(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(a)前記各サイジングロールの外側円柱状ガラスサイジング表面が、該サイジングロールの回転軸に対するその半径および同心度の変動が±0.0125mm以下となるように形成されており、それにより前記サイジングガラスリボンの前記厚さの変動が±0.025mm以下である、または、
(b)前記サイジング間隙の厚さが、1mm以下、0.8mm以下、または1.5mmから2mmまで、のいずれか1つである、
のうちの1つであることを特徴とする請求項1記載のロール成形装置。
前記成形ロールの中心部分の外径が、該成形ロールの外側エッジ部分の外径よりも小さく、それにより前記成形ガラスリボンが、該ガラスリボンの外側領域よりも厚い中心領域を備えて成形されることを特徴とする請求項1記載のロール成形装置。
前記成形ロール対を含んでいる少なくとも1つの成形ロールモジュールと、前記サイジングロール対を含んでいる少なくとも1つのサイジングロールモジュールと含む、複数のモジュールにより特徴付けられ、それによりガラスリボン成形作業がガラスリボンサイジング作業から分離されており、さらに、
(a)一方が他方の下に配置された少なくとも2つのサイジングロールモジュールが設けられ、それにより第1サイジングロールモジュールからの部分的にサイジングされたガラスリボンが、第2サイジングロールモジュールの前記サイジングロールに受け入れられて、前記サイジングガラスリボンを生成する、
(b)一方が他方の下に配置された少なくとも2つの成形ロールモジュールが設けられ、それにより第1成形ロールモジュールからの部分的に成形されたガラスリボンが、第2成形ロールモジュールの前記成形ロールに受け入れられて、前記成形ガラスリボンを生成する、
(c)前記モジュールの夫々が、対応するモジュール内のロールを回転駆動するための回転駆動機構によってさらに特徴付けられ、該回転駆動機構が、他のモジュールの回転駆動機構から独立しかつ別々に制御される、および、
(d)前記成形ロールモジュールおよび前記サイジングロールモジュールの少なくとも1つが、該モジュール内の前記ロールの前記表面温度を感知する赤外線センサと、該センサにより感知された温度に応じて前記ロールの前記表面温度を制御する赤外線加熱器とによってさらに特徴付けられる、
のうちの1以上であることを特徴とする請求項1記載のロール成形装置。
前記サイジングロールモジュールの下に位置する、切断ロールの対を備えた切断ロールモジュールによってさらに特徴付けられ、かつ前記切断ロールの少なくとも1つが、前記ガラスリボンからガラスシートを切断するためのカッターを有し、さらに、
所望の長さの前記ガラスシートを前記ガラスリボンから切断するように、コントローラが、前記カッターが前記ガラスリボンから外れている間の前記切断ロールの回転速さを制御することを特徴とする請求項1記載のロール成形装置。
前記成形ロール対および前記サイジングロール対の中心が、前記鉛直の溶融ガラス流により画成される鉛直平面上に位置していることを特徴とする請求項8記載のプロセス。
前記成形するステップにより成形されるガラスリボンの中心部分の厚さが、該ガラスリボンの外側エッジ部分の厚さよりも厚いことを特徴とする請求項8記載のプロセス。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ガラスのフュージョンドロー成形は、コーニング社によるEagle(商標)ガラスなど、高精度の厚さ制御と表面仕上げとを有する幅広の薄いガラスシートを生成するものである。しかしながら、フュージョン成形は典型的には約100,000ポアズ(約10,000Pa・s)を超える粘度を有するガラスの成形に限定され、また除去する必要がある相対的に厚い望ましくない「エッジビード」を含んだシートが生成される。
【0007】
当技術では、フュージョン成形することができないガラスおよびガラスセラミックの組成を精密成形することが可能な、精密ガラス成形プロセスおよび装置が必要である。さらに当技術では、薄いガラスシートを現在のフュージョン成形プロセスおよびロール成形プロセスで可能な流速よりも速い流速(プロセスの速さ)で精密成形することが可能なプロセスが必要である。さらに当技術では、幅広い粘度を有する幅広いガラス組成を、比較的高精度の厚さ均一性を有する薄いガラスシートに精密成形することが可能な、ロール成形プロセスおよび装置が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本書の実施形態は、溶融ガラス流を1000℃以上の温度で供給するガラス供給機器を備えた、精密ガラスロール成形プロセスおよび装置を含む。表面温度が約500℃以上または600℃以上で維持され、ガラス供給機器の鉛直下方に位置している高温成形ロール対が、供給溶融ガラス流を受け入れて、この供給溶融ガラス流を所望の厚さに近い厚さを有する成形ガラスリボンに成形する。表面温度が約400℃以下、300℃以下、または200℃以下で維持され、成形ロールの鉛直下方に位置している低温サイジングロール対が、成形ガラスリボンを受け入れかつこの成形溶融ガラスリボンを薄くして、所望の厚さと所望の厚さ均一性とを有したサイジングガラスリボンを生成する。サイジングガラスリボンの厚さの変動は±0.025mm以下である。サイジングロールで生成されるサイジングガラスリボンは、1mm以下、または0.8mm以下、または0.75mm以下の厚さを有する、比較的薄いガラスリボンまたはシートとなり得る。
【0009】
牽引ロール対を、サイジングガラスリボンを受け入れかつサイジングガラスリボンに張力を生み出すために、サイジングロールの鉛直下方に設けてもよい。
【0010】
ガラス供給機器は溶融ガラス流を、約1000℃以上のガラス温度で成形ロールに供給してもよい。
【0011】
各サイジングロールは、遮熱を実現するために、断熱材料で形成または被覆された外側表面を有したものでもよい。外側表面は、セラミック材料またはセラミック材料を組み合わせたものから形成してもよい。
【0012】
各サイジングロールは、断熱材料の中空シリンダで形成してもよい。冷却管が、各サイジングロールの内部に冷却流体を供給してもよい。冷却管は中空シリンダの内部の実質上全長に延在している噴霧管でもよく、かつ複数の噴霧孔が、中空シリンダの内部表面に対して冷却流体を噴霧するために、噴霧管に沿って形成されている。噴霧孔を、噴霧管の中心領域に噴霧管の端部領域よりも集中させて設けてもよく、それにより中空シリンダの中心領域は、中空シリンダの端部領域よりも多い容量の冷却流体を受ける。
【0013】
一実施の形態は、フレーム、内側端部および外側端部を有している左上方(および随意的な左下方)サイジングロール支持シャフトと、内側端部および外側端部を有している右上方(および随意的な右下方)サイジングロール支持シャフトであって、左上方サイジングロール支持シャフトおよび右上方サイジングロール支持シャフトが、第1サイジングロールがこれら上方サイジングロール支持シャフトの外側端部に回転的に取り付けられている状態で、互いに平行にかつ同じ高さでフレームに水平かつ滑動的に取り付けられている、左上方および右上方(および随意的な下方)サイジングロール支持シャフト、内側端部および外側端部を有している左中間サイジングロール支持シャフトと、内側端部および外側端部を有している右中間サイジングロール支持シャフトであって、第2サイジングロールがこれら中間サイジングロール支持シャフトの外側端部に取り付けられている状態で、互いに平行にかつ同じ高さでフレームに水平かつ滑動的に取り付けられている、左中間および右中間サイジングロール支持シャフト、(i)上方サイジングロール支持シャフトとそれによる第1サイジングロール、および(ii)中間サイジングロール支持シャフトとそれによる第2サイジングロール、のうちの一方を、フレームに対してもう一方とは反対の方向に前後に駆動する、第1並進駆動機器、を含み得、それにより第1サイジングロールおよび第2サイジングロールを選択的に(i)一緒に動かしてサイジングロール間に所望の間隙を画成し、また(ii)離れさせる。
【0014】
上方サイジングロール支持シャフトの、中間サイジングロール支持シャフトの運動との同期運動を確実にするための同期機構は、一方の上方サイジングロール支持シャフトの、中間サイジングロール支持シャフトに面している側に設けられたギヤ歯、この一方の中間サイジングロール支持シャフトの、この上方サイジングロール支持シャフトに面している側に設けられたギヤ歯、および、フレームに回転的に取り付けられ、この一方の上方サイジングロール支持シャフトのギヤ歯に係合し、かつこの一方の中間サイジングロール支持シャフトのギヤ歯に係合している、第1ピニオンギヤ、を含み得る。
【0015】
同期機構はフレームに回転的に取り付けられたねじり棒をさらに含んでもよい。このとき第1ピニオンギヤは、ねじり棒に付属のものであり、さらに第2ピニオンギヤがねじり棒に付属し、この第2ピニオンギヤは、もう一方の上方サイジングロール支持シャフトのギヤ歯ともう一方の中間サイジングロール支持シャフトのギヤ歯とに係合して、第1サイジングロールと第2サイジングロールとが互いに平行に動くよう、左側のサイジングロール支持シャフトの、右側のサイジングロール支持シャフトの運動との同期運動を確実にする。
【0016】
本書の実施形態による成形プロセスは、溶融ガラス流を供給するステップ、表面温度が約500℃以上で維持されている高温成形ロールの対を用いて供給溶融ガラス流を成形して、所望の厚さに近い厚さを有する成形ガラスリボンを成形するステップ、表面温度が約400℃以下、300℃以下、または200℃以下で維持されている低温サイジングロールの対を用いて成形ガラスリボンをサイジングして、所望の厚さと所望の厚さ均一性とを有したサイジングガラスリボンを生成するステップ、を含み得る。サイジングガラスリボンの厚さの変動は±0.025mm以下となり得る。サイジングロールで生成されたサイジングガラスリボンは、1mm以下、または0.8mm以下、または0.75mm以下の厚さを有し得る。ガラス供給機器は溶融ガラス流を、約1000℃以上のガラス温度、例えば約1000℃から約1500℃までの範囲のガラス温度で、成形ロールに供給してもよい。
【0017】
ガラスまたはガラスセラミックロール成形装置の実施形態は、供給溶融ガラス流を供給するためのガラス供給機器を含み得る。この実施形態は、表面温度が約500℃以上で維持されている高温成形ロールの対であって、成形ロールが、成形ロール間にガラス成形間隙を画成して互いに間隔を空け近接して隣接しており、このときガラス成形間隙が、供給溶融ガラス流を受け入れかつ供給溶融ガラス流を成形ロール間で薄くして所望の厚さに近い成形厚さを有した成形ガラスリボンを成形するために、ガラス供給機器の鉛直下方に位置している、成形ロール対を含んでもよい。さらにこの実施形態は、表面温度が約400℃以下で維持されている低温サイジングロールの対であって、サイジングロールが、サイジングロール間にガラスサイジング間隙を画成して互いに間隔を空け近接して隣接しており、このときガラスサイジング間隙が、成形ガラスリボンを受け入れかつ溶融ガラスの成形ガラスリボンを薄くして所望の厚さと所望の厚さ均一性とを有したサイジングガラスリボンを生成するために、成形ロールの鉛直下方に位置している、サイジングロール対を含んでもよい。溶融ガラスは成形ロールに、約1000℃以上の表面溶融ガラス温度で供給してもよい。溶融ガラスは成形ロールに、約200ポアズ(約20Pa・s)から約10,000ポアズ(約1,000Pa・s)までの範囲内のガラス粘度で供給してもよい。
【0018】
いくつかの実施形態において、各サイジングロールの外側円柱状ガラスサイジング表面は、サイジングロール回転軸に対するその半径および同心度の変動が±0.0125mm以下となるように形成されており、それによりサイジングガラスリボンの厚さの変動は、±0.025mm以下である。
【0019】
いくつかの実施形態において、サイジング間隙の厚さは1mm以下であり、それによりサイジングロールで生成されるサイジングガラスリボンの厚さは1mm以下である。サイジング間隙の厚さは0.8mm以下でもよく、それによりサイジングロールで生成されるサイジングガラスリボンの厚さは0.8mm以下である。サイジング間隙の厚さは、約1.5mmから約2mmまででもよい。
【0020】
いくつかの実施形態は、サイジングガラスリボンを(i)安定させる、および(ii)延伸する、のうちの少なくとも1つのために、サイジングガラスリボンを受け入れかつサイジングガラスリボンに十分な張力を生成する、サイジングロールの鉛直下方に位置している牽引ロール対を含んでいる。
【0021】
いくつかの実施形態においてロール成形装置は、第1サイジングロールの各端部に隣接して取り付けられた第1スペーサリング対と、第2サイジングロールの各端部に隣接して取り付けられた第2スペーサリング対とを含んでいる。並進駆動機器が、第1スペーサリング対を第2スペーサリング対と係合させて第1サイジングロールと第2サイジングロールとを共に押し付け、それによりサイジングロール対の間にガラスサイジング間隙を精密に画成する。スペーサリングは、サイジングロール対を共に押し付けたときに間隙幅が約1mm以下、0.8mm以下、または0.7mm以下のガラスサイジング間隙を画成するように、精密に形成することができ、またセラミック製の外側シリンダ夫々の外側周囲表面は、表面の同心度変動±0.0125mm以下で精密に形成することができる。
【0022】
いくつかの実施形態において、サイジングロール対は第1サイジングロールと第2サイジングロールとを含み、かつこのサイジングロール対は、フレームをさらに含んでいるサイジングロールモジュールに含まれている。フレームは、内側端部および外側端部を有している左第1上方サイジングロール支持シャフト、および、内側端部および外側端部を有している右第2上方サイジングロール支持シャフト、であって、第1サイジングロールがこれら第1および第2上方サイジングロール支持シャフトの外側端部に回転的に取り付けられている状態で、互いに平行にかつ同じ高さで水平かつ滑動的にフレームに取り付けられている左第1上方サイジングロール支持シャフトおよび右第2上方サイジングロール支持シャフトを備えている。このフレームはさらに、内側端部および外側端部を有している左第3中間サイジングロール支持シャフト、および、内側端部および外側端部を有している右第4中間サイジングロール支持シャフト、であって、第2サイジングロールがこれら第3および第4中間サイジングロール支持シャフトの外側端部に第1サイジングロールと同じ高さで第1サイジングロールに平行に取り付けられている状態で、互いに平行にかつ第1および第2サイジングロール支持シャフト下方の同じ高さでフレームに水平かつ滑動的に取り付けられている左第3中間サイジングロール支持シャフトおよび右第4中間サイジングロール支持シャフトを備えている。さらにこのフレームは、(i)第1および第2上方サイジングロール支持シャフトとそれによる第1サイジングロール、および(ii)第3および第4中間サイジングロール支持シャフトとそれによる第2サイジングロール、のうちの一方を、フレームに対して前後に駆動するためのサイジングモジュール並進駆動機器を備えている。さらにこのフレームは、(i)第1および第2上方サイジングロール支持シャフトとそれによる第1サイジングロール、および(ii)第3および第4中間サイジングロール支持シャフトとそれによる第2サイジングロール、のうちの一方がフレームに対して前後に並進駆動されている方向とは反対の方向に、(i)第1および第2上方サイジングロール支持シャフトとそれによる第1サイジングロール、および(ii)第3および第4中間サイジングロール支持シャフトとそれによる第2サイジングロール、のうちの他方を、フレームに対して前後に駆動するための、同期機構を備え、それにより第1サイジングロールおよび第2サイジングロールを選択的に(i)一緒に動かしてサイジングロール間に所望のガラスサイジング間隙を画成し、また(ii)離れさせる。
【0023】
同期機構は、一方の第1上方サイジングロール支持シャフトの、第3中間サイジングロール支持シャフトに面している側に設けられた第1ギヤ歯、一方の第3中間サイジングロール支持シャフトの、第1上方サイジングロール支持シャフトに面している側に設けられた第3ギヤ歯、および、一方の上方サイジングロール支持シャフトの第1ギヤ歯に係合し、かつ一方の中間サイジングロール支持シャフトの第3ギヤ歯に係合した状態で、フレームに回転的に取り付けられている、第1ピニオンギヤ、を含み得、それにより第1サイジングロールおよび第2サイジングロールが確実に互いに同期して動くようにすることができる。
【0024】
この同期機構は、第2サイジングロール支持シャフトの、第4サイジングロール支持シャフトに面している側に設けられた第2ギヤ歯、第4サイジングロール支持シャフトの、第2サイジングロール支持シャフトに面している側に設けられた第4ギヤ歯、フレームに回転的に取り付けられたねじり棒、をさらに含んでもよい。第1ピニオンギヤは、ねじり棒に付属のものであり、さらに第2ピニオンギヤがねじり棒に付属し、この第2ピニオンギヤは、もう一方の上方サイジングロール支持シャフトの第2ギヤ歯ともう一方の中間サイジングロール支持シャフトの第4ギヤ歯とに係合して、第1サイジングロールおよび第2サイジングロールが確実に互いに平行にかつ同期して動くようにする。
【0025】
ロール成形装置は、少なくとも2つのこのサイジングロールモジュールを、一方を他方の鉛直下方に位置させかつ同じ鉛直平面上で位置合わせして含んでもよい。ロール成形装置は、成形ロールモジュールを含み得る。
【0026】
成形ロールモジュールは、成形ロールフレーム、内側端部および外側端部を有している第1成形ロール支持シャフト、さらに内側端部および外側端部を有している第2成形ロール支持シャフト、を含み得る。第1成形ロール支持シャフトおよび第2成形ロール支持シャフトは、第1成形ロールがこれら第1および第2成形ロール支持シャフトの外側端部に回転的に取り付けられている状態で、互いに平行にかつ同じ高さでフレームに水平かつ滑動的に取り付けられ得る。成形ロールモジュールは、内側端部および外側端部を有している第3成形ロール支持シャフトと、内側端部および外側端部を有している第4成形ロール支持シャフトとを含み得る。第3成形ロール支持シャフトおよび第4成形ロール支持シャフトは、第2成形ロールがこれら第3および第4成形ロール支持シャフトの外側端部に第1成形ロールと同じ高さで第1成形ロールに平行に取り付けられている状態で、互いに平行にかつ第1および第2成形ロール支持シャフト下方の同じ高さでフレームに水平かつ滑動的に取り付けられ得る。成形ロールモジュールは、(i)第1および第2成形ロール支持シャフトとそれによる第1成形ロール、および(ii)第3および第4成形ロール支持シャフトとそれによる第2成形ロール、のうちの一方を、フレームに対して前後に駆動するための成形モジュール並進駆動機器を含んでもよい。(i)上方の成形ロール支持シャフトとそれによる第1成形ロール、および(ii)下方の成形ロール支持シャフトとそれによる第2成形ロール、のうちの一方が並進駆動されている方向とは反対の方向に、(i)第1および第2成形ロール支持シャフトとそれによる第1成形ロール、および(ii)第3および第4成形ロール支持シャフトとそれによる第2成形ロール、のうちの他方を、フレームに対して前後に駆動する同期機構を提供してもよく、それにより第1成形ロールおよび第2成形ロールを選択的に(i)一緒に動かして成形ロール間に所望の間隙を画成し、また(ii)離れさせる。本書のいくつかの実施形態では、ねじ山を(i)第1および第2サイジングロール支持シャフト、および(ii)第3および第4サイジングロール支持シャフト、の一方に含んでもよく、さらにサイジングロールの互いに向かう動きを停止させてサイジングロール間に所望のサイジング間隙を画成するために、フレームに接触するネジ付ロックカラーを、このねじ山に設けてもよい。ロックカラーをねじ山上で回転させるカラー駆動機器を含んでもよく、それによりサイジングロール間の所望のサイジング間隙の厚さを調整してもよい。サイジングガラスリボンの厚さを検出するセンサを含んでもよく、カラー駆動機器は、このセンサによって検出されたサイジングガラスリボンの厚さに応じてロックカラーを回転させて、サイジングガラスリボンの厚さを許容できる範囲内で維持する。
【0027】
ロール成形装置は、成形ロール対を含有している少なくとも1つの成形ロールモジュールと、サイジングロール対を含有している少なくとも1つのサイジングロールモジュールとを含む、複数のモジュールから形成され得、それによりガラスリボン成形作業はガラスリボンサイジング作業から分離される。少なくとも2つのサイジングロールモジュールを、一方を他方の下に配置して設けてもよく、それにより部分的にサイジングされた第1サイジングロールモジュールからのガラスリボンを第2サイジングロールモジュールのサイジングロールが受け入れて、サイジングガラスリボンを生成する。少なくとも2つの成形ロールモジュールを、一方を他方の下に配置して設けてもよく、それにより部分的に成形された第1成形ロールモジュールからのガラスリボンを第2成形ロールモジュールの成形ロールが受け入れて、成形ガラスリボンを生成する。
【0028】
ロール成形装置は、サイジングガラスリボンを受け入れるようにこの1以上のサイジングロールモジュールの下方に位置している、ガラス取出機器を含んでもよい。このガラス取出機器は、複数の(i)コンベヤ上真空ガラス成形型、および(ii)フラットコンベヤのうちの、1つを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、第1ベアリングブロック対が第1サイジングロールを回転的に取り付けてもよく、かつ第2ベアリングブロック対が第2サイジングロールを回転的に取り付けてもよい。この実施形態は、第1ベアリングブロック対と第2ベアリングブロック対とを互いに近づけたり離したりして動かすための並進駆動機器、および、様々な厚さの複数のシム対であって、第1ベアリングブロック対と第2ベアリングブロック対との間に、選択された厚さの選択されたシム対を選択的に置くためのシム対、を含み得、それにより並進駆動機器が第1ベアリングブロック対と第2ベアリングブロック対とを互いに向けて動かして、選択されたシム対と係合させると、選択された厚さのガラスサイジング間隙がサイジングロール間に形成される。
【0030】
いくつかの実施形態において、ガラスまたはガラスセラミックロール成形プロセスは、鉛直の溶融ガラス流を供給するステップ、表面温度が約500℃以上または約600℃以上で維持されている高温成形ロールの対を用いて供給溶融ガラス流または供給溶融ガラスセラミック流を成形して、所望の厚さに近い成形厚さを有する成形ガラスリボンを成形するステップ、表面温度が約400℃以下、約300℃以下、または約200℃以下で維持されている低温サイジングロールの対を用いて成形ガラスリボンをサイジングして、成形厚さよりも薄い所望の厚さと所望の厚さ均一性とを有したサイジングガラスリボンを生成するステップ、を含んでいる。サイジングガラスリボンの厚さ均一性の変動は、±0.025mm以下となり得る。サイジングロールで生成されたサイジングガラスリボンは、1mm以下または0.8mm以下の厚さを有し得る。成形ガラスリボンは、約1.5mmから約2mmまでの厚さを有し得る。溶融ガラス流は成形ロールに、約1000℃以上の表面ガラス温度で供給してもよい。溶融ガラスは、約200ポアズ(約20Pa・s)から約10,000ポアズ(約1,000Pa・s)までの範囲内のガラス粘度で供給してもよい。
【0031】
溶融ガラスは、成形ロール対の間に形成されたニップの中心へと、溶融ガラスの溜まりが成形ロールのニップで形成されるように供給してもよい。溶融ガラスの溜まりは、約10mmから約20mmまでの厚さを有し得る。
【0032】
本書の全ての実施形態は、サイジングガラスリボンを(i)安定させる、および(ii)延伸する、のうちの少なくとも1つのために、サイジングガラスリボンを牽引してサイジングガラスリボンに十分な張力を生成するステップを含んでもよい。
【0033】
成形ロール対およびサイジングロール対は、その中心を、鉛直溶融ガラス流により画成される鉛直平面上に置いてもよい。
【0034】
(i)成形ガラスリボンに鉛直張力を生成する、および(ii)成形ガラスリボンを延伸する、のうちの少なくとも1つのために、ガラスサイジングロールをガラス成形ロールよりも速い速さで回転駆動してもよい。
【0035】
サイジングロール対を回転駆動するために、回転駆動機器機構を含んでもよい。回転駆動機器機構は、回転駆動機器機構をサイジングロール対に結合させるシュミットカップリングを含み得、それによりサイジングロール対は速度変動を伴わずに、サイジングロールの回転速さで回転駆動される。各モジュール内の回転駆動機構は対応するモジュール内のロールを回転駆動することができ、これは他のモジュールの回転駆動機構から独立かつ分離して制御される。コントローラが、各モジュール内のロール夫々の、回転速さおよびトルクの一方を制御してもよい。各モジュールは、対応するモジュール内の各ロールの回転速さおよび/またはトルクを感知するセンサを含んでもよく、各モジュールは対応する信号をコントローラに送信し、コントローラはこの信号に応じて各ロールの速さおよびトルクの一方を所望の動作範囲内になるように制御する。
【0036】
切断ロール対を備えた切断ロールモジュールをサイジングロールモジュールの下方に設けてもよく、さらに切断ロールの少なくとも1つは、ガラスリボンからガラスシートを切断するためのカッターを有している。所望の長さのガラスシートをガラスリボンから切断するように、カッターがガラスリボンから外れている間の切断ロールの回転速さを制御してもよい。
【0037】
成形ロールとサイジングロールとのうちの少なくとも1つの表面の温度を、センサで感知してもよい。成形ロールとサイジングロールとのうちの少なくとも1つの表面温度を、センサで感知した温度に応じて制御してもよい。
【0038】
少なくとも1つの成形ロールの中心部分の外径は、その成形ロールの外側部分の外径よりも小さくてもよく、それによりガラスリボンは、その外側領域よりも厚い中心領域を備えて成形される。本書の全ての実施形態において、成形するステップは、中心部分の厚さが外側エッジ部分よりも厚いガラスリボンを成形し得る。
【0039】
本書の全ての実施形態において、ガラスを供給するステップは、(i)可変流速のガラスおよび(ii)不連続流のガラス、のうちの一方を供給し得る。サイジングロール対は、速度変動を伴わずに、サイジングロールの回転速さで回転駆動され得る。
【0040】
本書の全ての実施形態は、各ロール対の回転速度またはトルクを、他のロール対から独立かつ分離して制御するステップを含み得る。
【0041】
その少なくとも一方が、ガラスリボンからガラスシートを切断するためのカッターを有している切断ロールの対を、サイジングロールの下方に設けてもよく、さらに、所望の長さのガラスシートをガラスリボンから切断するように、少なくとも1つのカッターがガラスリボンから外れている間の切断ロール対の回転速さを制御するステップを含み得る。
【0042】
ガラス成形ロール対は、ガラス成形ロール間にガラス成形間隙を画成するように間隔を空けてもよく、かつガラスサイジングロール対は、ガラスサイジングロール間にガラス成形間隙よりも小さいガラスサイジング間隙を画成するように間隔を空けている。
【0043】
さらなる特徴および利点は以下の詳細な説明の中に明記され、ある程度は、本書に含まれる詳細な説明、添付の図面および請求項を再検討すると、あるいは本書で説明されるように実施形態を実施することにより、当業者には容易に明らかになるであろう。
【0044】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、単なる例示であり、本請求項の本質および特徴を理解するための概要または構成を提供することを意図したものであることを理解されたい。添付の図面は、さらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれかつその一部を構成する。図面は1以上の実施形態を示し、そしてその説明とともに、種々の実施形態の原理および動作を説明するのに役立つ。
【発明を実施するための形態】
【0046】
ここで本発明の好ましい実施形態を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。可能な限り、図面を通じて、同じまたは同様の部分の参照に同じ参照番号を使用する。極薄く精密な厚さの板ガラスを生成するための高精度ガラスロール成形装置およびプロセスの一実施の形態を、
図1に概略的に示し、概して全体を通じて参照番号10で示す。
【0047】
本説明および添付の請求項の中で「薄い」または「極薄い」という用語がガラスシートに関連して使用されるときには、厚さが約1mm以下、または約0.8mm以下、あるいは0.75mm以下のガラスのシートを意味する。
【0048】
本説明および添付の請求項の中で「精密な厚さ」という用語がガラスシートに関連して使用されるときには、その変動が±0.025mm以下の実質的に均一な厚さを有するガラスシートを意味する。
【0049】
ここで
図1および2を参照し、単に例としてフィッシュテールすなわち供給スロット12から、溶融ガラス流11を、第1対の成形ロール14および16の間のニップの中心に送出してもよい。スロットオリフィスは、様々な幅/長さ、および厚さを有するものとすることができる。ガラス流は、第1対の成形ロール14および16のニップに約1000℃以上のガラス温度で送出され得る。第1対の成形ロールは、成形されるガラスの組成および粘度に応じて表面温度が約500℃から約600℃以上の範囲で温度制御される、従来の高温成形ロールである。成形ロールを温度制御するためのプロセスおよび機器は、当技術では十分に理解されているため、本書では詳細に説明しない。第1/高温成形ロールは、溶融ガラス流11を平坦に、薄く、かつ滑らかにして、例えば厚さ約1.5mmから約2mmまでの平坦なガラスシート21にする。
【0050】
成形ロール14および16は鋼から形成したものでもよい。高温成形ロールの成形表面は、高温のガラスをロールのニップに送出することにより生じる高温成形ロールの熱膨張を補償するよう、若干起伏のあるものとしてもよい。ガラスリボンの両側エッジ付近がその中間よりも厚く形成される「ドッグボーン」というガラスリボンの形状効果を回避するため、高温成形ロールから出てくるガラスシート21の中心領域が、その外側すなわちエッジ部分よりも若干厚くなるように、成形ロールの中心部分をその外側すなわちエッジ部分よりも薄く、例えば外径を小さくするよう、成形ロールの輪郭をテーパさせてもよいし、あるいは可変のものにしてもよい。外側すなわちエッジ領域がより厚くなった状態でガラスリボンが成形されると、後に説明するようにサイジングロールでガラスリボンをサイジングするときに、ガラスリボンに皺または波状部分が形成される可能性がある。当技術では理解されるように、成形ロールの回転速さおよび温度、そして成形ロール間の間隙のサイズは、慎重に選択および制御されて、所望の幅および厚さを有するガラスリボン21が生成される。
【0051】
高温成形ロール14および16から出たガラスシート21は、その後第2対の成形ロール24および26間のニップの中心に送出される。第2対の成形ロール24および26は、ガラスシート21をさらに成形しかつ薄くして所望の精密な厚さ/サイズにする、例えばガラスシートをサイジングする、精密寸法のサイジングロールである。サイジングロール24および26の表面温度は、400℃以下、または300℃以下、または200℃以下、または約100℃から約400℃、または約100℃から約300℃、または約100℃から約200℃といった、従来の成形ロールに比べて比較的低い温度に温度制御される。サイジングロールの表面温度は、ガラス組成およびプロセス/装置構成が許容できる限り低い温度とするべきである。低温サイジングロールの外側ガラスサイジング表面は、公差±0.0125mm以下のサイズおよび振れ(例えば、ロールの回転軸に関する外側サイジング表面の半径および同心度)で形成された、精密寸法のシリンダである。低温サイジングロールの外側ガラス成形表面は、断熱材料で形成または被覆されている。例えば低温成形ロールの外側ガラス成形表面は、セラミック製の断熱シリンダ、断熱スリーブ、または断熱コーティングで形成してもよい。断熱シリンダは遮熱を実現して、高温溶融ガラスリボンから低温成形ロールに伝達される熱の量を最小限に抑える。断熱シリンダが実現する遮熱により、ガラスを過度に急速に冷却してガラスシートまたはリボンに亀裂またはひびを生じさせることなく、サイジングロールを200℃未満で、または100℃未満でも運転することができる。さらに、サイジングロールを200℃未満または100℃未満で運転すると、熱膨張に起因してサイジングロール24および26の外側ガラス成形表面の輪郭に生じる変化は極僅かであるため(運転中、サイジングロールの温度は成形ロールの温度ほど大きく上昇しない)、成形されたリボンの精密な厚さ制御は、生成されたガラスシートに対する仕上げ作業を後に設けなくても、溶融ガラスリボンの低温ロールサイジングのみによって達成することができる。
【0052】
成形ロールでガラスを約1.5mmから約2mmの比較的厚いガラスシートに成形すると、シートの中心に十分な熱エネルギーを有している成形ガラスシート内には十分な質量の溶融ガラスが残されており、これによって、成形ロールと接触することで冷却されたガラスシートの外側表面が再加熱される。ガラスシートの外側領域がこのように再加熱されると、成形ロールとサイジングロールとの間でガラスシートを随意的に延伸かつ薄くすることができ、さらにサイジングロールでサイジングすることができる。
【0053】
精密寸法のスペーサリング34および36を、各サイジングロール24および26の端部付近に取り付けてもよい。スペーサリングは、公差が±0.0125mm以下の範囲内の円筒状外側表面を有するように精密に機械加工されたものである。本書において後により詳細に説明するが、サイジングロール24上のスペーサリング34がサイジングロール26上のスペーサリング36に接触して圧迫するように、サイジングロールを共に押し付ける。このようにして、サイジングロール24および26間の精密な間隙制御は、ベアリングブロックまたは支持構造の任意の熱膨張に拘わらず確実に実現される。スペーサリングは、高温成形ロール14および16でも同様に随意的に使用してもよい。成形ガラスリボン21は、サイジングロール24および26によってさらに薄くかつ精密に成形されて、公差が±0.025mm以下の範囲内の精密な厚さを有する極薄いサイズの(例えば厚さが約1mm以下、0.8mm以下、または0.75mm以下の)ガラスリボン31となる。当技術では理解されるように、サイジングロールの回転速さおよび表面温度、そしてサイジングロール間の間隙のサイズは、慎重に選択および制御されて、所望の幅および精密な厚さを有するガラスリボン31が生成される。必要であれば、高精度の厚さを有する極薄いガラスシートを成形するための他、さらに熱制御、誘導、および平坦度に配慮するために、2以上のサイジングロール対(1対のみが図示されている)を、一方を他方の下にして連続した形で採用してもよい。
【0054】
ガラスリボンを安定させる、ガラスリボン31を伸ばす、ガラス成形領域内のガラス流11およびガラスリボン21を下流プロセスと分離させる、ガラスリボン31の平坦さを維持する、または、ガラスリボンをさらに薄くしてガラスリボン41を成形する、ために、1以上の対の従来の牽引ロール44および46を、ガラスリボン31を下方に牽引しかつガラスリボン31に若干の張力を生じさせるためにサイジングロール24および26の下に随意的に提供してもよい。これらの牽引ロールの表面の材料およびテクスチャは、精密成形された/精密寸法のガラスリボン/シート41の所望の表面仕上げに悪影響を及ぼさないように適切に選択しなければならない。ガラスリボン31または41はその後冷却されて取出機構に送出され、ここでガラスリボンは所望サイズの個々のガラスシートに切断される。この取出機構は、ガラスの移動しているシートの下部からガラスシートを罫書きして分割する移動アンビルと、分離されたガラスシートをガラス成形装置から取り出すためのベルヌーイチャックを備えたロボットアームとでもよく、あるいは、ガラス切断ステーション、(エッジおよび表面の)仕上げステーション、または形作るためのステーションなどの、下流のガラス処理ステーションに、ガラスリボンを移送する水平コンベヤでもよい。
【0055】
溶融ガラス流11は、任意の適切なガラス送出方法を用いて、高温成形ロール14および16のニップの中心に供給してもよい。例えば溶融ガラスは、るつぼまたは予め成形された取鍋から、バッチで成形ロールに送出してもよいし、あるいはフィッシュテールオリフィス、スロットオリフィス、フュージョン成形アイソパイプ、または押出炉(extrusion furnace)から、ガラス流として成形ロールに連続的に供給してもよい。
【0056】
図3に概略的に示したように、取鍋すなわちるつぼ70を採用して、溶融ガラスのバッチを高温成形ロール14および16のニップに供給してもよい。取鍋70には既知の手法で溶融ガラスが満たされる。その後、溶融ガラスの取鍋を高温成形ロール14および16のニップの上方の場所へと動かし、取鍋を傾けて溶融ガラスを高温成形ロール14および16のニップ内に流し込む。成形ロール14および16で所望の幅のガラスリボンを成形するためにガラスが取鍋から所望の流速で流し込まれるよう、取鍋を制御して傾けてもよい。あるいは、成形ロール14および16の長さに対する取鍋の容積次第では、取鍋は中身の溶融ガラスを成形ロール14および16のニップ上に素早く放出し、成形ロールのニップ上に溶融ガラスの溜まりを形成してもよい。その後、この溜まりからの溶融ガラスが重力と回転している成形ロールのガラス成形表面とによって下方に延伸されて、成形ガラスリボン21に成形される。ただし、ガラスが取鍋から一度に全て放出されるプロセスでは、ガラスリボン21の幅の制御は困難となり得る。
【0057】
図4および5は、連続的なフュージョンドローガラス成形プロセスのアイソパイプ80を概略的に示したものである。アイソパイプ80は、上方トラフ状部分82と下方ウェッジ状部分83とを備え、これらが組み合わさって単一の成形本体80を形成している。トラフ状部分は、第1内部トラフ側面を有した第1トラフ側壁と、第2内部トラフ側面を有した第2トラフ側壁と、さらにトラフ底面88とを備え、これらが一緒になって開口チャネル(「トラフ」とも呼ばれる)90を画成し、この中に典型的には入口管78またはトラフの開口端部からガラス溶融物が導入される。トラフを溶融ガラスで満たし、さらにこの溶融ガラスが、第1トラフ壁の第1トラフ上面94と第2トラフ壁の第2トラフ上面96とを越えて2つの分離したガラスリボンとして流れ、第1外部トラフ側面84と第2外部トラフ側面86に沿って下降し、さらに第1外部トラフ側面84に接続されている傾斜した第1ウェッジ側面104と、第2外部トラフ側面86に接続されている傾斜した第2ウェッジ側面106とに沿って下降するようにすることができる。2つのウェッジ側面104および106が交わる底部108で2つのガラスリボンが融合して単一のガラスリボン111を形成し、これが成形ロール14および16のニップ内に供給される。
【0058】
ガラス溶融物は、滑らかで連続的なガラスリボンを形成するために、第1トラフ上面94および第2トラフ上面96を溢れ出るときにこれらを連続的に覆うものであるべきである。同様に、アイソパイプの外部側面84、86、104、および106を流れ落ちるガラスリボンは、アイソパイプの一方の端部から他方の端部まで著しい厚さの変動なく、(端部キャップやエッジ誘導部材などの他のアイソパイプ付属品による物理的制約を受けて)側面全体を覆うものであるべきである。アイソパイプの底部でガラスシートを確実に生成することができるように、2つのリボンの状態のガラス溶融物の流れは長時間に亘って一貫しかつ安定したものであることが望ましい。成形炉の運転期間の開始時にガラスの流れが完全で安定しかつ一貫したリボンを所望の厚さと流速で確立するには、いくらか時間がかかるであろう。
【0059】
第1トラフ上面および第2トラフ上面の全長に沿ったガラス溶融物の流速や分布が変動すると、延伸の下部で生成される最終的なガラスシートの厚さや厚さ変動に影響を与える。従って、炉の全運転期間中のガラスの全生産量を増加させるためには、安定したガラスリボンを確立するのに必要な初期の始動期間を、始動中に生成されるスクラップガラスすなわち廃棄ガラスの量を最小限に抑えるようできる限り短くするべきである。本書のガラス成形装置の成形ロールおよびガラスサイジングロールを使用すると、ガラスリボン/ガラス流111(すなわち、前述したガラス流11)の流速および厚さの変動を補償することができる。従って、ガラスをアイソパイプに供給するための制御方式を、簡略化することができるし、またそれほど厳格に制御しなくてもよい。さらに、精密な厚さのガラスリボン111(すなわち、前述したガラス流11)の安定性および品質に影響を与えずに始動期間を短縮することができ、始動中に生じるスクラップガラスを減らすことができる。従って本書において説明するガラス成形装置およびプロセスでは、従来の精密な厚さのガラス成形装置およびプロセスに比べて、生産量を増加させるとともに操業コストを削減することができる。
【0060】
アイソパイプまたはオーバーフローパイプを用いてガラスリボン111をフュージョン成形し成形ロールのニップ内に供給すると、スロット供給の配置で可能なものよりも幅広のガラスシートを精密な厚さで成形することができる。例えば、最大約10フィート(約304.8cm)幅のガラスリボンが、アイソパイプまたはオーバーフローパイプによるフュージョンドローガラス成形プロセスを用いてコーニング社で既に製造されている。スロット供給配置では、典型的には、600mmから900mm以下の幅を有するガラスリボンの成形に限定される。
【0061】
ガラス供給スロット12またはアイソパイプの底部108を、成形ロール14および16のニップにできるだけ近づけて置くと、成形ロール14、16のニップの位置での送出温度が約1000℃以上(例えば、約1000℃から約1500℃)の比較的低粘度の薄いガラスを、本書で説明するロール成形装置でのガラスシートの成形に採用することができる。例えば、送出温度で約200ポアズ(約20Pa・s)の粘度を有するガラスおよびガラスセラミック組成や、約10,000ポアズ(約1,000Pa・s)以上の高粘度のガラスおよびガラスセラミック組成を、本書で説明および図示する精密ガラスロール成形装置で精密な厚さで成形することができる。このような低粘度のガラス組成は、従来のスロットドロープロセスおよびフュージョンドロープロセスを用いて成形することはできず、というのも溶融ガラス流/リボン11、21、31、111は、それ自体の重量下および/または従来のこれらのプロセスで溶融ガラスリボンに加えられる張力下では不安定になり、形が崩れてしまうためである。さらに
図6Aに概略的に示したように、成形ロールで成形される前の、ガラス流11またはリボン111がどうしても細くなってしまう時間を最小にするために、ガラス供給スロット12またはアイソパイプの底部108を成形ロール14および16のニップにできるだけ近づけて置くと、生成されるガラスシートの幅を最大にすることができる。例えば、成形ロール14、16のニップを線Aの位置に置くと、成形ロールに送出されたときのガラス流11またはリボン111の幅は、成形ロールのニップが
図6Aの線Bの位置に置かれたときよりも幅広になる。ガラスが一旦成形ロール14、16で成形されると、ガラス成形プロセスおよびサイジングプロセスの残りの間ガラスリボン21、31の幅は実質的に一定となり、さらに細くはなり難い。
【0062】
図6Bに示したように、溶融ガラス流11を成形ロール14、16間のニップの中心に、破線98で示したように供給すると有利である。ガラス流11を成形ロール14、16間の中心に置くと、ガラス流11の両側が対応する成形ロールに、同じ時間と距離の間(
図6Bに弧T
1で概略的に示したように)接触した状態となり、そのためガラス成形中に両側が同じ程度まで冷却される。水平のガラスロール成形プロセスでよく見られるが、溶融ガラス流11が
図6Bに破線101で示したようにニップの片側にずれて成形ロールに供給されると、ガラス流の片側が一方の成形ロール14に、ガラス流の他方の側が他方の成形ロールに接触するのよりも高く/早く接触することになる。その結果、ガラス流11の片側は、ガラス流の他方の側が他方の成形ロール16に接触している時間および距離T
3よりも長い時間および距離T
2の間、対応する成形ロール14に接触することになる。従って成形ロールで成形されている間、ガラス流11のこの片側は、対応する成形ロールと接触することによってガラスリボンの他方の側よりも低い温度まで冷却される。この偏った冷却によってガラスリボン21内に熱応力が生じ、これによりガラスリボンが曲がったり、または折れ曲がったりして、得られるガラスリボン21にリップルが形成されることがある。
【0063】
図6Bに示したように、成形ロール14および16のニップに溶融ガラスの小さい溜まり99を形成すると有利になり得る。成形ロールのニップに緩衝量のガラスを提供することによって、この溜まりが、実質的に一定の厚さを有するガラスリボン21を成形ロールで確実に成形する助けとなり得る。このガラスの緩衝量が、ニップの位置で得られるガラスの小さい液溜めを提供し、成形ロール14および16のニップに供給されている溶融ガラス流11の流速または厚さの変動を補償する。ガラス流11の流速は一時的には低下するはずであり、このガラスの溜まりすなわち液溜めがないと、均一な厚さのガラスリボン21を生成するのに十分なガラスがこの時に成形ロールのニップに存在していない可能性がある。このときリボン21には、所望のものより薄く、かつガラスリボン21の残りの部分よりも薄い、薄い部分が形成され得る。精密なガラス供給制御によれば、
図5に示したように成形ロールのニップの位置で溜まり99を形成しなくても、実質的に一定流速のガラス流11を供給して、実質的に一定幅のガラスリボン21を成形ロールで成形することが可能である。ガラスの溜まりは、ガラスのバッチ間で、または低速のガラス供給速度で、ガラスの液溜めを提供し得る。このように本ガラスロール成形システムは、ガラスの供給速度とガラス成形プロセスの速さすなわち速度とを、効率的に切り離すことができる。このように、可変流速のガラス供給システムや、また不連続なまたは供給バッチ間に滞留時間を有するバッチ式のガラス供給システムでさえも、選択可能な量のガラスを要求に応じて本書のガラスロール成形システムに供給するために採用することができる。この溜まりは、ガラスのバッチ供給間の合間に随意的に完全に使い切ってしまってもよい。当技術では理解されるように、成形ロールの回転速さおよび表面温度、成形ロール間の間隙のサイズ、そしてガラス供給温度/粘度および流速は、慎重に選択および制御されて、所望の幅および厚さを有するガラスリボン21が生成される。
【0064】
上述したように、成形ロールのニップの位置にガラスの溜まりを形成すると利点があるが、溜まりが大きくなると溶融ガラスが成形ロールに接触している長さが長くなり、相対的に低温の成形ロールと接触することによって冷却されるガラスシートの外側領域がより大きくなる。冷却されるとガラスの粘度は増加し、それにより成形ロールとサイジングロールとの間でガラスシートを延伸し薄くすること、そしてサイジングロールでガラス流を薄くしてサイジングすることがより難しくなる。従って、溜まりのサイズは比較的小さく保つべきであり、ガラスシートを効果的に再延伸しかつサイジングすることができるよう、形成される溜まりの厚さは例えば約12mmから約18mmとし得る。実際には、いくつかの事例では、成形ロールのニップに溜まりを形成しないと有利になることがある。
【0065】
ここで、精密ガラス成形装置10の実施形態を
図7〜14を参照して説明する。
図7に示したように、精密ガラス成形装置10は、ガラス成形モジュール110、ガラスサイジングモジュール120、および随意的なガラス牽引モジュール130を含み得る。成形ロール14、16は成形モジュール110の一部であり、サイジングロール24、26はサイジングモジュール120の一部であり、そして随意的な牽引ロール44、46は牽引モジュール130の一部である。成形モジュール、サイジングモジュール、および随意的な牽引モジュールは、ガラス流/リボンが各ロール対で画成されるニップの中心に正確に供給されるよう、各ロール対のニップの中心が同じ鉛直平面(例えば、成形ロールに供給されているガラス流によって、または成形ロールのニップによって画成される、鉛直平面)上に置かれかつこの平面と位置合わせされた状態で、1つを他の下方に配置してもよい。
【0066】
成形ロール、サイジングロール、および牽引ロールを除いて、ガラス成形モジュール110、サイジングモジュール120、および牽引モジュール130は実質的に同一のものとし得る。従って、サイジングロール24および26のためのモジュール120の位置決めおよび駆動のみを添付の図面に示し、
図8〜14を参照して本書において詳細に説明する。当然のことながら、サイジングロールに関する以下の説明における
図8〜14に関連したサイジングロール24および26への言及は、ロール成形モジュールおよび随意的な牽引ロールモジュールの、夫々成形ロール14、16および牽引ロール44、46への言及としても解釈されるべきである。説明されるモジュール110、120、および130は、簡素、低コスト、薄型で、組み合わせて積重ね可能なモジュールであり、本書において例として説明するように、多用途のロール成形装置またはシステムを形成する。個々の各モジュールの全厚さすなわち全高は、ほんの約114mmとし得る。各モジュールは、ロールの温度制御を助けるために、随意的な放射ロール加熱器114および116を含んでもよい。当然のことながら、本書で詳細に説明するモジュールは、本開示の成形ロール、サイジングロール、および牽引ロールを、取り付け、位置合わせし、動かし、さらに制御するために使用し得る、1つの代表的な配置に過ぎない。当業者は、本説明および添付の請求項の範囲から逸脱することなく、成形ロールおよびサイジングロールを取り付け、位置合わせし、動かし、さらに制御するための、他の配置またはシステムを設計および組み立て得る。
【0067】
図8〜11に示されているように、サイジングモジュール120は、空気圧シリンダ128、フレーム131、並進駆動モータ132、上方シャフト158、下方シャフト159、および中間シャフト161を含んでいる。空気圧シリンダ128や、あるいは、油圧シリンダ、電気ステッピングモータまたはサーボモータ、または十分な並進駆動力を生成することができる任意の他の並進駆動機器など、他の適切な並進駆動機器によって、サイジングロールを互いに向かって動かすことができる。サイジングロールを互いに向かって動かすと、サイジングロール24、26上のスペーサリング34、36が互いに接触し、サイジングロール24、26の成形表面間の間隙を正確に形成/画成する。空気圧シリンダは、例えば溶融ガラスリボンによる熱から離れた側などの、モジュール背面に取り付けられる。
【0068】
サーボモータまたはステッピングモータなどの電気モータ132、または空気圧モータまたは油圧モータなどの他の適切な回転駆動機構が、各サイジングロールを精密に制御された速さで反対方向に回転駆動させるよう、直角ギヤボックス134、内側サイジングロール24および外側サイジングロール26を反対に回転させる回転ギヤボックス136、さらにシュミットカップリング144、146、を介して、サイジングロールを回転駆動する。ギヤボックス134は、サイジングロールを比較的高トルクで駆動するよう、例えば30−1、50−1、または20−1の減速機として機能するように作られたものでもよい。当然のことながら、モータ132を、その出力シャフトをサイジングロールに平行にして配置すると、直角ギヤボックスを排除することができる。サイジングロールは、他のロールモジュール110および130を回転駆動するサーボモータと同期化することが可能なサーボモータで、精密な速さ確度で回転駆動される。
図13に示したようにギヤボックス136は、内側サイジングロール24と外側サイジングロール26とを反対方向に回転させる1組のギヤ138を含んでいる。シュミットカップリングによって、ギヤボックス136(フレーム131に対して固定されている)の出力シャフトに対するサイジングロール(フレーム131に対して動く)のシャフト202、204の相対的な並進運動が可能になると同時に、ギヤボックス136の出力シャフトとサイジングロールのシャフト202、204との間の回転駆動接続は保持され、かつ他の種類の並進/調整可能な回転駆動カップリングではよく見られるようなロールの回転速度における速度変動またはリップルを伴わずに精密に制御された回転速さでロールが駆動される。それによりシュミットカップリングは、ロールの回転速さにおける速度リップルによって生成される可能性があったガラス内の望ましくない低周波のリップルの生成を低減させる。
図15〜17を参照して後により詳細に説明するが、例えば空気、水、または空気/水の混合物(ミスト、または他の適切な冷却剤)などの冷却流体を、柔軟な管から、回転式流体ユニオン継手154、156を通じてサイジングロール内に、また接合部157を通じて精密ベアリングブロック内に供給する。
【0069】
図8〜11で最もよく分かるように、各サイジングロール24、26のシャフトは夫々、液体冷却精密ベアリングブロック124および126内に取り付けられている。ベアリングブロック124および126は、サイジングロールをメンテナンスや他の目的で取り付けたり取り外したりするのを助けるために、迅速に交換できる取付機構を組み込んだものでもよい。サイジングロール24、26のうちの第1すなわち内側ロール24のベアリングブロック124は、中間シャフト161の外側端部に取り付けられている。中間シャフトの内側端部は、空気圧シリンダ128の出力シャフト162に取り付けられている。中間シャフトの中心部分は、フレーム131の内側プレート163および外側プレート164を貫通している孔のブッシュ内で滑動的に軸受されている。シリンダの出力シャフト162は、中間シャフトを矢印167で示したように前後に駆動するために、空気圧シリンダのピストンから延在している。第2すなわち外側サイジングロール26のベアリングブロック126は、上方シャフト158および下方シャフト159の外側端部に取り付けられている。上方シャフトおよび下方シャフトの内側端部は、空気圧シリンダ128のハウジングまたは取付プレートに取り付けられており、そのためピストンは中間シャフトを、上方シャフト158および下方シャフト159に対して相対的に動かす。上方シャフト158および下方シャフト159の中心部分は、フレーム131の内側プレート163および外側プレート164を貫通している孔のブッシュ内、さらに内側サイジングロール24のベアリングブロック124を貫通している孔のブッシュ内で、滑動的に軸受されている。
【0070】
図11および12で最もよく分かるように、中間シャフト161の上面の中心部分と上方シャフト158の下方表面に、夫々ギヤ歯166、168が形成されている。
図10〜12で分かるように、ねじり棒174の対向端部にピニオンギヤ172が設けられている。ねじり棒の位置をフレーム131内で固定するため、ねじり棒の両端はフレーム131内のブッシュまたは孔で受けられている。ピニオンギヤ172は、中間シャフト161および上方シャフト158の「ラック」ギヤと係合している。両方のピニオンギヤ172が同じねじり棒174に取り付けられているため、両ピニオンギヤ172は同じ速さで回転し、それにより確実に、内側サイジングロールおよび外側サイジングロールの両端部は同じ速さで互いに近づいたり離れたりして動き、かつサイジングロール24および26は空気圧シリンダ128によって互いに近づいたり離れたりして動くときに互いに平行に維持される。上方シャフト158および中間シャフト161は、その片面にギヤ歯166、168を有して形成されていると、歪んだりまたは曲がったりし易いことが既に見出されており、これによりシャフトがフレーム内で動かなくなったり、あるいはサイジングロールの所望の精密な位置付けや、サイジングロール間のガラスサイジング間隙の精密な形成が、失われてしまったりする可能性がある。この歯付きのシャフトの歪みを防ぐために、上方シャフトおよび中間シャフトの、ギヤ歯166、168とは反対の面に、
図12に見られるようにスロットを形成してもよい。
【0071】
当然のことながら、ピニオンギヤ172を
図8〜12に示したように上方シャフト158に形成されたギヤ歯ではなく、下方シャフト159に形成されたギヤ歯に係合させてもよい。さらに当然のことながら、ねじり棒174およびピニオンギヤによれば、空気圧シリンダ128の1つを随意的に排除して、中間シャフト161を1つのみ駆動する唯一の空気圧シリンダ128で、サイジングロールを互いに近づけたり離したりして駆動する/動かすことが可能になる。
【0072】
図12で最もよく分かるように、空気圧シリンダ128の出力シャフト162を、アダプタ182、位置合わせカップリング184、および随意的なネジ付ロックカラー186を介して、中間シャフトに接続してもよい。アダプタ182は、出力シャフト162を位置合わせカップリング184とつなぐ。位置合わせカップリング184は中間シャフト161の端部内に受け入れられて、中間シャフトを空気圧シリンダの出力シャフトと位置合わせする。ネジ付ロックカラー186は、フレーム131のプレート163に接触することによって中間シャフトのストロークを調整し、内側サイジングロールおよび外側サイジングロール間の間隙を調整する(
図9および10も参照のこと)。
【0073】
サイジングロール24および26はガラス供給スロット12(またはアイソパイプの底部108)の真下に位置している。このときガラスリボンが内側サイジングロール24と外側サイジングロール26の間の中心に置かれるよう、フレーム131を、取付クランプまたは取付ブロック188で鉛直の支柱または円柱(図示なし)に取り付けてもよい。こうして、サイジングロール24および26がシリンダで共に押し付けられると、ガラスリボンはサイジングロールのニップの中心に受け入れられることになる。フレーム131が取り付けられる支柱または円柱は、静止している円柱でもよいし、あるいは精密ガラスロール成形装置10をガラス供給スロットまたはアイソパイプの下で選択的に位置決めするために、他のモジュール110、130と共にカート上または他の可動台上に乗せられたものでもよい。取付クランプ188によって各モジュール110、120、130を、鉛直の円柱沿いに、ガラス供給スロットまたはアイソパイプに対して、また他のモジュールに対して、無制限に鉛直に調節することができる。
【0074】
サイジングロールモジュール120の前述の実施形態は、サイジングロール24および26をシリンダ128で一緒に動かしているとき、サイジングロール24および26間の精密な間隙制御を実現する3つの代替の方法を取り入れることができる。第1の最も精密な方法は、
図1〜3、7および8に示したような前述の精密寸法のスペーサリング34、36を使用することで提供される。スペーサリングを用いると、ロールシャフトとロールまたはベアリングブロックとの間の若干の偏心、ベアリングの嵌合の余裕/公差、または動作温度でシャフト、ベアリング、ベアリングブロック、または支持構造の膨張が変化し易いことに拘わらず、精密なロール間隙制御が維持される。
【0075】
サイジングロール24および26間の間隙を制御する、いくらか確度が低い第2の方法は、
図8に示したようにスペーサシム191を用いて提供することができる。精密成形されたスペーサシム191を、精密な間隙制御を実現するために、モジュールの各側部のベアリングブロック124および126間に取り付けてもよい。シム191は上方シャフト158および下方シャフト159上に滑合するように形成してもよく、その結果、異なる厚さのシム(または、異なった厚さを形成するための複数のシム)を、サイジングロール間の間隙のサイズを変更するために、迅速かつ容易に交換することができる。この方法では、ロールシャフトとロールまたはベアリングブロックとの間の偏心、ベアリングの嵌合の余裕/公差、または動作温度でシャフトまたはロールの膨張が変化し易いことによって、サイジングロール間の間隙のサイズおよび均一性に若干の変動が生じ得ると共に、これに対応して、得られるガラスシート31の厚さ制御および均一性にも変動が生じ得る。シムによれば、ロール間隙を迅速かつ容易に変更することができるため、研究開発またはプロトタイピング環境にこの方法は理想的である。
【0076】
サイジングロール間の間隙を制御する、確度が低い第3の方法は、
図12に示したように中間支持シャフト161の随意的なネジ付ロックカラー186によって提供することができる。内側シャフトをシリンダ128で外側に動かすと、ロックカラー186がフレーム131(またはフレーム内のブッシュ)に接触することで、中間シャフトの動き、すなわち内側サイジングロールおよび外側サイジングロールの動きを、サイジングロール間に所望の間隙が画成された状態で停止させる。ネジ付ロックカラーは内側シャフト161の端部にねじ式に留められており、そのためロックカラー186を内側シャフトに沿って内側および外側に動かすことで中間シャフトを停止させる位置を変化させることができ、それによりサイジングロール間の間隙のサイズを変更または調整することができる。そのさらに別の実施形態では、ガラス製造中にロックカラー186を回転させてサイジングロール間の間隙を調整するために、カラー駆動機器(図示なし)をモジュール内に組み込んでもよい。当技術では十分に理解されているが、センサ(図示なし)をサイジングモジュールに、またはモジュールの下流にさらに加えて、プロセスを監視してもよく、また生成されているサイジングされたガラスリボン31、131を監視してもよい。このようにして、サイジングされたガラスリボンの厚さまたは他のパラメータの望ましくない変動がセンサで検出されると、感知しているガラスリボンの厚さまたは他のパラメータが再び許容できる範囲内になるまで、ロックカラーを駆動してサイジングロール間の間隙をリアルタイムで調整することができる。この調整は、手動で制御してもよいし、自動化することもできる。
【0077】
新たなガラス組成、新たな動作温度、新たな処理スループット、新たなガラスリボン厚、または新たなガラスリボン幅などに対する最適な間隙を判定するために、間隙の頻繁な変更を要する実験または開発環境では、スペーサシム191(
図8参照)を用いてサイジングロール間の間隙を制御する、より容易に調整可能な性質の第2の方法が有利であろう。これに対し、サイジングロール間の間隙が固定であり、かつより精密なガラスリボンの厚さ制御が望ましい製造環境では、スペーサリング34、36がより有利であろう。
【0078】
ここで
図14から17を参照し、サイジングロール24および26の実施形態を内側サイジングロール24を参照して説明する。当然のことながら、外側サイジングロール26は内側サイジングロール24と同一である。前述したように、内側サイジングロール24は断熱シリンダまたは断熱コーティング192を含んでいる。断熱シリンダ192は、端部キャップ194および196間に取り付けられている。水冷却精密ベアリングブロック124にサイジングロールを回転的に取り付けるためのシャフト202および204を、端部キャップと一体的に形成してもよい。精密成形スペーサリング34を、断熱シリンダ192の端部と端部キャップ194および196との間に形成された溝に取り付けてもよい(
図14参照)。スペーサリング34の外側円
筒状
支承面は、ガラスリボン31の望ましい最終厚さの2分の1に等しい距離だけ、断熱シリンダ192の外側ガラスサイジング表面236を越えて延びている。溶融ガラスからシリンダ192への熱損失/熱伝達を抑制するために、断熱シリンダ192の外側円筒状表面は、別のセラミック材料またはセラミック材料を組み合わせたものなどの断熱材料から形成された遮熱層(図示なし)を含んでもよい。
【0079】
内側サイジングロール24の断熱シリンダ192を、およそ100℃の所望の比較的低温の動作表面温度で維持するために、複数の分配孔244を備えた冷却剤分配器すなわち噴霧管242が断熱シリンダ192内部の中心に位置している。水、空気、および水ミストなどの冷却流体(または冷却剤)246、または他の適切な冷却流体が、回転式流体ユニオン継手154を介して冷却剤分配器242へと圧力をかけて供給される(246a)。冷却流体246aが分配孔244から断熱シリンダの内側円筒状表面へと噴霧され、断熱シリンダ192が冷却される。加熱された冷却流体246bは、噴霧管242とシャフト202との間の環状間隙248および回転式流体ユニオン継手154を経由して、断熱シリンダの内部から取り除かれる。所望の冷却効果を得るために、分配孔244を任意の所望のパターンで配置してもよい。例えば、より冷却する必要があるサイジングロールの中心部分に冷却孔を、サイジングロールの端部部分よりも多く、例えばより集中させて設けてもよい。
【0080】
ガラス成形装置10の通常の運転中ガラス成形ロール14、16は、成形ロール間に形成されているガラス成形間隙が、サイジングロール24、26間に形成されているガラスサイジング間隙よりも大きい状態で設定されている。さらにガラス成形ロール14、16を、下方のサイジングロール24、26よりも遅い速さ/RPMで運転させてもよい。サイジングロールをガラス成形ロールよりも速いRPMで運転させると、ガラス成形ロールとガラスサイジングロールとの間のシート21に張力と伸びが生じる。ガラスシート21の張力の維持は成形されるシート21および31の安定性を維持する助けとなり、またこれを利用して、サイジングロールのニップに入る前に、成形ガラスシート21を伸ばしかつ薄くすることもできる。例えば、ガラスシート21は成形ロールで厚さ2mmに成形され得、さらにこのガラスシートが厚さ1mmにサイジングされ得るサイジングロールのニップに入る前に、ガラスシート21を成形ロールとサイジングロールとの間で伸ばしかつ薄くしてもよい。ガラス成形ロール、サイジングロール、および随意的な牽引ロールの、ロール間隙およびロール速さは、各ロール組を通るガラスの容積流速が等しくなるように適切に選択され得ることにも留意されたい。
【0081】
本書において説明するガラスロール成形装置のモジュール式構成/積重ね可能な構成は、様々な形で容易に構成され得、システム内で種々のガラスロールモジュールを単に加え、取り外し、および置き換えて、種々様々なガラス組成、ガラスシート幅、ガラスシート厚、およびガラスシート面/厚さの寸法制御、に対する、非常に多くのガラス成形構成およびガラス成形作業を可能にすることができる。各モジュールのロールを回転駆動するためのサーボモータまたはステッピングモータなどの電気モータ132、あるいは他の適切な回転駆動機構は、独立して別々に制御することができ、そのため各モジュールのロールは、他のモジュール内のロールから独立させて、これとは異なる速さまたはトルクで回転駆動させることができるし、あるいは1以上の他のモジュール内のロールと同じ速さまたはトルクで回転駆動させることができる。これを実現するために、各モジュール内でセンサを採用し、各ロールの回転速さおよび/またはトルクを感知する。各センサからの信号がコントローラに送信され、次いでこのコントローラが信号を、各ロールを駆動する回転駆動機構に送信し、それにより各ロールの回転速さまたはトルクを所望の動作範囲内になるように制御する。このようにして、2つのロール対間/モジュール間でガラスリボンを引張るために、ロール対を、そのすぐ上のロール対よりもいくらか速い回転速さまたはトルクで駆動することができる。例えば上方のロール対を、下方のロール対の速さに対して特定の比率の、あるいは下方のロール対の速さの一定の割合の、より低速で駆動してもよい。例えばその比率は約9:10から約1:2までの範囲内でもよく、また割合では、例えば上方ロールを下方ロールの約50%から約90%の速さで駆動してもよい。
【0082】
本システムは、様々な材料から形成された様々な種類のロールを受容し得る。例えば例として、成形ロール14、16は、ステンレス鋼またはインコネル、あるいはセラミックコートステンレス鋼、および他の適切な材料から作製され、サイジングロール24、26は、セラミックコーティングまたはスリーブなどの断熱表面を備えたステンレス鋼、またはジルコニアなどの他のセラミックベースの材料から作製され、そして牽引ロール44、46は、セラミックコーティングまたはスリーブあるいは高温シリコーンコーティングまたはスリーブを備えた、ステンレス鋼、あるいは他の適切な材料から作製される。本書のシステムで使用され得るロールは、限定するものではないが、前述の成形ロール、サイジングロール、および牽引ロールの他、エッジトリマーを備えたロールや
図18に示したガラスカッター264、266を備えた切断ロール254、256などの、随意的なロールを追加して含んでもよい。切断ロール254、256は、硬化鋼カッターを備えた鋼またはアルミニウムから作製してもよい。
【0083】
切断ロールの回転速さは、サイジングロールの速さやガラスリボンの速さと同期させてもよい。切断ロールの回転速さは、ガラスリボンから所望の長さのガラスシートを切断するために調整することができる。例えば比較的短いガラスシートが望ましい場合には、カッターがガラスに接していない間に、カッターを切断ロールの軸の周りにガラスリボンの速度よりも速くなり得る速さで素早く移動させるよう、切断ロールを比較的速い回転速さ(例えば、サイジングロールの回転速さの150%の速さ)で回転駆動してもよい。切断ロールの回転速さは、カッターがガラスリボンと接触してこれを切断しているときに切断ロールの回転速さがガラスリボンの速さと同期するように、その後カッター264、266がガラスリボンに到達したときに低下させる。次いでカッターがガラスリボンから外れたときに切断ロールの回転速さを増加させ、ガラスリボンから別のガラスシートを切断するプロセスが繰り返される。比較的長いガラスシートが望ましい場合には、カッターがガラスに接していない間に、カッターを切断ロールの軸の周りにガラスリボンの速度よりも遅くなり得る速さでゆっくり移動させるよう、切断ロールを比較的遅い回転速さ(例えば、サイジングロールの回転速さの50%の速さ)で回転駆動してもよい。切断ロールの回転速さは、カッターがガラスリボンと接触してこれを切断しているときにカッターの速さがガラスリボンの速さと同期するように、その後カッター264、266がガラスリボンに到達したときに増加させる。このように、カッターがガラスリボンから外れているときの切断ロールの速さを調整することによって任意の所望の長さのガラスシートを切断するために、システムコントローラに任意の所望のシート長を「ダイヤルで調整(dialed in)」できる。ガラスリボン内の欠陥は検出されるべきであり、コントローラはこの欠陥の両側でガラスリボンを切断するように切断ロールを制御して、欠陥を含む部分をガラスリボンから切断することができる。このガラスの欠陥片は、その後廃棄またはリサイクルされ得る。
【0084】
図18に概略的に示されている放射ロール加熱器114、116を、成形ロール14、16と一緒に動かすように成形ロールモジュール110のベアリングブロックに(または、代わりにフレーム131に)随意的に取り付けて、(
図18に示したように)ガラス成形ロール14、16の温度制御を助けてもよい。
図7に示したように放射加熱器を、ガラスサイジングロール24、26の表面温度を制御するようサイジングロールモジュール120のベアリングブロック、および、牽引ロール44、46の表面温度を制御するよう牽引ロールモジュール130のベアリングブロック、のうちの1以上のベアリングブロックにさらに取り付けてもよく、あるいは放射加熱器を、本書のガラス成形装置に組み込まれる任意の他のロールモジュールに取り付けてもよい。放射加熱器は、温度センサ124、126と放射加熱素子125、127とを含み得る。
【0085】
温度センサ124、126は、ガラス成形ロール表面の表面温度を感知するために、見通し線でガラス成形ロール14、16の成形表面に取り付けられた、赤外線センサまたは光高温計でもよい。ガラス成形ロールの表面の温度を、所望の動作表面温度、例えば約500℃から約600℃までの動作温度で実質的に一定に維持するために、コントローラは、温度センサで感知された温度に応じて、放射加熱素子への電流を制御する。サイジングロールモジュールのロールの表面温度を制御するために、赤外線センサおよび加熱器をさらにサイジングロールモジュールに提供してもよい。
【0086】
本書の本システムは、種々様々なガラス取出機器、ガラス成形機器、またはガラス仕上げ機器とつなぐことができ、例えば、限定するものではないが、加熱平板取出、雌型キャビティを備えた真空ガラス成形型260、サポートリングと雌型キャビティとを備えた真空ガラス成形型、サポートリングと雄型キャビティとを備えた真空ガラス成形型、水平コンベヤ上に取り付けられた薄い殻状真空ガラス成形型(thin shelled vacuum glass forming mold)、フラットベルトコンベヤのガラスシート取出、水平真空ガラス成形機システム(horizontal vacuum glass forming machine system)、およびハブマシン真空ガラス成形機システム(hub machine vacuum glass forming machine system)が挙げられる。
図19に示したように、ガラスの取出しはコンベヤ262上の真空ガラス成形型260を含み得る。真空成形されたガラスペインは、硬化したガラスリボンからその後切断されて、従来の仕上げプロセスを用いて仕上げされることになる。
【0087】
本書で説明されるガラスロール成形装置は、比較的低コストであり、かつプロトタイプから試験的なものまで、さらに商業生産まで直接拡張可能であり、また多くのガラス送出方法との適合性により容易に幅を拡大または縮小することができる。本書で説明されるガラス成形システムのモジュール式構成/積重ね可能な構成により、このシステムは容易にカスタマイズ可能であり、さらにこのシステムを、研究ツール、プロセス開発または製品開発ツール、プロトタイピングツール、または商用ガラス生産システムとして、使用することができる。研究ツール、プロトタイピングツール、または開発ツールとして使用されるときには、本書で前述したようにサイジングロール24、26間および/または成形ロール14、16間の間隙の画成に、この間隙幅を迅速かつ確実に変更することができる、ベアリングブロック124、126とシムとを用いた方法を採用すると有利であろう。一方ガラスシートの商業生産には、サイジングロール24、26間および/または成形ロール14、16間の間隙の画成に、より精密なスペーサリング34,36の方法を採用すると有利になり得る。
【0088】
本書で説明される精密ガラスロール成形装置およびプロセスは、シート成形機能を寸法制御機能から分離している。初期のガラスシート成形では、ガラスの圧延を約1000℃以上(例えば、約1000℃から約1500℃)の比較的高いガラス温度で行う必要があり、これまでこの温度では厚さ2mm未満の薄いシートを成形するときに精密に厚さを制御することはできなかった。大幅に低い400℃以下、300℃以下、または200℃以下の、相対的に低温の表面温度で維持される第2対(かつ潜在的には第3対以上)のガラスサイジングロールを加えることで、本書で説明されるガラスロール成形装置は、精密な厚さ(例えば、±0.025mm以下の範囲内)を有する極薄い(例えば、1mm以下、0.8mm以下、または0.75mm以下の)ガラスシートを、第1すなわち最上部の成形ロールと最終すなわち底部のセラミックコートサイジングロールとの間でシート幅をほとんど細くさせることなく、20m/分以上の高い生産速度/ガラススループット/プロセス速さで、精密成形することができる。本書の精密ガラスロール成形装置を使用すると、さらに厚さが最大4mm以上のガラスシートを精密な厚さ制御で成形することもできる。ロールの長さは最大1200mm以上とし得、幅が最大900mm以上のガラスシートを製造することができる。成形ロールおよびサイジングロールは鉛直構成であるため、水平または斜めのロール成形構成でガラスに生成される、うねりが排除される。本書のガラスロール成形装置を用いると、さらに従来のロール成形機器よりも高速でガラスを成形することができる。例えば、従来のロール成形機器が比較的厚いガラスシート(6mmから12mm)を1分あたり約300〜600mmの速度でしか生成できないのに対し、本書のこの装置は、厚さ約0.8〜1.2mmのガラスセラミックシートを1秒あたりガラス約500mmの速度で成形することができる。
【0089】
さらに、本書で説明されるガラスロール成形装置およびプロセスによれば、ガラス成形ロールでのガラス流の送出温度で約200ポアズ(約20Pa・s)の比較的低粘度の様々なガラスおよびガラスセラミック組成の他、ガラス成形ロールで約10,000ポアズ(約1,000Pa・s)の比較的高粘度のガラスを精密な厚さで成形することができる。さらに本書のガラス装置によれば、20m/分から36m/分までなど、比較的高い生産速度で精密な厚さのガラスシートを成形することができる。
【実施例】
【0090】
種々の実施形態は、以下の実施例によってさらに明らかになるであろう。
【0091】
実施例1
図7〜14に示したガラスロール成形装置に、フィッシュテールスロットの供給口から長時間の間、溶融ガラスセラミックの連続供給を行った(
図7)。ガラスは、送出温度およそ1200℃、送出時粘度およそ300ポアズ(約30Pa・s)、そして送出流速およそ300ポンド/時(約136.1kg/時)で送出した。この装置は、ステンレス鋼から作られた最上部の成形ロール組と、遮熱コーティングを備えた下方のセラミックコートサイジングロール組とを含むものであった。成形ロールを、およそ550℃からおよそ580℃まで変動する「高温」の表面温度で運転した。サイジングロールは、およそ100℃の「低温」の表面温度で運転した。ガラスを線速度およそ254mm/秒で、ロール成形およびサイジングした。サンプルは幅およそ88mmであり、長さ約305mmに切断した。サンプルの長さに沿って、ガラスの中心線の位置と各エッジから内側におよそ4分の1インチ(約6.35mm)の位置に線で印を付けた。この3つの線の夫々に沿って、シート沿いに1インチ毎に厚さの測定を行った。測定された厚さは、互いにおよそ±0.0125mmの範囲内であった。
【0092】
種々の実験による観察には以下のものが含まれていた。
【0093】
・このようなガラス成形システムを用いて、0.7mmの薄さのガラスシートを生成することができる。
【0094】
・ロール表面の温度制御は、許容できる製品の製造のために制御を要する重大なパラメータであることが分かった。
【0095】
・最も良い結果は、ガラス成形ロール14、16のステンレス鋼製ガラスロール成形表面を、光高温計で測定して580℃から600℃までの表面温度に温度制御することで得られた。
【0096】
・成形ロールの表面温度が580℃未満の場合、表面のヘイズや、あるいはシートを横切って端から端まで走る、周期的な熱によるひびが生じた。
【0097】
・ロールの表面温度が620℃を超えると、ガラスがガラス成形ロールの周りに巻き付く可能性が十分に高くなった。
【0098】
・ロールの表面温度が低くなればなるほど、熱によるひび、または熱による表面粗さのようなヘイズを防ぐために、ロールをより速く運転する必要があった。これは、温度差が大きくなると、高温のガラスからより低温のガラス成形ロールまたはサイジングロールへと伝達される熱が増加するためであると考えられる。
【0099】
本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変更および変形が作製可能であることは当業者には明らかであろう。