【実施例】
【0018】
図1に示すように、本実施例における空気調和装置1は、2台の室外機2a、2bと、5台の室内機8a〜8eと、5台の切換ユニット6a〜6eと、分岐器70、71、72とを備えている。これら室外機2a、2bと室内機8a〜8eと切換ユニット6a〜6eと分岐器70、71、72とが、高圧ガス管30と、高圧ガス分管30a、30bと、低圧ガス管31と、低圧ガス分管31a、31bと、液管32と、液分管32a、32bとで相互に接続されることによって、空気調和装置1の冷媒回路が構成される。
【0019】
空気調和装置1では、室外機2a、2bや切換ユニット6a〜6eに備えられた各種弁類の開閉状態に応じて、暖房運転(全ての室内機が暖房運転)、暖房主体運転(暖房運転を行っている室内機で要求される能力全体が冷房運転を行っている室内機で要求される能力全体を上回る場合)、冷房運転(全ての室内機が冷房運転)、冷房主体運転(冷房運転を行っている室内機で要求される能力全体が暖房運転を行っている室内機で要求される能力全体を上回る場合)といった運転動作が可能である。以下の説明では、これら運転動作の中から冷房主体運転を行っている場合を例に挙げ、
図1を用いて説明する。
【0020】
図1は、室内機8a〜8cが冷房運転、室内機8d、8eが暖房運転を行っている場合の冷媒回路図である。まずは、室外機2a、2bについて説明するが、室外機2a、2bの構成は全て同じであるため、以下の説明では室外機2aの構成についてのみ説明を行い、室外機2bについては詳細な説明は省略する。
【0021】
図1に示すように、室外機2aは、圧縮機21aと、流路切換手段である第1三方弁22aおよび第2三方弁23aと、第1室外熱交換器24aと、第2室外熱交換器25aと、室外ファン26aと、アキュムレータ27aと、オイルセパレータ28aと、レシーバタンク29aと、第1室外熱交換器24aに接続された第1室外膨張弁40aと、第2室外熱交換器25aに接続された第2室外膨張弁41aと、ホットガスバイパス管36aと、ホットガスバイパス管36aに備えられた第1電磁弁42aと、油戻し管37aと、油戻し管37aに備えられた第2電磁弁43aと、閉鎖弁44a〜46aとを備えている。尚、第1室外膨張弁40aと第2室外膨張弁41aとが、本発明における流量調整手段である。
【0022】
圧縮機21aは、インバータにより回転数が制御される図示しないモータによって駆動されることで運転容量を可変できる能力可変型圧縮機である。
図1に示すように、圧縮機21aの吐出側は、オイルセパレータ28aの流入側に冷媒配管で接続されており、オイルセパレータ28aの流出側は室外機高圧ガス管33aで閉鎖弁44aに接続されている。また、圧縮機21aの吸入側は、アキュムレータ27aの流出側に冷媒配管で接続されており、アキュムレータ27aの流入側は、室外機低圧ガス管34aで閉鎖弁45aに接続されている。
【0023】
第1三方弁22aおよび第2三方弁23aは、冷媒の流れる方向を切り換えるための弁であり、第1三方弁22aはa、b、cの3つのポートを、第2三方弁23aはd、e、fの3つのポートをそれぞれ備えている。第1三方弁22aでは、ポートaに接続された冷媒配管が接続点Aで室外機高圧ガス管33aに接続されている。また、ポートbと第1室外熱交換器24aとが冷媒配管で接続され、ポートcに接続された冷媒配管が接続点Dで室外機低圧ガス管34aに接続されている。
【0024】
第2三方弁23aでは、ポートdに接続された冷媒配管が接続点Aで室外機高圧ガス管33aおよび第1三方弁22aのポートaに接続された冷媒配管に接続されている。またポートeと第2室外熱交換器25aとが冷媒配管で接続され、ポートfに接続された冷媒配管が接続点Cで第1三方弁22aのポートcに接続された冷媒配管と接続されている。
【0025】
第1室外熱交換器24aおよび第2室外熱交換器25aは、アルミ材で形成された図示しない多数のフィンと、内部に冷媒を流通させる図示しない複数の銅管とで構成されている。第1室外熱交換器24aの一方の冷媒出入口は上述したように第1三方弁22aのポートbに接続され、他方の冷媒出入口は冷媒配管を介して第1室外膨張弁40aの一方のポートに接続されている。尚、第1室外膨張弁40aの他方のポートは、閉鎖弁46aと室外機液管35aで接続されている。
【0026】
第2室外熱交換器25aの一方の冷媒出入口は上述したように冷媒配管を介して第2三方弁23aのポートeに接続され、他方の冷媒出入口は冷媒配管を介して第2室外膨張弁41aの一方のポートに接続されている。尚、第2室外膨張弁41aの他方のポートは、冷媒配管によって室外機液管35aと接続点Bで接続されている。
【0027】
第1室外膨張弁40aおよび第2室外膨張弁41aは、図示しないパルスモータにより駆動される電動膨張弁であり、パルスモータに与えるパルス数によって各々の開度が調整される。
【0028】
室外ファン26aは、第1室外熱交換器24aや第2室外熱交換器25aの近傍に配置される樹脂材で形成されたプロペラファンであり、図示しないファンモータによって回転することで、室外機2a内に外気を取り込み、第1室外熱交換器24aや第2室外熱交換器25aにおいて冷媒と熱交換させた後、熱交換した外気を室外機2a外部へ放出する。尚、本実施例では、室外ファン26a(のファンモータ)の性能上限回転数を900rpmとして説明する。
【0029】
アキュムレータ27aは、流入側が室外機低圧ガス管34aに接続され、流出側が圧縮機21aの吸入側と冷媒配管で接続されている。アキュムレータ27aは、流入した冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離し、ガス冷媒のみを圧縮機21aに吸入させる。
【0030】
オイルセパレータ28aは、流入側が圧縮機21aの吐出側に冷媒配管で接続され、流出側が室外機高圧ガス管33aに接続されている。オイルセパレータ28aは、圧縮機21aから吐出された冷媒に含まれる圧縮機21aの冷凍機油を冷媒から分離する。尚、分離された冷凍機油は、後述する油戻し管37aを介して圧縮機21aに吸入される。
【0031】
レシーバタンク29aは、室外機液管35aにおける接続点Bと閉鎖弁46aとの間に設けられており、冷媒を収容することが可能な容器である。レシーバタンク29aは、第1室外熱交換器24aおよび第2室外熱交換器25a内部における冷媒量を調整するバッファとしての役割を果たす、冷媒の気液分離を行う、といった機能を有する。
【0032】
ホットガスバイパス管36aは、一端が室外機高圧ガス管33aに接続点Eで接続され、他端が室外機低圧ガス管34aに接続点Fで接続されている。ホットガスバイパス管36aには、第1電磁弁42aが備えられており、第1電磁弁42aを開閉することによってホットガスバイパス管36aを冷媒が流れる状態あるいは流れない状態とできる。
【0033】
油戻し管37aは、一端がオイルセパレータ28aの油戻し口に接続され、他端が圧縮機21aの吸入側とアキュムレータ27aの流出側とを接続する冷媒配管に接続点Gで接続されている。油戻し管37aには、第2電磁弁43aが備えられており、第2電磁弁43aを開閉することによって油戻し管37aを冷媒が流れる状態あるいは流れない状態とできる。
【0034】
以上説明した構成の他に、室外機2aには各種のセンサが設けられている。
図1に示すように、圧縮機21aの吐出側とオイルセパレータ28aとを接続する冷媒配管には、圧縮機21aから吐出される冷媒の圧力を検出する高圧センサ50aと、圧縮機21aから吐出される冷媒の温度を検出する吐出温度センサ53aとが設けられている。また、室外機低圧ガス管34aにおける接続点Fとアキュムレータ27aの流入側との間には、圧縮機21aに吸入される冷媒の圧力を検出する低圧検出手段である低圧センサ51aと、圧縮機21aに吸入される冷媒の温度を検出する吸入温度センサ54aとが設けられている。また、室外機液管32aにおける接続点Bと閉鎖弁46aとの間には、室外機液管35aを流れる冷媒の圧力を検出する中間圧センサ52aと、室外機液管35aを流れる冷媒の温度を検出する冷媒温度センサ55aとが設けられている。
【0035】
第1三方弁22aのポートbと第1室外熱交換器24aとを接続する冷媒配管には、第1室外熱交換器24aから流出あるいは第1室外熱交換器24aへ流入する冷媒の温度を検出する第1ガス側冷媒温度センサ56aが設けられている。第1室外熱交換器24aと第1室外膨張弁40aとを接続する冷媒配管には、第1室外熱交換器24aから流出あるいは第1室外熱交換器24aへ流入する冷媒の温度を検出する第1液側冷媒温度センサ59aが設けられている。第2三方弁23aのポートeと第2室外熱交換器25aとを接続する冷媒配管には、第2室外熱交換器25aから流出あるいは第2室外熱交換器25aへ流入する冷媒の温度を検出する第2ガス側冷媒温度センサ57aが設けられている。第2室外熱交換器25aと第2室外膨張弁41aとを接続する冷媒配管には、第2室外熱交換器25aから流出あるいは第2室外熱交換器25aへ流入する冷媒の温度を検出する第2液側冷媒温度センサ60aが設けられている。
また、室外機2aの図示しない吸込口付近には、室外機2a内に流入する外気温度を検出する外気温度検出手段である外気温度センサ58aが備えられている。
【0036】
室外機2aには、制御手段100aが備えられている。制御手段100aは、図示しない制御基板に搭載されており、CPU110aと、記憶部120aと、通信部130aとを備えている。CPU110aは、室外機2aの上述した各センサからの検出信号を取り込むとともに、各室内機8a〜8eから出力される制御信号を通信部130aを介して取り込む。CPU110aは、取り込んだ検出信号や制御信号に基づいて圧縮機21aの駆動制御、第1三方弁22aおよび第2三方弁23aの切り換え制御、ファンモータ29aの回転制御、第1室外膨張弁40aおよび第2室外膨張弁41aの開度制御、といった様々な制御を行う。
【0037】
記憶部120aは、ROMやRAMで構成されており、室外機2aの制御プログラムや各センサからの検出信号に対応した検出値を記憶する。通信部130aは、室外機2aと室内機8a〜8eとの通信を行うインターフェイスである。
【0038】
尚、室外機2bの構成は室外機2aと同じであり、室外機2aの構成要素(装置や部材)に付与した番号の末尾をaからbに変更したものが、室外機2aの構成要素と対応する室外機2bの構成要素となる。但し、第1三方弁や第2三方弁、および、冷媒配管の接続点については、室外機2aと室外機2bとで記号を異ならせており、室外機2aの第1三方弁22aにおけるポートa、b、cに対応するものを室外機2bの第1三方弁22bではポートg、h、jとし、室外機2aの第2三方弁23aにおけるポートd、e、fに対応するものを室外機2bの第2三方弁23bではポートk、m、nとしている。また、室外機2aにおける接続点A、B、C、D、E、F、Gに対応するものを室外機2bでは接続点H、J、K、M、N、P、Qとしている。
【0039】
図1に示すように、冷房主体運転時の冷媒回路では、室外機2a、2bの各々に備えられた2台の室外熱交換器が凝縮器として機能するよう、各々の三方弁が切り換えられる。具体的には、室外機2aでは、第1三方弁22aはポートaとポートbとを連通するよう、また、第2三方弁23aはポートdとポートeとを連通するよう切り換えられる。また、室外機2bでは、第1三方弁22bはポートgとポートhとを連通するよう、また、第2三方弁23bはポートkとポートmとを連通するよう切り換えられる。尚、
図1では、各三方弁の連通しているポート間は実線で示し、連通していないポート間は破線で示している。
【0040】
5台の室内機8a〜8eは、室内熱交換器81a〜81eと、室内膨張弁82a〜82eと、室内ファン83a〜83eとを備えている。尚、室内機8a〜8eの構成は全て同じであるため、以下の説明では、室内機8aの構成についてのみ説明を行い、その他の室内機8b〜8eについては説明を省略する。
【0041】
室内熱交換器81aは、一端が室内膨張弁82aの一方のポートに冷媒配管で接続され、他端が後述する切換ユニット6aに冷媒配管で接続されている。室内熱交換器81aは、室内機8aが冷房運転を行う場合は蒸発器として機能し、室内機8aが暖房運転を行う場合は凝縮器として機能する。
【0042】
室内膨張弁82aは、一方のポートが上述したように室内熱交換器81aに接続され、他方のポートが液管32に接続されている。室内膨張弁82aは、室内熱交換器81aが蒸発器として機能する場合は、その開度が要求される冷房能力に応じて調整され、室内熱交換器81aが凝縮器として機能する場合は、その開度が要求される暖房能力に応じて調整される。
【0043】
室内ファン83aは、図示しないファンモータによって回転することで、室内機8a内に室内空気を取り込み、室内熱交換器81aにおいて冷媒と室内空気とを熱交換させた後、熱交換した空気を室内へ供給する。
【0044】
以上説明した構成の他に、室内機8aには各種のセンサが設けられている。室内熱交換器81aの室内膨張弁82a側の冷媒配管には冷媒の温度を検出する冷媒温度センサ84aが、また、室内熱交換器81aの切換ユニット6a側の冷媒配管には冷媒の温度を検出する冷媒温度センサ85aが、それぞれ備えられている。また、室内機8aの図示しない室内空気の吸込口付近には、室内機8a内に流入する室内空気の温度、すなわち室内温度を検出する室温センサ86aが備えられている。
【0045】
尚、室内機8b〜8eの構成は室内機8aと同じであり、室内機8aの構成要素(装置や部材)に付与した番号の末尾をaからb、c、dおよびeにそれぞれ変更したものが、室外機8aの構成要素と対応する室内機8b〜8eの構成要素となる。
【0046】
空気調和装置1には、5台の室内機8a〜8eに対応する5台の切換ユニット6a〜6eが備えられている。切換ユニット6a〜6eは、電磁弁61a〜61eと、電磁弁62a〜62eと、第1分流管63a〜63eと、第2分流管64a〜64eとを備えている。尚、切換ユニット6a〜6eの構成は全て同じであるため、以下の説明では、切換ユニット6aの構成についてのみ説明を行い、その他の切換ユニット6b〜6eについては説明を省略する。
【0047】
第1分流管63aの一端は高圧ガス管30に接続されており、第2分流管64aの一端は低圧ガス管31に接続されている。また、第1分流管63aの他端と第2分流管64aの他端とが相互に接続され、この接続部と室内熱交換器81aとが冷媒配管で接続されている。第1分流管63aには電磁弁61aが、また、第2分流管64aには電磁弁62aが、それぞれ設けられており、電磁弁61aおよび電磁弁62aをそれぞれ開閉することによって、切換ユニット6aに対応する室内機8aの室内熱交換器81aが圧縮機21の吐出側(高圧ガス管30側)または吸入側(低圧ガス管31側)に接続されるよう、冷媒回路における冷媒の流路を切り換えることができる。
【0048】
尚、切換ユニット6b〜6eの構成は、上述したように切換ユニット6aと同じであり、切換ユニット6aの構成要素(装置や部材)に付与した番号の末尾をaからb、c、dおよびeにそれぞれ変更したものが、切換ユニット6aの構成要素と対応する切換ユニット6b〜6eの構成要素となる。
【0049】
以上説明した室外機2a、2b、室内機8a〜8eおよび切換ユニット6a〜6eと、高圧ガス管30、高圧ガス分管30a、30b、低圧ガス管31、低圧ガス分管31a、31b、液管32、液分管32a、32b、および、分岐器70、71、72との接続状態を、
図1を用いて説明する。室外機2a、2bの閉鎖弁44a、44bには高圧ガス分管30a、30bの一端がそれぞれ接続され、高圧ガス分管30a、30bの他端はそれぞれ分岐器70に接続される。この分岐器70に高圧ガス管30の一端が接続され、高圧ガス管30の他端は分岐して切換ユニット6a〜6eの第1分流管63a〜63eに接続される。
【0050】
室外機2a、2bの閉鎖弁45a、45bには低圧ガス分管31a、31bの一端がそれぞれ接続され、低圧ガス分管31a、31bの他端はそれぞれ分岐器71に接続される。この分岐器71に低圧ガス管31の一端が接続され、低圧ガス管31の他端は分岐して切換ユニット6a〜6eの第2分流管64a〜64eに接続される。
【0051】
室外機2a、2bの閉鎖弁46a、46bには液分管32a、32bの一端がそれぞれ接続され、液分管32a、32bの他端はそれぞれ分岐器72に接続される。この分岐器72に液管32の一端が接続され、液管32の他端は分岐してそれぞれ室内機8a〜8eの室内膨張弁82a〜82eに接続されている冷媒配管に接続される。
【0052】
また、対応する室内機8a〜8eの室内熱交換器81a〜81eと、切換ユニット6a〜6eにおける第1分流管63a〜63eと第2分流管64a〜64eとの接続点が、それぞれ冷媒配管で接続される。
以上説明した接続によって、空気調和装置1の冷媒回路が構成され、冷媒回路に冷媒を流すことによって冷凍サイクルが成立する。
【0053】
次に、本実施例における空気調和装置1の運転動作について、
図1を用いて説明する。尚、
図1では、室外機2a、2bや室内機8a〜8eに備えられた各熱交換器が凝縮器となる場合はハッチングを付し、蒸発器となる場合は白抜きで図示する。また、室外機2a、2bに備えられた第1電磁弁42a、42bおよび第2電磁弁43a、43bや、切換ユニット6a〜6eに備えられた電磁弁61a〜61eおよび電磁弁62a〜62eの開閉状態については、閉じている場合を黒塗りで、開いている場合を白抜きで図示する。また、矢印は冷媒の流れを示している。
【0054】
図1に示すように、室内機8a〜8cが冷房運転、室内機8d、8eが暖房運転を行い、室内機8a〜8cで要求される運転能力(冷房能力)が室内機8d、8eで要求される運転能力(暖房能力)より大きい場合は、空気調和装置1は冷房主体運転を行う。このとき、室外機2aでは、第1三方弁22aのポートaとポートbとが連通するよう切り換えられて第1室外熱交換器24aが凝縮器として機能し、第2三方弁23aのポートdとポートeとが連通するよう切り換えられて第2室外熱交換器25aが凝縮器として機能する。また、室外機2bでは、第1三方弁22bのポートgとポートhとが連通するよう切り換えられて第1室外熱交換器24bが凝縮器として機能し、第2三方弁23bのポートkとポートmとが連通するよう切り換えられて第2室外熱交換器25bが凝縮器として機能する。尚、室外機2a、2bの第1電磁弁42a、42bと第2電磁弁43a、43bとは、共に閉じられており、ホットガスバイパス管36a、36bおよび油戻り管37a、37bは、冷媒や冷凍機油が流れない状態とされている。
【0055】
冷房運転を行う室内機8a〜8cでは、各々に対応する切換ユニット6a〜6cの電磁弁61a〜61cを閉じて第1分流管63a〜63cを冷媒が流れないようにするとともに、電磁弁62a〜62cを開いて第2分流管64a〜64cを冷媒が流れるようにする。これにより、室内機8a〜8cの室内熱交換器81a〜81cは全て蒸発器として機能する。
【0056】
一方、暖房運転を行う室内機8d、8eでは、各々に対応する切換ユニット6d、6eの電磁弁61d、61eを開いて第1分流管63d、63eを冷媒が流れるようにするとともに、電磁弁62d、62eを閉じて第2分流管64d、64eを冷媒が流れないようにする。これにより、室内機8d、8eの室内熱交換器81d、81eは全て凝縮器として機能する。
【0057】
圧縮機21a、21bから吐出された高圧の冷媒は、オイルセパレータ28a、28bを介して室外機高圧ガス管33a、33bを流れ、接続点A、Hで第1三方弁22a、22bおよび第2三方弁23a、23b側と閉鎖弁44a、44b側へ分流する。
【0058】
第1三方弁22a、22bおよび第2三方弁23a、23bを通過して第1室外熱交換器24a、24bおよび第2室外熱交換器25a、25bに流入した冷媒は、外気と熱交換を行って凝縮する。第1室外熱交換器24a、24bおよび第2室外熱交換器25a、25bで凝縮した冷媒は、CPU110a、110bによって、第1室外熱交換器24a、24bや第2室外熱交換器25a、25bの出口における冷媒過冷却度に開度とされた第1室外膨張弁40a、40bおよび第2室外膨張弁41a、41bを通過して中間圧の冷媒となる。尚、上記冷媒過冷却度は、例えば、高圧センサ50a、50bで検出した圧力を用いて算出する高圧飽和温度(第1室外熱交換器24a、24bや第2室外熱交換器25a、25bにおける凝縮温度に相当)と、第1液側冷媒温度センサ59a、59bや第2液側冷媒温度センサ60a、60bで検出した冷媒温度とを用いて算出する。
【0059】
第1室外膨張弁40a、40bおよび第2室外膨張弁41a、41bを通過した冷媒は、接続点B、Jで合流して室外機液管35a、35bを流れ、閉鎖弁46a、46bを介して液分管32a、32bを流れて分岐器72で合流し、液管32から室内機8a〜8cへ流入する。
【0060】
室内機8a〜8cへ流入した冷媒は、室内膨張弁82a〜82cで減圧されて低圧の冷媒となり室内熱交換器81a〜81cに流入する。室内熱交換器81a〜81cに流入した冷媒は、室内空気と熱交換を行って蒸発し、これにより室内機8a〜8cが設置された室内の冷房が行われる。室内膨張弁82a〜82cの開度は、室内熱交換器81a〜81cの冷媒出口における冷媒の過熱度に応じて決定される。冷媒の過熱度は、例えば、冷媒温度センサ85a〜85cから取り込んだ室内熱交換器81a〜81cの冷媒出口における冷媒温度から、冷媒温度センサ84a〜84cから取り込んだ室内熱交換器81a〜81cの冷媒入口における冷媒温度を引くことで求められる。
【0061】
室内熱交換器81a〜81cから流出した冷媒は切換ユニット6a〜6cに流入し、開となっている電磁弁62a〜62cが備えられた第2分流管64a〜64cを流れて低圧ガス管31に流入する。低圧ガス管31を流れて分岐器71に流入した冷媒は、分岐器71から低圧ガス分管31a、31bに分流し、閉鎖弁45a、45bを介して室外機2a、2bに流入する。室外機2a、2bに流入した冷媒は室外機低圧ガス管34a、34bを流れ、アキュムレータ27a、27bを介して圧縮機21a、21bに吸入されて再び圧縮される。
【0062】
一方、接続点A、Hから高圧ガス分管30a、30bに流れ、閉鎖弁44a、44bを介して高圧ガス分管30a、30bに流入した高圧の冷媒は、分岐器70で合流して高圧ガス管30を流れ、高圧ガス管30から切換ユニット6d、6eに流入する。
【0063】
切換ユニット6d、6eに流入した高圧の冷媒は、開となっている電磁弁61d、61eが備えられた第1分流管63d、63eを流れて切換ユニット6d、6eから流出し、切換ユニット6d、6eに対応する室内機8d、8eに流入する。室内機8d、8eに流入した高圧の冷媒は、室内熱交換器81d、81eに流入して室内空気と熱交換を行って凝縮する。これにより、室内空気が暖められ、室内機8d、8eが設置された室内の暖房が行われる。
【0064】
室内熱交換器81d、81eから流出した高圧の冷媒は、室内膨張弁82d、82eを通過して減圧される。室内膨張弁82d、82eの開度は、室内熱交換器81d、81eの冷媒出口における冷媒の過冷却度に応じて決定される。冷媒の過冷却度は、例えば、室外機2a、2bの高圧センサ50a、50bで検出した圧力から算出した高圧飽和温度(室内熱交換器81d、81e内の凝縮温度に相当)から、冷媒温度センサ84d、84eで検出した室内熱交換器81d、81eの冷媒出口における冷媒温度を引くことで求められる。
室内膨張弁82d,82eを通過して室内機8d、8eから流出した冷媒は、液管32を流れて冷房運転を行っている室内機8a〜8cに流入する。
【0065】
次に、
図1乃至
図3を用いて、本実施例の空気調和装置1において、本発明に関わる冷媒回路の動作やその作用・効果について説明する。まずは、
図1および
図2を用いて、空気調和装置1が冷房主体運転を行っている場合を例に挙げて、使用しない室外熱交換器で冷媒寝込みが発生する理由について説明する。
【0066】
図2は、空気調和装置1が
図1に示す冷房主体運転を行っているときに、室外機2bの第2室外熱交換器25bを使用しないように冷媒回路を切り換えた状態を示すものである。具体的には、第2三方弁23bのポートmとポートnとを連通するように切り換えて第2室外熱交換器25bを低圧側(室外機低圧ガス管34b)に接続するとともに、第2室外膨張弁41bを全閉(
図2において黒塗りとしている)とする。
【0067】
上記のように、室外機2bの第2室外熱交換器25bを使用しないようにする場合としては、例えば、背景技術で説明したように、外気温度が低い状態で高圧を上昇させるために圧縮機21a、21bの回転数を性能上限回転数まで上昇させることによって低下した低圧を目標低圧まで上昇させるために、凝縮器として機能している室外熱交換器の台数を減らすことで凝縮能力を低下させて低圧を上昇させる場合や、蒸発器として機能している室内熱交換器81a〜81cでの蒸発能力に対し、凝縮器として機能している室内熱交換器81d、81e、第1室外熱交換器24a、24bおよび第2室外熱交換器25a、25bでの凝縮能力が過剰となって凝縮能力を減少させる必要がある場合、等がある。
【0068】
空気調和装置1の冷媒回路が
図2に示す状態となっているときは、低圧ガス分管31bから室外機2bに流入して室外機低圧ガス管34bを流れる冷媒の一部が、接続点Mから第2三方弁23b側に分流して第2室外熱交換器25bに流入する(
図2に破線矢印で示す)。そして、第2室外熱交換器25bに流入した冷媒は、第2室外膨張弁41bが全閉とされているために、第2室外熱交換器25bに滞留する。
【0069】
このとき、低圧センサ51a、51bで検出した圧力から算出した低圧飽和温度Ts(蒸発器として機能している室内熱交換器81a〜81cにおける蒸発温度に相当)より外気温度センサ58a、58bで検出した外気温度Toが低く、かつ、圧縮機21a、21bの運転容量を増加できない(例えば、前述したような圧縮機21a、21bの回転数を性能上限回転数まで上昇させている)状態、つまり、低圧を下げることができないために低圧飽和温度Tsを下げることができない状態が所定時間(例えば10分間)以上継続した場合(以下、この条件を冷媒寝込発生条件と記載)は、第2室外熱交換器25bに滞留する冷媒が凝縮して液冷媒となって第2室外熱交換器25bに寝込む虞がある。
【0070】
このような状態が長時間続き、使用していない第2室外熱交換器25bでの冷媒寝込み量が増加すると、冷媒回路を循環する冷媒量が減少し室内機8a〜8eに流れる冷媒量が減少して冷房能力や暖房能力が低下する虞があった。
【0071】
本発明の空気調和装置1は、以上のような問題点を解決するために、使用していない室外熱交換器が存在する状態で冷房運転あるいは冷房主体運転を行っているときに冷媒寝込発生条件が成立すれば、使用していない室外熱交換器も含めて全ての室外熱交換器を凝縮器として機能させることで、使用していない室外熱交換器で寝込んでいる冷媒を当該室外熱交換器から流出させる冷媒寝込解消制御を実行する。
【0072】
以下に、
図3を用いて、冷媒寝込解消制御について具体的に説明する。
図3に示すフローチャートは、冷媒寝込解消制御を行うときの処理の流れを示すものであり、STはステップを表しこれに続く数字はステップ番号を表している。尚、
図3では本発明に関わる処理を中心に説明しており、使用者の指示した設定温度や風量等の運転条件に対応した冷媒回路の制御等といった、その他の一般的な処理については説明を省略する。
【0073】
まず、CPU110a、110bは、室内機8a〜8eにおける使用者の要求する運転モードや運転能力を通信部130a、130bを介して室内機8a〜8eから取り込み、冷房運転もしくは冷房主体運転を行うか否かを判断する(ST1)。
【0074】
冷房運転もしくは冷房主体運転を行わない場合は(ST1−No)、CPU110a、110bは、冷媒寝込解消制御を実行中であるか否かを判断する(ST10)。冷媒寝込解消制御を実行中でなければ(ST10−No)、CPU110a、110bは、ST12に処理を進め、冷媒寝込解消制御を実行中であれば(ST10−Yes)、CPU110a、110bは、冷媒寝込解消制御を停止する(ST11)。そして、CPU110a、110bは、各々の室外機2a、2bの第1三方弁22a、22bや第2三方弁23a、23bを切り換えて暖房運転もしくは暖房主体運転を行う(ST12)。
【0075】
具体的には、CPU110aは、第1三方弁22aをポートbとポートcとが連通するように切り換えるとともに、第2三方弁23aをポートeとポートfとが連通するように切り換える(
図1に破線で示す状態)。これにより、第1室外熱交換器24aおよび第2室外熱交換器25aが蒸発器として機能する。そして、CPU110aは、圧縮機21aを要求される運転能力に応じた回転数で駆動するとともに、第1室外膨張弁40aの開度を第1室外熱交換器24aの出口における冷媒過熱度に応じた開度とし、第2室外膨張弁41aの開度を第2室外熱交換器25aの出口における冷媒過熱度に応じた開度とする。
【0076】
同様に、CPU110bは、第1三方弁22bをポートhとポートjとが連通するように切り換えるとともに、第2三方弁23bをポートmとポートnとが連通するように切り換える(
図1に破線で示す状態)。これにより、第1室外熱交換器24bおよび第2室外熱交換器25bが蒸発器として機能する。そして、CPU110bは、圧縮機21bを要求される運転能力に応じた回転数で駆動するとともに、第1室外膨張弁40bの開度を第1室外熱交換器24bの出口における冷媒過熱度に応じた開度とし、第2室外膨張弁41bの開度を第2室外熱交換器25bの出口における冷媒過熱度に応じた開度とする。
【0077】
CPU110a、110bは、上記のように室外機2a、2bを制御して暖房運転もしくは暖房主体運転を実行し、ST1に処理を戻す。尚、冷媒過熱度は、例えば、低圧センサ51a、51bで検出した圧力を用いて算出した低圧飽和温度と第1ガス側冷媒温度センサ56a、56bや第2ガス側冷媒温度センサ57a、57bで検出した冷媒温度とを用いて求めることができ、CPU110a、110bは、冷媒過熱度を定期的(例えば、30秒毎)に求めて第1室外膨張弁40a、40bや第2室外膨張弁41a、41bの開度を調整する。
【0078】
冷房運転もしくは冷房主体運転を行う場合は(ST1−Yes)、CPU110a、110bは、使用しない室外熱交換器が存在するか否かを判断する(ST2)。使用しない室外熱交換器が存在しない(全ての室外熱交換器を使用している)場合は(ST2−No)、空気調和装置1の冷媒回路は
図1に示す状態となっており、CPU110a、110bは、前述したように室外機2a、2bの各構成要素を制御して冷房運転もしくは冷房主体運転を行い、ST1に処理を戻す。
【0079】
使用しない室外熱交換器が存在する場合は(ST2−Yes)、空気調和装置1の冷媒回路は例えば
図2に示す状態となっている。具体的には、室外機2aでは、第1三方弁22aがポートaとポートbとが連通するように切り換えられているとともに、第2三方弁23aがポートdとポートeとが連通するように切り換えられている(
図2に実線で示す状態)。これにより、第1室外熱交換器24aおよび第2室外熱交換器25aが凝縮器として機能する。
【0080】
また、室外機2bでは、第1三方弁22bがポートgとポートhとが連通するように切り換えられているとともに、第2三方弁23bがポートmとポートnとが連通するように切り換えられている(
図2に実線で示す状態)。これにより、第1室外熱交換器24bが凝縮器として機能するとともに第2室外熱交換器25bは使用されない状態となっている。
【0081】
上述した冷媒回路において、CPU110aは、圧縮機21aを要求される運転能力に応じた回転数で駆動するとともに、第1室外膨張弁40aおよび第2室外膨張弁41aの開度を第1室外熱交換器24aおよび第2室外熱交換器25aの出口における冷媒過冷却度に応じた開度とする。また、CPU110bは、圧縮機21bを要求される運転能力に応じた回転数で駆動するとともに、第1室外膨張弁40bの開度を第1室外熱交換器40bおよび第2室外熱交換器41bの出口における冷媒過冷却度に応じた開度とし、また、第2室外膨張弁41bを全閉とする。
【0082】
CPU110a、110bは、上記のように室外機2a、2bを制御して冷房主体運転を実行する。尚、冷媒過冷却度は、例えば、高圧センサ50a、50bで検出した圧力を用いて算出する高圧飽和温度と、第1液側冷媒温度センサ59a、59bや第2液側冷媒温度センサ60a、60bで検出した冷媒温度とを用いて求めることができ、CPU110a、110bは、冷媒過冷却度を定期的(例えば、30秒毎)に求めて第1室外膨張弁40a、40bや第2室外膨張弁41aの開度を調整する。
【0083】
次に、CPU110a、110bは、外気温度センサ58a、58bで検出した外気温度Toを取り込む(ST3)とともに、低圧センサ51a、51bで検出した圧力を取り込み、取り込んだ圧力を用いて低圧飽和温度Tsを算出する(ST4)。尚、CPU110a、110bは、外気温度Toの取り込みや低圧飽和温度Tsの算出を定期的(例えば、5秒毎)に行っている。
【0084】
次に、CPU110a、110bは、冷媒寝込発生条件が成立しているか否かを判断する(ST5)。ここで、冷媒寝込発生条件とは、使用していない第2室外熱交換器25bで冷媒寝込みが発生している虞がある条件を示しており、具体的な条件例としては、前述したように取り込んだ外気温度Toが算出した低圧飽和温度Tsよりも低く、かつ、圧縮機21a、21bの運転容量を増加できない状態が、所定時間以上、例えば10分間以上継続したか否か、である。
【0085】
冷媒寝込発生条件が成立していない場合は(ST5−No)、CPU110a、110bは、ST1に処理を戻す。冷媒寝込発生条件が成立している場合は(ST5−Yes)、CPU110a、110bは、冷媒寝込解消制御を実行する(ST6)。冷媒寝込解消制御とは、使用していない室外熱交換器も含めて全ての室外熱交換器を凝縮器として機能させて、使用していない室外熱交換器で寝込んでいる冷媒を当該室外熱交換器から流出させる制御であり、本実施例では、使用していない第2室外熱交換器25bを凝縮器として機能するように、CPU110bが第2三方弁23bや第2室外膨張弁41bを制御する。
【0086】
具体的には、CPU110bは、第2三方弁23bのポートkとポートmとが連通するように切り換えるとともに、第2室外膨張弁41bの開度を第2室外熱交換器25bの出口における冷媒過冷却度に応じた開度とする。これにより、第2室外熱交換器25bが凝縮器として機能するようになり、全ての室外熱交換器(第1室外熱交換器24a、24bおよび第2室外熱交換器25a、25b)が凝縮器として機能する状態、つまり、
図1に示す冷媒回路となる。
【0087】
以上のように使用していない第2室外熱交換器25bを凝縮器として機能させて冷媒寝込解消制御を実行するので、第2室外熱交換器25bで寝込んでいる冷媒が第2室外熱交換器25bから流出し、第2室外膨張弁41b、室外機液管35bを介して室外機2bから流出する。これにより、第2室外熱交換器25bにおける冷媒寝込みを解消することができる。
【0088】
尚、CPU110a、110bは、冷媒寝込解消制御を実行しているときは、以下の理由により室外ファン26a、26bの回転数を0〜900rpmの間で所定の割合(例えば、100rpm/20秒)で増減する。冷媒寝込解消制御を実行しているときは、
図2に示す冷媒回路から凝縮器が増加する(使用していない第2室外熱交換器25bを凝縮器として機能させる)ために、凝縮能力が過剰となって高圧(高圧ガス管30や高圧ガス分管30a、30bを流れる冷媒の圧力)が低下し、暖房運転を行っている室内機8d、8eにおいて所望の暖房能力を発揮させるための目標高圧(液管32や液分管32a、32bを流れる冷媒の圧力である液圧との差圧を確保するための高圧)を下回る虞がある。
【0089】
CPU110a、110bは、高圧センサ50a、50bが検出した高圧を定期的に取り込み、取り込んだ高圧と目標高圧との差圧に応じて、室外ファン26a、26bの回転数を0〜900rpmの間で変化させる。例えば、上述したように凝縮器として機能する室外熱交換器が増加して凝縮能力が過剰となることで高圧が目標高圧を下回れば、CPU110a、110bは、室外ファン26a、26bの回転数を所定の割合で減少させて各室外熱交換器での通風量を減少させる。これにより、各室外熱交換器での凝縮能力が低下して高圧が上昇するので、凝縮能力の過剰に起因する高圧の低下が解消され暖房運転を行っている室内機8d、8eにおいて暖房能力が低下することを防ぐことができる。
【0090】
次に、CPU110a、110bは、冷媒寝込解消条件が成立しているか否かを判断する(ST7)。冷媒寝込解消条件とは、使用していない室外熱交換器が存在しても当該室外熱交換器において冷媒寝込みが発生しない条件を示しており、具体的には、取り込んだ外気温度Toから所定温度(例えば、2℃)を引いた温度が、低圧飽和温度Tsよりも高い状態が、所定時間以上、例えば5分間以上継続したか否か、である。
【0091】
上記のように、冷媒寝込解消条件では外気温度Toから所定温度を引いた温度と低圧飽和温度Tsとを比較している。これは、冷媒寝込解消条件において外気温度Toと低圧飽和温度Tsとを比較して冷媒寝込制御の停止を行うと、その直後に再び冷媒寝込発生条件が成立して冷媒寝込制御を実行する、といったことが頻繁に起こることを防ぐためである。
【0092】
冷媒寝込解消条件が成立していなければ(ST7―No)、CPU110a、110bは、ST1に処理を戻す。冷媒寝込解消条件が成立していれば(ST7―Yes)、CPU110a、110bは、冷媒寝込解消制御を停止する(ST8)。
【0093】
次に、CPU110a、110bは、全ての室内機8a〜8eが運転を停止することによって、室外機2a、2bの運転を終了する必要があるか否かを判断する(ST9)。運転を終了する必要があれば(ST9−Yes)、CPU110a、110bは、圧縮機21a、21bを停止するとともに、第1室外膨張弁40a、40bおよび第2室外膨張弁41a、41bを全閉として、処理を終了する。運転を終了する必要がなければ(ST9―No)、CPU110a、110bは、ST1に処理を戻す。
【0094】
以上説明したように、本発明の空気調和装置によれば、室外熱交換器を凝縮器として機能させる、すなわち、冷房運転や冷房主体運転を行っているときに、使用していない室外熱交換器で冷媒寝込みが発生しても、使用していない室外熱交換器も含めて全ての室外熱交換器を凝縮器として機能させることで、寝込んでいる冷媒を室外熱交換器から流出させて冷媒寝込みを解消することができる。これにより、冷房運転を行っている室内機における冷媒不足を解消することができ、冷房/暖房能力の低下を防止することができる。
【0095】
尚、以上説明した実施例では、冷媒寝込発生条件が成立している場合に使用していない室外熱交換器も含めて全ての室内熱交換器を凝縮器として機能させる場合について説明したが、例えば、モータが故障して回転させることができない室外ファンが存在する場合は、冷媒寝込解消制御を実行する際も当該室外ファンに対応する室外熱交換器を使用しないようにする。