十字状をなし、両端で固定部102に接続されている梁部104と、梁部104の両端それぞれの両側面に設けられている検出電極105A,105B,105C,105Dと、を備えている。梁部104は、錘部103との連結位置を除き、略全長にわたって幅方向の中心を通る貫通孔106が形成されている。
【0006】
このように梁部104に貫通孔106が形成されていれば、梁部104の剛性が低くなるので、錘部103が受ける角加速度あたりの梁部104に生じる撓みが大きくなる。これにより、角加速度の検出感度が向上して、検出信号におけるS/N比が向上することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−322200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
梁部に貫通孔を設ける場合、梁部の剛性が低くなることによって、共振周波数の低下が引き起こされる。加速度センサや角加速度センサにおいては、共振周波数よりも高い周波数帯域の信号を検出することが難しく、共振周波数が低下すると広い検出帯域を実現することが出来なくなってしまう。共振周波数を上げるためには、梁部の幅を広くする設計変更や、貫通孔の幅を小さくする設計変更が必要であるが、そのような設計変更を行う場合には、梁部の剛性が高くなって梁部の撓みが小さくなるため、検出感度が低下してしまう。したがって、広い検出帯域と高いS/N比とを両立させることは困難であった。
【0009】
固定部を固定する筐体等に撓みや温度分布が生じると、固定部が応力を受け、その応力が固定部から梁部まで伝わることがある。すると、その応力が、検出部によって検出されてしまい、検出信号におけるS/N比が低下する場合があった。広い検出帯域を得るために梁部の幅を広くしている場合には、固定部の受ける応力が梁部に伝わり易くなるため、検出信号におけるS/N比が低下しやすく、やはり、広い検出帯域と高いS/N比とを両立させることは困難であった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、広い検出帯域と高いS/N比とを両立させることができる角加速度センサおよび加速度センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、平板面を有し、固定部と、錘部と、梁部と、検出素子と、を備える角加速度センサおよび加速度センサに関する。錘部は、固定部に対して変位可能に1箇所で支持されている。梁部は、平板面内で延伸しており、固定部と錘部とに接続されている。検出素子は、梁部に設けられており、梁部の平板面内での撓みによる応力を検出する。
【0012】
上述の構成において、梁部における平板面内で延伸方向に直交する幅方向の寸法は、梁部と固定部との接続部における幅方向の寸法よりも大きい。検出素子は、梁部のうち、前記接続部の幅方向の寸法より大きい幅方向の寸法を有する部分に設けられ、かつ、前記延伸方向における梁部の端部以外の部分に設けられる。梁部は、幅方向に突出する幅方向凸部を備え、検出素子は、梁部の延伸方向での位置が幅方向凸部からずれている。
【0013】
または、上述の構成において、梁部は、平板面に直交する板厚方向に貫通する貫通孔を備え、検出素子は、梁部の延伸方向での位置が貫通孔と重なっている。
【0014】
当該構成において、梁部における平板面内で延伸方向に直交する幅方向の寸法は、梁部と固定部との接続部における幅方向の寸法よりも大きいと好適である。
【0015】
上述の構成において、梁部は、固定部側梁端部と、錘部側梁端部と、平板部とを備え、検出素子は、平板部に設けられていると好適である。固定部側梁端部は、固定部に接続されている。錘部側梁端部は、錘部に接続されている。平板部は、固定部側梁端部と錘部側梁端部との間に接続されており、平板面に直交する板厚方向の寸法が、固定部側梁端部および錘部側梁端部の板厚方向の寸法よりも小さい。
【0016】
上述の構成において、平板部における幅方向の寸法は、固定部側梁端部における幅方向の寸法よりも大きいと好適である。
【0017】
上述の構成において、錘部は、平板面において幅方向に凹む凹部を有し、固定部は、平板面において幅方向に突出し、錘部の凹部に対向する凸部を有し、梁部は、錘部の重心位置の近傍で凸部と凹部とに接続されていると好適である。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、梁部に幅方向凸部を設け、検出素子の梁部の延伸方向での位置を幅方向凸部からずらして設けるので、錘に角加速度や加速度が作用することにより発生する梁部の応力を検出素子に効率よく集中させることができる。このため、梁部の幅を広くして共振周波数を高くする場合でも、梁部の応力を検出素子に効率よく集中させて、角加速度や加速度の検出感度を向上させることができる。したがって、広い検出帯域と高いS/N比との両立を実現できる。
【0019】
また、この発明によれば、梁部に貫通孔を設け、検出素子を、梁部の延伸方向での位置が貫通孔と重なるように設けるので、錘に角加速度や加速度が作用することにより発生する梁部の応力を検出素子に効率よく集中させることができる。このため、梁部の幅を広くして共振周波数を高くする場合でも、角加速度や加速度の検出感度を向上させて、広い検出帯域と高いS/N比との両立を実現できる。
【0020】
錘部を支持する梁部の幅が、梁部と固定部との接続部における幅よりも大きければ、筐体等の撓みや温度分布によって固定部が受ける不要な応力が、梁部に伝達されにくくなる。このため、梁部の幅を広くして共振周波数を高くする場合でも、固定部から検出素子に伝わる不要な応力を最小限にとどめて加速度や角加速度の検出精度を向上させることができる。したがって、さらに高いS/N比を実現できる。
【0021】
梁部に平板部を設け、検出素子を平板部に設ければ、筐体等の撓みや温度分布によって固定部が受ける不要な応力が検出素子に伝達されにくくなる。また、錘に角加速度や加速度が作用することにより発生する梁部の応力を検出素子に効率よく集中させることができる。このため、梁部の幅を広くして共振周波数を高くする場合でも、加速度や角加速度の検出感度と検出精度とを向上させて、さらに高いS/N比を実現できる。
【0022】
平板部における幅方向の寸法を、固定部側梁端部における幅方向の寸法よりも大きくすれば、筐体等の撓みや温度分布によって固定部が受ける不要な応力が検出素子に伝達されにくくなる。このため、梁部の幅を広くして共振周波数を高くする場合でも、加速度や角加速度の検出精度を向上させて、さらに高いS/N比を実現できる。
【0023】
錘部の凹部に固定部の凸部と梁部とが入り込むようにすれば、梁部を錘部の重心位置の近傍に配置することができ、錘部の重心位置を中心とした回転バランスを取ることができる。また、錘部の重心位置のみに梁部を配置するので、梁部に応力を集中させることができる。このため、梁部の幅を広くして共振周波数を高くする場合でも、加速度や角加速度の検出感度と検出精度を向上させて、さらに高いS/N比を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1の実施形態に係る角加速度センサを示す斜視図である。
図2】第1の実施形態に係る角加速度センサの備える梁部の周辺構造を説明する平面図である。
図3】梁部に作用する撓み応力を例示するコンター図である。
図4】梁部の寸法設定について説明する断面図である。
図5】梁部の変形例を示す平面図である。
図6】梁部の変形例を示す平面図である。
図7】第2の実施形態に係る角加速度センサを示す斜視図である。
図8】従来の角加速度センサを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の説明では、角加速度センサおよび加速度センサの有する平板面に対して垂直な板厚方向に沿う軸を直交座標系のZ軸とし、平板面における梁部の延伸方向に沿う軸を直交座標系のY軸とし、平板面における梁部の幅方向に沿い、Z軸およびY軸に対して垂直な軸を直交座標系のX軸とする。
【0026】
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態に係る角加速度センサ10について説明する。
【0027】
図1(A)は、角加速度センサ10の斜視図である。
【0028】
角加速度センサ10は、基板部11と、ピエゾ抵抗素子15A,15B,15C,15Dと、端子電極16A,16B,16C,16Dと、配線17A,17B,17C,17Dと、を備えている。なお、図1では、ピエゾ抵抗素子15A,15B,15C,15Dの図示を省略している。
【0029】
基板部11は、Y軸に沿う方向を長手方向とし、X軸に沿う方向を短手方向とし、Z軸に沿う方向を板厚方向とする、矩形平板状に構成されている。基板部11では、Z軸方向において互いに対向する2つの面の間を貫通する開口部が形成されていることにより、固定部12と、錘部13と、梁部14とが構成されている。
【0030】
また、基板部11は、SOI(Silicon On Insulator)基板を面加工することにより形成されたものであり、Z軸正方向側に位置するSOI層11Aと、Z軸負方向側に位置する基層11Bとを備えている。SOI基板の面加工は加工技術や加工装置の性能が成熟しており、複数の矩形板を効率的に高精度に製造することができる。SOI層11Aと基層11Bとは、絶縁膜により絶縁されている。SOI層11Aおよび基層11Bはいずれもシリコン系材料からなり、絶縁膜は例えば二酸化シリコン(SiO)のような絶縁材料からなる。
【0031】
固定部12は、X−Y面において、基板部11の外周部に環状に設けられており、錘部13と梁部14とを囲んでいる。すなわち、錘部13と梁部14とは、固定部12の開口内に設けられている。固定部12は、図示しない筐体等に固定されている。
【0032】
梁部14は、X−Y面において、Y軸に沿う方向を延伸方向とし、X軸に沿う方向を幅方向とし、Z軸に沿う方向を板厚方向としており、X軸正方向側の辺とX軸負方向側の辺とは、それぞれ中央が幅方向の外側に膨らみ、概略楕円形状に構成されている。梁部14の詳細な形状については後述する。梁部14は、Y軸負方向側の端部で固定部12に接続され、Y軸正方向側の端部で錘部13に接続されており、図示しない筐体等から浮いた状態で固定部12に支持されている。
【0033】
錘部13は、X−Y面において、X軸に沿う方向を短手方向とし、Y軸に沿う方向を長手方向としている。錘部13は、梁部14を介して、図示しない筐体等から浮いた状態で固定部12に支持されており、X−Y面において変位可能である。
【0034】
より具体的には、錘部13は、X−Y面において、X軸正方向側の辺の中央が複数段(3段)にわたってX軸負方向側に凹んでおり、凹みの最深部に概略矩形状の凹部13Aが設けられている。固定部12は、X−Y面において、錘部13のX軸正方向側の辺の3段の凹みに対向するように複数段(3段)にわたってX軸負方向側に突出しており、突出する領域の最頂部に概略矩形状の凸部12Aが設けられている。凹部13Aは、Y軸負方向側を向く壁面と、X軸正方向側を向く壁面と、Y軸正方向側を向く壁面とを有している。凸部12Aは、Y軸正方向側を向く壁面と、X軸負方向側を向く壁面と、Y軸負方向側を向く壁面とを有している。そして、凹部13Aの各壁面と、凸部12Aの各壁面とは、それぞれ開口部を隔てて対向している。梁部14は、凸部12AにおけるY軸正方向側を向く壁面からY軸正方向に延伸しており、凹部13AにおけるY軸負方向側を向く壁面に接続されている。
【0035】
錘部13および固定部12を上述の形状とすることにより、錘部13のX−Y面における重心位置に、梁部14を配置することが可能になる。すると、Z軸を回転軸とする角加速度が錘部13に作用する場合に、錘部13が一つの梁部14によって支持されていても回転バランスをとることができ、全ての回転慣性力が梁部14に集中して梁部14が大きく撓むことになる。また、錘部13は、梁部14から離れた位置にあるY軸方向の両端部がX軸方向に幅広であって、Y軸方向の両端部に質量が集中している。このため、Z軸を回転軸とする角加速度によって梁部14に作用する慣性モーメントが大きなものになる。これらにより、角加速度センサ10は、Z軸を回転軸とする角加速度によって梁部14の撓みが生じやすくなり、角加速度の検出感度が向上することになる。
【0036】
端子電極16A,16B,16C,16Dは、固定部12のZ軸正方向側の面に設けられている。端子電極16Aと端子電極16Bとは、固定部12のX軸正方向側の辺に沿って配置されており、端子電極16Cと端子電極16Dとは、固定部12のX軸負方向側の辺に沿って配置されている。また、端子電極16Aは、固定部12のX軸正方向側の辺においてY軸負方向側に配置されており、端子電極16Bは、固定部12のX軸正方向側の辺においてY軸正方向側に配置されている。端子電極16Cは、固定部12のX軸負方向側の辺においてY軸負方向側に配置されており、端子電極16Dは、固定部12のX軸負方向側の辺においてY軸正方向側に配置されている。
【0037】
配線17A,17B,17C,17Dは、固定部12と梁部14とのZ軸正方向側の面に設けられている。配線17Aの一端は端子電極16Aに接続されており、他端は後述するピエゾ抵抗素子15Aに接続されている。配線17Bの一端は端子電極16Bに接続されており、他端は後述するピエゾ抵抗素子15Bに接続されている。配線17Cの一端は端子電極16Cに接続されており、他端は後述するピエゾ抵抗素子15Cに接続されている。配線17Dの一端は端子電極16Dに接続されており、他端は後述するピエゾ抵抗素子15Dに接続されている。このため、端子電極16Aは配線17Aを介してピエゾ抵抗素子15Aと電気的に接続されており、端子電極16Bは配線17Bを介してピエゾ抵抗素子15Bと電気的に接続されており、端子電極16Cは配線17Cを介してピエゾ抵抗素子15Cと電気的に接続されており、端子電極16Dは配線17Dを介してピエゾ抵抗素子15Dと電気的に接続されている。
【0038】
図1(B)は、基板部11における梁部14の周辺構造を示す斜視図である。
【0039】
梁部14のX−Y面における中心位置(図中に×印で示す)は、錘部13の重心位置と一致している。また、梁部14は、応力中立面Pを境に面対称形状である。応力中立面Pは、梁部14の中心位置を通るY−Z面であり、Z軸周りの角加速度が錘部13に作用する場合に梁部14に生じる引っ張りの応力と圧縮の応力とが釣り合う状態となる面である。また、梁部14は、梁部14の中心位置を通るX−Z面を境にしても面対称形状である。梁部14は、前述したようにX−Y面において概略楕円形状であり、梁部14のX軸正方向を向く側面と、X軸負方向を向く側面とは、ともに円弧状に膨らんでいる。すなわち、梁部14は、X軸に沿う幅方向の寸法が、Y軸方向の両端部で最も狭く、Y軸方向の中央で最も広くなっている。
【0040】
凹部13Aの梁部14が接続される面、即ち、凹部13AのY軸負方向側を向く面には、梁部14側に突出して梁部14と接続される接続部13Bが設けられている。即ち、凹部13Aと梁部14とは接続部13Bを介して接続されている。接続部13Bは、X軸に沿う幅方向の寸法と、Z軸に沿う板厚方向の寸法とが、Y軸に沿って一様であり、幅方向の寸法および板厚方向の寸法が梁部14のY軸正方向側の端部と一致している。
【0041】
凸部12Aの梁部14が接続される面、即ち、凸部12AのY軸正方向側を向く面には、梁部14側に突出して梁部14と接続される接続部12Bが設けられている。即ち、凸部12Aと梁部14とは接続部12Bを介して接続されている。接続部12Bは、X軸に沿う幅方向の寸法と、Z軸に沿う板厚方向の寸法とが、Y軸に沿って一様であり、幅方向の寸法および板厚方向の寸法が梁部14のY軸負方向側の端部と一致している。
【0042】
このように、梁部14の幅方向の寸法が、梁部14と固定部12との接続部12Bにおける幅方向の寸法よりも大きいので、梁部14における幅方向の寸法が一様であるような場合よりも、梁部14の剛性を高めることができ、高い共振周波数を実現することができる。
【0043】
また、梁部14の幅方向の寸法が、梁部14と固定部12との接続部12Bにおける幅方向の寸法よりも大きいので、図示しない筐体等の撓みや温度分布によって固定部12が受ける不要な応力が、梁部14に伝達されにくくなっている。このため、後述するピエゾ抵抗素子15A〜15Dに伝わる不要な応力を最小限にとどめることができ、加速度や角加速度などの検出精度が向上し、広い検出帯域と高いS/N比との両立を実現できる。
【0044】
なお、凹部13Aの梁部14の側面に対向する面、即ち、凹部13AのX軸正方向側を向く面の梁部14に対向する部分は、円弧状に凹ませており、梁部14と錘部13とが静止状態で所定間隔だけ離れるようにしている。また、固定部12の梁部14の側面に対向する面、即ち、固定部12のX軸負方向側を向く面の梁部14に対向する部分も、円弧状に凹ませており、梁部14と固定部12とが静止状態で所定間隔だけ離れるようにしている。
【0045】
図2は、梁部14の平面図である。
【0046】
梁部14についてさらに詳細に説明すると、梁部14は、梁央部21と固定部側梁端部22と錘部側梁端部23とを備えている。
【0047】
固定部側梁端部22は、梁部14のY軸負方向側の端部近傍の部分であり、接続部12Bを介して固定部12に接続されている。固定部側梁端部22と接続部12Bとは、Z軸に沿う板厚方向の寸法が一致している。錘部側梁端部23は、梁部14のY軸正方向側の端部近傍の部分であり、接続部13Bを介して錘部13に接続されている。錘部側梁端部23と接続部13Bとは、Z軸に沿う板厚方向の寸法が一致している。梁央部21は、固定部側梁端部22と錘部側梁端部23との間に接続されており、平板部24と、板厚方向凸部25A,25B,25C,25D,26と、を備えている。
【0048】
平板部24は、前述のSOI層11Aからなり、Y軸に沿う方向を延伸方向とし、X軸に沿う方向を幅方向とし、Z軸に沿う方向を板厚方向とする平板状である。平板部24は、X−Y面において、梁央部21の略全面に設けられている。平板部24のY軸負方向側の端部は固定部側梁端部22と接続されており、Y軸正方向側の端部は錘部側梁端部23と接続されている。
【0049】
板厚方向凸部25A,25B,25C,25D,26は、前述の基層11Bからなり、X−Y面において梁央部21の特定の部分にのみ設けている。板厚方向凸部26は、Y軸に沿う方向を延伸方向とし、X軸に沿う方向を幅方向とし、Z軸に沿う方向を板厚方向とする直方体形状であって、平板部24のZ軸負方向側の面からZ軸負方向側に突出するように設けられている。板厚方向凸部26は、梁部14のX−Y面における中心位置を通るように、平板部24のZ軸負方向側の面におけるX軸方向の中央にY軸に沿って設けられている。板厚方向凸部26のY軸負方向側の端部は固定部側梁端部22と接続され、Y軸正方向側の端部は錘部側梁端部23と接続されている。
【0050】
板厚方向凸部25A〜25Dは、Y軸に沿う方向を延伸方向とし、X軸に沿う方向を幅方向とし、Z軸に沿う方向を板厚方向とする直方体形状であって、平板部24のZ軸負方向側の面からZ軸負方向側に突出するように設けられている。
【0051】
板厚方向凸部25Aは、梁部14のX軸正方向側の端近傍でY軸に沿って設けられており、Y軸負方向側の端部が固定部側梁端部22と接続されている。板厚方向凸部25Bは、梁部14のX軸正方向側の端近傍でY軸に沿って設けられており、Y軸正方向側の端部が錘部側梁端部23と接続されている。板厚方向凸部25AのY軸正方向側の端部と、板厚方向凸部25BのY軸負方向側の端部とは、梁部14のX軸正方向側の端近傍において、Y軸に沿って間隔をあけた状態で対向している。
【0052】
板厚方向凸部25Cは、梁部14のX軸負方向側の端近傍でY軸に沿って設けられており、Y軸負方向側の端部が固定部側梁端部22と接続されている。板厚方向凸部25Dは、梁部14のX軸負方向側の端近傍でY軸に沿って設けられており、Y軸正方向側の端部が錘部側梁端部23と接続されている。板厚方向凸部25CのY軸正方向側の端部と、板厚方向凸部25DのY軸負方向側の端部とは、梁部14のX軸負方向側の端近傍において、Y軸に沿って間隔をあけた状態で対向している。
【0053】
なお、基板部11にSOI基板を利用することで、このような形状の梁部14の形成が容易となる。具体的には、SOI基板のSOI層11Aと基層11Bとの間に設けられている絶縁体層をエッチングストップ層として利用し、SOI層11Aに対してエッチングを行う工程と、SOI基板を裏返す工程と、基層11Bに対してエッチングを行う工程とを実施することで、梁部14を少ない工程で形成することが可能になる。
【0054】
このように梁央部21は、平板部24を備えて構成されているため、固定部側梁端部22や錘部側梁端部23、接続部12B,13Bよりも、梁央部21は平板面内で延伸方向に直交する方向であるX軸方向に沿う曲げ剛性が十分に低くなっており、固定部側梁端部22や錘部側梁端部23、接続部12B,13Bよりも、撓みや応力が集中するように構成されている。即ち、固定部側梁端部22や錘部側梁端部23、接続部12B,13Bには、殆どY軸方向へ曲がるような撓みが生じることなく、梁央部21のみ、Y軸方向へ曲がるような撓みが生じることになる。
【0055】
また、梁央部21は、板厚方向凸部25A〜25D,26を備えて構成されているため、板厚方向凸部25A〜25D,26のZ軸方向に重なる平板部24の領域で剛性が高くなって撓みや応力が殆ど作用しないようになっている。そして、板厚方向凸部25Aと板厚方向凸部25BとにY軸方向から挟まれる領域や、板厚方向凸部25Cと板厚方向凸部25DとにY軸方向から挟まれる領域に、撓みや応力が集中し易くなっている。
【0056】
また、平板部24は、貫通孔27A,27B,27C,27Dと、幅方向凸部28A,28Bと、幅方向凹部29A,29B,29C,29Dと、を備えている。
【0057】
貫通孔27A〜27Dは、前述のSOI層11Aをエッチングすることにより形成されており、それぞれ、平板部24をZ軸に沿って貫通し、平板部24のZ軸正方向側の面とZ軸負方向側の面とに開口している。貫通孔27A〜27Dは、それぞれ、Y軸方向を短手方向とし、X軸方向を長手方向とするように形成されている。
【0058】
貫通孔27Aは、前述した板厚方向凸部25AのY軸正方向側の端部に重なる位置から、X軸負方向側に延伸するように設けられている。貫通孔27Bは、前述した板厚方向凸部25BのY軸負方向側の端部に重なる位置から、X軸負方向側に延伸するように設けられている。貫通孔27AのY軸正方向側の端と貫通孔27BのY軸負方向側の端とは、Y軸上での位置が離れ、X軸上での位置が一致するように配置されている。
【0059】
貫通孔27Cは、前述した板厚方向凸部25CのY軸正方向側の端部に重なる位置から、X軸正方向側に延伸するように設けられている。貫通孔27Dは、前述した板厚方向凸部25DのY軸負方向側の端部に重なる位置から、X軸正方向側に延伸するように設けられている。貫通孔27CのY軸正方向側の端と貫通孔27DのY軸負方向側の端とは、Y軸上での位置が離れ、X軸上での位置が一致するように配置されている。
【0060】
また、貫通孔27AのX軸負方向側の端と貫通孔27CのX軸正方向側との端とは、X軸上での位置が離れ、Y軸上での位置が一致するように配置されている。貫通孔27BのX軸負方向側の端と貫通孔27DのX軸正方向側との端とも、X軸上での位置が離れ、Y軸上での位置が一致するように配置されている。
【0061】
幅方向凸部28Aは、梁部14の中心位置のX軸正方向側に設けられており、平板部24のX軸正方向側の側面からX軸正方向側に突出する。幅方向凹部29Aは、幅方向凸部28AのY軸負方向側に隣接しており、平板部24のX軸正方向側の側面からX軸負方向側に凹むように設けられている。幅方向凹部29Bは、幅方向凸部28AのY軸正方向側に隣接しており、平板部24のX軸正方向側の側面からX軸負方向側に凹むように設けられている。即ち、幅方向凸部28Aは、幅方向凹部29Aと幅方向凹部29Bとの間に設けられている。
【0062】
幅方向凸部28Bは、梁部14の中心位置のX軸負方向側に設けられており、平板部24のX軸負方向側の側面からX軸負方向側に突出する。幅方向凹部29Cは、幅方向凸部28BのY軸負方向側に隣接しており、平板部24のX軸負方向側の側面からX軸正方向側に凹むように設けられている。幅方向凹部29Dは、幅方向凸部28BのY軸正方向側に隣接しており、平板部24のX軸負方向側の側面からX軸正方向側に凹むように設けられている。即ち、幅方向凸部28Bは、幅方向凹部29Cと幅方向凹部29Dとの間に設けられている。
【0063】
幅方向凹部29AのX軸負方向側の端と、貫通孔27AのX軸正方向側の端とは、X軸上での位置が離れ、Y軸上での位置が一致するように配置されている。幅方向凹部29BのX軸負方向側の端と、貫通孔27BのX軸正方向側の端とも、X軸上での位置が離れ、Y軸上での位置が一致するように配置されている。
【0064】
また、幅方向凹部29CのX軸正方向側の端と、貫通孔27CのX軸負方向側の端とは、X軸上での位置が離れ、Y軸上での位置が一致するように配置されている。幅方向凹部29DのX軸正方向側の端と、貫通孔27DのX軸負方向側の端とも、X軸上での位置が離れ、Y軸上での位置が一致するように配置されている。
【0065】
このように平板部24は、貫通孔27A〜27Dや幅方向凹部29A〜29Dを備えて構成されているため、貫通孔27A〜27Dや幅方向凹部29A〜29DのX軸方向に位置する領域の剛性が低くなっており、その領域に撓みや応力が集中し易くなっている。特には、貫通孔27A〜27Dと幅方向凹部29A〜29DとにX軸方向から挟まれる領域での剛性が著しく低くなっており、その領域に、撓みや応力が集中するように構成されている。
【0066】
また、平板部24は、幅方向凸部28A,28Bを備えて構成されているため、幅方向凸部28A,28BのX軸方向に位置する領域の剛性が高くなっており、Y軸上での位置が幅方向凸部28A,28Bから外れる領域に、撓みや応力が集中し易くなっている。
【0067】
図3は、梁部に作用する撓み応力を例示するコンター図である。図3(A)は、比較例として単純な矩形状の梁部94における撓み応力を示している。図3(B)は、本実施形態の梁部と寸法等を除き略同じ構成の梁部14’における撓み応力を示している。
【0068】
比較例に係る梁部94は、X軸正方向側の側面近傍の領域と、X軸負方向側の側面近傍の領域とに、応力が集中している。そして、各側面近傍の領域においては、梁部94の全長にわたって応力が分散しており、Y軸方向の中央で最も応力が強くなっている。
【0069】
一方、本願構成に係る梁部14’は、梁央部21におけるX軸正方向側の端部近傍の領域と、X軸負方向側の端部近傍の領域とに、応力が集中している。特に、Y軸上での位置が幅方向凸部28A,28Bから外れ、貫通孔27A〜27Dと、幅方向凹部29A〜29DとにX軸方向から挟まれる極めて狭い領域に、大きな応力が集中している。
【0070】
したがって、図2(B)においてピエゾ抵抗素子15A〜15Dを配置しているように、Y軸上での位置が幅方向凸部28A,28Bから外れ、貫通孔27A〜27Dと、幅方向凹部29A〜29DとにX軸方向から挟まれる領域に、ピエゾ抵抗素子15A〜15Dなどの検出素子を設けることで、大きな応力を検出することができ、角加速度の検出感度が良好なものになり、広い検出帯域と高いS/N比との両立を実現できる。
【0071】
次に、角加速度センサ10において、貫通孔27A〜27Dを設けることにより、高いS/N比と高い共振周波数とを実現できる理由を、数式を用いて説明する。
【0072】
一般的に、基板部11の固有振動数は、次式で表わされる。
【0073】
【数1】
【0074】
また、梁部14の応力は次式で表わされる。
【0075】
【数2】
【0076】
角加速度センサ10の検出感度は、ピエゾ抵抗素子に作用する応力に比例し、仮の比例定数を用いて次式で表わされる。なお、仮の比例定数は、実際にはピエゾ抵抗係数や、センサ駆動電圧、検出回路構成、配線ロスなどの多数の定数に応じるものである。
【0077】
【数3】
【0078】
角加速度センサ10において、高いS/N比と高い共振周波数とを実現するための数式的な条件は、上述の検出感度と固有振動数の積が大きくなるように設計することと考えられる。その場合、高いS/N比と高い共振周波数とを実現するためには、次式の値を大きくすることが必要である。
【0079】
【数4】
【0080】
即ち、角加速度センサ10の構造に起因するパラメータである、梁部14の応力中立面から応力検出位置までの距離と、梁部14の断面二次モーメントの平方根の逆数と、梁部14の有効長の平方根の逆数と、を増大させることが有効である。
【0081】
ここで、梁部14の応力中立面から応力検出位置までの距離と、梁部14の断面二次モーメントの平方根の逆数と、の積zを増大させることを考える。積zは次式で表わされるものである。
【0082】
【数5】
【0083】
梁部14の応力中立面からピエゾ抵抗素子15A〜15Dまでの距離は、次式で表わされる。なお、図4は、梁部14の梁央部21における断面図であり、各部の寸法を表記している。なお、式中のαは、プロセスルールによって決定される梁部14の端部からピエゾ抵抗素子15A〜15Dまでの距離である。
【0084】
【数6】
【0085】
梁部14の断面二次モーメントは、貫通孔27A〜27Dを設けない構成では、次式であらわされる。
【0086】
【数7】
【0087】
梁部14の断面二次モーメントは、貫通孔27A〜27Dを設ける構成では、次式であらわされる。
【0088】
【数8】
【0089】
上記の数8の式は、数7の式における梁部14の全幅wの3乗から定数kを減算したものである.したがって、貫通孔27A〜27Dが設けられているならば、常に次式の関係が成立する。
【0090】
【数9】
【0091】
このため、先に示した数5の式が示す、梁部14の断面二次モーメントを含む積zは、貫通孔27A〜27Dが設けられている本願の構成では、貫通孔27A〜27Dが設けられていない従来構成に比べて確実に増大したものになる。
【0092】
したがって、先に示した数4の式が示す検出感度と共振周波数との積f×Sは、貫通孔27A〜27Dを設けることにより、貫通孔27A〜27Dが設けられていない構成に比べて確実に増大することになり、高いS/N比と高い共振周波数とを両立させることが可能になることが理解される。
【0093】
次に、第1の実施形態に係る角加速度センサにおける、梁部の変形例について説明する。
【0094】
図5(A)は、第1の変形例に係る梁部34Aの周辺構造を示すX−Y面平面図である。第1の変形例に係る梁部34Aは、板厚方向凸部25A〜25Dを除いた構成である。第1の実施形態に係る角加速度センサ10は、このように板厚方向凸部25A〜25Dが設けられていなくてもよい。
【0095】
図5(B)は、第2の変形例に係る梁部34Bの周辺構造を示すX−Y面平面図である。第2の変形例に係る梁部34Bは、板厚方向凸部25A〜25Dと、板厚方向凸部26とを除いた構成である。第1の実施形態に係る角加速度センサ10は、このように板厚方向凸部26が設けられていなくてもよい。
【0096】
図6(A)は、第3の変形例に係る梁部34Cの周辺構造を示すX−Y面平面図である。第3の変形例に係る梁部34Cは、X−Y面における形状が矩形状である。また、梁部34Cは、板厚方向凸部25A〜25D,26と、幅方向凸部28A,28Bと、幅方向凹部29A〜29Dと、を除いた構成である。第1の実施形態に係る角加速度センサ10は、このようにX−Y面における梁部の形状が矩形状であってもよい。また、このように幅方向凸部28A,28Bと、幅方向凹部29A〜29Dと、が設けられていなくてもよい。
【0097】
図6(B)は、第4の変形例に係る梁部34Dの周辺構造を示すX−Y面平面図である。第4の変形例に係る梁部34Dは、X−Y面における形状が矩形状である。また、梁部34Dは、板厚方向凸部25A〜25D,26と、貫通孔27A〜27Dと、幅方向凹部29A〜29Dと、を除いた構成である。第1の実施形態に係る角加速度センサ10は、このように貫通孔27A〜27Dが設けられていなくてもよい。
【0098】
図6(C)は、第5の変形例に係る梁部34Eの周辺構造を示すX−Y面平面図である。第5の変形例に係る梁部34Eは、X−Y面における形状が概略楕円形状である。また、梁部34Eは、板厚方向凸部25A〜25D,26と、幅方向凸部28A,28Bと、幅方向凹部29A〜29Dと、を除いた構成である。
【0099】
図6(D)は、第6の変形例に係る梁部34Fの周辺構造を示すX−Y面平面図である。第6の変形例に係る梁部34Fは、X−Y面における形状が概略楕円形状である。また、梁部34Fは、板厚方向凸部25A〜25D,26と、貫通孔27A〜27Dと、幅方向凹部29A〜29Dと、を除いた構成である。
【0100】
以上の例示のように、幅方向凸部28A,28B、または、貫通孔27A〜27Dを備えているならば、本実施形態における梁部の形状は様々に変更することができる。なお、梁部の外形状は、幅寸法が接続部12Aよりも大きいならば様々に変更することができる。また、幅方向凸部や貫通孔の位置や形状、配置数なども、様々に変更することができる。
【0101】
なお、ピエゾ抵抗からなる角加速度検出回路の構成については、一般的な回路構成を採用するとよく、ここでは説明を省くが、例えば、4つのピエゾ抵抗を利用するホイートストンブリッジ回路を構成すると好適である。
【0102】
≪第2の実施形態≫
以下、本発明の第2の実施形態に係る加速度センサ50について説明する。前述の第1の実施形態においては角加速度を検出する角加速度センサを説明したが、本実施形態では、角加速度ではなく加速度を検出する加速度センサについて説明する。
【0103】
図7(A)は、加速度センサ50の斜視図である。
【0104】
加速度センサ50は、基板部51を備えている。なお、ここでは、ピエゾ抵抗と端子電極と配線との図示は省略している。
【0105】
基板部51は、Y軸に沿う方向を長手方向とし、X軸に沿う方向を短手方向とし、Z軸に沿う方向を板厚方向とする、矩形平板状に構成されている。基板部51では、Z軸方向において互いに対向する2つの面の間を貫通する開口部が形成されていることにより、固定部52と、錘部53と、梁部14とが構成されている。梁部14は第1の実施形態と同様のものである。
【0106】
固定部52は、X−Y面において、基板部51の外周部に環状に設けられており、錘部53と梁部14とを囲んでいる。梁部14は、Y軸負方向側の端部で固定部52に接続され、Y軸正方向側の端部で錘部53に接続されている。錘部53は、X−Y面において、X軸に沿う方向を短手方向とし、Y軸に沿う方向を長手方向としており、梁部14を介して変位可能に固定部52に支持されている。
【0107】
より具体的には、錘部53は、X−Y面において、Y軸負方向側の辺の中央がY軸正方向側に凹んでおり、凹みの内側に、梁部14が配置されている。固定部52は、X−Y面において概略矩形状を成す内壁が設けられている。梁部14は、固定部52におけるY軸正方向側を向く壁面の中央からY軸正方向に延伸しており、錘部53の凹みの内側のY軸負方向側を向く壁面に接続されている。
【0108】
このような構成であっても、本発明は好適に実施することができる。なお、加速度センサにおいては、角加速度センサとは異なり、錘部の重心位置が梁部から離れている方が、高い検出感度を実現することができる。
【0109】
なお、ピエゾ抵抗からなる加速度検出回路の構成についても、一般的な回路構成を採用するとよく、ここでは説明を省くが、例えば、4つのピエゾ抵抗を利用するホイートストンブリッジ回路を構成すると好適である。
【0110】
上述の実施形態で説明した構成により、本発明の角加速度センサおよび加速度センサは実現することができる。なお、上述の実施形態の他の様々な形態でも本発明は実施することができる。
【符号の説明】
【0111】
10…角加速度センサ
50…加速度センサ
11,51…基板部
11A…SOI層
11B…基層
12,52…固定部
12A…凸部
13,53…錘部
13A…凹部
12B,13B…接続部
14,34A,34B,34C,34D,34E,34F…梁部
15A,15B,15C,15D…ピエゾ抵抗素子
16A,16B,16C,16D…端子電極
17A,17B,17C,17D…配線
21…梁央部
22…固定部側梁端部
23…錘部側梁端部
24…平板部
25A,25B,25C,25D,26…板厚方向凸部
27A,27B,27C,27D…貫通孔
28A,28B…幅方向凸部
29A,29B,29C,29D…幅方向凹部
図2
図4
図5
図6
図8
図1
図3
図7