特許第6052820号(P6052820)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 矢崎総業株式会社の特許一覧
特許6052820止水構造、止水方法、及びワイヤハーネス
<>
  • 特許6052820-止水構造、止水方法、及びワイヤハーネス 図000002
  • 特許6052820-止水構造、止水方法、及びワイヤハーネス 図000003
  • 特許6052820-止水構造、止水方法、及びワイヤハーネス 図000004
  • 特許6052820-止水構造、止水方法、及びワイヤハーネス 図000005
  • 特許6052820-止水構造、止水方法、及びワイヤハーネス 図000006
  • 特許6052820-止水構造、止水方法、及びワイヤハーネス 図000007
  • 特許6052820-止水構造、止水方法、及びワイヤハーネス 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052820
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】止水構造、止水方法、及びワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 15/02 20060101AFI20161219BHJP
   H02G 1/14 20060101ALI20161219BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20161219BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   H02G15/02
   H02G1/14
   H01B7/00 301
   B60R16/02 620Z
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-259681(P2014-259681)
(22)【出願日】2014年12月24日
(65)【公開番号】特開2016-119270(P2016-119270A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2016年3月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075959
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 保
(74)【代理人】
【識別番号】100175536
【弁理士】
【氏名又は名称】陸名 智之
(72)【発明者】
【氏名】雄鹿 達也
(72)【発明者】
【氏名】久保嶋 秀彦
【審査官】 和田 財太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−027446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/14
H02G 15/02
B60R 16/02
H01B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一又は複数本の絶縁線心と、該一又は複数本の絶縁線心を一括して覆うシールド部材と、該シールド部材の外側に設けられるシースと、止水対象箇所に設けられる止水部材とを備え、
前記止水対象箇所は、前記シースを所定長さで除去してシース端部が生じる部分に形成され、且つ、該シース端部から前記シールド部材が露出する部分に形成され、
前記止水部材は、底部を有する有底筒形状の胴体と、前記底部を開口させて該底部の外面に連続する一又は複数本のチューブ部とを有する形状に形成され、
前記胴体の内周面は、前記シース端部の位置で前記シールド部材を折り返してなる第一折り返し部に対し密着する部分に形成され、
前記胴体の外周面側は、該胴体の開口端部の位置で前記シールド部材を更に折り返してなる第二折り返し部にて覆われる部分に形成され、
前記チューブ部は、前記シールド部材の折り返しにより露出した前記一又は複数本の絶縁線心の絶縁体の外周面に対し密着する部分に形成される
ことを特徴とする止水構造。
【請求項2】
請求項1に記載の止水構造において、
前記胴体は、内方への付勢力を生じさせる弾力性を有するように形成される
ことを特徴とする止水構造。
【請求項3】
一又は複数本の絶縁線心と、該一又は複数本の絶縁線心を一括して覆うシールド部材と、該シールド部材の外側に設けられるシースと、止水対象箇所に設けられる止水部材とを備え、該止水部材は、底部を有する有底筒形状の胴体と、前記底部を開口させて該底部の外面に連続する一又は複数本のチューブ部とを有する形状に形成され、
第一工程では、前記シースを前記止水対象箇所までの所定長さで除去して前記シースにシース端部を形成するとともに、該シース端部から前記シールド部材を露出させる作業を行い、
第二工程では、前記シース端部の位置で前記シールド部材を折り返して第一折り返し部を形成する作業を行い、
第三工程では、前記胴体の内周面が前記第一折り返し部に対し密着するように前記止水部材を前記止水対象箇所に合わせて組み付ける作業を行い、
第四工程では、前記胴体の開口端部の位置で前記シールド部材を更に折り返して第二折り返し部を形成するとともに、該第二折り返し部にて前記胴体の外周面側を覆う作業を行う
ことを特徴とする止水方法。
【請求項4】
自動車に配索されて電気的な接続を行うワイヤハーネスにおいて、
当該ワイヤハーネスのハーネス端末又はハーネス中間には、請求項1又は2に記載の止水構造を採用してなる止水構造部を設ける
ことを特徴とするワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一又は複数本の絶縁線心と、この一又は複数本の絶縁線心を一括して覆うシールド部材と、シールド部材の外側に設けられるシースと、止水対象箇所に設けられる止水部材とを備える止水構造及び止水方法に関する。また、止水構造を止水構造部として採用してなるワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、高電圧のワイヤハーネスを例に挙げると、下記特許文献1には、ハイブリッド自動車や電気自動車に搭載される高電圧の機器間を電気的に接続するワイヤハーネスが開示される。特許文献1のワイヤハーネスは、導電路と、この導電路を収容保護する樹脂製で管体形状の外装部材と、導電路の端末に設けられるシールドコネクタとを備えて構成される。導電路は、絶縁線心と、この絶縁線心を覆うシールド部材とを備えて構成される。導電路は、この外側を構成する部分がシールド部材であることから、外装部材に収容されることで保護される。
【0003】
特許文献1のワイヤハーネスは、車両床下を通って配索される。すなわち、地面の近くを通って配索される。樹脂製の外装部材は、管軸方向にのびるスリットの存在しない形状(腹割きなしの形状)に形成される。従って、例えば走行時に水はねが生じても外装部材の内部に水分が浸入してしまうことがなく、結果、導電路やシールド部材は、走行時において水分の影響を受けることがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−243900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来技術にあっては、何らかの要因で外装部材の内部に水分が溜まると、この溜まった水分が導電路における絶縁線心とシールド部材との間を伝ってシールドコネクタが設けられる部分まで、すなわち電気的な接続部分まで上がってきてしまうという虞がある(これ以外に、例えば自然災害等で水没した場合も上がってきてしまう)。この時、止水構造の部分を有していなければ、シールドコネクタによる電気的な接続に影響を来してしまうことになる。
【0006】
尚、ワイヤハーネスのハーネス端末において、外部からの水分に対し止水用ブーツを設けて止水をしようとする場合、止水用ブーツはシールドコネクタと外装部材の端部とに跨って配設される(通常、止水用ブーツはシールド部材に対し直接取り付けることはない)。従って、上記のように止水用ブーツを配設すると、この配設部分の大型化が懸念される。大型化は、車両への配索の自由度を低下させてしまうことに繋がる。
【0007】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、所定位置で確実に止水をすることが可能な止水構造、止水方法、及びワイヤハーネスを提供することを課題とする。また、大型化せずに止水をすることが可能な止水構造、止水方法、及びワイヤハーネスを提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の本発明の止水構造は、一又は複数本の絶縁線心と、該一又は複数本の絶縁線心を一括して覆うシールド部材と、該シールド部材の外側に設けられるシースと、止水対象箇所に設けられる止水部材とを備え、前記止水対象箇所は、前記シースを所定長さで除去してシース端部が生じる部分に形成され、且つ、該シース端部から前記シールド部材が露出する部分に形成され、前記止水部材は、底部を有する有底筒形状の胴体と、前記底部を開口させて該底部の外面に連続する一又は複数本のチューブ部とを有する形状に形成され、前記胴体の内周面は、前記シース端部の位置で前記シールド部材を折り返してなる第一折り返し部に対し密着する部分に形成され、前記胴体の外周面側は、該胴体の開口端部の位置で前記シールド部材を更に折り返してなる第二折り返し部にて覆われる部分に形成され、前記チューブ部は、前記シールド部材の折り返しにより露出した前記一又は複数本の絶縁線心の絶縁体の外周面に対し密着する部分に形成されることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の止水構造において、前記胴体は、内方への付勢力を生じさせる弾力性を有するように形成されることを特徴とする。
【0010】
以上のような特徴を有する本発明の止水構造によれば、シース付き導電路(一又は複数本の絶縁線心とシールド部材とシースとを備えてなる導電路)の止水対象箇所に止水部材を設けて止水をする構造であり、一又は複数本の絶縁線心とシールド部材との間を伝って浸入しようとする水分を確実に止水することができる。これは止水部材が、底部を有する有底筒形状の胴体と、この胴体の底部を開口させて外側に連続する一又は複数本のチューブ部とを有する形状に形成されるからである。また、シールド性能を損なわずに上記の止水ができるのは、シースが除去されて露出したシールド部材が止水対象箇所で二回、折り返した状態に形成されるからである。さらに、上記の止水ができるのは、止水部材のチューブ部が一又は複数本の絶縁線心に対して密着するからである。さらにまた、上記の止水ができるのは、止水部材の胴体が弾力性を有するからである。この他、本発明の止水構造によれば、シース付き導電路止に対し止水部材を設ける構造であり、後述する実施例の欄の説明から分かるようになるが、止水部材の配設部分が大型化することのない構造である。
【0011】
また、上記課題を解決するためになされた請求項3に記載の本発明の止水方法は、一又は複数本の絶縁線心と、該一又は複数本の絶縁線心を一括して覆うシールド部材と、該シールド部材の外側に設けられるシースと、止水対象箇所に設けられる止水部材とを備え、該止水部材は、底部を有する有底筒形状の胴体と、前記底部を開口させて該底部の外面に連続する一又は複数本のチューブ部とを有する形状に形成され、第一工程では、前記シースを前記止水対象箇所までの所定長さで除去して前記シースにシース端部を形成するとともに、該シース端部から前記シールド部材を露出させる作業を行い、第二工程では、前記シース端部の位置で前記シールド部材を折り返して第一折り返し部を形成する作業を行い、第三工程では、前記胴体の内周面が前記第一折り返し部に対し密着するように前記止水部材を前記止水対象箇所に合わせて組み付ける作業を行い、第四工程では、前記胴体の開口端部の位置で前記シールド部材を更に折り返して第二折り返し部を形成するとともに、該第二折り返し部にて前記胴体の外周面側を覆う作業を行うことを特徴とする。
【0012】
以上のような特徴を有する本発明によれば、第一工程から第四工程までを順に経ることにより止水構造の部分(止水構造部)が形成され、結果、シース付き導電路の止水対象箇所を確実に止水することができる。
【0013】
また、上記課題を解決するためになされた請求項4に記載の本発明のワイヤハーネスはは、自動車に配索されて電気的な接続を行うワイヤハーネスにおいて、当該ワイヤハーネスのハーネス端末又はハーネス中間には、請求項1又は2に記載の止水構造を採用してなる止水構造部を設けることを特徴とする。
【0014】
以上のような特徴を有する本発明によれば、ハーネス端末又はハーネス中間に止水構造部が設けられたワイヤハーネスになる。止水構造部は、請求項1又は2に記載の止水構造を採用してなることから、止水構造部の位置で請求項1又は2と同様の作用が得られる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1〜請求項3に記載された本発明によれば、シールド部材をシース端部で折り返して折り返し部を形成し、この折り返し部に止水部材を組み付けることにより、また、絶縁線心に対し止水部材のチューブ部を被せることにより、絶縁線心とシールド部材との間を伝った水分の浸入を阻止することができる。従って、本発明によれば、所定位置で確実に止水をすることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、止水部材を設けるために、例えば外装部材を備える必要がなく、結果、大型化せずに止水をすることができるという効果も奏する。
【0016】
請求項4に記載された本発明によれば、請求項1又は2に記載の止水構造を採用してなる止水構造部を有することから、大型化せずに所定位置で確実に止水をすることができ、結果、より良いワイヤハーネスを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の止水構造を採用してなる止水構造部の斜視図である。
図2】止水構造部の斜視図(断面図を含む)である。
図3】止水構造部の断面図である。
図4】シースを止水対象箇所までの所定長さで除去した状態の斜視図である。
図5】止水部材の斜視図である。
図6】第一折り返し部に対し止水部材を組み付けようとする状態の斜視図である。
図7】本発明のワイヤハーネスの配索状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
止水構造は、シース付き導電路の止水対象箇所に止水部材を設けて止水をする構造であり、この構造によって絶縁線心とシールド部材との間を伝って浸入しようとする水分を止水することができる。これは止水部材が、底部を有する有底筒形状の胴体と、この胴体の底部を開口させて外側に連続するチューブ部とを有する形状に形成されるからである。また、シールド性能を損なわずに止水ができるのは、シースが除去されて露出したシールド部材が止水対象箇所で二回、折り返した状態に形成されるからである。さらに、止水できるのは、止水部材のチューブ部が絶縁線心に対して密着するからである。
【実施例】
【0019】
以下、図面を参照しながら実施例を説明する。図1は本発明の止水構造を採用してなる止水構造部の斜視図である。また、図2は止水構造部の斜視図(断面図を含む)、図3は止水構造部の断面図、図4はシースを止水対象箇所までの所定長さで除去した状態の斜視図、図5は止水部材の斜視図、図6は第一折り返し部に対し止水部材を組み付けようとする状態の斜視図である。
【0020】
<止水構造部1について>
図1ないし図3において、引用符号1はワイヤハーネスWの所望の位置に設けられる止水構造部を示す。この止水構造部1は、本発明の止水構造を採用してなる部分であって、以下の説明で分かるようになるが、止水対象箇所を確実に止水することができるような構造の部分である。また、大型化せずに止水をすることができるような構造の部分でもある。先ず、構成及び構造について説明をする。
【0021】
止水構造部1は、シース付き導電路2と、このシース付き導電路2の止水対象箇所に設けられるゴム製の止水用ブーツ3(止水部材)とを備えて構成される。
【0022】
<シース付き導電路2について>
シース付き導電路2は、二本の絶縁線心4と、この二本の絶縁線心4を一括して覆う導電性の筒状の編組5(シールド部材)と、編組5の外側に設けられる絶縁性のシース6とを備えて構成される。シース付き導電路2は、シース6にて編組5が保護される。
【0023】
<絶縁線心4について>
図1ないし図4において、絶縁線心4は、高電圧用のものであって、特に図示しないが導体と絶縁体とを備えて構成される。上記導体は、銅や銅合金、或いはアルミニウムやアルミニウム合金により断面円形に形成される。導体に関しては、素線を撚り合わせてなる導体構造のものや、断面矩形又は円形(丸形)になる棒状の導体構造(例えば平角単心や丸単心となる導体構造であり、この場合、電線自体も棒状となる)のもののいずれであってもよいものとする。以上のような導体は、この外面に絶縁性の樹脂材料からなる絶縁体が押出成形される。
【0024】
尚、絶縁線心4は、本実施例において二本であるが、この限りでないものとする。一本や三本などであってもよいものとする。
【0025】
絶縁体は、熱可塑性樹脂材料を用いて導体の外周面に押出成形される。絶縁体は、断面円形状の被覆として形成される。絶縁体は、所定の厚みを有して形成される。上記熱可塑性樹脂としては、公知の様々な種類のものが使用可能であり、例えばポリ塩化ビニル樹脂やポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などの高分子材料から適宜選択される。
【0026】
<シールド部材としての編組5について>
編組5は、二本の絶縁線心4を一括して覆う電磁シールド用の金属部品(電磁波対策用のシールド部材)であって、多数の金属素線を筒状に編んでなる公知のものが採用される。編組5は、例えば二本の絶縁線心4の全長とほぼ同じ長さに形成される。編組5は伸縮性を有し、後述する折り返しの作業が容易になるように形成される。
【0027】
<シース6について>
シース6は、上記絶縁体と同様に熱可塑性樹脂材料を用いて編組5の上に押出成形される。シース6は、断面長円形状の被覆として形成される。シース6は、所定の厚みを有して形成される。また、シース6は、所定長さで除去することが容易になるように形成される。上記熱可塑性樹脂としては、公知の様々な種類のものが使用可能であり、例えばポリ塩化ビニル樹脂やポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などの高分子材料から適宜選択される。尚、公知の熱収縮チューブで代替してもよいものとする。
【0028】
<止水部材としての止水用ブーツ3について>
図1図2図3、及び図5において、止水用ブーツ3は、所謂ゴムブーツであって、止水のために用いられる部品である。また、止水用ブーツ3は、二本の絶縁線心4と編組5との間に挿入される部品である。さらに、止水用ブーツ3は、二本の絶縁線心4の間の隙間を埋めるための部品である。止水用ブーツ3は、止水対象箇所の位置に合わせて配設される。尚、本実施例においては、止水部材として「ブーツ」を採用するが、この限りでないものとする。すなわち、「グロメット」などであってもよいものとする。
【0029】
止水用ブーツ3は、編組5及びシース6に係る部分としての胴体7と、二本の絶縁線心4に係る部分としての二本のチューブ部8とを有して、例えば図示のような形状に形成される。止水用ブーツ3は、胴体7と二本のチューブ部8とが一体に形成される。止水用ブーツ3は、この全体が弾力性を有する。
【0030】
<止水用ブーツ3の各部分について>
胴体7は、有底筒形状に形成される。具体的には、長円形状の底部9と、この底部9の周縁に連続する断面長円形状の筒部10と、開口端部11とを有して図示のような有底筒形状に形成される。本実施例においては、シース付き導電路2が二本並んだ絶縁線心4を構成に含むことから、図示のような長円形状に形成される(絶縁線心4が一本のみの場合は、円形状に形成される)。胴体7は、内方への付勢力を生じさせる弾力性を有するように形成される。
【0031】
底部9の内面は、平坦な面に形成される。一方、底部9の外面は、平坦な面と、テーパの面とを有するように形成される。底部9には、二つの円形の貫通孔が形成される。この二つの貫通孔は、二本のチューブ部8の一部として機能するように形成される。筒部10の内周面は、後述するシース端部12の位置で編組5を折り返してなる後述の第一折り返し部13に対し接する部分(密着する部分)に形成される。一方、筒部10の外周面は、編組5の後述する第二折り返し部14にて覆われる部分に形成される。開口端部11は、本実施例において、外側に突出する鍔形状に形成される。開口端部11は、編組5の後述する折り返しを行う部分として形成される。開口端部11は、編組5の折り返しがし易くなる形状に形成される。
【0032】
チューブ部8は、底部9の外面に連続する円筒形状の部分に形成される。チューブ部8は、絶縁線心4に対する挿入部分として形成される。チューブ部8は、絶縁線心4の絶縁体の外周面に対し密着するように形成される。チューブ部8の内周面には、止水性能を向上させるための図示しないリップ部が所定の間隔をあけて複数形成される。チューブ部8は、胴体7と同じくらいの長さに形成される。
【0033】
<止水方法について>
次に、図4及び図6を参照しながら、また、図1ないし図3も参照しながら、止水構造部1の組み立てについて説明をする。すなわち、止水方法について説明をする。止水方法は、本実施例において、以下の第一工程から第四工程までを順に経る。
【0034】
<第一工程>
図4において、第一工程では、シース6を止水対象箇所までの所定長さで除去する作業が行われる。この作業が行われると、シース6にシース端部12が形成されるとともに、このシース端部12から編組5が露出する。
【0035】
<第二工程>
図6において、第二工程では、シース端部12の位置で編組5をシース6側に折り返す作業が行われる。この作業が行われると、編組5の一回目の折り返し部分になる第一折り返し部13が形成される。また、第一折り返し部13の形成により、二本の絶縁線心4が露出する。
【0036】
<第三工程>
第三工程では、止水対象箇所に合わせて止水用ブーツ3を組み付ける作業が行われる。この作業が行われると、胴体7の内周面が第一折り返し部13に対し密着する。また、二本の絶縁線心4にチューブ部8がそれぞれ挿入されて密着する。チューブ部8がそれぞれ絶縁線心4の絶縁体の外周面に対し密着すると、二本の絶縁線心4と編組5との間を伝って浸入しようとする水分が通過することができず、結果、止水される。また、底部9が存在することによっても止水される。
【0037】
<第四工程>
第四工程では、胴体7の開口端部11の位置で編組5を、露出した状態にある二本の絶縁線心4の側に折り返す作業が行われる。この作業が行われると、編組5の二回目の折り返し部分になる第二折り返し部14が形成される。また、第二折り返し部14が形成されることにより、胴体7の外周面側が編組5で覆われる。すなわち、それまで露出した状態にあった二本の絶縁線心4のシールド性能が確保される。
【0038】
二本の絶縁線心4と編組5との間を伝って浸入しようとする水分は、上記の如く、底部9及びチューブ部8の部分で止水される。仮に、この止水された部分で水分がUターンしてシース6の外周面と編組5(第一折り返し部13)との間、及び/又は、編組5(第一折り返し部13)と胴部7の内周面との間を伝おうとしても、胴部7が付勢力を持って密着することから止水される。
【0039】
<止水構造部1の効果について>
以上、図1ないし図6を参照しながら説明してきたように、本発明の止水構造部1によれば、シース付き導電路2の止水対象箇所に止水用ブーツ3を設けて止水をする構造であり、この構造によって二本の絶縁線心4と編組5との間を伝って浸入しようとする水分を止水することができる。これは止水用ブーツ3が、底部9を有する有底筒形状の胴体7と、この胴体7の底部9を開口させて外側に連続する二本のチューブ部8とを有する形状に形成されるからである。また、シールド性能を損なわずに止水ができるのは、シース6が除去されて露出した編組5が止水対象箇所で二回、折り返した状態に形成されるからである。さらに、止水できるのは、止水用ブーツ3のチューブ部8が絶縁線心4に対して密着するからである。
【0040】
従って、本発明の止水構造部1によれば、所定位置で確実に止水をすることができるという効果を奏する。また、本発明の止水構造部1を見れば分かるように、大型化せずに止水をすることができるという効果も奏する。
【0041】
この他、止水構造部1は小型の構造であり、車両搭載の自由度を高めることができるという効果も奏する。また、構成及び構造がシンプルであることから、止水構造部1を安価に提供することができるという効果も奏する。
【0042】
<ワイヤハーネスWの配索状態について>
ここで、本発明の止水構造部1を設けてなるワイヤハーネスWの配索状態について、図7を参照しながら説明をする。
【0043】
図7において、引用符号51はハイブリッド自動車を示す。ハイブリッド自動車51は、エンジン52及びモータユニット53の二つの動力をミックスして駆動する車両であって、モータユニット53にはインバータユニット54を介してバッテリー55(電池パック)からの電力が供給される。エンジン52、モータユニット53、及びインバータユニット54は、本実施例において前輪等がある位置のエンジンルーム56に搭載される。また、バッテリー55は、後輪等がある自動車後部57に搭載される(エンジンルーム56の後方に存在する自動車室内に搭載してもよいものとする)。
【0044】
モータユニット53とインバータユニット54は、高圧の(高電圧用の)ワイヤハーネス58により接続される。また、バッテリー55とインバータユニット54も高圧のワイヤハーネスWにより接続される。ワイヤハーネスWは、この中間部60が車両における(車体における)車両床下61に配索される。また、中間部60は、車両床下61に沿って略平行に配索される。車両床下61は、公知のボディ(車体)であるとともに所謂パネル部材であって、所定位置には貫通孔が形成される。この貫通孔には、ワイヤハーネスWが水密に挿通される。
【0045】
ワイヤハーネスWとバッテリー55は、このバッテリー55に設けられるジャンクションブロック62を介して接続される。ジャンクションブロック62には、ワイヤハーネスWの後端側のハーネス端末63に配設されたシールドコネクタ64等の外部接続手段が電気的に接続される。また、ワイヤハーネスWとインバータユニット54は、前端側のハーネス端末63に配設されたシールドコネクタ64等の外部接続手段を介して電気的に接続される。
【0046】
本発明の止水構造部1は、ワイヤハーネスWの後端側のハーネス端末63の位置に配設される(配設位置は一例であるものとする。止水用ブーツ3を止水用グロメットに替えて本発明の止水構造部1を上記貫通孔の位置に合わせて配設してもよい)。
【0047】
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0048】
W…ワイヤハーネス、 1…止水構造部、 2…シース付き導電路、 3…止水用ブーツ(止水部材)、 4…絶縁線心、 5…編組(シールド部材)、 6…シース、 7…胴体、 8…チューブ部、 9…底部、 10…筒部、 11…開口端部、 12…シース端部、 13…第一折り返し部、 14…第二折り返し部、 51…ハイブリッド自動車(自動車)、 52…エンジン、 53…モータユニット、 54…インバータユニット、 55…バッテリー、 56…エンジンルーム、 57…自動車後部、 58…ワイヤハーネス、 60…中間部、 61…車両床下、 62…ジャンクションブロック、 63…ハーネス端末、 64…シールドコネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7