【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車体前部構造の少なくとも一つの実施形態は、上述した目的を達成するために、
車両の前端部において車幅方向に延在するフロントエンドクロスメンバと、
前記フロントエンドクロスメンバに対して車両後方側に位置し、前記車幅方向に延在するとともに、サスペンションアーム部材を支持するサスペンションクロスメンバと、
前記車両の前後方向に延在し、その前端部が前記フロントエンドクロスメンバにそれぞれ連結される一対のサブフレームと、
前記一対のサブフレームの後端部と前記サスペンションクロスメンバとをそれぞれ連結する一対のブラケット部材と、を備え、
前記一対のブラケット部材の各々は、
前記サスペンションクロスメンバから突出して設けられる平板状の連結部を含み、
前記連結部は、その平板面が上下方向に配向された状態で前記一対のサブフレームの一つの後端部に連結されることを特徴とする。
【0007】
上記車体前部構造では、サブフレームに連結される連結部がサスペンションクロスメンバから突出して設けられるとともに、その平板面が上下方向に配向された状態でサブフレームの後端部に連結される。このため、連結部を含むブラケット部材が、車両の上下方向の振動に伴って弾性変形するバネ要素として機能する。すなわち、サブフレームおよびブラケット部材を、サブフレームを質量体(マス)、ブラケット部材をバネ要素としたダイナミックダンパとして構成することができる。
このように、上記車体前部構造によれば、新たな重量物を用いることなく、既存部品であるサブフレームを利用することで、サスペンションクロスメンバから車体側に伝達される振動を抑制することができる。
【0008】
また、本発明の一実施形態では、前記一対のブラケット部材の各々は、前記サスペンションクロスメンバから前記車幅方向に突出して設けられた延長壁部をさらに含み、前記平板状の連結部は、前記延長壁部より前方側に延在して設けられるとともに、前記一対のサブフレームの一つの後端部に締結部材によって締結されている。
このような構成によれば、簡単な構成で、連結部をサスペンションクロスメンバから突出して設けることができる。しかも、連結部とサブフレームの後端部とを締結部材によって締結するため、組み立て性にも優れる。
【0009】
また、本発明の一実施形態では、前記一対のブラケット部材の各々は、縦壁状の側壁部と、前記側壁部の下縁部から延在して設けられたフランジ部と、をさらに含み、前記フランジ部が、前記サスペンションクロスメンバの前縁部に形成されているツバ部の上に配置された状態で、前記側壁部と前記サスペンションクロスメンバとが溶接によって接合されている。
このような構成によれば、ブラケット部材とサスペンションクロスメンバとを側壁部において溶接によって強固に連結することができる。この際、ブラケット部材のフランジ部をサスペンションクロスメンバのツバ部の上に配置した状態で溶接することができるため、溶接作業性にも優れる。
【0010】
また、本発明の車体前部構造の少なくとも一つの実施形態は、
車両の前端部において車幅方向に延在するフロントエンドクロスメンバと、
前記フロントエンドクロスメンバに対して車両後方側に位置し、前記車幅方向に延在するとともに、サスペンションアーム部材を支持するサスペンションクロスメンバと、
前記車両の前後方向に延在し、その前端部が前記フロントエンドクロスメンバにそれぞれ連結される一対のサブフレームと、
前記一対のサブフレームの後端部と前記サスペンションクロスメンバとをそれぞれ連結する一対のブラケット部材と、を備え、
前記一対のブラケット部材の各々を、前記車両の上下方向の振動に伴って弾性変形するバネ要素として構成し、前記一対のサブフレームの各々を、前記車両の上下方向の振動を抑制するダイナミックダンパの質量体として機能するように構成したことを特徴とする。
【0011】
上記車体構造では、サスペンションクロスメンバとサブフレームとを連結するブラケット部材とを車両の上下方向の振動に伴って弾性変形するバネ要素として構成することにより、一対のサブフレームの各々を、車両の上下方向の振動を抑制するダイナミックダンパの質量体として機能するように構成した。これにより、新たな重量物を用いることなく、既存部品であるサブフレームを利用することで、サスペンションクロスメンバから車体側に伝達される振動を軽減することができる。
【0012】
また、本発明の一実施形態では、前記一対のブラケット部材と、前記一対のサブフレームとから構成されるダイナミックダンパの共振周波数が、サスペンションクロスメンバの共振周波数と等しくなるように構成されている。
このように構成されていれば、ロードノイズで一般的に問題となり易い120Hz付近の振動を抑制することができる。