特許第6052934号(P6052934)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6052934半導体検査方法、半導体検査装置、および半導体素子の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052934
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】半導体検査方法、半導体検査装置、および半導体素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20161219BHJP
   G01N 23/225 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   H01L21/66 N
   G01N23/225
【請求項の数】15
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2015-531704(P2015-531704)
(86)(22)【出願日】2013年8月14日
(86)【国際出願番号】JP2013071929
(87)【国際公開番号】WO2015022739
(87)【国際公開日】20150219
【審査請求日】2016年1月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 嘉伸
(72)【発明者】
【氏名】津野 夏規
(72)【発明者】
【氏名】太田 洋也
(72)【発明者】
【氏名】山田 廉一
(72)【発明者】
【氏名】濱村 浩孝
(72)【発明者】
【氏名】大野 俊之
(72)【発明者】
【氏名】沖野 泰之
(72)【発明者】
【氏名】毛利 友紀
【審査官】 鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−91589(JP,A)
【文献】 特開2008−164336(JP,A)
【文献】 特開2012−242146(JP,A)
【文献】 米国特許第5649169(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01N 23/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェハに荷電粒子線を照射することにより発生する二次電子を検出して画像処理し、前記半導体ウェハを検査する半導体検査装置を用いて、前記半導体ウェハを検査する半導体検査方法であって、
前記半導体ウェハは、単結晶ウェハ、もしくはエピタキシャル層が形成されたウェハであり、
前記半導体ウェハの電位を基準とした正の電位または負の電位を、前記半導体ウェハと対物レンズとの間に設けられた対向電極へ印加する第1ステップと、
前記荷電粒子線および前記二次電子の電流量に基づき、二次電子放出率を算出する第2ステップと、
前記二次電子放出率が1よりも大きくなる入射エネルギと、前記入射エネルギにおいて、前記二次電子放出率が1よりも小さくなる前記負の電位、および前記二次電子放出率が1よりも大きくなる前記正の電位とを決定する第3ステップと、
前記入射エネルギと前記負の電位とを選択する第4ステップと、
前記第4ステップの後に実行され、前記荷電粒子線を前記半導体ウェハの検査面に対して走査し前記二次電子を検出する第5ステップと、
前記第5ステップにて得られた第1検査画像を取得し、予め定められた前記二次電子の信号量の閾値に基づき、前記第1検査画像に含まれるマクロ欠陥と積層欠陥と基底面転位と貫通転位とを判別する第6ステップと、
を有する、半導体検査方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体検査方法において、
前記第6ステップにおいて、前記マクロ欠陥と前記積層欠陥と前記基底面転位とを第1欠陥群とし、前記貫通転位を第2欠陥群として区別し、前記第1欠陥群の前記半導体ウェハの面内分布と前記第2欠陥群の前記半導体ウェハの面内分布とを出力する、半導体検査方法。
【請求項3】
請求項2記載の半導体検査方法において、
前記第6ステップにおいて、前記半導体ウェハを格子状に分割した領域に対して、前記第1欠陥群が含まれる領域を特定する、半導体検査方法。
【請求項4】
請求項1記載の半導体検査方法において、
前記第4ステップにおいて、前記入射エネルギと前記正の電位とを選択し、
前記第5ステップにおいて、前記第4ステップの後に実行され、前記荷電粒子線を前記半導体ウェハの検査面に対して走査し前記二次電子を検出し、
前記第6ステップにおいて、前記第5ステップにて得られた第2検査画像を取得し、予め定められた前記二次電子の信号量の閾値に基づき、前記第2検査画像に含まれる点形状図形の貫通らせん転位を判別する、半導体検査方法。
【請求項5】
請求項4記載の半導体検査方法において、
前記第6ステップにおいて、前記第1検査画像の点形状図形と前記第2検査画像の点形状図形との比較により、前記貫通らせん転位と貫通刃状転位とを判別する、半導体検査方法。
【請求項6】
請求項5記載の半導体検査方法において、
前記第6ステップにおいて、前記点形状図形の前記二次電子の信号プロファイルから、貫通転位の電荷捕獲密度および障壁電位を出力する、半導体検査方法。
【請求項7】
請求項1記載の半導体検査方法において、
前記第6ステップにおいて、前記半導体ウェハの格子状のダイ領域に半導体素子のマスク情報に基づいて設定されたレイアウトに対して、前記レイアウトの所定領域での前記マクロ欠陥と前記積層欠陥と前記基底面転位とを判別する、半導体検査方法。
【請求項8】
単結晶ウェハ、もしくはエピタキシャル層が形成されたウェハを用いた半導体素子の製造方法であって、
前記ウェハに格子状のダイ領域を設定し、
請求項1記載の半導体検査方法を用いて、前記マクロ欠陥と前記積層欠陥と前記基底面転位とを含むダイを指定し、この指定したダイをスクリーニングする、半導体素子の製造方法。
【請求項9】
請求項8記載の半導体素子の製造方法において、
前記ウェハの格子状のダイ領域に前記半導体素子のマスク情報に基づいて設定されたレイアウトのアクティブ領域に、前記マクロ欠陥と前記積層欠陥と前記基底面転位とが検査されたダイをスクリーニングする、半導体素子の製造方法。
【請求項10】
請求項8記載の半導体素子の製造方法において、
前記マクロ欠陥と前記積層欠陥と前記基底面転位とを含む欠陥ダイが10%以下になるようにダイの大きさを定める、半導体素子の製造方法。
【請求項11】
荷電粒子線を発生させる荷電粒子銃と、
試料を支持する試料ホルダと、
前記荷電粒子線を試料面に対して走査させる偏向部と、
前記荷電粒子線が前記試料に照射されることにより発生する二次電子を検出する検出器と、
前記検出器からの出力を画像として処理する画像処理部と、
前記試料の電位を制御する試料電位制御部と、
前記試料と対物レンズとの間に設けられた対向電極と、
前記試料の電位を基準とした正の電位または負の電位を、前記対向電極へ印加する電源部と、
前記荷電粒子線および前記二次電子の電流量に基づき、二次電子放出率を算出する放出率算出部と、
前記放出率算出部の出力に基づき、前記二次電子放出率が1よりも大きくなる入射エネルギと、前記入射エネルギにおいて、前記二次電子放出率が1よりも小さくなる前記負の電位、および前記二次電子放出率が1よりも大きくなる前記正の電位とを算出する算出部と、
前記試料における測定条件により、前記入射エネルギと前記対向電極への前記正の電位または前記負の電位の印加とを制御する制御部と、を有し、
前記試料は、単結晶ウェハ、もしくはエピタキシャル層が形成されたウェハであり、
前記制御部は、前記入射エネルギとなり、かつ前記対向電極への印加が前記負の電位となるように前記荷電粒子線を制御し、この荷電粒子線を前記試料の検査面に対して走査し前記二次電子を検出するように制御し、
前記画像処理部は、前記制御部による制御にて得られた第1検査画像を取得し、予め定められた前記二次電子の信号量の閾値に基づき、前記第1検査画像に含まれるマクロ欠陥と積層欠陥と基底面転位と貫通転位とを判別する、半導体検査装置。
【請求項12】
請求項11記載の半導体検査装置において、
前記画像処理部は、前記マクロ欠陥と前記積層欠陥と前記基底面転位とを第1欠陥群とし、前記貫通転位を第2欠陥群として区別し、前記第1欠陥群の前記試料の面内分布と前記第2欠陥群の前記試料の面内分布とを出力する、半導体検査装置。
【請求項13】
請求項11記載の半導体検査装置において、
前記制御部は、前記入射エネルギとなり、かつ前記対向電極への印加が前記正の電位となるように前記荷電粒子線を制御し、この荷電粒子線を前記試料の検査面に対して走査し前記二次電子を検出するように制御し、
前記画像処理部は、前記制御部による制御にて得られた第2検査画像を取得し、予め定められた前記二次電子の信号量の閾値に基づき、前記第2検査画像に含まれる点形状図形の貫通らせん転位を判別する、半導体検査装置。
【請求項14】
請求項13記載の半導体検査装置において、
前記画像処理部は、前記第1検査画像の点形状図形と前記第2検査画像の点形状図形との比較により、前記貫通らせん転位と貫通刃状転位とを判別する、半導体検査装置。
【請求項15】
請求項14記載の半導体検査装置において、
前記画像処理部は、前記点形状図形の前記二次電子の信号プロファイルから、貫通転位の電荷捕獲密度および障壁電位を出力する、半導体検査装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハの検査技術に関し、特に、荷電粒子線を用いた半導体検査技術において、単結晶ウェハまたはエピタキシャル層が形成された単結晶ウェハの欠陥を検出し、判別する検査方法および検査装置に関する。さらに、本発明は、この検査技術を用いた半導体素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハを用いて形成された半導体素子において、半導体ウェハのマクロ欠陥(形態欠陥)(凹凸、三角欠陥、マイクロパイプ、キャロット、コメット、ダウンフォール、ステップバンチング)や結晶欠陥(貫通らせん転位、貫通刃状転位、積層欠陥)は、素子の性能、歩留まり、信頼性に大きく影響を与える。特に、電力制御用半導体素子に使われている炭化珪素ウェハには、マクロ欠陥や結晶欠陥が含まれており、半導体素子作製前にウェハの欠陥を検査することは極めて重要である。よって、検査は非破壊で行い、検査によって、素子作製に影響を与えないことが条件となる。
【0003】
炭化珪素ウェハは、珪素ウェハのように溶融法で形成することは困難であり、昇華法と化学気相成長法で結晶成長させる。このため、結晶欠陥を無くすことは、現行技術では、極めて困難で有り、10cm−2から10cm−2の密度の貫通転位(貫通刃状転位、貫通らせん転位)、転位密度が1cm−2以下の基底面欠陥(基底面転位、積層欠陥)が存在している。また、結晶欠陥に加え、表面形態を反映したマクロ欠陥が転位密度1cm−2以下で存在する。マクロ欠陥は、光学顕微鏡を用いた方法で検査計測が可能である。また、ウェハの平坦化技術、エピタキシャル成長技術を工夫することにより、マクロ欠陥の発生を抑制させる技術が進展している。
【0004】
電力制御用の半導体素子は、ウェハ面内に約1mm×1mmから約5mm×5mmのダイに分割された領域に作製される。このため、前記基底面欠陥、前記マクロ欠陥が含まれるダイと含まれないダイが存在する。一方、前記貫通転位は、ダイに10から10個含まれている。
【0005】
上述したウェハの材料には、炭化珪素ウェハと窒化ガリウムウェハが用いられることが多い。炭化珪素ウェハは、炭化珪素ウェハ、または炭化珪素ウェハに炭化珪素エピタキシャル膜が形成されたウェハが用いられることが多い。また、窒化ガリウムウェハは、珪素ウェハ、サファイアウェハ、または窒化珪素ウェハにエピタキシャル成長させたウェハが用いられることが多い。そして、炭化珪素ウェハまたは窒化ガリウムウェハにおいても、上記のマクロ欠陥、結晶欠陥を検査することは重要である。以下、炭化珪素ウェハの欠陥検査についての背景技術を述べる。なお、特に言及しなければ、窒化ガリウムウェハにおいても同様である。
【0006】
例えば、マクロ欠陥を検査する方法として、微分干渉顕微鏡やレーザ散乱方式の光学検査法が知られている。この方法は、結晶欠陥であっても表面の形態に特徴があれば検査することができる(特許文献1参照)。また、結晶欠陥を検査する方法として、X線トポグラフィ(特許文献2参照)や透過電子顕微鏡法、エッチピット法が知られている。ただし、透過電子顕微鏡法とエッチピット法は、ウェハを破壊する検査法であり、非破壊検査に用いることはできない。また、光にて検出する方法の場合、解像度は、光の波長限界の制約を受けることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−211035号公報
【特許文献2】特開2009−44083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
炭化珪素ウェハなどの単結晶ウェハおよびエピタキシャル層が形成された単結晶ウェハを用いた半導体素子などの装置において、装置の性能、歩留まり、信頼性を向上させるためには、表面の凹凸欠陥、ステップバンチングなどのマクロ欠陥や、貫通転位、積層欠陥などの結晶欠陥を高精度に検出し、分類する必要がある。
【0009】
さらに、各種欠陥が半導体素子性能への影響を知る必要がある。特に、半導体素子の初期特性や信頼性の不良の原因となる欠陥はキラー欠陥(致命的欠陥)として区別する必要がある。素子製造の後工程で不良素子を含むダイをスクリーニングするためには、ウェハ内のキラー欠陥の座標と大きさを予め知ることが必要となる。
【0010】
また、前記ウェハには、面密度が10cm−2から10cm−2の貫通転位が存在している。このため、素子領域内の転位密度を管理する必要がある。また、電力制御用半導体素子において、貫通転位は、電流の方向と一致しているため、ドリフト層に与える影響は小さいが、接合界面では、耐圧不良を引き起こす可能性がある。すなわち、貫通転位の検査においては、転位の座標を知ることに加え、電気特性を知り、貫通転位がキラー欠陥か否かを判断する必要がある。
【0011】
光学的な方法による欠陥検査は、形状的異常による信号である。前述した特許文献1のように、結晶欠陥においても形状異常があれば検出できるが、形状異常のない場合は検査することができない。透過電子顕微鏡法やエッチピット法は、結晶欠陥を高感度、高解像度で検査できるが、検査のために試料を加工し、もしくは、薬液に浸食させてエッチングするため、非破壊で検査できない場合がある。
【0012】
そこで、本発明は上述した課題を解決し、その代表的な目的は、キラー欠陥の大きさと座標、貫通転位の密度および貫通転位がキラー欠陥か否かを非破壊で計測でき、半導体素子製造の前工程において、不良ダイをスクリーニングする検査方法および検査装置、さらに、欠陥による素子特性への影響がない半導体素子の製造方法を提供することにある。
【0013】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0015】
(1)代表的な半導体検査方法は、半導体ウェハに荷電粒子線を照射することにより発生する二次電子を検出して画像処理し、前記半導体ウェハを検査する半導体検査装置を用いて、前記半導体ウェハを検査する半導体検査方法である。前記半導体ウェハは、単結晶ウェハ、もしくはエピタキシャル層が形成されたウェハである。
【0016】
前記半導体検査方法は、前記半導体ウェハの電位を基準とした正の電位または負の電位を、前記半導体ウェハと対物レンズとの間に設けられた対向電極へ印加する第1ステップと、前記荷電粒子線および前記二次電子の電流量に基づき、二次電子放出率を算出する第2ステップと、前記二次電子放出率が1よりも大きくなる入射エネルギと、前記入射エネルギにおいて、前記二次電子放出率が1よりも小さくなる前記負の電位、および前記二次電子放出率が1よりも大きくなる前記正の電位とを決定する第3ステップと、前記入射エネルギと前記負の電位とを選択する第4ステップと、前記第4ステップの後に実行され、前記荷電粒子線を前記半導体ウェハの検査面に対して走査し前記二次電子を検出する第5ステップと、前記第5ステップにて得られた第1検査画像を取得し、予め定められた前記二次電子の信号量の閾値に基づき、前記第1検査画像に含まれるマクロ欠陥と積層欠陥と基底面転位と貫通転位とを判別する第6ステップと、を有する。
【0017】
(2)代表的な半導体検査装置は、荷電粒子線を発生させる荷電粒子銃と、試料を支持する試料ホルダと、前記荷電粒子線を試料面に対して走査させる偏向部と、前記荷電粒子線が前記試料に照射されることにより発生する二次電子を検出する検出器と、前記検出器からの出力を画像として処理する画像処理部と、前記試料の電位を制御する試料電位制御部と、前記試料と対物レンズとの間に設けられた対向電極と、前記試料の電位を基準とした正の電位または負の電位を、前記対向電極へ印加する電源部と、前記荷電粒子線および前記二次電子の電流量に基づき、二次電子放出率を算出する放出率算出部と、前記放出率算出部の出力に基づき、前記二次電子放出率が1よりも大きくなる入射エネルギと、前記入射エネルギにおいて、前記二次電子放出率が1よりも小さくなる前記負の電位、および前記二次電子放出率が1よりも大きくなる前記正の電位とを算出する算出部と、前記試料における測定条件により、前記入射エネルギと前記対向電極への前記正の電位または前記負の電位の印加とを制御する制御部と、を有する。
【0018】
前記試料は、単結晶ウェハ、もしくはエピタキシャル層が形成されたウェハである。前記制御部は、前記入射エネルギとなり、かつ前記対向電極への印加が前記負の電位となるように前記荷電粒子線を制御し、この荷電粒子線を前記試料の検査面に対して走査し前記二次電子を検出するように制御する。前記画像処理部は、前記制御部による制御にて得られた第1検査画像を取得し、予め定められた前記二次電子の信号量の閾値に基づき、前記第1検査画像に含まれるマクロ欠陥と積層欠陥と基底面転位と貫通転位とを判別する。
【0019】
(3)代表的な半導体素子の製造方法は、単結晶ウェハ、もしくはエピタキシャル層が形成されたウェハを用いた半導体素子の製造方法である。前記半導体素子の製造方法は、前記ウェハに格子状のダイ領域を設定し、上記(1)記載の半導体検査方法を用いて、前記マクロ欠陥と前記積層欠陥と前記基底面転位とを含むダイを指定し、この指定したダイをスクリーニングする。
【発明の効果】
【0020】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0021】
すなわち、代表的な効果は、複数の種類の欠陥を区別して検出することができ、重要度の高い欠陥およびその座標を特定し、スクリーニングすべきダイを抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施の形態に係る半導体検査装置の一例を示す構成図である。
図2図1の半導体検査装置による半導体検査方法の検査フローの一例を示す図である。
図3図1の半導体検査装置におけるGUIの一例を示す図である。
図4図2の半導体検査方法において、電子光学条件を定める一例を説明する図である。
図5図2の半導体検査方法において、ウェハの検査方法の一例を説明する図である。
図6A図2の半導体検査方法において、欠陥を検査した画像の一例を説明する図である。
図6B図2の半導体検査方法において、第1欠陥群の欠陥を検査した画像処理の一例を説明する図である。
図6C図2の半導体検査方法において、第2欠陥群の欠陥を検査した画像処理の一例を説明する図である。
図6D図2の半導体検査方法において、第1欠陥群の欠陥を検査した別の画像の一例を説明する図である。
図7A図2の半導体検査方法において、第1欠陥群の欠陥分布の一例を説明する図である。
図7B図2の半導体検査方法において、第1欠陥群の判別分布の一例を説明する図である。
図8図2の半導体検査方法において、第2欠陥群の欠陥分布の一例を説明する図である。
図9A図2の半導体検査方法において、第2欠陥群の欠陥特性解析における貫通らせん転位と貫通刃状転位を判別する一例を説明する図である。
図9B図2の半導体検査方法において、貫通転位のコントラストのプロファイルの一例を説明する図である。
図10A図2の半導体検査方法において、ドナーイオンと電子が存在するn型半導体に貫通転位が形成されたときの一例を説明する図である。
図10B図10Aのエネルギバンドの一例を説明する図である。
図11図1の半導体検査装置および図2の半導体検査方法を用いた、半導体素子の製造方法の一例を説明する図である。
図12図11の半導体素子の製造方法において、ダイの一例を説明する図である。
図13図11の半導体素子の製造方法において、第1欠陥群の欠陥分布の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の実施の形態においては、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0024】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0025】
[実施の形態の概要]
まず、実施の形態の概要について説明する。本実施の形態の概要では、一例として、括弧内に実施の形態の対応する構成要素、符号等を付して説明する。
【0026】
(1)本実施の形態の代表的な半導体検査方法は、半導体ウェハ(ウェハ21)に荷電粒子線を照射することにより発生する二次電子を検出して画像処理し、前記半導体ウェハを検査する半導体検査装置(半導体検査装置1)を用いて、前記半導体ウェハを検査する半導体検査方法(図2)である。前記半導体ウェハは、単結晶ウェハ、もしくはエピタキシャル層が形成されたウェハである。
【0027】
前記半導体検査方法は、前記半導体ウェハの電位を基準とした正の電位または負の電位を、前記半導体ウェハと対物レンズとの間に設けられた対向電極へ印加する第1ステップ(S45)と、前記荷電粒子線および前記二次電子の電流量に基づき、二次電子放出率を算出する第2ステップ(S45)と、前記二次電子放出率が1よりも大きくなる入射エネルギと、前記入射エネルギにおいて、前記二次電子放出率が1よりも小さくなる前記負の電位、および前記二次電子放出率が1よりも大きくなる前記正の電位とを決定する第3ステップ(S45)と、前記入射エネルギと前記負の電位とを選択する第4ステップ(S46)と、前記第4ステップの後に実行され、前記荷電粒子線を前記半導体ウェハの検査面に対して走査し前記二次電子を検出する第5ステップ(S46)と、前記第5ステップにて得られた第1検査画像を取得し、予め定められた前記二次電子の信号量の閾値に基づき、前記第1検査画像に含まれるマクロ欠陥と積層欠陥と基底面転位と貫通転位とを判別する第6ステップ(S47〜S52)と、を有する。
【0028】
(2)本実施の形態の代表的な半導体検査装置は、荷電粒子線を発生させる荷電粒子銃(電子銃11)と、試料(ウェハ21)を支持する試料ホルダ(ウェハホルダ20)と、前記荷電粒子線を試料面に対して走査させる偏向部(偏向器15)と、前記荷電粒子線が前記試料に照射されることにより発生する二次電子を検出する検出器(検出器14)と、前記検出器からの出力を画像として処理する画像処理部(画像処理部30)と、前記試料の電位を制御する試料電位制御部(リターディング電圧制御部26)と、前記試料と対物レンズ(対物レンズ13)との間に設けられた対向電極(対向電極16)と、前記試料の電位を基準とした正の電位または負の電位を、前記対向電極へ印加する電源部(電極制御部27)と、前記荷電粒子線および前記二次電子の電流量に基づき、二次電子放出率を算出する放出率算出部(算出部38)と、前記放出率算出部の出力に基づき、前記二次電子放出率が1よりも大きくなる入射エネルギと、前記入射エネルギにおいて、前記二次電子放出率が1よりも小さくなる前記負の電位、および前記二次電子放出率が1よりも大きくなる前記正の電位とを算出する算出部(算出部38)と、前記試料における測定条件により、前記入射エネルギと前記対向電極への前記正の電位または前記負の電位の印加とを制御する制御部(全体制御部37)と、を有する。
【0029】
前記試料は、単結晶ウェハ、もしくはエピタキシャル層が形成されたウェハである。前記制御部は、前記入射エネルギとなり、かつ前記対向電極への印加が前記負の電位となるように前記荷電粒子線を制御し、この荷電粒子線を前記試料の検査面に対して走査し前記二次電子を検出するように制御する。前記画像処理部は、前記制御部による制御にて得られた第1検査画像を取得し、予め定められた前記二次電子の信号量の閾値に基づき、前記第1検査画像に含まれるマクロ欠陥と積層欠陥と基底面転位と貫通転位とを判別する。
【0030】
(3)本実施の形態の代表的な半導体素子の製造方法は、単結晶ウェハ、もしくはエピタキシャル層が形成されたウェハを用いた半導体素子の製造方法である。前記半導体素子の製造方法は、前記ウェハに格子状のダイ領域を設定し、上記(1)記載の半導体検査方法を用いて、前記マクロ欠陥と前記積層欠陥と前記基底面転位とを含むダイを指定し、この指定したダイをスクリーニングする。
【0031】
以下、上述した実施の形態の概要に基づいた一実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、一実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0032】
本発明は、半導体検査装置として、荷電粒子線装置全般に適応することが可能であるが、本実施の形態では、説明の便宜上、荷電粒子の一部である電子を用いた電子線装置について説明する。荷電粒子線装置として理解する場合には、電子を荷電粒子に置き換えて本明細書の記載を参酌すればよい。なお、電子以外の荷電粒子として、例えばイオンが考えられ、イオンを用いたイオン装置においても適用することができる。
【0033】
また、本実施の形態では、検査すべき単結晶ウェハとして、炭化珪素ウェハ、またはエピタキシャル層が形成された炭化珪素ウェハを用いる。また、単結晶ウェハとして、珪素ウェハ上に形成されたウェハも用いることができる。
【0034】
また、前記エピタキシャル層に不純物領域が形成、または表面加工されたプロセスウェハにも用いることができる。
【0035】
そして、これらの単結晶ウェハ、エピタキシャル層、およびプロセス層の二次電子画像を撮像し、そのコントラストから欠陥を判別する。特に、マクロ欠陥、基底面欠陥、貫通転位を高精度に検出し、分類する。
【0036】
すなわち、荷電粒子線を用いた検査装置において、ウェハと対物レンズの間に電極を設け、電極に正の電位または負の電位を印加し、画像を取得できる装置を用いる。二次電子放出率を測定し、荷電粒子のエネルギを定める。
【0037】
まず、負電位条件で画像を取得する(第1検査画像)。第1検査画像の明るい領域は、マクロ欠陥、基底面欠陥である。また、第1検査画像の暗い点は、貫通転位である。次に、正電位条件で画像を取得する(第2検査画像)。第2検査画像の暗い点は、貫通らせん転位である。第1検査画像の暗い点から第2検査画像の暗い点を除いた暗い点は、貫通刃状転位である。第1検査画像と第2検査画像との暗い点の信号プロファイルの幅とウェハの不純物濃度から、貫通転位の荷電状態を計測できる。
【0038】
[一実施の形態]
本実施の形態に係る半導体検査方法、半導体検査装置、および半導体素子の製造方法について、図1図13を用いて説明する。以下においては、半導体検査装置、この半導体検査装置による半導体検査方法、この半導体検査方法による第1欠陥群および第2欠陥群を検出する方法、さらに、欠陥の特性を解析する方法などについて、順に説明する。そして、最後に、これらの技術を用いた半導体素子の製造方法について説明する。
【0039】
<半導体検査装置>
まず、図1を用いて、本実施の形態に係る半導体検査装置について説明する。図1は、この半導体検査装置の一例を示す構成図である。図1では、基本となる形態の単結晶ウェハまたはエピタキシャル層が形成された単結晶ウェハの検査装置を示している。
【0040】
本実施の形態に係る半導体検査装置1は、光学顕微鏡34と、電子光学系2と、ウェハ搬送系4と、真空排気系5と、制御系6と、画像処理系7と、操作部8とから構成されている。
【0041】
電子光学系2には、電子銃11、コンデンサレンズ12、対物レンズ13、検出器14、偏向器15、対向電極16、反射板33などが備えられている。電子銃11は、一次電子9を放出する電子銃である。コンデンサレンズ12は、一次電子9を集束するレンズである。対物レンズ13は、一次電子9を絞るレンズである。検出器14は、二次電子(または反射電子)10を検出する検出器である。偏向器15は、一次電子9を偏向する偏向器である。対向電極16は、二次電子(または反射電子)10の軌道を制御する電極である。反射板33は、二次電子(または反射電子)10を検出器14に向けて反射する反射板である。
【0042】
電子光学系2には、さらに、XYステージ19、ウェハホルダ20なども備えられている。XYステージ19は、ウェハホルダ20をXY方向に移動するステージである。ウェハホルダ20は、検査すべきウェハ21を保持するホルダである。
【0043】
ウェハ搬送系4には、検査すべきウェハ21を電子光学系2のウェハホルダ20に搬送する搬送機構などが備えられている。真空排気系5には、電子光学系2の内部を真空排気する排気機構などが備えられている。
【0044】
制御系6には、電子線制御部22、検出系制御部23、偏向制御部24、電子レンズ制御部25、リターディング電圧制御部26、電極制御部27などが備えられている。電子線制御部22は、電子銃11から放出する電子線を制御する制御部である。検出系制御部23は、検出器14からの検出信号を制御する制御部である。偏向制御部24は、偏向器15を制御する制御部である。電子レンズ制御部25は、コンデンサレンズ12と対物レンズ13を制御する制御部である。リターディング電圧制御部26は、ウェハホルダ20に保持されたウェハ21に印加するリターディング電圧を制御する制御部である。電極制御部27は、対向電極16を制御する制御部である。
【0045】
画像処理系7には、画像処理部30、画像記憶部31などが備えられている。画像処理部30は、検出系制御部23からの検出信号をデジタル画像信号に変換した後に画像信号処理して欠陥を判定する処理部である。画像記憶部31は、画像処理部30で判定した欠陥情報などを保存する記憶部である。
【0046】
操作部8には、入出力操作を行うGUI(グラフィカルユーザインターフェース:図3)36、入出力操作に対する制御や半導体検査装置全体の制御を司る全体制御部37、二次電子放出率と入射エネルギとこの入射エネルギにおける負の電位および正の電位を算出する算出部38などが備えられている。
【0047】
GUI36には、ウェハ21をダイに分割し、ダイ番号を指定する入力部、マスク情報を入力する入力部、ウェハ21の不純物濃度を入力する入力部などが備えられている。さらに、ウェハ21の検査から第1欠陥群と第2欠陥群とに分類して出力する出力部、第1欠陥群の座標と大きさを出力する出力部、第1欠陥群の座標が含まれるダイを抽出する出力部、第2欠陥群の欠陥密度を出力する出力部、第2欠陥群の電気特性を出力する出力部、スクリーニングすべきダイを抽出する出力部などが備えられている。
【0048】
算出部38は、一次電子9および二次電子10の電流量に基づき二次電子放出率を算出し、この二次電子放出率に基づき、二次電子放出率が1よりも大きくなる入射エネルギと、この入射エネルギにおいて、二次電子放出率が1よりも小さくなる負の電位、および二次電子放出率が1よりも大きくなる正の電位とを算出する算出部である。
【0049】
電子光学系2の内部は、真空排気系5によって、10−7から10−4Paに真空排気される。コンデンサレンズ12と対物レンズ13は、操作部8から電子レンズ制御部25によって制御される。偏向器15は、操作部8から偏向制御部24によって制御される。対向電極16は、操作部8から電極制御部27によって制御される。
【0050】
電子線制御部22を用いて、電子銃11から放出される電子線の一次電子9は、コンデンサレンズ12によって集束された後、偏向器15によって偏向され、対物レンズ13によって検査すべきウェハ21の表面に到達する。一次電子9によりウェハ21の表面から放出した、二次電子(または反射電子)10は、対向電極16によって、正電圧(VP)、または負電圧(VN)を設定し、軌道が制御される。
【0051】
検査すべきウェハ21は、ウェハホルダ20に固定される。また、ウェハホルダ20は、XYステージ19によりXY方向に移動させることができる。また、リターディング電圧制御部26により、検査すべきウェハ21には、リターディング電圧(Vr)が印加される。
【0052】
二次電子(または反射電子)10は、反射板33で反射し、検出器14に入力される。検出器14は、入力された二次電子(または反射電子)10を検出し、この検出信号を検出系制御部23に出力する。検出系制御部23は、検出器14で検出した検出信号を画像処理部30に送信する。画像処理部30では、検出器14で検出した検出信号をデジタル画像信号に変換するAD変換を行い、その後、画像信号処理して欠陥を判定する欠陥判定を行う。この判定した欠陥情報(欠陥種類、サイズ、座標)は、画像記憶部31に保存される。
【0053】
<半導体検査方法>
次に、図2を用いて、図3図4を参照しながら、上述した半導体検査装置1による半導体検査方法について説明する。より具体的には、図1に示した半導体検査装置1を用いて、単結晶ウェハまたはエピタキシャル層が形成された単結晶ウェハの検査フローを説明する。図2は、この半導体検査装置による半導体検査方法の検査フローの一例を示す図である。図3は、半導体検査装置におけるGUIの一例を示す図である。図4は、半導体検査方法における電子光学条件(Ep、VP、VN)を定める一例を説明する図である。
【0054】
まず、検査情報の入力工程(S40)において、操作部8に検査情報を入力する。この検査情報の入力は、図3に示すGUI(グラフィカルユーザインターフェース)36で行う。検査情報130は、プルダウンやチェックボックス(第1欠陥群検査項目入力欄131a、第2欠陥群検査項目入力欄131b)などでリスト表示されるか、マニュアルで直接入力できる。
【0055】
検査項目入力欄133は、検査したい欠陥種類、例えば、表面のバンプ(凹)欠陥、表面のピット(凸)欠陥、ステップバンチング、キャロット欠陥、コメット欠陥、三角欠陥、基底面転位、積層欠陥、貫通らせん転位、貫通刃状転位などを入力する。また、ユーザが独自に欠陥項目を追加することもできる。また、マクロ欠陥(表面のバンプ(凹)欠陥、表面のピット(凸)欠陥、ステップバンチング、キャロット欠陥、コメット欠陥、三角欠陥)と基底面欠陥(基底面転位、積層欠陥)を第1欠陥群と定義し、選択することもできる。また、貫通転位(貫通らせん転位、貫通刃状転位)を第2欠陥群と定義し、選択することもできる。
【0056】
次に、試料情報入力欄132には、検査したいウェハ21の組成137a、ウェハサイズ137b、構造137c、ウェハ特定領域の不純物濃度137dなどを入力する。図3の例では、ウェハ21の組成137aとして、SiC(炭化珪素)、その他がある。ウェハサイズ137bとして、3インチ、8インチ、その他がある。構造137cとして、単結晶ウェハ、エピタキシャル層付き単結晶ウェハがある。単結晶ウェハは厚さを入力し、エピタキシャル層付き単結晶ウェハはエピタキシャル層と単結晶ウェハの各厚さを入力する。ウェハ特定領域の不純物濃度137dとして、アクティブ、その他1、その他2の領域ごとに、導電型のn型またはp型、不純物濃度の値を入力する。
【0057】
次に、検査領域設定欄134には、検査領域を設定するための入力を行う。検査領域は、ウェハ全面でもよい。また、GUIで検査したい領域をダイ135に分割して選択することもできる。選択する場合は、ダイ番号を指定する。また、ダイレイアウト情報設定欄136に、素子作製プロセスのマスク情報に基づいたレイアウトを入力し、選択することもできる。また、直接座標を入力することもできる。
【0058】
以上のようにして検査情報130の入力が完了した後は、図3のGUI36に設けられた検査開始ボタンを指定(クリック)することにより、全体制御部37および制御系6による制御に従って自動的に検査が開始する。また、検査を中止したい場合には、検査中止ボタンを指定することで、検査を中止することができる。
【0059】
次に、検査すべきウェハ21を、半導体検査装置1におけるウェハ搬送系4のウェハカセットにセットする。ウェハカセットには、1枚もしくは複数枚の検査ウェハをセットできる。なお、この動作は検査情報130の入力(S40)と前後してもよい。
【0060】
次に、ウェハロード工程(S41)において、ウェハ21を半導体検査装置1のXYステージ19上のウェハホルダ20にロードする。
【0061】
次に、電子光学条件設定工程(S42)において、電子光学系2の電子光学条件を設定する。電子光学条件は、以下に述べるEp、VP、VNなどがある。そして、これらの条件は、前記検査情報130に基づいて自動的に定められる。また、マニュアルで入力することもできる。
【0062】
次に、電子線調整工程(S43)において、電子銃11から放出する電子線の調整を行う。電子線の調整は、光学軸の調整、焦点、非点などである。電子線の調整は自動で行うこともできる。
【0063】
次に、ウェハアライメント工程(S44)において、検査すべきウェハ21のアライメントを行う。アライメントは、検査すべきウェハ21の座標(Xsub、Ysub)とXYステージ19の座標(Xs、Ys)を合わせることである。
【0064】
次に、キャリブレーション工程(S45)において、キャリブレーションを行う。まず、入射エネルギEpを決定する方法について、図4を用いて説明する。例えば、一次電子9の電流を100pA、電圧Vpを−10kVとし、リターディング電圧Vrを−9.7Vとして、珪素ウェハ上に熱酸化法で形成した膜厚1ミクロンの二酸化珪素膜を較正用試料として用いる。較正用試料は、XYステージ19の一部に設置されている。例えば、XYステージ19のコーナー部に設置されている。そしてまず、較正用試料に一次電子9を照射する。このとき、二酸化珪素膜は、正に帯電するために、一次電子9の電流量に等しい二次電子10の電流が放出される。ここで、二次電子10は、所謂“真の二次電子”と反射電子の和である。このとき、二次電子10を検出する検出器14に接続されたプリアンプのゲイン、オフセットを調整し、例えば、出力電圧を1Vになるように設定する。
【0065】
次に、一次電子9の電流を200pAにしたときの出力電圧が2Vになることを確認し、次に一次電子9の電流を50pAにしたときの出力電圧が0.5Vになることを確認して、検出器14の線形性を確認する。線形性が得られなかった場合は、アンプの線形性が得られる出力電圧になるようにゲインを調整する。上記により、アンプの出力電圧から二次電子10の電流量を換算することができる。上記キャリブレーション(S45)は、自動で行うこともできるし、ユーザ自身がレシピを作成して行うこともできる。
【0066】
次に、検査すべきウェハ21(ここでは炭化珪素単結晶ウェハ)に一次電子9を照射する。一次電子9の電流を100pAとし、Vpは−10kVとし、Vrを−9.9kVから0Vまで可変させて二次電子10の電流を計測する。計測は、自動またはマニュアルで行われる。二次電子放出率(全電子放出率とも呼ばれる)は、二次電子電流/一次電子電流で与えられる。一次電子9のエネルギは(Vr−Vp)エレクトロンボルト(eV)で与えられる。
【0067】
図4は、二次電子放出率の入射エネルギ(一次電子9のエネルギEp)依存性をプロットした二次電子放出率カーブ64の一例である。図4では、一次電子9のエネルギEpを横軸にとり、二次電子放出検出電圧を縦軸にとっている。二次電子放出率が1となる一次電子9のエネルギ65を基準エネルギE1とし、63を基準エネルギE2とする。検出器14からの出力信号電圧に関して基準信号電圧は1Vとした。Epは、基準エネルギE1より高く基準エネルギE2より低いエネルギであり、Epを1kVに設定する。二次電子放出検出電圧61は1.8Vである。
【0068】
次に、対向電極16の電位VPは、二次電子10を検出器14側に引き出す電位とするため、2kVに設定し、対向電極16の電位VNは、二次電子放出検出電圧を1Vより小さくする電圧であり、二次電子10をウェハ21の表面側に戻す電位とするため、(Vr―50V)と設定される。VNを印加することにより、二次電子放出検出電圧62は、0.9Vとなる。すなわち、61はVP条件の二次電子放出検出電圧であり、62はVN条件の二次電子放出検出電圧である。
【0069】
次に、検査画像取得工程(S46)において、検査画像を取得する。検査画像は、検査情報130に基づいて、XYステージ19を移動し、一次電子9を偏向器15によりXY方向に偏向し、一次電子9の偏向と同期して二次電子10の信号を検出器14で取得し、画像処理部30に画像を取得する。XYステージ19の移動と一次電子9の偏向は、独立に行っても、連動させてもよい。また、図5を用いて後述するように、一次電子9の電子線走査方向74に対してステージ移動方向75を垂直にして、一次電子9の偏向とXYステージ19の移動を同期して二次電子10の信号を取得してもよい。ここで、検査すべきウェハ21に予め基準点を設定し、ステージ座標(Xs、Ys)と一次電子走査座標(Xe、Ye)を一致させておく。ウェハ座標(Xsub、Ysub)は(Xs+Xe、Ys+Ye)で与えられる。
【0070】
次に、検査処理画像出力工程(S47)において、検出器14からの出力信号電圧に関する前記基準信号電圧に基づいて、閾値フィルタによる画像処理を施した検査処理画像を出力する。
【0071】
次に、欠陥座標抽出工程(S48)において、検査情報130に基づき、電子光学条件を変えた検査画像および検査処理画像を取得し、欠陥に対応した図形の取得、頂点座標、重心座標などの欠陥座標の抽出を行う。
【0072】
次に、欠陥分類工程(S49)において、欠陥図形のパターン認識により、欠陥を分類する。
【0073】
次に、欠陥分布マップ作成工程(S50)において、それぞれの欠陥ごとに、欠陥分布マップを自動で作成する。
【0074】
次に、欠陥解析工程(S51)において、検査情報130の入力(S40)の値と検査画像から、欠陥の密度や電気特性の解析処理を行う。
【0075】
上記の検査処理画像出力、欠陥座標抽出、欠陥分類、欠陥マップ作成、欠陥解析の各処理は、本実施の形態の半導体検査装置1のコンピュータで処理することができる。また、ネットワークで接続されたコンピュータで処理することもできる。また、複数の検査装置をネットワークで接続し、複数の検査ウェハを並列で検査することもできる。
【0076】
次に、検査結果出力工程(S52)において、操作部8に検査結果を出力する。検査結果の出力は、図3に示すGUI36で行われる。検査結果としては、欠陥密度結果出力140、第1欠陥群の欠陥分布出力141、第2欠陥群の欠陥分布出力142、第2欠陥群の欠陥電気特性出力143などが表示される。欠陥密度結果出力140として、全面、アクティブ、その他1の領域ごとに、マクロ欠陥、積層欠陥、基底面転位、貫通らせん転位、貫通刃状転位の各欠陥密度が表示される。第2欠陥群の欠陥電気特性出力143として、貫通らせん転位、貫通刃状転位の各特性値が表示される。これらの検査結果についての詳細は後述する。
【0077】
次に、ウェハアンロード工程(S53)において、検査ウェハをアンロードする。そして、次の検査ウェハがある場合は、ウェハをロードし、上記検査を行う。全ての検査ウェハについて終了するまで、上記処理を繰り返す。
【0078】
<第1欠陥群を検出する方法>
次に、図5図6A図6B図6D図7A図7Bを参照して、上述した半導体検査装置1および半導体検査方法を用いて、第1欠陥群を検出する方法について説明する。より具体的には、図1に示した半導体検査装置1を用いて、図2に示した半導体検査方法により、検査すべき単結晶ウェハの第1欠陥群(マクロ欠陥、基底面転位、積層欠陥)を検出する方法を説明する。
【0079】
図5は、ウェハの検査方法の一例を説明する図である。図5において、検査すべき検査ウェハ70の導電型はn型である。検査ウェハ70の不純物濃度は、2×1015cm−3である。検査ウェハ70の第1オリエンテーションフラット72は、[1 −1 0 0]方向であり、第2オリエンテーションフラット73は[−1 −1 2 0]方向である。検査ウェハ70の検査領域を格子状のダイ71に分割する。ダイ71は、好適には、1つの半導体素子の作製領域である。第1オリエンテーションフラット72をXYステージ19のX方向に合わせ、第2オリエンテーションフラット73をXYステージ19のY方向に合わせて、検査ウェハ70をXYステージ19に固定する。
【0080】
一次電子9のエネルギEpを1keVとするため、Vpを−10kV、Vrを−9kVとした。対向電極16の電位VNを−9.05kVに設定した。一次電子9の電流を100pAとした。一次電子9を偏向器15によりX方向およびY方向に検査ウェハ70の表面を走査する。一次電子9の走査に同期して二次電子10の信号を取得する。また、図5のように、一次電子9をY方向(電子線走査方向74)に走査し、X方向(ステージ移動方向75)にXYステージ19を走査して、一次電子9の走査とXYステージ19の移動に同期して画像を取得してもよい。また、一次電子9をX方向に走査し、XYステージ19をY方向に走査してもよい。
【0081】
検査ウェハ70に予め基準点を設定し、ステージ座標(Xs、Ys)と一次電子走査座標(Xe、Ye)を一致させておく。ウェハ座標(Xsub、Ysub)は、(Xs+Xe、Ys+Ye)で与えられる。検査ウェハ70に第1オリエンテーションフラット72と第2オリエンテーションフラット73が加工されている場合、XYステージ19のX方向を第1オリエンテーションフラット72の方向に合わせ、XYステージ19のY方向を第2オリエンテーションフラット73の方向に合わせる。図3に示したGUI36の検査領域設定欄134において、素子に対応するダイ135を設定する。
【0082】
図6Aは、欠陥を検査した画像の一例を説明する図である。図6Bは、第1欠陥群の欠陥を検査した画像処理の一例を説明する図である。図6Dは、第1欠陥群の欠陥を検査した別の画像の一例を説明する図である。
【0083】
図6Aは、ウェハの欠陥を検査した検査画像の中の一つである。光学顕微鏡34では検査できない欠陥(貫通転位82、積層欠陥80、基底面転位81)が画像に含まれている。図6Dは、ウェハの別の場所の検査画像であり、86は本検査装置の光学顕微鏡34を用いて観察した光学顕微鏡画像である。検出された数百ミクロンの大きさのマクロ欠陥87、88の光学顕微鏡画像86に対応した第1検査画像は91a、91bである。すなわち、光学顕微鏡画像86の欠陥部(マクロ欠陥の端部87)と第1検査画像91aの欠陥部(マクロ欠陥頂点部90)が対応し、同様に、光学顕微鏡画像86の欠陥部(マクロ欠陥88)と第1検査画像91bの欠陥部(マクロ欠陥底辺部89)が対応している。マクロ欠陥は本検査装置の光学顕微鏡34だけでも検査できる。
【0084】
次に、画像処理を行う。検出器14からの出力検査信号電圧に関して基準信号電圧は1Vである。図6Bは、図6Aの検査画像に対して、出力検査信号電圧1.5V以上の信号を閾値フィルタ処理して得られた第1A画像である。図6Dの検査画像91aおよび91bも同様に1.5V以上の信号を閾値フィルタ処理することにより第1A画像が得られる。図6Bに示した第1A画像の点形状図形84や多角形図形83を抽出することにより、第1欠陥群の分布が得られる。点形状図形84は基底面転位81を示し、多角形図形83は積層欠陥80を示す。特に、100ミクロン以上の図形をマクロ欠陥として抽出することもできる。
【0085】
図7Aは、第1欠陥群の欠陥分布の一例を説明する図である。図7Bは、第1欠陥群の判別分布の一例を説明する図である。
【0086】
図7Aは、基底面欠陥103(△印)とマクロ欠陥102(○印)の第1欠陥群の欠陥分布101の出力である。図7Bは、第1欠陥群の欠陥を含まないダイ104と第1欠陥群の欠陥を含むダイ105を判別した分布の出力である。ダイを6mm×6mmに設定した場合、全ダイ数は76個で、このうち、30個のダイが良品ダイであると判別でき、良品率は39.4%である。ダイを3mm×3mmにした場合は、全ダイ数は304個で、良品ダイは238個で、良品率は78.2%である。すなわち、電力制御用半導体素子では、定格電流が大きくなると、ダイサイズを大きくする必要がある。本実施の形態の検査により、半導体素子の定格に応じたウェハ品質が定まる。
【0087】
<第2欠陥群を検出する方法>
次に、図6C図8を参照して、上述した半導体検査装置1および半導体検査方法を用いて、第2欠陥群を検出する方法について説明する。より具体的には、図6Aに示した検査画像を用いて、第2欠陥群を検出する方法を説明する。第2欠陥群は、貫通らせん転位と貫通刃状転位である。貫通転位単体では、致命的欠陥にはならず、集合によって致命的欠陥となりうる。このため、検査ではダイの欠陥密度を評価する。
【0088】
図6Cは、第2欠陥群の欠陥を検査した画像処理の一例を説明する図である。図8は、第2欠陥群の欠陥分布の一例を説明する図である。
【0089】
上述した図6Aの第1検査画像(貫通転位82)において、図6Cは出力検査信号電圧0.5V以下の信号を閾値フィルタ処理して得られた第1B画像である。図6Cにおいて、点形状図形85は貫通転位である。図8は、貫通転位のウェハ面内分布、すなわち第2欠陥群の欠陥分布110である。図8において、111のダイを拡大した結果が、112の拡大図(ダイの欠陥分布の拡大図)である。この画像処理および欠陥分布により、貫通転位113の密度1.9×10cm−2が得られる。
【0090】
<第2欠陥群の欠陥特性解析における貫通らせん転位と貫通刃状転位を判別する方法>
次に、図9Aを参照して、上述した半導体検査装置1および半導体検査方法を用いて、第2欠陥群の欠陥特性解析における貫通らせん転位と貫通刃状転位を判別する方法について説明する。
【0091】
図9Aは、第2欠陥群の欠陥特性解析における貫通らせん転位と貫通刃状転位を判別する一例を説明する図である。図9Aにおいて、120は、上述した図5の検査条件にて取得した図6Aとは別の場所の第1検査画像である。これに対して、対向電極16の電位を正にし、VPを2kVに設定したときの第2検査画像を取得する。121は、この取得した第2検査画像(第1検査画像と同一場所)である。
【0092】
第1検査画像120と同一場所の第2検査画像121とを比較する。第1検査画像120の貫通らせん転位を示すコントラスト122bと、第2検査画像121の貫通らせん転位を示すコントラスト123bは同等のコントラストである。この場合は、貫通らせん転位であることが、水酸化カリウムを用いたエッチング法により確認できる。また、第1検査画像120の貫通刃状転位を示すコントラスト122aは、第2検査画像121の貫通刃状転位を示すコントラスト123aと大きく異なっている。この場合は、貫通刃状転位であることが、水酸化カリウムを用いたエッチング法により確認できる。即ち、第1検査画像120と第2検査画像121の比較を行うことにより、貫通らせん転位と貫通刃状転位を判別することができる。
【0093】
第1検査画像120および第2検査画像121においても、上述した図8と同様、出力検査信号電圧0.5V以下の信号を閾値フィルタ処理して得られた画像により、貫通らせん転位と貫通刃状転位の分布が得られる。
【0094】
以上のことから、第1検査画像の明るい領域はマクロ欠陥、基底面欠陥であり、暗い点は貫通転位であることが分かる。また、第2検査画像の暗い点は貫通らせん転位であることが分かる。さらに、第1検査画像の暗い点から第2検査画像の暗い点を除いた暗い点は、貫通刃状転位であることが分かる。
【0095】
<貫通転位の荷電特性を取得する方法>
次に、図9B図10A図10Bを参照して、上述した図9Aの第1検査画像120と第2検査画像121を用いて、貫通転位の荷電特性を取得する方法について説明する。
【0096】
図9Bは、貫通転位のコントラストのプロファイルの一例を説明する図である。図10Aは、ドナーイオンと電子が存在するn型半導体に貫通転位が形成されたときの一例を説明する図である。図10Bは、図10Aのエネルギバンドの一例を説明する図である。
【0097】
図9Bにおいて、124は第1検査画像120の貫通転位のコントラストのプロファイルを示し、125は第2検査画像121の貫通転位のコントラストのプロファイルを示す。暗い点形状コントラストである幅127または129(プロファイルの幅)は、空乏領域幅である。
【0098】
図10Aでは、ドナーイオン151と伝導電子152が存在するn型半導体に貫通転位150が形成されたときの模式図を示しており、図10Bはそのエネルギバンド図を示している。フェルミ準位160より深い位置に転位の欠陥準位162が形成され、電子158が欠陥準位162に捕獲されると、クーロンエネルギが増加し、また転位線近傍が空乏化する。ここでは、図10Aに示すように、転位に捕獲された電子154の平均間隔(a)155の等間隔で電子が捕獲され、空乏半径(R)153の円筒状の空乏領域が形成される。空乏半径Rは、第1検査画像120および第2検査画像121の貫通転位を示す暗い点形状コントラストのプロファイルから計測する。
【0099】
図9Bでは、貫通らせん転位を示すコントラスト122bのラインプロファイル124と貫通刃状転位を示すコントラスト123aのラインプロファイル125を示している。ラインプロファイル124における幅(2R)127のRは325nm、ラインプロファイル125における幅(2R)129のRは180nmである。ここで、ラインプロファイル124、125の縦軸は、欠陥SNであり、〔正常部(背景)明度−欠陥部明度〕/〔正常部明度の標準偏差〕で定義される。
【0100】
図9Bで測定したRを用いて、電子トラップのイオン化エネルギEを求める。図10Bより、Eは、(1)式で与えられる。
【0101】
【数1】
【0102】
ここで、ΔEFTはフェルミ準位160とトラップ欠陥準位(Ed)162とのエネルギ差161、ΔECFはフェルミ準位160と伝導帯156とのエネルギ差163、qφは電位障壁159である。なお、157は価電子帯を示す。ΔECFは、(2)式で与えられる。
【0103】
【数2】
【0104】
ここで、炭化珪素のバッドギャップE=3.26eV、不純物濃度N=7.85×1014/cm、真性キャリア濃度n=8.2×10−9/cm、T=300Kを代入すると、ΔECF=0.26eVが得られる。転位芯にトラップされた電子の線電荷密度Q(=Q/a)は、電荷中性条件により、(3)式で与えられる。
【0105】
【数3】
【0106】
ΔEFTは(4)式で与えられ、qφは(5)式で与えられる。
【0107】
【数4】
【0108】
【数5】
【0109】
以上により、貫通らせん転位(コントラスト122b)の電位障壁は0.29eV、貫通刃状転位(コントラスト123a)の電位障壁は0.05eVが得られた。上記結果は、上述した図3に示したGUI36の第2欠陥群の欠陥電気特性出力143に出力され、素子設計シミュレーションに活用し、定格電流、定格電圧の設計を行うことができる。
【0110】
<半導体素子の製造方法>
次に、図11図13を参照して、上述した図1図10の半導体検査装置1および半導体検査方法などを用いて、半導体素子の製造方法について説明する。より具体的には、欠陥による特性影響がない炭化珪素半導体素子の製造方法を説明する。
【0111】
図11は、半導体素子の製造方法の一例を説明する図である。図12は、ダイの一例を説明する図である。図13は、第1欠陥群の欠陥分布の一例を説明する図である。
【0112】
図11の半導体素子の製造方法において、まず、n型炭化珪素ウェハ180について、上述した図1の半導体検査装置および図2の半導体検査方法を用いて、第1欠陥群の欠陥分布を取得する第1検査工程を行う。
【0113】
次に、n型炭化珪素ウェハ180の表面上に、n型炭化珪素エピタキシャル層181を化学気相成長法などで形成する。この炭化珪素エピタキシャル層181について、上述した図1の半導体検査装置および図2の半導体検査方法を用いて、第1欠陥群の欠陥分布を取得する第2検査工程を行う。炭化珪素ウェハ180の欠陥のなかで、基底面欠陥が減少していることを確認する。このとき、基底面欠陥が同等か増えた場合は、エピタキシャル成長条件を変える。
【0114】
また、エピタキシャル層が形成されたウェハから半導体素子の製造を開始する場合は、第2検査工程において、第1欠陥群の欠陥分布を取得し、ダイサイズに基づいて上述した図7Bを用いて説明した良品率を取得する。良品率が規定を満たさないウェハは、製造に用いない。好適には、良品率は、90%以上である。言い換えれば、ダイのサイズは、欠陥ダイが10%以下になるようにダイの大きさを定めることが望ましい。
【0115】
次に、エピタキシャル層の欠陥を不活性化するために、n型炭化珪素エピタキシャル層181に、p型不純物注入領域182をイオン注入などで形成する。このようにして形成された半導体素子に相当するダイの一例を図12に示す。図12において、190はダイを示し、191はp型不純物注入領域、192はnドリフト層、193はn型チャネルストッパ、194はp型ガードリングである。上述した図1図10の半導体検査装置および半導体検査方法などを用いて、アクティブ層であるnドリフト層192の第1欠陥群および第2欠陥群の欠陥分布を取得する。
【0116】
第1欠陥群の欠陥分布の一例を図13に示す。図13に示す第1欠陥群の検査結果の一部210において、ダイ200には、基底面欠陥204がアクティブ領域205に検出されているので、不可ダイとする。不可ダイとは、不良素子としてスクリーニングされる不良ダイである。ダイ201には、マクロ欠陥206がアクティブ領域207に検出されているので、不可ダイとする。ダイ202には、基底面欠陥208が不純物領域209に検出されているので、正常ダイとする。ダイ203には、アクティブ領域に第1欠陥群の欠陥が検出されていないので正常ダイとする。なお、p型ガードリング194、n型チャネルストッパ193には、第1欠陥群の欠陥がないことが望ましい。半導体素子の定格電圧に応じて、不可ダイか正常ダイかを判断する。不可ダイは、半導体素子の製造後のダイシングにおいて、不良素子としてスクリーニングすることにより、バーンイン検査などの後工程を省略できる。
【0117】
<走査電子顕微鏡を用いた半導体検査装置>
次に、上述した図1図10の半導体検査装置1および半導体検査方法などにおいて、走査電子顕微鏡を用いた半導体検査装置について説明する。
【0118】
上述した図1の半導体検査装置には、電子後方散乱パターン検出器、X線検出器、加工用収束イオンビームを具備した走査電子顕微鏡として、上述した図3図10の半導体検査方法などを用いて、欠陥の観察、および物理分析を行うことができる。本実施の形態では、欠陥を非破壊で特定し、加工用集束イオンビームを用いて欠陥部を切り出し、透過電子顕微鏡による構造解析を行うことができる。
【0119】
<本実施の形態の効果>
以上説明した本実施の形態に係る半導体検査方法、半導体検査装置、および半導体素子の製造方法によれば、ウェハ21に形成された複数の種類の欠陥を区別して検出することができ、重要度の高い欠陥およびその座標を特定し、スクリーニングすべきダイを抽出することができる。すなわち、キラー欠陥の大きさと座標、貫通転位の密度および貫通転位がキラー欠陥か否かを非破壊で計測でき、半導体素子製造の前工程において、不良ダイをスクリーニングする検査方法および検査装置、さらに、欠陥による素子特性への影響がない半導体素子の製造方法を提供することができる。より詳細には、以下のような効果を得ることができる。
【0120】
(1)検査画像取得(S46)から欠陥分類(S49)までの工程を経て、全体制御部37は、入射エネルギEpと負の電位VNとを選択して、一次電子9をウェハ21の検査面に対して走査し二次電子10を検出するように制御する。そして、画像処理部30において、全体制御部37による制御にて得られた第1検査画像を取得し、予め定められた二次電子10の信号量の閾値に基づく画像処理により、第1検査画像に含まれるマクロ欠陥と積層欠陥と基底面転位と貫通転位とを判別することができる。
【0121】
(2)欠陥分布マップ作成(S50)の工程などを経て、画像処理部30において、マクロ欠陥と積層欠陥と基底面転位とを第1欠陥群とし、貫通転位を第2欠陥群として区別し、第1欠陥群のウェハ面内分布と第2欠陥群のウェハ面内分布とを出力することができる。
【0122】
(3)欠陥座標抽出(S48)の工程などを経て、画像処理部30において、ウェハを格子状に分割した領域に対して、第1欠陥群が含まれる領域を特定することができる。
【0123】
(4)検査画像取得(S46)から欠陥分類(S49)までの工程を経て、全体制御部37は、入射エネルギEpと正の電位VPとを選択して、一次電子9をウェハ21の検査面に対して走査し二次電子10を検出するように制御する。そして、画像処理部30において、全体制御部37による制御にて得られた第2検査画像を取得し、予め定められた二次電子10の信号量の閾値に基づく画像処理により、第2検査画像に含まれる点形状図形の貫通らせん転位を判別することができる。
【0124】
(5)欠陥分類(S49)の工程などを経て、画像処理部30において、第1検査画像の点形状図形と第2検査画像の点形状図形との比較により、貫通らせん転位と貫通刃状転位とを判別することができる。
【0125】
(6)欠陥解析(S51)の工程などを経て、画像処理部30において、点形状図形の二次電子の信号プロファイルから、貫通転位の電荷捕獲密度Qおよび障壁電位qφを出力することができる。
【0126】
(7)欠陥座標抽出(S48)、欠陥分類(S49)の工程などを経て、画像処理部30において、ウェハの格子状のダイ領域に半導体素子のマスク情報に基づいて設定されたレイアウトに対して、このレイアウトの所定領域でのマクロ欠陥と積層欠陥と基底面転位とを判別することができる。
【0127】
(8)検査画像取得(S46)から検査結果出力(S52)までの工程を経て、マクロ欠陥と積層欠陥と基底面転位とを含むダイを指定し、この指定したダイをスクリーニングすることができる。
【0128】
(9)検査画像取得(S46)から検査結果出力(S52)までの工程を経て、レイアウトのアクティブ領域にマクロ欠陥と積層欠陥と基底面転位とが検査されたダイをスクリーニングすることができる。
【0129】
(10)検査画像取得(S46)から検査結果出力(S52)までの工程を経て、マクロ欠陥と積層欠陥と基底面転位とを含む欠陥ダイが10%以下になるようにダイの大きさを定めることができる。
【0130】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。たとえば、上記した実施の形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0131】
[付記]
本発明の半導体検査装置は、以下のような特徴も有する。なお、半導体検査方法も、同様の特徴を有する。
【0132】
(1)半導体検査装置であって、
荷電粒子線を発生させる荷電粒子銃と、
試料を支持する試料ホルダと、
前記荷電粒子線を試料面に対して走査させる偏向部と、
前記荷電粒子線が前記試料に照射されることにより発生する二次電子を検出する検出器と、
前記検出器からの出力を画像として処理する画像処理部と、
前記試料の電位を制御する試料電位制御部と、
前記試料と対物レンズとの間に設けられた対向電極と、
前記試料の電位を基準とした正の電位または負の電位を、前記対向電極へ印加する電源部と、
前記荷電粒子線および前記二次電子の電流量に基づき、二次電子放出率を算出する放出率算出部と、
前記放出率算出部の出力に基づき、前記二次電子放出率が1よりも大きくなる入射エネルギと、前記入射エネルギにおいて、前記二次電子放出率が1よりも小さくなる前記負の電位、および前記二次電子放出率が1よりも大きくなる前記正の電位とを算出する算出部と、
前記試料における測定条件により、前記入射エネルギと前記対向電極への前記正の電位または前記負の電圧の印加とを制御する制御部と、を有する、半導体検査装置。
【0133】
(2)上記(1)の半導体検査装置において、
前記試料における測定条件として、前記試料のマクロ欠陥もしくは結晶欠陥の種類が入力される検査項目入力部を有し、
前記制御部は、前記入力に基づき、前記入射エネルギと前記対向電極への前記正の電位または前記負の電位の印加とを前記荷電粒子線に対し制御し、
前記画像処理部は、前記制御により得られた複数の画像に基づき、前記試料のマクロ欠陥および結晶欠陥を判断し、致命的欠陥(キラー欠陥)を判断する、半導体検査装置。
【0134】
(3)上記(2)の半導体検査装置において、
前記試料は、単結晶ウェハ、もしくはエピタキシャル層が形成されたウェハであり、
前記画像処理部は、前記試料の致命的欠陥の判断結果に基づいて、前記ウェハの品質を数値化して出力する、半導体検査装置。
【0135】
(4)上記(1)の半導体検査装置において、
入出力操作を行うGUIを有し、
前記GUIは、
ウェハをダイに分割し、ダイ番号を指定する第1入力部と、マスク情報を入力する第2入力部と、前記ウェハの不純物濃度を入力する第3入力部と、
前記ウェハの検査から第1欠陥群と第2欠陥群とに分類して出力する第1出力部と、前記第1欠陥群の座標と大きさを出力する第2出力部と、前記第1入力部で指定したダイに前記第1欠陥群の座標が含まれるダイを抽出する第3出力部と、前記第1入力部で指定したダイにおける前記第2欠陥群の欠陥密度を出力する第4出力部と、二次電子を検査して得られた前記第2欠陥群の走査画像のプロファイルから前記第2欠陥群の電気特性を解析して出力する第5出力部と、前記第2入力部で指定したマスク情報に基づき、前記第5出力部の出力に基づいてスクリーニングすべきダイを抽出する第6出力部と、を有する、半導体検査装置。
【符号の説明】
【0136】
1…半導体検査装置、2…電子光学系、4…ウェハ搬送系、5…真空排気系、6…制御系、7…画像処理系、8…操作部、9…一次電子、10…二次電子(または反射電子)、11…電子銃、12…コンデンサレンズ、13…対物レンズ、14…検出器、15…偏向器、16…対向電極、
19…XYステージ、20…ウェハホルダ、21…ウェハ、22…電子線制御部、23…検出系制御部、24…偏向制御部、25…電子レンズ制御部、26…リターディング電圧制御部、27…電極制御部、30…画像処理部、31…画像記憶部、33…反射板、34…光学顕微鏡、36…GUI、37…全体制御部、38…算出部、
S40…検査情報の入力工程、S41…ウェハロード工程、S42…電子光学条件設定工程、S43…電子線調整工程、S44…ウェハアライメント工程、S45…キャリブレーション工程、S46…検査画像取得工程、S47…検査処理画像出力工程、S48…欠陥座標抽出工程、S49…欠陥分類工程、S50…欠陥分布マップ作成工程、S51…欠陥解析工程、S52…検査結果出力工程、S53…ウェハアンロード工程、
61…VP条件の二次電子放出検出電圧、62…VN条件の二次電子放出検出電圧、63…基準エネルギE2、64…二次電子放出率カーブ、65…基準エネルギE1、
70…検査ウェハ、71…ダイ、72…第1オリエンテーションフラット、73…第2オリエンテーションフラット、74…電子線走査方向、75…ステージ移動方向、
80…積層欠陥、81…基底面転位、82…貫通転位、83…積層欠陥を示す多角形図形、84…基底面転位を示す点形状図形、85…貫通転位を示す点形状図形、86…光学顕微鏡画像、87…マクロ欠陥の端部、88…マクロ欠陥、89…マクロ欠陥底辺部、90…マクロ欠陥頂点部、91a…マクロ欠陥頂点部の第1検査画像、91b…マクロ欠陥底辺部の第1検査画像、
101…第1欠陥群の欠陥分布、102…マクロ欠陥、103…基底面欠陥、104…第1欠陥群の欠陥を含まないダイ、105…第1欠陥群の欠陥を含むダイ、
110…第2欠陥群の欠陥分布、111…ダイ、112…ダイの欠陥分布の拡大図、113…貫通転位、
120…第1検査画像、121…第2検査画像、122a…貫通刃状転位を示すコントラスト、122b…貫通らせん転位を示すコントラスト、123a…貫通刃状転位を示すコントラスト、123b…貫通らせん転位を示すコントラスト、124…第1検査画像の貫通転位のコントラストのプロファイル、125…第2検査画像の貫通転位のコントラストのプロファイル、127…プロファイルの幅、129…プロファイルの幅、
130…検査情報、131a…第1欠陥群検査項目入力欄、131b…第2欠陥群検査項目入力欄、132…試料情報入力欄、133…検査項目入力欄、134…検査領域設定欄、135…ダイ、136…ダイレイアウト情報設定欄、137a…ウェハの組成、137b…ウェハサイズ、137c…構造、137d…不純物濃度、140…欠陥密度結果出力、141…第1欠陥群の欠陥分布出力、142…第2欠陥群の欠陥分布出力、143…第2欠陥群の欠陥電気特性出力、
150…貫通転位、151…ドナーイオン、152…電子、153…空乏半径、154…転位に捕獲された電子、155…転位に捕獲された電子の平均間隔、156…伝導帯、157…価電子帯、158…欠陥準位に捕獲された電子、159…電位障壁、160…フェルミ準位、161…フェルミ準位とトラップ準位のエネルギ差、162…欠陥準位、163…伝導帯とフェルミ準位のエネルギ差、
180…炭化珪素ウェハ、181…n型炭化珪素エピタキシャル層、182…p型不純物注入領域、
190…ダイ、191…p型不純物注入領域、192…nドリフト層、193…n型チャネルストッパ、194…p型ガードリング、
200…アクティブ領域に基底面欠陥を含むダイ、201…アクティブ領域にマクロ欠陥を含むダイ、202…不純物領域に基底面欠陥、マクロ欠陥を含むダイ、203…第1欠陥群の欠陥を含まないダイ、204…基底面欠陥、205…アクティブ領域、206…マクロ欠陥、207…アクティブ領域、208…基底面欠陥、209…不純物領域、210…第1欠陥群の検査結果の一部。

図1
図2
図4
図6B
図6C
図3
図5
図6A
図6D
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13