特許第6052685号(P6052685)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6052685α2アドレナリン受容体の調節因子としてのN−(イミダゾリジン−2−イリデン)−ヘテロシクロペンタ[b]ピリジン誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052685
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】α2アドレナリン受容体の調節因子としてのN−(イミダゾリジン−2−イリデン)−ヘテロシクロペンタ[b]ピリジン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20161219BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 17/08 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 25/30 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 1/12 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 7/10 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20161219BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20161219BHJP
   C07D 491/048 20060101ALI20161219BHJP
   A61K 31/4355 20060101ALI20161219BHJP
   C07D 513/04 20060101ALI20161219BHJP
   A61K 31/429 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   C07D471/04 104Z
   A61P27/02
   A61P9/10
   A61P35/00
   A61P27/06
   A61P25/00
   A61P17/00
   A61P17/06
   A61P17/08
   A61P37/08
   A61P17/02
   A61P29/00
   A61P25/06
   A61P21/00
   A61P9/00
   A61P25/28
   A61P25/18
   A61P25/30
   A61P3/04
   A61P1/12
   A61P7/10
   A61P11/02
   A61P25/22
   A61P25/24
   A61P37/06
   A61P1/04
   A61P25/16
   A61K31/437
   C07D491/048CSP
   A61K31/4355
   C07D513/04 343
   A61K31/429
   C07D471/04 107E
【請求項の数】18
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-522853(P2014-522853)
(86)(22)【出願日】2012年7月11日
(65)【公表番号】特表2014-521642(P2014-521642A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】US2012046161
(87)【国際公開番号】WO2013015984
(87)【国際公開日】20130131
【審査請求日】2015年7月10日
(31)【優先権主張番号】61/511,372
(32)【優先日】2011年7月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591018268
【氏名又は名称】アラーガン、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100168631
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 康匡
(72)【発明者】
【氏名】シンハ サントシュ シー
(72)【発明者】
【氏名】ワン リミン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ ケン
(72)【発明者】
【氏名】ディバス モハメド アイ
(72)【発明者】
【氏名】ガースト マイケル イー
【審査官】 東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 特表平09−507216(JP,A)
【文献】 国際公開第98/023612(WO,A1)
【文献】 特表2001−506601(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/044229(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iを有する化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、互変異性体またはそれらの薬学的に許容される塩
【化1】
式I
式中:
1は水素、C1-8アルキルまたはハロゲンであり;
YはCHまたはNであり;
XはO、S、NRであり;かつ
Rは水素またはC1-3アルキルである。
【請求項2】
1は水素、メチル、臭素または塩素であり;
YはCHまたはNであり;
XはO、S、NRであり;かつ
Rは水素またはメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1は水素であり;
YはCHであり;
XはO、NRであり;かつ
Rは水素またはメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
1はメチルであり;
YはCHであり;
XはNRであり;かつ
Rはメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
1は臭素または塩素であり;
YはCHであり;
XはNRであり;かつ
Rは水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
1は水素であり;
YはNであり;
XはO、S、NRであり;かつ
Rは水素またはメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
1は水素であり;
YはNであり;
XはS、NRであり;かつ
Rは水素またはメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
下記から選択される、請求項1に記載の化合物:
N−(イミダゾリジン−2−イリデン)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−アミン;
N−(イミダゾリジン−2−イリデン)−4−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−アミン;
4−クロロ−N−(イミダゾリジン−2−イリデン)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−アミン;
4−ブロモ−N−(イミダゾリジン−2−イリデン)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−アミン;
N−(イミダゾリジン−2−イリデン)−1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−アミン;
N−(イミダゾリジン−2−イリデン)フロ[2,3−b]ピリジン−5−アミン;
N−(イミダゾリジン−2−イリデン)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−アミン;
N−(イミダゾリジン−2−イリデン)チアゾロ[5,4−b]ピリジン−6−アミン。
【請求項9】
前記化合物がN−(イミダゾリジン−2−イリデン)−4−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−アミンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
活性成分として治療有効量の請求項1に記載の化合物を含み、且つ薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体を含んでいてもよい、医薬組成物。
【請求項11】
前記化合物は下記から選択される、請求項10に記載の医薬組成物:
N−(イミダゾリジン−2−イリデン)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−アミン;
N−(イミダゾリジン−2−イリデン)−4−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−アミン;
4−クロロ−N−(イミダゾリジン−2−イリデン)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−アミン;
4−ブロモ−N−(イミダゾリジン−2−イリデン)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−アミン;
N−(イミダゾリジン−2−イリデン)−1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−アミン;
N−(イミダゾリジン−2−イリデン)フロ[2,3−b]ピリジン−5−アミン;
N−(イミダゾリジン−2−イリデン)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−アミン;
N−(イミダゾリジン−2−イリデン)チアゾロ[5,4−b]ピリジン−6−アミン。
【請求項12】
前記化合物がN−(イミダゾリジン−2−イリデン)−4−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−アミンである、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
治療有効量の少なくとも1種の式Iの化合物を含む、α2受容体と関連する障害を治療するための医薬組成物:
【化2】
式I
式中:
1は水素、C1-8アルキルまたはハロゲンであり;
YはCHまたはNであり;
XはO、S、NRであり;かつ
Rは水素またはC1-3アルキルである。
【請求項14】
前記障害は下記から選択される網膜疾患である、請求項13に記載の医薬組成物:加齢黄斑変性、滲出型黄斑変性、萎縮型黄斑変性、地図状萎縮、糖尿病性網膜症、糖尿病黄斑浮腫、腫瘍、網膜静脈閉塞、高眼圧症、緑内障、網膜色素変性症および多発性硬化症に続発する神経炎。
【請求項15】
前記障害は下記:酒さ、日焼け、乾癬、酒さ性ざ瘡、更年期関連のぼせ、精巣摘出に起因するのぼせ、アトピー性皮膚炎、光老化、脂漏性皮膚炎、ざ瘡、アレルギー性皮膚炎、皮膚の発赤、顔の毛細血管拡張症(以前から存在していた微小血管の拡張)、鼻瘤(濾胞性拡張を有する鼻の肥大)、赤色球状鼻、ざ瘡様皮疹(滲出または痂皮となり得る)、顔の焼けるまたは刺すような感じ、皮膚の紅斑、皮膚の血管の拡張を伴う皮膚機能亢進、Lyell症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群、多形性紅斑マイナー、多形性紅斑メジャーおよび他の炎症性皮膚疾患から選択される皮膚状態であるか、或いはひりひりして充血した涙ぐんだ目である、請求項13に記載の医薬組成物
【請求項16】
前記障害は緑内障、眼圧亢進、虚血性ニューロパチー、視神経症、疼痛、内臓痛、角膜痛、頭痛、片頭痛、癌性疼痛、背部痛、過敏性腸症候群痛、筋肉痛および糖尿病性ニューロパチーと関連する疼痛、糖尿病性網膜症、他の網膜変性状態、脳卒中、認知障害、精神神経状態、薬物依存および嗜癖、離脱症状、強迫性障害、肥満、インスリン抵抗性、ストレス関連状態、下痢、利尿、鼻閉、痙縮、注意欠陥障害、精神病、不安、うつ病、自己免疫疾患、クローン病、胃炎、アルツハイマー病、パーキンソンALS、神経変性疾患である、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項17】
治療有効量のN−(イミダゾリジン−2−イリデン)−4−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−アミンを含む、請求項13〜16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
パッケージング材料および前記パッケージング材料内に包含される医薬品を含む製品であって、前記医薬品は治療的に有効であり、前記パッケージング材料は前記医薬品がα2受容体と関連する障害を治療するために使用することができることを示すラベルを含み、前記医薬品は、有効量の、少なくとも1つの式Iの化合物を含む、製品:
【化3】
式I
式中:
1は水素、C1-8アルキルまたはハロゲンであり;
YはCHまたはNであり;
XはO、S、NRであり;かつ
Rは水素またはC1-3アルキルである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2011年7月25に出願された、米国仮特許出願第61/511,372号(その開示はその10の全体として、本明細書に参照により組み込まれる)の恩典を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、α2アドレナリン調節因子としての新規N−(イミダゾリジン−2−イリデン)−ヘテロシクロペンタ[b]ピリジン誘導体に関する。α1A、α1B、α2A、α2Bおよびα2Cを含むα2アドレナリン受容体は、分子および薬理学的方法により特徴付けられている。これらのα受容体の活性化は生理応答を誘起する。この発明において記載されるアドレナリン調節因子は、α2受容体を活性化し、有用な治療作用を有する。
【背景技術】
【0003】
ヒトアドレナリン受容体は2つの広いクラス、αおよびβアドレナリン受容体に分類されている膜内在性タンパク質である。どちらの型も、カテコールアミン、ノルエピネフリンおよびエピネフリンの結合で、末梢交感神経系の作用を媒介する。ノルエピネフリンは、アドレナリン作動性神経末端により産生され、一方、エピネフリンは副腎髄質により産生される。これらの化合物に対するアドレナリン受容体の結合親和性は、分類の1つの基本を形成する:α受容体は、エピネフリンよりも強く、合成化合物イソプロテレノールよりもずっと強く、ノルエピネフリンに結合する傾向がある。これらのホルモンの優先結合親和性は、β受容体では逆になる。多くの組織では、α受容体活性化により誘導される機能的応答、例えば平滑筋収縮は、β受容体結合により誘導される応答に対立する。
【0004】
その後、αとβ受容体の間の機能的区別は、様々な動物および組織源由来のこれらの受容体の薬理学的特徴付けにより、さらに強調され、洗練された。α1とα2受容体の間の機能差は認識されており、これらの2つのサブタイプの間で選択的結合を示す化合物が開発されている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、α2アドレナリン調節因子としての新規N−(イミダゾリジン−2−イリデン)−ヘテロシクロペンタ[b]ピリジン誘導体に関する。これらの新規化合物は、α2A、2B、2C活性化により軽減される状態および疾患の範囲を有する哺乳類、例えばヒトの治療、例えば、限定はされないが、緑内障、眼圧亢進、虚血性ニューロパチー、視神経症、疼痛、内臓痛、角膜痛、頭痛、片頭痛、癌性疼痛、背部痛、過敏性腸症候群痛、筋肉痛および糖尿病性ニューロパチーと関連する疼痛の治療、糖尿病性網膜症、他の網膜変性状態、脳卒中、認知障害、精神神経状態、薬物依存および嗜癖、離脱症状、強迫性障害、肥満、インスリン抵抗性、ストレス関連状態、下痢、利尿、鼻閉、痙縮、注意欠陥障害、精神病、不安、うつ病、自己免疫疾患、クローン病、胃炎、Alzheimer病、パーキンソンALS、神経変性疾患、網膜神経保護、皮膚状態、皮膚疾患、酒さ、日焼け、乾癬、酒さ性ざ瘡、更年期関連のぼせ、精巣摘出に起因するのぼせ、アトピー性皮膚炎、光老化、脂漏性皮膚炎、ざ瘡、アレルギー性皮膚炎、皮膚の発赤、顔の毛細血管拡張症(以前から存在していた微小血管の拡張)、鼻瘤(濾胞性拡張を有する鼻の肥大)、赤色球状鼻、ざ瘡様皮疹(滲出または痂皮となり得る)、顔の焼けるまたは刺すような感じ、ひりひりする、充血した、および涙ぐんだ目、皮膚の紅斑、皮膚の血管の拡張を伴う皮膚機能亢進、Lyell症候群、スチーブンソンージョンソン症候群、多形性紅斑マイナー、多形性紅斑メジャーおよびまたは他の炎症性皮膚疾患、加齢黄斑変性、滲出型黄斑変性、萎縮型黄斑変性、地図状萎縮、糖尿病性網膜症、糖尿病黄斑浮腫、腫瘍、創傷治癒、炎症および網膜静脈閉塞の治療、緑内障、網膜色素変性症および多発性硬化症に続発する神経炎を含む状態に起因する視力喪失を有する患者における視力向上に有用である。
【0006】
1つの態様では、よって、本発明は、式Iの化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、水和物、溶媒和物、結晶形および個々の異性体、互変異性体またはそれらの薬学的に許容される塩を提供し
【化1】
式I
式中:
1は水素、C1-8アルキルまたはハロゲンであり;
YはCHまたはNであり;
XはO、S、NRであり;かつ
Rは水素またはC1-3アルキルである。
【0007】
別の態様では、本発明は式Iを有する化合物を提供し
ここで:
1は水素、メチル、臭素または塩素であり;
YはCHまたはNであり;
XはO、S、NRであり;かつ
Rは水素またはメチルである。
【0008】
別の態様では、本発明は式Iを有する化合物を提供し
ここで:
1は水素であり;
YはCHであり;
XはO、NRであり;かつ
Rは水素またはメチルである。
【0009】
別の態様では、本発明は式Iを有する化合物を提供し
ここで:
1は水素であり;
YはCHであり;
XはNRであり;かつ
Rは水素またはメチルである。
【0010】
別の態様では、本発明は式Iを有する化合物を提供し
ここで:
1はメチルであり;
YはCHであり;
XはNRであり;かつ
Rはメチルである。
【0011】
別の態様では、本発明は式Iを有する化合物を提供し
ここで:
1は臭素または塩素であり;
YはCHであり;
XはNRであり;かつ
Rは水素である。
【0012】
別の態様では、本発明は式Iを有する化合物を提供し
ここで:
1は水素であり;
YはNであり;
XはO、S、NRであり;かつ
Rは水素またはメチルである。
【0013】
別の態様では、本発明は式Iを有する化合物を提供し
ここで:
1は水素であり;
YはNであり;
XはS、NRであり;かつ
Rは水素またはメチルである。
【0014】
別の態様では、本発明は式Iを有する化合物を提供し
ここで:
1は水素であり;
YはNであり;かつ
XはSである。
【0015】
別の態様では、本発明は式Iを有する化合物を提供し
ここで:
1は水素であり;
YはNであり;
XはNRであり;かつ
Rは水素またはメチルである。
【0016】
「アルキル」という用語は、本明細書では、直鎖または分枝部分またはそれらの組み合わせを有し、1−8の炭素原子、好ましくは1−6の炭素原子、より好ましくは1−4の炭素原子を含む飽和一価炭化水素部分を含むものとして規定される。アルキル部分は、アミノ基、ハロゲンにより任意で置換することができ、または1つのメチレン(−CH2−)は、カルボニル、NH、カルボキシルまたは酸素により置換することができる。
【0017】
「H」という用語は、本明細書では水素原子を示す。
【0018】
「O」という用語は、本明細書では酸素原子を示す。
【0019】
「S」という用語は、本明細書では硫黄原子を示す。
【0020】
「N」という用語は、本明細書では窒素原子を示す。
【0021】
「アミノ」という用語は、本明細書では式−NH2の基を示す。
【0022】
「ハロゲン」という用語は、本明細書では塩素、臭素、ヨウ素またはフッ素の原子を示す。
【0023】
「カルボニル」という用語は、本明細書では式−C=Oの基を示す。
【0024】
「カルボキシル」という用語は、本明細書では式−C(O)O−の基を示す。
【0025】
本発明の化合物は以下である:
N−(イミダゾリジン−2−イリデン)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−アミン;
N−(イミダゾリジン−2−イリデン)−4−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−アミン;
4−クロロ−N−(イミダゾリジン−2−イリデン)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−アミン;
4−ブロモ−N−(イミダゾリジン−2−イリデン)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−アミン;
N−(イミダゾリジン−2−イリデン)−1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−アミン;
N−(イミダゾリジン−2−イリデン)フロ[2,3−b]ピリジン−5−アミン;
N−(イミダゾリジン−2−イリデン)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−アミン;
N−(イミダゾリジン−2−イリデン)チアゾロ[5,4−b]ピリジン−6−アミン。
【0026】
式Iのいくつかの化合物およびそれらの中間体のいくつかはそれらの構造内に少なくとも1つの立体中心を有する。この立体中心は、RまたはS配置で存在することができ、前記RおよびS表示法は、Pure Appli. Chem. (1976), 45, 11−13において記載される規則に従い使用される。
【0027】
本明細書では、「互変異性体」は、隣接する単および二重結合の間でのプロトンの移動を示す。互変異性プロセスは可逆である。本明細書で記載される化合物は、化合物の物理的特性の範囲内にある任意の可能な互変異性を受けることができる。
【0028】
「薬学的に許容される塩」という用語は、上記同定化合物の所望の生物活性を維持し、望ましくない毒性効果を最小に抑え、またはこれを示さない塩または複合体を示す。本発明による「薬学的に許容される塩」は、式Iの化合物が形成することができる治療的に活性な、無毒性の塩基性または酸性塩形態を含む。
【0029】
塩基としてその遊離形態で起こる式Iの化合物の酸付加塩形態は、遊離塩基を適切な酸、例えば無機酸、例として、ハロゲン化水素酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸など;または有機酸、例えば例として、酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロパン酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモ酸、クエン酸、メチルスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ギ酸などで処理することにより得ることができる(Handbook of Pharmaceutical Salts, P.Heinrich Stahal& Camille G. Wermuth (Eds), Verlag Helvetica Chemica Acta− Zurich, 2002, 329−345)。
【0030】
式Iの化合物およびそれらの塩は、溶媒和物の形態で存在することができ、これは、本発明の範囲内に含まれる。そのような溶媒和物としては、例えば水和物、アルコラートなどが挙げられる。
【0031】
本発明に関しては、1つまたは複数の化合物への言及は、特定の異性体型が具体的に言及されない限り、その可能な異性体型の各々およびそれらの混合物の形態のその化合物を含むことが意図される。
【0032】
本発明による化合物は、異なる多形形態で存在し得る。上記式では明確に示されていないが、そのような形態は本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0033】
いかなる場合においても、投与される化合物の実際の量は、医師により関連する状況、例えば状態の重症度、患者の年齢および体重、患者の全身的な身体状態、状態の原因、および投与経路を考慮して、決定される。
【0034】
患者には化合物が経口的に、任意の許容される形態、例えば錠剤、液体、カプセル、粉末などで投与され、または、特に患者が悪心に苦しんでいる場合、他の経路が望ましいまたは必要である場合がある。そのような他の経路としては、例外なく、経皮、非経口、皮下、鼻腔内、インプラントステント経由、くも膜下腔内、硝子体内、目への局所、眼底、眼球前方、筋肉内、静脈内、および直腸内送達モードが挙げられる。加えて、製剤は、特定期間にわたり活性化合物の放出を遅延させる、または治療過程中の所定の時間に放出される薬物量を注意深く制御するように設計され得る。
【0035】
本発明の別の実施形態では、少なくとも1つの本発明の化合物をその薬学的に許容される担体中に含む医薬組成物が提供される。「薬学的に許容される」という句は、担体、希釈剤または賦形剤が製剤の他の成分と適合し、そのレシピエントに有害であってはならないことを意味する。
【0036】
本発明の医薬組成物は、固体、溶液、エマルジョン、分散物、パッチ、ミセル、リポソーム、などの形態で使用することができ、得られた組成物は、1つ以上の本発明の化合物を活性成分として、経腸または非経口適用に好適な有機または無機担体あるいは賦形剤と混合して含む。発明の化合物は、例えば、錠剤、ペレット、カプセル、坐薬、溶液、エマルジョン、懸濁液、および使用に好適な任意の他の形態のための通常の無毒性の、薬学的に許容される担体と組み合わせることができる。使用することができる担体としては、グルコース、ラクトース、アカシアゴム、ゼラチン、マンニトール、デンプンペースト、三ケイ酸マグネシウム、タルク、トウモロコシデンプン、ケラチン、コロイドシリカ、ジャガイモデンプン、尿素、中鎖長トリグリセリド、デキストラン、および、固体、半固体、または液体形態の調製物を製造するのに使用するのに好適な他の担体が挙げられる。加えて助剤、安定化剤、増粘剤および着色剤ならびに芳香剤が使用され得る。発明の化合物は、医薬組成物中に、プロセスまたは疾患状態に所望の効果を生成させるのに十分な量で含められる。
【0037】
発明の化合物を含む医薬組成物は、経口使用に好適な形態で、例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性または油性懸濁液、分散性粉末もしくは顆粒、エマルジョン、ハードまたはソフトカプセル、またはシロップあるいはエリキシル剤として存在し得る。経口使用を対象とした組成物は、医薬組成物の製造のために当技術分野で知られている任意の方法に従い調製することができ、そのような組成物は、薬学的に優雅で美味な調製物を提供するために、甘味剤、例えばスクロース、ラクトース、またはサッカリン、香味剤、例えばペパーミント、ウインターグリーンもしくはサクランボの油、着色剤および保存剤からなる群より選択される1つ以上の薬剤を含み得る。発明の化合物を、無毒性の薬学的に許容される賦形剤と混合して含む錠剤はまた、公知の方法により製造され得る。使用される賦形剤は、例えば、下記とし得る:(1)不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム;(2)造粒および崩壊剤、例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプンまたはアルギン酸;(3)結合剤、例えばトラガントガム、トウモロコシデンプン、ゼラチンまたはアカシア、および(4)潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルク。錠剤は、無コートとしてもよく、または、公知の技術によりコートして、胃腸管での崩壊および吸収を遅延させ、よって、より長期間にわたって持続作用を提供するようにすることができる。例えば、時間遅延材料、例としてモノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルが使用され得る。
【0038】
場合によっては、経口使用のための製剤はハードゼラチンカプセルの形態であってもよく、この場合、発明の化合物は、不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合される。それらはまた、ソフトゼラチンカプセルの形態であってもよく、この場合、発明の化合物は水または油媒体、例えば、ピーナッツ油、液体パラフィンまたはオリーブ油と混合される。
【0039】
医薬組成物は無菌注射用懸濁液の形態であってもよい。この懸濁液は、公知の方法に従い、好適な分散または湿潤剤および懸濁剤を使用して製剤化され得る。無菌注射用調製物はまた、無毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の無菌注射用溶液または懸濁液、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液であってもよい。無菌の固定油が従来溶媒または懸濁媒体として使用されている。このために任意の無刺激性固定油が使用され得、合成モノまたはジグリセリド、脂肪酸(オレイン酸を含む)、自然発生植物油様ゴマ油、ヤシ油、ピーナッツ油、綿実油、など、またはオレイン酸エチルのような合成脂肪ビヒクルなどが挙げられる。緩衝剤、保存剤、抗酸化剤、などは必要に応じて組み込むことができる。
【0040】
発明の化合物はまた、薬物の直腸投与のための坐薬の形態で投与され得る。これらの組成物は、発明の化合物を好適な非刺激性賦形剤、例えばカカオバター、ポリエチレングリコールの合成グリセリドエステルと混合することにより調製することができ、それらは常温では固体であるが、直腸腔内で液化し、および/または溶解し、薬物を放出する。
【0041】
個々の対象は多様な、症状の重症度を示す可能性があり、各薬物はその独特の治療的特徴を有するので、各対象のための正確な投与方法および用量は医師の裁量に委ねられる。
【0042】
眼科的に許容される医薬組成物は、治療の必要な対象の目に局所的に投与することができるものである。組成物が投与される対象への快適さが最大とされるべきであるが、他の考慮事項、例えば薬物安定性により、最適未満の快適さを提供する医薬組成物が余儀なくされ得る。そのような場合、組成物は、組成物が局所的に投与される対象に許容可能なものとなるように製剤化されるべきである。
【0043】
特許請求される医薬組成物は、溶液または懸濁液、軟膏剤、ゲル、クリーム、などの形態で局所的に投与され得る。「薬学的に許容される賦形剤」は、組成物の活性成分と適合し、医薬組成物が投与される対象に有害でないものである。点眼のための溶液はしばしば、主ビヒクルとして生理食塩水を使用して調製される。他のビヒクルとしては、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポロクサマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、および精製水が挙げられる。有用な賦形剤の例としては、また、保存剤、緩衝剤、他のpH調整剤、浸透圧調整剤、界面活性剤、抗酸化剤、およびキレート剤が挙げられる。
【0044】
有用な保存剤としては、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀および硝酸フェニル水銀が挙げられる。緩衝剤の例としては、リン酸、ホウ酸、硫酸、酢酸、およびクエン酸緩衝剤が挙げられる。酸または塩基が、必要に応じて組成物のpHを調節するために使用され得る。浸透圧剤の例としては、グリセリン、マンニトール、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムが挙げられる。有用な界面活性剤としては、例えば、Tween80が挙げられる。眼科的に許容される抗酸化剤の例としては、二亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチルヒドロキシアニソールおよびブチル化ヒドロキシトルエンが挙げられる。有用なキレート剤はエデト酸二ナトリウムである。
【0045】
2つ以上の任意の好適な賦形剤の混合物が使用され得る。
【0046】
緑内障を含む目に影響する疾患を治療するための局所適用の他に、少なくとも1つの、式(I)の化合物を含む医薬組成物はまた、眼周囲に、眼内に、または当技術分野で使用可能な他の有効な手段により投与することができる。
【0047】
当業者は、1つ以上の、本明細書で開示される化合物を含む薬物は、経口もしくは非経口投与または吸入に好適な、粉末、丸薬、錠剤などとして、または溶液、エマルジョン、懸濁液、エアロゾル、シロップもしくはエリキシル剤として調製することができることを容易に理解するであろう。固体剤形または薬剤では、本明細書で開示される化合物と混合するための無毒性固体賦形剤としては、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、ポリアルキレングリコール、滑石、セルロース、グルコース、スクロース、および炭酸マグネシウムが挙げられるが、それらに限定されない。固体剤形は、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの材料によりコートすることができ、それは、公知の技術において、より長期間にわたって持続作用を提供する目的で、胃腸管での崩壊および吸収を遅延させるために使用される。固体剤形はまた、制御放出のための浸透圧治療錠剤を形成するための米国特許第4,256,108号、4,166,452号および4,265,874号において記載される技術によりコートされ得る。
【0048】
薬学的に投与可能な液体剤形は、例えば、担体、例えば水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、エタノールなど中の少なくとも1つの、本明細書で開示される化合物および任意的な医薬アジュタント(adjutant)の溶液または懸濁液を含み得る。液体剤形はまた、無毒性補助物質、例えば湿潤または乳化剤、pH緩衝剤などを含み得る。そのような助剤の例としては、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミン、酢酸ナトリウム、オレイン酸トリエタノールアミン、などが挙げられる。そのような剤形を調製するための方法は当業者によく知られている(例えば、Reminton’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, Pa. , 16th Edition, 1980を参照されたい)。
【0049】
非経口投与は、一般に皮下、筋肉内、または静脈内注射により特徴付けられる。注射液は、液体溶液または懸濁液、注射前に溶液または懸濁液に再構成することができる固体形態として、あるいはエマルジョンとして調製することができる。好適な賦形剤としては水、生理食塩水デキストロース、グリセロール、エタノールなどが挙げられる。そのような注射用医薬組成物は少量の無毒性補助物質、例えば湿潤または乳化剤、pH緩衝剤などを含み得る。
【0050】
本明細書で言及される例は、決して本発明の範囲を制限することを意図しない。
【0051】
以下で明記される合成スキームは、本発明による化合物がどのように製造され得るかを示す。当業者は、式Iにより含められる任意の本発明の化合物を合成するために、下記スキームをルーチン的に修飾および/または適合させることができるであろう。
【化2】
【0052】
第1の手順では、式Iの化合物の合成を、ピリジン−3−アミン誘導体を用いて開始し、これを、エチル2−(エチルチオ)−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−1−カルボキシレート(CAS86366−45−2)と反応させ、続いて、保護基を5N水酸化ナトリウムを含むメタノールで除去し、所望の式Iの化合物を得た。
【0053】
第2の手順では、式Iの化合物の合成をピリジン−3−アミン誘導体を用いて開始し、これを4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−スルホン酸(CAS64205−92−1)とマイクロ波中で、エタノールを溶媒として使用して反応させ、所望の式Iの化合物を得た。
【0054】
下記実施例は、例示目的のものにすぎず、いかなる形でも本発明を制限することを意図せず、そのように解釈すべきではない。当業者は、下記実施例の変更および改変が本発明の精神または範囲を超えずに可能であることを認識するであろう。
【0055】
実施例で言及される化合物のIUPAC名は、ACDバージョン8を用いて作成した。
【0056】
実施例において特に指定がない限り、化合物の特徴付けは下記方法に従い、実施する:
【0057】
NMRスペクトルを300MHz Varianで記録し、室温で取得する。化学シフトを内部TMSまたは残留溶媒シグナルのいずれかを参照してppmで与える。
【0058】
合成で記載されていない試薬、溶媒、触媒は全て、化学ベンダー、例えばSigma Aldrich、Fluka、Lancasterから購入するが、しかしながら、CAS登録番号が言及されているいくつかの公知の反応中間体は、公知の手順に従い社内で調製した。
【0059】
通常、本発明の化合物は、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0060】
下記略語が実施例で使用される:
DCM ジクロロメタン
EtOH エタノール
MeOH メタノール
NH3 アンモニア
NaOH 水酸化ナトリウム
MgSO4 硫酸マグネシウム
EtOAc 酢酸エチル
MPLC 中圧液体クロマトグラフィー
DMF ジメチルホルムアミド
THF テトラヒドロフラン
Na2CO3 炭酸ナトリウム
PdCl2(PPh32 ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド
Pd/C パラジウム炭素
【0061】
実施例1
中間体1
4−メチル−1−(フェニルスルホニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
【化3】
4−ブロモ−1−(フェニルスルホニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(CAS889939−25−7)(1.54g、4.56mmol)を含むDMF(20mL)の溶液をテトラメチルスタンナン(1.65g、9.22mmol)に添加し、続いてPdCl2(PPh32(328mg)をアルゴン下、室温で添加した。反応混合物を150℃で一晩撹拌した。シリカゲルを添加し、混合物を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、ヘキサン:EtOAc(3:1)を用いて精製し、中間体1(1.2g、収率97%)を淡黄色固体として得た。
【0062】
実施例2
中間体2
4−メチル−5−ニトロ−1−(フェニルスルホニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
【化4】
硝酸テトラブチルアンモニウム(2.48g、8.0mmol)を含むジクロロメタン(30mL)の溶液に、トリフルオロ酢酸無水物(1.68g、8.0mmol)を0℃で、アルゴン下にて添加した。その後、中間体1(1.2g、4.42mmol)を含む無水ジクロロメタン(20mL)を、上記反応混合物に0℃で徐々に添加した。混合物を0℃で、1.5h撹拌した。反応を水で停止させ、ジクロロメタン中で抽出した。ジクロロメタン層をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮し、MPLC(固体ロード)によりヘキサン:EtOAc(8:2)を用いて精製し、中間体2を得た。
【0063】
実施例3
中間体3
4−メチル−1−(フェニルスルホニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−アミン
【化5】
中間体2(410mg、1.29mmol)を含むTHF(15mL)およびEtOH(10mL)の混合物を10%パラジウム炭素(10wt%のPd/C;45mg)にアルゴン下で添加した。混合物を水素バルーンを用いて室温で16時間水素化した。反応混合物を窒素でフラッシングし、Celite(登録商標)プラグを通して濾過し、真空で濃縮した。粗材料をフラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル上でヘキサン:EtOAc(4:6)を用いて精製し、中間体3(370mg)を得た。
【0064】
実施例4
中間体4
エチル2−((4−メチル−1−(フェニルスルホニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)アミノ)−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−1−カルボキシレート
【化6】
中間体3(390mg、1.25mmol)および1H−イミダゾール−1−カルボン酸,2−(エチルチオ)−4,5−ジヒドロ−,エチルエステル(CAS86366−45−2)384mg、1.9mmol)を含む酢酸(8mL)の溶液を、90℃で一晩加熱した。混合物を濃縮し、残渣を水で希釈し、Na2CO3水溶液で反応停止させ、灰色固体が沈殿した。固体を濾過し、水で洗浄し、中間体4(380mg、66%)を灰色固体として得た。
【0065】
実施例5
中間体5
2−((4−メチル−1−(フェニルスルホニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)アミノ)−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール
【化7】
中間体4(390mg、1.25mmol)およびエチル2−(エチルチオ)−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−1−カルボキシレート(CAS86366−45−2)(384mg、1.9mmol)を含む酢酸(8mL)の溶液を90℃で一晩加熱した。濃縮後、残渣を水で希釈し、Na2CO3水溶液で反応停止させ、灰色固体が沈殿した。固体を濾過し、水で洗浄し、中間体5(380mg、66%)を灰色固体として得た。
【0066】
実施例6
化合物1
N−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−4−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−アミン
【化8】

中間体5(380mg、0.89mmol)を含むMeOH(10mL)の混合物に、5N NaOH(1.5mL)水溶液を添加し、混合物を80℃で4h加熱した。室温まで冷却した時点で、白色固体沈殿物が形成し、これを濾過して除去した。シリカゲルを濾液に添加し、濃縮した。この材料をMPLCによりアミンカラムを使用して、10%MeOH:DCMを用いて精製し、化合物1(26mg)を得た。
1H NMR (メタノール-d4) δ: 7.77 (s、1H)、7.27 (d、J = 3.2 Hz、1H)、6.45 (d、J = 3.5 Hz、1H)、3.46 (s、4H)、2.39 (s、3H)。
【0067】
化合物2、3および4を、実施例6において化合物1のために記載される方法と同様に調製した。使用した開始材料および結果をそれぞれの場合に対し、下記表1において一覧にする。
【表1】
【0068】
実施例7
化合物6
N−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)チアゾロ[5,4−b]ピリジン−6−アミン
【化9】
チアゾロ[5,4−b]ピリジン−6−アミン(CAS948306−28−3)(200mg、1.3mmol)および4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−スルホン酸(298mg、1.98mmol)を含むEtOH(5mL)の混合物をマイクロ波中、150℃で40min加熱した。混合物を減圧下で蒸発させた。この材料をクロマトグラフィーによりシリカゲル上で5%NH3−MeOH:DCMを用いて精製し、(40mg、回収された開始材料に基づき30%)化合物6を得た。
1H NMR (メタノール-d4) δ: 9.28 (s、1H)、8.30 (d、J = 2.1 Hz、1H)、7.95 (d、J = 2.1 Hz、1H)、3.52 (s、4H)、3.47 (s、1H)、3.27 - 3.37 (m、3H)。
【0069】
本発明の化合物7および8を、実施例7において化合物6のために記載される手順に従い、対応するアミノピリジン誘導体(市販されている)から開始して調製した。結果を下記表2において一覧にする。
【表2】
【0070】
下記アッセイおよび動物モデルを使用して、本発明による化合物の効力および選択性を証明する。
【0071】
実施例8
RSAT化合物スクリーニング
本発明の新規化合物を合成し、受容体選択および増幅技術(Receptor Selection and Amplification Technology)(RSAT)アッセイ(Messier et. al., 1995, Pharmacol. Toxicol. 76, pp. 308-311)を使用してαアドレナリン活性に対して試験した。α2アドレナリン受容体の各々のみを発現する細胞を様々な化合物と共にインキュベートし、受容体介在性増殖応答を測定した。化合物の活性を、標準完全アゴニストと比較したその相対効力として表す(表3を参照されたい)。この発明の化合物はα2受容体を活性化する。
【表3】
NA=活性なし