特許第6052510号(P6052510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052510
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】フィンチューブ熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 1/32 20060101AFI20161219BHJP
【FI】
   F28F1/32 M
   F28F1/32 Y
【請求項の数】10
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-538446(P2013-538446)
(86)(22)【出願日】2012年10月12日
(86)【国際出願番号】JP2012006562
(87)【国際公開番号】WO2013054540
(87)【国際公開日】20130418
【審査請求日】2015年9月16日
(31)【優先権主張番号】特願2011-227334(P2011-227334)
(32)【優先日】2011年10月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】名越 健二
(72)【発明者】
【氏名】岡市 敦雄
(72)【発明者】
【氏名】本間 雅也
(72)【発明者】
【氏名】大坪 周平
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 寛
(72)【発明者】
【氏名】谷口 和宏
(72)【発明者】
【氏名】横山 昭一
【審査官】 鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−061375(JP,U)
【文献】 特開平11−125495(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/033767(WO,A1)
【文献】 特開2009−192174(JP,A)
【文献】 実開昭57−104185(JP,U)
【文献】 特開2008−111646(JP,A)
【文献】 米国特許第04545428(US,A)
【文献】 特開2011−089656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の流路を形成するために平行に並べられた複数のフィンと、
前記複数のフィンを貫通しており、前記空気と熱交換する媒体が内部を流れるように構成された伝熱管とを備え、
前記フィンは、気流方向における1つの位置にのみ山部が現れるように成形されたV形コルゲートフィンであって、前記伝熱管の周囲に形成された管周囲部と、前記山部を形成するように前記気流方向に対して傾いている第1傾斜部と、前記管周囲部と前記第1傾斜部とを互いに接続している第2傾斜部と、前記第2傾斜部に形成されたスリットを有
前記スリットは、当該スリットの長手方向に平行な中心線を有し、
前記フィンを平面視したとき、前記山部の稜線、前記伝熱管の中心及び前記スリットの前記中心線が、前記気流方向に垂直な同一直線上に存在している、フィンチューブ熱交換器。
【請求項2】
記スリットは、前記管周囲部の側から前記山部の側に向かって延びている、請求項1に記載のフィンチューブ熱交換器。
【請求項3】
前記スリットは、毛細管現象によって前記フィンの表側から前記フィンの裏側へと水を導くことができる幅を有する、請求項1に記載のフィンチューブ熱交換器。
【請求項4】
前記スリットの幅が0.01〜1mmの範囲にある、請求項1に記載のフィンチューブ熱交換器。
【請求項5】
前記スリットの端部が前記管周囲部又は前記山部に接している、請求項1に記載のフィンチューブ熱交換器。
【請求項6】
前記スリットの両端部が前記管周囲部及び前記山部にそれぞれ接している、請求項1に記載のフィンチューブ熱交換器。
【請求項7】
前記気流方向及び前記複数のフィンの並び方向の両方向に垂直な方向を段方向と定義したとき、
前記第2傾斜部は、前記段方向に垂直かつ前記伝熱管の中心を通る平面を境界として、上側の領域及び下側の領域を含み、
前記上側の領域及び前記下側の領域のそれぞれに前記スリットが形成されている、請求項1に記載のフィンチューブ熱交換器。
【請求項8】
前記スリットの長手方向に垂直な断面を観察したとき、前記スリットの一方の側における前記第2傾斜部と前記スリットの他方の側における前記第2傾斜部との間に段差が付与されることによって前記スリットが形成されていている、請求項1に記載のフィンチューブ熱交換器。
【請求項9】
前記スリットの長手方向に垂直な断面を観察したとき、前記スリットの一方の側と他方の側とのそれぞれにおいて前記第2傾斜部が弓形に変形することによって前記スリットが形成されている、請求項1に記載のフィンチューブ熱交換器。
【請求項10】
前記管周囲部は、前記伝熱管に密着している円筒状のフィンカラーの周囲に形成された平坦部である、又は前記伝熱管に密着している円筒状のフィンカラーである、請求項1に記載のフィンチューブ熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィンチューブ熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
フィンチューブ熱交換器は、所定間隔で並べられた複数のフィンと、複数のフィンを貫通する伝熱管とによって構成されている。空気は、フィンとフィンとの間を流れて伝熱管の中の流体と熱交換する。
【0003】
図15は、従来のフィンチューブ熱交換器に使用されたフィンの平面図である。フィン1は、気流方向において山部4と谷部6とが交互に現れるように成形されている。このようなフィンは、一般に「コルゲートフィン(corrugated fin)」と呼ばれている。コルゲートフィンによれば、伝熱面積を増やす効果だけでなく、気流3を蛇行させることによって温度境界層を薄くする効果が得られる。
【0004】
フィンチューブ熱交換器に共通する1つの技術課題として、排水性能に関する課題がある。フィンの表面に水(凝縮水)が付着すると効率的な熱交換が阻害されるので、フィンの表面から速やかに水が排除されることが望ましい。例えば、特許文献1には、排水スリットを有するフィンが記載されている。特許文献1に記載されたフィンを図16に示す。フィン11には、伝熱管7の下方のドレン滞留域から斜め下に向かって延びる排水スリット8が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭64−22186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された技術は、曲げられていないフィン(いわゆるフラットフィン)を想定したものであり、その応用範囲は必ずしも広くない。そのため、コルゲートフィンに適用できる技術が望まれている。
【0007】
本発明は、コルゲートフィンを用いたフィンチューブ熱交換器の排水性能を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本開示は、
空気の流路を形成するために平行に並べられた複数のフィンと、
前記複数のフィンを貫通しており、前記空気と熱交換する媒体が内部を流れるように構成された伝熱管とを備え、
前記フィンは、気流方向における少なくとも1つの位置に山部が現れるように成形されたコルゲートフィンであって、前記伝熱管の周囲に形成された管周囲部と、前記山部を形成するように前記気流方向に対して傾いている第1傾斜部と、前記管周囲部と前記第1傾斜部とを互いに接続している第2傾斜部と、前記第2傾斜部に形成されたスリットを有する、フィンチューブ熱交換器を提供する。
【発明の効果】
【0009】
上記のフィンチューブ熱交換器によれば、第2傾斜部にスリットが形成されている。水は、スリットを通じてフィンの表側からフィンの裏側へと導かれ、フィンの裏側で谷部に集められる。谷部に集められた水は、谷部を伝って下方に流れる。その結果、フィンの表面から水が効率的に排除される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係るフィンチューブ熱交換器の斜視図
図2A図1のフィンチューブ熱交換器に用いられたフィンの平面図
図2B図2Aに示すフィンのIIB-IIB線に沿った断面図
図2C図2Aに示すフィンのIIC-IIC線に沿った断面図
図2D図2Aに示すフィンのIID-IID線に沿った断面図
図3】変形例1に係るフィンの平面図
図4A】変形例2に係るフィンの平面図
図4B図4Aに示すフィンのIVB-IVB線に沿った断面図
図5A】スリットの端部の位置の別の例を示す平面図
図5B】スリットの端部の位置のさらに別の例を示す平面図
図5C】スリットの端部の位置のさらに別の例を示す平面図
図5D】スリットの端部の位置のさらに別の例を示す平面図
図6A】スリットの拡大断面図
図6B】別のスリットの拡大断面図
図7A】従来のフィンの作用説明図
図7B】第1実施形態のフィンの作用説明図
図8A】変形例3に係るフィンの平面図
図8B図8Aに示すフィンのVIIIB-VIIIB線に沿った断面図
図8C】変形例3に係るフィンから一部のスリットを省略したフィンの平面図
図9A】変形例3のフィンからスリットを省略したフィンの作用説明図
図9B】変形例3のフィンの作用説明図
図10A】第2実施形態に係るフィンの平面図
図10B図10Aに示すフィンのXB-XB線に沿った断面図
図10C図10Aに示すフィンのXC-XC線に沿った断面図
図10D図10Aに示すフィンのXD-XD線に沿った断面図
図11】変形例4に係るフィンの平面図
図12】変形例5に係るフィンの部分平面図
図13A】変形例6に係るフィンの平面図
図13B図13Aに示すフィンのXIIIB-XIIIB線に沿った断面図
図13C図13Aに示すフィンのXIIIC-XIIIC線に沿った断面図
図13D図13Aに示すフィンのXIIID-XIIID線に沿った断面図
図14A】変形例7に係るフィンの平面図
図14B図14Aに示すフィンのXIVB-XIVB線に沿った断面図
図14C図14Aに示すフィンのXIVC-XIVC線に沿った断面図
図14D図14Aに示すフィンのXIVD-XIVD線に沿った断面図
図15】従来のコルゲートフィンの平面図
図16】特許文献1に記載されたフィンの平面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の第1態様は、
空気の流路を形成するために平行に並べられた複数のフィンと、
前記複数のフィンを貫通しており、前記空気と熱交換する媒体が内部を流れるように構成された伝熱管とを備え、
前記フィンは、気流方向における少なくとも1つの位置に山部が現れるように成形されたコルゲートフィンであって、前記伝熱管の周囲に形成された管周囲部と、前記山部を形成するように前記気流方向に対して傾いている第1傾斜部と、前記管周囲部と前記第1傾斜部とを互いに接続している第2傾斜部と、前記第2傾斜部に形成されたスリットを有する、フィンチューブ熱交換器を提供する。
【0012】
フィンの表面に付着した水は、通常、自重によって下方に流れる。しかし、付着した水の一部は、フィンの表面に滞留することがある。水の滞留は、コルゲートフィンにおいて起こりやすい。コルゲートフィンにおいて水が滞留しやすい部分として、管周囲部及び第2傾斜部が挙げられる。山部を乗り越えることができない水は、表面積をなるべく小さくする形で管周囲部及び第2傾斜部に滞留し、安定する。
【0013】
これに対し、第1態様のフィンチューブ熱交換器によれば、第2傾斜部にスリットが形成されている。スリットは、管周囲部及び第2傾斜部から山部に水を導く。これと同時に、水は、スリットを通じてフィンの表側からフィンの裏側へと導かれる。つまり、水は、フィンの裏側で谷部に集められる。谷部に集められた水は、谷部を伝って下方に流れる。その結果、フィンの表面から水が効率的に排除される。
【0014】
本開示の第2態様は、第1態様に加え、前記スリットの長手方向は、前記気流方向に対して傾いている又は前記気流方向に対して垂直であり、前記スリットは、前記管周囲部の側から前記山部の側に向かって延びている、フィンチューブ熱交換器を提供する。このようなスリットによれば、管周囲部及び第2傾斜部から山部に水を効率的に導くことができる。
【0015】
本開示の第3態様は、第1又は第2態様に加え、前記スリットは、当該スリットの前記長手方向に平行な中心線を有し、前記中心線の延長線上に前記伝熱管の中心が位置している、フィンチューブ熱交換器を提供する。スリットがこのような方向に延びていると、スリットがフィンにおける熱伝導を阻害しにくい。
【0016】
本開示の第4態様は、第1〜第3態様のいずれか1つに加え、前記スリットは、毛細管現象によって前記フィンの表側から前記フィンの裏側へと水を導くことができる幅を有する、フィンチューブ熱交換器を提供する。このような構成によれば、フィンの表面から水が効率的に排除される。
【0017】
本開示の第5態様は、第1〜第4態様のいずれか1つに加え、前記スリットの幅が0.01〜1mmの範囲にある、フィンチューブ熱交換器を提供する。スリットの幅がこのような範囲に調整されていると、水は、フィンの表側からフィンの裏側へとスムーズに導かれる。
【0018】
本開示の第6態様は、第1〜第5態様のいずれか1つに加え、前記スリットの端部が前記管周囲部又は前記山部に接している、フィンチューブ熱交換器を提供する。スリットが管周囲部の側から山部の側へと延びているので、水を山部に導く作用が発揮される。
【0019】
本開示の第7態様は、第1〜第5態様のいずれか1つに加え、前記スリットの両端部が前記管周囲部及び前記山部にそれぞれ接している、フィンチューブ熱交換器を提供する。このような構成によれば、管周囲部及び第2傾斜部から山部に効率的に水が集められる。
【0020】
本開示の第8態様は、第1〜第7態様のいずれか1つに加え、前記フィンは、前記気流方向における1つの位置にのみ前記山部が現れるように成形されたV形コルゲートフィンである、フィンチューブ熱交換器を提供する。このような構成によれば、スリットを通じて、フィンの表側から裏側へと導かれた水は、全て1つの谷部に集められる。より多くの水が1つの谷部に集められるので、集められた水は下方に簡単に流れる。
【0021】
本開示の第9態様は、第8態様に加え、前記スリットは、当該スリットの前記長手方向に平行な中心線を有し、前記フィンを平面視したとき、前記山部の稜線、前記伝熱管の中心及び前記スリットの前記中心線が、前記気流方向に垂直な同一直線上に存在している、フィンチューブ熱交換器を提供する。このような位置関係によれば、管周囲部及び第2傾斜部に水が殆ど残らないので、排水性能の飛躍的な改善を期待できる。
【0022】
本開示の第10態様は、第1〜第7態様のいずれか1つに加え、前記フィンは、前記気流方向に沿って複数の位置に前記山部が形成されたM形コルゲートフィンであり、前記山部のそれぞれに対応する形で複数の前記スリットが前記第2傾斜部に形成されている、フィンチューブ熱交換器を提供する。このような構成によれば、優れた排水効果が得られる。
【0023】
本開示の第11態様は、第1〜第10態様のいずれか1つに加え、前記気流方向及び前記複数のフィンの並び方向の両方向に垂直な方向を段方向と定義したとき、前記第2傾斜部は、前記段方向に垂直かつ前記伝熱管の中心を通る平面を境界として、上側の領域及び下側の領域を含み、前記上側の領域及び前記下側の領域のそれぞれに前記スリットが形成されている、フィンチューブ熱交換器を提供する。このような構成によれば、スリットによる排水効果を十分に得ることができる。
【0024】
本開示の第12態様は、第1〜第11態様のいずれか1つに加え、前記スリットの長手方向に垂直な断面を観察したとき、前記スリットの一方の側における前記第2傾斜部と前記スリットの他方の側における前記第2傾斜部との間に段差が付与されることによって前記スリットが形成されていている、フィンチューブ熱交換器を提供する。このような形状のスリットよれば、フィンの排水性能を改善する効果を得ることができる。
【0025】
本開示の第13態様は、第1〜第11態様のいずれか1つに加え、前記スリットの幅方向に垂直な断面を観察したとき、前記スリットの一方の側と他方の側とのそれぞれにおいて前記第2傾斜部が弓形に変形することによって前記スリットが形成されている、フィンチューブ熱交換器を提供する。このような形状のスリットよれば、フィンの排水性能を改善する効果を得ることができる。
【0026】
本開示の第14態様は、第1〜第13態様のいずれか1つに加え、前記管周囲部は、前記伝熱管に密着している円筒状のフィンカラーの周囲に形成された平坦部である、又は前記伝熱管に密着している円筒状のフィンカラーである、フィンチューブ熱交換器を提供する。
【0027】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態によって本発明が限定されるものではない。
【0028】
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態のフィンチューブ熱交換器100は、空気A(気体)の流路を形成するために平行に並べられた複数のフィン31と、これらのフィン31を貫通する伝熱管21とを備えている。フィンチューブ熱交換器100は、伝熱管21の内部を流れる媒体Bと、フィン31の表面に沿って流れる空気Aとを熱交換させるように構成されている。媒体Bは、例えば、二酸化炭素、ハイドロフルオロカーボンなどの冷媒である。伝熱管21は、1本につながっていてもよいし、複数本に分かれていてもよい。
【0029】
フィン31は、前縁30a及び後縁30bを有する。前縁30a及び後縁30bは、それぞれ、直線状である。本実施形態では、伝熱管21の中心に関してフィン31が左右対称の構造を有している。従って、熱交換器100を組み立てるときに、フィン31の方向を考慮する必要がない。
【0030】
本明細書では、フィン31の並び方向を高さ方向、前縁30aに平行な方向を段方向、高さ方向及び段方向に垂直な方向を気流方向(空気Aの流れ方向)と定義する。言い換えれば、段方向は、高さ方向と気流方向との両方向に垂直な方向である。気流方向は、フィン31の長手方向に垂直であるとともに、フィンチューブ熱交換器100の実際の使用状態において水平方向に平行である。気流方向、高さ方向及び段方向は、それぞれ、X方向、Y方向及びZ方向に対応している。
【0031】
図2A図2Dに示すように、フィン31は、典型的には、長方形かつ平板の形状を有する。フィン31の長手方向は段方向に一致している。本実施形態において、フィン31は一定の間隔(フィンピッチFP)で並べられている。ただし、高さ方向に関して互いに隣り合う2つのフィン31の間隔は必ずしも一定である必要はなく、異なっていてもよい。フィンピッチFPは、例えば、1.0〜1.5mmの範囲に調整されている。図2Bに示すように、フィンピッチFPは、隣り合う2つのフィン31の距離で表される。
【0032】
前縁30aを含む一定幅の部分及び後縁30bを含む一定幅の部分は、気流方向に平行である。ただし、これらの部分は、成形時にフィン31を金型に固定するために使用される部分であり、フィン31の性能に大きな影響を及ぼさない。
【0033】
フィン31の材料として、打ち抜き加工された肉厚0.05〜0.8mmのアルミニウム製の平板を好適に使用できる。フィン31の表面にベーマイト処理、親水性塗料の塗布などの親水性処理が施されていてもよい。親水性処理に代えて、撥水処理を行うことも可能である。
【0034】
フィン31には、複数の貫通孔37hが段方向に沿って一列かつ等間隔で形成されている。複数の貫通孔37hの各中心を通る直線は段方向に平行である。複数の貫通孔37hのそれぞれに伝熱管21が嵌められている。貫通孔37hの周りにはフィンカラー37がフィン31の一部によって形成されており、このフィンカラー37と伝熱管21とが密着している。貫通孔37hの直径は、例えば1〜20mmであり、4mm以下であってもよい。貫通孔37hの直径は、伝熱管21の外径に一致している。段方向に互いに隣り合う2つの貫通孔37hの中心間距離(管ピッチ)は、例えば、貫通孔37hの直径の2〜3倍である。また、気流方向におけるフィン31の長さは、例えば15〜25mmである。
【0035】
図2A図2Dに示すように、フィン31は、気流方向において山部34と谷部36とが交互に現れるように成形されている。山部34及び谷部36は、隣り合う伝熱管21の間に位置している。山部34の稜線及び谷部36の谷線は、それぞれ、段方向に平行である。すなわち、フィン31は、コルゲートフィンと呼ばれるフィンである。フィンカラー37の突出方向と同じ方向に突出している部分を「山部34」と定義すると、本実施形態において、フィン31は、気流方向において2つの山部34と1つの谷部36とを有する。気流方向において、谷部36の位置は伝熱管21の中心の位置に一致している。ただし、谷部36と伝熱管21との位置関係、及び山部34と伝熱管21との位置関係は特に限定されない。山部34の数及び谷部36の数も特に限定されない。
【0036】
フィン31は、さらに、平坦部35、第1傾斜部38及び第2傾斜部39(周囲傾斜部)を有する。平坦部35は、フィンカラー37に隣接している部分であって、貫通孔37hの周囲に形成された管周囲部である。平坦部35は、貫通孔37hと第2傾斜部39との間に形成されており、平面視で円環の形状を有する。平坦部35の表面は、気流方向に平行で高さ方向に垂直である。ただし、平坦部35が気流方向に対して僅かに傾いていてもよい。第1傾斜部38は、山部34及び谷部36を形成するように気流方向に対して傾いた部分である。第1傾斜部38は、フィン31において最も広い面積を占有している。第1傾斜部38の表面は平坦である。第2傾斜部39は、平坦部35と第1傾斜部38との間の高さの違いを解消するように、平坦部35と第1傾斜部38とを滑らかに接続している部分である。第2傾斜部39の表面は緩やかな曲面で構成されている。すなわち、第2傾斜部39は、貫通孔37hから山部34の側に向けて隆起した傾斜部のことである。平坦部35及び第2傾斜部39は、フィンカラー37及び貫通孔37hの周りに凹状の部分を形成している。なお、本実施形態では、谷部36の位置で第2傾斜部39が2つに分かれているように見えるが、1つの平坦部35の周りに1つの環状の第2傾斜部39が形成されているものとみなす。
【0037】
第1傾斜部38と第2傾斜部39との境界部分に適度なアール(例えば、R0.5mm〜R2.0mm)が付与されていてもよい。同様に、山部34と第2傾斜部39との境界部分に適度なアール(例えば、R0.5mm〜R2.0mm)が付与されていてもよい。
【0038】
図2A及び図2Dに示すように、フィン31は、さらに、第2傾斜部39に形成されたスリット23を有する。スリット23は、フィン31を貫通しているとともに、貫通孔37hの側から山部34の側に向かって延びている。詳細には、スリット23は、平坦部35の側から山部34の側に向かって延びている。スリット23は、気流方向に対して傾いている又は垂直な長手方向を有する。本実施形態では、スリット23の延長線上に山部34の稜線の端部45がある。別の観点から、スリット23は、貫通孔37hの中心(伝熱管21の中心25)から山部34の稜線の端部45に向かって延びる仮想線の上に形成されている。このようなスリット23によれば、平坦部35及び第2傾斜部39から山部34に水を導くことができる。これと同時に、水は、スリット23を通じてフィン31の表側からフィン31の裏側へと導かれる。つまり、水は、フィン31の裏側で谷部に集められる。谷部に集められた水は、谷部を伝って下方に流れる。その結果、フィン31の表面から水が効率的に排除される。
【0039】
フィンチューブ熱交換器100の実際の使用状態(図1)において、スリット23は、第2傾斜部39の少なくとも下半分の領域に位置するように形成されている。詳細には、第2傾斜部39は、段方向に垂直かつ伝熱管21の中心25を通る平面Hを境界として、上側の領域39a及び下側の領域39bを含む。本実施形態では、上側の領域39a及び下側の領域39bのそれぞれにスリット23が形成されている。これにより、スリット23による排水効果を十分に得ることができる。フィン31が上下対称の構造を有するので、フィンチューブ熱交換器100の組み立てが容易になる。
【0040】
ただし、上側の領域39a及び下側の領域39bから選ばれる少なくとも一方にスリット23が形成されていてもよい。図3に示すように、変形例1に係るフィン31Bにおいて、スリット23は、下側の領域39bに形成されている。詳細には、スリット23は、下側の領域39bにのみ形成されている。この構成によっても、スリット23による排水効果を十分に得ることができる。
【0041】
なお、「フィンチューブ熱交換器100の実際の使用状態」とは、フィン31の長手方向が概ね鉛直方向に平行となるようにフィンチューブ熱交換器100を設置した状態を意味する。このような設置状態でフィンチューブ熱交換器100を使用すれば、フィン31の表面に水が溜まりにくい。
【0042】
本実施形態において、フィン31は、気流方向における複数の位置に山部34が形成されたM形コルゲートフィンである。山部34のそれぞれに対応する形で複数のスリット23が第2傾斜部39に形成されている。本実施形態では、気流方向に沿って2つの山部34が存在しているので、それら2つの山部34のそれぞれに水を導くように複数のスリット23が第2傾斜部39に形成されている。詳細には、1つの平坦部35の周囲に4つのスリット23が形成されている。つまり、第2傾斜部39に4つのスリット23が形成されている。このような構成によれば、優れた排水効果が得られる。もちろん、図3に示すフィン31Bのように、第2傾斜部39に2つのスリット23が形成されていてもよい。このような構成によっても、十分な排水効果が得られる。
【0043】
本実施形態では、全ての平坦部35の周囲に少なくとも1つのスリット23が形成されている。これにより、全ての平坦部35の周囲でスリット23による排水効果が得られる。しかし、このことは必須ではない。例えば、隣り合う2つの平坦部35から選ばれる一方の周囲にのみスリット23が形成されていてもよい。この場合にも一定の排水効果は得られる。
【0044】
スリット23の長手方向は、概ね重力方向に沿っていることが望ましい。これにより、平坦部35及び第2傾斜部39の上の水を山部34へと速やかに導くことができるだけでなく、平坦部35及び第2傾斜部39の上の水をフィン31の表側から裏側へと速やかに導くことができる。例えば、スリット23の長手方向に平行な直線と、フィン31の長手方向に平行な直線とのなす角度が45度以下となるように、スリット23の長手方向を定めることができる。本実施形態において、スリット23は、長手方向に平行な中心線CLを有する。中心線CLの延長線上に伝熱管21の中心25(貫通孔37hの中心)が位置している。スリット23がこのような方向に延びていると、スリット23がフィン31における熱伝導を阻害しにくい。その理由は次の通りである。
【0045】
伝熱管21の近傍におけるフィン31の温度分布は、通常、伝熱管21を中心として概ね同心円状に拡がっている。スリット23の中心線CLの延長線上に伝熱管21の中心25が位置している場合、中心線CLの左側におけるフィン31の温度は、中心線CLの右側におけるフィン31の温度に概ね一致する。仮に、スリット23が設けられていなかったとしても、スリット23を横切る方向に熱は殆ど移動しない。従って、本実施形態によれば、フィン31の伝熱性能が維持される。
【0046】
ただし、排水性能を改善できる限りにおいて、スリット23の長手方向は特に限定されない。図4A及び図4Bに示すように、変形例2に係るフィン31Cにおいて、スリット23の長手方向は鉛直方向(フィン31Cの長手方向)に平行である。言い換えれば、スリット23の長手方向は気流方向に対して垂直である。山部34の稜線の延長線ELの上にスリット23が形成されている。
【0047】
図2Aに示すように、本実施形態において、スリット23の両端部は平坦部35及び山部34にそれぞれ接している。このような構成によれば、平坦部35及び第2傾斜部39から山部34に効率的に水が集められる。ただし、一定の集水作用が発揮される限りにおいて、スリット23の端部の位置は特に限定されない。
【0048】
例えば、図5Aに示すように、スリット23の両端部が平坦部35及び山部34から離れていてもよい。図5Bに示すように、スリット23は、平坦部35に接している一端部と、山部34から離れた他端部とを有していてもよい。図5Cに示すように、スリット23は、平坦部35から離れている一端部と、山部34(詳細には、山部34の稜線の端部45)に接している他端部とを有していてもよい。図5Dに示すように、スリット23の他端部は、第1傾斜部38と第2傾斜部39との間の稜線上に位置していてもよい。言い換えれば、スリット23の延長線とは異なる位置に山部34の稜線の端部45があってもよい。さらに、山部34の稜線がスリット23の延長線から離れていてもよい。これらの場合においても、スリット23は、平坦部35の側から山部34の側へと延びている。言い換えると、図5A図5Dにおいて、スリット23は、貫通孔37hの中心(伝熱管21の中心25)から山部34の側に向かって延びる仮想線上に形成されている。従って、水を山部34に導く作用は発揮される。ただし、スリット23の端部が平坦部35又は山部34に接していると、優れた集水作用が発揮されるので望ましい。
【0049】
なお、貫通孔37hの中心から山部34の稜線の端部45に向かって延びる仮想線上にスリット23が形成されていることは必須ではない。例えば、貫通孔37hの中心からずれた位置から山部34の側に向かって延びる仮想線上にスリット23が形成されていてもよい。さらに、貫通孔37hの中心からずれた位置から山部34の稜線の端部45に向かって延びる仮想線上にスリット23が形成されていてもよい。山部34の稜線の端部45に向かって延びるようにスリット23が第2傾斜部39に形成されていることが望ましい。
【0050】
スリット23の幅は特に限定されない。ただし、スリット23は、毛細管現象によってフィン31の表側からフィン31の裏側へと水を導くことができる幅Gを有していることが望ましい。このような構成によれば、フィン31の表面から水が効率的に排除される。
【0051】
スリット23の幅Gは、例えば、0.01〜1mm(望ましくは、0.05〜0.3mm)の範囲に調整されうる。フィンピッチFPを基準にすると、スリットの幅Gは、0.005FP<G<FP(望ましくは、0.025FP<G<0.3FP)の関係を満足するように調整されうる。幅Gがこのような範囲に調整されていると、水は、フィン31の表側からフィン31の裏側へとスムーズに導かれる。「フィンピッチFP」は、互いに隣り合うフィンの間隔を意味する。
【0052】
スリット23の断面形状も特に限定されない。スリット23の断面形状の具体例を図6A及び図6Bに示す。図6Aに示す例は、厚さ方向に沿ってフィン31にせん断荷重を加えることによって形成されうる。すなわち、スリット23の長手方向に垂直な断面を観察したとき、スリット23の一方の側(左側)における第2傾斜部39とスリット23の他方の側(右側)における第2傾斜部39との間に段差が付与されることによってスリット23が形成されていている。図6Bに示すスリット23は、鋭利な刃物(例えば、金型に組み込まれたもの)をフィン31の一方の面からフィン31に突き刺すことによって形成されうる。すなわち、スリット23の長手方向に垂直な断面を観察したとき、スリット23の一方の側(左側)と他方の側(右側)とのそれぞれにおいて第2傾斜部39が弓形に変形することによってスリット23が形成されていてもよい。いずれの形状のスリット23よっても、フィン31の排水性能を改善する効果を得ることができる。なお、スリット23を形成するときの加工の方向も特に限定されない。
【0053】
次に、図7A及び図7Bを参照して、スリット23の作用を詳細に説明する。図7A及び図7Bは、時系列でフィンの表面状態を表している。
【0054】
図7Aに示すように、従来のフィン1において、水Wは、伝熱管2の周囲においてフィン1の表面に付着する(左図)。水Wは、フィン1の折れ目に沿って下方(重力方向)に流れ、平坦部5及び傾斜部9に滞留し始める。水Wの一部は、谷部6に沿って溢れ出し、さらに、下方に流れる(中央図)。しかし、水Wの残部は、表面張力によって平坦部5及び傾斜部9に取り残され、下方に流れることなく、伝熱管2の周囲に滞留する(右図)。以降の運転において、水Wが空気の流れを妨げ、かつ大きな熱抵抗となるので、熱交換器の性能は大幅に低下する。
【0055】
これに対し、本実施形態のフィン31は、次のような作用及び効果を奏する。図7Bに示すように、水Wは、伝熱管21の周囲においてフィン31の表面に付着する(左図)。水Wは、フィン31の折れ目に沿って下方に流れ、平坦部35及び第2傾斜部39に滞留し始める。水Wの一部は、谷部36に沿って溢れ出し、さらに、下方に流れる。水Wの残部は、表面張力(毛細管現象)及び重力の影響により、スリット23を通じて、フィン31の表側からフィン31の裏側へと浸透する。フィン31の裏側において、山部34は谷部を構成し、谷部36は山部を構成する。従って、水Wがスリット23を通じて到達する先には谷部が待ち構えている。スリット23を通じてフィン31の裏側に浸透した水Wは、谷部に沿って下方に流れる(中央図の破線部)。このようにして、水Wは、フィン31の表面から十分に排除される(右図)。その結果、フィンチューブ熱交換器100の本来の性能が発揮され続ける。
【0056】
ヒートポンプシステムの室外機に本実施形態のフィンチューブ熱交換器100を使用したとき、排水性能の改善によって得られる利益は飛躍的に高まる。
【0057】
一般に、外気温度が0℃に近づくと、室外機に組み込まれたフィンチューブ熱交換器のフィンの表面に霜が堆積し始める。霜は、フィンチューブ熱交換器の性能を大きく損なうので、霜を溶かして除去するための運転、いわゆるデフロスト運転を定期的に実施する必要がある。ところが、従来のフィン1によれば、霜が溶けることによって生じた水をフィン1の表面から十分に排除することができない。そのため、霜が溶けることによって生じた水の一部はそのままフィン1の表面に残存し、デフロスト運転の終了後に再凍結する。つまり、霜の融解と残存水の凍結に無駄なエネルギーが消費される。再凍結によって霜(又は氷)がフィン1の表面に堆積すると、デフロスト運転のインターバルを短縮する必要性にも迫られる。
【0058】
これに対し、図7Bを参照して説明したように、本実施形態のフィンチューブ熱交換器100は優れた排水性能を有しているので、デフロスト運転によって生じた水は、速やかにフィン31の表面から排除される。これにより、無駄なエネルギーの消費、デフロスト運転のインターバルの短縮といった不利益を回避することができる。デフロスト運転後には、水がフィン31の表面から十分に排除されているので、フィンチューブ熱交換器100の本来の性能が確実に発揮される。
【0059】
図2A図2Dを参照して説明したフィン31によれば、高さ方向(Y方向)において、平坦部35の位置が谷部36の位置に一致している。このような構成によれば、図7Aを参照して説明したように、スリット23が存在しなかったとしても、水Wは、平坦部5及び第2傾斜部9から谷部6へと、ある程度移動できる。ただし、この構成は必須ではない。
【0060】
図8A及び図8Bに示すように、変形例3に係るフィン31Dによれば、高さ方向において、平坦部35の位置は、谷部36の位置と異なっており、前縁30a及び後縁30bの位置に一致している。高さ方向において、平坦部35と山部34との間に谷部36が位置しており、谷部36と平坦部35との間に段差が生じている。谷部36と平坦部35との間の段差は、平坦部35の周囲に形成された環状の第2傾斜部39によって埋め合わされている。
【0061】
フィン31Dにおいて、スリット23は以下の位置に形成されている。すなわち、伝熱管21の中心25(貫通孔37hの中心)を通り、気流方向に垂直な平面を第1中央平面P1と定義する。スリット23は、第1中央平面P1に重なるように第2傾斜部39に形成されている。詳細には、スリット23は、第1中央平面P1に重なっており、かつ段方向に延びている。つまり、スリット23の長手方向は、谷部36の谷線に平行である。また、スリット23は、貫通孔37hの側から谷部36の側に向かって延びている。詳細には、スリット23は、平坦部35の側から谷部36の側に向かって延びている。さらに、本変形例においても、上側の領域39a及び下側の領域39bの両方にスリット23が形成されていてもよいし、上側の領域39a及び下側の領域39bから選ばれる一方にのみスリット23が形成されていてもよい。すなわち、図8Aに示すように、2つのスリット23が第2傾斜部39に形成されていてもよいし、図8Cに示すように、1つのスリット23が第2傾斜部39に形成されていてもよい。後者の場合、典型的には、下側の領域39bにのみスリット23が形成される。
【0062】
図9Aに示すように、スリット23が形成されていない場合、水Wの一部は、谷部6に沿って溢れ出し、下方に流れる(左図及び中央図)。しかし、水Wの残部は、表面張力によって平坦部5及び傾斜部9に取り残され、下方に流れることなく、伝熱管2の周囲に滞留する(右図)。平坦部5と谷部6との間に段差が存在するため、滞留する水Wの量は多くなりがちである。
【0063】
図9Bに示すように、本変形例のフィン31Dによれば、水Wは、スリット23を通じてフィン31Dの表側から裏側へと浸透し、山部から谷部へと拡がった後、谷部に沿って下方に流れる(左図及び中央図)。従って、水Wは、フィン31Dの表面から十分に排除される(右図)。フィン31Dは、図7Bを参照して説明したフィン31の作用と同じ作用を発揮する。
【0064】
(第2実施形態)
図10A図10Dに示すように、第2実施形態に係るフィン31Fは、気流方向における1つの位置にのみ山部34が現れるように成形されたV形コルゲートフィンである。本実施形態のフィン31Fは、第1実施形態のフィン31と同様に、平坦部35、第1傾斜部38、第2傾斜部39及びスリット23を有する。スリット23は、第2傾斜部39に形成されており、貫通孔37hの側から山部34の側に向かって延びている。詳細には、スリット23は、平坦部35の側から山部34の側に向かって延びている。すなわち、気流方向における1つの位置にのみ山部34が形成されている点を除き、本実施形態のフィン31Fの構成要素は、同一参照符号で示すように、第1実施形態のフィン31のそれらと同じである。従って、技術的な矛盾の無い限りにおいて、第1実施形態及びその変形例に関する全ての説明は、本実施形態のフィン31F及びその変形例にも援用されうる。
【0065】
本実施形態のフィン31Fにおいても、第1実施形態のフィン31と同じように、スリット23によって排水性能が改善する。
【0066】
図10Aに示すように、スリット23の長手方向は気流方向に対して垂直である。具体的に、スリット23は、当該スリット23の長手方向に平行な中心線CLを有する。スリット23の長手方向は重力方向及び段方向に平行なので、中心線CLも重力方向及び段方向に平行である。フィン31Fを平面視したとき、山部34の稜線、伝熱管21の中心25及びスリット23の中心線CLは、気流方向に垂直な同一直線上に存在している。スリット23の一端部(上端部)は、円環状の平坦部35の下端又はその近傍に位置している。このような位置関係によれば、平坦部35及び第2傾斜部39に水が殆ど残らないので、排水性能の飛躍的な改善を期待できる。
【0067】
第1実施形態と同じように、本実施形態においても、スリット23は、貫通孔37hの中心(伝熱管21の中心25)から山部34の側に向かって延びる仮想線上に形成されている。また、スリット23の延長線上に山部34の稜線の端部45がある。従って、第1実施形態で説明した効果と同じ効果が本実施形態においても得られる。
【0068】
本実施形態のフィン31FはV形コルゲートフィンである。そのため、スリット23を通じて、フィン31Fの表側から裏側へと導かれた水は、全て1つの谷部に集められる。つまり、M形コルゲートフィン(第1実施形態)に比べて、より多くの水が1つの谷部に集められるので、集められた水は下方に簡単に流れる。このように、本実施形態のフィン31Fの排水性能は、第1実施形態のフィン31(M形コルゲートフィン)の排水性能と同等又はそれを上回る。気流方向の長さが一定ならば、V形コルゲートフィンの表面積は、M形コルゲートフィンの表面積を上回る。そのため、V形コルゲートフィンの熱交換性能は、M形コルゲートフィンの熱交換性能と同等又はそれを上回る。
【0069】
本実施形態のフィン31Fにおいても、スリット23は、第2傾斜部39の上側の領域39a及び第2傾斜部39の下側の領域39bのそれぞれに形成されている。すなわち、第2傾斜部39に2つのスリット23が形成されている。ただし、第1実施形態でも説明したように、上側の領域39a及び下側の領域39bから選ばれる少なくとも一方にスリット23が形成されていてもよい。図11に示すように、変形例4に係るフィン31Gにおいて、スリット23は、下側の領域39bに形成されている。詳細には、スリット23は、下側の領域39bにのみ形成されている。
【0070】
本実施形態においても、排水効果が発揮される限りにおいて、スリット23の構成は特に限定されない。例えば、第1実施形態のフィン31のように、スリット23は、気流方向及び段方向の両方向に対して傾斜していてもよい。図5A図5Dを参照して説明したように、スリット23の両端部の位置も特に限定されない。さらに、図12に示すように、変形例5に係るフィン31Hには、1つの山部34に向かって延びるように、複数のスリット23(例えば、2つのスリット23)が形成されている。
【0071】
(その他の変形例)
図13A図13Dに示すように、変形例6に係るフィン31Iは、平坦部35を有していない。第2傾斜部39(周囲傾斜部)は、フィンカラー37に隣接しており、貫通孔37hの側から山部34に向かってなだらかに隆起している。平坦部35を有していない点を除き、フィン31Iの構造は、第1実施形態のフィン31と同じである。また、図14A図14Dに示すように、変形例7に係るフィン31Jも平坦部35を有していない。平坦部35を有していない点を除き、フィン31Jの構造は、第2実施形態のフィン31Fと同じである。このように、平坦部35は必須ではなく、省略されていてもよい。変形例6及び7において、高さ方向に延びるように形成された円筒状のフィンカラー37が伝熱管21の周囲に形成された管周囲部でありうる。
【0072】
図4A図5A図5D及び図12に示すフィンにおいて、スリット23は、第2傾斜部39の下側の領域39bにのみ形成されている。しかし、図4A図5A図5D及び図12に示すフィンがそれぞれ上下対称の構造を有するように、第2傾斜部39の上側の領域39aに1つのスリット23又は複数のスリット23が形成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本明細書に開示されたフィンチューブ熱交換器は、空気調和装置、給湯装置、暖房装置などに用いられるヒートポンプに有用である。特に、冷媒を蒸発させるための蒸発器に有用である。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図14C
図14D
図15
図16