(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
前記課題を解決するためになされた第1の発明は、筐体と、この筐体に取り付けられる外装部材と、前記筐体の内部に配置された基板に設けられた複数の電極と、前記筐体に設けられた貫通孔に挿入され、複数の前記電極を導通させる導電部、および前記外装部材を前記筐体に取り付けた状態における弾性変形による付勢力により前記導電部を前記電極に接触させた導通状態に保持する弾性変形部を有するスイッチ部材と、前記外装部材が前記筐体から取り外されることで、複数の前記電極の導通状態が解除されることにより、タンパを検知するタンパ検知部と、を備え、前記スイッチ部材に、前記貫通孔への水の侵入を阻止する止水部が設けられた構成とする。
【0012】
これによると、スイッチ部材と電極とによりタンパ検知スイッチが構成され、外装部材が筐体から取り外されたことをタンパとして検知することができる。そして、止水部により貫通孔への水の侵入が阻止されるため、貫通孔を通って筐体の内側に水が侵入することを阻止することができる。これにより、外装部材を防水構造で筐体に固定しなくても、防水性を確保することができる。
【0013】
また、第2の発明は、さらに、表示入力パネルを備え、前記外装部材は、前記表示入力パネルの周縁部を覆う枠パネルであり、前記スイッチ部材は、前記表示入力パネルの周縁部に設けられた貫通孔と、前記筐体に設けられた前記貫通孔に挿入される構成とする。
【0014】
これによると、枠パネルが筐体から取り外されたことをタンパとして検知することができる。これにより、表示入力パネルから引き出された配線や端子が、表示入力パネルの周縁部の裏側に配置されている場合に、表示入力パネルに穴を開けて配線や端子にプローブを接触させることで表示入力パネルによる入力情報を盗み取る攻撃行為を防止することができる。
【0015】
また、第3の発明は、前記止水部は、前記貫通孔の外側において水の通路を閉鎖するように設けられた構成とする。
【0016】
これによると、貫通孔に挿入されたスイッチ部材の動きが拘束されないため、外装部材を取り外すのに応じてスイッチ部材の導電部が電極から離れる動作を円滑に行わせることができる。このため、枠パネルが取り外されたことを確実に検知することができる。
【0017】
また、第4の発明は、前記弾性変形部は、柱状部と、この柱状部の周囲に設けられた環状部と、この環状部の外周に設けられた前記止水部としてのリブと、を備え、前記柱状部、環状部およびリブが、弾性材料で一体的に形成され、前記外装部材の取り付け状態において、前記柱状部が、前記外装部材と前記基板との間に挟み込まれ、前記環状部および前記リブが、前記外装部材と前記筐体との間に挟み込まれるようにした構成とする。
【0018】
これによると、リブが貫通孔の外側において水の通路を閉鎖するため、貫通孔への水の侵入を阻止することができる。また、柱状部、環状部およびリブが弾性材料で一体的に形成されるため、部品点数および製造工数を削減して、製造コストを削減することができ、また、装置の小型化を図ることができる。
【0019】
また、第5の発明は、筐体と、この筐体に配置された表示入力パネルと、この表示入力パネルの周縁部を覆う枠パネルと、前記筐体の内部に配置された基板に設けられた複数の電極と、前記筐体に設けられた貫通孔に挿入され、複数の前記電極を導通させる導電部、および前記枠パネルを前記筐体に取り付けた状態における弾性変形による付勢力により前記導電部を前記電極に接触させた導通状態に保持する弾性変形部を有するスイッチ部材と、前記枠パネルが前記筐体から取り外されることで、複数の前記電極の導通状態が解除されることにより、タンパを検知するタンパ検知部と、を備え、前記スイッチ部材に、前記貫通孔への水の侵入を阻止する止水部が設けられた構成とする。
【0020】
これによると、第1の発明と同様に、外装部材が筐体から取り外されたことをタンパとして検知する場合に、外装部材を防水構造で筐体に固定しなくても、防水性を確保することができる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、本実施形態に係る取引端末装置1の斜視図である。
図2は、
図1に示した取引端末装置1の背面図である。
図3は、
図1に示した取引端末装置1の縦断面図である。
【0023】
図1に示すように、この取引端末装置1は、クレジットカードやデビットカードなどとしての磁気カードC1、接触型ICカードC2、および非接触型ICカード(図示せず)などを用いてキャッシュレスで決済を行うモバイル決済端末であり、筐体2の前面3に、表示入力パネル4と、キーパッド部5と、が配置されている。
【0024】
筐体2は、アッパーケース2aおよびロアーケース2bで構成されている。表示入力パネル4は、液晶表示パネルとタッチパネルとを組み合わせた、いわゆるタッチパネルディスプレイである。この表示入力パネル4は、その周縁部を枠パネル7で覆われるように設けられている。キーパッド部5には、複数の操作キー、具体的には電源キーと、テンキーおよびファンクションキーなどの入力キーとが配列されている。また、筐体2の側面部分には、電源プラグおよびメモリカードスロットを覆うカバー6が設けられている。
【0025】
図2に示すように、筐体2の背面側には、カメラ8と、スピーカ9と、接続端子10と、が設けられている。カメラ8は、バーコードなどを撮影するものである。スピーカ9は、アラーム音などの音声を出力するものである。接続端子10は、図示しないクレードルの接続端子に接続されて、充電用の電力を供給するものである。
【0026】
図3に示すように、この取引端末装置1は、感熱式のプリンタ12と、磁気カードリーダ13と、接触型ICカードリーダ14と、を備えている。プリンタ12では、記録紙をロール状に巻いたロール紙RPから引き出された記録紙に印字が行われて排紙口16から排出される。磁気カードリーダ13は、筐体2に設けられたカードスロット17に挿入された磁気カードC1を読み取るものである(
図1参照)。接触型ICカードリーダ14は、筐体2に設けられたカードスロット18に挿入された接触型ICカードC2を読み取るものである(
図1参照)。
【0027】
また、筐体2の内部には、NFCアンテナ21と、通信モジュール22と、バッテリー23と、が設けられている。NFCアンテナ21は、NFC(近距離無線通信)により電子マネー機能を備えた非接触型ICカードなどとの間で通信を行うものである。通信モジュール22は、決済処理システムのサーバなどとの間で無線通信を行うものである。バッテリー23は、取引端末装置1の各部に給電するものである。
【0028】
このように取引端末装置1は、磁気カード、接触型ICカード、非接触型ICカードなどを用いてキャッシュレスで決済が行われ、その決済の内容を記録した控票を印字することができる。このほか、取引端末装置1では、IDカードを用いたユーザ認証、例えば取引端末装置1の使用者を認証する機能を備えたものとしてもよい。
【0029】
また、筐体2の内部における表示入力パネル4の背面側には、メイン基板31と、サブ基板32と、が設けられている。このメイン基板31およびサブ基板32には、取引端末装置11の各部を制御するための各種の電子部品が実装されている。例えば、メイン基板31には、表示入力パネル4を構成する液晶表示パネルおよびタッチパネルが接続され、それらの制御を行う電子部品が実装されている。
【0030】
また、筐体2の内部におけるキーパッド部5の背面側には、タッチセンサ基板34と、セキュリティエリアメイン基板35と、が配置されており、これらの基板34,35と、これらの基板34,35の間隔に保持するためのフレーム部材36とが、磁気カードリーダ13と接触型ICカードリーダ14とともに、モジュールケース37に収容されて、セキュリティモジュール38を構成している。
【0031】
タッチセンサ基板34には、入力キーの操作を検出するタッチセンサが設けられている。セキュリティエリアメイン基板35には、暗証番号や暗号鍵などの機密情報を記憶するメモリなどが実装される。
【0032】
タッチセンサ基板34およびセキュリティエリアメイン基板35には、導線を波形に配置したタンパ検知用パターンが設けられている。フレーム部材36には、タンパ検知用パターンが設けられたセキュリティシートが、タッチセンサ基板34とセキュリティエリアメイン基板35とで区画された空間の外周部を周回するように貼り付けられている。また、モジュールケース37の内面の適所にもセキュリティシートが貼り付けられている。これにより、モジュールケース37に収容された、タッチセンサ基板34およびセキュリティエリアメイン基板35に実装されたメモリなどの電子部品や、磁気カードリーダ13および接触型ICカードリーダ14が保護され、機密情報を盗み取る攻撃行為に対して耐タンパ性を確保することができる。
【0033】
タンパ検知用パターンは、セキュリティエリアメイン基板35に実装されたタンパ検知用のプロセッサ(タンパ検知部)に接続され、このタンパ検知用のプロセッサによりタンパが検知される。
【0034】
さて、取引端末装置1は、いわゆるシンクライアントとして構成され、主要な処理を決済処理システムのサーバに実施させて、取引端末装置1では、主にユーザインタフェイスおよびカードの読み取りに関する処理が行われ、表示入力パネル4では、サーバから提供される画面情報に基づいて決済画面が表示され、この決済画面でカード番号や氏名などの機密情報を入力させる。このため、表示入力パネル4により入力される機密情報を盗み取る攻撃行為が想定され、表示入力パネル4に関する耐タンパ性を確保する必要がある。そこで、本実施形態では、以下に説明するように、タンパ検知スイッチが設けられている。
【0035】
次に、
図1に示した枠パネル7が筐体2から取り外されたことをタンパとして検知するタンパ検知スイッチについて説明する。本実施形態のタンパ検知スイッチはスイッチ部材と電極とにより構成され、外装部材の一つである枠パネル7が筐体2から取り外されたことをタンパとして検知することができるとともに、筐体2の内側に水が侵入することを阻止することができる。これにより、外装部材を防水構造で筐体に固定しなくても、防水性を確保することができる。
【0036】
図4は、取引端末装置1の横断面図である。
図5は、取引端末装置1の要部分解斜視図である。
【0037】
図4に示すように、表示入力パネル4は、枠パネル7とアッパーケース2aとの間に挟み込まれた状態でアッパーケース2aに固定される。アッパーケース2aの裏側にはメイン基板31が配置されており、このメイン基板31と枠パネル7との間に、枠パネル7が筐体2から取り外されたことをタンパとして検知するタンパ検知スイッチを構成するスイッチ部材41が挟み込まれている。
【0038】
図5に示すように、表示入力パネル4には、スイッチ部材41が挿入される貫通孔42が形成されている。アッパーケース2aにも、スイッチ部材41が挿入される貫通孔43が形成されている。メイン基板31には、表示入力パネル4およびアッパーケース2aの貫通孔42,43に対応する位置に複数の電極44が設けられており、この電極44に、貫通孔42,43に挿入されたスイッチ部材41を接触させることができる。スイッチ部材41を、表示入力パネル4およびアッパーケース2aの貫通孔42,43に挿入した上で、枠パネル7をアッパーケース2aに組み付けることで、スイッチ部材41が枠パネル7で押さえ付けられた状態で取り付けられる。
【0039】
枠パネル7は、外周縁に爪部46を備えており、この爪部46をアッパーケース2aの凹部47に引っかけることで、枠パネル7がアッパーケース2aに固定される。
【0040】
以上に示すように、表示入力パネル4の外周部48(少なくとも入力領域として使用されない領域)を覆う枠パネル7が取り外されたことをタンパとして検知するには、表示入力パネル4を貫通するようにタンパ検知スイッチのスイッチ部材41を設ける必要がある。しかしながら、組み立て状態で、枠パネル7および表示入力パネル4の間の隙間と、表示入力パネル4およびアッパーケース2aに設けられた貫通孔42,43とを通って水がアッパーケース2aの内側に侵入することが想定されることから、防水性を確保する必要がある。
【0041】
このとき、枠パネル7と表示入力パネル4との隙間を防水両面テープで埋めることで、防水性を確保することが考えられるが、このようにすると、枠パネル7をアッパーケース2aに組み付ける際に、正規の位置に枠パネル7が組み付けられる前に、防水両面テープで枠パネル7とアッパーケース2aとが固定されてしまう場合があり、組み付けが難しくなる。また、防水両面テープを用いると、リワークにより廃棄部材が発生してしまうため、望ましくない。一方、枠パネル7を防水構造で筐体に固定して、防水性を確保することも可能であるが、この場合、部品点数および製造工数が増加して製造コストが増大するとともに、装置が大型化する。そこで、本実施形態では、防水両面テープを用いずに防水性を確保する構成が採用される。
【0042】
次に、
図1に示した表示入力パネル4について説明する。
図6は、表示入力パネル4の裏側を示す斜視図である。
【0043】
表示入力パネル4は、液晶表示パネル51と、静電容量式のタッチパネル52と、液晶表示パネル51およびタッチパネル52を支持する表面パネル53と、を備えている。
【0044】
表示入力パネル4の裏面側には、液晶表示パネル51から引き出されたフレキシブル基板54と、タッチパネル52から引き出されたフレキシブル基板55と、液晶表示パネル51内のバックライトから引き出された給電ケーブル56と、が配置されている。フレキシブル基板55には、タッチパネル52を制御する制御回路57が実装されている。フレキシブル基板54には、フレキシブル基板55が接続されるコネクタ58と、給電ケーブル56が接続されるコネクタ59と、メイン基板31(
図3参照)に接続されるコネクタ60と、が実装されている。
【0045】
このような表示入力パネル4では、その外周部48を覆う枠パネル7を取り外して、表側から表示入力パネル4の表面パネル53に穴を開けて、タッチパネル52から引き出されたフレキシブル基板55の配線や制御回路57の端子にプローブを接触させることにより、タッチパネル52による入力情報が盗み取られる可能性がある。そこで、本実施形態では、このような攻撃行為を防止するため、枠パネル7が筐体2から取り外されたことをタンパとして検知するようにしている。
【0046】
次に、
図4に示したスイッチ部材41について説明する。
図7は、スイッチ部材41の斜視図である。
【0047】
スイッチ部材41は、導電材料からなる導電部71と、ゴム材料(弾性材料)からなる弾性変形部72と、を有している。
【0048】
導電部71は、導電性材料、例えば導電性のゴム材料(導電性弾性材料)により形成される。この導電部71は、導電性材料を所定形状に成型したり、導電性のシート材料を所定形状に切り抜いたりしたものを弾性変形部72に貼り付け、あるいは、導電性材料を用いて弾性変形部72と一体成型するようにしてもよく、また、導電性塗料を塗布することで形成される導電膜としてもよい。
【0049】
弾性変形部72は、柱状部73と、この柱状部73の周囲に設けられた環状部74と、この環状部74の外周に設けられたリブ75と、を備えており、この柱状部73、環状部74およびリブ75は、ゴム材料(弾性材料)で一体的に形成されている。環状部74およびリブ75は、柱状部73における導電部71と相反する側の端部に設けられている。環状部74は、導電部71側に向けて開いた傘状に形成されている(
図9(A)参照)。リブ75は、本実施形態では導電部71と相反する側に凸となるように円環状に設けられている。リブ75は、導電部71側に凸となるように円環状に設けられてもよい。
【0050】
次に、
図5に示したスイッチ部材41の導電部71と電極44とにより構成されるタンパ検知スイッチ81によるタンパ検知について説明する。
図8は、タンパ検知スイッチ81によるタンパ検知の概要を説明する説明図である。
【0051】
本実施形態では、スイッチ部材41と、メイン基板31に設けられた複数の電極44とによりタンパ検知スイッチ81が構成され、メイン基板31の電極44はタンパ検知部82に電気的に接続されており、タンパ検知部82において、複数の電極44にスイッチ部材41の導電部71が接触して複数の電極44が導通する状態と、複数の電極44から導電部71が離れて電極44の導通状態が解除される状態と、を判別することができる。
【0052】
これにより、枠パネル7が筐体2から取り外されて、複数の電極44からスイッチ部材41の導電部71が離れて電極44の導通状態が解除されると、タンパ検知部82において、枠パネル7が筐体2から取り外されたことをタンパとして検知することができる。
【0053】
タンパ検知部82は、マイコンにより構成され、このマイコンはセキュリティエリアメイン基板に実装され、セキュリティエリアを開封する攻撃行為に対して保護される。
【0054】
次に、
図7に示したスイッチ部材41の組み立て状態について説明する。
図9は、スイッチ部材41の周辺を示す取引端末装置1の要部横断面図である。
【0055】
図9(A)に示すように、組み立て時には、スイッチ部材41を、表示入力パネル4に設けられた貫通孔42と、アッパーケース2aに設けられた貫通孔43とに挿入した上で、枠パネル7をアッパーケース2aに組み付ける。
図9(B)に示すように、組み立て状態では、スイッチ部材41の柱状部73が、枠パネル7とメイン基板31との間に挟み込まれ、環状部74およびリブ75が、枠パネル7と表示入力パネル4との間に挟み込まれる。
【0056】
柱状部73は、
図9(A)に示す初期状態で、組み立て状態における枠パネル7とメイン基板31との間隔より長く形成されており、
図9(B)に示す組み付け状態で枠パネル7とメイン基板31との間に挟み込まれることで圧縮変形し、この圧縮変形による付勢力により導電部71が電極44に接触させた導通状態に保持される。
【0057】
環状部74は、
図9(A)に示す初期状態で傘状をなしており、
図9(B)に示す組み付け状態で枠パネル7と表示入力パネル4との間に挟み込まれることで平板状に撓む。また、リブ75も、組み付け状態で枠パネル7と表示入力パネル4との間に挟み込まれることで圧縮変形し、この圧縮変形による付勢力によりリブ75が枠パネル7および表示入力パネル4に密着することで、止水性を確保することができる。
【0058】
また、アッパーケース2aには、スイッチ部材41を保持する筒状のスイッチ部材保持部91が設けられており、このスイッチ部材保持部91により、スイッチ部材41が挿入される貫通孔43が長く形成されている。これにより、スイッチ部材41を安定に保持することができることから、スイッチ部材41の電極44との接触/離間動作を円滑に行わせることができる。さらに、スイッチ部材41が挿入される貫通孔42及び貫通孔43の径は、スイッチ部材41の柱状部73の径より大きく形成されることが望ましい。
【0059】
なお、表示入力パネル4は、防水両面テープ92でアッパーケース2aに固定されており、表示入力パネル4とアッパーケース2aとの間を通って水がアッパーケース2aの内部に侵入することはない。
【0060】
次に、タンパ検知スイッチの比較例について説明する。
図10は、タンパ検知スイッチの比較例を示す取引端末装置1の要部横断面図である。
【0061】
図10(A)に示す例では、スイッチ部材101が、導電部71と弾性変形部102とを備え、表示入力パネル4とメイン基板31との間に挟み込まれている。表示入力パネル4は防水両面テープ92でアッパーケース2aに固定されているため、アッパーケース2aの内部に水が侵入することはない。ところが、表示入力パネル4がアッパーケース2aから取り外されたことをタンパとして検知するため、枠パネル7を取り外して表示入力パネル4に穴を開けて、表示入力パネル4の裏側の配線や端子にプローブを接触させることで、表示入力パネル4による入力情報を盗み取る攻撃行為が可能となり、耐タンパ性を確保することができない。
【0062】
図10(B)に示す例では、スイッチ部材105が、導電部71と弾性変形部106とを備え、枠パネル7とメイン基板31との間に挟み込まれている。この場合、枠パネル7がアッパーケース2aから取り外されたことをタンパとして検知することができるため、耐タンパ性を確保することができる。ところが、表示入力パネル4に、スイッチ部材105が挿入される貫通孔42が設けられており、この貫通孔42を通ってアッパーケース2aの内側に水が侵入するおそれがあるため、防水性を確保することができない。
【0063】
図10(C)に示す例では、表示入力パネル4の貫通孔42とスイッチ部材105との間にシール部材107が取り付けられている。この場合、貫通孔42を通ってアッパーケース2aの内側に水が侵入することがシール部材107により阻止されるため、防水性を確保することができる。ところが、シール部材107によりスイッチ部材105の動きが拘束されるため、枠パネル7が取り外されても、即座にスイッチ部材105の導電部71が電極44から離れずに、タンパを検知することができない場合がある。このため、耐タンパ性が低くなる。
【0064】
このような比較例に対して、
図9に示したように、本実施形態では、スイッチ部材41のリブ75が、表示入力パネル4の貫通孔42の外側において水の通路を閉鎖するように設けられており、特に、表示入力パネル4において貫通孔42が開口する外側の面を覆うように設けられているため、スイッチ部材41の動きが拘束されないことから、枠パネル7を取り外すのに応じてスイッチ部材41の導電部71が電極44から離れる動作を円滑に行わせることができる。このため、枠パネル7が取り外されたことを確実に検知することができる。
【0065】
以上、本発明を特定の実施形態に基づいて説明したが、これらの実施形態はあくまでも例示であって、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。また、上記実施形態に示した本発明に係る取引端末装置および情報入力装置の各構成要素は、必ずしも全てが必須ではなく、少なくとも本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
【0066】
例えば、前記の実施形態では、取引端末装置の一例として、磁気カードや接触型ICカードなどを用いてキャッシュレスで決済を行うモバイル決済端末について説明したが、本発明における取引端末装置は、このような決済の用途に限定されるものではない。さらに、取引端末装置のほかに、暗証番号などのPIN(personal identification number)を入力する専用の装置、いわゆるピンパッドなどの情報入力装置として構成することも可能である。
【0067】
また、前記の実施形態では、外装部材としての枠パネルの取り外しをタンパとして検知するようにしたが、本発明における外装部材は、このような枠パネルに限定されるものではない。また、外装部材としての枠パネルと筐体との間に挟み込まれる表示入力パネルに貫通孔を設けて、この貫通孔にスイッチ部材を挿入するようにしたが、本発明は、このように外装部材と筐体との間に別部材が挟み込まれる構成に限定されるものではなく、外装部材と筐体との間に挟み込まれる部材がない場合にも適用可能である。
【0068】
また、前記の実施形態では、スイッチ部材において止水部となる傘状部およびリブを、ゴム材料で柱状部と一体的に形成したが、別々に成形した上で接合するようにしてもよい。
【課題】外装部材が筐体から取り外されたことをタンパとして検知する場合に、携帯性を損なわないよう小型化・軽量化されながら、さらに防水性を確保することができるようにする。
【解決手段】筐体2と、この筐体に取り付けられる枠パネル7と、筐体の内部に配置された基板31に設けられた複数の電極44と、筐体に設けられた貫通孔43に挿入され、複数の電極を導通させる導電部71、および枠パネルを筐体に取り付けた状態における弾性変形による付勢力により導電部を電極に接触させた導通状態に保持する弾性変形部72を有するスイッチ部材41と、枠パネルが筐体から取り外されることで、複数の電極の導通状態が解除されることにより、タンパを検知するタンパ検知部と、を備え、スイッチ部材に、貫通孔への水の侵入を阻止する止水部としてのリブ75が設けられる。