(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明においては、燃料としての灯油を容器に供給する場合について説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る燃料供給装置の第1の実施形態を示し、この燃料供給装置1は、下部ケース3と、上部ケース4とで構成されるハウジング本体2を備える。
【0017】
下部ケース3には、
図1(b)に示すように、灯油を貯留する灯油タンク5と、灯油タンク5内に配置され、灯油の液面の下限を検知する下限センサ6と、灯油の液面の上限を検知する上限センサ7と、灯油を汲み上げるサブマージポンプ8と、サブマージポンプ8に接続される供給管9とが設けられる。
【0018】
灯油は、冬場等温度が低い場所では泡立ちが起こるため、灯油タンク5及び供給管9の近傍には、これらを温めるヒーター(不図示)が設けられ、灯油の泡立ちを防止する。
【0019】
下部ケース3の上端には、燃料容器20を載置するための載置板(載置部)10が設けられ、その下方には、載置板10に載置された燃料容器20の重量を測定して燃料容器20の載置を検知すると共に、燃料容器20内の油量を測定するロードセル19が設けられる。尚、燃料容器20は、本燃料供給装置1に専用のもので、従来よりも横長に形成され、容量は5L程度である。
【0020】
上部ケース4には、
図1(a)に示すように、表示器11と、スピーカー12と、識別コード(例えば、QRコード(登録商標)又はバーコード)を印字する識別コード印字部13と、識別コードを読み取る識別コード読取部14(入金検出手段)と、緊急停止スイッチ15と、タッチパネル21が設けられる。尚、これらの構成要素について、
図1(b)では図示を省略している。
【0021】
さらに、上部ケース4には、
図1(b)に示すように、供給管9に接続されるバルブ16及び給油口センサ17と、載置板10上に配置され、燃料容器20を三方向から囲繞して位置決めするストッパ18(18a〜18c)とが設けられる。
【0022】
給油口センサ17は、例えば、近接センサであって、載置板10上に載置された燃料容器20のキャップが外れているか否かを検知するために設けられる。
【0023】
次に、上記構成を有する燃料供給装置1の給油動作について
図1及び
図2を参照しながら説明する。尚、以下の説明においては、燃料供給装置1をコンビニエンスストアに付設した場合について説明する。
【0024】
まず、顧客は、燃料容器20を持参してコンビニエンスストアに向かい、同ストアで所望の量の灯油に見合う金銭を支払い、識別コードが印字されたレシートを得る。
【0025】
次に、ステップS1において、このレシートを識別コード読取部14にかざすと、表示器11に給油開始案内が表示される(ステップS2)。この案内は、例えば、「持参した燃料容器のキャップを外し、燃料容器を奥までセットして下さい」であり、顧客は、この案内に従って、燃料容器20のキャップを外し、燃料容器20を載置板10に載置し、燃料容器20の三面が各ストッパ18によって囲繞されるようにセットする。
【0026】
尚、コンビニエンスストア内には、本燃料供給装置1の使用状況を把握可能な表示器が配置され、顧客がステップS1へ進んだ時点で、この表示器には「使用中」と表示される。
【0027】
ステップS3において、ロードセル19は、燃料容器20が載置されているか否かを検知し、燃料容器20が載置板10上に載置されている場合には(ステップS3:Yes)、ステップS4において、燃料容器20内の灯油の残量を検知する。
【0028】
ステップS4において、残量がないと判断された場合には(ステップS4:Yes)、ステップS5において、給油口センサ17によって燃料容器20のキャップが外れているか否かを検知し、キャップが外れていると判断された場合には(ステップS5:Yes)、サブマージポンプ8を駆動すると共に、バルブ16を開いて給油を開始する(ステップS6)。
【0029】
一方、ステップS4において、燃料容器20内に残量があると判断された場合には(ステップS4:No)、残量分の金額を演算し(ステップS7)、識別コード印字部13を介して釣り伝票を印字する(ステップS8)。顧客は、この釣り伝票をコンビニエンスストアの店員に提示することにより、残量分の釣りを受け取ることができる。
【0030】
また、ステップS5において、キャップが外れていないと判断された場合には(ステップS5:No)、表示器11に「キャップを外して下さい」等のキャップ外し案内を表示する(ステップS9)。その後、キャップが外されると(ステップS5:Yes)、ステップS6へ進み、上述のように給油が行われる。
【0031】
そして、ステップS10において、ロードセル19により、燃料容器20への灯油の供給量が定量に達したと判断されると(ステップS10:Yes)、サブマージポンプ8を停止し、バルブ16を閉じると共に、表示器11に、「キャップを閉めて気をつけてお持ち帰り下さい」等の給油終了案内を表示して動作を終了する(ステップS11)。ここで、コンビニエンスストア内の表示器の表示が「使用可能」に戻る。
【0032】
以上のように、本実施の形態によれば、燃料容器20を載置板10に載置し、ストッパ18を介して位置決めするだけで簡単に灯油の供給を行うことができる。また、本燃料供給装置1に専用の燃料容器20を用いるため、給油前の燃料容器20の転倒を防止し、給油後の燃料容器20の持ち運びが容易になる。さらに、給油にあたり、顧客は、ノズル掛けから給油ノズルを外したり、給油ノズルを戻す必要がなく便利である。
【0033】
次に、上記構成を有する燃料供給装置1における発注動作について
図1及び
図3を参照しながら説明する。
【0034】
ステップS21において、灯油タンク5内の下限センサ6がオンとなったか否かを検知し、下限センサ6がオンになると(ステップS21:Yes)、灯油タンク5内の灯油が不足しているため、灯油の発注を自動出力する(ステップS22)。
【0035】
そして、別置きのタンクから自動的に又は作業者により灯油タンク5に灯油が補給され、ステップS23において、灯油タンク5内の上限センサがオンになると(ステップS23:Yes)、スピーカー12を介して灯油タンク5が満タンになったことを報知して動作を終了する(ステップS24)。
【0036】
以上のように、本実施の形態によれば、灯油の発注作業を自動化でき、人件費を削減することができる。
【0037】
上記実施の形態においては、灯油タンク5を内蔵した燃料供給装置について説明したが、灯油タンク5を別体にしてもよい。また、サブマージポンプ8を用いたが、これに代えて吸引ポンプを用いることができ、供給管9の途中に流量計を設けることもできる。
【0038】
次に、本発明に係る燃料供給装置の第2の実施形態について
図4〜
図8を参照しながら説明する。尚、この燃料供給装置において、上記第1の実施の形態における燃料供給装置1と同一の構成要素については、同一の参照番号を付す。
【0039】
図4は、燃料供給装置が設置された給油所の一例を示し、この給油所31は、自動車等の車両にガソリン等の燃料油を供給する給油装置32、33と、燃料供給装置34と、給油装置32、33及び燃料供給装置34に接続された給油所用販売装置(以下「POS」という。)35と、POS35と、給油装置32、33又は燃料供給装置34との間に給油作業の安全を確認して給油許可を出力するセルフサービスコンソール(以下「SSC」という。)36とを備える。
【0040】
燃料供給装置34は、
図5に示すように、下部ケース3と、上部ケース4とで構成されるハウジング本体2を備える。本実施の形態においては、灯油が地下タンク(不図示)に貯留されている。
【0041】
下部ケース3には、
図5(b)に示すように、地下タンクに接続される供給管41と、地下タンクから灯油を吸い上げる吸引ポンプ42と、吸引ポンプ42を駆動するモータ43と、吸い上げた灯油の流量を計測する流量計44とが設けられる。灯油の泡立ちを防止するため、地下タンク及び供給管41の近傍にこれらを温めるヒーター(不図示)を設けることができる。
【0042】
下部ケース3の上端には、燃料容器60を載置するための載置板(載置部)45が設けられる。載置板45には、
図5(c)に示すように、載置板45上にこぼれた灯油が通過する貫通孔45aが穿設され、その下方には、ロードセル19を挟んで油受部46(
図5(b)参照)が設けられ、貫通孔45aから落下した灯油を受ける。尚、燃料容器60の構成については後述する。
【0043】
載置板45の直下には、載置板45に載置された燃料容器60の重量を測定して燃料容器60の載置を検知すると共に、燃料容器60内の油量を測定するロードセル19が設けられる。
【0044】
上部ケース4には、
図5(a)に示すように、表示器11と、スピーカー12と、識別コード(例えば、QRコード又はバーコード)を印字する識別コード印字部13と、識別コードを読み取る識別コード読取部14(入金検出手段)と、緊急停止スイッチ15と、タッチパネル21が設けられる。尚、これらの構成要素について、
図5(b)では図示を省略している。
【0045】
さらに、上部ケース4は、
図5(b)に示すように、供給管41に接続されるバルブ16と、載置板45上に上面視略々L字状(
図5(c)参照)に配置され、そのコーナー部に燃料容器60を位置決めする2枚のストッパ47(47a、47b)と、
図5(a)に示すように、ストッパ47の上方に、燃料容器60の形状に合わせて成形され、燃料容器60の挿入を案内するガイドプレート48と、燃料容器60を載置する開口部に配置される扉49と、扉49が閉じている時にオン信号を出力し、扉49が開くとオフ信号を出力するドア閉スイッチ(不図示)とが設けられる。ガイドプレート48の中央部は突出部48aとして下方に突出する。
【0046】
燃料容器60は、本燃料供給装置34に専用のもので、従来よりも横長に形成され、容量は4L程度であって、重量は約300gである。この燃料容器60は、
図6に示すように、注油口60aと、注油口60aを閉めるためのキャップ60bと、把持部60cとを備え、注油口60a及び把持部60cの周りが凹んでおり(凹部60d、60e)、2つの角部60f、60gが突出している。
【0047】
次に、燃料容器60を燃料供給装置34の載置板45上へ位置決めする動作について
図5〜
図7を参照しながら説明する。
【0048】
顧客は、燃料容器60のキャップ60bを外した後、把持部60cを掴み、注油口60aが奥側に位置する状態で載置板45上に載置して奥へ挿入する。尚、キャップ60bを外していないとキャップ60bがガイドプレート48の突出部48aに衝突してしまうため、燃料容器60を奥まで挿入することができない。
【0049】
また、注油口60aを燃料容器60の左側又は右側に位置する状態で載置板45上に載置して奥へ挿入しようとしても、燃料容器60の角部(60f又は60g)がガイドプレート48の突出部48aに衝突するため、燃料容器60の不正な挿入を防止することができる。
【0050】
一方、上部ケース4には、
図7及び
図5(c)に示すように、取付部材50に回転可能に配置される軸51と、軸51に固定される第1フラッパ52と、第1フラッパ52とのなす角が90°となるように軸51に固定された第2フラッパ53とが設けられる。尚、
図5(a)、(b)では取付部材50、軸51、第1フラッパ52及び第2フラッパ53の図示を省略している。
【0051】
この第1フラッパ52及び第2フラッパ53は、燃料容器60が挿入される前には、
図7(a)に示す位置で自重で静止している。上述のように、燃料容器60を注油口60aが奥側に位置する状態で挿入すると、燃料容器60の注油口60aがまず第1フラッパ52に当接して第1フラッパ52を押し上げ、これに伴い第2フラッパ53が下がる。その後、さらに燃料容器60を挿入すると、把持部60cが第2フラッパ53を奥へ押し込み、注油口60aと第1フラッパ52が離間して
図7(b)に示す状態となり、ストッパ47a、47bに囲繞された状態で燃料容器60の位置決めが完了する。
【0052】
一方、
図7(c)に示すように、燃料容器60を注油口60aが手前側に位置する状態で挿入した場合には、把持部60cが第1フラッパ52に当接した後、第1フラッパ52を押し上げようとしても、第2フラッパ53が把持部60cに引っかかってしまい、それ以上挿入することができなくなる。これにより、燃料容器60を誤った方向に挿入することを防止することができる。
【0053】
次に、上記構成を有する燃料供給装置34の給油動作について、
図5、
図6及び
図8を参照しながら説明する。
【0054】
まず、顧客は、燃料容器60を給油所31に持参し、給油所31で所望の量の灯油に見合う金銭を支払う。これにより、POS35において、購入動作がなされたと判断され(ステップS31:Yes)、識別コードが印字されたレシートを顧客に対して発行する(ステップS32)。
【0055】
次に、燃料供給装置34において、このレシートを顧客が識別コード読取部14にかざすと(ステップS41:Yes)、表示器11に給油開始案内が表示される(ステップS42)。この案内は、例えば、「持参した燃料容器のキャップを外し、燃料容器を奥までセットして下さい」であり、顧客は、この案内に従って、燃料容器60のキャップ60bを外し、上述のように、燃料容器60を載置板45に載置してセット(挿入)する。
【0056】
ステップS43〜ステップS45において、ロードセル19は、燃料容器60が載置されているか否かと、灯油の残量の有無を検知する。
【0057】
ロードセル19が、300g〜600gの重量を検知した場合には、燃料容器60が載置されており、かつ残量がないと判断し(ステップS43:Yes)、そのままステップS49へ進む。
【0058】
一方、ロードセル19が、600g以上の重量を検知した場合には、燃料容器60が載置されており、かつ残量があると判断し(ステップS43:No、ステップS44:Yes)、残量分の金額を演算し(ステップS46)、識別コード印字部13によって釣り伝票を印字した後(ステップS47)、ステップS49へ進む。顧客は、この釣り伝票を給油所31の係員に提示することにより、残量分の釣りを受け取ることができる。
【0059】
ステップS42における給油開始案内から例えば20秒が経過しても、ロードセル19が300g未満の重量しか検知できない、すなわち燃料容器60が載置されていない場合には(ステップS43:No、ステップS44:No、ステップS45:Yes)、表示器11に燃料容器60が載置されていないことを表示した後(ステップS48)、ステップS43に戻る。
【0060】
ステップS49において、ドア閉スイッチがオンであるか否かを判断し、ドア閉スイッチがオンであると判断されると(ステップS49:Yes)、SSC36に対して給油準備終了を出力する(ステップS50)。
【0061】
一方、ステップS49において、ドア閉スイッチがオフであると判断されると(ステップS49:No)、ドア閉スイッチのオフを検知してから現在までの時間Tが所定時間t1(例えば20秒)に達するまで、ステップS49にてドア閉スイッチの状態を監視し(ステップS51:No)、所定時間t1が経過してもドア閉スイッチがオンとならない場合には(ステップS51:Yes)、燃料容器60の挿入誤りを報知した後(ステップS52)、ステップS49に戻る。
【0062】
SSC36において、給油準備終了が入力されたか否かを判断する(ステップS71)。ステップS71において、給油準備終了が入力されたと判断された場合には(ステップS71:Yes)、燃料供給装置34に対して給油許可を出力する(ステップS72)。ステップS71において、給油準備終了が入力されていない場合には(ステップS71:No)、入力されるまで待機する。
【0063】
燃料供給装置34に戻り、ステップS53において、給油許可が入力されたか否かを判断する。給油許可が入力されたと判断された場合には(ステップS53:Yes)、吸引ポンプ42の運転を開始し(ステップS54)。その後、タッチパネル21の給油スタートボタンが押下されると(ステップS55:Yes)、バルブ16を開いて給油を行う(ステップS56)。
【0064】
そして、ステップS57において、ロードセル19により、燃料容器60への灯油の供給量が定量に達したと判断されると(ステップS57:Yes)、吸引ポンプ42を停止し、バルブ16を閉じると共に、表示器11に、「キャップを閉めて気をつけてお持ち帰り下さい」等の給油終了案内を表示する(ステップS58)。
【0065】
一方、ステップS57にて燃料容器60への灯油の供給量が定量に達するまでの間(ステップS57:No)、ステップS59において、流量計44の計測値の変化と、ロードセル19の計測値の変化を監視し、流量計44の計測値が増加しても、ロードセル19の計測値が変化しない状態を検知すると(ステップS59:Yes)、流量計44又は/及びロードセル19に異常が生じたと判断し、吸引ポンプ42を停止し、バルブ16を閉じると共に、表示器11に、「灯油が溢れています。係員を呼んで下さい。」等の溢れ報知を表示する(ステップS60)。
【0066】
ステップS58又はステップS60にて給油が終了すると、燃料供給装置34は、POS35に対して給油終了を出力して動作を終了する(ステップS61)。
【0067】
次に、POS35において、給油終了が入力されたか否かを判断する(ステップ33)。ステップS33において、給油終了が入力されたと判断された場合には(ステップS33:Yes)、ステップS32において発行したレシートの識別コードを使用不可として動作を終了する(ステップS34)。ステップS33において、給油終了が入力されていない場合には(ステップS33:No)、入力されるまで待機する。
【0068】
以上のように、本実施の形態によっても、燃料容器60を載置板45に載置した後挿入するだけで、ストッパ47、ガイドプレート48、第1フラッパ52及び第2フラッパ53によって位置決めが行われるため、簡単に灯油の供給を行うことができる。また、本燃料供給装置34に専用の燃料容器60を用いるため、給油前の燃料容器60の転倒を防止し、給油後の燃料容器60の持ち運びが容易になる。さらに、給油にあたり、顧客は、ノズル掛けから給油ノズルを外したり、給油ノズルを戻す必要がなく便利である。
【0069】
尚、上記第2の実施形態においては、地下タンクから灯油を汲み上げるために吸引ポンプ42を用いる場合について説明したが、これに代えてサブマージポンプを用いてもよい。また、本実施の形態においては、給油所にて灯油の管理を行うため、上記第1の実施形態に記載したような発注手段を設けなくてもよい。
【0070】
また、上記第1及び第2の実施形態においては、QRコード等を用いたが、その他のコードを用いてもよく、タッチパネル21を介してパスワードを入力するようにしてもよい。また、燃料供給装置1に精算装置を設けることもでき、支払い方式も、現金、プリペイドカード、クレジットカード、非接触ICカード、専用硬貨等による支払いとすることもできる。