(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
半導体基板上に、入射光を光電変換して得られた信号電荷を蓄積する受光部と、前記受光部に蓄積された信号電荷をゲート電極に印加されたパルス信号に従って転送する転送トランジスタと、転送された前記信号電荷を一時的に蓄積する電荷検出部と、前記電荷検出部に蓄積された信号電荷をゲート電極に印加されたパルス信号に従ってリセットするリセットトランジスタとを含む単位画素が半導体基板上に2次元状に配置された画素部と、
前記半導体基板に形成され、前記パルス信号を前記画素部に供給することにより前記画素部を駆動する垂直走査部と、を備え、
前記垂直走査部は、
画素行を選択する行選択部と、
外部から入力された単一電圧レベルの電源電圧のレベルを変換する1以上のレベルシフト回路と、
前記レベルシフト回路でレベル変換された電圧をバッファし、当該バッファされた前記電圧を前記パルス信号として前記画素部へ伝達する1以上のバッファ回路とを備え、
前記レベルシフト回路のそれぞれは、
外部から入力された電源電圧を降圧する降圧側レベルシフト回路と、
当該降圧側レベルシフト回路とウェル分離され、外部から入力された電源電圧を昇圧する昇圧側レベルシフト回路とを備える
ことを特徴とする固体撮像装置。
前記第1のバッファ回路から前記転送トランジスタの前記ゲート電極へ供給される前記パルス信号の電圧振幅は、前記第2のバッファ回路から前記リセットトランジスタの前記ゲート電極へ供給される前記パルス信号の電圧振幅より大きく設定される
ことを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。
前記画素部は、さらに、半導体基板上に、前記電荷検出部に蓄積された信号電荷に対応した画素信号を、ゲート電極に印加されたパルス信号に従って画素列ごとに配置された垂直信号線に出力するタイミングを決定する選択トランジスタを備え、
前記垂直走査部は、
前記行選択部と、前記選択トランジスタの前記ゲート電極との間に配置された第3の前記レベルシフト回路及び第3の前記バッファ回路を備え、
前記第1のレベルシフト回路は、前記第2のレベルシフト回路及び前記第3のレベルシフト回路よりも前記行選択部に近い位置に配置されており、
前記第3のレベルシフト回路は、前記第1のレベルシフト回路及び前記第2のレベルシフト回路よりも前記画素部に近い位置に配置されている
ことを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。
前記第1のレベルシフト回路及び前記第1のバッファ回路から前記転送トランジスタの前記ゲート電極へ供給される前記パルス信号の電圧振幅は、前記第2のレベルシフト回路及び前記第2のバッファ回路から前記リセットトランジスタの前記ゲート電極へ供給される前記パルス信号の電圧振幅、及び、前記第3のレベルシフト回路及び前記第3のバッファ回路から前記選択トランジスタの前記ゲート電極へ供給される前記パルス信号の電圧振幅より大きく設定される
ことを特徴とする請求項4に記載の固体撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、各実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0020】
なお、以下で説明する各実施形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0021】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の全体構成図である。同図において、固体撮像装置1は、半導体基板9上に複数の単位画素10(
図2及び
図4に図示)が2次元状に配置された画素部2と、画素部2から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するカラムADC部5と、カラムADC部5で変換されたデジタル信号を一時記憶するメモリ部6と、メモリ部6に格納されたデータを順次水平方向に選択し出力させる水平走査部7と、メモリ部6から読み出された信号をバッファする出力アンプ部8とを備える。また、固体撮像装置1は、周辺回路として、各画素行を選択して駆動する垂直走査部4と、各機能ブロックのタイミング信号を生成するタイミングジェネレータ部(TG部)3とを備える。
【0022】
また、垂直走査部4には、外部入力端子を介してデジタル電源電圧DVDD1、デジタルグランド電圧DVSS1、デジタル電源電圧DVDD2、及びデジタルグランド電圧DVSS2が供給される。また、画素部2には、外部入力端子を介してアナログ電源電圧AVDD1と、アナロググランド電圧AVSS1とが供給される。また、その他の周辺回路部には、外部入力端子を介してデジタル電源電圧DVDD3、デジタルグランド電圧DVSS3、アナログ電源電圧AVDD2、及びアナロググランド電圧AVSS2が供給される。また、固体撮像装置1には、外部入力端子を介してVSUB電圧が供給される。
【0023】
なお、デジタル電源DVDD1電圧及びデジタル電源DVDD3電圧は、例えば1.2Vであり、デジタル電源電圧DVDD2、アナログ電源電圧AVDD1及びアナログ電源電圧AVDD2は、例えば2.8Vである。これにより、デジタルカメラやモバイルフォンでは、バッテリーを長時間維持するための低電圧化が実現される。
【0024】
図2は、第1の実施形態に係る固体撮像装置の単位画素及び垂直走査部の詳細構成図である。同図において、単位画素10は、フォトダイオード(受光部)11と、転送トランジスタ13と、電荷検出部14と、増幅トランジスタ15と、選択トランジスタ16と、電荷検出部14の電位をリセットするリセットトランジスタ12と、垂直信号線17と、アナログ電源電圧AVDD1が供給される端子と、アナロググランド電圧AVSS1が供給される端子とを備える。
【0025】
フォトダイオード(受光部)11は、入射光を光電変換して得られた信号電荷を蓄積する。
【0026】
選択トランジスタ16は、電荷検出部14に蓄積された信号電荷に対応した画素信号を、ゲート電極に印加されたパルス信号に従って、画素列ごとに配置された垂直信号線17に出力するタイミングを決定する。
【0027】
転送トランジスタ13は、フォトダイオード11に蓄積された信号電荷を、ゲート電極に印加されたパルス信号に従って転送する。
【0028】
電荷検出部14は、転送トランジスタ13により転送された上記信号電荷を一時的に蓄積する。
【0029】
リセットトランジスタ12は、電荷検出部14に蓄積された上記信号電荷を、ゲート電極に印加されたパルス信号に従ってリセットする。
【0030】
また、垂直走査部4は、リセット制御線18を介してリセットトランジスタ12を制御するリセット制御信号と、転送制御線19を介して転送トランジスタ13を制御する転送制御信号と、行選択線20を介して選択トランジスタ16を制御する走査信号とを生成する。垂直走査部4は、上記リセット制御信号、上記転送制御信号及び上記走査信号を、パルス信号として画素部2に供給することにより画素部2を駆動する。
【0031】
また、垂直走査部4に供給されるデジタル電源電圧DVDD1と、デジタル電源電圧DVDD2とは、DVDD1<DVDD2という関係にあり、デジタルグランド電圧DVSS1と、デジタルグランド電圧DVSS2とは、DVSS2≦DVSS1という関係にある。
【0032】
また、デジタル電源電圧DVDD2と、アナログ電源電圧AVDD1とは、DVDD2≧AVDD1という関係にあり、デジタルグランド電圧DVSS2と、アナロググランド電圧AVSS1とは、DVSS2≦AVSS1という関係にある。
【0033】
図3は、第1の実施形態に係る固体撮像装置の駆動タイミングチャートである。具体的には、
図2に示されたリセット制御線18、転送制御線19、及び行選択線20に関するタイミングチャートである。
【0034】
画素の読み出し動作は、まず、時刻T1において、選択トランジスタ16のゲート電極に印加される走査信号をDVDD2(≧AVDD1)にし、画素を選択する。
【0035】
次に、時刻T2において、リセットトランジスタ12のゲート電極に印加されるリセット制御信号を、DVDD2(≧AVDD1)にし、時刻T3において、DVSS2(≦AVSS1)とする。時刻T2〜時刻T3におけるリセット制御線18の電圧変化により、電荷検出部14の電圧をAVDD1と同一の電圧にリセットする。
【0036】
次に、時刻T4において、転送トランジスタ13のゲート電極に印加される転送制御信号を、DVDD2(≧AVDD1)にし、時刻T5において、DVSS2(≦AVSS1)とする。時刻T4〜時刻T5における転送制御線19の電圧変化により、フォトダイオード11の信号を読み出す。
【0037】
次に、時刻T6において、読出しが完了した画素行の選択トランジスタ16のゲート電極に印加される走査信号をDVSS1にする。以上の一連の動作で信号の読出し動作を行う。
【0038】
図4は、第1の実施形態に係る固体撮像装置の垂直走査部と単位画素の詳細構成図である。具体的には、
図3で示された垂直走査部4と単位画素10とのブロック構成図である。なお、単位画素10の構成は
図2で示された構成と同一である。同図に示された垂直走査部4は、画素行を選択する行選択部210と、外部から入力された単一電圧レベルの電源電圧のレベルを変換するレベルシフト回路部211、212及び213と、当該レベルシフト回路部でレベル変換された電圧をバッファし、当該バッファされた電圧をパルス信号として画素部2へ伝達するバッファ回路部214、215及び215とを備える。上記レベルシフト回路部211、212及び213は、それぞれ、外部から入力された単一レベルの電源電圧のレベルを降圧する降圧側レベルシフト回路300a、300b及び300cと、当該降圧側レベルシフト回路とウェル分離され、外部から入力された単一レベルの電源電圧のレベルを昇圧する昇圧側レベルシフト回路301a、301b及び301cとを備える。
【0039】
同じ行にある複数の単位画素10に備わる転送トランジスタ13には、行選択部210から単位画素10に向かう方向に、降圧側レベルシフト回路300a及び昇圧側レベルシフト回路301aからなり行選択部210で生成した転送制御信号の電圧レベルをシフトするレベルシフト回路303aと、レベルシフト回路303aで生成された信号をバッファするバッファ回路302aとが、この順で接続されている。レベルシフト回路303a及びバッファ回路302aは、それぞれ、行選択部210と、転送トランジスタ13のゲート電極との間に配置された第1のレベルシフト回路及び第1のバッファ回路である。
【0040】
また、同じ行にある複数の単位画素10に備わるリセットトランジスタ12には、行選択部210から単位画素10に向かう方向に、降圧側レベルシフト回路300b及び昇圧側レベルシフト回路301bからなり行選択部210で生成したリセット制御信号の電圧レベルをシフトするレベルシフト回路303bと、レベルシフト回路303bで生成された信号をバッファするバッファ回路302bとが、この順で接続されている。レベルシフト回路303b及びバッファ回路302bは、それぞれ、行選択部210と、リセットトランジスタ12のゲート電極との間に配置された第2のレベルシフト回路及び第2のバッファ回路である。
【0041】
また、同じ行にある複数の単位画素10に備わる選択トランジスタ16には、行選択部210から単位画素10に向かう方向に、降圧側レベルシフト回路300c及び昇圧側レベルシフト回路301cからなり行選択部210で生成した走査信号の電圧レベルをシフトするレベルシフト回路303cと、レベルシフト回路303cで生成された信号をバッファするバッファ回路302cとが、この順で接続されている。レベルシフト回路303c及びバッファ回路302cは、それぞれ、行選択部210と、選択トランジスタ16のゲート電極との間に配置された第3のレベルシフト回路及び第3のバッファ回路である。
【0042】
レベルシフト回路303a、303b及び303cは、それぞれ、行選択部210側に降圧側レベルシフト回路300a、300b及び300cが配置され、単位画素10側に昇圧側レベルシフト回路301a、301b、301cが配置されている。
【0043】
また、転送トランジスタ13に接続されるレベルシフト回路303aは、他トランジスタ(リセットトランジスタ12及び選択トランジスタ16)に接続されるレベルシフト回路303b及び303cよりも、行選択部210に近い位置に配置され、転送トランジスタ13に接続されるバッファ回路302aは、他トランジスタ(リセットトランジスタ12及び選択トランジスタ16)に接続されるバッファ回路302b及び302cよりも、行選択部210に近い位置に配置される。このように、レベルシフト回路303aおよびバッファ回路302aを、単位画素10(画素部2)から最も遠い位置とすることにより、ダイナミックレンジを確保しつつ転送トランジスタ13に電圧を印加している時(画素読出し時)にレベルシフト回路303aで発生したノイズが基板経由で画素に伝播することを防止できる。よって、フォトダイオードからの読出し信号にノイズを重畳させないことで画像劣化を防ぐことが出来る。
【0044】
さらに、選択トランジスタ16に接続されるレベルシフト回路303cは、他トランジスタ(転送トランジスタ13及びリセットトランジスタ12)に接続されるレベルシフト回路303a及び303bよりも、単位画素10に近い位置に配置され、選択トランジスタ16に接続されるバッファ回路302cは、他トランジスタ(転送トランジスタ13及びリセットトランジスタ12)に接続されるバッファ回路302a及び302bよりも、単位画素10に近い位置に配置される。
【0045】
また、同じ行にある複数の単位画素10に接続されるレベルシフト回路303aは、異なる行にある複数の単位画素10に接続されるレベルシフト回路303aとともに、レベルシフト回路部211を構成する。また、同じ行にある複数の単位画素10に接続されるレベルシフト回路303bは、異なる行にある複数の単位画素10に接続されるレベルシフト回路303bとともに、レベルシフト回路部212を構成する。また、同じ行にある複数の単位画素10に接続されるレベルシフト回路303cは、異なる行にある複数の単位画素10に接続されるレベルシフト回路303cとともに、レベルシフト回路部213を構成する。
【0046】
同様に、同じ行にある複数の単位画素10に接続されるバッファ回路302aは、異なる行にある複数の単位画素10に接続されるバッファ回路302aとともに、バッファ回路部214を構成する。また、同じ行にある複数の単位画素10に接続されるバッファ回路302bは、異なる行にある複数の単位画素10に接続されるバッファ回路302bとともに、バッファ回路部215を構成する。また、同じ行にある複数の単位画素10に接続されるバッファ回路302cは、異なる行にある複数の単位画素10に接続されるバッファ回路302cとともに、バッファ回路部216を構成する。
【0047】
また、行選択部210には、デジタル電源電圧DVDD1と、デジタルグランド電圧DVSS1とが供給される。
【0048】
レベルシフト回路部211及び212には、デジタル電源電圧DVDD1と、デジタル電源電圧DVDD2と、デジタルグランド電圧DVSS2とが供給される。
【0049】
レベルシフト回路部213には、デジタル電源電圧DVDD1と、デジタルグランド電圧DVSS1と、デジタル電源電圧DVDD2とが供給される。
【0050】
バッファ回路部214及び215には、デジタル電源電圧DVDD2と、デジタルグランド電圧DVSS2とが供給される。
【0051】
バッファ回路部216には、デジタル電源電圧DVDD2と、デジタルグランド電圧DVSS1とが供給される。
【0052】
すなわち、本実施形態に係る固体撮像装置1は、レベルシフト回路部211、212及び213と、バッファ回路部214、215及び216とを備え、デジタル電源電圧DVDD1及びDVDD2と、デジタルグランド電圧DVSS1及びDVSS2とを供給することで、転送トランジスタ13、リセットトランジスタ12及び選択トランジスタ16のゲートに印加される電圧レベル(電圧のHighとLowの差)を大きくすることができ、画素部2の動作マージンを拡大できる。
【0053】
例えば、レベルシフト回路部211及びバッファ回路214から転送トランジスタ13のゲート電極へ供給されるパルス信号の電圧振幅は、レベルシフト回路部212及びバッファ回路215からリセットトランジスタ12のゲート電極へ供給されるパルス信号の電圧振幅、および、レベルシフト回路部213及びバッファ回路216から選択トランジスタ16のゲート電極へ供給されるパルス信号の電圧振幅より大きく設定される。
【0054】
また、本実施形態に係る固体撮像装置1では、単位画素10の横に、バッファ回路部214、215及び216が配置され、レベルシフト回路部211、212及び213が行選択部210とバッファ回路部214、215及び216との間に配置される。上記配置により、レベルシフト回路部211、212及び213が行選択部210で生成した各制御信号を、デジタル電源電圧DVDD1からDVDD2へとレベル変換する際に、貫通電流が流れて半導体基板9が電気的に揺らぐことを防止できるので、画素の動作マージンを拡大しつつ、ランダムノイズによる画像劣化を防止することが可能となる。
【0055】
次に、垂直走査部4から一行分の回路を抜き出した
図5を用いて詳細に説明する。
【0056】
図5は、第1の実施形態に係る固体撮像装置のレベルシフト回路及びバッファ回路の詳細回路図である。具体的には、
図5には、降圧側レベルシフト回路300a、300b及び300cを含む降圧側レベルシフト回路300、ならびに、昇圧側レベルシフト回路301a、301b及び301cを含む昇圧側レベルシフト回路301で構成された、レベルシフト回路303a、303b及び303cを含むレベルシフト回路303と、バッファ回路302a、302b及び302cを含むバッファ回路302との詳細な回路図が図示されている。
【0057】
図5より、行選択部210の1行分の回路に相当する行選択回路304は、該当する行を発生させる行発生回路305と、行発生回路305で発生した信号SIG100及びこれを反転させた信号N_SIG101を出力する行選択出力回路306とで構成される。
【0058】
行選択出力回路306から出力された信号SIG100とN_SIG101とは、降圧側レベルシフト回路300に入力され、降圧側レベルシフト回路300はLow電圧レベルをDVSS1(=0V)からDVSS2(<0V)へとシフトする。次に、昇圧側レベルシフト回路301は、High電圧レベルをDVDD1(<DVDD2)からDVDD2へシフトする。上記のように電圧シフトされた信号は、バッファ回路302を経て信号23として単位画素10(画素部2)へ供給される。
【0059】
行選択回路304から単位画素10の方向に、降圧側レベルシフト回路300及び昇圧側レベルシフト回路301からなるレベルシフト回路303と、バッファ回路302とがこの順で配置される。これにより、行選択回路304から降圧側レベルシフト回路300の電圧ステップを小さくでき、降圧側レベルシフト回路300から昇圧側レベルシフト回路301の電圧ステップも小さく出来る。よって、各レベルシフト回路のMOSサイズを小さくでき、回路の動作マージンを拡大でき、消費電流を抑制でき、レベルシフト回路部211、212及び213の回路面積を小さくすることができる。
【0060】
図6は、第1の実施形態に係る固体撮像装置の構造断面図である。同図より、半導体基板9上に形成された画素部2には、全体的にセンサ用のPウェル40が形成されており、アナロググランド電圧AVSS1が印加されている。このPウェル40の周囲には、Nウェル45が形成され、その外側にはPウェル39が形成され、Pウェル39の周囲にはNウェル44が形成されている。以下、順に、Pウェル38、Nウェル43、Pウェル37、Nウェル42、Pウェル36が形成されている。
【0061】
また、各Pウェル36、37、38及び39には、
図5に示された各回路が形成されている。具体的には、Pウェル37には、降圧側レベルシフト回路300が形成され、Pウェル38には、昇圧側レベルシフト回路301が形成され、Pウェル39には、バッファ回路302が形成されている。
【0062】
なお、Pウェル37、38及び39には、デジタルグランド電圧DVSS2が印加され、Nウェル42、43、44及び45には、VSUB電圧が印加され、行選択部210のPウェル36には、デジタルグランド電圧DVSS1が印加されている。デジタルグランド電圧DVSS2は、DVSS2≦0の関係となっており負電位になる場合もある。
【0063】
上記構造によれば、降圧側レベルシフト回路300及び昇圧側レベルシフト回路301のウェルを分離し、画素部2のPウェル領域とレベルシフト回路303のPウェル領域とをNウェルにより分離する。これにより、固体撮像装置で求められる駆動電圧差が大きな場合においても、降圧側レベルシフト回路300と昇圧側レベルシフト回路301とが設けられることで、双方のレベルシフト回路で発生した貫通電流に起因するノイズパワーが減り、半導体基板9経由で画素部2に伝播するノイズが抑制される。また、電圧差が大きいことによる信頼性劣化も抑制出来る。
【0064】
なお、本実施形態においては、
図5に示された回路の形成領域として、Pウェル36、37、38及び39が形成されているが、画素部2に負電圧を印加するためのウェル構造であればよい。
【0065】
以上、図面を用いて説明した本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置1によれば、複数の電源電圧を半導体基板9の外部から供給する、及び、半導体基板9内に昇圧側レベルシフト回路301や降圧側レベルシフト回路300を設けることにより、周辺回路部の電圧を低電圧化して消費電力を抑制することが可能となる。一方で、画素部2には高い電圧を印加し、電荷検出部14のレベルを高い電圧でリセットをし、ダイナミックレンジを確保しつつ、ランダムノイズを低減することが可能となる。
【0066】
以下、さらに、第1の実施形態に係る固体撮像装置1の効果の詳細を説明する。
【0067】
まず、一般的な固体撮像装置のレベルシフト回路は、バッファ機能も有している。これに対し、本実施形態に係る固体撮像装置1は、バッファ回路302とレベルシフト回路303とを別回路とすることにより、レベルシフト回路303の回路サイズを小さくでき、レベルシフト回路303の貫通電流を抑制でき、IRドロップ低減により動作マージン拡大によるレベルシフト回路303の動作電圧を拡大でき、消費電流を抑制することが出来る。
【0068】
さらに、バッファ回路302とレベルシフト回路303とは、同一電源及び同一グランドを用いているが、電源およびグランドの幹線を分けることで一箇所に電流が集中することを防ぎ、ランダムノイズ、ランダム横線ノイズの画像劣化を防ぐことができる。
【0069】
さらに、バッファ回路302とレベルシフト回路303とを別回路とし、さらに、単位画素10とレベルシフト回路303との間にバッファ回路302が配置されることにより、貫通電流が発生するレベルシフト回路303を画素から離しつつ、固体撮像装置1を直接駆動するためのバッファ回路302を単位画素10(画素部2)の近くに配置することができる。また、各レベルシフト回路303をまとめて単位画素10(画素部2)から離しつつ、固体撮像装置1を直接駆動するためのバッファ回路302を、単位画素10(画素部2)の近くに配置できる。
【0070】
さらに、転送トランジスタ13に接続するレベルシフト回路303を他トランジスタ(リセットトランジスタ12、選択トランジスタ16)に接続するレベルシフト回路303よりも行選択部210に近く配置する、すなわち、単位画素10(画素部2)から最も遠い位置とすることにより、ダイナミックレンジを確保しつつ、転送トランジスタ13に電圧を印加している時(画素を読出している時)に転送トランジスタ13に接続するレベルシフト回路303で発生したノイズが基板経由で画素に伝播することを防ぎ、フォトダイオード11からの読出し信号にノイズを重畳させないことで画像劣化を防ぐことが出来る。
【0071】
さらに、降圧側レベルシフト回路300と昇圧側レベルシフト回路301のウェルを分離し、画素部2のPウェル領域とレベルシフト回路303のPウェル領域がNウェルにより分離することにより、固体撮像装置で求められる駆動電圧差が大きな場合においても、降圧側レベルシフト回路300と昇圧側レベルシフト回路301を用いることで、双方のレベルシフト回路で発生した貫通電流に起因するノイズパワーが減り、半導体基板9経由で画素部2に伝播するノイズが抑制される、また、電圧差が大きいことによる信頼性劣化も抑制出来る。
【0072】
さらに、行選択部210から単位画素10の方向で、降圧側レベルシフト回路300と昇圧側レベルシフト回路301からなるレベルシフト回路303と、バッファ回路302を順次配置することにより、行選択回路304から降圧側レベルシフト回路300の電圧ステップが小さくでき、降圧側レベルシフト回路300から昇圧側レベルシフト回路301の電圧ステップも小さく出来るため、各レベルシフト回路のMOSサイズを小さくでき、回路の動作マージンを拡大でき、消費電流を抑制でき、レベルシフト回路部211、212、213の回路面積を小さくすることができる。
【0073】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照しながら、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の構成及び動作について、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0074】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の単位画素及び垂直走査部の詳細構成図である。同図において、単位画素50は、フォトダイオード(受光部)51と、転送トランジスタ53と、電荷検出部54と、増幅トランジスタ55と、電荷検出部54の電位をリセットするリセットトランジスタ52と、垂直信号線57と、アナログ電源電圧AVDD1が供給される端子と、アナロググランド電圧AVSS1が供給される端子とを備える。
【0075】
垂直走査部60は、リセット制御線58を介してリセットトランジスタ52を制御するリセット制御信号と、転送制御線59を介して転送トランジスタ53を制御する転送制御信号とを生成する。
【0076】
また、垂直走査部60に供給されるデジタル電源電圧DVDD1と、デジタル電源電圧DVDD2とは、DVDD1<DVDD2という関係にあり、デジタルグランド電圧DVSS1と、デジタルグランド電圧DVSS2とは、DVSS2≦DVSS1という関係にある。
【0077】
また、デジタル電源電圧DVDD2と、アナログ電源電圧AVDD1とは、DVDD2≧AVDD1という関係にあり、デジタルグランド電圧DVSS2と、アナロググランド電圧AVSS1とは、DVSS2≦AVSS1という関係にある。
【0078】
また、単位画素50のリセット制御信号及び転送制御信号を生成する垂直走査部60は、画素行を垂直方向に選択する行選択部610と、行選択部610で生成した選択信号の電圧レベルをシフトするレベルシフト回路部611及び612と、レベルシフト回路部で生成された信号をバッファするバッファ回路部613及び614とで構成されている。
【0079】
図8は、第2の実施形態に係る固体撮像装置の駆動タイミングチャートである。具体的には、
図7に示されたリセット制御線58と及び転送制御線59に関するタイミングチャートである。
【0080】
画素の読み出し動作は、まず、時刻T1おいて、リセットトランジスタ12のゲート電極に印加されるリセット制御信号をDVDD2(≧AVDD1)にし、時刻T2において、DVSS2(≦AVSS1)とする。時刻T1〜時刻T2におけるリセット制御線58の電圧変化により、電荷検出部54の電圧をAVDD1と同一の電圧にリセットする。
【0081】
次に、時刻T3において、転送トランジスタ53のゲート電極に印加される転送制御信号を、DVDD2(≧AVDD1)にし、時刻T4において、DVSS2(≦AVSS1)とする。時刻T3〜時刻T4における転送制御線59の電圧変化により、フォトダイオード51の信号を読み出す。以上の一連の動作を行うことで読出し動作は完了する。
【0082】
以上、図面を用いて説明したように、本実施形態に係る固体撮像装置は、第1の実施形態に係る固体撮像装置1と比較して、単位画素50に選択トランジスタ16が配置されていない。この選択トランジスタ16が配置されていない単位画素50の横に、バッファ回路部613及び614が配置される。また、レベルシフト回路部611及び612が、行選択部610と、バッファ回路部613及び614との間に配置される。上記配置により、第1の実施形態と同じ効果が奏される。
【0083】
(第3の実施形態)
上記した第1及び第2の実施形態に係る固体撮像装置は、
図9Aに示すビデオカメラや
図9Bに示すデジタルスチルカメラ、さらには携帯電話等のモバイル機器向けカメラモジュール等の撮像装置において、その撮像デバイス(画像入力装置)として用いて好適なものである。
【0084】
図10は、撮像装置の構成の一例を示すブロック図である。
図10に示されるように、本実施形態に係る撮像装置は、レンズ61を含む光学系、撮像デバイス62、カメラ信号処理回路63およびシステムコントローラ64等によって構成されている。レンズ61は、被写体からの像光を撮像デバイス62の撮像面に結像する。撮像デバイス62は、レンズ61によって撮像面に結像された像光を画素単位で電気信号に変換して得られる画像信号を出力する。この撮像デバイス62として、上述の第1または第2の実施形態に係る固体撮像装置が用いられる。
【0085】
カメラ信号処理回路63は、撮像デバイス62から出力される画像信号に対して種々の信号処理を行う。システムコントローラ64は、撮像デバイス62やカメラ信号処理回路63に対する制御を行う。
【0086】
このように、本実施形態に係る撮像装置は、画素の動作マージンを拡大しつつランダムノイズよる画像劣化が防止された撮像デバイス62を備える。
【0087】
以上、本発明の固体撮像装置及び撮像装置について、実施形態に基づいて説明してきたが、本発明に係る固体撮像装置及び撮像装置は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態における任意の構成要素を組み合わせて実現される別の実施形態や、上記実施形態に対して本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、本発明に係る固体撮像装置または撮像装置を内蔵した各種機器も本発明に含まれる。