特許第6052683号(P6052683)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6052683ストライプコート塗装ツールとそれを備えた塗装装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052683
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】ストライプコート塗装ツールとそれを備えた塗装装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 15/08 20060101AFI20161219BHJP
   B05B 13/04 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   B05B15/08
   B05B13/04
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-251495(P2014-251495)
(22)【出願日】2014年12月12日
(65)【公開番号】特開2016-112486(P2016-112486A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2016年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】511168707
【氏名又は名称】スリーエーシステム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】511168718
【氏名又は名称】稲田塗料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】楠山 政一
(72)【発明者】
【氏名】渡部 達也
(72)【発明者】
【氏名】川口 拓也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 恵三
(72)【発明者】
【氏名】横田 賢
(72)【発明者】
【氏名】奥原 利行
(72)【発明者】
【氏名】山下 賢晃
(72)【発明者】
【氏名】溝賀 清洋
(72)【発明者】
【氏名】下糀 富美夫
【審査官】 赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−017950(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0140379(US,A1)
【文献】 実開平04−118165(JP,U)
【文献】 実開平01−052575(JP,U)
【文献】 実開昭52−112232(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 3/00−15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物における隅肉溶接部又はエッジ部の被塗面とストライプコート塗装の塗料を噴射する塗料噴射ノズルとの距離を保つストライプコート塗装ツールであって、
前記塗料噴射ノズルには所定方向に延びるスリット状の塗料噴射口が設けられており、
前記塗料噴射ノズルに装着されるベース部材と、
前記ベース部材から前記所定方向に広がりながら前記所定方向で互いに対向する、前記隅肉溶接部の両側で前記構造物に接触しながら移動させられる一対の隅肉ガイド部材と、
前記一対の隅肉ガイド部材の間に設けられ、前記エッジ部と対応する形状で前記ベース部材に向かってくぼみ、前記エッジ部に接触しながら移動させられる少なくとも1つのエッジガイド部材と、
を備えていることを特徴とするストライプコート塗装ツール。
【請求項2】
前記隅肉ガイド部材及び前記エッジガイド部材は、前記被塗面と接触する部分が棒状材で形成され、
前記隅肉ガイド部材は、前記構造物と接触する部分に円弧状部を有し、
前記エッジガイド部材は、前記エッジ部と接触する部分に円弧状部を有している請求項1に記載のストライプコート塗装ツール。
【請求項3】
前記エッジガイド部材は、前記所定方向と交差する方向で互いに対向するように一対が備えられている請求項1又は2に記載のストライプコート塗装ツール。
【請求項4】
前記隅肉ガイド部材は、広がりの角度を調整可能に構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のストライプコート塗装ツール。
【請求項5】
前記エッジガイド部材は、前記隅肉ガイド部材の所定位置に一端が取付けられ、他端は隅肉ガイド部材と所定の隙間を有する状態で近接位置に配置されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のストライプコート塗装ツール。
【請求項6】
構造物における隅肉溶接部又はエッジ部の被塗面にストライプコート塗装を行うためのストライプコート塗装装置であって、
前記ストライプコート塗装の塗料を所定の圧力で供給する塗料ポンプと、
前記塗料ポンプから供給する塗料の噴射を制御するガン部と、
前記ガン部の操作で塗料を噴射する塗料噴射ノズルと、を備え、
前記塗料噴射ノズルの前部に、請求項1〜5のいずれか1項に記載のストライプコート塗装ツールを備えていることを特徴とするストライプコート塗装装置。
【請求項7】
前記塗料噴射ノズルと前記ガン部との間に所定長さのパイプ部材を有し、前記塗料噴射ノズルは、前記パイプ部材の軸心に対し、塗料噴射角度を調整可能に構成されている請求項6に記載のストライプコート塗装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶等の構造物におけるエッジ部及び溶接部にストライプコート塗装を行うためのストライプコート塗装ツールとそれを備えた塗装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2008年からバルクキャリア等の船舶については、国際海事機関(International Maritime Organization:IMO)において採択された、バラストタンク及びバルクキャリア二重底部に対する塗装基準(Performance Standard for Protective Coatings:PSPC)が適用され、その塗装基準に適合するストライプコート塗装(この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「ストライプコート(Stripe Coating)塗装」は、船体を構成する板材のエッジ部及び溶接部における縞状に延びる塗装をいう)が行われている。
【0003】
この塗装基準では、上記ストライプコート塗装の適用部位が、各溶接部、ビルトアップロンジ、スニップ、スティフナ、ブラケット、エアホール、マンホール、スロット、カラープレートのエッジ部等(この明細書及び特許請求の範囲の書類中では、これらストライプコート塗装を適用する部分を総称して「ストライプコート部」という)に拡大して定められている。しかも、全面塗装とストライプコート塗装は、各2回塗りによって塗膜厚さを確保するように定められている。
【0004】
図8は、船舶の船底部分を例にしたストライプコート部を示す図面である。上記塗装基準によれば、ストライプコート塗装Sは、船底に設けられたビルトアップロンジ100の隅肉溶接部101や、フェイスプレート102のエッジ部103、隔壁104等の隅肉溶接部101やエッジ部105等、多くの部分に施す必要がある。
【0005】
しかも、図9に示すように、このストライプコート塗装Sは、ビルトアップロンジ100の上端に設けられたフェイスプレート102の裏側における隅肉溶接部106や、フェイスプレート102の下側エッジ部107等、非常に作業性が悪い部分にも施す必要がある。ここで通常用いる高圧型エアレススプレー塗装を行うと、十分な膜厚確保が困難で、スプレーダストが飛散するため、通常、刷毛塗りが導入されている。
【0006】
しかし、上記したストライプコート塗装を作業者が手作業で刷毛塗りする場合、例えば、船長が290m程度のバルクキャリアの場合、ストライプコート塗装が必要な距離が40〜50km程度になる場合もあり、多大な作業時間と労力を要する。しかも、全面塗装及びストライプコート塗装を適正な塗膜品質(塗膜厚さ、塗膜の一様さ)で交互に各2回塗りするので、その塗装作業に非常に多くの時間と労力を要する。
【0007】
そこで、上記ストライプコート塗装の作業が迅速に行える発明が提案されている。例えば、手作業による刷毛塗り塗装を行う装置において、刷毛部に圧送塗料が満遍なく行き渡り、むらのない塗装ができるようにした刷毛塗りの塗料圧送システムがある(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
しかし、この特許文献1に記載された発明を用いたとしても、作業者による刷毛塗り作業では塗装スピードの大幅な改善は難しい。しかも、刷毛塗りの場合には、作業者の熟練度によって均一な塗膜厚さ(例えば、1回あたりの最適ストライプコート塗膜厚さ100〜150μm程度)を得ることが難しい。特に、上記図9に示すようなフェイスプレート102の裏側にストライプコート塗装を行う場合、塗料の供給量と刷毛の送り量調整とを作業者が経験に基づいて調整しながら塗る必要があり、非常に難しい作業で、安定した塗膜品質を得るには非常に高い熟練度が必要となる。しかし、近年、熟練作業者が大幅に減少しており、ストライプコート塗装の品質安定化が難しくなっている。
【0009】
そこで、本出願人は、刷毛塗りに替わる新規ツールの開発に取り組んだ結果、霧化システムによる塗布方法で、スプレーダストの飛散や十分な膜厚を得ることが困難である、という課題を解決できるストライプコート塗装装置を発明して出願した(例えば、特許文献2参照)。このストライプコート塗装装置では、霧化システムを用いたスプレー塗装によってストライプコート適用範囲に対して均一な膜厚が得られ、スプレーダストの飛散を低減し、隅肉溶接部、ビルトアップロンジ、スティフナー、ブラケット、マンホールなどヘの適用を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2011−41891号公報
【特許文献2】特開2013−17950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、上記ストライプコート塗装装置では、ストライプコート塗装を行う塗装部位の形状に応じて隅肉溶接部対応型とエッジ部対応型のスプレーガイドを使い分けることで、スプレーダストの飛散を抑え、被塗面と塗料噴射ノズルとの距離を保って適切なストライプコート塗装が行えるようにしている。そのため、隅肉溶接部とエッジ部とが混在する船舶等の構造物においてストライプコート塗装を行う場合、塗装部位に適したスプレーガイドの交換作業や塗料噴射ノズルの調整に多くの時間を要する。
【0012】
この対策として、例えば、隅肉溶接部対応型のスプレーガイドでストライプコート塗装を行う作業者と、エッジ部対応型のスプレーガイドでストライプコート塗装を行う作業者とによって、並行して作業することが考えられる。しかし、複数の作業者が限られた空間で並行して作業をすると、繁雑な作業になり適正な塗膜品質のストライプコート塗装を行うのは難しい。
【0013】
そこで、本発明は、構造物における相反する形状の塗装部である凹形状の隅肉溶接部と凸形状のエッジ部において、ツールを交換することなく効率良く適切にストライプコート塗装ができるストライプコート塗装ツールと、それを備えた塗装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明に係るストライプコート塗装ツールは、構造物における隅肉溶接部又はエッジ部の被塗面とストライプコート塗装の塗料を噴射する塗料噴射ノズルとの距離を保つストライプコート塗装ツールであって、前記塗料噴射ノズルには所定方向に延びるスリット状の塗料噴射口が設けられており、前記塗料噴射ノズルに装着されるベース部材と、前記ベース部材から前記所定方向に広がりながら前記所定方向で互いに対向する、前記隅肉溶接部の両側で前記構造物に接触しながら移動させられる一対の隅肉ガイド部材と、前記一対の隅肉ガイド部材の間に設けられ、前記エッジ部と対応する形状で前記ベース部材に向かってくぼみ、前記エッジ部に接触しながら移動させられる少なくとも1つのエッジガイド部材を備えている。
【0015】
この構成により、作業者は、隅肉溶接部では一対の隅肉ガイド部材を隅肉溶接部の両側で構造物に接触させながら移動させてストライプコート塗装を行い、エッジ部ではエッジガイド部材をエッジ部に接触させながら移動させてストライプコート塗装を行うことにより、相反する形状の塗装部である凹形状の隅肉溶接部と凸形状のエッジ部のいずれのストライプコート塗装適用部位においても、被塗面と塗料噴射ノズル先端との距離を適切に保って塗装することができる。これにより、飛散を抑えて適切な塗膜厚さを保った適切なストライプコート塗装を行うことができる。しかも、異なるストライプコート塗装適用部位に対し、ガイド部材を交換することなく塗装作業が行えるので、ガイド部材の準備作業、移動時間が削減され生産性向上を図ることができ、ストライプコート塗装の更なる工数削減と品質均一化の向上を図ることができる。さらに、隅肉ガイド部材によるストライプコート塗装及びエッジガイド部材によるストライプコート塗装は、塗料噴射口の延びる所定方向と交差する方向に移動させることで、いずれも適切な所定幅のストライプコート塗装を行うことができる。
【0016】
また、前記隅肉ガイド部材及び前記エッジガイド部材は、前記被塗面と接触する部分が棒状材で形成され、前記隅肉ガイド部材は、前記構造物と接触する部分に円弧状部を有し、前記エッジガイド部材は、前記エッジ部と接触する部分に円弧状部を有していてもよい。
【0017】
このように構成すれば、隅肉ガイド部材及びエッジガイド部材は、いずれも棒状材で形成された円弧状部を構造物に接触させながらスムーズに移動させることができる。しかも、ガイド部材を形成する棒状材の空間から塗料の噴射圧を逃しながら適切にストライプコート塗装を行うことができる。
【0018】
また、前記エッジガイド部材は、前記所定方向と交差する方向で互いに対向するように一対が備えられていてもよい。
【0019】
このように構成すれば、被塗面と作業者の位置関係や距離などに応じて、エッジ部のストライプコート塗装を一対のエッジガイド部材のいずれかを利用して、左方向と右方向の両方向に向けて適切に行うことができる。
【0020】
また、前記隅肉ガイド部材は、広がり角度を調整可能に構成されていてもよい。
【0021】
このように構成すれば、被塗面と作業者の位置関係や距離などに応じて、隅肉ガイド部材の広がり角度を調整することで、塗料噴射ノズルと被塗面との距離を調整することができ、被塗面に安定した塗装品質のストライプコート塗装を行うことができる。
【0022】
また、前記エッジガイド部材は、前記隅肉ガイド部材の所定位置に一端が取付けられ、他端は隅肉ガイド部材と所定の隙間を有する状態で近接位置に配置されていてもよい。
【0023】
このように構成すれば、隅肉ガイド部材の広がり角度を被塗面に応じて適した角度に調整することで、エッジガイド部材と隅肉ガイド部材との関係が軸対称にならないように調整できる。これにより、隅肉ガイド部材を調整することで、ガイド部材の上下を反転させて左右方向にストライプコート塗装を行うような場合に、被塗面とガイド部材との関係を対称にでき、効率良くストライプコート塗装を行うことができる。
【0024】
一方、本発明に係るストライプコート塗装装置は、構造物における隅肉溶接部又はエッジ部の被塗面にストライプコート塗装を行うためのストライプコート塗装装置であって、前記ストライプコート塗装の塗料を所定の圧力で供給する塗料ポンプと、前記塗料ポンプから供給する塗料の噴射を制御するガン部と、前記ガン部の操作で塗料を噴射する塗料噴射ノズルと、を備え、前記塗料噴射ノズルの前部に、前記いずれかのストライプコート塗装ツールを備えている。
【0025】
この構成により、作業者は隅肉溶接部に適した隅肉ガイド部材又はエッジ部に適したエッジガイド部材を被塗面に接触させて移動させながら、ガン部を操作してストライプコート塗装を行うことにより、適切な塗膜厚を保って塗装することができる。しかも、異なるストライプコート塗装適用部位に対し、ガイド部材を交換することなく塗装作業が行えるので、ガイド部材の準備作業、移動時間が削減され生産性向上を図ることができる。しかも、いずれのストライプコート塗装適用部位においても、被塗面と塗料噴射ノズル先端との距離を適切に保つことができ、均一な膜厚確保とスプレーダストの飛散軽減を可能にでき、ストライプコート塗装の品質均一化の向上が可能となる。
【0026】
また、前記塗料噴射ノズルと前記ガン部との間に所定長さのパイプ部材を有し、前記塗料噴射ノズルは、前記パイプ部材の軸心に対し、塗料噴射角度を調整可能に構成されていてもよい。
【0027】
このように構成すれば、被塗面と作業者の位置関係や距離などに応じて、塗料噴射ノズル部をパイプ部材の軸心に対して作業に適した角度に傾けることができ、ストライプコート塗装を作業者に応じた姿勢で効率良く行うことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、構造物における種々の部位のストライプコート塗装を、ツールを交換することなく効率良く適切に行うことが可能となり、大幅な工数削減による生産性向上と、品質均一化の向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態を示すストライプコート塗装装置の斜視図である。
図2図1に示すストライプコート塗装装置のストライプコート塗装ツールを示す平面図である。
図3図2に示すストライプコート塗装ツールの正面図である。
図4図2に示すストライプコート塗装ツールの隅肉溶接部塗装の適用例を示す側面図である。
図5図2に示すストライプコート塗装ツールのエッジ部塗装の適用例を示す側面図である。
図6図2に示すストライプコート塗装ツールによる隅肉溶接部の塗装状態を示す斜視図である。
図7図2に示すストライプコート塗装ツールによるエッジ部の塗装状態を示す斜視図である。
図8】船舶の船底における構造物のストライプコート塗装を行う部分を示す斜視図である。
図9図8に示すIX部を拡大して別角度で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、構造物として船舶の船底部分を例にし、そのストライプコート部にストライプコート塗装を行う例を説明する。
【0031】
図1に示すように、この実施形態のストライプコート塗装装置1は、高圧空気を用いて駆動するピストン式の塗料ポンプ3を有する低圧型エアレス塗装機2を備えている。塗料ポンプ3は、上部に設けられたモイスチャセパレータ4に接続された高圧空気供給ホース5から高圧空気が供給され、この高圧空気がエアーモータ部6に供給されている。
【0032】
エアーモータ部6の下方には下部ポンプ7が設けられており、エアーモータ部6によって上下動されるロッド8が下部ポンプ7の内部に延びて、下部ポンプ7のピストン9に連結されている。この下部ポンプ7の下端には、塗料タンク10からの塗料ホース11が接続されている。上記エアーモータ部6で下部ポンプ7の内部に延びるロッド8が上下動させられると、ロッド8の下端に設けられたピストン9が下部ポンプ7の内部で上下動させられる。このピストン9の上下動により、上記塗料タンク10に接続された塗料ホース11から塗料が吸引される。この塗料ポンプ3は、エアレスポンプとなっている。
【0033】
下部ポンプ7の吐出口12には、レギュレータ13が設けられており、下部ポンプ7から吐出される塗料はこのレギュレータ13に吐出される。このレギュレータ13により、下部ポンプ7のピストン9によって吐出される塗料の脈動が軽減される。レギュレータ13には吐出ホース14が設けられており、この吐出ホース14の先端部にガン部15が設けられている。図では、長い吐出ホース14の一部を省略して記載している。
【0034】
また、上記塗料ポンプ3は、エアーモータ部6のピストン面積に対する下部ポンプ7のピストン面積比を小さくした(例えば、圧力比が、30:1)、低圧のエアレスポンプとなっている。塗料ポンプ3を低圧のエアレスポンプとすることにより、後述するように、塗料噴射ノズル20から近距離に塗装する場合でも、塗料ダスト(スプレーダスト)が飛散するのを抑止している。しかも、レギュレータ13を設けて塗料ポンプ3から吐出する塗料の圧力変化による脈動を抑止することで、上記したように下部ポンプ7のピストン9で吐出される塗料によるストライプコート塗装Sの幅を一定に保ち、塗料ダストが飛散するのを抑止している。
【0035】
このように、この実施形態では、レギュレータ13を有する低圧型エアレス塗装機2を用い、塗料ダストの飛散を抑止し、ストライプコート塗装Sが要求される適用エリアへ脈動を抑止した適正量の塗料を供給するようにしている。
【0036】
一方、上記ガン部15には、操作レバー16と、塗料噴射ノズル20とが設けられている。この例では、操作レバー16の先端に所定長さのパイプ部材17が設けられ、その先端部分に塗料噴射ノズル20が設けられている。この塗料噴射ノズル20は、後述する図6,7に示すように、上記パイプ部材17の軸心に対し、塗料噴射方向を調整することが可能となっている。
【0037】
このガン部15によれば、操作レバー16を握ることで、下部ポンプ7からレギュレータ13及び吐出ホース14を介して供給されている塗料が塗料噴射ノズル20から噴射される。そして、上記塗料噴射ノズル20の前部に、ストライプコート塗装ツール30が備えられている。
【0038】
図2,3に示すように、この実施形態のストライプコート塗装ツール30は、上記塗料噴射ノズル20の前部に取り付けられるベース部材31と、このベース部材31に基部が取り付けられて前方に突出するように設けられた一対の隅肉ガイド部材40と、この隅肉ガイド部材40の基部から所定寸法前方に設けられたエッジガイド部材50とを備えている。上記ベース部材31は、上記塗料噴射ノズル20に装着するためのネジ部32が設けられ、その中央部は上記塗料噴射口21の前方を開放する穴部33に形成されている。
【0039】
上記塗料噴射ノズル20には、所定方向に延びるスリット状の塗料噴射口21が設けられており、この塗料噴射口21から噴射される塗料Pは、短辺方向では少し広がり、所定方向の長辺方向では大きく広がって(扇状)噴射される。この塗料Pは、上記ベース部材31の穴部33の部分を通って前方に噴射される。
【0040】
上記隅肉ガイド部材40は、棒状材を略U字状に曲げ加工し、その曲げられた先端部41がベース部材31から突出するように、両端の基部42がベース部材31に固定されている。この実施形態の隅肉ガイド部材40は、先端部41をU字状に曲げることで、後述するように被塗面(構造物)61と接触する部分が大きな円弧状部に形成されている。隅肉ガイド部材40は、先端部41が隅肉溶接部60(図4)の両側で構造物に接触しながら移動させられる塗装時のガイド部となる。この隅肉ガイド部材40は、塗料噴射ノズル20に設けられた塗料噴射口21の長辺方向(所定方向)に広がりながら、この長辺方向で互いに対向するように、一対が設けられている。隅肉ガイド部材40としては、塗料噴射ノズル20から被塗面61に接する距離L1が、例えば、約70〜90mm(好ましくは、約80mm)となっており、その開き幅W1は、例えば、約40〜60mm(好ましくは、約50mm)に設定される。隅肉ガイド部材40を形成する棒状材は、例えば、丸棒の他、多角形棒(6角形、8角形など)でもよい。
【0041】
また、上記エッジガイド部材50は、棒状材をエッジ部70(図5)に対応する形状となるように略V字状に曲げ加工され、中央部分にエッジ部70と接触する円弧状部となった屈曲部51が形成されている。この屈曲部51は、上記ベース部材31に向かってくぼむように形成されている。このエッジガイド部材50は、上記一対の隅肉ガイド部材40の棒状材の間に設けられており、隅肉ガイド部材40の基部42から所定寸法で前方に固定されている。このエッジガイド部材50は、屈曲部51がエッジ部70(図5)に接触させながら移動させられる塗装時のガイド部となる。この実施形態のエッジガイド部材50は、上記所定方向に延びる塗料噴射口21と交差する方向で互いに対向するように一対で設けられており、塗料噴射口21を挟んで設けられている。
【0042】
エッジガイド部材50としては、塗料噴射ノズル20から被塗面71(図5)に接する屈曲部51までの距離L2が、例えば、約20〜40mm(好ましくは、約30mm)となっており、その開き幅W2は、一対の隅肉ガイド部材40の基部42の間の寸法とほぼ同じ約30mm程度となっている。エッジガイド部材50の開き幅W2は、隅肉ガイド部材40に取り付け可能であり、塗料噴射口21から噴射される塗料Pに接しない寸法であればよい。このエッジガイド部材50を形成する棒状材も、例えば、丸棒の他、多角形棒(6角形、8角形など)でもよい。
【0043】
エッジガイド部材50は、略V字状(図5)に形成された一端が隅肉ガイド部材40に固定され、他端は隅肉ガイド部材40と所定の隙間を有する状態で固定されていない。この実施形態では、一対のエッジガイド部材50の異なる方向の端部52が、一対の隅肉ガイド部材40のそれぞれに固定されている。つまり、一対のエッジガイド部材50は、黒塗りで図示するように、それぞれの一端部52のみが、一対の隅肉ガイド部材40の一方にそれぞれ固定されている。この例では、図3に示す上側のエッジガイド部材50は右端部52が右側の隅肉ガイド部材40に固定され、下側のエッジガイド部材50は左端部52が左側の隅肉ガイド部材40に固定され、隅肉ガイド部材40に固定する端部52の位置が逆位置となっている。これらのエッジガイド部材50は、固定側と逆方向の端部は、隅肉ガイド部材40と少し隙間が空いた状態で固定されていない。
【0044】
なお、この実施形態では、一対の隅肉ガイド部材40に対してエッジガイド部材50も一対で設けられているが、エッジガイド部材50は、少なくとも1つあれば、被塗面71(図5)に接触させながら移動させるときにガイドすることができる。
【0045】
図4に示すように、上記一対の隅肉ガイド部材40は、上記塗料噴射ノズル20の塗料噴射口21から噴射して長辺方向に広がる塗料Pとの間に所定の空間Eを空けて広がるようになっている。また、この隅肉ガイド部材40は、塗料噴射口21から噴射された塗料Pに接することなく広がり、塗料噴射ノズル20から噴射された塗料Pが飛散することなく被塗面61に吹き付けられる所定距離L1(塗料噴射口21から隅肉ガイド部材40の先端までの距離)を保つようになっている。
【0046】
この隅肉ガイド部材40は、塗料噴射ノズル20の先端部である塗料噴射口21から被塗面61までの距離L1が、塗料Pを霧化させるのに適した距離で、所定範囲にストライプコート塗装Sができる距離L1(例えば、約80mm)となっている。この塗料噴射ノズル20から被塗面61までの距離L1は、隅肉溶接部60において作業者が手で塗料噴射ノズル20を移動操作して塗るスピードに応じた距離となっている。
【0047】
この隅肉ガイド部材40により、隅肉溶接部60にストライプコート塗装Sを行う場合、その被塗面61に隅肉ガイド部材40を接触させて塗装方向V(図6)に移動させることで、塗料噴射口21から噴射された塗料Pが被塗面61までの距離を一定に保った状態でストライプコート塗装Sをすることができる。
【0048】
一方、この隅肉ガイド部材40は、塗料噴射ノズル20の軸心(噴射する塗料の中心)に対して互いに同じ角度で広がるように設けられているが、図に二点鎖線で示すように、それぞれ先端部分を広げて広がり角度を調整することで開き幅W1を開き幅W3とすれば、被塗面61との接触状態や塗料噴射口21から被塗面61までの距離L1を距離L3に調整することができる。この調整は、例えば、作業者毎に異なる塗装速度や塗装姿勢、その他、作業者の感覚などにより適宜行うことができる。この調整としては、一方の隅肉ガイド部材40の先端部分を広げても、両方の隅肉ガイド部材40の先端部41を広げてもよい。なお、隅肉ガイド部材40の広がり角度を調整する手段としては、隅肉ガイド部材40の基部を曲げるような調整でも、基部に継ぎ手などを用いて調整できるようにしてもよい。
【0049】
図5に示すように、上記エッジガイド部材50は、上記したように対向して設けられた一対の隅肉ガイド部材40の間に設けられており、隅肉ガイド部材40の基部から所定寸法前方に屈曲部51が位置するように設けられている。このエッジガイド部材50は、上記図2の平面視である図5の状態では、中央部分の屈曲部51をエッジ部70の被塗面71に接触させてガイドさせた状態でストライプコート塗装Sを行うように、塗料噴射ノズル20の先端部からエッジ部70の被塗面71までの距離L2を保つようになっている。エッジガイド部材50も、塗料噴射口21から噴射された塗料Pに接することなく、塗料噴射ノズル20から噴射した塗料Pが飛散することなく被塗面61に吹き付けられるように、塗料Pと空間Eを空けて設けられている。
【0050】
一方、この実施形態のエッジガイド部材50は、上記したように一端を固定して他端はフリーの状態で固定されていない。これにより、エッジ部70の大きさ、角度、作業者からの距離などに応じて屈曲部51の位置を調整することができる。この調整としては、二点鎖線で示すように、隅肉ガイド部材40の広がり角度を調整することで、エッジガイド部材50の屈曲部51と被塗面71との接触角度を適した角度に調整したり、隅肉ガイド部材40がフェイスプレート(構造物)102に当接することを避けるように調整することなどができる。この調整も、作業者毎に異なる塗装速度や塗装姿勢、その他、作業者の感覚などにより適宜行うことができる。
【0051】
具体的な調整としては、例えば、エッジ部70のストライプコート塗装時に、フェイスプレートなどのエッジ部70の被塗面71にエッジガイド部材50を当接させたときに、隅肉ガイド部材40がフェイスプレートの他の部分に当接するような場合、隅肉ガイド部材40の一方を広げて開き幅W5とすることで当接しないようにできる。隅肉ガイド部材40を広げた場合、広げた側の隅肉ガイド部材40はエッジガイド部材50から離れるため、広げた側の隅肉ガイド部材40とエッジガイド部材50の屈曲部51とは開き幅W5と広くなり、他方の隅肉ガイド部材40と屈曲部51との開き幅W4は変化しない。これにより、隅肉ガイド部材40からエッジガイド部材50の屈曲部51までの距離に広い開き幅W5と狭い開き幅W4とを持たせることができる。このように調整すれば、その後の作業時に、フェイスプレートなどの板厚変化に応じて、適宜、作業者が持ち替えて適切な開き幅の向きで使用し、隅肉ガイド部材40が被塗面71に当接しないように移動させて塗装することができる。
【0052】
また、このように調整することで、エッジ部70のストライプコート塗装時に、フェイスプレートなどの板厚に応じて隅肉ガイド部材40がフェイスプレートなどに当たらないように角度を調節して、エッジガイド部材50を被塗面71に沿って移動させる動作を、一方から他方に塗装するときと、他方から戻る方向に塗装するときとで、隅肉ガイド部材40が広がった開き幅W5を適切な方にして塗装することができる。例えば、右利きの作業者の場合、隅肉ガイド部材40を調整することで、上記した図9に示す足下のビルトアップロンジ100のエッジ部107は右から左へフォアハンドで塗装し、エッジ部103は左から右へバックハンドで塗装する、というような塗装を、被塗面71とストライプコート塗装ツール30との関係を対称にして行うことができる。
【0053】
このように、一対のエッジガイド部材50において、屈曲部51が互いに中心からズレて屈曲部51から隅肉ガイド部材40までの開き幅W4,W5が異なるようにすることで、片側のエッジガイド部材50を被塗面71に接触させてストライプコート塗装Sをするときに、塗装部位に応じて作業者が好ましい開き幅W4,W5を上または下にして使用することができる。
【0054】
従って、上記ストライプコート塗装ツール30によれば、例えば、図示するように、フェイスプレート102の下側エッジにストライプコート塗装Sをする場合のように、作業者の姿勢や塗料噴射ノズル20をエッジ部70に沿わせて移動させることが難しい場合でも、ストライプコート塗装ツール30を下側から斜め上向きで使用することにより、エッジガイド部材50をエッジ部70に沿わせて移動させることが容易にでき、塗料噴射口21と被塗面71との距離L2を保ってストライプコート塗装を行うことができる。つまり、上記ストライプコート塗装ツール30によれば、隅肉ガイド部材40の使用時にはエッジガイド部材50が邪魔にならず、エッジガイド部材50の使用時には隅肉ガイド部材40が邪魔にならない状態で作業することができる。
【0055】
従って、従来は塗装部位の形状によって一部を刷毛塗りとしていた箇所でも、このストライプコート塗装ツール30によれば霧化システムによって適正なストライプコート塗装Sを行うことが可能となる。
【0056】
図6に示すように、上記ストライプコート塗装ツール30を備えたストライプコート塗装Sの使用方法としては、まず、上記塗料噴射ノズル20及びストライプコート塗装ツール30を、パイプ部材17の先端部と塗料噴射ノズル20との間に設けられた角度調整機構25によって、適切な角度で被塗面61と接するように傾ける。角度調整機構25は、パイプ部材17の先端部に支持部26が設けられ、塗料噴射ノズル20の基部に調整部27が設けられ、この調整部27が支持部26に揺動軸28で軸支されて角度調整可能となった機構となっている。この角度調整機構25は、噴射する塗料Pの広がる方向に角度調整可能となっている。図示する二点鎖線は、パイプ部材17側を揺動させた状態を示している。角度調整機構25は、塗料噴射ノズル20及びストライプコート塗装ツール30を傾けた状態で、その角度を保持することができる。
【0057】
そして、このストライプコート塗装ツール30を備えたストライプコート塗装装置1によれば、隅肉溶接部60の被塗面61に隅肉ガイド部材40の先端部41を沿わせて進行方向Vに移動させることにより、塗料噴射口21と被塗面61との距離を保って塗料噴射ノズル20を移動させることができる。また、隅肉ガイド部材40の一方を被塗面61に沿わせて移動させる場合でも、塗料噴射ノズル20と被塗面61との距離L1をほぼ保って塗料噴射ノズル20を移動させることができる。
【0058】
そして、このようにストライプコート塗装ツール30を移動させながら塗料噴射ノズル20から噴射させた塗料Pによって、隅肉溶接部60の所定範囲に適正な塗膜品質を確保したストライプコート塗装Sを行うことができる。
【0059】
また、図7示すように、フェイスプレート102などのエッジ部70等(図8,9)においても、上記角度調整機構25によってパイプ部材17の先端部に対する塗料噴射ノズル20の角度を適切な角度に調整する。そして、エッジガイド部材50の屈曲部51を被塗面71に接触させて塗料を噴射しながら進行方向Vに移動させることにより、所定の塗膜厚のストライプコート塗装Sを行うことができる。この塗装時には、棒状材で形成されたエッジガイド部材50の円弧状部となっている屈曲部51を被塗面71に接触させながらスムーズに移動させることができる。そのため、エッジ部70の一方にストライプコート塗装Sを行った後、隣接するもう一方のエッジ部70ストライプコート塗装Sを行った場合でも、棒状材のエッジガイド部材50は、ストライプコート塗装Sの上を滑らすように移動させることができるので、先のストライプコート塗装Sを掻き取ることなく塗装することができる。
【0060】
このように、エッジガイド部材50の屈曲部51を被塗面71に接触させてスムーズに移動させることで、塗料噴射ノズル20から被塗面71までの距離L2を保ちながら安定してストライプコート塗装Sを行うことができる。しかも、スムーズに移動開始させることができるので、塗装開始部における塗料Pの飛散も抑えることができる。
【0061】
その上、上記図6に示す隅肉ガイド部材40によるストライプコート塗装作業と、上記図7に示すエッジガイド部材50によるストライプコート塗装作業とは、ストライプコート塗装ツール30を塗料Pの広がりに対して交差する同一の向きのままで被塗面61,71に接触させて進行方向Vに塗装することができる(図6図7に示す、角度調整機構25が同じ向き)。そのため、隅肉溶接部60とエッジ部70とに対してストライプコート塗装Sを連続的に行う場合でも、作業者はガン部15(図1)を持つ角度を変更したり持ち替えたりすることなく、ストライプコート塗装ツール30を同じ向きのままで移動させることで両方のストライプコート塗装Sを効率良く行うことができる。
【0062】
つまり、ストライプコート塗装Sは、塗料Pの広がる方向に対して交差する方向にストライプコート塗装ツール30を移動させて行うが、被塗面61,71が相反する形状である凹形状の隅肉溶接部60における隅肉ガイド部材40によるストライプコート塗装S及び凸形状のエッジ部70におけるエッジガイド部材50によるストライプコート塗装Sのいずれの場合でも、同一方向にストライプコート塗装ツール30を移動させて塗装することができ、連続的に効率良くストライプコート塗装Sを行うことができる。
【0063】
このように、上記ストライプコート塗装ツール30によれば、被塗面61,71と塗料噴射ノズル20との距離L1,L2を一定に保ってストライプコート塗装Sを行うことができるので、塗料噴射ノズル20から噴射した塗料Pが適切な幅で塗布され、適切な塗膜厚さを確保することができる。しかも、上記ストライプコート塗装ツール30によれば、隅肉ガイド部材40及びエッジガイド部材50を棒状材で形成しているので、噴射した塗料Pの圧が棒状材の間から逃げて、安定したストライプコート塗装Sができる。従って、作業者の熟練度が異なっても安定した塗膜品質のストライプコート塗装Sが可能となる。
(実施例)
上記塗料噴射ノズル20から噴射される塗料Pによる塗膜の品質は、塗料Pの吐出圧力と、塗料噴射ノズル20の口径、被塗面61までの距離、及び作業者による塗料噴射ノズル20の移動速度によって異なる。例えば、塗料噴射ノズル20から被塗面61までの距離の関係としては、近いと塗膜厚さが厚くなり、その後のクラック発生等を生じさせるおそれがある。遠いと塗膜厚さが薄くなり、その部分の補修作業が必要となる。
【0064】
そこで、上記ストライプコート塗装ツール30を備えたストライプコート塗装装置1によるストライプコート塗装Sの一例としては、
吐出圧力(2次圧):2.5MPa〜9MPa、
塗料噴射ノズル20の口径:0.38〜0.44mm、
距離(隅肉ガイド部材40の長さ;エッジガイド部材50までの長さ):約50〜100mm、
塗料噴射ノズル20の移動速度:約0.8〜1.2m/sec、
のような条件で作業される。
【0065】
このような条件で塗料噴射ノズル20と被塗面61,71との距離L1,L2を一定に保ってストライプコート塗装Sを行うことにより、適正な塗膜品質(塗膜厚さ、塗膜の一様さ)を確保したストライプコート塗装Sを行うことができる。例えば、上記した船長が290m程度のバルクキャリアの場合、刷毛塗りによるストライプコート塗装Sでは約10000時間が必要であったが、上記ストライプコート塗装装置1によれば約4000〜4800時間程度で行うことが可能となり、大幅な作業時間の短縮と労力の軽減が可能となる。しかも、低圧でのストライプコート塗装Sであるため、塗料Pが他の部分に飛散し難いようにでき、塗料ダストの飛散防止を図れる。
【0066】
以上のように、上記ストライプコート塗装ツール30を備えたストライプコート塗装装置1によれば、ストライプコート塗装Sを行う被塗面61,71が相反する形状の塗装部である凹形状の隅肉溶接部60と凸形状のエッジ部70のいずれでもガイドを使い分ける必要がなく連続的に作業を行うことが可能となり、作業効率を大幅に向上させるとともに、作業者の労力を大幅に軽減することができる。
【0067】
また、隅肉溶接部60とエッジ部70とが混在する構造物であっても、一人の作業者によって塗装作業を中断させることなく連続的に作業することが可能となり、ストライプコート塗装Sを効率良く行えるとともに、均一な膜厚を確保してストライプコート塗装Sの品質均一化を図ることができる。
【0068】
しかも、作業者の身長や好みに応じてストライプコート塗装ツール30の隅肉ガイド部材40及びエッジガイド部材50と被塗面61,71との接触角や塗装距離などを調整することができるので、被塗面61,71と塗料噴射ノズル20との距離をほぼ一定に保って安定したストライプコート塗装をすることができる。従って、効率良くストライプコート塗装Sを行って生産性向上を図ることが可能となる。
【0069】
なお、上記実施形態では、エアーモータ部6によって塗料を噴射する塗料ポンプ3を例に説明したが、塗料ポンプ3は塗料を所定圧力で定量供給できるものであればよく、上記実施形態に限定されるものではない。
【0070】
また、上記実施形態では、両方のガイド部材40,50を丸棒材で形成した例を示したが、例えば、多角形断面の棒材等で形成してもよく、両方のガイド部材40,50を形成する部材の断面形状は機能を損なわないものであれば限定されない。
【0071】
さらに、上記実施形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0072】
1 ストライプコート塗装装置
2 低圧型エアレス塗装機
15 ガン部
16 操作レバー
17 パイプ部材
20 塗料噴射ノズル
21 塗料噴射口
25 角度調整機構
30 ストライプコート塗装ツール
31 ベース部材
32 ネジ部
33 穴部
40 隅肉ガイド部材
41 先端部
42 基部
50 エッジガイド部材
51 屈曲部
52 端部
60 隅肉溶接部
61 被塗面
70 エッジ部
71 被塗面
L1 距離(隅肉ガイド部材)
L2 距離(エッジガイド部材)
W1 開き幅(隅肉ガイド部材)
W2 開き幅(エッジガイド部材)
E 空間
S ストライプコート塗装
P 塗料
V 進行方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9