特許第6052642号(P6052642)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6052642物品の支持装置及び支持装置への2種類の物品の載置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052642
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】物品の支持装置及び支持装置への2種類の物品の載置方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/14 20060101AFI20161219BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20161219BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20161219BHJP
   H01L 21/673 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   B65G1/14 B
   B65G1/00 501F
   H01L21/68 A
   H01L21/68 T
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-538983(P2015-538983)
(86)(22)【出願日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】JP2014069019
(87)【国際公開番号】WO2015045583
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2016年3月3日
(31)【優先権主張番号】特願2013-201778(P2013-201778)
(32)【優先日】2013年9月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086830
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 明
(74)【代理人】
【識別番号】100096046
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 みか
(72)【発明者】
【氏名】小合 玄己
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 靖久
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−197431(JP,A)
【文献】 特開平11−163085(JP,A)
【文献】 特開2003−174068(JP,A)
【文献】 特開2003−282672(JP,A)
【文献】 特開2002−2909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00−1/133;1/14−1/20
H01L 21/673
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の種類の物品を載置する支持装置であって、
第1の物品と、前記第1の物品よりも底部が大きい第2の物品とを、共に載置できる載置面と、
前記載置面から突き出す少なくとも一対のピンから成り、前記第1の物品の底部の孔と係合することにより、前記第1の物品の底部を位置決めし、かつ前記第2の物品を載置面上に位置決めする際に、前記第2の物品の底部に放射状に設けられている位置決め用の溝内に入って、第2の物品とは干渉しないようにされている第1の位置決め部材と、
前記載置面から突き出し、前記第2の物品を位置決めする第2の位置決め部材と、
前記第2の位置決め部材は、前記第1の位置決め部材により、前記第1の物品を載置面上に位置決めする際に、前記第1の物品と干渉しない位置に配置されていることを特徴とする、物品の支持装置。
【請求項2】
前記第2の位置決め部材は載置面から突き出す少なくとも一対のガイド部材で、前記第2の物品の底部の外周をガイドするように構成されていることを特徴とする、請求項1の物品の支持装置。
【請求項3】
前記一対のガイド部材は各々、傾斜方向が異なる一対のテーパー面を備え、かつ一対のテーパー面により前記第2の物品の底部外周の角部をガイドするように構成されていることを特徴とする、請求項2の物品の支持装置。
【請求項4】
前記第1の物品と前記第2の物品は共に半導体ウェハーを収容する容器で、前記第2の物品は、前記第1の物品に比べ、より大径の半導体ウェハーを収容するようにされていることを特徴とする、請求項3の物品の支持装置。
【請求項5】
前記第1の物品は位置決め用の溝を底部に放射状に備え、
前記第1の物品の位置決め用の溝とも、前記第2の物品の位置決め用の溝とも、非接触に、前記第1の物品の底面と前記第2の物品の底面とを位置決めするように構成されていることを特徴とする、請求項4の物品の支持装置。
【請求項6】
支持装置上に複数の種類の物品を載置する方法であって、
前記支持装置は、第1の物品と、前記第1の物品よりも底部が大きい第2の物品とを、共に載置できる載置面と、共に前記載置面から突き出す、第1の位置決め部材と、第2の位置決め部材とを備え、
前記第1の位置決め部材は載置面から突き出す少なくとも一対のピンから成り、前記第1の物品の底部の孔と係合し、かつ前記第2の物品を載置面上に位置決めする際に、前記第2の物品の底部に放射状に設けられている位置決め用の溝内に入って、第2の物品とは干渉しないようにされ、
第2の位置決め部材と第1の物品との干渉を回避しながら、第1の位置決め部材により第1の物品を位置決めして、載置面上に載置するステップと、
第1の位置決め部材と第2の物品との干渉を回避しながら、第2の位置決め部材により第2の物品を位置決めして、載置面上に載置するステップ、とを行うことを特徴とする、支持装置への2種類の物品の載置方法。
【請求項7】
前記第2の位置決め部材は載置面から突き出す少なくとも一対のガイド部材から成り、前記第2の物品の底部の外周をガイドするように構成されていることを特徴とする、請求項6の支持装置への2種類の物品の載置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、大きさの異なる2種類の物品を、共に位置決めして支持装置上へ載置できるようにすることに関する。
【背景技術】
【0002】
大きさが異なる2種類の物品に対して、支持装置を共用できると便利なことがある。例えば大きさが異なる2種類の半導体ウェハーを扱う工場では、ウェハーに応じて2種類の容器が発生し、これらを同じ支持装置で支持できると便利である。これらの容器は、底部の3個所に断面がV字状の溝を備え、通常は、支持装置に設けた3本のピンと溝をカップリングさせて位置決めする。この溝を用いて容器を位置決めすると、一方の物品しか位置決めできない。このため容器に合わせて2種類の支持装置が必要になり、非効率である。
【0003】
関連する先行技術を示す。特許文献1(特開2007-287877)は、小さな物品の容器を、大きな物品の容器内に収容して搬送することにより、大小2種類の物品を搬送できる搬送システムを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-287877
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の課題は、大きさが異なる2種類の物品を、共に位置決めして載置できる支持装置と載置方法とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の物品の支持装置は、複数の種類の物品を載置する支持装置であって、
第1の物品と、前記第1の物品よりも底部が大きい第2の物品とを、共に載置できる載置面と、
前記載置面から突き出し、前記第1の物品の底部を位置決めする第1の位置決め部材と、
前記載置面から突き出し、前記第2の物品を位置決めする第2の位置決め部材と、
前記第1の位置決め部材は、前記第2の位置決め部材により、前記第2の物品を載置面上に位置決めする際に、前記第2の物品と干渉しない位置に配置され、
前記第2の位置決め部材は、前記第1の位置決め部材により、前記第1の物品を載置面上に位置決めする際に、前記第1の物品と干渉しない位置に配置されていることを特徴とする。
【0007】
この発明の2種類の物品の載置方法は、
支持装置上に複数の種類の物品を載置する方法であって、
前記支持装置は、第1の物品と、前記第1の物品よりも底部が大きい第2の物品とを、共に載置できる載置面と、共に前記載置面から突き出す、第1の位置決め部材と、第2の位置決め部材とを備え、
第2の位置決め部材と第1の物品との干渉を回避しながら、第1の位置決め部材により第1の物品を位置決めして、載置面上に載置するステップと、
第1の位置決め部材と第2の物品との干渉を回避しながら、第2の位置決め部材により第2の物品を位置決めして、載置面上に載置するステップ、とを行うことを特徴とする。
【0008】
この発明の第1の位置決め部材は、第2の物品との接触を回避しながら、第1の物品を位置決めする。また第2の位置決め部材は、第1の物品との接触を回避しながら、第2の物品を位置決めする。このため1つの支持装置を第1の物品の支持と第2の物品の支持とに共用できる。第1の物品と第2の物品は、例えば共に半導体ウェハーを収容する容器で、第2の物品は、第1の物品に比べ、より大径の半導体ウェハーを収容するようにされている
【0009】
好ましくは、前記第1の位置決め部材は載置面から突き出す少なくとも一対のピンで、前記第1の物品の底部の孔と係合し、かつ前記第2の物品の底部の凹部内に入って第2の物品とは接触しないようにされている。このようにすると、第2の物品の位置決めを妨げずに、第1の物品を簡単に位置決めして載置できる。
【0010】
また好ましくは、前記第2の位置決め部材は載置面から突き出す少なくとも一対のガイド部材で、前記第2の物品の底部の外周をガイドするように構成されている。第2の物品は第1の物品よりも底部が大きいので、底部の外周をガイドするように第2の位置決め部材を設けると、第1の物品と干渉することがない。そして少なくとも一対のガイド部材でガイドすることにより、第2の物品を確実に位置決めできる。例えば一対のガイド部材は各々傾斜方向が異なる一対のテーパー面を備え、かつ一対のテーパー面により第2の物品の底部外周の角部をガイドするように構成されている。
【0011】
特に好ましくは、前記第1の位置決め部材は載置面から突き出す少なくとも一対のピンで、前記第1の物品の底部の孔と係合し、かつ前記第2の物品の底部に放射状に例えば3個設けられている位置決め用の溝内に入って、第2の物品とは接触しないようにされている。第2の物品が位置決め用の溝を備えている場合、この溝に入る位置でかつ第1の物品の底部の孔と係合するように、ピンを設けることができる。このため第2の物品と干渉せずに、確実に第1の物品を位置決めできる。特に好ましくは、前記第1の物品は位置決め用の溝を底部に放射状に例えば3個備え、支持装置は、前記第1の物品の位置決め用の溝とも、前記第2の物品の位置決め用の溝とも、非接触に、前記第1の物品の底面と前記第2の物品の底面とを位置決めするように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例の支持装置を配列した状態を表す平面図
図2】第1の物品を支持装置上に載置している状態を、図1のII-II方向断面に沿って示す要部断面図
図3】第2の物品を支持装置上に載置している状態を、図1のIII-III方向断面に沿って示す要部断面図
図4】第2の物体の位置決めを示す部分平面図
図5】実施例の支持装置を用いたストッカの平面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明を実施するための最適実施例を示す。この発明の範囲は、特許請求の範囲の記載に基づき、明細書の記載とこの分野での周知技術とを参酌し、当業者の理解に従って定められるべきである。
【実施例】
【0014】
図1図5に、実施例の支持装置2とそれを用いたストッカ50とを示す。図1はストッカ内に配列された支持装置2を示し、支持装置2はストッカ50の支柱4に取り付けられて、上下左右に配列されている。支持装置2は板状で、支柱4とは反対側の開口6と、その両側の載置面8,8、及び支柱4寄りの載置面9とを備えている。載置面8,8にはピン10とテーパー片12とが設けられ、支持装置2は一対のピン10,10と一対のテーパー片12,12とを備えている。なおこの明細書において、支持装置2から見て支柱4側を奧、開口6の先端側を手前と呼び、ピン10はテーパー片12よりも奧の位置で、かつ開口6に近接した位置にある。なおピン10,テーパー片12を各3個以上設けても良い。特にテーパー片12を、支持装置2の手前側2個所の他に、奧側の2個所にも設けて、物品30の角隅を4個所でテーパー片12により位置決めすると、物品30の位置決め精度が向上する。ただし実施例のように、テーパー片12を支持装置2の手前側2個所にのみ設けても良い。
【0015】
20は第1の物品、30は第2の物品で、第1の物品20(以下単に物品20)は例えば半導体用の300mmウェハーを収容する容器で、第2の物品30(以下単に物品30)は例えば半導体用の450mmウェハーを収容する容器である。なお物品20,30の種類は任意で、物品30が物品20よりも底部が大きく、かつ物品20は、テーパー片12,12と干渉せずに、ピン10,10により位置決めできれば良く、物品20は、ピン10,10と干渉せずに、テーパー片12,12により位置決めできれば良い。21,31は物品20,30の頭部で、天井走行車等が物品20,30を把持するために用いる。22,32は扉で、物品20,30にウェハーを出し入れするために用いる。
【0016】
物品20,30は位置決め溝24,34を備え、本来の仕様では、溝24,34に支持装置側の図示しないピンをキネマチックカップリングさせて位置決めし、溝24,34は溝の長手方向に直角な断面がV字状である。しかしながら溝24,34により位置決めを行うと、物品20,30の一方しか、支持装置2上に載置できない。そこで物品20に対しては、載置面8,8上のピン10を、物品20の底部に設けた孔に係合させて位置決めする。また物品30に対しては、載置面8,8上のテーパー片12により、物品30の角部36を位置決めする。
【0017】
物品20の位置決めを図2に示す。300mmウェハー用の容器である物品20には、フォークリフトピンと呼ばれるピンとの係合用に、孔26を一対設けることが一般的である。そしてこの孔26,26と係合するように、ピン10,10を設ける。ピン10を設ける位置と、物品30を支持装置2上に載置する位置、とを選択すると、物品30の位置決め溝34内にピン10が配置されて、物品30と干渉しないようにできる。この状況を図3に示す。なお25,35は物品20,30内の棚で、W1,W2は棚25,30に載置されている半導体ウェハーである。
【0018】
物品30の位置決め溝34を、ピン10との干渉を回避するために用いたので、物品30の扉32側の一対の角部36,36をテーパー片12,12で位置決めする。この状況を図4に示し、テーパー片12は左右方向に傾斜するテーパー面14と、手前側から奧側へ下降するテーパー面15とを備えている。左右一対のテーパー片12,12で、一対の角部36,36をガイドすることにより、物品30を位置決めすることができる。なお角部36に限らず、物品30の底部外周の任意の凹凸を、位置決めに用いることができる。
【0019】
支持装置2は、物品20,30を載置する任意の用途に用いることができるが、例えばストッカ50の棚受として用いると、300mmウェハーと450mmウェハーとに共用のストッカ50が得られる。中央の搬送スペース51を搬送装置52が移動して、支持装置2との間で物品を受け渡しする。また支持装置2は搬送スペース51の両側に複数層に渡って配列されている。搬送装置52の種類は任意であるが、例えば台車53上にマスト56を設けて、移載用のハンド54の駆動装置を昇降させる。ハンド54は物品20,30に対して共用としても良く、また物品20,30毎に専用のハンドを設けても良い。さらに物品20,30毎に、別の搬送装置を設けても良い。
【符号の説明】
【0020】
2 支持装置 4 支柱 6 開口 8,9 載置面 10 ピン
12 テーパー片 14,15 テーパー面 20 第1の物品
30 第2の物品 21,31 頭部 22,32 扉
24,34 位置決め溝 25,35 棚 26 孔
36 角部 50 ストッカ 51 搬送スペース
52 搬送装置 53 台車 54 ハンド 56 マスト
W1,W2 半導体ウェハー
図1
図2
図3
図4
図5