特許第6052854号(P6052854)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052854
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】貯湯式給湯ユニット
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/06 20060101AFI20161219BHJP
   F24H 1/18 20060101ALI20161219BHJP
   B65D 90/14 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   F24H9/06 301B
   F24H1/18 A
   B65D90/14
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-169829(P2012-169829)
(22)【出願日】2012年7月31日
(65)【公開番号】特開2014-29231(P2014-29231A)
(43)【公開日】2014年2月13日
【審査請求日】2015年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】390002886
【氏名又は名称】株式会社長府製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【弁理士】
【氏名又は名称】来田 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100163267
【弁理士】
【氏名又は名称】今中 崇之
(72)【発明者】
【氏名】堀本 智
(72)【発明者】
【氏名】岡田 大
(72)【発明者】
【氏名】松永 徹
【審査官】 杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−272090(JP,A)
【文献】 特開2001−041590(JP,A)
【文献】 実開昭60−128262(JP,U)
【文献】 実開昭55−121157(JP,U)
【文献】 実開平06−087542(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/06
B65D 90/14
F24H 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯タンクを収容する筺体の底面パネルに、少なくとも3つの脚材が取り付けられ、該各脚材を基礎に当接した状態でアンカーボルトに固定して、該基礎上に設置される貯湯式給湯ユニットにおいて、
前記底面パネルは矩形状に形成され、前記脚材は、4つあって、該各脚材は、隣り合う該脚材と異なる方向を向いた状態で、それぞれ前記底面パネルの4つの角部の近傍に取り付けられ、
相互に非平行な直線部A、Bが外周に形成された底板部材が前記4つの脚材全てに設けられ、該各底板部材は、長方形状の一辺と直角二等辺三角形状の底辺を連結した五角形状であり、前記直線部A、Bは該底板部材の直角二等辺三角形状部分の2つの等辺にそれぞれ設けられ、隣り合う該脚材は、前記基礎上で前記筺体を傾けた状態で、一方が前記直線部Aの全体を該基礎に当接し、他方が前記直線部Bの全体を該基礎に当接することを特徴とする貯湯式給湯ユニット。
【請求項2】
請求項記載の貯湯式給湯ユニットにおいて、前記基礎に当接するベース板と、前記アンカーボルトに前記ベース板と共に取り付けられ、該ベース板を介して前記基礎に固定される押え板とを備え、前記押え板は、前記基礎に固定された状態で、該押え板と前記基礎の間に収容空間部を設け、前記底板部材を備えた脚材の全て又は一部は、該底板部材を前記収容空間部に差し込んで固定されることを特徴とする貯湯式給湯ユニット。
【請求項3】
請求項記載の貯湯式給湯ユニットにおいて、前記ベース板は、前記収容空間部の前記底板部材の差し込み口に、該底板部材を該収容空間部に案内するガイド構造を備えることを特徴とする貯湯式給湯ユニット。
【請求項4】
請求項又は記載の貯湯式給湯ユニットにおいて、前記ベース板には貫通孔H1、H2が、前記押え板には貫通孔h1、h2がそれぞれ形成され、前記ベース板及び前記押え板は、前記貫通孔H1と該貫通孔H1の直上に配置された前記貫通孔h1とに前記アンカーボルトが挿通され、前記貫通孔H2と該貫通孔H2の直上に配置された前記貫通孔h2とに別の前記アンカーボルトが挿通されて前記基礎に固定され、平面視して、前記貫通孔h1、h2を結ぶ直線は、前記収容空間部に差し込まれた前記底板部材を2分することを特徴とする貯湯式給湯ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯タンクを複数の脚材で支持する貯湯式給湯ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
貯湯タンクを配管等と共に筺体内に収容した貯湯式給湯ユニットは、貯湯タンクに湯水を貯留した状態で重量物となって、例えば200kgを超える。そのため、貯湯式給湯ユニットは、安全性を確保するという観点から、地震や暴風によって転倒しないよう、基礎に設けられたアンカーボルトに固定されるのが一般的である。
貯湯式給湯ユニットは、筺体の下部に取り付けられた複数の脚材に貫通孔が形成され、この貫通孔を挿通したアンカーボルトにナットを装着することによって、アンカーボルトに固定される。
【0003】
このようなアンカーボルトが挿通可能な複数の脚材を備えた貯湯式給湯ユニットの具体例が特許文献1に記載されている。特許文献1の貯湯式給湯ユニットは3つの脚材を備え、各脚材は貫通孔が形成された底板部材を基礎に当接した状態でアンカーボルトに固定される。
3つの脚材は、筺体の底面パネル(底板)の外周部に間隔を空けて取り付けられているので、底面パネルの中心部に3つの脚材を取り付けるのに比べ、縦長の筺体を立設状態で安定的に保つことができる。
脚材の数は3つに限定されず、筺体に4つの脚材が取り付けられている貯湯式給湯ユニットもある。4つの脚材を筺体の矩形の底面パネルに取り付ける場合も、4つの脚材を底面パネルの4つの角部近傍にそれぞれ取り付けることによって、底面パネルの中心部に4つの脚材を取り付けるのに比べ筺体を立設状態で安定的に保つことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−237061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1を含む、従来の貯湯式給湯ユニットには、以下に示す改善点があった。
従来の貯湯式給湯ユニットの脚材は、底板部材が長方形状であり、各脚材は、底板部材が隣り合う脚材の底板部材と同じ方向を向くように配置されている。従って、貯湯式給湯ユニットは、筺体に対し、平面視して、脚材の底板部材の短辺に沿った力が作用すると、他の方向から力が作用する場合に比べて転倒し易いという課題があった。
【0006】
この課題を解決するためには、図9(A)に示すように、各脚材100を、隣り合う脚材100の底板部材101が異なる方向を向くように配置することが考えられる。この場合、図9(B)に示すように、運搬、搬入等で、筺体102を傾けて斜めにした際に、脚材100は、底板部材101の角部のみが設置面103に当接した状態となり、底板部材101と設置面103の接触部に生じる単位面積当たりの負荷が大きくなって、脚材100や設置面103に損傷を招くおそれがある。なお、図9(B)は、筺体102の上部を紙面に対して奥側に押して、筺体102を斜めにした様子を記載している。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされるもので、筺体に作用する力の向きに関わらず、筺体の立設状態を安定的に維持すると共に、筺体を傾けた際に脚材や設置面に損傷が生じるのを抑制する貯湯式給湯ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う本発明に係る貯湯式給湯ユニットは、貯湯タンクを収容する筺体の底面パネルに、少なくとも3つの脚材が取り付けられ、該各脚材を基礎に当接した状態でアンカーボルトに固定して、該基礎上に設置される貯湯式給湯ユニットにおいて、前記底面パネルは矩形状に形成され、前記脚材は、4つあって、該各脚材は、隣り合う該脚材と異なる方向を向いた状態で、それぞれ前記底面パネルの4つの角部の近傍に取り付けられ、相互に非平行な直線部A、Bが外周に形成された底板部材が前記4つの脚材全てに設けられ、該各底板部材は、長方形状の一辺と直角二等辺三角形状の底辺を連結した五角形状であり、前記直線部A、Bは該底板部材の直角二等辺三角形状部分の2つの等辺にそれぞれ設けられ、隣り合う該脚材は、前記基礎上で前記筺体を傾けた状態で、一方が前記直線部Aの全体を該基礎に当接し、他方が前記直線部Bの全体を該基礎に当接する。
【0008】
【0009】
本発明に係る貯湯式給湯ユニットにおいて、前記基礎に当接するベース板と、前記アンカーボルトに前記ベース板と共に取り付けられ、該ベース板を介して前記基礎に固定される押え板とを備え、前記押え板は、前記基礎に固定された状態で、該押え板と前記基礎の間に収容空間部を設け、前記底板部材を備えた脚材の全て又は一部は、該底板部材を前記収容空間部に差し込んで固定されるのが好ましい。
【0010】
本発明に係る貯湯式給湯ユニットにおいて、前記ベース板は、前記収容空間部の前記底板部材の差し込み口に、該底板部材を該収容空間部に案内するガイド構造を備えるのが好ましい。
【0011】
本発明に係る貯湯式給湯ユニットにおいて、前記ベース板には貫通孔H1、H2が、前記押え板には貫通孔h1、h2がそれぞれ形成され、前記ベース板及び前記押え板は、前記貫通孔H1と該貫通孔H1の直上に配置された前記貫通孔h1とに前記アンカーボルトが挿通され、前記貫通孔H2と該貫通孔H2の直上に配置された前記貫通孔h2とに別の前記アンカーボルトが挿通されて前記基礎に固定され、平面視して、前記貫通孔h1、h2を結ぶ直線は、前記収容空間部に差し込まれた前記底板部材を2分するのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る貯湯式給湯ユニットは、各脚材が、隣り合う脚材と異なる方向を向いた状態で筺体に取り付けられているので、少なくとも3つの脚材がそれぞれ、底板部材を、隣り合う脚材の底板部材と異なる方向に向けた状態で筺体に取り付けられていることになり、脚材の転倒し易い方向が隣り合う脚材で異なる向きとなり、筺体に作用する力の向きに関わらず、筺体の立設状態を安定的に維持することができる。
また、少なくとも隣り合って配置された2つの脚材が、相互に非平行な直線部A、Bを外周に形成した底板部材を備え、底板部材を備えた隣り合う2つの脚材が、基礎上で筺体を傾けた状態で、一方の脚材の直線部Aの全体を基礎に当接し、他方の脚材の直線部Bの全体を基礎に当接するので、筺体を傾けた際に、底板部材の角部のみが基礎に当接する場合に比べ、脚材と基礎の当接部に生じる単位面積当たりの負荷を低減でき、脚材や基礎の損傷を抑制可能である。
【0013】
本発明に係る貯湯式給湯ユニット、底面パネルが矩形状に形成され、脚材が、4つあって、それぞれ底面パネルの4つの角部の近傍に取り付けられ、底板部材が4つの脚材全てに設けられ、各々の底板部材が直線部Aの延長線と直線部Bの延長線を直交させるので、筺体を立設状態で安定して保つことができる。
【0014】
本発明に係る貯湯式給湯ユニットにおいて、底板部材を備えた脚材の全て又は一部が、押え板と基礎の間に設けられた収容空間部に底板部材を差し込んで固定される場合、筺体と構造物の間に人が入るスペースがない場所に対しても、貯湯式給湯ユニットを容易に基礎上に設置することができる。
【0015】
本発明に係る貯湯式給湯ユニットにおいて、ベース板が、収容空間部の底板部材の差し込み口に、底板部材を収容空間部に案内するガイド構造を備える場合、特殊な部材を用いることなく底板部材を収容空間部に容易に差し込むことができる。
【0016】
本発明に係る貯湯式給湯ユニットにおいて、ベース板には貫通孔H1、H2が、押え板には貫通孔h1、h2がそれぞれ形成され、ベース板及び押え板が、貫通孔H1と貫通孔H1の直上に配置された貫通孔h1とにアンカーボルトを挿通し、貫通孔H2と貫通孔H2の直上に配置された貫通孔h2とに別のアンカーボルトを挿通して基礎に固定され、平面視して、貫通孔h1、h2を結ぶ直線が、収容空間部に差し込まれた底板部材を2分する場合、押え板は、収容空間部に差し込まれた底板部材を強固に固定可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施の形態に係る貯湯式給湯ユニットの側断面図である。
図2】同貯湯式給湯ユニットの脚材の配置を示す説明図である。
図3】同貯湯式給湯ユニットの脚材の取り付けを示す説明図である。
図4】同貯湯式給湯ユニットの筺体を傾けた状態を示す説明図である。
図5】同貯湯式給湯ユニットの設置位置を示す説明図である。
図6】(A)、(B)はそれぞれ、ベース板及び押え板と収容空間部に差し込まれた状態の底板部材の平面図及び側面図である。
図7】ベース板及び押え板の変形例を示す説明図である。
図8】(A)〜(C)はそれぞれ、収容空間部に差し込まれる底板部材の動作を示す説明図である。
図9】(A)、(B)は従来の同貯湯式給湯ユニットの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る貯湯式給湯ユニット10は、貯湯タンク11と、貯湯タンク11を収容する筺体12とを備え、基礎13上に設置される。以下、詳細に説明する。
【0019】
貯湯タンク11は、図1図2に示すように、縦に長く、平面視して円形に形成され、200〜500Lの湯を蓄えられる容量を備えている。貯湯タンク11が図示しない配管等と共に収容される筺体12は、貯湯タンク11の前後左右をそれぞれ覆う4つの側壁パネル14と貯湯タンク11の直上に配置された上面パネル15と貯湯タンク11の直下に配置された底面パネル16を有し、縦に長い直方体状に形成されている。上面パネル15及び底面パネル16は矩形状(正方形状を含む)に形成されている。
【0020】
底面パネル16には、外周部に複数(少なくとも3つ、本実施の形態では4つ)の脚材17が取り付けられ、この複数の脚材17は、基礎13に固定されて、筺体12を立設状態で支持する。本実施の形態では、4つの脚材17が、底面パネル16の4つの角部の近傍にそれぞれ設けられている。
基礎13には複数(本実施の形態では6つ)のアンカーボルト18が設けられ、1つの脚材17が1つ、あるいは、2つのアンカーボルト18に固定されることによって、筺体12は基礎13に固定される。
【0021】
各脚材17は、図2図3に示すように、基礎13に当接する金属製の底板部材19と、下部が底板部材19に連結され、底面パネル16に下から当接する立設部材20を備えている。
底板部材19は、矩形の板材から隣り合う2つの角部を取り除いて形成された直線部19a(直線部A)及び直線部19b(直線部B)を外周に備えた形状を有している。本実施の形態では、図2に示すように、底板部材19が、長方形状と二等辺三角形状とを連結して一体とした五角形状である。
各々の脚材17において、底板部材19の外周に形成された直線部19a、19bは、相互に非平行であり、本実施の形態では、直線部19aの延長線が直線部19bの延長線に直交している。なお、直線部19aと直線部19bが直接、直角の角部を形成する場合もある。
底板部材19は、プレス加工によって形成することや、矩形の板材を切断加工して形成することができる。
【0022】
立設部材20は、図3に示すように、鉛直に配置した金属板の左側部(片)及び右側部(片)をそれぞれ中央部(片)に対して直角に折り曲げ、各部の上側を、折り曲げ線に沿って切断して外側へ直角に折り曲げ、3つの水平面部21、21a、21bを設けることによって形成されている。水平面部21は水平面部21bから離れて配置され、水平面部21aは水平面部21、21bにそれぞれ近接している。
立設部材20は、この3つの水平面部21、21a、21bそれぞれの上側全面を底面パネル16に当接することによって、立設部材20が底面パネル16に面接触するようにし、底面パネル16を安定的に支持している。
【0023】
貯湯タンク11の下部には、図1図3に示すように、金属板を折り曲げ平断面L字状に加工された4つの連結金具22が溶接によって取り付けられている。4つの連結金具22は、同一高さで等間隔に配置され、それぞれに2つの貫通孔23が形成されている。この2つの貫通孔23は、異なった高さ位置に配置され、垂直な関係にある2つの平板部にそれぞれ設けられている。
連結金具22には、縦長の金属板を平断面L字状に折り曲げたジョイント材24が連結されている。ジョイント材24には、連結金具22の2つの貫通孔23にそれぞれ対応する2つの貫通孔25が形成され、貫通孔23、25を挿通する図示しない螺子部材によって、ジョイント材24は、連結金具22を介して貯湯タンク11に固定される。
そして、貯湯タンク11は、このジョイント材24によって、筺体12内で立設状態で保たれている。
【0024】
ジョイント材24の下部には底面パネル16の上面に当接する金属製の水平板26が溶接によって固定されている。各水平板26には、2つの貫通孔27が形成され、底面パネル16には、4つの水平板26にある合計8つの貫通孔27にそれぞれ対応する8つの図示しない貫通孔が形成されている。そして、立設部材20にも、水平面部21、21bそれぞれに1つずつ貫通孔28が形成されている。なお、水平面部21、21bに加えて水平面部21aにも貫通孔28を形成し、水平板26に3つの貫通孔27を設けるようにしてもよい。
【0025】
水平板26及び立設部材20は、上下から底面パネル16を挟んだ状態で、水平板26の貫通孔27、底面パネル16の貫通孔及び立設部材20の貫通孔28を挿通する図示しない螺子部材によって連結され、ジョイント材24及び脚材17を底面パネル16に固定している。
4つの脚材17は、図2に示すように、平面視して、貯湯タンク11の外縁に沿って等間隔に配置されている。
【0026】
各脚材17は、底板部材19が、隣り合う脚材17の底板部材19と異なる方向を向いた状態(即ち、各脚材17は、隣り合う脚材17と異なる方向を向いた状態)で底面パネル16に取り付けられている。
各脚材17を隣り合う脚材17と異なる方向を向くように配置しているのは、個々の脚材17は、脚材17の立設状態を保つ安定性が、脚材17に作用する水平方向の力の向きによって異なるためである。4つの脚材17を、隣り合う脚材17の底板部材19が異なる方向を向いた状態で配置することによって、筺体12に作用する力の向きに関わらず、4つの脚材17が筺体12の立設状態を安定して維持可能となる。
【0027】
そして、各脚材17は、隣り合う2つの脚材17が、基礎13上で筺体12を傾けた状態で、一方の脚材17の直線部19aの全体と他方の脚材17の直線部19bの全体とを基礎13に当接可能な位置に配置されている。
このため、図4に示すように、筺体12を傾けた際に、直線部19aの全体を基礎13に当接した脚材17と、その脚材17の隣りにあって、基礎13に直線部19bの全体を当接した脚材17とによって筺体12が支持される。このようにすることにより、基礎に底板部材の角部のみを当接させる場合に比べ、底板部材と基礎の接触部に生じる単位面積当たりの負荷は小さくなり、基礎や脚材が損傷するのを抑制できる。なお、図4では、立設状態の筺体12の上部を紙面に対して奥側に押して、筺体12を傾けた様子を示している。
本実施の形態では、平面視して、対角線上に位置する2つの脚材17が逆方向を向き、隣り合う脚材17の向きが90°異なるように配置され、更に、各脚材17は、直線部19a、19bがそれぞれ隣り合う2つの側壁パネル14に沿うように配置されている。
【0028】
貯湯式給湯ユニット10が設置される基礎13は、基礎コンクリート、あるいは、量産式のブロックであり、アンカーボルト18は、図1に示すように、下側が基礎13に埋め込まれ、上側が基礎13から突出している。
基礎13は、図5に示すように、平面視して、底面パネル16より大きい矩形状(正方形状を含む)であり、基礎13の上側に貯湯式給湯ユニット10が設置される広さを確保している。
本実施の形態において、貯湯式給湯ユニット10は、3つの側壁パネル14が建造物29によって覆われた状態となる位置Pに設置され、基礎13はこの位置Pに設けられている。
【0029】
4つの側壁パネル14のうち、建造物29によって覆われない1つの側壁パネル14を手前側の側壁パネル14、この手前側の側壁パネル14に対向して配置された側壁パネル14を奥側の側壁パネル14として、以下説明を続ける。
各脚材17は、図2図3図5に示すように、底板部材19にアンカーボルト18が挿通可能な貫通孔30を備えている。手前側の側壁パネル14の近傍にある2つの脚材17(以下、「手前側の脚材17」とも言う)は、底板部材19を基礎13に当接した状態で、貫通孔30に挿通されたアンカーボルト18に、図示しないナットを螺合することによって、直接、アンカーボルト18に固定される。
【0030】
一方、奥側の側壁パネル14の近傍にある2つの脚材17(以下、「奥側の脚材17」とも言う)は、筺体12を位置Pに配置した状態で筺体12と建造物29の間に作業員が入るスペースがないことから、特殊な工具を使用しない限り、貫通孔30に挿通したアンカーボルト18にナットを螺合させることはできない。このため、奥側の脚材17は、アンカーボルト18に直接、固定することなく、底板部材19を基礎13に当接した状態で基礎13に固定される。
【0031】
本実施の形態では、図6(A)、(B)に示すように、基礎13に当接するベース板31とベース板31を介して基礎13に固定される押え板32とが、奥側の脚材17を基礎13に固定する部材として用いられている。
ベース板31は、長さの等しい2つの細長片33、33aが直角に連結されて一体となったL字状の金属板であり、ベース板31の両端近傍の位置にそれぞれ貫通孔34(貫通孔H1)及び貫通孔35(貫通孔H2)が形成されている。
押え板32は正方形状の金属板であり、一辺の長さがベース板31の細長片33の長さ及び細長片33aの長さに等しく、対角線上に位置する2つの角部近傍にそれぞれ貫通孔36(貫通孔h1)及び貫通孔37(貫通孔h2)が形成されている。貫通孔36、37は、それぞれベース板31の貫通孔34、35に対応した位置に配置されている。
ベース板31及び押え板32は、このように簡素な形状であるので、金型を用いることなく製造可能であり、イニシャルコストの抑制を図ることができる。
【0032】
押え板32は、貫通孔36、37がそれぞれベース板31の貫通孔34、35の直上に配置された状態でベース板31に載置される。
そして、ベース板31及び押え板32は、貫通孔34と貫通孔34の直上にある貫通孔36とにアンカーボルト18が挿通され、貫通孔35と貫通孔35の直上にある貫通孔37とに別のアンカーボルト18が挿通され、この2本のアンカーボルト18にそれぞれナット38、38aを螺合することによって、基礎13に固定される。
なお、ナット38と押え板32の間及びナット38aと押え板32の間には、それぞれアンカーボルト18に装着されたワッシャー39が設けられている。
【0033】
押え板32は、ベース板31を介して基礎13に固定された状態で、押え板32と基礎13の間に収容空間部40を設ける。奥側の脚材17は、底板部材19が収容空間部40に差し込まれ、平面視して、底板部材19の隣り合う直線部19a、19bがそれぞれベース板31の2辺に当接する位置(以下、「固定位置」とも言う)に配置されて基礎13に固定される。
【0034】
貫通孔36、37は、図6(A)に示すように、押え板32を平面視して、貫通孔36、37を結ぶ直線が、収容空間部40に差し込まれ、固定位置に配置された底板部材19を2分する位置に形成されている。
このため、底板部材19が押え板32に対して押え板32を押し上げようとする力を与えたとしても、アンカーボルト18に螺合されたナット38、38aは、貫通孔36、37を結ぶ直線が固定位置に配置された底板部材19を2分しない場合(図7参照)に比べ、押え板32をアンカーボルト18に固定した状態を保つことができる。
【0035】
また、ベース板31は、収容空間部40の底板部材19の差し込み口に、底板部材19を収容空間部40に案内する2つのガイド構造41を備えている。2つのガイド構造41は、ベース板31の両端部(細長片33、33aの先端部)にそれぞれ設けられ、固定位置に配置された底板部材19に対し非接触となる位置に形成されている。本実施の形態では、ガイド構造41は直線的に形成されているが、これに限定されず、ガイド構造41は湾曲した凸状のR曲状であってもよい。
【0036】
作業者は、図8(A)〜(C)に示すように、底板部材19がベース板31のガイド構造41に接触した状態で、手前側の側壁パネル14から奥側の側壁パネル14に向かって力を与えることにより、底板部材19を固定位置に納めることができる。
従って、作業者は、ベース板31及び押え板32から離れた奥側の脚材17の底板部材19を、精密な位置合わせを行うことなく、収容空間部40に差し込んで固定位置に納めることができる。
【0037】
また、底板部材19を固定位置に納める際に、ベース板31のガイド構造41に当接する底板部材19の角部は、R加工がなされているので、ベース板31のガイド構造41に当接した底板部材19を固定位置に容易に納めることができる。ここで、ガイド構造41に当接する底板部材19の角部とは、底板部材19を固定位置に収めた状態で、ベース板31に当接する2辺が交わる位置にある角部である。
【0038】
貯湯式給湯ユニット10の設置は、基礎13に2組のベース板31及び押え板32を固定した後に、筺体12を、図5に示すように、位置Pに向かって移動させ、2つの奥側の脚材17の底板部材19をそれぞれ2つの収容空間部40に差し込み、その後、手前側の2本の脚材17をそれぞれアンカーボルト18が挿通するようにして、そのアンカーボルト18にナットを螺合することによって行われる。
【0039】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、ベース板及び押え板を用いてアンカーボルトに固定する脚材の数は2つに限定されず、貯湯式給湯ユニットの設置場所に応じて、例えば、1つの脚材のみがベース板及び押え板によってアンカーボルトに固定される場合もある。
【0040】
【符号の説明】
【0041】
10:貯湯式給湯ユニット、11:貯湯タンク、12:筺体、13:基礎、14:側壁パネル、15:上面パネル、16:底面パネル、17:脚材、18:アンカーボルト、19:底板部材、19a、19b:直線部、20:立設部材、21、21a、21b:水平面部、22:連結金具、23:貫通孔、24:ジョイント材、25:貫通孔、26:水平板、27、28:貫通孔、29:建造物、30:貫通孔、31:ベース板、32:押え板、33、33a:細長片、34〜37:貫通孔、38、38a:ナット、39:ワッシャー、40:収容空間部、41:ガイド構造
図1
図2
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図5
図6
図7
図8
図9