(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052509
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】フェロセン系消火組成物
(51)【国際特許分類】
A62D 1/06 20060101AFI20161219BHJP
A62C 5/00 20060101ALI20161219BHJP
C07F 17/02 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
A62D1/06
A62C5/00
C07F17/02
【請求項の数】24
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-528504(P2013-528504)
(86)(22)【出願日】2011年9月7日
(65)【公表番号】特表2013-542753(P2013-542753A)
(43)【公表日】2013年11月28日
(86)【国際出願番号】CN2011079426
(87)【国際公開番号】WO2012034492
(87)【国際公開日】20120322
【審査請求日】2014年9月3日
(31)【優先権主張番号】201010285564.6
(32)【優先日】2010年9月16日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516342287
【氏名又は名称】西安威西特消防科技有限責任公司
【氏名又は名称原語表記】Xi’an Westpeace Fire Technology Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(72)【発明者】
【氏名】郭▲鴻▼宝
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼▲紅▼▲紅▼
【審査官】
岩下 直人
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/006765(WO,A1)
【文献】
特表2010−532685(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/006766(WO,A1)
【文献】
特表2010−532686(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/006767(WO,A1)
【文献】
特表2010−532687(JP,A)
【文献】
特表2001−523493(JP,A)
【文献】
特表2004−508182(JP,A)
【文献】
特表平07−503159(JP,A)
【文献】
米国特許第03972820(US,A)
【文献】
米国特許第06045637(US,A)
【文献】
特開平11−256165(JP,A)
【文献】
特表2007−521111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62D 1
A62C 5
C07F 17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェロセン、フェロセン誘導体又はそれらの組み合わせを25質量%以上含有するフェロセン系消火組成物であって、使用時、火工品系エアゾール消火剤を熱源及び動力源として、火工品系エアゾール消火剤を点火し、火工品系エアゾール消火剤の燃焼時の高温によって消火組成物から発生させた大量の消火物質を、火工品系エアゾール消火剤とともに噴出することによって、消火の目的を達成することを特徴とするフェロセン系消火組成物において、
該フェロセン誘導体は、アルデヒド若しくはケトン系フェロセン化合物であり、
該アルデヒド若しくはケトン系フェロセン化合物は、1,2−ジホルミルフェロセン、3−フェロセニルアクロレイン、(4−ホルミルフェニル)フェロセン、オクタメチルホルミルフェロセン、クロロアセチルフェロセン、1−アセチル−1'−シアノフェロセン、α−オキソ−1,1'−トリメチレンフェロセン、β−オキソ−1,1'−テトラメチレンフェロセン、1,1'−ジアセチルフェロセン、(1,3−ジオキソブチル)フェロセン、1−アセチル−1'−アセトアミノフェロセン、(2−クロロベンゾイル)フェロセン、ベンゾイルフェロセン、1,1'−ジ(3−シアノプロピオニル)フェロセン、フェニルアセチルフェロセン、(2−メトキシベンゾイル)フェロセン、1,1'−ジ(アセトアセチル)フェロセン、1−アセチル−1'−p−クロロベンゾイルフェロセン、1−フェロセニル−3−フェニル−2−プロペン−1−オン、3−フェロセニル−1−フェニル−2−プロペン−1−オン、(2,4−ジメトキシベンゾイル)フェロセン、1,1'−ジ(プロピオノアセチル)フェロセン、ビスフェロセニルメチルケトン、2−アセチルビフェロセン、1,1'−ジ(ペンタフルオロベンゾイル)フェロセン、1,2−ビスフェロセンアシルエタン、1,3−ビス(フェロセニルメチリデン)アセトン、1'−アセチル−2,2−ビスフェロセニルプロパン、又は1,1'−ジ(ベンゾイルアセチル)フェロセンであることを特徴とする消火組成物。
【請求項2】
フェロセン、フェロセン誘導体又はそれらの組み合わせを25質量%以上含有するフェロセン系消火組成物であって、使用時、火工品系エアゾール消火剤を熱源及び動力源として、火工品系エアゾール消火剤を点火し、火工品系エアゾール消火剤の燃焼時の高温によって消火組成物から発生させた大量の消火物質を、火工品系エアゾール消火剤とともに噴出することによって、消火の目的を達成することを特徴とするフェロセン系消火組成物において、
該フェロセン誘導体は、カルボン酸及びその誘導体系フェロセン化合物であり、
該カルボン酸及びその誘導体系フェロセン化合物は、フェロセンカルボン酸、2−ヒドロキシフェロセンカルボン酸、フェロセン酢酸、フェロセンチオ酢酸、3−フェロセニルアクリル酸、フェロセニルプロピオン酸、フェロセニルメチルチオ酢酸、1,1'−フェロセン二酢酸、フェロセン酪酸、フェロセンペンタン酸、2,2−ジメチル−3−フェロセニルプロピオン酸、1,1'−フェロセン二プロピオン酸、フェロセンヘキサン酸、1,1'−フェロセン二酪酸、4,4−ビスフェロセニルペンタン酸、1,1'−フェロセンジホルミルクロリド、1,2−フェロセンジカルボン酸無水物、1,1'−フェロセン二酢酸無水物、2−(1'−カルボキシメチルフェロセン)安息香酸無水物、フェロセンカルボン酸無水物、ジメチルフェロセン−1,1’−ジカルボキシレート、3−フェロセニルエチルアクリレート、1,1'''−ジ(メトキシカルボニル)ビフェロセン、4,4−ビスフェロセニルメチルバレレート、フェロセンホルムアミド、フェロセンホルミルヒドロキシアミン、フェロセンホルミルヒドラジド、アセトアミノフェロセン、フェロセンホルミルアジリジン、1'−ビニルフェロセンホルムアミド、Ν−(2−シアノエチル)フェロセンホルムアミド、Ν−アセチル−2−フェロセンエチルアミン、Ν−ブチルフェロセンホルムアミド、1,1'−フェロセンジホルミルアジリジン、Ν,Ν,Ν',Ν'−テトラメチル−1,1'−フェロセンジホルムアミド、Ν−フェニルフェロセンホルミルヒドロキシアミン、Ν−フェロセニルフタルイミド、Ν−ベンゾイル−2−フェロセンエチルアミン、4,4−ビスフェロセニルバレルアミド、シアノフェロセン、又は1,1'−ジシアノフェロセンであることを特徴とする消火組成物。
【請求項3】
フェロセン、フェロセン誘導体又はそれらの組み合わせを25質量%以上含有するフェロセン系消火組成物であって、使用時、火工品系エアゾール消火剤を熱源及び動力源として、火工品系エアゾール消火剤を点火し、火工品系エアゾール消火剤の燃焼時の高温によって消火組成物から発生させた大量の消火物質を、火工品系エアゾール消火剤とともに噴出することによって、消火の目的を達成することを特徴とするフェロセン系消火組成物において、
該フェロセン誘導体は、アルコール若しくはフェノール若しくはエーテル系フェロセン化合物であり、
該アルコール若しくはフェノール若しくはエーテル系フェロセン化合物は、α−ヒドロキシフェロセンアセトニトリル、フェロセンジメタノール、1,2−フェロセンジメタノール、1,1'−ジ(1−ヒドロキシエチル)フェロセン、オクタメチルフェロセンメタノール、フェロセニル−(2,4,6−トリメトキシフェニル)メタノール、ビスフェロセニルメタノール、α,α−ジフェニルフェロセンメタノール、4−(2−フェロセニル−2−ヒドロキシエチル)−4'−メチル−2,2'−ビピリジン、2−メチル−α,α−ジフェニルフェロセンメタノール、1,4−ビスフェロセニル−1,4−ブタンジオール、4,4−ビスフェロセニル−1−ペンタノール、4,4’−ジ(2−フェロセニル−2−ヒドロキシエチル)−2,2'−ビピリジン、1,1'−ジ(ジフェニルヒドロキシメチル)フェロセン、(4−ヒドロキシフェニル)フェロセン、2−オキサ−1,1'−トリメチレンフェロセン、1,3−ジメチル−2−オキサ−1,1'−トリメチレンフェロセン、ビス(フェロセニルメチル)エーテル、又は1,1−ビスフェロセニルメチル−t−ブチルエーテルであることを特徴とする消火組成物。
【請求項4】
フェロセン、フェロセン誘導体又はそれらの組み合わせを25質量%以上含有するフェロセン系消火組成物であって、使用時、火工品系エアゾール消火剤を熱源及び動力源として、火工品系エアゾール消火剤を点火し、火工品系エアゾール消火剤の燃焼時の高温によって消火組成物から発生させた大量の消火物質を、火工品系エアゾール消火剤とともに噴出することによって、消火の目的を達成することを特徴とするフェロセン系消火組成物において、
該フェロセン誘導体は、炭化水素系フェロセン化合物であり、
該炭化水素系フェロセン化合物は、1,1'−トリメチレンフェロセン、1,1'−ジエチルフェロセン、1−ビニル−1'−クロロフェロセン、1,1'−ジ(α−シクロペンタジエニルエチリデン)フェロセン、フェニルエチニルフェロセン、ビスフェロセニルアセチレン、1,1'−ジ(フェニルエチニル)フェロセン、1,1'−ビス(フェロセンエチニル)フェロセン、1,1',2,2'−テトラクロロフェロセン、フルオロフェロセン、ビフェロセン、2,2−ビスフェロセニルプロパン、1,1−ビスフェロセニルペンタン、又は1,1'''−ジ(トリフェニルメチル)ビフェロセンであることを特徴とする消火組成物。
【請求項5】
フェロセン、フェロセン誘導体又はそれらの組み合わせを25質量%以上含有するフェロセン系消火組成物であって、使用時、火工品系エアゾール消火剤を熱源及び動力源として、火工品系エアゾール消火剤を点火し、火工品系エアゾール消火剤の燃焼時の高温によって消火組成物から発生させた大量の消火物質を、火工品系エアゾール消火剤とともに噴出することによって、消火の目的を達成することを特徴とするフェロセン系消火組成物において、
該フェロセン誘導体は、窒素含有系フェロセン化合物であり、
該窒素含有系フェロセン化合物は、(2−ニトロビニル)フェロセン、(4−ニトロフェニル)フェロセン、2−ヒドロキシ−2−フェロセンエチルアミン、Ν,Ν'−ビスフェロセニルエチレンジアミン、Ν,Ν'−ビスフェロセニルメチルエチレンジアミン、Ν,Ν'−ジ(ビスフェロセニルメチル)エチレンジアミン、2−ヒドロキシ−5−ニトロベンジルイミノフェロセン、ベンゾイルフェロセンオキシム、フェロセンメチルジアゾメチルケトン、1,1'−ジフェニルアゾフェロセン、フェロセニルフェニルメチルイミノベンゼン、又は1,6−フェロセニル−2,5−ジアザ−1,5−ヘキサジエンであることを特徴とする消火組成物。
【請求項6】
フェロセン、フェロセン誘導体又はそれらの組み合わせを25質量%以上含有するフェロセン系消火組成物であって、使用時、火工品系エアゾール消火剤を熱源及び動力源として、火工品系エアゾール消火剤を点火し、火工品系エアゾール消火剤の燃焼時の高温によって消火組成物から発生させた大量の消火物質を、火工品系エアゾール消火剤とともに噴出することによって、消火の目的を達成することを特徴とするフェロセン系消火組成物において、
該フェロセン誘導体は、硫黄含有若しくはリン含有系フェロセン化合物であり、
該硫黄含有若しくはリン含有系フェロセン化合物は、1,1'−フェロセンジスルホニルクロリド、1,1'−フェロセンジスルホニルアジド、フェロセンスルホニルクロリド、フェロセンスルフィン酸、フェロセンスルホン酸、(ジエチルジチオカルバメート)フェロセン、1,1'−ジ(ジメチルジチオカルバメート)フェロセン、フェロセンメチルフェニルスルホン、チオールフェロセンスルホン酸フェロセニル、ビスフェロセニルジスルフィド、Ν,Ν'−ジシクロヘキシル−1,1'−ジスルホンアミドフェロセン、又は(ジフェニルホスフィノ)フェロセンであることを特徴とする消火組成物。
【請求項7】
フェロセン、フェロセン誘導体又はそれらの組み合わせを25質量%以上含有するフェロセン系消火組成物であって、使用時、火工品系エアゾール消火剤を熱源及び動力源として、火工品系エアゾール消火剤を点火し、火工品系エアゾール消火剤の燃焼時の高温によって消火組成物から発生させた大量の消火物質を、火工品系エアゾール消火剤とともに噴出することによって、消火の目的を達成することを特徴とするフェロセン系消火組成物において、
該フェロセン誘導体は、ケイ素含有系フェロセン化合物であり、
該ケイ素含有系フェロセン化合物は、1,1'−ジクロロ−2−トリクロロシラニルフェロセン、ビス(1,1'−ジクロロ−2,2'−フェロセニレン)シラン、(1,1'−オクタメチルフェロセニレン)ジメチルシラン、(1,1'−ジクロロ−2,2'−フェロセニレン)ジフェニルシラン、1,1'−ジ[α−ヒドロキシ−α−(トリシリルプロピル)エチル]フェロセン、又は1,1'−ジ(フタルイミドメチルジシリル)フェロセンであることを特徴とする消火組成物。
【請求項8】
フェロセン、フェロセン誘導体又はそれらの組み合わせを25質量%以上含有するフェロセン系消火組成物であって、使用時、火工品系エアゾール消火剤を熱源及び動力源として、火工品系エアゾール消火剤を点火し、火工品系エアゾール消火剤の燃焼時の高温によって消火組成物から発生させた大量の消火物質を、火工品系エアゾール消火剤とともに噴出することによって、消火の目的を達成することを特徴とするフェロセン系消火組成物において、
該フェロセン誘導体は、複素環式フェロセン化合物であり、
該複素環式フェロセン化合物は、2−フェロセニル−1,3−ジチアン、5−フェロセニルメチレン−1−アザ−3−オキサ−4−オキソ−2−フェニル−1−シクロペンテニル、1,3−ビスフェロセニルイミダゾリン、又は2,5−ビスフェロセニルテトラヒドロフランであることを特徴とする消火組成物。
【請求項9】
フェロセン、フェロセン誘導体又はそれらの組み合わせを25質量%以上含有するフェロセン系消火組成物であって、使用時、火工品系エアゾール消火剤を熱源及び動力源として、火工品系エアゾール消火剤を点火し、火工品系エアゾール消火剤の燃焼時の高温によって消火組成物から発生させた大量の消火物質を、火工品系エアゾール消火剤とともに噴出することによって、消火の目的を達成することを特徴とするフェロセン系消火組成物において、
前記フェロセン誘導体は、1,1'−二銅フェロセン、クロロ水銀フェロセン、フェロセンホウ酸、第一銅フェロセニルアセチリド、又はビスフェロセニルチタノセンであることを特徴とする消火組成物。
【請求項10】
前記消火組成物はさらに難燃剤を含み、前記難燃剤は分解温度が100℃以上であり、分解過程で難燃効果を有するガス、液状又は固体粒子を放出し得る化合物であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の消火組成物。
【請求項11】
前記難燃剤の含有量は75質量%以下であることを特徴とする請求項10に記載の消火組成物。
【請求項12】
前記難燃剤は、臭素系難燃剤、クロロ系難燃剤、有機リン系難燃剤、リン−ハロゲン系難燃剤、窒素系若しくはリン−窒素系難燃剤、又は無機難燃剤であることを特徴とする請求項10又は11に記載の消火組成物。
【請求項13】
前記臭素系難燃剤は、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAエーテル、1,2−ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、2,4,6−トリブロモフェニルグリシジルエーテル、テトラブロモフタル酸無水物、1,2−ビス(テトラブロモフタルイミド)エタン、テトラブロモフタル酸ジメチル、テトラブロモフタル酸二ナトリウム、デカブロモジフェニルエーテル、テトラデカブロモジ(フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、ブロモトリメチルフェニルヒドロインデン、ペンタブロモベンジルアクリレート、ペンタブロモベンジルブロミド、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、2,4,6−トリブロモフェニルマレイミド、ヘキサブロモシクロドデカン、N,N'−1,2−ビス(ジブロモノルボルニルジカルボイミド)エタン、ペンタブロモクロロシクロヘキサン、トリ(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、臭素化スチレン共重合体、テトラブロモビスフェノールAカーボネートオリゴマー、ポリペンタブロモベンジルアクリレート、又はポリジブロモフェニレンエーテルであることを特徴とする請求項12に記載の消火組成物。
【請求項14】
前記クロロ系難燃剤は、デクロランプラス、クロレンド酸無水物、パークロロペンタシクロデカン、テトラクロロビスフェノールA、テトラクロロフタル酸無水物、ヘキサクロロベンゼン、塩化ポリプロピレン、塩化ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ポリエーテル、又はヘキサクロロエタンであることを特徴とする請求項12に記載の消火組成物。
【請求項15】
前記有機リン系難燃剤は、1−オキソ−4−ヒドロキシメチル−2,6,7−トリオキサ−1−ホスファビシクロ[2.2.2]オクタン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール−ジ(ネオペンチルグリコール)ジホスフェート、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、ビス(4−カルボキシフェニル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルホスフィンオキシド、又はフェニル(ジフェニルスルホン)ホスフェートオリゴマーであることを特徴とする請求項12に記載の消火組成物。
【請求項16】
前記リン−ハロゲン系難燃剤は、トリ(2,2−ジ(ブロモメチル)−3−ブロモプロピル)ホスフェート、トリ(ジブロモフェニル)ホスフェート、3,9−ビス(トリブロモフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]−ウンデカン−3,9−ジオキシド、3,9−ビス(ペンタブロモフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]−ウンデカン−3,9−ジオキシド、1−オキソ−4−トリブロモフェノキシカルボニル−2,6,7−トリオキサ−1−ホスファビシクロ[2.2.2]オクタン、p−フェニレンテトラ(2,4,6−トリブロモフェニル)ジホスフェート、2,2−ジ(クロロメチル)−1,3−プロパンジオール−ジ(ネオペンチルグリコール)ジホスフェート、又は2,9−ジ(トリブロモネオペントキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]−ウンデカン−3,9−ジオキシドであることを特徴とする請求項12に記載の消火組成物。
【請求項17】
前記窒素系若しくはリン−窒素系難燃剤は、メラミン、シアヌル酸メラミン、オルトリン酸メラミン、オルトリン酸ジメラミン、ポリリン酸メラミン、ホウ酸メラミン、八モリブデン酸メラミン、シアヌル酸、トリヒドロキシエチルイソシアヌレート、2,4−ジアミノ−6−(3,3,3−トリクロロプロピル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ(N−ヒドロキシメチルアミノ)−6−(3,3,3−トリクロロプロピル−1,3,5−トリアジン)、リン酸水素二グアニジン、リン酸二水素グアニジン、炭酸グアニジン、アミノスルホン酸グアニジン、尿素、リン酸二水素尿素、ジシアンジアミド、メラミンビス(2,6,7−トリオキサ−1−ホスファ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−オキソ−4−メチル)ヒドロキシホスフェート、3,9−ジヒドロキシ−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン−3,9−ジメラミン、1,2−ジ(2−オキソ−5,5−ジメチル−1,3−ジオキサ−2−ホスファシクロヘキシル−2−アミノ)エタン、Ν,Ν'−ビス(2−オキソ−5,5−ジメチル−1,3−ジオキサ−2−ホスファシクロヘキシル)−2,2'−メタフェニレンジアミン、トリ(2−オキソ−5,5−ジメチル−1,3−ジオキサ−2−ホスファシクロヘキシル−2−メチル)アミン、又はヘキサクロロシクロトリホスファゼンであることを特徴とする請求項12に記載の消火組成物。
【請求項18】
前記無機難燃剤は、赤リン、ポリリン酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、リン酸ホウ素、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ヒドロマグネサイト、塩基性シュウ酸アルミニウム、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸亜鉛七水和物、ホウ酸アルミニウムウィスカー、八モリブデン酸アンモニウム、七モリブデン酸アンモニウム、スズ酸亜鉛、一酸化スズ、二酸化スズ、フェロセン、アセトン鉄、三酸化二鉄、四酸化三鉄、臭化アンモニウム、タングステン酸ナトリウム、ヘキサフルオロチタン酸カリウム、ヘキサフルオロジルコン酸カリウム、チタニア、炭酸カルシウム、又は硫酸バリウムであることを特徴とする請求項12に記載の消火組成物。
【請求項19】
前記消火組成物はさらに添加剤としてステアリン酸塩と黒鉛と水溶性高重合体との配合溶液又はそれらの混合物を含み、前記添加剤の含有量は0.5〜10質量%であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の消火組成物。
【請求項20】
前記消火組成物はさらに添加剤としてステアリン酸塩と黒鉛と水溶性高重合体との配合溶液又はそれらの混合物を含むことを特徴とする請求項10〜18に記載の消火組成物。
【請求項21】
前記添加剤の含有量は0.5〜10質量%であることを特徴とする請求項20に記載の消火組成物。
【請求項22】
前記組成物の各成分及びその含有量は、
フェロセン、フェロセン誘導体又はそれらの組み合わせ 30質量%〜80質量%
難燃剤 20質量%〜60質量%
添加剤としてステアリン酸塩と黒鉛と水溶性高重合体との配合溶液又はそれらの混合物 5質量%〜8質量%
であることを特徴とする請求項20に記載の消火組成物。
【請求項23】
前記組成物の各成分及びその含有量は、
フェロセン、フェロセン誘導体又はそれらの組み合わせ 40質量%〜70質量%
難燃剤 30質量%〜50質量%
添加剤としてステアリン酸塩と黒鉛と水溶性高重合体との配合溶液又はそれらの混合物 5質量%〜8質量%
であることを特徴とする請求項20に記載の消火組成物。
【請求項24】
前記フェロセン系消火組成物は表面被覆処理されていることを特徴とする前記請求項1〜23のいずれか1項に記載の消火組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消防分野に属し、新規の高効率な消火組成物に関し、より具体的には、フェロセン及びその誘導体を主消火材とするフェロセン系消火組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
1987年、カナダ・モントリオール議定書により、各国のハロン消火剤を取り替える具体的な目標が設定されて以来、世界中の国々は新しい消火技術の研究に取り組んで来た。消火効率が高く、且つ環境を汚染することのない消火技術を目指して力を入れている。
【0003】
ガス消火システム、乾燥粉末消火システム及び水消火システムなどは、環境に無害であるため、ハロン消火剤の代替品として広く使用されている。二酸化炭素、IG541などの不活性ガス消火システムの消火機構は主に物理的消火であり、燃焼区域の酸素濃度を低下させ窒息させて消火するが、このような消火方法では、人の身の安全をおびやかすことになりやすい。乾燥粉末消火システムは、加圧ガスによって噴出する粉末を火炎と接触させ、物理化学的抑制作用を奏して消火する。水霧消火システムは、細かい水霧の冷却・窒息・熱放射遮断という三重作用によって火災の制御・抑制・消し止めの目的を果たす。
【0004】
しかしながら、これらの消火システムは高圧貯蔵が必要であり、体積が大きいだけでなく、貯蔵過程に物理的爆発するリスクが伴っている。文献「ガス消火システムの安全性分析」(Fire Science And Technology, 2002 21(5))には、ガス消火システムに存在する危険性が分析され、高圧貯蔵ガス消火システムが使用中に引き起こした事故が挙げられた。
【0005】
消火物質を探す研究作業において、資料から、中国国外の研究機関はこの点について多くの研究を行い、アメリカ国立標準技術研究所建築と防火研究センターの次世代消火技術プロジェクトチーム(NGP)はハロン代替品である新しい消火物質を探す面で多くの実験研究を行って来たことが分かった。研究において、彼らはフェロセンは強い消火能力を有する消火物質であることを見出し、高温の窒素、二酸化炭素又はCF
3Hをキャリアガスとして、フェロセンを加熱して、フェロセンが昇華し気体となり、キャリアガスをフェロセン蒸気とともに火炎に当て消火試験を行った。試験から、フェロセンを添加すると、キャリアガスの消火濃度を顕著に低下させ得ることを見出したことによって、フェロセンが強い火炎抑制能力を有することを証明した(Halon Options Technical Working Conference2−4 May 2000, Flame Inhibition by ferrocene, alone and with CO
2 and CF
3H; Proceedings of the Combustion Institute, Volume 28,2000/pp 965−2972, Flame inhibition by ferrocene and blends of inert and catalytic agents; Flame inhibition by ferrocene, Carbon Dioxide, and Trifluotomethane Blends Synergistic and Antagonistic Effects)。
【0006】
中国の河南理工大学もフェロセンによる火炎抑制に関する研究を行い、下記の関連文献を発表した。Heat release rate study of pool fire characteristics interacted with ferrocene, JOURNAL OF HENAN POLYTECHNIC UNIVERSITY(NATURAL SCIENCE), 2008, Vol.27 No.6; Study of the Extinguishing Characteristics of ferrocene on Alcohol Fires, Journal of China University of Mining & Technology, 2008, Vol.37 No.2; Validity analysis on the suppression of pool fire with gas phase ferrocene, Journal of Safety and Environment, 2008, Vol.8 No.2; Experimental study on alcohol pool fire suppressed by different concentration ferrocene at gas phase state in confined compartment, Journal of Thermal Science and Technology, 2007, Vol.6 No.3; Development of a Ferrocene Fire Suppression Experimental Platform with Examination of its Fire Suppression Effectiveness, Fire Safety Science, 2007, Vol.16 No.2.また、CN101327364Aのフェロセン消火試験システム(Ferrocene extinguishment experiment system)という出願をした。
【0007】
しかし、これらのフェロセンの消火性能に関する研究は単に実験室研究に基づくもので、実際の適用はしていない。特許文献CN1238226Aの新規のエアゾール消火剤は、フェロセンをエアゾール消火剤の配合処方に用いたが、フェロセンを触媒として使用し、フェロセンの火炎抑制作用という特性を利用していない。
【0008】
従来のエアゾール消火剤は、主にS型とK型消火剤があり、その特性を総合的に分析した結果、下記のような問題点がある。エアゾール消火剤はいずれも、消火剤が酸化還元反応して大量のガスと活性粒子を発生し、活性粒子の連鎖停止反応及び大量のガスの被覆・窒息によって、化学的作用と物理的作用を組み合わせて消火の目的を達成するものである。エアゾール消火剤が燃焼反応する際に、エアゾールとともに、大量の熱を放出する。装置及びエアゾールの温度を効果的に低下させ、二次火災を防止するために、冷却システムを増設する必要があるため、装置の構造が複雑で大きく重くなり、製造プロセスが複雑で、コストが高くなり、また、冷却システムの存在によって、大量の活性粒子が活性を失うため、消火性能が大きく低下する。
【発明の概要】
【0009】
従来の消火設備の現状、特にエアゾール消火剤の固有の問題点に鑑み、本発明の目的は、加圧貯蔵の必要がなく、より安全な、より環境にやさしく高効率なフェロセン系消火組成物を提供することにある。
【0010】
本発明のフェロセン系消火組成物は、フェロセン、フェロセン誘導体又はそれらの組み合わせを含有し、その含有量は25質量%以上である。
【0011】
本発明のフェロセン系消火組成物は、主消火材であるフェロセン又はフェロセン誘導体のほか、当業界でよく用いられる様々な難燃剤、添加剤などを適宜加えてもよい。
【0012】
本発明のフェロセン系消火組成物は、下記の効果を同時に実現できる。(1)フェロセン系消火組成物は熱により瞬時に有効な消火物質を大量放出し、消火物質は主に液状又は固体微粒子であり、複数種の微粒子の相乗作用によって、消火時間が大幅短縮される。(2)分解生成物の難燃化作用によって、火源の再燃の可能性が低下するとともに、消火剤の消火効果が一層向上する。(3)フェロセン系消火組成物は、高温で熱により速やかに吸熱分解し、
火工品系薬剤の燃焼によって放出される熱を迅速で効果的に取り除き、消火器の噴出口及び噴出物質の温度が大幅に低下し、消火設備の複雑な冷却システムが不要となり、二次火災発生のリスクもなくなる。(4)消火組成物は加工成形しやすく、単独で又は物理冷却剤と組み合わせて使用してもよい。(5)性質が安定で、長期間に亘って貯蔵しやすい。(6)低毒性又は無毒性で、環境に優しい点で優れている。
【0013】
以下、本発明のフェロセン系消火組成物についてさらに詳しく説明する。
【0014】
本発明のフェロセン系消火組成物は、フェロセン、フェロセン誘導体又はそれらの組み合わせを含有し、その含有量は25質量%以上である。
【0015】
従来技術には、消火組成物にフェロセンを加えることが開示されているが、いずれも添加剤として加え、且つ添加量は約5質量%以下で非常に少ない。本発明者は、大量の実験によって、フェロセン又はフェロセン誘導体を主消火材(含有量が25質量%以上)とする場合、優れた消火効果が得られ、環境にも優しいことを見出した。
【0016】
フェロセン又はフェロセン誘導体の火炎抑制のメカニズムは、下記のように考えられる。気相フェロセン又はその誘導体は高温により気相鉄原子に分解され、鉄と酸素が反応してFeO
2を生成し、FeO
2は連鎖燃焼反応の酸素ラジカルを捕捉してFeOを生成できる。FeOは不安定な活性物であり、Fe(OH)
2及びFeOHとともに水素原子再配列の触媒サイクルに入り、Fe(OH)
2は連鎖燃焼反応の水素ラジカルを捕捉してFeOHを生成できる。FeOHが引き続き連鎖燃焼反応の水素ラジカルを消費してFeOを生じ、FeOが水素ラジカルを消費するというサイクルになり、連鎖燃焼反応を遮断する。
【0018】
大量のラジカルが連鎖燃焼反応を遮断するとともに、分解過程で放出される鉄粒子又は他の活性粒子も
火工品系薬剤、消火組成物の補助成分から放出される消火物質と相乗作用を奏して、消火剤の消火効果がさらに向上し、有効消火時間が大幅短縮される。
【0019】
良好な消火効果を実現するために、本発明のフェロセン系消火組成物におけるフェロセン又はその誘導体の含有量は少なくとも25質量%、好ましくは40質量%以上である。フェロセン又はその誘導体の含有量が100質量%である場合でも発明の目的を達成できるが、その含有量が一定の程度になると、含有量の増加につれ、フェロセン又はその誘導体の消火効果には明らかな変化が見られないという点から、フェロセン又はその誘導体の含有量は80質量%以下であることが好ましい。
【0020】
消火組成物の常温条件での性能安定性を確保し、長期間貯蔵の便宜を図るために、上記フェロセン誘導体は融点が100℃以上であることが好ましい。また、消火組成物は、熱により速やかに分解、揮発、反応して消火物質を大量放出するとともに、消火剤燃焼の熱を迅速に取り除くために、可揮発性を有するフェロセン誘導体がさらに好ましい。
【0021】
本発明に用いられるフェロセン誘導体は、アルデヒド若しくはケトン系フェロセン化合物であってもよく、例えば、1,2−ジホルミルフェロセン、3−フェロセニルアクロレイン、(4−ホルミルフェニル)フェロセン、オクタメチルホルミルフェロセン、クロロアセチルフェロセン、1−アセチル−1'−シアノフェロセン、α−オキソ−1,1'−トリメチレンフェロセン、β−オキソ−1,1'−テトラメチレンフェロセン、1,1'−ジアセチルフェロセン、(1,3−ジオキソブチル)フェロセン、1−アセチル−1'−アセトアミノフェロセン、(2−クロロベンゾイル)フェロセン、ベンゾイルフェロセン、1,1'−ジ(3−シアノプロピオニル)フェロセン、アセトアセチルフェロセン、(2−メトキシベンゾイル)フェロセン、1,1'−ジ(アセトアセチル)フェロセン、1−アセチル−1'−p−クロロベンゾイルフェロセン、1−フェロセニル−3−フェニル−2−プロペン−1−オン、3−フェロセニル−1−フェニル−2−プロペン−1−オン、(2,4−ジメトキシベンゾイル)フェロセン、1,1'−ジ(プロピオノアセチル)フェロセン、ビスフェロセンケトン、2−アセチルビフェロセン、1,1'−ジ(ペンタフルオロベンゾイル)フェロセン、1,2−ビスフェロセンアシルエタン、1,3−ビス(フェロセニルメチリデン)アセトン、1'−アセチル−2,2−ビスフェロセニルプロパン、1,1'−ジ(ベンゾイルアセチル)フェロセンが挙げられる。
【0022】
また、本発明に用いられるフェロセン誘導体は、カルボン酸及びその誘導体系フェロセン化合物であってもよく、例えば、フェロセンカルボン酸、2−ヒドロキシフェロセンカルボン酸、フェロセン酢酸、フェロセンチオ酢酸、3−フェロセニルアクリル酸、フェロセンプロピオン酸、フェロセンメチルチオ酢酸、1,1'−フェロセン二酢酸、フェロセン酪酸、フェロセンペンタン酸、2,2−ジメチル−3−フェロセニルプロピオン酸、1,1'−フェロセン二プロピオン酸、フェロセンヘキサン酸、1,1'−フェロセン二酪酸、4,4−ビスフェロセニルペンタン酸、1,1'−フェロセンジホルミルクロリド、1,2−フェロセンジカルボン酸無水物、1,1'−フェロセン二酢酸無水物、2−(1'−カルボキシメチルフェロセン)安息香酸無水物、フェロセンカルボン酸無水物、ジメチルフェロセン−1,1’−ジカルボキシレート、3−フェロセニルエチルアクリレート、1,1'''−ジ(メトキシカルボニル)ビフェロセン、4,4−ビスフェロセニルメチルバレレート、フェロセンホルムアミド、フェロセンホルミルヒドロキシアミン、フェロセンホルミルヒドラジド、アセトアミノフェロセン、フェロセンホルミルアジリジン、1'−ビニルフェロセンホルムアミド、Ν−(2−シアノエチル)フェロセンホルムアミド、Ν−アセチル−2−フェロセンエチルアミン、Ν−ブチルフェロセンホルムアミド、1,1'−フェロセンジホルミルアジリジン,Ν,Ν,Ν',Ν'−テトラメチル−1,1'−フェロセンジホルムアミド、Ν−フェニルフェロセンホルミルヒドロキシアミン、Ν−フェロセニルフタルイミド、Ν−ベンゾイル−2−フェロセンエチルアミン、4,4−ビスフェロセニルバレルアミド、シアノフェロセン、1,1'−ジシアノフェロセンが挙げられる。
【0023】
また、本発明に用いられるフェロセン誘導体は、アルコール若しくはフェノール若しくはエーテル系フェロセン化合物であってもよく、例えば、α−ヒドロキシフェロセンアセトニトリル、フェロセンジメタノール、1,2−フェロセンジメタノール、1,1'−ジ(1−ヒドロキシエチル)フェロセン、オクタメチルフェロセンメタノール、フェロセニル−(2,4,6−トリメトキシフェニル)メタノール、ビスフェロセニルメタノール、α,α−ジフェニルフェロセンメタノール、4−(2−フェロセニル−2−ヒドロキシエチル)−4'−メチル−2,2'−ビピリジン、2−メチル−α,α−ジフェニルフェロセンメタノール、1,4−ビスフェロセニル−1,4−ブタンジオール、4,4−ビスフェロセニル−1−ペンタノール、4,4’−ジ(2−フェロセニル−2−ヒドロキシエチル)−2,2'−ビピリジン、1,1'−ジ(ジフェニルヒドロキシメチル)フェロセン、(4−ヒドロキシフェニル)フェロセン、2−オキサ−1,1'−トリメチレンフェロセン、1,3−ジメチル−2−オキサ−1,1'−トリメチレンフェロセン、ビス(フェロセニルメチル)エーテル、1,1−ビスフェロセニルメチル−t−ブチルエーテルが挙げられる。
【0024】
また、本発明に用いられるフェロセン誘導体は、炭化水素系フェロセン化合物であってもよく、例えば、1,1'−トリメチレンフェロセン、1,1'−ジエチルフェロセン、1−ビニル−1'−クロロフェロセン、1,1'−ジ(α−シクロペンタジエニルエチリデン)フェロセン、フェニルエチニルフェロセン、ビスフェロセニルアセチレン、1,1'−ジ(フェニルエチニル)フェロセン、1,1'−ビス(フェロセンエチニル)フェロセン、1,1',2,2'−テトラクロロフェロセン、フルオロフェロセン、ビフェロセン、2,2−ビスフェロセニルプロパン、1,1−ビスフェロセニルペンタン、1',1'''−ジ(トリフェニルメチル)ビフェロセンが挙げられる。
【0025】
また、本発明に用いられるフェロセン誘導体は、窒素含有系フェロセン化合物であってもよく、例えば、(2−ニトロビニル)フェロセン、(4−ニトロフェニル)フェロセン、2−ヒドロキシ−2−フェロセンエチルアミン、Ν,Ν'−ビスフェロセニルエチレンジアミン、Ν,Ν'−ビスフェロセニルメチルエチレンジアミン、Ν,Ν'−ジ(ビスフェロセニルメチル)エチレンジアミン、2−ヒドロキシ−5−ニトロベンジルイミノフェロセン、ベンゾイルフェロセンオキシム、フェロセンメチルジアゾメチルケトン、1,1'−ジフェニルアゾフェロセン、フェロセニルフェニルメチルイミノベンゼン、1,6−フェロセニル−2,5−ジアザ−1,5−ヘキサジエンが挙げられる。
【0026】
また、本発明に用いられるフェロセン誘導体は、硫黄含有若しくはリン含有系フェロセン化合物であってもよく、例えば、1,1'−フェロセンジスルホニルクロリド、1,1'−フェロセンジスルホニルアジド、フェロセンスルホニルクロリド、フェロセンスルフィン酸、フェロセンスルホン酸、(ジエチルジチオカルバメート)フェロセン、1,1'−ジ(ジメチルジチオカルバメート)フェロセン、フェロセンメチルフェニルスルホン、チオールフェロセンスルホン酸フェロセニル、ビスフェロセニルジスルフィド、Ν,Ν'−ジシクロヘキシル−1,1'−ジスルホンアミドフェロセン、(ジフェニルホスフィノ)フェロセンが挙げられ、ケイ素含有系フェロセン化合物として、1,1'−ジクロロ−2−トリクロロシラニルフェロセン、ビス(1,1'−ジクロロ−2,2'−フェロセニレン)シラン、(1,1'−オクタメチルフェロセニレン)ジメチルシラン、(1,1'−ジクロロ−2,2'−フェロセニレン)ジフェニルシラン、1,1'−ジ[α−ヒドロキシ−α−(トリシリルプロピル)エチル]フェロセン、1,1'−ジ(フタルイミドメチルジシリル)フェロセンが挙げられる。
【0027】
また、本発明に用いられるフェロセン誘導体は、複素環式フェロセン化合物であってもよく、例えば、2−フェロセニル−1,3−ジチアン、5−フェロセニルメチレン−1−アザ−3−オキサ−4−オキサ−2−フェニル−1−シクロペンテニル、1,3−ビスフェロセニルイミダゾリン、2,5−ビスフェロセニルテトラヒドロフランが挙げられる。
【0028】
また、本発明に用いられるフェロセン誘導体は、例えば、1,1'−二銅フェロセン、クロロ水銀フェロセン、フェロセンホウ酸、第一銅フェロセニルアセチリド、ビスフェロセニルチタノセンが挙げられる。
【0029】
本発明の趣旨が新規の主消火材及びその消火組成物における含有量を見出すことにあることは、当業者であれば理解できる。消火組成物を損なわない範囲で、当業者は、当業界でよく用いられる配合物、例えば、難燃剤、添加剤又は他の消火物質などを任意に配合して使用することができる。上記配合物は、主消火材が火炎に辿り着く前に燃焼して消火効果を失うことを防止するためのものである。
【0030】
本発明に好ましく使用できる難燃剤は分解温度が100℃以上であって、熱により分解しやすく、且つガス、液状又は固体粒子を放出し得る化合物、或いは、熱による分解生成物が難燃効果を有する化合物である。具体的には、臭素系難燃剤であってもよく、例えば、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAエーテル、1,2−ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、2,4,6−トリブロモフェニルグリシジルエーテル、テトラブロモフタル酸無水物、1,2−ビス(テトラブロモフタルイミド)エタン、テトラブロモフタル酸ジメチル、テトラブロモフタル酸二ナトリウム、デカブロモジフェニルエーテル、テトラデカブロモジ(フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、ブロモトリメチルフェニルヒドロインデン、ペンタブロモベンジルアクリレート、ペンタブロモベンジルブロミド、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、2,4,6−トリブロモフェニルマレイミド、ヘキサブロモシクロドデカン、N,N'−1,2−ビス(ジブロモノルボルニルジカルボイミド)エタン、ペンタブロモクロロシクロヘキサン、トリ(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、臭素化スチレン共重合体、テトラブロモビスフェノールAカーボネートオリゴマー、ポリペンタブロモベンジルアクリレート、ポリジブロモフェニレンエーテルが挙げられ、クロロ系難燃剤として、例えば、デクロランプラス、クロレンド酸無水物、パークロロペンタシクロデカン、テトラクロロビスフェノールA、テトラクロロフタル酸無水物、ヘキサクロロベンゼン、塩化ポリプロピレン、塩化ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ポリエーテル、ヘキサクロロエタンが挙げられ、有機リン系難燃剤として、1−オキソ−4−ヒドロキシメチル−2,6,7−トリオキサ−1−ホスファビシクロ[2.2.2]オクタン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール−ジ(ネオペンチルグリコール)ジホスフェート、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、ビス(4−カルボキシフェニル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルホスフィンオキシド、フェニル(ジフェニルスルホン)ホスフェートオリゴマーが挙げられ、リン−ハロゲン系難燃剤として、例えば、トリ(2,2−ジ(ブロモメチル)−3−ブロモプロピル)ホスフェート、トリ(ジブロモフェニル)ホスフェート、3,9−ビス(トリブロモフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]−3,9−ジオキサウンデカン、3,9−ビス(ペンタブロモフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]−3,9−ジオキサウンデカン、1−オキソ−4−トリブロモフェノキシカルボニル−2,6,7−トリオキサ−1−ホスファビシクロ[2.2.2]オクタン、p−フェニレンテトラ(2,4,6−トリブロモフェニル)ジホスフェート、2,2−ジ(クロロメチル)−1,3−プロパンジオール−ジ(ネオペンチルグリコール)ジホスフェート、2,9−ジ(トリブロモネオペントキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]−3,9−ジオキサウンデカンが挙げられ、窒素系若しくはリン−窒素系難燃剤として、例えば、メラミン、シアヌル酸メラミン、オルトリン酸メラミン、オルトリン酸ジメラミン、ポリリン酸メラミン、ホウ酸メラミン、八モリブデン酸メラミン、シアヌル酸、トリヒドロキシエチルイソシアヌレート、2,4−ジアミノ−6−(3,3,3−トリクロロプロピル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ(N−ヒドロキシメチルアミノ)−6−(3,3,3−トリクロロプロピル−1,3,5−トリアジン)、リン酸水素二グアニジン、リン酸二水素グアニジン、炭酸グアニジン、アミノスルホン酸グアニジン、尿素、リン酸二水素尿素、ジシアンジアミド、メラミンビス(2,6,7−トリオキサ−1−ホスファ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−オキソ−4−メチル)ヒドロキシホスフェート、3,9−ジヒドロキシ−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン−3,9−ジメラミン、1,2−ジ(2−オキソ−5,5−ジメチル−1,3−ジオキサ−2−ホスファシクロヘキシル−2−アミノ)エタン、Ν,Ν'−ビス(2−オキソ−5,5−ジメチル−1,3−ジオキサ−2−ホスファシクロヘキシル)−2,2'−メタフェニレンジアミン、トリ(2−オキソ−5,5−ジメチル−1,3−ジオキサ−2−ホスファシクロヘキシル−2−メチル)アミン、ヘキサクロロシクロトリホスファゼンが挙げられ、無機難燃剤として、例えば、赤リン、ポリリン酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、リン酸ホウ素、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ヒドロマグネサイト、塩基性シュウ酸アルミニウム、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸亜鉛七水和物、ホウ酸アルミニウムウィスカー、八モリブデン酸アンモニウム、七モリブデン酸アンモニウム、スズ酸亜鉛、一酸化スズ、二酸化スズ、フェロセン、アセトン鉄、三酸化二鉄、四酸化三鉄、臭化アンモニウム、タングステン酸ナトリウム、ヘキサフルオロチタン酸カリウム、ヘキサフルオロジルコン酸カリウム、チタニア、炭酸カルシウム、硫酸バリウムが挙げられる。
【0031】
また、本発明に用いられる難燃剤は、他の分解温度が100℃以上で消火物質に分解できる化学物質であってもよく、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸コバルト、炭酸亜鉛、塩基性炭酸亜鉛、炭酸水素マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸マンガン、炭酸第一鉄、炭酸ストロンチウム、炭酸ナトリウムカリウム・6水和物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ドロマイト、塩基性炭酸銅、炭酸ジルコニウム、炭酸ベリリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸セリウム、炭酸ランタン、炭酸グアニジン、炭酸リチウム、炭酸スカンジウム、炭酸バナジウム、炭酸クロム、炭酸ニッケル、炭酸イットリウム、炭酸銀、炭酸プラセオジム、炭酸ネオジム、炭酸サマリウム、炭酸ユウロピウム、炭酸ガドリニウム、炭酸テルビウム、炭酸ジスプロシウム、炭酸ホルミウム、炭酸エルビウム、炭酸ツリウム、炭酸イッテルビウム、炭酸ルテチウム、二酢酸アルミニウム、酢酸カルシウム、酒石酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸亜鉛、酢酸ストロンチウム、酢酸ニッケル、酢酸銅、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、シュウ酸アンモニウム、シュウ酸ニッケル、シュウ酸マンガン二水和物、窒化二鉄、硝酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カリウム、硝酸ジルコニウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム二水和物、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素アルミニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素亜鉛、リン酸二水素マンガン、リン酸二水素マグネシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素カルシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸アンモニウム、リン酸アンモニウムマグネシウム、ポリリン酸アンモニウム、メタリン酸カリウム、トリポリリン酸カリウム、トリメタリン酸ナトリウム、次亜リン酸アンモニウム、亜リン酸二水素アンモニウム、リン酸マンガン、リン酸水素二亜鉛、リン酸水素二マンガン、リン酸グアニジン、リン酸メラミン、リン酸尿素、リン酸水素ジメタホウ酸ストロンチウム、ホウ酸、五ホウ酸アンモニウム、四ホウ酸カリウム・8水和物、メタホウ酸マグネシウム・8水和物、四ホウ酸アンモニウム・4水和物、メタホウ酸ストロンチウム、四ホウ酸ストロンチウム、四ホウ酸ストロンチウム、・4水和物、四ホウ酸ナトリウム・10水和物、ホウ酸マンガン、ホウ酸亜鉛、フルオロホウ酸アンモニウム、硫酸アンモニウム第一鉄、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、硫酸アンモニウム、硫酸水素マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化鉄、水酸化コバルト、水酸化ビスマス、水酸化ストロンチウム、水酸化セリウム、水酸化ランタン、水酸化モリブデン、モリブデン酸アンモニウム、スズ酸亜鉛、三ケイ酸マグネシウム、テルル酸、タングステン酸マンガン、水マンガン鉱、コバルトセン、5−アミノテトラゾール、硝酸グアニジン、アゾジホルムアミド、ナイロンパウダー、オキサミド、ビウレット、ペンタエリスリトール、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモフタル酸無水物、ジブロモネオペンチルグリコール、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸マンガン、クエン酸マグネシウム、クエン酸銅、クエン酸アンモニウム、ニトログアニジンが挙げられる。
【0032】
主消火材であるフェロセン又はその誘導体の消火効果を十分に活かす点から、上記難燃剤の含有量は75質量%以下、好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下であり、また、20質量%以上であることが好ましい。
【0033】
本発明のフェロセン系消火組成物は、必要に応じて、例えば、ステアリン酸塩と黒鉛と水溶性高重合体との配合溶液又はそれらの混合物のような様々な添加剤を添加してもよい。この添加剤の含有量は0.5〜10質量%であることが好ましい。
【0034】
本発明のフェロセン系消火組成物の好ましい各成分及びその含有量は、
フェロセン、フェロセン誘導体又はそれらの組み合わせ 30質量%〜80質量%
難燃剤 20質量%〜60質量%
添加剤 5質量%〜8質量%である。
【0035】
本発明のフェロセン系消火組成物のさらに好ましい各成分及びその含有量は、
フェロセン、フェロセン誘導体又はそれらの組み合わせ 40質量%〜70質量%
難燃剤 30質量%〜50質量%
添加剤 5質量%〜8質量%である。
【0036】
本発明のフェロセン系消火組成物は、ペレット化、モールドプレス、押出しなどの方法を用いて、塊状、板状、球状、短冊状及びハニカム状に成形してもよく、また、表面被覆処理されていてもよい。表面被覆処理を行う場合、表面被覆剤として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロースを添加することが好ましい。この表面被覆剤は、組成物系の表面滑らかさを改善し、強度、耐摩耗性及び耐振性をさらに向上させ、運送過程での冷却剤の粉末化・屑落・消火設備からの溢れ出しといった現象の発生を防止するものである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、実施例によって本発明のフェロセン系消火組成物をより具体的に説明する。
【0038】
実施例1
調製されたフェロセンとリン酸二水素アンモニウムと硫酸アンモニウム第一鉄との組成物試料50gを、K型エアゾール発生剤50gが入っている消火設備に入れ、面積が0.1m
2の油受けのガソリン消火試験を行った。試験の測定結果を表1に示す。
【0039】
実施例2
調製されたフェロセンとポリリン酸アンモニウムとの組成物を、実施例1に準じて測定した。測定結果を表1に示す。
【0040】
実施例3
調製されたフェロセンと炭酸亜鉛との組成物を、実施例1に準じて測定した。測定結果を表1に示す。
【0041】
実施例4
調製されたフェロセンと塩化カリウムと酸化亜鉛と酸化鉄と塩基性炭酸マグネシウムとの組成物を、実施例1に準じて測定した。測定結果を表1に示す。
【0042】
実施例5
調製されたフェロセンと塩化カリウムと酸化亜鉛と炭酸マンガンとケイ酸ナトリウムとの組成物を、実施例1に準じて測定した。測定結果を表1に示す。
【0043】
実施例6
調製されたフェロセンとメラミンと水酸化マグネシウムとの組成物を、実施例1に準じて測定した。測定結果を表1に示す。
【0044】
実施例7
調製されたフェロセンとシュウ酸アンモニウムとの組成物を、実施例1に準じて測定した。測定結果を表1に示す。
【0045】
実施例8
調製されたスチリルフェロセンとリン酸二水素アンモニウムと硫酸アンモニウム第一鉄との組成物を、実施例1に準じて測定した。測定結果を表1に示す。
【0046】
実施例9
調製されたビフェロセンとポリリン酸アンモニウムとの組成物を、実施例1に準じて測定した。測定結果を表1に示す。
【0047】
実施例10
調製されたフェロセンスルホニルクロリドと塩化カリウムと酸化亜鉛と炭酸マンガンとケイ酸ナトリウムとの組成物を、実施例1に準じて測定した。測定結果を表1に示す。
【0048】
比較例1
S型エアゾール消火剤100gのみを入れた消火設備サンプルに、面積が0.1m
2の油受けのガソリン消火試験を行った。試験の測定結果を表1に示す。
【0049】
比較例2
K型エアゾール消火剤100gのみを入れた消火設備サンプルに、面積が0.1m
2の油受けのガソリン消火試験を行った。試験の測定結果を表1に示す。
【0050】
比較例3
消火組成物に主な消火物質であるフェロセンを加えず、冷却・消火補助材料である炭酸マンガン、加工助剤であるステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのみを加えて、組成物を調製した後、実施例1の手順に準じて測定試験を行った。測定結果を表1に示す。
【0052】
上記の表において、比較例1及び2に用いられたS、K型消火剤はともに市販の消火剤である。表1から明らかに、本発明の実施例1〜10のフェロセン系消火組成物は消火効率が比較例1〜3より遥かに優れ、消火時間及び発生器噴出口温度も比較例1〜3より顕著に優れていることが分かる。また、実施例4,5、6及び10の表面被覆剤を添加したフェロセン系消火組成物は、強度、耐摩耗性及び耐振性の面において、他の消火組成物より顕著に改善されている。
【0053】
上述の具体的な実施例は単なる例示に過ぎず、本発明の上述の教示から、当業者は上述の実施例に基づいて様々な改良・変形を加えることができるが、これらの改良又は変形は本発明の技術的範囲内である。上述の詳細な記載は本発明の目的を説明するためのものであり、発明を制限するものではないことは当業者にとって明らかである。