特許第6052309号(P6052309)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6052309情報処理装置、情報処理方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052309
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/06 20060101AFI20161219BHJP
   G06F 3/08 20060101ALI20161219BHJP
   G06F 12/16 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   G06F3/06 301W
   G06F3/08 H
   G06F3/06 306Z
   G06F3/06 304N
   G06F12/16 310A
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-13212(P2015-13212)
(22)【出願日】2015年1月27日
(65)【公開番号】特開2016-139238(P2016-139238A)
(43)【公開日】2016年8月4日
【審査請求日】2015年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 拓真
【審査官】 坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−113600(JP,A)
【文献】 特開2014−052899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/06
G06F 3/08
G06F 12/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソリッドステートドライブへのライトデータ量及びソリッドステートドライブの稼働時間を計測し、ライトデータを圧縮するソリッドステートドライブ制御手段と、
前記ソリッドステートドライブの寿命と総ライトデータ量とを基に算出する寿命閾値と、前記ライトデータ量と前記稼働時間とを基に算出する寿命判定値とを基に、前記圧縮の要否を判定して、圧縮が必要な場合に前記ソリッドステートドライブ制御手段に圧縮を指示するソリッドステートドライブ支援手段と
を含む情報処理装置。
【請求項2】
前記ソリッドステートドライブ制御手段が、
圧縮として、圧縮率の異なる複数のデータ圧縮レベルを含み、
前記ソリッドステートドライブ支援手段が、
前記寿命閾値と前記寿命判定値を基に、前記データ圧縮レベルを選択して前記ソリッドステートドライブ制御手段に指示する
請求項1に記載の情報処理装置。

【請求項3】
前記ソリッドステートドライブ制御手段が、
前記ソリッドステートドライブ支援手段からの依頼を基にソリッドステートドライブから前記寿命と総ライトデータ量を取得する
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ソリッドステートドライブ支援手段が、
前記判定結果を出力する
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
ソリッドステートドライブへのライトデータ量及びソリッドステートドライブの稼働時間を計測し、
ライトデータを圧縮し、
前記ソリッドステートドライブの寿命と総ライトデータ量とを基に算出する寿命閾値と、前記ライトデータ量と前記稼働時間とを基に算出する寿命判定値とを基に、前記圧縮の要否を判定して、圧縮が必要な場合に前記圧縮を指示する
情報処理方法。
【請求項6】
ソリッドステートドライブへのライトデータ量及びソリッドステートドライブの稼働時間を計測する処理と、
ライトデータを圧縮する処理と、
前記ソリッドステートドライブの寿命と総ライトデータ量とを基に算出する寿命閾値と、前記ライトデータ量と前記稼働時間とを基に算出する寿命判定値とを基に、前記圧縮の要否を判定して、圧縮が必要な場合に前記圧縮を指示する処理と
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)に関し、特に、SSDの寿命を管理する情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
SSD(Solid State Drive)は、書換え寿命がある。そのため、寿命を管理する技術が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照)。
【0003】
また、寿命を延長する方法として、スロットリング(throttling)がある。スロットリングを採用しているSSDは、ライトのデータ量が多くなり短命化すると判定した場合に、スロットリングとして、IO(Input Output)動作の頻度を抑制するように制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−203381号公報
【特許文献2】特開2010−244521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
SSDの寿命は、ライトデータ量で規定される。つまり、SSDは、ライトデータ量が規定量に到達すると、故障する可能性が高くなる。
【0006】
近年、SSDは、大容量化のため、SSDを構成しているNAND(Negative-AND)ゲートの製造プロセスが微細化されている。微細化に伴い、NANDゲートでの電荷の保持力が、低下している。そのため、SSDにおいて、短寿命化が、進行している。そこで、SSDの延命化の技術が、望まれている。
【0007】
しかし、特許文献1に記載の技術は、別のメモリを用いる技術であり、個別のSSDを延命化する技術ではない。また、特許文献2に記載の技術は、寿命を計算する技術であり、SSDを延命化する技術ではない。
【0008】
このように、特許文献1及び2に記載の技術は、SSD自体の延命化を実行できないという問題点があった。
【0009】
また、スロットリングは、ライトデータ量に対するSSDの延命化の技術ではない。さらに、スロットリングは、IO処理の間隔を広げる方法のため、IO性能が低下する。さらに、SSD内部でスロットリングしていることは、SSDの外部から分からない。つまり、スロットリングは、SSDの性能を低下させるという問題点があった。また、スロットリングは、実行しているか否かが分からないという問題点もあった。
【0010】
本発明の目的は、上記問題点を解決し、スロットリングなどを用いずに、SSDを延命化する情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一形態における情報処理装置は、ソリッドステートドライブへのライトデータ量及びソリッドステートドライブの稼働時間を計測し、ライトデータを圧縮するソリッドステートドライブ制御手段と、ソリッドステートドライブの寿命と総ライトデータ量とを基に算出する寿命閾値と、ライトデータ量と稼働時間とを基に算出する寿命判定値とを基に、圧縮の要否を判定して、圧縮が必要な場合にソリッドステートドライブ制御手段に圧縮を指示するソリッドステートドライブ支援手段とを含む。
【0012】
本発明の一形態におけるデータ処理方法は、ソリッドステートドライブへのライトデータ量及びソリッドステートドライブの稼働時間を計測し、ライトデータを圧縮し、ソリッドステートドライブの寿命と総ライトデータ量とを基に算出する寿命閾値と、ライトデータ量と稼働時間とを基に算出する寿命判定値とを基に、圧縮の要否を判定して、圧縮が必要な場合に圧縮を指示する。
【0013】
本発明の一形態におけるプログラムは、ソリッドステートドライブへのライトデータ量及びソリッドステートドライブの稼働時間を計測する処理と、ライトデータを圧縮する処理と、ソリッドステートドライブの寿命と総ライトデータ量とを基に算出する寿命閾値と、ライトデータ量と稼働時間とを基に算出する寿命判定値とを基に、圧縮の要否を判定して、圧縮が必要な場合に圧縮を指示する処理とをコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の効果】
【0014】
本発明に基づけば、SSDを延命化するとの効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明における第1に実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る情報処理装置の動作の一例を示すシーケンス図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る情報処理装置を含む情報処理システムの構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る情報処理装置の別の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
なお、各図面は、本発明の実施形態を説明するものである。ただし、本発明は、各図面の記載に限られるわけではない。また、各図面の同様の構成には、同じ番号を付し、その繰り返しの説明を、省略する場合がある。
【0018】
また、以下の説明に用いる図面において、本発明の説明に関係しない部分の構成については、記載を省略し、図示しない場合もある。
【0019】
<第1の実施形態>
まず、本発明のおける第1の実施形態に係る情報処理装置10を説明するために、情報処理装置10を含む情報処理システム90の一例について説明する。
【0020】
図3は、第1の実施形態に係る情報処理装置10を含む情報処理システム90の構成の一例を示すブロック図である。
【0021】
情報処理システム90は、情報処理装置10と、1台又は複数台のSSD40と、支援機器80とを含む。
【0022】
SSD40は、記憶装置として動作し、受信したデータを記憶し、要求に応じて記憶したデータを出力する。なお、SSD40は、一般的なSSDでよいため、詳細な説明を省略する。
【0023】
支援機器80は、情報処理装置10に接続され、情報処理装置10に情報(例えば、指示)を送信し、情報処理装置10から情報(例えば、SSD40の状態)を受信する。なお、支援機器80は、受信した情報を表示してもよい。
【0024】
情報処理装置10は、1台又は複数台のSSD40と接続され、SSD40へのデータの書き込み、及び、SSD40からのデータの読み出しを実行する。なお、情報処理装置10は、SSD40以外の1台又は複数台の記憶装置(例えば、図3に示すようにHDD(Hard Disc Drive)50)と接続されてもよい。
【0025】
なお、情報処理装置10は、SSD40(及びHDD50)を装置内部に含んでもよい。
【0026】
次に、本発明における第1の実施形態に係る情報処理装置10の構成について説明する。
【0027】
図1は、第1の実施形態に係る情報処理装置10の構成の一例を示すブロック図である。
【0028】
図1を参照すると、情報処理装置10は、SSD制御部20と、SSD支援部30とを含む。そして、SSD制御部20は、圧縮部25を含む。
【0029】
情報処理装置10は、これらの構成を基に、SSD40の寿命を把握する。そして、情報処理装置10は、SSD40の短命化が懸念されると判定した場合(例えば、ライトデータ量が多い場合)、ライトデータを圧縮し、SSD40に書き込まれるライトデータ量を削減し、SSD40の延命化を実現する。
【0030】
次に、各構成について、より詳細に説明する。
【0031】
なお、以下の説明の前提として、SSD40は、予め、寿命を示す寿命パラメータ(寿命年数(X)と寿命到達までの総ライトデータ量(W))を記憶しているとする。例えば、一般的に、SSD40は、工場出荷時に寿命パラメータを記憶される。なお、SSD40が寿命を記憶していない場合、SSD制御部20は、図示しない管理装置等からSSD40の寿命パラメータを取得してもよい。その場合、SSD制御部20は、以下の説明におけるSSD40からの寿命パラメータの取得動作を、その装置からの取得動作に変更して動作すればよい。また、寿命パラメータは、寿命年数(X)と寿命到達までの総ライトデータ量(W)に限らず、以下で説明するSSD支援部30が、SSD40の寿命の判定に用いることができるデータであればよい。
【0032】
SSD制御部20は、SSD40へのアクセスを制御する。具体的には、SSD制御部20は、データの書き込み及びデータの読み出しを制御する。そして、SSD制御部20は、SSD40へのライトデータ量(Y)を計測(カウント)する。また、SSD制御部20は、SSD40の稼働時間(Z)を計測する。
【0033】
圧縮部25は、SSD制御部20に制御され、SSD制御部20がSSD40に書き込むデータを圧縮する。
【0034】
圧縮部25におけるデータの圧縮率が高い場合、SSD40に書き込まれるデータ量は少なくなる。しかし、圧縮率が高い場合、圧縮部25における圧縮のための処理が多くなり、アクセス性能が低下する。そのため、圧縮部25における圧縮は、必要最小限の圧縮率であることが望ましい。
【0035】
さらに、圧縮部25は、複数のデータの圧縮率(データ圧縮レベル)を備えることが望ましい。
【0036】
SSD支援部30は、SSD制御部20から現在までのライトデータ量(Y)及び稼働時間(Z)と、SSD40の寿命パラメータとを取得する。そして、SSD支援部30は、ライトデータ量(Y)と稼働時間(Z)と寿命パラメータとを基に、圧縮が必要か否かの判定に用いる寿命閾値と、寿命閾値と比較する値(寿命判定値)とを算出する。そして、SSD支援部30は、寿命閾値と寿命判定値とを基にSSD制御部20において、圧縮が必要か否かを判定する。寿命閾値と寿命判定値とについては、後ほど、詳細に説明する。
【0037】
なお、圧縮部25が複数のデータ圧縮レベルを備える場合、SSD支援部30は、圧縮部25におけるデータ圧縮レベルを選択してもよい。
【0038】
そして、SSD支援部30は、圧縮を必要と判定した場合、SSD制御部20にデータの圧縮を指示する。さらに、データ圧縮レベルを選択した場合、SSD支援部30は、SSD制御部20に、データ圧縮レベルを通知する。
【0039】
SSD制御部20は、SSD支援部30からの圧縮(及びデータ圧縮レベル)の指示を基に、圧縮部25を用いてライトデータを圧縮後、SSD40にデータを書き込む。
【0040】
なお、SSD支援部30は、図3に示す支援機器80等の外部の装置に、SSD40の圧縮の実施の有無、及び/又は、データ圧縮レベルを通知してもよい。
【0041】
次に、情報処理装置10の動作について、図面を参照して説明する。
【0042】
図2は、情報処理装置10の動作の一例を示すシーケンス図である。
【0043】
SSD40は、予め、寿命パラメータを記憶する(S102)。
【0044】
SSD制御部20は、SSD40へのライトデータ量(Y)と稼働時間(Z)とを計測する(S101)。なお、SSD制御部20は、計測に先立ち、接続されている装置がSSD40であるか否かを判定してもよい。例えば、SSD制御部20は、接続されている装置の回転速度(Rotational Speed)パラメータを参照し、回転速度が「0」の場合に、SSD40と判定してもよい。
【0045】
SSD支援部30は、所定のタイミング(例えば、所定の周期、又は、支援機器80からの依頼の受信時)に、SSD制御部20に寿命を判定するための情報(寿命パラメータ等)を依頼する(S103)。ここでの情報は、SSD40の寿命パラメータに加え、SSD制御部20が計測するライトデータ量(Y)及び稼働時間(Z)を含む情報である。
【0046】
SSD制御部20は、SSD支援部30からの依頼を基に、SSD40に寿命パラメータ(総ライトデータ量(W)と寿命年数(X))を要求する(S104)。なお、SSD制御部20は、既に寿命パラメータを受信済みの場合(例えば、SSD40の初期化処理で寿命パラメータを受信済みの場合)、この処理を省略してもよい。
【0047】
SSD40は、SSD制御部20に、寿命パラメータを送信する(S105)。
【0048】
SSD制御部20は、受信した寿命パラメータと、計測したライトデータ量(Y)と、稼働時間(Z)とをSSD支援部30に送信する(S106)。
【0049】
SSD支援部30は、受信した情報を基に、寿命閾値を算出し、SSD40の寿命の状態(例えば、寿命到達の予測時間と寿命閾値との大小比較)を判定する(S107)。
【0050】
そして、SSD支援部30は、判定を基に、SSD制御部20における圧縮の必要の有無、及び、データ圧縮レベル(データ圧縮率)を決定する(S108)。
【0051】
圧縮が必要な場合(S108でYes)、SSD支援部30は、SSD制御部20に圧縮を指示する。そして、圧縮部25が、複数のデータ圧縮レベル(データ圧縮率)に対応する場合、SSD支援部30は、SSD制御部20にデータ圧縮レベルを指示する。
【0052】
なお、既に、圧縮を指示している場合、SSD支援部30は、SSD制御部20への指示を省略してもよい。ただし、圧縮を指示後でも、データ圧縮レベルが変更となった場合、SSD支援部30は、SSD制御部20にデータ圧縮レベルの変更を指示する。
【0053】
SSD支援部30からデータ圧縮の指示を受けた場合、SSD制御部20は、圧縮部25を用いて、SSD40へのライドデータを圧縮する(S109)。さらに、データ圧縮レベルを受信した場合、SSD制御部20は、圧縮部25にデータ圧縮レベルを設定する。そして、SSD制御部20は、圧縮部25を用いて、以降のライトデータを圧縮後、SSD40に書き込む。この結果、情報処理装置10は、SSD40に書き込むデータ量を削減し、SSD40の延命化を実現する。
【0054】
圧縮が必要ない場合(S108でNo)、SSD支援部30は、SSD制御部20に対して何も指示しない。なお、既に圧縮を指示している場合、SSD支援部30は、SSD制御部20に対して、圧縮の停止を指示してもよい。
【0055】
SSD支援部30は、判定後、判定結果を保管することが望ましい。さらに、SSD支援部30は、ログのように、時間情報とともに判定結果を保管することが望ましい。
【0056】
そして、SSD支援部30は、保管した情報、SSD40の寿命情報として、図示しない表示機器に表示、又は、外部の装置(例えば、支援機器80)に送信(出力)してもよい(S110)。例えば、SSD支援部30は、次回の寿命の確認の実施までの間、寿命情報を図示しない表示機器に表示してもよい。
【0057】
[判定の説明]
次に、S108におけるSSD支援部30におけるSSD40の寿命判定の具体的な一例を示す。
【0058】
まず、説明に用いる変数をまとめると、次のとおりである。
【0059】
W:SSD40における寿命到達までの総ライトデータ量(SSD40が記憶)
X:SSD40の寿命年数(SSD40が記憶)
Y:現在までのSSD40へのライトデータ量(SSD制御部20が計測)
Z:現在までのSSD40の稼働時間(SSD制御部20が計測)
SSD支援部30は、「W/X」を寿命閾値として用いる。また、SSD支援部30は、寿命閾値と比較する値(寿命判定値)として「Y/Z」として用いる。ここで、寿命判定値は、寿命到達の予測時間に相当する。ただし、SSD支援部30は、比較において、例えば、寿命年数を時間に変更する等、適宜、変換処理を実行する。
【0060】
そして、圧縮部25は、次に示す3つのデータ圧縮レベル(データ圧縮率)での圧縮が可能とする。
(1)データ圧縮レベル1:低い圧縮率(処理時間が少ない)
(2)データ圧縮レベル2:中程度の圧縮率(処理時間は中程度)
(3)データ圧縮レベル3:高い圧縮率(処理時間が多い)
この場合、SSD支援部30は、例えば、次のように判定して、SSD制御部20に指示を送信する。
【0061】
(1)寿命判定値(Y/Z)/寿命閾値(W/X)≦1.0
SSD支援部30は、圧縮が不要と判定する。
【0062】
(2)1.0<寿命判定値(Y/Z)/寿命閾値(W/X)≦1.2
SSD支援部30は、SSD制御部20に圧縮レベル1(低圧縮)を指示する。
【0063】
(3)1.2<寿命判定値(Y/Z)/寿命閾値(W/X)≦1.4
SSD支援部30は、SSD制御部20に圧縮レベル2(中圧縮)を指示する。
【0064】
(4)1.4<寿命判定値(Y/Z)/寿命閾値(W/X)
SSD支援部30は、SSD制御部20に圧縮レベル3(高圧縮)を指示する。
【0065】
このように、SSD支援部30は、寿命閾値に対する寿命判定値の大きさを基に、圧縮の要否と、圧縮の程度を設定する。
【0066】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0067】
本実施形態の情報処理装置10は、SSD40の延命化を実現するとの効果を奏することができる。
【0068】
その理由は、次のとおりである。
【0069】
SSD制御部20は、SSD40へのライトデータ量と、SSD40の稼働時間とを計測する。そして、SSD支援部30は、ライトデータ量及び稼働時間を用いて算出する寿命判定値と、SSD40の寿命年数及び総ライトデータ量と基に算出する寿命閾値とを比較し、SSD40の寿命を判定する。そして、SSD支援部30が、判定結果を基に、所定の圧縮を判定する。そして、SSD制御部20が、圧縮部25を用いて、判定結果の圧縮率で圧縮したデータをSSD40に書き込む。そのため、情報処理装置10は、データの書き込みが多い場合に、SSD40の延命化を実現できるためである。
【0070】
また、一般的なSSD40は、寿命到達までの管理を、SSD40が内部で実施している。そして、SSD40内部での寿命の管理方法及びSSD40が残寿命として公開するパラメータは、SSD40のベンダー及び機種毎に異なる。そのため、SSD40を使う場合、一律的に適用できる管理方法がなかった。
【0071】
これに対し、本実施形態の情報処理装置10は、情報処理装置10からSSD40に対するライトのデータ量と、情報処理装置10にSSD40が接続されて動作する稼働時間とを用いてSSD40を管理する。また、情報処理装置10は、SSD40の寿命パラメータとして、SSD40の寿命時間と、総ライトデータ量とを用いる。ここで、SSD40の寿命時間と、総ライトデータ量とは、SSD40に共通的なパラメータである。そのため、情報処理装置10は、SSD40を一律的に管理するとの効果を奏することができる。
【0072】
[変形例]
以上の説明した情報処理装置10は、次のように構成される。
【0073】
例えば、情報処理装置10の各構成部は、ハードウェア回路で構成されても良い。例えば、圧縮を実行する場合の性能に影響する圧縮部25は、ハードウェア回路で構成されることが望ましい。
【0074】
また、情報処理装置10は、各構成部が、ネットワークを介して接続した複数の装置を用いて、構成されても良い。
【0075】
また、情報処理装置10は、複数の構成部を1つのハードウェアで構成しても良い。
【0076】
また、情報処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを含むコンピュータ装置として実現してもよい。情報処理装置10は、上記構成に加え、さらに、入出力接続回路(IOC:Input Output Circuit)と、ネットワークインターフェース回路(NIC:Network Interface Circuit)とを含むコンピュータ装置として実現しても良い。
【0077】
図4は、本変形例に係る情報処理装置600の構成の一例を示すブロック図である。
【0078】
情報処理装置600は、CPU610と、ROM620と、RAM630と、内部記憶装置640と、IOC650と、NIC680と、NIC690とを含み、コンピュータ装置を構成している。
【0079】
CPU610は、ROM620からプログラムを読み込む。そして、CPU610は、読み込んだプログラムに基づいて、RAM630と、内部記憶装置640と、IOC650と、NIC680と、NIC690とを制御する。そして、CPU610を含むコンピュータは、これらの構成を制御し、図1に示す、SSD制御部20と、SSD支援部30としての各機能を実現する。
【0080】
CPU610は、各機能を実現する際に、RAM630又は内部記憶装置640を、プログラムの一時記憶として使用しても良い。
【0081】
また、CPU610は、コンピュータで読み取り可能にプログラムを記憶した記憶媒体700が含むプログラムを、図示しない記憶媒体読み取り装置を用いて読み込んでも良い。あるいは、CPU610は、NIC680又はNIC690を介して、図示しない外部の装置からプログラムを受け取り、RAM630に保存して、保存したプログラムを基に動作しても良い。
【0082】
ROM620は、CPU610が実行するプログラム及び固定的なデータを記憶する。ROM620は、例えば、P−ROM(Programmable-ROM)又はフラッシュROMである。
【0083】
RAM630は、CPU610が実行するプログラム及びデータを一時的に記憶する。RAM630は、例えば、D−RAM(Dynamic-RAM)である。
【0084】
内部記憶装置640は、情報処理装置600が長期的に保存するデータ及びプログラムを記憶する。また、内部記憶装置640は、CPU610の一時記憶装置として動作しても良い。内部記憶装置640は、例えば、ハードディスク装置、光磁気ディスク装置、SSD又はディスクアレイ装置である。
【0085】
ここで、ROM620と内部記憶装置640は、不揮発性(non-transitory)の記憶媒体である。一方、RAM630は、揮発性(transitory)の記憶媒体である。そして、CPU610は、ROM620、内部記憶装置640、又は、RAM630に記憶されているプログラムを基に動作可能である。つまり、CPU610は、不揮発性記憶媒体又は揮発性記憶媒体を用いて動作可能である。
【0086】
IOC650は、CPU610と、入力機器660及び表示機器670とのデータを仲介する。IOC650は、例えば、IOインターフェースカード又はUSB(Universal Serial Bus)カードである。
【0087】
入力機器660は、情報処理装置600の操作者からの入力指示を受け取る機器である。入力機器660は、例えば、キーボード、マウス又はタッチパネルである。
【0088】
表示機器670は、情報処理装置600の操作者に情報を表示する機器である。表示機器670は、例えば、液晶ディスプレイである。
【0089】
NIC680及びNIC690は、ネットワークを介した図示しない外部の装置(例えば、SSD40及び支援機器80)とのデータのやり取りを中継する。NIC680及びNIC690は、例えば、PCIe(Peripheral Component Interconnect express)カード、又は、LAN(Local Area Network)カードである。
【0090】
このように構成された情報処理装置600は、情報処理装置10と同様の効果を得ることができる。
【0091】
その理由は、情報処理装置600のCPU610が、プログラムに基づいて情報処理装置10と同様の機能を実現できるためである。
【0092】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成及び詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、SSDのような耐久性の低い(Low Endurance)記憶装置を用いる装置に利用可能である。
【0094】
例えば、本発明は、少なくとも一部の記憶装置として、SSDを用いるディスクアレイ装置、及び、RAID(Redundant Array of Inexpensive (Independent) Disks)装置に使用可能である。
【符号の説明】
【0095】
10 情報処理装置
20 SSD制御部
25 圧縮部
30 SSD支援部
40 SSD
50 HDD
80 支援機器
90 情報処理システム
600 情報処理装置
610 CPU
620 ROM
630 RAM
640 内部記憶装置
650 IOC
660 入力機器
670 表示機器
680 NIC
690 NIC
700 記憶媒体
図1
図2
図3
図4