特許第6052707号(P6052707)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052707
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】易開封性パウチ
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/00 20060101AFI20161219BHJP
   B31B 1/22 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   B65D33/00 C
   B31B1/22 321
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-180128(P2012-180128)
(22)【出願日】2012年8月15日
(65)【公開番号】特開2014-37247(P2014-37247A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2015年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(72)【発明者】
【氏名】三浦 崇
(72)【発明者】
【氏名】小沢 和美
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−322652(JP,A)
【文献】 特開2002−029548(JP,A)
【文献】 特開2008−074466(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0063324(US,A1)
【文献】 特開2000−128189(JP,A)
【文献】 特開2011−011778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/00
B31B 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パウチのシール部の外縁を切り込んで開封用のノッチを形成した易開封性パウチにおいて、前記シール部の外縁とノッチの切り込みが交わる部分が曲線状切り込み部から成り、一方の第1曲線状切り込み部に連続して水平方向の第1直線状切り込み部を形成し、他方の第2曲線状切り込み部の先端部を前記第1曲線状切り込み部に当接させ、且つ、前記第1曲線状切り込み部と第2曲線状切り込み部との接点から内方には、前記第1曲線状切り込み部と前記第1直線状切り込み部がさらに延長して形成されていることを特徴とする易開封性パウチ。
【請求項2】
前記第1及び第2曲線状切り込み部の接線同士のなす角度が90度、或いは略90度であることを特徴とする請求項1に記載の易開封性パウチ。
【請求項3】
前記第2曲線状切り込み部に、先端部に向かう第2直線状切り込み部を形成し、その先端部を前記第1曲線状切り込み部に当接したことを特徴とする請求項1に記載の易開封性パウチ。
【請求項4】
前記第1曲線状切り込み部の接線と第2直線状切り込み部の傾斜線との成す角度が90度、或いは略90度であることを特徴とする請求項3に記載の易開封性パウチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は易開封性パウチ、特に、開封時の視認性に優れ、手、指等の怪我が防止され、開封性に優れた易開封性パウチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パウチに収納した食品、洗剤、化粧品、或いはシャンプー、リンス等の内容物を取り出す際に、パウチのシール部を直線的に引き裂くノッチ(Iノッチ)、或いはパウチのシール部にVノッチを設け、内容物の取り出しを容易した易開封性パウチが提案されている(特許文献1、2参照)。 また、包装袋開封用のノッチを形成した包装袋で、熱接着部の外縁線とノッチの切り込み線の交わる部分が、直径Rが3mm〜16mmの円弧状とした合成樹脂製包装袋も提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−219944
【特許文献2】特開2001−233355
【特許文献3】特開平9−39986
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した特許文献1のパウチは、直線的な幅が狭いノッチのため、開封時のノッチの視認性に劣り、また、開封時にノッチによって分離されたシール部の鋭利な角部で手、指等の怪我を負う恐れがある。
【0005】
一方、特許文献2のパウチは、開封時のノッチの視認性は得られるものの、特許文献1と同様に、開封時にノッチによって分離されたシール部の鋭利な角部で手、指等の怪我を負う恐れがある。
【0006】
また、特許文献3のパウチは、手、指や包装袋同士の傷つきは防止されるものの、開封性において未だ改良すべき点が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、パウチのシール部の外縁を切り込んで開封用のノッチを形成した易開封性パウチにおいて、前記シール部の外縁とノッチの切り込みが交わる部分が曲線状切り込み部から成り、一方の第1曲線状切り込み部に連続して水平方向の第1直線状切り込み部を形成し、他方の第2曲線状切り込み部の先端部を前記第1曲線状切り込み部に当接させ、且つ、前記第1曲線状切り込み部と第2曲線状切り込み部との接点から内方には、前記第1曲線状切り込み部と前記第1直線状切り込み部がさらに延長して形成されていることを特徴とする易開封性パウチが提供される
【0008】
そして、本発明の易開封性パウチにおいては、1.前記第1及び第2曲線状切り込み部の接線同士のなす角度が90度、或いは略90度であること、2.前記第2曲線状切り込み部に、先端部に向かう第2直線状切り込み部を形成し、その先端部を前記第1曲線状切り込み部に当接すること、3.前記第1曲線状切り込み部の接線と第2直線状切り込み部の傾斜線との成す角度が90度、或いは略90度であること、が好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の易開封性パウチによれば、パウチの開封時のノッチの視認性に優れ、手、指等の怪我が防止されると共に、より一層、開封性が向上した易開封性パウチとすることができる
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の易開封性パウチを示す図である。
図2】本発明の易開封性パウチにおける易開封部A−Aの拡大図である。
図3】本発明の易開封性パウチにおける他の実施形態の易開封部A−Aの拡大図である。
図4】本発明の易開封性パウチの易開封部を加工する切断刃を示す図である。
図5】本発明の易開封性パウチの易開封部を加工する切断刃の他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明の易開封性パウチを示す図であって、1はパウチ、2はシール部、3はシール部の外縁、4はノッチ(切り込み)で、シール部2がパウチ1の外周部に形成されている。そして、パウチ1の形態としては三方シールタイプの平パウチ、スタンディングパウチ、角底袋、センターシール(背貼り)タイプのパウチ等のパウチが用いられ、図示しないが、パウチ1をスタンディングパウチとして外方に突出する注出部等を設け、この注出部を形成するシール部2の外縁を切り込んで開封用のノッチ4を形成しても良い。
【0012】
図2の拡大図に示すように、パウチ1の外周部のシール部2の外縁3を切り込んで形成されるノッチ4は、パウチ1のシール部2の外縁3から形成され、その形状は、シール部2の外縁3とノッチ4との切り込みが交わる部分は、第1及び第2曲線状切り込み部4a、4bである。そして、一方の第1曲線状切り込み部4aには連続して水平方向の第1直線状切り込み部4cが形成されており、他方の第2曲線状切り込み部4bの先端部を前記第1曲線状切り込み部4aに当接させている。また、前記第1曲線状切り込み部4aと第2曲線状切り込み部4bとの接点4dから内方には、前記第1曲線状切り込み部4aと前記第1直線状切り込み部4cがさらに延長して形成される。
【0013】
尚、前記ノッチ4の第1の曲線状切り込み部4aの接線αと、第2曲線状切り込み部4bの接線βとの接線同士の成す角度を90度、或いは略90度とすることにより、前述したノッチ4の視認性を、一層、向上させることができる。
【0014】
また、前述したノッチ4において、図3に示すように第2曲線状切り込み部4bに、先端部に向かう第2直線状切り込み部4eを形成し、この第2直線状切り込み部4eの先端部を第1曲線状切り込み部4aに当接させても良く、このようなノッチ4とすることより、より一層、パウチ1を開封する際のノッチ4の視認性が向上する。
【0015】
尚、前記ノッチ4の第1曲線状切り込み部4aの接線αと、第2曲線状切り込み部4bに形成した第2直線状切り込み部4eの傾斜線θとの成す角度を90度、或いは略90度とすることにより、前述したノッチ4の視認性を、より一層、向上させることができる。
【0016】
このように、図2図3に示すノッチ4を、パウチ1を開封するノッチとして形成することにより、パウチ1を開封する際のノッチ4の視認性に優れ、手、指等の怪我が防止されると共に、より一層、開封性が向上したパウチ1とすることができる。
【0017】
図4(a)は、本発明の易開封性パウチの易開封部を加工する切断刃を示す図であって、10は切断刃、11、12は切断刃の端部、13は切断刃10の一方の端部11に設けられる第1曲線状刃部、14は前記第1曲線状刃部13に連続して水平方向に設けられる第1直線状刃部、15は切断刃10の他方の端部12に設けられる第2曲線状刃部であり、切断刃10は図示しないが帯状部材から成り、特にトムソン刃が好ましい。
【0018】
そして、この切断刃10を用いて、パウチ1のシール部2に開封用のノッチ4を形成する際は、図4(b)に示すように、切断刃10の一方の端部11に設けた第1曲線状刃部13に、他方の端部12に設けた第2曲線状刃部15の先端部を当接させる。また、一方の第1曲線状刃部13と他方の第2曲線状刃部14との接点16から内方には、前記第1曲線状刃部13と第1直線状刃部14がさらに延長して水平方向に設けられ、この状態で切断刃10を動作し、パウチ1のシール部2の外縁3から切り込んで前述したノッチ4を形成する。
【0019】
尚、前記切断刃10の端部11の第1曲線状刃部13の接線αと、端部12の第2曲線状刃部15の接線βとの接線同士の成す角度を90度、或いは略90度とすることにより、前記切断刃10の端部11、12の先端部同士の当接状態が安定し、切断刃10の製作が容易となり、耐久性も、一層、向上させることができる。
【0020】
また、切断刃10は、図5(a)に示すように、切断刃10の他方の端部12の第2曲線状刃部15に、先端部に向かう第2直線状刃部17を設け、図5(b)に示すように、この第2直線状刃部17の先端部を第1曲線状刃部13に当接させ、この状態で切断刃10を動作して、パウチ1のシール部2の外縁3から切り込んで前記ノッチ4を形成する。そして、このような切断刃10を用いてノッチ4をパウチ1に形成することより、より一層、切断刃同士の先端部の離れが防止されると共に、その耐久性も向上させることができる。
【0021】
尚、前記切断刃10の一方の端部11の第1曲線状刃部13の接線αと、端部12の第2曲線状刃部15に設けた第2直線状刃部17の傾斜線θとの成す角度を90度、或いは略90度とすることにより、前記切断刃10の端部11、12の先端部同士の当接状態が安定し、切断刃10の製作が容易となり、耐久性も、より一層、向上させることができる。
【0022】
このように、図4図5に示す切断刃10を用いて、パウチ1のシール部2の外縁3からノッチ4を形成することにより、前記シール部2を切断してノッチ4を形成する際に、切断刃10の先端部を研削によって薄くして当接させることが不要となるため、前記切断刃10を効率良く製作でき、易開封性パウチを容易に製造することが可能になる。また、ノッチ4を形成する際の切断刃10の端部11、12同士の先端部の離れが防止され、その耐久性も向上させることができる。
【0023】
本発明の易開封性パウチに使用するフィルム素材としては、特に制限されるものではなく、前記フィルム素材に適した樹脂材料としては、例えば結晶性ポリプロピレン、結晶性プロピレンーエチレン共重合体、結晶性ポリブテンー1、結晶性ポリ4−メチルペンテン−1、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、あるいは高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)等のポリオレフィン類;ポリスチレン、スチレン−プタジエン共重合体等の芳香族ビニル共重合体;ポリ塩化ビニル、塩化ビリニデン樹脂等のハロゲン化ビニル重合体;アクリロニトリル−スチレン共重合体;アクリロニトル−スチレン−ブタジエン共重合体のようなニトリル重合体;ナイロン6、ナイロン66、パラまたはメタキシリレンアジパミドの如きポリアミド類;ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート等のポリエステル類;各種ポリカーボネート;ポリオキシメチレン等のポリアセタール類等の熱可塑性樹脂等を挙げることができる。これらの材料からなるフィルム状パウチ素材は、未延伸、一軸延伸、あるいは二軸延伸して用いられる。
【0024】
さらに、本発明の易開封性パウチ容器に使用するフィルム素材としては、これらのフィルム素材を単層、あるいは、二種類以上を積層して構成することができ、また、これらのフィルム状パウチ素材の一種、あるいは、二種以上を積層して構成することができ、また、これらのフィルム素材の一種、あるいは、二種以上と、アルミニウム等の金属箔、金属又は金属酸化物の蒸着フィルム、紙、セロファン等を張合わせて構成することもできる。好ましいフィルム素材としては、例えば、延伸ナイロンフィルムを外層とし、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィルムを内層とする二層構成、延伸ポリエステルフィルムを外層とし、ポリオレフィンフィルムを内層とする二層構成、及びこれらの内、外層フィルム間にアルミニウム等の金属箔、延伸ナイロンフィルム、
延伸ポリエステルフィルム等のバリア材を積層した三層乃至四層構成の積層フィルム等が挙げられ、これらの積層フィルムの製造に際しては、各層間に必要に応じて接着剤、アンカー剤を介在させることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
以上の説明から明らかな通り、本発明の易開封性パウチは、ノッチによる易開封性を付与した易開封性パウチに好適に利用できる。
【符号の説明】
【0026】
1 パウチ
2 シール部
3 シール部の外縁
4 ノッチ
4a 第1曲線状切り込み部
4b 第2曲線状切り込み部
4c 第1直線状切り込み部
4d 接点
10 切断刃
図1
図2
図3
図4
図5