特許第6053021号(P6053021)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6053021
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】エンジンマウント制御装置及び車両
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/02 20060101AFI20161219BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20161219BHJP
   B60K 5/12 20060101ALI20161219BHJP
   B60W 10/30 20060101ALI20161219BHJP
   B60W 20/00 20160101ALI20161219BHJP
   B60K 6/485 20071001ALI20161219BHJP
【FI】
   F16F15/02 B
   F02D45/00 362S
   B60K5/12 F
   B60K6/20 380
   B60K6/485
【請求項の数】6
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-118621(P2013-118621)
(22)【出願日】2013年6月5日
(65)【公開番号】特開2014-234916(P2014-234916A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2015年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100149261
【弁理士】
【氏名又は名称】大内 秀治
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100169225
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 明
(72)【発明者】
【氏名】岡本 英之
(72)【発明者】
【氏名】山口 貴司
【審査官】 保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/004792(WO,A1)
【文献】 特開2011−252553(JP,A)
【文献】 特開2010−230135(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K1/00−8/00
B60W10/00−10/02
10/06−10/10
10/18
10/26−20/50
F02D43/00−45/00
F16F11/00−15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを車体に支持させるエンジンマウントに組み込まれたアクチュエータを駆動させることで前記車体へのエンジン振動の伝達を抑制する振動抑制制御を行うエンジンマウント制御装置であって、
前記エンジンマウント制御装置は、
前記エンジン振動が発生する周期であるエンジン振動周期を、上死点センサからの上死点信号及びクランクセンサからのクランクパルス信号の少なくとも一方に基づいて判定する振動周期判定処理と、
第1エンジン振動周期において前記クランクパルス信号を取得する信号取得処理と、
前記信号取得処理よりも後の又は前記信号取得処理と同じエンジン振動周期において、前記アクチュエータに対する目標電流波形を設定する目標電流波形設定処理と、
前記信号取得処理よりも後の又は前記信号取得処理と同じエンジン振動周期において、前記第1エンジン振動周期の開始時点から前記エンジン振動が前記アクチュエータに到達するまでの時間に対応する位相遅れを算出する位相遅れ算出処理と、
前記信号取得処理、前記目標電流波形設定処理及び前記位相遅れ算出処理よりも後のエンジン振動周期において、前記目標電流波形に基づく電流を前記アクチュエータに対して出力する電流出力処理と
を実行し、
さらに、前記エンジンマウント制御装置は、
前記位相遅れ算出処理では、前記第1エンジン振動周期におけるクランクパルスの間隔で前記位相遅れを割り、前記位相遅れに含まれるクランクパルスの数及び余り時間を算出し、
前記クランクパルスの数をNcrkとするとき、前記電流出力処理では、前記電流出力処理を行うエンジン振動周期において第Ncrk+1番目のクランクパルスの受信開始時点から前記余り時間が経過したとき、前記目標電流波形に対応する電流を前記アクチュエータに対して出力し、
さらに、前記エンジンマウント制御装置は、
前記位相遅れ算出処理を行うか否かを判定するエンジン回転数閾値を設定し、
エンジン回転数が前記エンジン回転数閾値を下回ると判定した場合、前記位相遅れ算出処理を実行し、
前記エンジン回転数が前記エンジン回転数閾値を上回ると判定した場合、前記位相遅れ算出処理を中止する
ことを特徴とするエンジンマウント制御装置。
【請求項2】
エンジンを車体に支持させるエンジンマウントに組み込まれたアクチュエータを駆動させることで前記車体へのエンジン振動の伝達を抑制する振動抑制制御を行うエンジンマウント制御装置であって、
前記エンジンマウント制御装置は、
前記エンジン振動が発生する周期であるエンジン振動周期を、上死点センサからの上死点信号及びクランクセンサからのクランクパルス信号の少なくとも一方に基づいて判定する振動周期判定処理と、
第1エンジン振動周期において前記クランクパルス信号を取得する信号取得処理と、
前記信号取得処理よりも後の又は前記信号取得処理と同じエンジン振動周期において、前記アクチュエータに対する目標電流波形を設定する目標電流波形設定処理と、
前記信号取得処理よりも後の又は前記信号取得処理と同じエンジン振動周期において、前記第1エンジン振動周期の開始時点から前記エンジン振動が前記アクチュエータに到達するまでの時間に対応する位相遅れを算出する位相遅れ算出処理と、
前記信号取得処理、前記目標電流波形設定処理及び前記位相遅れ算出処理よりも後のエンジン振動周期において、前記目標電流波形に基づく電流を前記アクチュエータに対して出力する電流出力処理と
を実行し、
さらに、前記エンジンマウント制御装置は、
前記位相遅れ算出処理では、前記第1エンジン振動周期におけるクランクパルスの間隔で前記位相遅れを割り、前記位相遅れに含まれるクランクパルスの数及び余り時間を算出し、
前記クランクパルスの数をNcrkとするとき、前記電流出力処理では、前記電流出力処理を行うエンジン振動周期において第Ncrk+1番目のクランクパルスの受信開始時点から前記余り時間が経過したとき、前記目標電流波形に対応する電流を前記アクチュエータに対して出力し、
さらに、前記エンジンマウント制御装置は、
運転者の加速意図を示す加速操作の有無を判定し、
前記加速操作があったと判定したとき、前記位相遅れ算出処理を実行し、
前記加速操作がないと判定したとき、前記位相遅れ算出処理を中止する
ことを特徴とするエンジンマウント制御装置。
【請求項3】
エンジンを車体に支持させるエンジンマウントに組み込まれたアクチュエータを駆動させることで前記車体へのエンジン振動の伝達を抑制する振動抑制制御を行うエンジンマウント制御装置であって、
前記エンジンマウント制御装置は、
前記エンジン振動が発生する周期であるエンジン振動周期を、上死点センサからの上死点信号及びクランクセンサからのクランクパルス信号の少なくとも一方に基づいて判定する振動周期判定処理と、
第1エンジン振動周期において前記クランクパルス信号を取得する信号取得処理と、
前記信号取得処理よりも後の又は前記信号取得処理と同じエンジン振動周期において、前記アクチュエータに対する目標電流波形を設定する目標電流波形設定処理と、
前記信号取得処理よりも後の又は前記信号取得処理と同じエンジン振動周期において、前記第1エンジン振動周期の開始時点から前記エンジン振動が前記アクチュエータに到達するまでの時間に対応する位相遅れを算出する位相遅れ算出処理と、
前記信号取得処理、前記目標電流波形設定処理及び前記位相遅れ算出処理よりも後のエンジン振動周期において、前記目標電流波形に基づく電流を前記アクチュエータに対して出力する電流出力処理と
を実行し、
さらに、前記エンジンマウント制御装置は、
前記位相遅れ算出処理では、前記第1エンジン振動周期におけるクランクパルスの間隔で前記位相遅れを割り、前記位相遅れに含まれるクランクパルスの数及び余り時間を算出し、
前記クランクパルスの数をNcrkとするとき、前記電流出力処理では、前記電流出力処理を行うエンジン振動周期において第Ncrk+1番目のクランクパルスの受信開始時点から前記余り時間が経過したとき、前記目標電流波形に対応する電流を前記アクチュエータに対して出力し、
さらに、前記エンジンマウント制御装置は、
前記エンジンに動力を伝達する電動機の回転位置を示すモータパルス信号を、前記クランクセンサよりも高い角度分解能を有するレゾルバから受信し、
前記位相遅れ算出処理で算出する前記余り時間を、前記レゾルバからの前記モータパルス信号におけるモータパルスの数に対応させてカウントし、
前記モータパルスの数をNmotとするとき、前記電流出力処理では、前記電流出力処理を行うエンジン振動周期において第Ncrk番目のクランクパルスを検出した後、第Nmot番目のモータパルスを受信したとき、前記目標電流波形に対応する電流を前記アクチュエータに対して出力する
ことを特徴とするエンジンマウント制御装置。
【請求項4】
エンジンを車体に支持させるエンジンマウントに組み込まれたアクチュエータを駆動させることで前記車体へのエンジン振動の伝達を抑制する振動抑制制御を行うエンジンマウント制御装置であって、
前記エンジンマウント制御装置は、
前記エンジン振動が発生する周期であるエンジン振動周期を、上死点センサからの上死点信号及びクランクセンサからのクランクパルス信号の少なくとも一方に基づいて判定する振動周期判定処理と、
第1エンジン振動周期において前記クランクパルス信号を取得する信号取得処理と、
前記信号取得処理よりも後の又は前記信号取得処理と同じエンジン振動周期において、前記アクチュエータに対する目標電流波形を設定する目標電流波形設定処理と、
前記信号取得処理よりも後の又は前記信号取得処理と同じエンジン振動周期において、前記第1エンジン振動周期の開始時点から前記エンジン振動が前記アクチュエータに到達するまでの時間に対応する位相遅れを算出する位相遅れ算出処理と、
前記信号取得処理、前記目標電流波形設定処理及び前記位相遅れ算出処理よりも後のエンジン振動周期において、前記目標電流波形に基づく電流を前記アクチュエータに対して出力する電流出力処理と
を実行し、
さらに、前記エンジンマウント制御装置は、
前記位相遅れ算出処理では、前記第1エンジン振動周期におけるクランクパルスの間隔で前記位相遅れを割り、前記位相遅れに含まれるクランクパルスの数及び余り時間を算出し、
前記クランクパルスの数をNcrkとするとき、前記電流出力処理では、前記電流出力処理を行うエンジン振動周期において第Ncrk+1番目のクランクパルスの受信開始時点から前記余り時間が経過したとき、前記目標電流波形に対応する電流を前記アクチュエータに対して出力し、
さらに、前記エンジンマウント制御装置は、
前記第1エンジン振動周期におけるn個(nは2以上の自然数)の前記クランクパルス信号からなるステージの間隔で前記位相遅れを割り、前記位相遅れに含まれるステージの数及び余り時間を算出する第2位相遅れ算出処理と前記位相遅れ算出処理とを切り替えて用い、
さらに、前記エンジンマウント制御装置は、
前記エンジンマウント制御装置の演算負荷を検出し、
前記位相遅れ算出処理又は前記第2位相遅れ算出処理を選択するための演算負荷閾値を設定し、
前記演算負荷が前記演算負荷閾値を下回るとき、前記位相遅れ算出処理を選択し、
前記演算負荷が前記演算負荷閾値を上回るとき、前記第2位相遅れ算出処理を選択し、
前記ステージの数をNstgとするとき、前記第2位相遅れ算出処理が選択された場合の前記電流出力処理では、前記電流出力処理を行うエンジン振動周期において第Nstg×n+1番目のクランクパルスの受信開始時点から、前記ステージの間隔で前記位相遅れを割ったことにより算出される前記余り時間が経過したとき、前記目標電流波形に対応する電流を前記アクチュエータに対して出力する
ことを特徴とするエンジンマウント制御装置。
【請求項5】
請求項記載のエンジンマウント制御装置において、
前記第2位相遅れ算出処理では、各ステージに含まれる前記クランクパルスの数nを可変とし、
前記エンジンマウント制御装置は、
前記第1エンジン振動周期における前記位相遅れが大きいほど、各ステージに含まれる前記クランクパルスの数nを減少させ、
前記第1エンジン振動周期における前記位相遅れが小さいほど、各ステージに含まれる前記クランクパルスの数nを増加させる
ことを特徴とするエンジンマウント制御装置。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか1項に記載のエンジンマウント制御装置を備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンを車体に支持させるエンジンマウントに組み込まれたアクチュエータを駆動させることで前記車体へのエンジン振動の伝達を抑制する振動抑制制御を行うエンジンマウント制御装置及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、アクチュエータへの給電を停止することなく、エンジン振動に対する防振機能を発揮することができる能動型防振支持装置及びその防振制御方法を提供することを目的としている([0007])。
【0003】
この目的を達成するため、特許文献1の能動型防振支持装置301は、クランクパルスセンサSa及びTDCセンサSbからの出力データを用いてエンジンの振動状態を推定するACM_ECU200が駆動部41を伸縮駆動して、振動の伝達を抑制する。ACM_ECU200は、クランクパルスセンサSa及びTDCセンサSbからの出力データを用いて算出されるエンジンの振動の伝達を抑制する目標電流値波形の位相遅れP1Fをエンジン信号の第1の周期C1の平均のSTG時間T1/4で割ったときの商であるSTG個数S1Fと、その余りの時間P’1Fを算出する。駆動部の駆動タイミングにおけるエンジン振動の第3の周期C3におけるSTG個数S1F分のSTG時間の経過を検出した時を位相遅れ基準とし、更に前記した余りの時間P’1F経過後に目標電流値波形を出力する(要約、図7図8)。
【0004】
特許文献1において、クランクパルスセンサSaの角度分解能は6°であり、TDCセンサSbの角度分解能はクランクシャフトの1/3回転(=120°)とされている([0066])。また、特許文献1における各周期C1〜C3はクランクシャフトの1/3回転(=120°)に対応する([0067]、図4図7)。
【0005】
さらに、各周期C1〜C3におけるSTG個数S1F(ステージSTGの個数)に関し、特許文献1では、1つの演算処理サイクルCUCYLを4個に分割することに限定されることなく、4個よりも大きい整数n個のステージに分割するように、ステージSTGに対応するクランク角を、6°の倍数で120°を割り切れるような、例えば、24°(5個に分割)、12°(10個に分割)としてもよいとされている([0069])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2011/004792号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、特許文献1では、目標電流値波形の位相遅れP1FをSTG個数S1F及び余りの時間P’1Fにより算出する。すなわち、第1の周期C1についてSTG個数S1F及び余りの時間P’1Fを算出し、これらを第3の周期C3の位相遅れδ1として用いる。換言すると、第3の周期C3全体においてエンジン回転数の変動がないと仮定した場合、位相遅れδ1は、実質的に下記の式(1)により算出することが可能である。
δ1=S1F×((C3)/4)+P’1F ・・・(1)
【0008】
上記式(1)のうち、右辺第1項「S1F×((C3)/4)」が、周期C1、C3の長さの変化を反映可能な値(可変値)であり、右辺第2項「P’1F」は、周期C1、C3の長さの変化を反映しない値(固定値)である。
【0009】
このため、特許文献1では、右辺第2項「P’1F」は周期C1、C3の長さが相対的に変化するほど、誤差を含む可能性がある。例えば、各周期C1〜C3がクランクシャフトの1/3回転(=120°)し、各ステージSTGが30°(=120°/4)に対応する場合、理論上、「P’1F」は、周期C3(ステージSTG)との関係で0°より大きく30°より小さい回転角度に対応する値を取り得ることとなる。
【0010】
そうすると、各周期C1〜C3の長さが相対的に大きく変動した場合、特許文献1の方法では目標電流値波形の位相遅れδ1が含む誤差が増大し、適切なタイミングでエンジン振動の伝達を抑制できなくなるおそれがある。
【0011】
本発明は上記のような課題を考慮してなされたものであり、より効果的なタイミングでエンジン振動の伝達を抑制することが可能なエンジンマウント制御装置及び車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るエンジンマウント制御装置は、エンジンを車体に支持させるエンジンマウントに組み込まれたアクチュエータを駆動させることで前記車体へのエンジン振動の伝達を抑制する振動抑制制御を行うものであって、前記エンジンマウント制御装置は、前記エンジン振動が発生する周期であるエンジン振動周期を、上死点センサからの上死点信号及びクランクセンサからのクランクパルス信号の少なくとも一方に基づいて判定する振動周期判定処理と、第1エンジン振動周期において前記クランクパルス信号を取得する信号取得処理と、前記信号取得処理よりも後の又は前記信号取得処理と同じエンジン振動周期において、前記アクチュエータに対する目標電流波形を設定する目標電流波形設定処理と、前記信号取得処理よりも後の又は前記信号取得処理と同じエンジン振動周期において、前記第1エンジン振動周期の開始時点から前記エンジン振動が前記アクチュエータに到達するまでの時間に対応する位相遅れを算出する位相遅れ算出処理と、前記信号取得処理、前記目標電流波形設定処理及び前記位相遅れ算出処理よりも後のエンジン振動周期において、前記目標電流波形に基づく電流を前記アクチュエータに対して出力する電流出力処理とを実行し、さらに、前記エンジンマウント制御装置は、前記位相遅れ算出処理では、前記第1エンジン振動周期におけるクランクパルスの間隔で前記位相遅れを割り、前記位相遅れに含まれるクランクパルスの数及び余り時間を算出し、前記クランクパルスの数をNcrkとするとき、前記電流出力処理では、前記電流出力処理を行うエンジン振動周期において第Ncrk+1番目のクランクパルスの受信開始時点から前記余り時間が経過したとき、前記目標電流波形に対応する電流を前記アクチュエータに対して出力することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、第1エンジン振動周期における位相遅れを、電流出力処理を行うエンジン振動周期に反映する際、クランクパルスの数と余り時間を用いる。クランクパルスの間隔(時間)は、特許文献1におけるステージの間隔よりも短い。これに伴い、特許文献1の場合よりも、余り時間(固定値)が取り得る範囲を狭くすることが可能となる。このため、従来のようにステージ単位で位相遅れを反映する場合と比較して、第1エンジン振動周期における位相遅れを、電流出力処理を行うエンジン振動周期に反映し易くなる。従って、アクチュエータの作動開始タイミングの精度を向上させることができる。
【0014】
前記エンジンマウント制御装置は、前記位相遅れ算出処理を行うか否かを判定するエンジン回転数閾値を設定し、エンジン回転数が前記エンジン回転数閾値を下回ると判定した場合、前記位相遅れ算出処理を実行し、前記エンジン回転数が前記エンジン回転数閾値を上回ると判定した場合、前記位相遅れ算出処理を中止してもよい。
【0015】
位相遅れ算出処理及び電流出力処理においてクランクパルスの数に関連した演算を行うと、特許文献1の場合と比較して演算負荷が増大する。また、エンジン回転数が速いほど、クランクパルス間隔が短くなるため、演算負荷が増大する。上記構成によれば、エンジン回転数がエンジン回転数閾値を下回る場合にのみ、位相遅れをクランクパルス間隔に基づいて補正することで演算負荷の増大を抑制することができ、安定した制御の実施を行うことが可能となる。
【0016】
前記エンジンマウント制御装置は、運転者の加速意図を示す加速操作の有無を判定し、前記加速操作があったと判定したとき、前記位相遅れ算出処理を実行し、前記加速操作がないと判定したとき、前記位相遅れ算出処理を中止してもよい。これにより、エンジン回転数の変化が大きい加速時において位相遅れ算出処理を実行することができる。このため、位相遅れ算出処理を効果的に利用することが可能となる。
【0017】
前記エンジンマウント制御装置は、前記エンジンに動力を伝達する電動機の回転位置を示すモータパルス信号を、前記クランクセンサよりも高い角度分解能を有するレゾルバから受信し、前記位相遅れ算出処理で算出する前記余り時間を、前記レゾルバからの前記モータパルス信号におけるモータパルスの数に対応させてカウントし、前記モータパルスの数をNmotとするとき、前記電流出力処理では、前記電流出力処理を行うエンジン振動周期において第Ncrk番目のクランクパルスを検出した後、第Nmot番目のモータパルスを受信したとき、前記目標電流波形に対応する電流を前記アクチュエータに対して出力してもよい。これにより、クランクセンサより角度分解能の高いレゾルバのモータパルスによって余り時間の経過を判定することができるため、より精度よくアクチュエータの作動タイミングを設定することが可能となる。
【0018】
前記エンジンマウント制御装置は、前記第1エンジン振動周期におけるn個(nは2以上の自然数)の前記クランクパルス信号からなるステージの間隔で前記位相遅れを割り、前記位相遅れに含まれるステージの数及び余り時間を算出する第2位相遅れ算出処理と前記位相遅れ算出処理とを切り替えて用い、さらに、前記エンジンマウント制御装置は、前記エンジンマウント制御装置の演算負荷を検出し、前記位相遅れ算出処理又は前記第2位相遅れ算出処理を選択するための演算負荷閾値を設定し、前記演算負荷が前記演算負荷閾値を下回るとき、前記位相遅れ算出処理を選択し、前記演算負荷が前記演算負荷閾値を上回るとき、前記第2位相遅れ算出処理を選択し、前記ステージの数をNstgとするとき、前記第2位相遅れ算出処理が選択された場合の前記電流出力処理では、前記電流出力処理を行うエンジン振動周期において第Nstg×n+1番目のクランクパルスの受信開始時点から、前記ステージの間隔で前記位相遅れを割ったことにより算出される前記余り時間が経過したとき、前記目標電流波形に対応する電流を前記アクチュエータに対して出力してもよい。
【0019】
これにより、エンジンマウント制御装置の演算負荷が高い場合、第2位相遅れ算出処理を選択して、ステージの数Nstgを基準として位相遅れを取り扱う。これにより、電流を出力する際の位相遅れの設定精度(及びアクチュエータの出力タイミングの設定精度)と、エンジンマウント制御装置の演算負荷とでバランスの取れた制御を実現することが可能となる。
【0020】
前記第2位相遅れ算出処理では、各ステージに含まれる前記クランクパルスの数nを可変とし、前記エンジンマウント制御装置は、前記第1エンジン振動周期における前記位相遅れが大きいほど、各ステージに含まれる前記クランクパルスの数nを減少させ、前記第1エンジン振動周期における前記位相遅れが小さいほど、各ステージに含まれる前記クランクパルスの数nを増加させてもよい。
【0021】
位相遅れが大きい場合(エンジン回転数が低い場合)、エンジン回転数の変化が位相遅れの変化に与える影響(すなわち、振動抑制制御の精度への影響)が大きい。上記構成によれば、位相遅れが大きいほど、各ステージに含まれるクランクパルスの数nを減少させて角度分解能を高める。このため、位相遅れの変化が大きい場合でも、当該変化をアクチュエータの出力タイミングに高精度に反映させることが可能となる。
【0022】
一方、位相遅れが小さい場合(エンジン回転数が高い場合)、エンジン回転数の変化が位相遅れの変化に与える影響(すなわち、振動抑制制御の精度への影響)が小さい。上記構成によれば、位相遅れが小さいほど、各ステージに含まれるクランクパルスの数nを増加させて角度分解能を低下させる。このため、エンジンマウント制御装置の演算負荷を低減させることが可能となる。
【0023】
以上より、アクチュエータの出力タイミングとエンジンマウント制御装置の演算負荷の両方についてバランスが取れた制御が可能となる。
【0024】
本発明に係る車両は、前記エンジンマウント制御装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、第1エンジン振動周期における位相遅れを、電流出力処理を行うエンジン振動周期に反映する際、クランクパルスの数と余り時間を用いる。クランクパルスの間隔(時間)は、特許文献1におけるステージの間隔よりも短い。これに伴い、特許文献1の場合よりも、余り時間(固定値)が取り得る範囲を狭くすることが可能となる。このため、従来のようにステージ単位で位相遅れを反映する場合と比較して、第1エンジン振動周期における位相遅れを、電流出力処理を行うエンジン振動周期に反映し易くなる。従って、アクチュエータの作動開始タイミングの精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係る車両の概略構成図である。
図2】通常制御の各エンジン振動周期におけるACMへの電流出力開始タイミングを設定するための制御を説明するためのタイムチャートである。
図3】位相遅れ補償第2制御を説明するためのタイムチャートである。
図4】位相遅れ補償第1制御を説明するためのタイムチャートである。
図5】通常制御において位相遅れ補償第1制御及び位相遅れ補償第2制御を選択するフローチャートである。
図6】位相遅れ補償第1制御のフローチャート(図5のS3の詳細)である。
図7】位相遅れ補償第2制御のフローチャート(図5のS4の詳細)である。
図8】位相遅れ補償第1制御及び位相遅れ補償第2制御それぞれにおけるエンジン回転数と余り時間の最大値との関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
A.一実施形態
1.構成
[1−1.概要]
図1は、本発明の一実施形態に係る車両10の概略構成図である。図1に示すように、車両10は、駆動源としてエンジン12及び走行モータ14を有するいわゆるハイブリッド車両である。後述するように、車両10は、走行モータ14を有さないいわゆるエンジン車両であってもよい。
【0028】
エンジン12は、その回転軸が車幅方向とされた状態において、エンジンマウント302f、302rを介して車体16に支持されている。後に詳述するように、エンジンマウント302f、302rは、アクチュエータ306を駆動することによりエンジン12からの振動(以下「エンジン振動」ともいう。)を能動的に抑制する能動型防振支持装置300の一部を構成する。
【0029】
本実施形態の走行モータ14は、バッテリ18からの電力に基づいて車両10の走行駆動力を生成する(すなわち、図示しない車輪に駆動力を伝達する)ことに加え、エンジン12のモータリング(クランキング)に用いられるモータ(電動機)である。
【0030】
車両10は、能動型防振支持装置300に加え、シフトスイッチ20(以下「シフトSW20」という。)と、エンジン12の制御に関連するエンジン制御系100と、走行モータ14の制御に関連するモータ制御系200とを有する。さらに、車両10は、アクセルペダル24の操作量(以下「アクセルペダル操作量θap」という。)を検出するアクセルペダルセンサ22と、ブレーキペダル28の操作量(以下「ブレーキペダル操作量θbp」という。)を検出するブレーキペダルセンサ26とを有する。なお、車両10の基本的な構成要素については、例えば、特許文献1又は特開2011−252553号公報と同様のものを用いることができる。
【0031】
本実施形態のシフトSW20は、シフトレバー30の位置(以下「シフト位置Ps」という。)を検出してエンジン制御系100及び能動型防振支持装置300に出力する。ここにいうシフト位置Psは、例えば、1速〜5速、後退、パーキング等を含む。
【0032】
[1−2.エンジン制御系100]
エンジン制御系100は、エンジン12に関連する構成要素として、クランクセンサ102と、上死点センサ104(以下「TDCセンサ104」ともいう。)と、スタータモータ106と、燃料噴射電子制御装置108(以下「FI ECU108」という。)とを有する。
【0033】
クランクセンサ102は、図示しないクランクシャフトの回転位置(以下「クランク回転位置θcrk」という。)を検出し、クランク回転位置θcrkを示す信号(クランクパルス信号Scrk)をFI ECU108及び能動型防振支持装置300のACM電子制御装置304(以下「ACM ECU304」という。)に出力する。TDCセンサ104は、図示しないエンジンピストンが上死点に来たこと(上死点タイミング)を検出し、上死点タイミングを示す信号(以下「TDCパルス信号Stdc」という。)をFI ECU108及びACM ECU304に出力する。なお、各センサ102、104の出力は、FI ECU108及びACM ECU304以外のECU(例えば、後述するモータ電子制御装置206)に直接出力してもよい。
【0034】
スタータモータ106は、エンジン12のモータリングに用いられるモータ(電動機)であり、図示しない低電圧バッテリからの電力に基づいてエンジン12に対してのみ駆動力を伝達する。本実施形態のスタータモータ106は、直流式であるが、交流式であってもよい。エンジン12のモータリング時には、走行モータ14及びスタータモータ106のいずれか一方が選択されて用いられる。
【0035】
FI ECU108は、クランクパルス信号Scrk、TDCパルス信号Stdc等の各種入力信号に基づいてエンジン12を制御する。例えば、FI ECU108は、クランクパルス信号Scrkに基づいてエンジン12の回転数(以下「エンジン回転数Ne」という。)[rpm]を算出して用いる。後述するACM電子制御装置304と同様、FI ECU108は、図示しない入出力部、演算部及び記憶部を有する。
【0036】
[1−3.モータ制御系200]
図1に示すように、モータ制御系200は、走行モータ14に関連する構成要素として、レゾルバ202と、SOCセンサ204と、モータ電子制御装置206(以下「モータECU206」又は「MOT ECU206」という。)とを有する。
【0037】
レゾルバ202(回転位置センサ)は、走行モータ14の図示しないロータの回転位置(以下「走行モータ回転位置θmot_d」、「モータ回転位置θmot_d」又は「回転位置θmot_d」という。)を検出し、回転位置θmot_dを示す信号(以下「走行モータ回転位置信号Sθmot_d」という。)をMOT ECU206に出力する。本実施形態におけるレゾルバ202の角度分解能は、クランクセンサ102の角度分解能よりも高い。すなわち、クランクセンサ102がD1°毎に回転位置を検出し、レゾルバ202がD2°毎に回転位置を検出できる場合、D1>D2となる。
【0038】
SOCセンサ204は、バッテリ18の残容量(SOC)を検出してMOT ECU206に出力する。
【0039】
モータECU206は、回転位置θmot_d、SOC等の各種入力情報に基づいて走行モータ14を制御する。後述するACM電子制御装置304と同様、モータECU206は、図示しない入出力部、演算部及び記憶部を有する。
【0040】
なお、本実施形態では、例えば、車両10の車速V、要求加速度、走行モータ14用のバッテリ18のSOC等の指標に応じてエンジン12及び走行モータ14の駆動の要否を判定する。例えば、車速Vが低速域(例えば、0〜20km/h)であるとき、走行モータ14のみを用いることを通常とする。また、車速Vが中速域(例えば、21〜80km/h)又は高速域(例えば、81km/h以上)であるとき、エンジン12を用いることを通常とし、要求加速度が高い場合、エンジン12に加えて走行モータ14を駆動させる。但し、例えば、バッテリ18のSOCが低い場合は、図示しないオルタネータを作動させるため、車速Vが低速域であっても、エンジン12を作動させてもよい。
【0041】
[1−4.能動型防振支持装置300]
前述のように、能動型防振支持装置300は、エンジンマウント302f、302r及びACM ECU304を有する。
【0042】
エンジンマウント302f、302rは、例えば、特開2011−252553号公報の図1と同様、車両10の前後方向に互いに離間して配置される。各エンジンマウント302f、302rは、例えば、特許文献1の図1又は特開2011−252553号公報の図1と同様、その内部にアクチュエータ306を有する。アクチュエータ306は、例えば、ソレノイドにより構成することができる。或いは、アクチュエータ306は、エンジン12の負圧を図示しない弁により調節する構成とすることも可能である。エンジンマウント302f、302rの具体的な構成については、例えば、特許文献1又は特開2011−252553号公報と同様のものを用いることができる。
【0043】
以下では、エンジンマウント302f、302rを、能動的にエンジン振動を抑制するアクティブ・コントロール・マウントの意味でACM302f、302rともいう。ACM ECU304における「ACM」もアクティブ・コントロール・マウントの意味である。
【0044】
ACM ECU304は、エンジンマウント302f、302rのアクチュエータ306を制御するものであり、入出力部310、演算部312及び記憶部314を有する。ACM ECU304がアクチュエータ306を駆動させることにより、車体16へのエンジン振動の伝達を抑制するための振動抑制制御を行う。
【0045】
2.エンジン振動抑制のための各種制御
以下では、振動抑制制御に関連してACM ECU304が行う制御について説明する。本実施形態のACM ECU304は、振動抑制制御に関連して始動時制御と通常制御の両方を行う。始動時制御は、エンジン12の始動時又は再始動時に発生するいわゆるロール固有振動(ロール共振)を抑制するための制御である。通常制御は、エンジン12が爆発工程を伴って作動中である際のエンジン振動を抑制するための制御である。以下では、通常制御におけるACM302f、302rへの電流出力開始タイミング(ACM302f、302rの作動開始タイミング)の設定方法を中心に説明する。
【0046】
[2−1.ACM ECU304の演算で用いる各種の信号及び単位]
図2は、通常制御の各エンジン振動周期CにおけるACM302f、302rへの電流出力開始タイミングを設定するための制御を説明するためのタイムチャートである。図2では、エンジン振動周期C、TDCパルス信号Stdc、ステージSTG、クランクパルス信号Scrk、ACM ECU304の処理及び目標ACM電流Iacmft、Iacmrtが示されている。
【0047】
(2−1−1.TDCパルスPtdc)
TDCパルスPtdcは、上死点センサ104が検出した上死点タイミングをパルス(以下「TDCパルスPtdc」という。)として示す信号である。各気筒が作動している場合、TDCパルスPtdcの間隔(以下「TDCパルス間隔Ttdc」という。)[sec]は、エンジン12の各気筒が上死点に位置する間隔、すなわち、爆発工程の間隔を示す。
【0048】
エンジン12が4サイクルエンジンである場合、4サイクルを行うためには、エンジン12(クランクシャフト)を2回転させる。ここで、エンジン12が6気筒である場合、TDCパルスPtdcは、120°毎に出力されることとなる。或いは、エンジン12が4気筒である場合、TDCパルスPtdcは、180°毎に出力されることとなる。
【0049】
(2−1−2.エンジン振動周期C(=演算周期Cc))
エンジン振動は、爆発工程毎に発生する。このため、爆発工程の間隔は、エンジン振動の周期(以下「エンジン振動周期C」又は「振動周期C」という。)を意味する。図2では、個別のエンジン振動周期Cを「C1〜C5」と番号付けしている。また、本実施形態では、ACM ECU304における演算周期(以下「演算周期Cc」という。)を、エンジン振動周期Cに一致させて行う。ACM ECU304は、TDCパルス間隔Ttdcを検出することにより、演算周期Cc(=エンジン振動周期C)を判定することができる。或いは、ACM ECU304は、後述するクランクパルスPcrkの間隔を検出することにより、演算周期Cc(=エンジン振動周期C)を判定してもよい。
【0050】
(2−1−3.ステージSTG)
本実施形態では、ACM ECU304の演算負荷(以下「演算負荷Lacm」という。)を考慮して、演算周期Ccを複数(ここでは4つ)に分割したステージSTGという単位を用いる。
【0051】
エンジン12が4サイクル且つ6気筒である場合、演算周期Ccは、エンジン12又はクランクシャフトの回転角度120°毎である。このため、ステージSTGに対応する回転角度は、30°(=120°/4)となる。ステージSTGは、後述する位相遅れ補償第2制御で利用する単位であるが、詳細については、図3及び図7を参照して後述する。
【0052】
図2において、ステージSTGに対応して示されている0〜3の数値は、各演算周期Ccにおける各ステージSTGに割り当てた数値である。このため、各演算周期CcにおいてステージSTGの番号として0〜3が繰り返される。
【0053】
(2−1−4.クランクパルスPcrk)
さらに、本実施形態では、クランクパルス信号Scrkに含まれるクランクパルスPcrkの間隔(以下「クランクパルス間隔Tcrk」という。)[sec]をACM ECU304で用いる演算単位として用いる。本実施形態におけるクランクセンサ102の角度分解能は、例えば6°である。この場合、各演算周期Cc(=120°)に含まれるクランクパルスPcrkの数は20となる。また、各ステージSTG(=30°)に含まれるクランクパルスPcrkの数は5となる。各クランクパルスPcrkは、後述する位相遅れ補償第1制御で利用する単位であるが、詳細については、図4及び図6を参照して後述する。
【0054】
(2−1−5.目標ACM電流Iacmft、Iacmrt)
目標ACM電流Iacmft、Iacmrtは、ACM302f、302rに対して出力する電流の目標値である。目標ACM電流Iacmft、Iacmrtの設定は、後述する演算処理において行う。
【0055】
[2−2.ACM ECU304の処理の概要]
図2に示すように、本実施形態のACM ECU304は、クランクパルス間隔読取り処理、演算処理及び電流出力処理の3つの処理(工程)をそれぞれ1つ又は複数の演算周期Cc(=エンジン振動周期C)に対応させて実行する。
【0056】
すなわち、ACM ECU304は、例えば、第1振動周期C1においてクランクパルス間隔読取り処理を行い、第2振動周期C2において演算処理を行い、第3及び第4振動周期C3、C4において電流出力処理を行う。同様に、ACM ECU304は、第2振動周期C2においてクランクパルス間隔読取り処理を行い、第3振動周期C3において演算処理を行い、第4及び第5振動周期C4、C5において電流出力処理を行う。但し、電流出力処理については、対応する演算周期Ccの数が必ずしも2つとなる訳ではなく、エンジン回転数Neに応じて可変となる。従って、ACM ECU304では、例えば、連続する3つ以上の振動周期Cで電流出力処理を連続して行うため、3つ以上の系統において、クランクパルス間隔読取り処理、演算処理及び電流出力処理を並行して行う。
【0057】
(2−2−1.クランクパルス間隔読取り処理)
クランクパルス間隔読取り処理では、クランクセンサ102からのクランクパルス信号Scrkを受信して、クランクパルス信号Scrkの立ち上がりから立ち下がりまでの間隔又は立ち下がりから立ち上がりまでの間隔(以下「クランクパルス間隔Tcrk」という。)を読み取る。なお、クランクパルス間隔読取り処理としては、例えば、特許文献1の段落[0073]、[0104]等と同様の方法を用いてもよい。
【0058】
(2−2−2.演算処理)
演算処理では、ACM302f、302rを制御するための各種設定を演算する。例えば、演算処理では、ACM302f、302rに対して電流を出力するための設定(例えば、目標電流波形の周波数、振幅及び出力開始タイミング)を算出する。
【0059】
ここにいう出力開始タイミング(電流出力開始タイミング)は、ACM302f、302rの作動開始タイミングと同義である。本実施形態のACM ECU304は、通常制御におけるACM302f、302rの作動開始タイミングを設定するための制御として、位相遅れ補償第1制御と位相遅れ補償第2制御とを切り替えて実行する。以下では、位相遅れ補償第1制御を「第1制御」と、位相遅れ補償第2制御を「第2制御」とも称する。第1制御及び第2制御の詳細は、図3図7を参照して後述する。
【0060】
なお、目標電流波形の周波数及び振幅並びに出力タイミングのうち位相遅れ補償第2制御については、特許文献1の段落[0104]〜[0108]と同様の方法を用いてもよい。
【0061】
(2−2−3.電流出力処理)
電流出力処理は、演算処理で算出した設定に基づいてACM302f、302rに対して電流を出力してACM302f、302rを作動させる。
【0062】
[2−3.位相遅れ補償第1制御及び位相遅れ補償第2制御]
(2−3−1.概要)
上記のように、本実施形態のACM ECU304は、通常制御におけるACM302f、302rの作動開始タイミング(電流出力開始タイミング)を設定するための制御として、位相遅れ補償第1制御と位相遅れ補償第2制御とを切り替えて実行する。
【0063】
図2を参照して言及したように、本実施形態では、第1制御及び第2制御のいずれにおいても、3つ以上の振動周期C(=演算周期Cc)を用いて1つの波形の電流をACM302f、302rに対して出力する。すなわち、3つ以上の振動周期Cでは、クランクパルス間隔読取り処理、演算処理及び電流出力処理を行う。
【0064】
電流出力処理において、ACM302f、302rに対して電流を出力するタイミング(ACM302f、302rの作動開始タイミング)は、エンジン振動に同期させることを要する。上記のように、エンジン振動周期Cは、上死点センサ104から上死点信号Stdc又はクランクセンサ102からのクランクパルス信号Scrkに基づいて判定可能である。
【0065】
エンジン振動は、エンジン12における爆発工程が行われた瞬間、すなわち、図示しないピストンが上死点に到達した時に発生すると考えられる。このため、TDCパルス信号Stdcが出力された時点がエンジン振動の発生時点と推定できる。
【0066】
しかしながら、エンジン振動がアクチュエータ306に到達するまでには時間差(以下「位相遅れP」という。)がある。このため、位相遅れPを考慮して、ACM302f、302rの作動開始タイミングを設定する必要がある。
【0067】
後述するように、位相遅れPは、一定期間(例えば、エンジン振動周期C)における複数のクランクパルス間隔Tcrkに基づいて算出することが可能である。そして、クランクパルス間隔Tcrkの読取りは、3つの工程のうち1つ目の工程(クランクパルス間隔読取り処理)として行う(図2参照)。
【0068】
一方、ACM302f、302rに対して実際に電流を出力するのは、3つの工程のうち最後の工程(電流出力処理)である。このため、エンジン振動周期Cの長さT(又はエンジン回転数Ne)が変動することにより、1つ目の工程における位相遅れPは、最後の工程における位相遅れP’との間でずれが生じる。
【0069】
そこで、本実施形態の第1制御及び第2制御では、位相遅れP、P’間のずれを小さくするための処理を行う。
【0070】
理解を容易化するため、以下では、位相遅れ補償第2制御の概要を先に説明した後、位相遅れ補償第1制御の概要を説明する。また、個別のエンジン振動周期C1〜C3に対応する位相遅れP、P’をP1〜P3、P1’〜P3’と番号付けて説明する。
【0071】
(2−3−2.位相遅れ補償第2制御)
図3は、位相遅れ補償第2制御を説明するためのタイムチャートである。図3では、車両10が加速していく場面において、エンジン振動周期C(C1〜C5)と、ステージSTGと、位相遅れP(P1〜P3)、P’(P1’〜P3’)と、前側のACM302fに対する目標ACM電流Iacmftの波形(目標電流波形Pi)とが示されている。
【0072】
ステージSTGに関する数値0〜3は、各ステージSTGに割り振られた番号である。すなわち、本実施形態では、1振動周期Cを4つのステージSTGに分割するため、4つの数値0〜3が繰り返して用いられている。
【0073】
上記のように、第3振動周期C3で出力される電流(目標電流波形Pi)は、第1振動周期C1で読み取られたクランクパルス間隔Tcrkに基づいて出力タイミングが設定される。このため、第1振動周期C1で読み取られたクランクパルス間隔Tcrkに基づく位相遅れP1は、第3振動周期C3において位相遅れP1’として用いられる。
【0074】
同様に、第2振動周期C2で読み取られたクランクパルス間隔Tcrkに基づく位相遅れP2は、第4振動周期C4において位相遅れP2’として用いられる。第3振動周期C3で読み取られたクランクパルス間隔Tcrkに基づく位相遅れP3は、第5振動周期C5において位相遅れP3’として用いられる。
【0075】
位相遅れ補償第2制御では、次のように位相遅れP’(P1’〜P3’)を設定する。すなわち、まず位相遅れP1全体を特定する。そして、位相遅れP1をステージSTGと同じ長さの部分S1(第1振動周期C1のステージSTG「0」に相当する部分)と、余り部分(以下「余り時間Tr2」という。)とに分ける(P1=S1+Tr2)。
【0076】
なお、部分S1は、ステージ数Nstgとステージ間隔Tstgの積として定義することができる(S1=Nstg×Tstg)。このため、位相遅れP1は、ステージ数Nstgとステージ間隔Tstgの積と、余り時間Tr2との和として定義することも可能である(P1=Nstg×Tstg+Tr2)。
【0077】
次いで、第3振動周期C3において実際に電流を出力する場合(電流出力処理)、ステージSTGに対応する部分S1’については、第3振動周期C3のステージSTGの間隔(ステージ間隔Tstg)として算出する。すなわち、第3振動周期C3のステージSTG「0」に相当する部分S1’として算出する。次いで、部分S1’に余り時間Tr2をつなぎ合わせて位相遅れP1’とする(P1’=S1’+Tr2)。
【0078】
以上より、位相遅れ補償第2制御では、ステージSTGと同じ間隔の部分S1’については、エンジン振動周期C1、C3の長さの相違に合わせて変化する。従って、車両10が加速して振動周期Cが短くなる又はエンジン回転数Neが多くなったとしても、部分S1’において当該相違を補償することが可能となる。
【0079】
なお、図3では、位相遅れP1の長さがステージSTG1つ分の間隔と余り部分Tr2とであったが、位相遅れP1の長さがステージSTG2つ分を超える場合、ステージSTG2つ分の間隔と余り部分Tr2として位相遅れP1を分ける。
【0080】
(2−3−3.位相遅れ補償第1制御)
図4は、位相遅れ補償第1制御を説明するためのタイムチャートである。図3では、位相遅れ補償第2制御との相違点を示すことで位相遅れ補償第1制御の説明をする。
【0081】
上記のように、位相遅れ補償第2制御では、位相遅れP1を、ステージ間隔Tstgに相当する部分S1と余り時間Tr2とに分けた。これに対し、図4に示すように、位相遅れ補償第1制御では、クランクパルス間隔Tcrkに相当する部分K1と余り時間Tr1とに位相遅れP1を分ける。
【0082】
従って、位相遅れ補償第1制御では、次のように位相遅れP’(P1’〜P3’)を設定する。すなわち、まず位相遅れP1全体を特定する。そして、位相遅れP1をクランクパルスPcrkと同じ長さの部分K1(図4では、クランクパルスPcrk8つ分に相当する部分)と、余り部分(以下「余り時間Tr1」という。)とに分ける(P1=K1+Tr1)。
【0083】
なお、部分K1は、クランクパルス数Ncrkとクランクパルス間隔Tcrkの積として定義することができる(K1=Ncrk×Tcrk)。このため、位相遅れP1は、クランクパルス数Ncrkとクランクパルス間隔Tcrkの積と、余り時間Tr1との和として定義することも可能である(P1=Ncrk×Tcrk+Tr1)。
【0084】
次いで、第3振動周期C3において実際に電流を出力する場合(電流出力処理)、クランクパルスPcrkに対応する部分K1’については、第3振動周期C3のクランクパルス間隔Tcrkとして算出する。すなわち、第3振動周期C3においてクランクパルスPcrk8つ分に相当する部分K1’として算出する。次いで、部分K1’に余り時間Tr1をつなぎ合わせて位相遅れP1’とする(P1’=K1’+Tr1)。
【0085】
以上より、位相遅れ補償第1制御では、クランクパルスPcrkと同じ間隔の部分K1’については、エンジン振動周期C1、C3の長さの相違に合わせて変化する。従って、車両10が加速して振動周期Cが短くなる又はエンジン回転数Neが多くなったとしても、部分K1’において当該相違を補償することが可能となる。
【0086】
位相遅れ補償第2制御ではステージ間隔Tstgを用いているのに対し、位相遅れ補償第1制御ではクランクパルス間隔Tcrkを用いる。クランクパルス間隔Tcrkは、ステージ間隔Tstgよりも短い。このため、余り時間Tr1を、余り時間Tr2よりも短くすることが可能となる。結果として、位相遅れ補償第1制御では、位相遅れ補償第2制御よりも高い角度分解能での処理が可能となる。
【0087】
[2−4.具体的な流れ]
(2−4−1.制御の選択)
図5は、通常制御において位相遅れ補償第1制御及び位相遅れ補償第2制御を選択するフローチャートである。位相遅れ補償第1制御では、クランクパルス数Ncrkを用いて位相遅れPを補償するのに対し、位相遅れ補償第2制御では、ステージ数Nstgを用いて位相遅れPを補償する。上記のように、位相遅れPは、エンジン振動周期Cの開始時点(すなわち、エンジン振動の発生時点)からエンジン振動がアクチュエータ306に到達するまでの時間を意味する。
【0088】
位相遅れ補償第1制御は、位相遅れ補償第2制御と比較して、ACM ECU304の演算負荷は大きくなるが、ACM302f、302rの作動タイミングの設定精度は高い。このため、本実施形態では、可能な限り第1制御を用い、第1制御を用いるのが適切でない場面において第2制御を用いる。
【0089】
図5のステップS1において、ACM ECU304は、運転者の加速操作が行われたか否かを判定する。ここにいう加速操作には、例えば、アクセルペダル24の踏込み又はシフトレバー30に対するシフトアップ操作が含まれる。これらの加速操作により、エンジン回転数Neの単位時間当たりの変化量(以下「エンジン回転数変化量ΔNe」という。)[rpm/s]が一時的に増加する。なお、加速操作に加えて又は加速操作に代えて、減速操作を判定してもよい。
【0090】
ステップS1において加速操作がない場合(S1:NO)、位相遅れ補償第1制御及び位相遅れ補償第2制御を選択せずに通常制御を継続する。これは、例えば、車両10が一定速走行をしている場合、クランクパルスPcrkの波形は略一定となるため、各位相遅れPが略等しくなることを考慮したものである。すなわち、各位相遅れPが略等しい場合、位相遅れ補償第1制御及び位相遅れ補償第2制御により位相遅れPを補償する必要性が相対的に低くなるため、むしろACM ECU304による演算負荷Lacmの低減に焦点を当てる。一方、ステップS1において加速操作がある場合(S1:YES)、ステップS2に進む。
【0091】
ステップS2において、ACM ECU304は、第1制御を用いるのに適しているほどACM ECU304の演算負荷Lacmが低いか否かを判定する。具体的には、演算負荷Lacmが演算負荷閾値THlacm以下であるか否かを判定する。演算負荷Lacmは、例えば、記憶部314(特にメモリ領域)の使用状態を判定することでACM ECU304が取得する。
【0092】
演算負荷閾値THlacmは、第1制御を用いるのに適しているほど演算負荷Lacmが低いか否かを判定するための閾値である。第1制御を用いるのに適しているか否かの判定は、演算負荷Lacmが低くないことにより、ACM ECU304の演算速度がエンジン回転数Neに追従できるか否かにより判定する。
【0093】
ステップS2の判定として、例えば、ACM ECU304は、第1制御を用いるのに適しているほどエンジン回転数Neが低いか否かを判定してもよい。換言すると、エンジン回転数Neを用いて演算負荷Lacmを推定する。この場合、例えば、エンジン回転数Neがエンジン回転数閾値THne[rpm]以下であるか否かを判定する。エンジン回転数Ne以外の指標(例えば、ACM ECU304の演算部312における処理の混雑具合又は記憶部314のうちメモリ領域の使用状態)により演算負荷Lacmを判定してもよい。
【0094】
エンジン回転数Neは、例えば、クランクパルス信号Scrkに基づいてFI ECU108が算出したものをACM ECU304に出力することでACM ECU304が取得する。或いは、クランクパルス信号Scrkに基づいてACM ECU304が算出してもよい。或いは、エンジン12と走行モータ14が連結されている場合、レゾルバ202の検出値を用いてモータECU206が算出したものをACM ECU304に出力することでACM ECU304が取得してもよい。或いは、レゾルバ202の検出値をACM ECU304に入力し、ACM ECU304がレゾルバ202の検出値に基づいて算出することもできる。
【0095】
エンジン回転数閾値THneは、第1制御を用いるのに適しているほどエンジン回転数Neが低いか否かを判定するための閾値である。第1制御を用いるのに適しているか否かの判断は、エンジン回転数Neが増加に伴うACM302、f302rの作動開始タイミングの誤差の程度により判定する。作動開始タイミングの誤差の詳細は、図8を参照して後述する。
【0096】
ステップS2において第1制御を用いるのに適しているほど演算負荷Lacmが低い場合(S2:YES)、ステップS3において、ACM ECU304は、位相遅れ補償第1制御を実行する。第1制御を用いるのに適しているほど演算負荷Lacmが低くない場合(S2:NO)、ステップS4において、ACM ECU304は、位相遅れ補償第2制御を実行する。
【0097】
(2−4−2.位相遅れ補償第1制御)
図6は、位相遅れ補償第1制御のフローチャート(図5のS3の詳細)である。ステップS11において、ACM ECU304は、第1振動周期C1においてクランクパルス間隔Tcrkを読み取る(クランクパルス間隔読取り処理。図2図4参照)。ここにいうクランクパルス間隔Tcrkとしては、例えば、第1振動周期C1における各クランクパルス間隔Tcrkの平均値を用いることができる。或いは、クランクパルス間隔Tcrkは、第1振動周期C1における任意のクランクパルス間隔Tcrkを代表値として用いることも可能である。
【0098】
第2振動周期C2において、ACM ECU304は、演算処理としてステップS12〜S15を行う。すなわち、ステップS12において、ACM ECU304は、TDCパルス信号Stdc又はクランクパルス信号Scrkを用いて第1振動周期C1の長さT1を算出する。
【0099】
ステップS13において、ACM ECU304は、クランクパルス間隔Tcrkに基づいて第1振動周期C1での位相遅れP1を算出する。位相遅れP1の算出方法は、例えば、特許文献1に記載の方法を用いることができる(特許文献1の段落[0086]参照)。
【0100】
ステップS14において、ACM ECU304は、位相遅れP1に含まれるクランクパルス数Ncrkと余り時間Tr1とを算出する。具体的には、クランクパルス数Ncrkは、下記の式(1−1)を用いて算出する。
Ncrk=[P1/Tcrk] ・・・(1−1)
【0101】
上記式(1−1)において、Tcrkは、ステップS11で読み取ったクランクパルス間隔であり、P1は、ステップS13で算出した位相遅れである。また、上記式(1−1)において、[P1/Tcrk]は、ガウス記号(床関数)を示し、P1/Tcrk以下の最大の整数を示す。このため、[P1/Tcrk]は、位相遅れP1に含まれるクランクパルス数Ncrkを示すこととなる。
【0102】
また、余り時間Tr1は、下記の式(1−2)を用いて算出する。
Tr1=P1−[P1/Tcrk]・Tcrk ・・・(1−2)
【0103】
図6のステップS15において、ACM ECU304は、ステップS12で算出した第1振動周期C1の長さT1に基づいて目標電流波形Pi(特に、周波数又は幅)を算出する。
【0104】
第3振動周期C3以降(図2の例では第3及び第4振動周期C3、C4)において、ACM ECU304は、電流出力処理としてステップS16〜S19を行う。すなわち、ステップS16において、ACM ECU304は、第3振動周期C3における第Ncrk番目のクランクパルスPcrkの終わり(第Ncrk+1番目のクランクパルスPcrkの始まり)を検出する。これにより、位相遅れP1のうちクランクパルス数Ncrkに対応する部分K1の時間を判定することが可能となる。
【0105】
なお、クランクパルスPcrkが非常に短いオン時間で示される場合、第Ncrk番目のクランクパルスPcrkの終わり(第Ncrk+1番目のクランクパルスPcrkの始まり)は、第Ncrk+1番目のクランクパルスPcrkの受信時点として検出することができる。また、隣り合うクランクパルスPcrkが、クランクパルス信号Scrkの立ち上がりと立ち下がりで示される場合(例えば、あるクランクパルスPcrkがクランクパルス信号Scrkの立ち上がりとして検出され、次のクランクパルスPcrkがクランクパルス信号Scrkの立ち下がりとして検出される場合)、クランクパルス信号Scrkの立ち上がり又は立ち下がりを、第Ncrk番目のクランクパルスPcrkの終わり(第Ncrk+1番目のクランクパルスPcrkの始まり)として検出することができる。
【0106】
続くステップS17において、ACM ECU304は、第Ncrk番目のクランクパルスPcrkの終わりの検出時(換言すると、第Ncrk+1番目のクランクパルスPcrkの受信開始時点)から余り時間Tr1が経過したことを検出する。
【0107】
余り時間Tr1が経過したら、ステップS18において、ACM ECU304は、ステップS15で算出した目標電流波形Piに対応する電流(目標ACM電流Iacmft)を前側のACM302fに出力する。
【0108】
前側のACM302fに対する電流の出力時からT1/2が経過した後、ACM ECU304は、ステップS15で算出した目標電流波形Piに対応する電流(目標ACM電流Iacmrt)を後ろ側のACM302rに出力する(図2参照)。
【0109】
なお、図2の例では、第3・第4振動周期C3、C4において電流出力処理を行ったが、第1振動周期C1の長さT1と比較して、第3振動周期C3の長さT3が著しく長い場合(例えば、シフトアップ直後の場合)、第3振動周期C3のみで電流出力処理を終える場合があり得る。反対に、第1振動周期C1の長さT1と比較して、第3振動周期C3の長さT3及び第4振動周期C4の長さT4が著しく短い場合(例えば、エンジン回転数Neの増加が急激な場合)、電流出力処理が第5振動周期C5以降まで入り込む場合もあり得る。
【0110】
(2−4−3.位相遅れ補償第2制御)
図7は、位相遅れ補償第2制御のフローチャート(図5のS4の詳細)である。ステップS21〜S23は、図6のS11〜S13と同様である。
【0111】
ステップS24において、ACM ECU304は、位相遅れP1に含まれるステージ数Nstgと余り時間Tr2とを算出する。具体的には、ステージ数Nstgは、下記の式(2−1)を用いて算出する。
Nstg=[P1/(Tcrk・n)] ・・・(2−1)
【0112】
上記式(2−1)において、nは、各ステージSTGに含まれるクランクパルスPcrkの数である。また、上記式(2−1)において、[P1/(Tcrk・n)]は、ガウス記号(床関数)を示し、P1/(Tcrk・n)以下の最大の整数を示す。このため、[P1/(Tcrk・n)]は、位相遅れP1に含まれるステージ数Nstgを示すこととなる。
【0113】
また、余り時間Tr2は、下記の式(2−2)を用いて算出する。
Tr2=P1−[P1/(Tcrk・n)]・Tcrk・n ・・・(2−2)
【0114】
図7のステップS25において、ACM ECU304は、ステップS22で算出した第1振動周期C1の長さT1に基づいて目標電流波形Pi(特に、周波数又は幅)を算出する。
【0115】
第3振動周期C3以降(図2の例では第3及び第4振動周期C3、C4)において、ACM ECU304は、電流出力処理としてステップS26〜S29を行う。すなわち、ステップS26において、ACM ECU304は、第3振動周期C3における第Nstg・n番目のクランクパルスPcrkの終わり(第Nstg・n+1番目のクランクパルスPcrkの始まり)を検出する。これにより、位相遅れP1のうちステージSTGに対応する部分の時間S1を判定することが可能となる。
【0116】
続くステップS27において、ACM ECU304は、第Nstg・n番目のクランクパルスPcrkの終わりの検出時(換言すると、第Nstg・n+1番目のクランクパルスPcrkの受信開始時点)から余り時間Tr2が経過したことを検出する。
【0117】
ステップS28、S29は、図6のステップS18、S19と同様である。すなわち、余り時間Tr2が経過したら、ステップS28において、ACM ECU304は、ステップS25で算出した目標電流波形Piに対応する電流(目標ACM電流Iacmft)を前側のACM302fに出力する。前側のACM302fに対する電流の出力時からT1/2が経過した後、ACM ECU304は、ステップS25で算出した目標電流波形Piに対応する電流(目標ACM電流Iacmrt)を後ろ側のACM302rに出力する(図2参照)。
【0118】
(2−4−4.位相遅れ補償第1制御及び位相遅れ補償第2制御の比較)
次に、位相遅れ補償第1制御(図6)及び位相遅れ補償第2制御(図7)についての比較を行う。上記のように、位相遅れ補償第1制御では、位相遅れP1をクランクパルス間隔Tcrkで割り切れる部分K1と余り時間Tr1とに分ける。このため、余り時間Tr1は、クランクパルス間隔Tcrk未満となる(図4)。一方、位相遅れ補償第2制御では、位相遅れP1をステージ間隔Tstgで割り切れる部分S1と余り時間Tr2とに分ける(図3及び図4)。このため、余り時間Tr2は、ステージ間隔Tstg未満となる。
【0119】
図8は、位相遅れ補償第1制御及び位相遅れ補償第2制御それぞれにおけるエンジン回転数Neと余り時間Tr1、Tr2の最大値Tr1_max、Tr2_maxとの関係の一例を示す図である。
【0120】
余り時間Tr1は、クランクパルス間隔Tcrkで割り切れなかった数値である。このため、余り時間Tr1の最大値Tr1_maxは、クランクパルス間隔Tcrkに限りなく近づく。一方、余り時間Tr2は、ステージ間隔Tstgで割り切れなかった数値である。上記のように、本実施形態では、各ステージSTGに含まれるクランクパルスPcrkの数は5である。このため、余り時間Tr2の最大値Tr2_maxは、ステージ間隔Tstg(=クランクパルス間隔Tcrk×5)に限りなく近づく。
【0121】
図8に示すように、エンジン回転数Neが小さいほど、最大値Tr1_max、Tr2_maxはそれぞれ大きくなる。このため、エンジン回転数Neが小さいほど、位相遅れ補償第1制御は効果を発揮することとなる。
【0122】
3.本実施形態の効果
以上説明したように、本実施形態の位相遅れ補償第1制御によれば、第1エンジン振動周期C1における位相遅れP1を、電流出力処理を行う第3エンジン振動周期C3に反映する際、クランクパルス数Ncrkと余り時間Tr1を用いる(図4及び図6)。クランクパルス間隔Tcrkは、ステージ間隔Tstgよりも短い。これに伴い、位相遅れ補償第2制御(図3及び図7)の場合よりも、余り時間Tr1(固定値)が取り得る範囲を狭くすることが可能となる。このため、ステージSTG単位で位相遅れP1を反映する場合と比較して、第1エンジン振動周期C1における位相遅れP1を、電流出力処理を行う第3エンジン振動周期C3に反映し易くなる。従って、アクチュエータ306の作動開始タイミングの精度を向上させることができる。
【0123】
本実施形態において、ACM ECU304(エンジンマウント制御装置)は、位相遅れ補償第1制御(位相遅れ算出処理)を行うか否かを判定するエンジン回転数閾値THneを設定し(図5のS2)、エンジン回転数Neがエンジン回転数閾値THneを下回ると判定した場合(S2:YES)、位相遅れ補償第1制御を実行し(S3)、エンジン回転数Neがエンジン回転数閾値THneを上回ると判定した場合(S2:NO)、位相遅れ補償第2制御を実行することで(S4)、位相遅れ補償第1制御位を中止する。
【0124】
位相遅れ補償第1制御においてクランクパルス数Ncrkに関連した演算を行うと、位相遅れ補償第2制御の場合と比較して演算負荷Lacmが増大する。また、エンジン回転数Neが速いほど、クランクパルス間隔Tcrkが短くなるため、演算負荷Lacmが増大する。本実施形態によれば、エンジン回転数Neがエンジン回転数閾値THneを下回る場合にのみ、位相遅れP1をクランクパルス間隔Tcrkに基づいて補正することで演算負荷Lacmの増大を抑制することができ、安定した制御の実施を行うことが可能となる。
【0125】
本実施形態において、ACM ECU304は、運転者の加速意図を示す加速操作の有無を判定し(図5のS1)、加速操作があったと判定したとき(S1:YES)、位相遅れ補償第1制御(位相遅れ算出処理)を実行し(S3)、加速操作がないと判定したとき(S1:NO)、位相遅れ補償第1制御を中止する。これにより、エンジン回転数Neの変化が大きい加速時において位相遅れ補償第1制御を実行することができる。このため、位相遅れ補償第1制御を効果的に利用することが可能となる。
【0126】
また、加速操作があったと判定したとき(S1:YES)、ACM ECU304の演算負荷Lacmが低い場合(S2:YES)、位相遅れ補償第1制御を実行する(S3)。一方、加速操作があったと判定したとき(S1:YES)、ACM ECU304の演算負荷Lacmが低くない場合(S2:NO)、位相遅れ補償第2制御を実行する(S4)。これにより、演算負荷Lacmに応じて位相遅れ補償第1制御又は位相遅れ補償第2制御を選択し、振動抑制制御を安定して行うことができる。
【0127】
本実施形態において、ACM ECU304は、位相遅れ補償第1制御(位相遅れ算出処理)と位相遅れ補償第2制御(第2位相遅れ算出処理)とを切り替えて用いる(図5)。さらに、ACM ECU304は、ACM ECU304の演算負荷Lacmを検出し、位相遅れ補償第1制御又は位相遅れ補償第2制御を選択するための演算負荷閾値THlacmを設定し、演算負荷Lacmが演算負荷閾値THlacmを下回るとき(図5のS2:YES)、位相遅れ補償第1制御を選択し(S3)、演算負荷Lacmが演算負荷閾値THlacmを上回るとき(S2:NO)、位相遅れ補償第2制御を選択する(S4)。
【0128】
これにより、ACM ECU304の演算負荷Lacmが高い場合、位相遅れ補償第2制御を選択して、ステージ数Nstgを基準として位相遅れP1を取り扱う。これにより、電流を出力する際の位相遅れP1’の設定精度(及びアクチュエータ306の出力タイミングの設定精度)と、ACM ECU304の演算負荷Lacmとでバランスの取れた制御を実現することが可能となる。
【0129】
B.変形例
なお、本発明は、上記実施形態に限らず、本明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
【0130】
1.適用対象
上記実施形態では、能動型防振支持装置300(ACM ECU304)をハイブリッド車両である車両10に適用したが、例えば、位相遅れ補償第1制御に着目すれば、走行モータ14を有さないエンジン車両としての車両10に能動型防振支持装置300を適用してもよい。或いは、能動型防振支持装置300の適用対象は、車両10に限らず、エンジン12を備える移動体(船舶や航空機等)に用いることもできる。或いは、能動型防振支持装置300を、エンジン12を備える製造装置、ロボット又は家電製品に適用してもよい。
【0131】
2.エンジン12
上記実施形態では、エンジン12を走行用(車両10の走行駆動力を生成するもの)としたが、例えば、走行モータ14を駆動力生成手段とする車両10であれば、エンジン12は、図示しない発電機を作動させるためのみに用いられるものであってもよい。
【0132】
3.走行モータ14及びスタータモータ106(電動機)
上記実施形態では、走行モータ14及びスタータモータ106の両方をモータリング用の電動機として用いたが、例えば、スタータモータ106を省略することも可能である。また、走行モータ14を有さないエンジン車両として車両10を構成する場合、スタータモータ106のみを前記電動機として用いることができる。
【0133】
4.クランクセンサ102及びレゾルバ202
上記各実施形態では、クランクセンサ102の角度分解能は、レゾルバ202よりも低いものとした。しかしながら、クランクセンサ102の角度分解能は、レゾルバ202と同じ又はそれ以上としてもよい。
【0134】
5.ACM ECU304における制御
[5−1.制御の選択]
上記実施形態では、図5のステップS1、S2を用いて、位相遅れ補償第1制御及び位相遅れ補償第2制御の選択を行った。しかしながら、例えば、位相遅れ補償第1制御に着目すれば、ステップS1、S2の一方を省略してもよい。或いは、ステップS1、S2以外の判定を用いて、位相遅れ補償第1制御又は位相遅れ補償第2制御を選択してもよい。例えば、位相遅れ補償第1制御の実行を許可するか否かを判定するためのエンジン回転数変化量閾値THΔneを設定しておき、エンジン回転数変化量ΔNe[rpm/s]が閾値THΔneを下回る場合、位相遅れ補償第1制御の実行を許可し、エンジン回転数変化量ΔNeが閾値THΔneを上回る場合、位相遅れ補償第1制御の実行を禁止してもよい。
【0135】
上記実施形態では、位相遅れ補償第1制御及び位相遅れ補償第2制御の両方を用いた(図5)。しかしながら、例えば、位相遅れ補償第1制御に着目すれば、位相遅れ補償第2制御を用いない構成も可能である。
【0136】
[5−2.クランクパルス間隔Tcrk]
上記実施形態では、位相遅れ補償第1制御及び位相遅れ補償第2制御のいずれにおいてもクランクパルス間隔Tcrkを用いた(図6のS11、S13、S14、図7のS21、S23、S24)。しかしながら、エンジン12と走行モータ14の両方が駆動している場合(エンジン12と走行モータ14とが連結している場合)、レゾルバ202が検出したモータ回転位置θmot_dに基づくモータパルス間隔Tmotをクランクパルス間隔Tcrkの代わりに用いてもよい。
【0137】
上記実施形態では、クランクセンサ102(エンジン12自体の回転位置センサ)よりもレゾルバ202の方が角度分解能が高い。このため、位相遅れP1の算出等の処理を精度よく行うことが可能となる。
【0138】
[5−3.余り時間Tr1、Tr2]
上記実施形態では、余り時間Tr1を固定時間[sec]として算出した(図6のS14)。しかしながら、エンジン12及び走行モータ14の両方が作動し且つレゾルバ202の方がクランクセンサ102よりも角度分解能が高い場合、余り時間Tr1を固定時間として算出した後、当該固定時間に含まれるモータパルスPmotの数を算出して用いてもよい。
【0139】
すなわち、前記固定時間をモータパルス間隔Tmotで割った商Qを求める。そして、第3振動周期C3において、第Ncrk番目のクランクパルスPcrkを検出した後(図6のS16)、第Q番目のモータパルスPmotを検出した時点で前側のACM302fに電流を出力する(S18)。なお、モータパルスPmotの数は、レゾルバ202からのモータパルス信号Smotに基づいて判定することが可能である。
【0140】
これにより、クランクセンサ102より角度分解能の高いレゾルバ202のモータパルスPmotによって余り時間Tr1の経過を判定することができるため、より精度よくアクチュエータ306の作動タイミングを設定することが可能となる。余り時間Tr2についても同様である。
【0141】
[5−4.ステージSTG]
上記実施形態の位相遅れ補償第2制御では、1つのステージSTGが5つのクランクパルスPcrkに対応すること、換言すると、ステージSTGの長さ(ステージ間隔Tstg)に対応するクランクパルスPcrkの数nが固定であることを前提としていた。しかしながら、ステージ間隔Tstgに対応するクランクパルスPcrkの数nを可変としてもよい。
【0142】
例えば、位相遅れ補償第2制御において、ACM ECU304は、第1エンジン振動周期C1における位相遅れP1が大きいほど、各ステージSTGに含まれるクランクパルスPcrkの数nを減少させ、第1エンジン振動周期C1における前記位相遅れが小さいほど、各ステージに含まれる前記クランクパルスの数nを増加させることができる。
【0143】
図8を参照して説明したように、エンジン回転数Neが低い場合、位相遅れP1が大きくなる可能性が高くなる。そこで、位相遅れP1が大きい場合、エンジン回転数Neの変化が位相遅れP1の変化に与える影響(すなわち、振動抑制制御の精度への影響)が大きいといえる。このため、位相遅れP1が大きいほど、各ステージSTGに含まれるクランクパルスPcrkの数nを減少させることで、電流出力処理(アクチュエータ306の出力タイミング)に関する角度分解能を高めることが可能となる。従って、位相遅れP1の変化が大きい場合でも、当該変化をアクチュエータ306の出力タイミングに高精度に反映させることが可能となる。
【0144】
一方、位相遅れP1が小さい場合(エンジン回転数Neが高い場合)、エンジン回転数Neの変化が位相遅れP1の変化に与える影響(すなわち、振動抑制制御の精度への影響)が小さいといえる。このため、位相遅れP1が小さいほど、各ステージSTGに含まれるクランクパルスPcrkの数nを増加させることで、電流出力処理(アクチュエータ306の出力タイミング)に関する角度分解能を低下させることが可能となる。従って、ACM ECU304の演算負荷Lacmを低減させることが可能となる。
【0145】
以上より、アクチュエータ306の出力タイミングとACM ECU304の演算負荷Lacmの両方についてバランスが取れた制御が可能となる。
【0146】
[5−5.演算処理]
上記実施形態では、第1振動周期C1で行ったクランクパルス間隔読取り処理に対応する演算処理を第2振動周期C2で行った(図2)。しかしながら、例えば、第1振動周期C1の前半でクランクパルス間隔読取り処理を実行し、第1振動周期C1の後半で演算処理を実行するように割り当てれば、演算処理を第1振動周期C1で行うことも可能である。
【符号の説明】
【0147】
10…車両 12…エンジン
14…走行モータ(電動機) 16…車体
102…クランクセンサ 104…上死点センサ
202…レゾルバ
302f、302r…ACM(エンジンマウント)
304…ACM ECU(エンジンマウント制御装置)
306…アクチュエータ C…エンジン振動周期
C1…第1エンジン振動周期 Lacm…ACM ECUの演算負荷
Ncrk…位相遅れに含まれるクランクパルス数
Ne…エンジン回転数
Nstg…位相遅れに含まれるステージ数 P…位相遅れ
Scrk…クランクパルス信号 Smot…モータパルス信号
Stdc…TDCパルス信号(上死点信号)
STG…ステージ
Tcrk…クランクパルス間隔(クランクパルスの間隔)
THlacm…演算負荷閾値 THne…エンジン回転数閾値
Tr1…位相遅れ補償第1制御における余り時間
Tr2…位相遅れ補償第2制御における余り時間
Tstg…ステージ間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8