特許第6052804号(P6052804)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6052804携帯端末、通報制御方法、及び、通報システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052804
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】携帯端末、通報制御方法、及び、通報システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/10 20060101AFI20161219BHJP
   G08B 25/08 20060101ALI20161219BHJP
   B60R 21/00 20060101ALI20161219BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20161219BHJP
   H02J 50/00 20160101ALI20161219BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   G08B25/10 D
   G08B25/08 A
   B60R21/00 630F
   H04M1/00 U
   H02J50/00
   H02J7/00 U
   H02J7/00 301D
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-175139(P2013-175139)
(22)【出願日】2013年8月27日
(65)【公開番号】特開2015-45898(P2015-45898A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2015年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】510123839
【氏名又は名称】オムロンオートモーティブエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(72)【発明者】
【氏名】富田 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】滝沢 光司
【審査官】 石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−171798(JP,A)
【文献】 特開2007−329789(JP,A)
【文献】 特開2013−110823(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/085380(WO,A1)
【文献】 特開2006−049942(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0117877(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/00−17/02
21/00−21/13
21/34−21/38
G08B 19/00−31/00
H02J 7/00−7/12
7/34−7/36
50/00
H04M 1/00
1/24−1/82
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内に設けられた充電装置により充電可能な携帯端末において、
前記充電装置への設置の有無を検出する設置検出部と、
前記携帯端末に対する衝撃の検出を行う衝撃検出部と、
前記設置検出部が前記充電装置への設置有りを検出してから、前記設置検出部が前記充電装置への設置無しを検出した後、所定の時間経過するまでの間に、前記衝撃検出部が衝撃を検出した場合、通報する通報部と
を備える携帯端末。
【請求項2】
前記設置検出部が前記充電装置への設置有りを検出したとき、自動通報の機能を有効にし、前記設置検出部が前記充電装置への設置無しを検出してから所定の時間が経過した後、前記自動通報の機能を無効にする設定部を
さらに備え、
前記通報部は、前記自動通報の機能が有効な場合に、前記衝撃検出部が衝撃を検出したとき、通報する
請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記充電装置と近距離無線通信を行う通信部を
さらに備え、
前記充電装置は、前記携帯端末の非接触充電を行い、
前記設置検出部は、前記通信部と前記充電装置との間の近距離無線通信の状態に基づいて、前記充電装置への設置の有無を検出する
請求項1又は2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記通報部は、通報を行うアプリケーションプログラムが起動している状態で通報を行う
請求項1乃至3のいずれかに記載の携帯端末。
【請求項5】
前記通報部は、移動体通信網を介して予め定めた通報先に前記通報を行う
請求項1乃至のいずれかに記載の携帯端末。
【請求項6】
車両内に設けられた充電装置により充電可能な携帯端末による通報制御方法において、
前記携帯端末の前記充電装置への設置の有無を検出する設置検出ステップと、
前記携帯端末に対する衝撃の検出を行う衝撃検出ステップと、
前記携帯端末の前記充電装置への設置有りが検出されてから、前記携帯端末の前記充電装置への設置無しが検出された後、所定の時間経過するまでの間に、前記携帯端末に対する衝撃が検出された場合、通報する通報ステップと
を含む通報制御方法。
【請求項7】
車両内に設けられた充電装置により充電可能であり、衝撃の検出が可能な携帯端末により実行されるプログラムであって、
前記携帯端末の前記充電装置への設置の有無を検出する設置検出ステップと、
前記携帯端末の前記充電装置への設置有りが検出されてから、前記携帯端末の前記充電装置への設置無しが検出された後、所定の時間経過するまでの間に、前記携帯端末に対する衝撃が検出された場合、通報する通報ステップと
を含む処理を前記携帯端末に実行させるためのプログラム。
【請求項8】
携帯端末、及び、前記携帯端末を充電可能で、車両内に設けられている充電装置を備える通報システムにおいて、
前記携帯端末は、
前記充電装置への設置の有無を検出する設置検出部と、
前記携帯端末に対する衝撃の検出を行う衝撃検出部と、
前記設置検出部が前記充電装置への設置有りを検出してから、前記設置検出部が前記充電装置への設置無しを検出した後、所定の時間経過するまでの間に、前記衝撃検出部が衝撃を検出した場合、通報する通報部と
を備え、
前記充電装置は、
前記携帯端末の充電を行う充電部を
備える通報システム。
【請求項9】
前記携帯端末は、
前記充電装置と近距離無線通信が可能な第1の通信部を
さらに備え、
前記充電装置は、
前記第1の通信部と近距離無線通信が可能な第2の通信部を
さらに備え、
前記設置検出部は、前記第1の通信部と前記第2の通信部との間の近距離無線通信の状態に基づいて、前記充電装置への設置の有無を検出し、
前記充電部は、前記携帯端末の非接触充電を行う
請求項に記載の通報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末、通報制御方法、及び、通報システムに関し、特に、車両の事故発生時の自動通報を行う携帯端末、通報制御方法、及び、通報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両が事故により衝撃を受け、車載装置が事故発生を検知した場合、車載装置が携帯電話機に特定通報ダイヤルに発信させることにより、事故発生時に自動通報できるようにしたシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、携帯電話機を所持したユーザが車両に乗り込むと、携帯電話機と車載装置がBluetooth(登録商標)によるリンク処理を行い、リンク状態を保持して待機する。そして、車載装置が事故発生を検出すると、車載装置は携帯電話機に事故に関する情報を送信し、携帯電話機が特定通報ダイヤルに発信し、事故情報センタに事故の発生を通報する。
【0003】
また、従来、車両内に設置されている携帯電話機の充電用のクレードル装置と携帯電話機を用いて、異常状態をサーバへ送信することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。具体的には、携帯電話機は、クレードル装置に設置されると、内蔵するカメラで撮像を開始し、撮像情報をクレードル装置に供給し、記憶させる。そして、クレードル装置は、内蔵するGセンサにより所定の範囲を超える加速度を検出した場合、その時刻の前後一定時間の撮像情報を、携帯電話機を介してサーバに送信する。
【0004】
さらに、従来、他の装置を用いることなく、携帯電話機単独で自動通報を行うことが提案されている(例えば、特許文献3参照)。具体的には、ショックセンサを備えた携帯電話機が、車両の事故などにより一定以上の衝撃を検出したとき、緊急連絡先に位置情報等を自動通報する。
【0005】
また、従来、携帯電話機の非接触充電装置を車両に設けることが提案されている。そして、車両のアクセサリ電源がオフされた後、非接触充電装置の上に携帯電話機が置かれたまま所定の時間が経過したとき、携帯電話機の置き忘れに対する警告を行うことが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−250183号公報
【特許文献2】特開2009−177294号公報
【特許文献3】国際公開第2006/085380号
【特許文献4】特開2013−38870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、携帯電話機等の携帯端末が、車両の事故による衝撃を受けた場合に適切に通報できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の側面の携帯端末は、車両内に設けられた充電装置により充電可能な携帯端末において、充電装置への設置の有無を検出する設置検出部と、携帯端末に対する衝撃の検出を行う衝撃検出部と、設置検出部が充電装置への設置有りを検出してから、設置検出部が充電装置への設置無しを検出した後、所定の時間経過するまでの間に、衝撃検出部が衝撃を検出した場合、通報する通報部とを備える。
【0009】
本発明の第1の側面の携帯端末においては、車両内に設けられた充電装置への携帯端末の設置有りが検出されてから、充電装置への設置無しが検出された後、所定の時間経過するまでの間に、携帯端末に対する衝撃が検出された場合、通報が行われる。
【0010】
従って、携帯端末が、車両の事故による衝撃を受けた場合に適切に通報することができる。
【0011】
この充電装置は、例えば、非接触式又は接触式の充電装置により実現される。この携帯端末は、例えば、スマートフォンのような高機能の携帯電話機や、タブレット等により実現される。この設置検出部は、例えば、CPU等の演算装置により実現される。この衝撃検出部は、例えば、衝撃センサ、振動センサ、加速度センサ等により実現される。この通報部は、例えば、CPU等の演算装置、移動体通信を行う通信回路により実現される。
【0012】
この携帯端末においては、充電装置と近距離無線通信を行う通信部をさらに設け、この充電装置には、携帯端末の非接触充電を行わせ、この設置検出部には、通信部と充電装置との間の近距離無線通信の状態に基づいて、充電装置への設置の有無を検出させることができる。
【0013】
これにより、携帯端末の充電を簡単に行うことができるとともに、携帯端末が充電装置に設置されたことを確実に検出することができる。
【0014】
この通信部は、例えば、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)、又は、BLE(Bluetooth Low Energy)等による近距離無線通信を行う通信回路により実現される。
この携帯端末には、設置検出部が充電装置への設置有りを検出したとき、自動通報の機能を有効にし、設置検出部が充電装置への設置無しを検出してから所定の時間が経過した後、自動通報の機能を無効にする設定部をさらに設け、この通報部には、自動通報の機能が有効な場合に、衝撃検出部が衝撃を検出したとき、通報させることできる。
【0015】
この通報部には、通報を行うアプリケーションプログラムが起動している状態で通報を行わせることができる。
【0016】
これにより、携帯端末にアプリケーションプログラムをインストールするだけで、自動通報を実現することができる。
【0017】
この通報部には、移動体通信網を介して予め定めた通報先に通報を行わせることができる。
【0018】
これにより、移動体通信網を用いて確実に自動通報を行うことができる。
【0019】
本発明の第1の側面の通報制御方法は、車両内に設けられた充電装置により充電可能な携帯端末による通報制御方法において、携帯端末の充電装置への設置の有無を検出する設置検出ステップと、携帯端末に対する衝撃の検出を行う衝撃検出ステップと、携帯端末の充電装置への設置有りが検出されてから、携帯端末の充電装置への設置無しが検出された後、所定の時間経過するまでの間に、携帯端末に対する衝撃が検出された場合、通報する通報ステップとを含む。
【0020】
本発明の第1の側面の通報制御方法においては、車両内に設けられた充電装置への携帯端末の設置有りが検出されてから、充電装置への設置無しが検出された後、所定の時間経過するまでの間に、携帯端末に対する衝撃が検出された場合、通報が行われる。
【0021】
従って、携帯端末が、車両の事故による衝撃を受けた場合に適切に通報することができる。
【0022】
この充電装置は、例えば、非接触式又は接触式の充電装置により実現される。この携帯端末は、例えば、スマートフォンのような高機能の携帯電話機や、タブレット等により実現される。この設置検出ステップ、通報ステップは、例えば、CPU等の演算装置により実行される。この衝撃検出ステップは、例えば、衝撃センサ、振動センサ、加速度センサ等により実行される。
【0023】
本発明の第1の側面のプログラムは、車両内に設けられた充電装置により充電可能であり、衝撃の検出が可能な携帯端末により実行されるプログラムであって、携帯端末の充電装置への設置の有無を検出する設置検出ステップと、携帯端末の充電装置への設置有りが検出されてから、携帯端末の充電装置への設置無しが検出された後、所定の時間経過するまでの間に、携帯端末に対する衝撃が検出された場合、通報する通報ステップとを含む処理を携帯端末に実行させる。
【0024】
本発明の第1の側面のプログラムにおいては、車両内に設けられた充電装置への携帯端末の設置有りが検出されてから、充電装置への設置無しが検出された後、所定の時間経過するまでの間に、携帯端末に対する衝撃が検出された場合、通報が行われる。
【0025】
従って、携帯端末が、車両の事故による衝撃を受けた場合に適切に通報することができる。
【0026】
この充電装置は、例えば、非接触式又は接触式の充電装置により実現される。この携帯端末は、例えば、スマートフォンのような高機能の携帯電話機や、タブレット等により実現される。
【0027】
本発明の第2の側面の通報システムは、携帯端末、及び、携帯端末を充電可能で、車両内に設けられている充電装置を備える通報システムにおいて、携帯端末は、充電装置への設置の有無を検出する設置検出部と、携帯端末に対する衝撃の検出を行う衝撃検出部と、設置検出部が充電装置への設置有りを検出してから、設置検出部が充電装置への設置無しを検出した後、所定の時間経過するまでの間に、衝撃検出部が衝撃を検出した場合、通報する通報部とを備え、充電装置は、携帯端末の充電を行う充電部を備える。
【0028】
本発明の第2の側面の通報システムにおいては、車両内に設けられた充電装置への携帯端末の設置有りが検出されてから、充電装置への設置無しが検出された後、所定の時間経過するまでの間に、携帯端末に対する衝撃が検出された場合、通報が行われる。
【0029】
従って、携帯端末が、車両の事故による衝撃を受けた場合に適切に通報することができる。
【0030】
この携帯端末は、例えば、スマートフォンのような高機能の携帯電話機や、タブレット等により実現される。この充電装置は、例えば、非接触式又は接触式の充電装置により実現される。この設置検出部は、例えば、CPU等の演算装置により実現される。この衝撃検出部は、例えば、衝撃センサ、振動センサ、加速度センサ等により実現される。この通報部は、例えば、CPU等の演算装置、移動体通信を行う通信回路により実現される。
【0031】
この携帯端末においては、充電装置と近距離無線通信が可能な第1の通信部をさらに設け、この充電装置には、第1の通信部と近距離無線通信が可能な第2の通信部をさらに設け、この設置検出部は、第1の通信部と第2の通信部との間の近距離無線通信の状態に基づいて、充電装置への設置の有無を検出させ、この充電部には、携帯端末の非接触充電を行わせることができる。
【0032】
これにより、携帯端末の充電を簡単に行うことができるとともに、携帯端末が充電装置に設置されたことを確実に検出することができる。
【0033】
この第1の通信部、第2の通信部は、例えば、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)、又は、BLE(Bluetooth Low Energy)等による近距離無線通信を行う通信回路により実現される。
【発明の効果】
【0034】
本発明の第1の側面又は第2の側面によれば、携帯端末単独で車両の事故に関する自動通報を行うことができる。特に、本発明の第1の側面又は第2の側面によれば、携帯端末が、車両の事故による衝撃を受けた場合に適切に通報することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明を適用した通報システムの一実施の形態を示すブロック図である。
図2】自動通報制御処理を説明するためのフローチャートである。
図3】自動通報制御処理の流れを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
【0037】
<1.実施の形態>
[通報システム1の構成例]
図1は、本発明を適用した通報システム1の一実施の形態を示すブロック図である。
【0038】
通報システム1は、車両に適用されるシステムであり、携帯端末11、及び、携帯端末11を非接触で充電可能な充電パッド12を含むように構成される。なお、通報システム1は、任意の種類の車両に適用することが可能である。また、充電パッド12は、例えば、通報システム1を適用した車両の室内に設置される。
【0039】
携帯端末11は、例えば、携帯電話、衛星電話、PHS等の移動体通信網(例えば、携帯電話網等)を介した移動体通信が可能な携帯型の通信端末により構成される。より具体的には、例えば、携帯端末11は、携帯電話機(スマートフォン、PHS等を含む)、タブレット等により構成される。また、携帯端末11が行う移動体通信には、音声通話及びデータ通信が含まれる。
【0040】
携帯端末11は、通信部31、設置検出部32、モード設定部33、衝撃検出部34、制御部35、通報部36、充電制御部37、及び、バッテリ38を含むように構成される。
【0041】
通信部31は、充電パッド12の通信部51と、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)、又は、BLE(Bluetooth Low Energy)等による近距離無線通信を行う。また、通信部31は、充電パッド12の通信部51との間の通信状態を設置検出部32に通知する。
【0042】
設置検出部32は、携帯端末11の通信部31と充電パッド12の通信部51との間の通信状態に基づいて、携帯端末11が充電パッド12に設置されているか否かを検出し、検出結果をモード設定部33に通知する。
【0043】
モード設定部33は、設置検出部32による検出結果に基づいて、車両の事故に関する自動通報を行うか否かを決める通報モードの設定を行い、設定内容を制御部35に通知する。通報モードは、自動通報の機能を有効にする自動通報モード、又は、自動通報の機能を無効にする通常モードの2種類のモードに分かれる。
【0044】
自動通報モードは、例えば、自動通報を行う専用のアプリケーションプログラム(以下、自動通報プログラムと称する)が起動した状態である。一方、通常モードは、例えば、自動通報プログラムが起動していない状態であり、携帯端末11の通常の使用状態である。例えば、モード設定部33は、自動通報プログラムを起動することにより、自動通報モードに設定し、自動通報プログラムを停止することにより、通常モードに設定する。従って、携帯端末11は、自動通報プログラムが起動している状態でのみ自動通報を行うことになる。
【0045】
衝撃検出部34は、例えば、衝撃センサ、振動センサ、加速度センサ等の衝撃の検出が可能なセンサにより構成され、携帯端末11に対する衝撃を検出する。衝撃検出部34は、検出した衝撃の強度を示すセンサデータを制御部35に供給する。
【0046】
制御部35は、衝撃検出部34の検出結果に基づいて、車両の事故が発生したおそれがあるか否かを判定する。そして、通報部36は、事故が発生したおそれがあると判定した場合、自動通報モードに設定されていれば、通報部36に自動通報を実行させる。
【0047】
通報部36は、制御部36の制御の下に、車両の事故に関する通報の受付けを行う所定の通報先(例えば、コールセンタ)に対して、移動体通信網を介して、車両の事故に関する自動通報を行う。
【0048】
なお、携帯端末11から通報先への通報には、例えば、e-Call等の移動体通信網を介した緊急通報システムが用いられる。
【0049】
充電制御部37は、例えば、充電回路等により実現される。充電制御部37は、充電パッド12の充電部52から電磁誘導等により供給される電力の受信、及び、受信した電力によるバッテリ38の充電の制御を行う。
【0050】
バッテリ38は、携帯端末11の各部の動作に必要な電力を供給する。
【0051】
充電パッド12は、通信部51及び充電部52を含むように構成される。
【0052】
通信部51は、携帯端末11の通信部31と所定の近距離無線通信による通信を行う。
【0053】
充電部52は、携帯端末11に非接触で充電電力を供給する。
【0054】
[通報システム1の処理]
次に、図2のフローチャートを参照して、携帯端末11により実行される自動通報制御処理について説明する。
【0055】
ステップS1において、設置検出部32は、充電パッド12に設置されているか否かを判定する。例えば、充電パッド12の通信部51は、所定の間隔でポーリング信号を送信する。そして、携帯端末11が充電パッド12に設置され、携帯端末11の通信部31がポーリング信号を受信した場合、その後、所定の通信プロトコルに従って、通信部31と充電パッド12の通信部51との間で無線通信が確立する。
【0056】
そして、設置検出部32は、通信部31が充電パッド12の通信部51との間で無線通信を確立している場合、充電パッド12に設置されていると判定し、判定結果をモード設定部33に通知する。その後、処理はステップS2に進む。
【0057】
ステップS2において、モード設定部33は、通常モードに設定されているか否かを判定する。通常モードに設定されていると判定された場合、処理はステップS3に進む。
【0058】
ステップS3において、モード設定部33は、自動通報モードに設定する。例えば、モード設定部33は、自動通報プログラムを起動することにより、自動通報モードに設定する。モード設定部33は、自動通報モードに設定したことを制御部35に通知する。
【0059】
その後、処理はステップS4に進む。
【0060】
一方、ステップS2において、すでに自動通報モードに設定されていると判定された場合、ステップS3の処理はスキップされ、処理はステップS4に進む。
【0061】
ステップS4において、制御部35は、所定の強度以上の衝撃を検出したか否かを判定する。具体的には、制御部35は、衝撃検出部34から供給されるセンサデータに示される強度が所定の閾値以上である場合、所定の強度以上の衝撃を検出したと判定し、処理はステップS5に進む。
【0062】
なお、この閾値は、車両の事故の発生を検出するのに適した値に設定される。例えば、この閾値は、携帯端末11を充電パッド12から外したり、車両内で携帯端末11が落下したりしたときに携帯端末11に加わると想定される衝撃の強度より大きい値に設定される。一方、この閾値は、車両に事故が発生したときに携帯端末11に加わると想定される衝撃の強度より小さい値に設定される。また、この閾値は、固定値としてもよいし、ユーザが変更できるようにしてもよい。なお、例えば、衝撃の強度を用いずに通報すべき衝撃を検出する場合には、必ずしも閾値を設定する必要はない。
【0063】
ステップS5において、通報部36は、制御部35の制御の下に、自動通報を行う。具体的には、通報部36は、移動体通信網を介して、車両に事故が発生したおそれがあることを自動的に所定の通報先に通報する。すなわち、通報部36は、ステップS1において、設置検出部32が充電パッド12への設置有りを検出し、かつ、ステップS4において、衝撃検出部34が衝撃を検出した場合、所定の通報先に通報する。
【0064】
なお、このとき、通報を行うとともに、携帯端末11が取得又は保持している車両の位置情報や、車両の状態を示す画像データ等を通報先に送信するようにしてもよい。
【0065】
その後、処理はステップS1に戻り、ステップS1以降の処理が実行される。
【0066】
一方、ステップS4において、所定の強度以上の衝撃を検出していないと判定された場合、処理はステップS1に戻る。その後、ステップS1以降の処理が実行される。
【0067】
また、ステップS1において、設置検出部32は、通信部31が充電パッド12の通信部51との間で無線通信を確立していない場合、充電パッド12に設置されていないと判定し、判定結果をモード設定部33に通知する。その後、処理はステップS6に進む。
【0068】
ステップS6において、モード設定部33は、自動通報モードに設定されているか否かを判定する。自動通報モードに設定されていると判定された場合、処理はステップS7に進む。
【0069】
ステップS7において、モード設定部33は、タイムアウト時間を設定する。すなわち、モード設定部33は、図示せぬタイマのタイムアウト時間を所定の値に設定し、タイマのカウントを開始する。
【0070】
なお、タイムアウト時間は、固定値としてもよいし、ユーザが変更できるようにしてもよい。
【0071】
ステップS8において、ステップS4の処理と同様に、所定の強度以上の衝撃を検出したか否かが判定される。所定の強度以上の衝撃を検出したと判定された場合、処理はステップS9に進む。
【0072】
ステップS9において、ステップS5の処理と同様に、自動通報が行われる。すなわち、通報部36は、ステップS1において、設置検出部32が充電パッド12への設置有りを検出し、その後のステップS1において、設置無しを検出し、所定の時間(タイムアウト時間が)経過するまでに、ステップS8において、衝撃検出部34が衝撃を検出した場合、所定の通報先に通報する。
【0073】
その後、処理はステップS10に進む。
【0074】
一方、ステップS8において、所定の強度以上の衝撃を検出していないと判定された場合、ステップS9の処理はスキップされ、処理はステップS10に進む。
【0075】
ステップS10において、モード設定部33は、タイムアウト時間が経過したか否かを判定する。タイムアウト時間を経過していないと判定された場合、処理はステップS8に戻り、その後、ステップS10において、タイムアウト時間が経過したと判定されるまで、ステップS8乃至S10の処理が繰り返し実行される。
【0076】
一方、ステップS10において、タイムアウト時間が経過したと判定された場合、処理はステップS11に進む。
【0077】
ステップS11において、モード設定部33は、通常モードに設定する。例えば、モード設定部33は、自動通報プログラムの実行を停止することにより、通常モードに設定する。モード設定部33は、通常モードに設定したことを制御部35に通知する。
【0078】
その後、処理はステップS1に戻り、ステップS1以降の処理が実行される。
【0079】
一方、ステップS6において、すでに通常モードに設定されていると判定された場合、処理はステップS1に戻り、ステップS1以降の処理が実行される。
【0080】
例えば、携帯端末11単独で自動通報を行う場合、以上の処理を行わなければ、車両に乗り込む際に携帯端末11を自動通報モードに設定したり、車両から降りる際に携帯端末11を通常モードに設定したりする必要がある。しかし、このような設定作業は、ユーザにとって煩わしく、また忘れやすい。また、設定の変更を忘れると、事故発生時に自動通報が行われなかったり、或いは、車外で携帯端末11を落とした際に、誤って自動通報が行われたりするおそれがある。
【0081】
これに対して、例えば、車内に充電パッド12が設置されている場合、ユーザは、車両に乗り込んだ際の通常の動作として、バッテリ38を充電するために携帯端末11を充電パッド12に設置すると考えられる。特に、携帯端末11がバッテリ38の減りが早いスマートフォン等である場合、ユーザが携帯端末11を充電パッド12に設置する確率が高くなる。そして、図3の左側の図に示されるように、携帯端末11を充電パッド12の上に置くだけで、携帯端末11が自動通報モードに設定される。また、車両から降りる際に、携帯端末11を充電パッド12から外すだけで、通常モードに設定することができる。このように、自動通報モードの設定や解除を忘れることを防止することができ、必要なときに自動通報が行われなかったり、不要なときに自動通報が行われたりすることを防止することができる。
【0082】
また、図3の(a)に示されるように、携帯端末11が充電パッド12に設置された状態で所定の強度以上の衝撃を検出した場合、自動通報が行われる。さらに、図3の(b)に示されるように、例えば、携帯端末11が事故の衝撃で充電パッド12から飛ばされてしまった後に、車室内に衝突したり、車外に飛び出し、地面などに衝突したりして、所定の強度以上の衝撃を検出する場合がある。これらの場合においても、通常モードに設定されるまでの間に時間差が設けられるため、確実に自動通報が行われる。この時間差は、図2のステップS7において設定されたタイムアウト時間に相当する。
【0083】
このように、携帯端末11が充電パッド12に設置されている場合に車両の事故が発生したとき、確実に自動通報を行うことができる。一方、携帯端末11が充電パッド12に設置されておらず、ユーザが持ち歩いているような場合、例えば、車外で落下等により携帯端末11に強い衝撃が与えられても、誤って自動通報が行われることが防止される。
【0084】
<2.変形例>
以下、上述した本発明の実施の形態の変形例について説明する。
【0085】
以上の説明では、携帯端末11が、充電パッド12との間の無線通信の状態に基づいて、充電パッド12に設置されていることを検出するようにしたが、他の検出方法を採用することも可能である。例えば、充電パッド12の充電部52からの電力の供給の有無に基づいて検出するようにすることが可能である。
【0086】
また、本発明では、接触式の充電装置を採用することも可能である。この場合、例えば、携帯端末11の充電端子に充電装置の端子やコネクタが接続されたか否かにより、携帯端末11が充電装置に設置されたか否かを判定するようにすることができる。或いは、携帯端末11と充電装置が有線通信を行うようにして、有線通信の状態に基づいて、携帯端末11が充電装置に設置されたか否かを判定するようにすることができる。
【0087】
さらに、例えば、自動通報の終了時に携帯端末11が充電パッド12から外れている場合(例えば、携帯端末11が充電パッド12から外れた後に自動通報が行われた場合、或いは、自動通報中に携帯端末11が充電パッド12から外れた場合)、以下のいずれかのタイミングで通常モードに戻すようにすることが考えられる。
【0088】
例えば、自動通報の終了時にタイムアウト時間が経過していない場合、タイムアウト時間の経過後に通常モードに戻し、自動通報の終了時にすでにタイムアウト時間が経過している場合、自動通報の終了時に通常モードに戻すようにしてもよい。
【0089】
或いは、例えば、自動通報の終了後に通常モードに戻すようにしてもよい。
【0090】
或いは、例えば、自動通報の通報先からコールバックが行われる仕様になっている場合には、通報先からのコールバックの完了後に通常モードに戻すようにしてもよい。
【0091】
或いは、例えば、通報先から携帯端末11上の自動通報プログラムの停止を指令し、その指令に従って、自動通報プログラムを停止することにより、通常モードに戻すようにしてもよい。
【0092】
また、携帯端末11と通報先との間の通信は、基地局を経由した移動体通信以外にも、例えば、WiFi等により無線ルータ等を経由してインターネット等のネットワークを介した通信を用いることも可能である。
【0093】
[コンピュータの構成例]
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、携帯端末11にインストールされ、携帯端末11に組み込まれているコンピュータにより実行される。
【0094】
また、コンピュータが実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディアに記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線又は無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0095】
その他、プログラムは、例えば、ROMや記憶部に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0096】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0097】
また、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0098】
さらに、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0099】
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0100】
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【符号の説明】
【0101】
1 通報システム
11 携帯端末
12 充電パッド
31 通信部
32 設置検出部
33 モード設定部
34 衝撃検出部
35 制御部
36 通報部
37 充電制御部
38 バッテリ
51 通信部
52 充電部
図1
図2
図3