(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052741
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】設備機器の免震構造および免震施工法
(51)【国際特許分類】
F16F 15/04 20060101AFI20161219BHJP
F16M 7/00 20060101ALI20161219BHJP
F16M 5/00 20060101ALI20161219BHJP
F16F 1/36 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
F16F15/04 E
F16F15/04 D
F16M7/00 Q
F16M5/00 D
F16F1/36 C
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-500596(P2014-500596)
(86)(22)【出願日】2013年2月21日
(86)【国際出願番号】JP2013000999
(87)【国際公開番号】WO2013125234
(87)【国際公開日】20130829
【審査請求日】2016年2月8日
(31)【優先権主張番号】特願2012-36035(P2012-36035)
(32)【優先日】2012年2月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】506190005
【氏名又は名称】株式会社安震
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 祐啓
(72)【発明者】
【氏名】杉田 規久男
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 真司
【審査官】
鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】
特表平10−512201(JP,A)
【文献】
特開2007−120525(JP,A)
【文献】
特開2007−012228(JP,A)
【文献】
特開2000−055124(JP,A)
【文献】
特開平09−181459(JP,A)
【文献】
特開2010−283081(JP,A)
【文献】
特開平04−307234(JP,A)
【文献】
米国特許第4576357(US,A)
【文献】
米国特許第3477674(US,A)
【文献】
米国特許第2936139(US,A)
【文献】
西独国特許出願公開第2354856(DE,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 1/00− 3/12
F16F 15/00−15/08
F16M 5/00
F16M 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル状弾性体に塑性変形可能な支持体が埋設された制振パッドと、設備機器の荷重を受けて制振パッドを加圧する加圧プレートとを備え、加圧プレートが制振パッドよりも大きな平面積で形成され、床面上に制振パッドが設置され、制振パッド上に加圧プレートが接合され、設備機器の荷重により加圧プレートを介して制振パッドが加圧された状態で、制振パッドの周囲において加圧プレートと床面との隙間にコーキング材が充填されていることを特徴とする免震構造。
【請求項2】
前記制振パッドとコーキング材との間に、前記ゲル状弾性体の変形を許容するための空隙が形成されている請求項1記載の免震構造。
【請求項3】
前記空隙にコーキング材が侵入しないように、前記加圧プレートの下側にコーキング材をせき止めるための規制壁が設けられている請求項2記載の免震構造。
【請求項4】
前記規制壁が加圧後の制振パッドの厚さよりも小さい高さとなるように形成されている請求項3記載の免震構造。
【請求項5】
前記加圧プレートの下面に補強プレートが固着され、補強プレートの周縁に前記規制壁が形成されている請求項4記載の免震構造。
【請求項6】
前記規制壁が、制振パッドを取り囲むリング状に形成され、加圧プレートの下面に保持されている請求項4記載の免震構造。
【請求項7】
前記制振パッドとコーキング材との間の空隙に、多孔性材料からなる柔軟部材が装着されている請求項2記載の免震構造。
【請求項8】
前記ゲル状弾性体の表裏両面に粘着層が設けられ、裏面粘着層により制振パッドが床面に接着され、表面粘着層により加圧プレートが制振パッドに保持されている請求項1記載の免震構造。
【請求項9】
ゲル状弾性体に塑性変形可能な支持体を埋設した制振パッドを用意する手順と、制振パッドよりも大きな平面積の加圧プレートを用意する手順と、制振パッドを床面上に設置する手順と、加圧プレートを制振パッドの表面に接合する手順と、設備機器の脚部を加圧プレートの上に載せる手順と、設備機器の荷重により加圧プレートを介して制振パッドを加圧した状態で、制振パッドの周囲において加圧プレートと床面との隙間にコーキング材を充填する手順とを備えたことを特徴とする免震施工法。
【請求項10】
前記コーキング材を充填する前に、加圧プレートの下側にコーキング材をせき止めるための規制壁を設ける手順を備えた請求項9記載の免震施工法。
【請求項11】
前記コーキング材を充填した後に、規制壁によって制振パッドとコーキング材との間にゲル状弾性体の変形を許容するための空隙が形成される請求項10記載の免震施工法。
【請求項12】
前記規制壁が加圧後の制振パッドの厚さよりも小さい高さとなるように形成されている請求項11記載の免震施工法。
【請求項13】
前記規制壁が補強プレートの周縁に形成され、補強プレートが加圧プレートの下面に固着され、加圧プレートを接合する手順において、規制壁が制振パッドの周囲に配置される請求項11記載の免震施工法。
【請求項14】
前記規制壁が加圧プレートから分離したリング状に形成され、規制壁を設置する手順において、規制壁が制振パッドの周囲において加圧プレートの下面に保持される請求項11記載の免震施工法。
【請求項15】
前記制振パッドを設置する手順において、前記ゲル状弾性体の裏面粘着層が床面に接着され、前記加圧プレートを接合する手順において、ゲル状弾性体の表面粘着層に加圧プレートが接着される請求項9記載の免震施工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面上に設置される機械、タンク、ショーケース等の各種設備機器の振動、騒音、地震による転倒を防止するための免震構造および免震施工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場等に設備された機器類は、通常、アンカーボルトを用いて床面に固定されている。例えば、
図13に示す設備機器51は、脚部52を貫通するアンカーボルト53によりナット54を介してコンクリート製の床面Fに据え付けられている。しかし、転倒防止対策としてアンカーボルト53を使用できない設備機器もある。例えば、飲料水や食品の製造ラインまたは厨房設備等に設置された機器類は、衛生管理要件を満たし、かつ可搬性を担保するために、アンカーボルトを使用しないで、脚部を防水性の床面Fに載置している。
【0003】
また、簡易に施工できる点で、従来、設備機器と床面との間に防振ゴムを介在させる免震構造が広く採用されている。なお、特許文献1には、墓石の転倒を防止するために、弾性体シート中に球状体を埋設し、弾性体シートを中台と竿石との間に介在させ、球状体の塑性変形によって地震に伴う震動を効率よく吸収する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4238277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、アンカーボルトを用いた従来の免震構造は、防水性の床面や可搬性の設備機器に適用できないばかりでなく、既設機器の耐震工事が大掛かりになるという問題点があった。また、防振ゴムを用いた従来の免震構造によると、地震発生時の横揺れで脚部が横滑りしやすいうえ、防振ゴムの周囲にゴミや不純物が滞りやすく、耐震工事によって設備機器の設置環境が不衛生になってしまうという不都合もあった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、各種の床面や設備機器に汎用できるとともに、簡単かつ衛生的な施工によって既設機器類の防振、防音または耐震性能を高めることができる免震構造および免震施工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は次のような免震構造および施工方法を提供する。
(1)ゲル状弾性体に塑性変形可能な支持体を埋設した制振パッドと、設備機器の荷重を受けて制振パッドを加圧する加圧プレートとを備え、加圧プレートを制振パッドよりも大きな平面積で形成し、床面上に制振パッドを設置し、制振パッド上に加圧プレートを接合し、制振パッドの周囲において加圧プレートと床面との隙間にコーキング材を充填したことを特徴とする免震構造。
【0008】
(2)制振パッドとコーキング材との間に、ゲル状弾性体の変形を許容するための空隙を形成したことを特徴とする免震構造。
【0009】
(3)空隙にコーキング材が侵入しないように、加圧プレートの下側にコーキング材をせき止めるための規制壁を設けたことを特徴とする免震構造。
【0010】
(4)規制壁が加圧後の制振パッドの厚さよりも小さい高さとなるように形成されていることを特徴とする免震構造。
【0011】
(5)加圧プレートの下面に補強プレートを固着し、補強プレートの周縁に規制壁を形成したことを特徴とする免震構造。
【0012】
(6)規制壁が制振パッドを取り囲むリング状に形成され、加圧プレート下面に保持されていることを特徴とする免震構造。
【0013】
(7)制振パッドとコーキング材との間の空隙に多孔性材料を装着し、多孔性材料がゲル状弾性体の変形を許容するに充分な柔軟性を備えていることを特徴とする免震構造。
【0014】
(8)ゲル状弾性体の表裏両面に粘着層を設け、裏面粘着層により制振パッドを床面に接着し、表面粘着層により加圧プレートを制振パッド上に保持したことを特徴とする免震構造。
【0015】
(9)ゲル状弾性体に塑性変形可能な支持体を埋設した制振パッドを用意する手順と、制振パッドよりも大きな平面積の加圧プレートを用意する手順と、制振パッドを床面上に設置する手順と、加圧プレートを制振パッドの表面に接合する手順と、設備機器の脚部を加圧プレートの上に載せる手順と、制振パッドを設備機器の荷重で加圧した状態で、制振パッドの周囲において加圧プレートと床面との隙間にコーキング材を充填する手順とを備えたことを特徴とする免震施工法。
【0016】
(10)コーキング材を充填する前に、加圧プレートの下側にコーキング材をせき止めるための規制壁を設ける手順を備えたことを特徴とする免震施工法。
【0017】
(11)コーキング材を充填した後に、規制壁によって制振パッドとコーキング材との間にゲル状弾性体の変形を許容するための空隙が形成されることを特徴とする免震施工法。
【0018】
(12)規制壁が加圧後の制振パッドの厚さよりも小さい高さとなるように形成されていることを特徴とする免震施工法。
【0019】
(13)規制壁が補強プレートの周縁に形成され、補強プレートが加圧プレートの下面に固着され、加圧プレートを接合する手順において、規制壁が制振パッドの周囲に配置されることを特徴とする免震施工法。
【0020】
(14)規制壁が加圧プレートから分離したリング状に形成され、規制壁を設置する手順において、規制壁が制振パッドの周囲において加圧プレートの下面に保持されることを特徴とする免震施工法。
【0021】
(15)制振パッドを設置する手順において、ゲル状弾性体の裏面粘着層が床面に接着され、加圧プレートを接合する手順において、ゲル状弾性体の表面粘着層に加圧プレートが接着されることを特徴とする免震施工法。
【発明の効果】
【0022】
本発明の免震構造および免震施工法によれば、制振パッドがゲル状弾性体と塑性変形可能な支持体との組み合わせによって設備機器の震動を効率よく吸収する。このため、アンカーボルトを使用する必要がなくなり、免震構造を各種の床面や設備機器に汎用できるとともに、簡単な施工法によって既設機器類の防振、防音および耐震性能を高めることもできる。また、制振パッドの周囲において、コーキング材が加圧プレートと床面との隙間を密閉するので、ゴミや不純物の付着、侵入を防止し、衛生的な免震構造を提供できるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施例1を示す免震構造の斜視図である。
【
図2】
図1の免震構造を分解して示す斜視図である。
【
図3】
図1の免震構造の施工手順を示す断面図である。
【
図4】コーキング材の施工形態を示す免震構造の要部破断平面図である。
【
図5】
図2と異なる制振パッドを示す斜視図、および該パッドを用いた免震構造を示す断面図である。
【
図6】本発明の実施例2を示す免震構造の分解斜視図である。
【
図7】
図6の免震構造を設備機器の脚部に装備した状態を示す断面図である。
【
図8】本発明の実施例3を示す免震構造の分解斜視図である。
【
図9】
図8の免震構造の施工形態を示す断面図である。
【
図10】本発明の実施例4を示す免震構造の断面図である。
【
図11】実施例1の変更例を示す免震構造の斜視図および部分断面図である。
【
図12】実施例2の変更例を示す免震構造の斜視図である。
【
図13】アンカーボルトを使用した従来技術を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜
図5は実施例1の免震構造11を示し、
図6、
図7は実施例2の免震構造211を示し、
図8、
図9は実施例3の免震構造311を示し、
図10は実施例4の免震構造411を示す。各図において、同一の符号は同一または類似する構成要素を示す。
【実施例1】
【0025】
図1、
図2に示すように、実施例1の免震構造11は、重量物である設備機器1と防水処理された床面Fとの間に施工されている。設備機器1は複数の脚部2を備え、免震構造11が床面Fに対する脚部2の高さを調節する機能を備えている。免震構造11は、床面Fに設置される制振パッド12(
図2参照)と、制振パッド12を加圧する加圧プレート13とを装備し、加圧プレート13上に設備機器1の脚部2を拘束するホルダ14が設けられている。
【0026】
図2、
図3に示すように、制振パッド12は、弾粘性を保有するゲル状弾性体15と塑性変形可能な支持体16とで構成されている。ゲル状弾性体15は、透明または半透明な高分子材料で円形に成形されている。ゲル状弾性体15の表裏両面には粘着層15a,15b(
図3参照)が設けられ、裏面粘着層15bにより制振パッド12が床面Fに接着され、表面粘着層15aにより加圧プレート13が制振パッド12に保持される。
【0027】
支持体16は、軟質金属材料でゲル状弾性体15の厚みよりも僅かに大きい直径の球形に形成され、例えば3個がゲル状弾性体15の等角度位置に埋設されている。そして、制振パッド12の自然状態では(
図3a参照)、支持体16の頂部がゲル状弾性体15の表面粘着層15aより露出し、制振パッド12の加圧状態(
図3b参照)で、支持体16がゲル状弾性体15の厚さと同じ高さまで圧縮される。
【0028】
加圧プレート13は、ステンレス鋼により制振パッド12よりも大きな平面積の円形に形成され、設備機器1の荷重を受けて制振パッド12の全体を均一な力で圧縮できるようになっている。加圧プレート13の裏面には、同じくステンレス鋼製の補強プレート17が溶接されている。補強プレート17は、制振パッド12よりも大径で加圧プレート13よりも小径の円形に形成され、補強プレート17の周縁に規制壁18が下向きに突設されている。
【0029】
図3、
図4(a)に示すように、規制壁18は、制振パッド12の圧縮時でも、下端が床面Fに当接しない高さに形成されている。規制壁18の内側には、ゲル状弾性体15の半径方向への変形を許容する空隙19が形成されている。規制壁18の外側には、加圧プレート13の外周と床面Fとの隙間を密閉するためのコーキング材20が充填されている。コーキング材20は、制振パッド12の変形を阻害しないように、規制壁18により空隙19側への進入が規制されている。なお、
図4(b)に示す、免震構造11では、制振パッド12とコーキング材20との間の空隙に、発泡ウレタン等の多孔性材料からなる柔軟部材25が装着されている。
【0030】
ホルダ14は、ベース21とボルト22と調節ナット23とロックナット24とで構成されている。ベース21は加圧プレート13上に溶接により固定され、ボルト22がベース21の中央部に立設されている。ボルト22の上端部は脚部2の通孔3(
図2参照)を貫通し、加圧プレート13上に脚部2を横移動不能に拘束する。調節ナット23およびロックナット24は脚部2の下と上においてボルト22に螺合し、脚部2の高さを調節可能となっている。
【0031】
免震構造11の施工にあたっては、まず、
図3(a)に示すように、制振パッド12の裏面粘着層15bを床面Fに接着し、制振パッド12の表面粘着層15aに加圧プレート13を接着する。次に、
図3(b)に示すように、ナット23,24で高さ調節をしたのち、ホルダ14で脚部2を拘束する。その後、制振パッド12の周囲において加圧プレート13と床面Fとの隙間にコーキング材20を充填する。こうすれば、アンカーボルトを使用することなく、ごく簡単な施工により既設設備機器1の防振、防音、耐震性能を高めることができる。また、制振パッド12が設備機器の振動を吸収するため、ネジの緩み、衝撃による摩耗、損傷も効果的に抑制できる。特に、制振パッド12の周囲をコーキング材20で密閉し、ゴミや不純物の侵入を防ぎ、脚部2の周辺環境を衛生的に保つことができる。
【0032】
図5に示す免震構造11では、制振パッド12のゲル状弾性体15中に金属または樹脂材料からなる円形のリング26が埋設され、リング26の内側に支持体16が配置されている。この構成によれば、リング26によって支持体16をゲル状弾性体15の等角度位置に強固に保持し、制振パッド12の吸震性能を長期間安定させることができる。
【実施例2】
【0033】
図6、
図7に示す実施例2の免震構造211では、ホルダ14のベース21と加圧プレート13の間に防振ゴム29が介装された状態で、4つのアーチ形部材28によってベース21が加圧プレート13に締め付けられている。アーチ形部材28は縦横に組み合わされ、ナット30で加圧プレート13上のボルト31に取り付けられている。ベース21の下面には中間プレート32が固着され、その周縁にコーキング材33をせき止める規制壁34が設けられている。そして、規制壁34の内側に空隙35を介して防振ゴム29が配置され、防振ゴム29と制振パッド12を含む上下2段の弾性部材によって高度の吸震作用を発揮できるとともに、上下2段のコーキング材20,33によって機器設置環境の衛生を担保できるように構成されている。
【実施例3】
【0034】
図8、
図9に示す実施例3の免震構造311では、ホルダ14が設備機器5(一部のみ図示)の脚部6を取り囲む筒形部材36を備え、筒形部材36によって脚部6を加圧プレート13上に横移動不能に拘束している。脚部6は、ネジ7で設備機器5に高さ調整可能に取り付けられ、筒形部材36の内側に取り出し可能に挿入されている。制振パッド12の周囲には、実施例1と同様に、空隙19および規制壁18を介してコーキング材20が設けられている。したがって、実施例3の免震構造311は、例えば厨房機器やショーケース等の比較的軽量で可搬性が求められ、かつ衛生管理が容易な機器類に好ましく適用できる。なお、図示例の制振パッド12には、ゲル状弾性体15の中心部にそれぞれ一つの支持体16とリング26が埋設されている。
【実施例4】
【0035】
図10に示す実施例4の免震構造411では、ホルダ14が脚部6の車輪8を取り囲む筒形部材37を備え、筒形部材37によって車輪8が加圧プレート13上に横方向へ転動不能に拘束されている。したがって、実施例4の免震構造411によれば、特に、車輪8を装備した可搬性設備機器の地震に伴う暴走を未然に防止することができる。
【0036】
本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、以下に例示するように、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各部の形状や構成を任意に変更して実施することも可能である。
(1)実施例1の免震構造11において、補強プレート13(
図3参照)を省き、
図11に示すように、規制壁18を加圧プレート13から分離したリング状に形成すること。施工に際しては、制振パッド12を床面Fに接着し、制振パッド12を外側から取り囲むように規制壁18を両面接着テープ27で加圧プレート13の下面に保持し、加圧プレート13を制振パッド12に接着し、加圧プレート13と床面Fとの隙間にコーキング材20を充填し、これを規制壁18でせき止める。こうすれば、より簡単で安価な構成により実施例1と同等の作用効果が得られる。
【0037】
(2)実施例2の免震構造211において、補強プレート13と中間プレート32(
図7参照)を共に省略し、
図12に示すように、2つの規制壁18,34を共にリング状に形成し、加圧プレート13およびホルダ14から分離し、規制壁18,34によってコーキング材20,33(
図7参照)をせき止めること。この構成によっても、より安価な構成で実施例2と同等の作用効果が得られる。
【0038】
(3)実施例3の免震構造311(
図9参照)および実施例4の免震構造411(
図10参照)において、上記(1)と同様に、補強プレート17を省略し、規制壁18をリング状に形成すること。
(4)その他、免震構造の用途に合せて各部の形状や構成を適宜に変更すること。
【符号の説明】
【0039】
1 設備機器
2 脚部
11 免震構造
12 制振パッド
13 加圧プレート
15 ゲル状弾性体
16 支持体
17 補強プレート
18 規制壁
19 空隙
20 コーキング材
25 柔軟部材
F 床面