特許第6052505号(P6052505)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スズキ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6052505-車両荷室構造 図000002
  • 特許6052505-車両荷室構造 図000003
  • 特許6052505-車両荷室構造 図000004
  • 特許6052505-車両荷室構造 図000005
  • 特許6052505-車両荷室構造 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052505
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】車両荷室構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 5/04 20060101AFI20161219BHJP
【FI】
   B60R5/04 Z
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-79502(P2013-79502)
(22)【出願日】2013年4月5日
(65)【公開番号】特開2014-201226(P2014-201226A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年2月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100154298
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100161001
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 篤司
(72)【発明者】
【氏名】河野 政芳
【審査官】 谷治 和文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−116190(JP,A)
【文献】 特開2011−121505(JP,A)
【文献】 特開2008−273331(JP,A)
【文献】 特開2000−108792(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0076056(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷室の側部に形成されるホイールハウスの膨出部を覆うラゲッジサイドトリムと、前記荷室のフロア面を覆うラゲッジボードと、を有する車両荷室構造において、
前記ラゲッジサイドトリムの下部に、車幅方向内側へ突出するように突起形状部が形成され、
前記突起形状部は、前記膨出部よりも車両前後方向の前側の車幅方向外側に、前記荷室が広がる位置から、シートバックの下端と前記膨出部との間の範囲に形成され、
前記ラゲッジボードの側部に、車幅方向外側に突出する突片部が設けられ、
前記突片部には、前記突起形状部に当接する当接部が設けられていることを特徴とする車両荷室構造。
【請求項2】
前記突起形状部の車幅方向内側への突出量は、前記膨出部の車幅方向内側への突出量よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の車両荷室構造。
【請求項3】
前記ラゲッジボードの前記突片部の当接部は、前記突起形状部の車両前後方向の後側に当接する第1当接部と、前記突起形状部の車幅方向内側の先端部に当接する第2当接部とを備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両荷室構造。
【請求項4】
前記突片部の車両前後方向の後側の前記ラゲッジボードの側部端縁は、前記膨出部の車両前後方向の前側に形成された膨出面に当接することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の車両荷室構造。
【請求項5】
前記突起形状部の当接面は、車両上下方向に延びる垂直な面であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の車両荷室構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラゲッジボードを有する車両荷室構造に関する。
【0002】
車両の後部には、通常荷室が設けられている。この荷室の床には、ラゲッジボードが配置されているものがある。このラゲッジボードは、荷室の床部の下方に設けられているスペアタイヤや工具などを収納するための物品収納ボックスの上蓋としても用いられる。
【0003】
このラゲッジボードは、車両が走行している間に振動等により移動する可能性がある。この移動により、片側に大きな隙間が発生し、外観が悪化する虞れがある。
【0004】
ラゲッジボードの移動を抑制する方法としては、例えば特許文献1に開示されているような技術が知られている。この例では、ラゲッジサイドトリムに突起形状を設け、ラゲッジボードの浮き上がり防止及び車両前後方向の位置規制を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−116190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記例では、ラゲッジボードの上下方向及び車両前後方向の位置規制は可能であるが、車両左右方向について規制することはできない。
【0007】
また、突起形状が荷室の中で最も室内側に突出しているホイールハウスの横に取り付けられているため、大きな積載物を載せるときには障害となる。また、突起形状は目立つ場所に配置されるため、外観性も低下する。
【0008】
また、上記例の他にも、ラゲッジボードの移動を抑制する方法として、例えば、ラゲッジサイドトリムの側面に突起形状を、荷室ボード側端に凹凸形状を設けて勘合させ、前後左右方向のガタを抑える方法がある。しかし、荷室幅が局所的に狭くなり、積載物の搭載性が悪化するという問題が発生する。
【0009】
また、シートヒンジブラケットなどの突起形状とラゲッジボード側端に設けた凹凸形状を勘合させて前後左右方向のガタを抑えることも考えられる。しかし、シートヒンジブラケットなどに突起形状が無い場合は適用不可となる。
【0010】
また、フロアパネルに凹凸形状を設け、ラゲッジボード側端に勘合させて前後左右方向のガタを抑えることも考えられる。しかし、ラゲッジボードとフロアボードの上下方向に隙がある場合は適用不可となる。
【0011】
さらに、ラゲッジリヤトリム下端フランジにおいて上方向に向けて凸形状を設けて、ラゲッジボードに設けた穴に勘合させて前後左右方向のガタを抑えることも考えられる。しかし、仕様ごとにラゲッジボードの位置が変わる場合は適用不可となる。また、ラゲッジリヤトリム下端がラゲッジボードよりも上にある場合は適用不可となる。
【0012】
そこで本発明は上記課題を解決するためになされたもので、その目的は、積載量の低下や外観悪化を抑制しつつ、ラゲッジボードの車両前後方向及び左右方向の移動を、規制できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明に係る車両荷室構造は、車両の荷室の側部に形成されるホイールハウスの膨出部を覆うラゲッジサイドトリムと、前記荷室のフロア面を覆うラゲッジボードと、を有する車両荷室構造において、前記ラゲッジサイドトリムの下部に、車幅方向内側へ突出するように突起形状部が形成され、前記突起形状部は、前記膨出部よりも車両前後方向の前側の車幅方向外側に、前記荷室が広がる位置から、シートバックの下端と前記膨出部との間の範囲に形成され、前記ラゲッジボードの側部に、車幅方向外側に突出する突片部が設けられ、前記突片部には、前記突起形状部に当接する当接部が設けられている。
【0014】
また、本発明に係る車両荷室構造は、前記突起形状部の車幅方向内側への突出量は、前記膨出部の車幅方向内側への突出量よりも小さい。
【0015】
しかも、本発明に係る車両荷室構造は、前記ラゲッジボードの前記突片部の当接部は、前記突起形状部の車両前後方向の後側に当接する第1当接部と、前記突起形状部の車幅方向内側の先端部に当接する第2当接部とを備えている。
【0016】
また、本発明に係る車両荷室構造は、前記突片部の車両前後方向の後側の前記ラゲッジボードの側部端縁は、前記膨出部の車両前後方向の前側に形成された膨出面に当接する。
【0017】
また、本発明に係る車両荷室構造は、前記突起形状部の当接面は、車両上下方向に延びる垂直な面である。
【発明の効果】
【0018】
上述の如く、本発明に係る車両荷室構造は、車両の荷室の側部に形成されるホイールハウスの膨出部を覆うラゲッジサイドトリムと、前記荷室のフロア面を覆うラゲッジボードと、を有する車両荷室構造において、前記ラゲッジサイドトリムの下部に、車幅方向内側へ突出するように突起形状部が形成され、前記突起形状部は、前記膨出部よりも車両前後方向の前側の車幅方向外側に、前記荷室が広がる位置から、シートバックの下端と前記膨出部との間の範囲に形成され、前記ラゲッジボードの側部に、車幅方向外側に突出する突片部が設けられ、前記突片部には、前記突起形状部に当接する当接部が設けられているので、積載量の低下や外観悪化を抑制しつつ、ラゲッジボードの車両前後方向及び左右方向の移動を、規制することができる。また、ラゲッジボードの位置規制となる突起形状部をホイールハウスの膨出部を外れた位置に設けることができる。このため、膨出部に設ける構造に比べ、荷室への規制部材の突出を防ぐことができ、積載時の突起形状部への引っ掛かりや積載床面の減少を防ぐことができる。さらに、シートバックの後部とホイールハウスの膨出部との間の荷物の積載がし難いデッドスペースに、ラゲッジボードの位置規制構造を設けることができる。このため、荷室空間を最大限に利用することができる。また、バックドア側から荷物を積載するときに、膨出部に突起形状部が隠れるため、バックドアを開けたときにスッキリした荷室空間のイメージを与えることが可能になる。
【0019】
また、本発明に係る車両荷室構造によれば、前記突起形状部の車幅方向内側への突出量は、前記膨出部の車幅方向内側への突出量よりも小さいので、シートバック下端近くの奥側まで、荷物を積載した場合、膨出部に沿って荷物を押し込んでも、突起形状部に当接することがないので、荷物の積載に時に引っ掛かりを防ぐことが可能となる。
【0020】
さらに、本発明に係る車両荷室構造によれば、前記ラゲッジボードの前記突片部の当接部は、前記突起形状部の車両前後方向の後側に当接する第1当接部と、前記突起形状部の車幅方向内側の先端部に当接する第2当接部とを備えているので、ラゲッジボードの左右前方向への規制が可能になる。
【0021】
また、本発明に係る車両荷室構造によれば、前記突片部の車両前後方向の後側の前記ラゲッジボードの側部端縁は、前記膨出部の車両前後方向の前側に形成された膨出面に当接するので、突起形状部と膨出面との間に突片部が車両前後に挟まれるため、ラゲッジボードの前後方向の規制が可能である。
【0022】
また、本発明に係る車両荷室構造によれば、前記突起形状部の当接面は、車両上下方向に延びる垂直な面であるので、ラゲッジボードの高さが仕様の変更により変化した場合でも、共通でラゲッジサイドトリムの使用が可能になる。さらに、ラゲッジボードが車両走行の振動などにより、上側に浮いた場合であっても、規制効果を持続することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る車両荷室構造の外観を示す概略斜視図である。
図2図1の突起形状部の周辺を拡大して示す拡大斜視図である。
図3図1の荷室の平断面図である。
図4図3のIV部の拡大平断面図である。
図5図1の変形例を示す平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る車両荷室構造の実施形態について、図面(図1図5)を用いて説明する。
【0025】
図1は、本実施形態の車両荷室構造の外観を示す概略斜視図である。図2は、図1の突起形状部20の周辺を拡大して示す拡大斜視図である。図3は、図1の荷室の平断面図である。図4は、図3のIV部の拡大平断面図である。図5は、図1の変形例を示す平断面図である。
【0026】
本実施形態の車両荷室構造は、ラゲッジサイドトリム2と、ラゲッジボード1と、を有する。
【0027】
ラゲッジサイドトリム2は、車両の荷室の側部に形成されるホイールハウスの膨出部8を覆う内装材である。
【0028】
ラゲッジサイドトリム2には、図1及び図2に示すように、突起形状部20が形成される。この突起形状部20は、荷室内の車幅方向両側に形成される。突起形状部20は、膨出部8よりも車両前後方向の前側の車幅方向外側に、シートバック5の下端と膨出部8との間の範囲に形成される。
【0029】
突起形状部20は、ラゲッジサイドトリム2の下部に形成される。また、突起形状部20は、シートバック5の下部に対向するように形成される。さらに、突起形状部20は、車幅方向の車室側に突出する。また、突起形状部20は、ホイールハウスの膨出部8よりも車両前後方向の前方に形成される。
【0030】
ラゲッジボード1には車幅方向両側の前側に、突片部10が形成されている。この突片部10には、突起形状部20の車両後面に当接する第1当接部31と、突片部10の室内側の先端に当接する第2当接部32と、が設けられている。
【0031】
突起形状部20、突片部10及びその周辺の形状について、図4を用いて説明する。
【0032】
突起形状部20は、ラゲッジサイドトリム前面21、ラゲッジサイドトリム内面24及びラゲッジサイドトリム前方向規制面22が形成される。
【0033】
ラゲッジサイドトリム前面21は、突起形状部20のうち車両前方に面している部分である。ラゲッジサイドトリム内面24は、ラゲッジサイドトリム前面21の車幅方向内側端から車両後方に延びる面である。このラゲッジサイドトリム内面24は、後述するラゲッジボード内面14と対向するように設けられている。
【0034】
ラゲッジサイドトリム前方向規制面22は、ラゲッジサイドトリム内面24の車両後方端から車幅方向外側に延びるように形成され、車幅方向外側はラゲッジサイドトリム2の側面に繋がるように形成される。このラゲッジサイドトリム前方向規制面22は、後述するラゲッジボード前方向規制面12に対向するように設けられている。
【0035】
また、当該ラゲッジサイドトリム2の側面の一部に、ラゲッジサイドトリム左右後方向規制面23が形成される。ラゲッジサイドトリム左右後方向規制面23は、ラゲッジサイドトリム前方向規制面22に連続するように形成される面である。すなわち、ラゲッジサイドトリム2の表面のうち車両後方に形成される。
【0036】
突片部10は、ラゲッジボード前面11から繋がるように形成され部分で、この突片部10には、ラゲッジボード内面14、ラゲッジボード前方向規制面12及びラゲッジボード左右後方向規制面13が形成される。
【0037】
また、突起形状部20の先端部の室内側への突出量は、膨出部8の室内側への突出量よりも小さい。ここで、突起形状部20の先端部は、ラゲッジサイドトリム内面24である。すなわち、ラゲッジサイドトリム内面24の車幅方向位置は、膨出部8の車幅方向の最も内側の面よりも、車幅方向外側にある。
【0038】
ラゲッジボード前面11は、ラゲッジボード1のうち、最も前方にある部分である。ラゲッジボード内面14は、ラゲッジボード前面11の車幅方向外側端から車両後方に延びる面で、ラゲッジサイドトリム内面24に対向するように設けられている。このラゲッジボード内面14は、ラゲッジサイドトリム内面24に当接することが可能で、第2当接部32となる。
【0039】
ラゲッジボード前方向規制面12は、ラゲッジボード内面14の車両後方端から車幅方向外側に延びる部分で、ラゲッジサイドトリム前方向規制面22に対向するように設けられている。このラゲッジボード前方向規制面12は、ラゲッジサイドトリム前方向規制面22に当接することが可能で、第1当接部31を構成する。
【0040】
ラゲッジボード左右後方向規制面13は、突片部10の後部の側部端縁で、ラゲッジボード前方向規制面12の車幅方向外側端から車両後方に湾曲し車幅方向内側で且つ車両後方に延びる部分である。このラゲッジボード左右後方向規制面13は、膨出部8の前側を形成する膨出面、すなわち、ラゲッジサイドトリム左右後方向規制面23に対向し、当接するように設けられている。
【0041】
突起形状部20の当接面となる面、すなわち、ラゲッジサイドトリム内面24及びラゲッジサイドトリム前方向規制面22は、車両上下方向に延びる面で、ラゲッジボード1の面に対して垂直である。この例では、ほぼ鉛直である。
【0042】
なお、図4では、図3における右側の突起形状部20等を示しているが、左側にある突起形状部20等も上述したように形成されている。
【0043】
ラゲッジボード1は、ラゲッジサイドトリム2に形成された突起形状部20とラゲッジボード1に形成された突片部10との係合により移動規制される。
【0044】
ラゲッジボード1が前方に移動しようとする力が作用したときは、第1当接部31となるラゲッジボード前方向規制面12が、ラゲッジサイドトリム前方向規制面22に当接する。これにより、ラゲッジボード1が前方に移動することが防止される。また、接触した面はラゲッジボード1を取り出すときの回転軌跡の中心となる。
【0045】
ラゲッジボード1が後方または左右に移動しようとする力が作用したときは、第2当接部32となるラゲッジボード内面14が、ラゲッジサイドトリム内面24に当接する。このとき、ラゲッジボード左右後方向規制面13が、ラゲッジサイドトリム左右後方向規制面23に当接する。これにより、ラゲッジボード1が左右方向や後方に移動することが防止される。
【0046】
以上説明したような車両荷室構成とすることで、ラゲッジボード1の位置規制となる突起形状部20をホイールハウスの膨出部8を外れた位置に設けることができるため、膨出部8に突起形状部20を設ける構造に比べて、規制部材である突起形状部20による荷室側への突出を防ぐことができ、積載時の突起形状部20への引っ掛かりや積載床面の減少を防ぐことができる。また、ホイールハウス部の幅全体に亘って、フラットの荷室を得ることができる。
【0047】
また、シートバック5の後部とホイールハウスの膨出部8との間の荷物の積載がし難いデッドスペースに、移動を規制する構造を設けることができるため、荷室の空間を最大限に利用することができる。
【0048】
さらに、バックドア側から荷物を積載するときに、ホイールハウスの膨出部8に突起形状部20が隠れるため、バックドアを開けた時にスッキリした荷室空間のイメージを与えることができ、外観性が向上する。
【0049】
また、シートバック5下端近くの奥側まで、荷物を積載した場合、ホイールハウスの膨出部8に沿って荷物を押し込んでも、突起形状部20に当接することがなく、荷物の積載時に引っ掛かりを防ぐことができる。さらに、ラゲッジボード1の左右前後方向への規制が可能である。
【0050】
また、突起形状部20の当接面が上記のように垂直であるため、ラゲッジボード1の高さが仕様の変更により変化した場合でも、共通でラゲッジサイドトリム2(クォータトリム)の使用が可能である。さらに、ラゲッジボード1が走行の振動などにより、上側に浮いた時でも規制効果を持続することが可能となる。
【0051】
また、ラゲッジボード1の上にカーペットを敷く場合には、カーペットが、上述した位置を規制する部分で、車幅方向外側に尖った状態で突出させることができる。このため、ホイールハウスの前面と突起形状部20の後面とに、カーペットの尖った範囲を入れ込むことにより、小さな突起にカーペットの切欠きを入れ込むことなく、ホイールハウスの斜面で後方へのズレを防ぐことができる。
【0052】
以上の説明からわかるように本実施形態によれば、積載量の低下や外観悪化を抑制しつつ、ラゲッジボード1の車両前後方向及び左右方向の移動を、規制することが可能となる。
【0053】
上記実施形態の説明は、本発明を説明するための例示であって、特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。また、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0054】
例えば、図5に示すように、シートバック5とホイールハウスとの間に車両前後方向にスペースを取れる場合は、ラゲッジボード1を前方に延長し、当接部を切欠き40を形成するようにしてもよい。
【0055】
ラゲッジサイドトリム内面24及びラゲッジサイドトリム前面21の形状は直線的に延びているが、これに限らない。例えば、湾曲形状としてもよい。また、ラゲッジボード内面14及びラゲッジボード前面11についても、上記例の形状以外でもよく、湾曲していてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 ラゲッジボード
2 ラゲッジサイドトリム
5 シートバック
8 膨出部
10 突片部
11 ラゲッジボード前面
12 ラゲッジボード前方向規制面
13 ラゲッジボード左右後方向規制面
14 ラゲッジボード内面
20 突起形状部
21 ラゲッジサイドトリム前面
22 ラゲッジサイドトリム前方向規制面
23 ラゲッジサイドトリム左右後方向規制面
24 ラゲッジサイドトリム内面
31 第1当接部
32 第2当接部
40 切欠き
図1
図2
図3
図4
図5