(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回転軸に固着される第1コアベースを有し、その第1コアベースの外周部に等間隔に設けられ同外周部から軸方向に延出する複数の第1爪状磁極部と設けた第1ロータコアと、
前記回転軸に固着される第2コアベースを有し、その第2コアベースの外周部に等間隔に設けられ同外周部から軸方向に延出する複数の第2爪状磁極部を設け、その各第2爪状磁極部が周方向の隣り合う前記第1爪状磁極部同士の間にそれぞれ配置される第2ロータコアと、
軸方向に沿って磁化されるとともに前記第1ロータコアの第1コアベースと第2ロータコアの第2コアベースとの間に配置され、前記各第1爪状磁極部を第1の磁極として機能させ、前記各第2爪状磁極部を第2の磁極として機能させる界磁磁石と
を備えたロータであって、
前記第1爪状磁極部及び第2爪状磁極部の径方向外側面の軸直交方向の断面形状が、前記回転軸の中心軸線を中心とする同心円とならないようにすべく、前記第1爪状磁極部及び第2爪状磁極部の径方向外側面に、軸線方向に沿って延びる補助溝を形成しており、
前記補助溝は、溝の底までの径方向の深さが、該補助溝の形成された前記第1爪状磁極部及び第2爪状磁極部の径方向の厚さよりも小さいことを特徴とするロータ。
【発明を実施するための形態】
【0043】
(第1実施形態)
以下、本発明をブラシレスモータに具体化した第1実施形態を
図1〜
図5に従って説明する。
【0044】
図1に示すように、ブラシレスモータMは、モータハウジング1の内周面にステータ2が固定され、そのステータ2の内側には、回転軸3に固着され同回転軸3とともに一体回転するロータ4が配設されている。
【0045】
(ステータ2)
ステータ2は、円筒状のステータコア10を有し、そのステータコア10の外周面がモータハウジング1に固定されている。ステータコア10の内側には、軸線方向に沿って形成され、かつ、周方向に等ピッチに配置される複数のティース11が、径方向内側に向かって延出形成されている。各ティース11は、T型のティースであって、その径方向の内周面11aは、回転軸3の中心軸線Oを中心とする同心円の円弧を軸線方向に延出した円弧面である。
【0046】
ティース11とティース11の間には、ステータ側スロット12が形成される。本実施形態では、ティース11の数は12個であって、ステータ側スロット12の数は、ティース11の数と同じ12個である。12個のティース11には、周方向に3相巻線、即ち、U相巻線13u、V相巻線13v、W相線13wが順番に集中巻きにて巻回されている。
【0047】
そして、これら巻回した各相巻線13u,13v,13wに3相電源電圧を印加してステータ2に回転磁界を形成し、同ステータ2の内側に配置した回転軸3に固着されたロータ4を、正回転(
図1において時計回り方向)及び逆回転(
図1において反時計回り方向に回転)させるようになっている。
【0048】
図2〜
図5に示すように、ステータ2の内側に配設されたロータ4は、第1及び第2ロータコア20,30と、界磁磁石としての環状磁石40(
図4及び
図5参照)とを備える。
【0049】
(第1ロータコア20)
図5に示すように、第1ロータコア20は、回転軸3を貫挿固着する貫通穴20aを有する略円盤状に形成された第1コアベース21の外周部に、等間隔に複数(本実施形態では4つ)の第1爪状磁極部22が径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成されている。
【0050】
第1爪状磁極部22の周方向両端面22a,22bは、径方向に延びる(軸方向から見て径方向に対して傾斜していない)平坦面とされている。そして、各第1爪状磁極部22の周方向の角度、即ち前記周方向両端面22a,22b間の角度は、周方向に隣り合う第1爪状磁極部22同士の隙間の角度より小さく設定されている。
【0051】
また、
図2に示すように、第1爪状磁極部22の径方向外側面f1は、第1平面f1aと第2平面f1bの2つの平面を有している。
詳述すると、
図3に示すように、第1爪状磁極部22の径方向外側面f1であって、回転軸3の中心軸線Oから第1爪状磁極部22の周方向の中間位置を通過する直線の中心線L1と交差する点を頂点P1とする。その頂点P1から軸線方向に回転軸3の中心軸線Oと平行に延ばした線を稜線La(
図2及び
図5参照)とする。この稜線Laを境に、時計回り方向側及び反時計回り方向側であって径方向内側に向かって同じ傾斜角度θaで切り欠く。そして、その稜線Laを境に、時計回り方向側に切り欠いた平面を第1平面f1aとし、反対に、稜線Laを境に、反時計回り方向側に切り欠いた平面を第2平面f1bとする。
【0052】
従って、第1爪状磁極部22の径方向外側面f1は、稜線Laをステータ2に最も近い最頂部として、稜線Laを境に時計回り方向側及び反時計回り方向側に行くほどステータ2から離間する凸部形状となる。つまり、第1爪状磁極部22の径方向外側面f1は、軸直交方向断面形状が回転軸3の中心軸線Oを中心とする同心円形状にならない。
【0053】
(第2ロータコア30)
図5に示すように、第2ロータコア30は、第1ロータコア20と同形状であって、回転軸3を貫挿固着する貫通穴30aを有する略円盤状の第2コアベース31の外周部に、等間隔に4つの第2爪状磁極部32が径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成されている。
【0054】
第2爪状磁極部32の周方向両端面32a,32bは径方向に延びる平坦面とされている。そして、各第2爪状磁極部32の周方向の角度、即ち前記周方向両端面32a,32b間の角度は、周方向に隣り合う第2爪状磁極部32同士の隙間の角度より小さく設定されている。
【0055】
また、
図2に示すように、第2爪状磁極部32の径方向外側面f2は、第1平面f2aと第2平面f2bの2つの平面を有している。
詳述すると、
図3に示すように、第2爪状磁極部32の径方向外側面f2であって、回転軸3の中心軸線Oから第2爪状磁極部32の周方向の中間位置を通過する直線の中心線L2と交差する点を頂点P2とする。その頂点P2から軸線方向に回転軸3の中心軸線Oと平行に延ばした線を稜線Lb(
図2及び
図5参照)とする。この稜線Lbを境に、時計回り方向側及び反時計回り方向側であって径方向内側に向かって同じ傾斜角度θb(=θa)で切り欠く。そして、その稜線Lbを境に時計回り方向側に切り欠いた平面を第1平面f2aとし、反対に、稜線Lbを境に反時計回り方向側に切り欠いた平面を第2平面f2bとする。
【0056】
従って、第2爪状磁極部32の径方向外側面f2は、稜線Lbをステータ2に最も近い最頂部として、稜線Lbを境に時計回り方向側及び反時計回り方向側に行くほどステータ2から離間する凸部形状となる。つまり、第2爪状磁極部32の径方向外側面f2は、軸直交方向断面形状が回転軸3の中心軸線Oを中心とする同心円形状にならない。
【0057】
そして、第2ロータコア30は、前記各第2爪状磁極部32がそれぞれ対応する各第1爪状磁極部22間に配置される。このとき、第2ロータコア30は、第1コアベース21と第2コアベース31との軸方向の間に環状磁石40(
図4参照)が配置(挟持)されるようにして第1ロータコア20に対して組み付けられる。
【0058】
詳述すると、
図4に示すように、環状磁石40は、第1コアベース21の第2コアベース31側の面(対向面21a)と第2コアベース31の第1コアベース21側の面(対向面31a)の間に挟持される。
【0059】
このとき、第1爪状磁極部22の一方の周方向端面22aと第2爪状磁極部32の他方の周方向端面32bとが軸方向に沿って平行をなすように形成されるため、両端面22a,32b間の間隙が軸方向に沿って略直線状をなすように形成される。また、第1爪状磁極部22の他方の周方向端面22bと第2爪状磁極部32の一方の周方向端面32aとが軸方向に沿って平行をなすように形成されるため、両端面22b,32a間の間隙が軸方向に沿って略直線状をなすように形成される。
【0060】
図4及び
図5に示すように、第1ロータコア20と第2ロータコア30との間に挟持された環状磁石40は、ネオジム磁石よりなる円環板状の永久磁石である。
図5に示すように、環状磁石40は、その中央位置に回転軸3を貫通する貫通穴41が形成されている。そして、環状磁石40の一方の側面40aが、第1コアベース21の対向面21aと、環状磁石40の他方の側面40bが、第2コアベース31の対向面31aとそれぞれ当接し、環状磁石40は第1ロータコア20と第2ロータコア30との間に挟持固定される。
【0061】
環状磁石40の外径は、第1及び第2コアベース21,31の外径と一致するように設定され、厚さが予め定めた厚さに設定されている。
つまり、
図4に示すように、第1ロータコア20と第2ロータコア30との間に、環状磁石40を配置したとき、第1爪状磁極部22の先端面22cと第2コアベース31の反対向面31bとが面一になるとともに、第2爪状磁極部32の先端面32cと第1コアベース21の反対向面21bとが面一になるようにしている。
【0062】
図4に示すように、環状磁石40は、軸方向に磁化されていて、第1ロータコア20側をN極(第1磁極)、第2ロータコア30側をS極(第2磁極)となるように磁化されている。従って、この環状磁石40によって、第1ロータコア20の第1爪状磁極部22はN極(第1磁極)として機能し、第2ロータコア30の第2爪状磁極部32はS極(第2磁極)として機能する。
【0063】
従って、本実施形態のロータ4は、環状磁石40を用いた所謂ランデル型構造のロータである。ロータ4は、N極となる第1爪状磁極部22と、S極となる第2爪状磁極部32とが周方向に交互に配置されており、磁極数が8極となる。
【0064】
次に、上記のように構成した実施形態の作用を以下に記載する。
今、ブラシレスモータMにおいて、ステータコア10の各ティース11にそれぞれ巻回した各相巻線13u,13v,13wに3相電源電圧を印加してステータ2に回転磁界を形成すると、同ステータ2の内側に配置した回転軸3に固着されたロータ4は、その回転磁界に基づいて回転する。
【0065】
そして、各相巻線13u,13v,13wへの3相電源電圧の印加を停止すると、回転磁界が消失してロータ4は回転を停止する。このとき、ロータ4は、第1ロータコア20の第1爪状磁極部22がステータコア10のティース11に流れ込む磁束と、第2ロータコア30の第2爪状磁極部32にステータコア10のティース11から流れ込む磁束がそれぞれ最も安定した状態となる回動位置で停止する。
【0066】
つまり、第1及び第2爪状磁極部22,32のいずれか一方の径方向外側面f1(径方向外側面f2)上の稜線La(稜線Lb)が、それぞれ対向するティース11の径方向内周面11aであってその周方向の中間位置に位置する場合である。
図1は、第1爪状磁極部22の径方向外側面f1上の稜線Laが、それぞれ対向するティース11の径方向内周面11aであってその周方向の中間位置に位置する場合を示す。この場合、ブラシレスモータMは、ロータ4が8極、ステータ2が12スロットルのモータであることから、第2爪状磁極部32の径方向外側面f2上の稜線Lbは、ティース11とティース11の中間位置に位置する。
【0067】
この状態において、ロータ4(回転軸3)を回転させると、第1爪状磁極部22の径方向外側面f1が、それぞれ対向するティース11の径方向内周面11aに対して、周方向に移動する。
【0068】
このとき、第1及び第2爪状磁極部22,32の径方向外側面f1,f2は、稜線La,Lbを境に凸部形状に形成されているため、移動に伴う磁束の変化が、ティース11の径方向内周面11aと同じ回転軸3の中心軸線を中心とする同心円となる第1爪状磁極部の径方向外側面に比べて非常に大きくなる。
【0069】
そして、磁束を安定した状態に戻ろうとする保持力(ディテントトルク)は、磁界の変化に相対することから、この場合、磁界の変化が非常に大きいので、保持力(ディテントトルク)は大きくなる。
【0070】
しかも、第1及び第2爪状磁極部22,32の径方向外側面f1,f2は、稜線La,Lbを境に周方向両側に対称に同じ傾斜角度θa,θbの第1平面f1a,f2aと第2平面f1b,f2bを形成したので、ロータ4(回転軸3)のいずれの回転方向においても同じ保持力(ディテントトルク)を有する。
【0071】
次に、上記実施形態の効果を以下に記載する。
(1)本実施形態によれば、第1及び第2爪状磁極部22,32の径方向外側面f1,f2を、稜線La,Lbを境に凸部形状に形成したので、ディテントトルクを増大でき、ブラシレスモータMの静止状態での保持力を増大することができる。
【0072】
(2)本実施形態によれば、第1及び第2爪状磁極部22,32の径方向外側面f1,f2は、稜線La,Lbを境に周方向両側に対称に同じ傾斜角度θa,θbの第1平面f1a,f2aと第2平面f1b,f2bを形成した。従って、ロータ4(回転軸3)のいずれの回転方向においても同じ大きさのディテントトルク(保持力)を発生させることができる。
【0073】
しかも、正逆回転可能なブラシレスモータMにおいて、正転する場合と逆転する場合とで発生するコギングトルクの周期変動がない。
なお、上記第1実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0074】
○本実施形態では、第1平面と第2平面を有する凸状の径方向外側面f1,f2を形成した。これを、
図6に示すように、径方向外側面f1,f2を、第1平面f1a,f2a、第2平面f1b,f2b、及び第3平面f1c,f2cからなる凸状を形成して実施してもよい。要は、第1及び第2爪状磁極部22,32の径方向外側面f1,f2の軸線方向から見た形状が、回転軸3の中心軸線Oを中心とする同心円とならない面であればよい。
【0075】
○
図7(a)(b)に示すように、ロータ4において、第1爪状磁極部22と第2爪状磁極部32の間に、磁極間補助磁石51を介在させるとともに、第1及び第2爪状磁極部22,32の径方向内側にそれぞれ背面補助磁石52,53を介在させて実施してもよい。
【0076】
ここで、磁極間補助磁石51の磁化方向は、第1爪状磁極部22側がN極、第2爪状磁極部32側がS極となるように磁化されている。一方、
図7(a)に示す背面補助磁石52は、第1コアベース21側がN極、第2爪状磁極部32側がS極となるように磁化される。また、
図7(b)に示す背面補助磁石53は、第2コアベース31側がS極、第1爪状磁極部22側がN極となるように磁化される。
【0077】
これによって、これら補助磁石51,52,53を設けることで、第1及び第2爪状磁極部22,32とステータコア10のティース11との間で発生する磁束が大きくなり、磁界の変化をさらに大きくすることができ、ディテントトルクをより増加させることができる。
【0078】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を
図8〜
図14に従って説明する。
本実施形態は、第1実施形態で示した第1及び第2爪状磁極部22,32の径方向外側面f1,f2に特徴を有している。従って、特徴部分について詳細に説明して、第1実施形態と共通する部分は、説明の便宜上詳細な説明は省略する。
【0079】
図8に示すように、本実施形態のブラシレスモータMは、モータハウジング1の内周面にステータ2が固定され、そのステータ2の内側には、回転軸3に固着され同回転軸3とともに一体回転するロータ4が配設されている。
【0080】
ステータ2は、ステータコア10を有し、そのステータコア10の内側には12個のティース11が延出形成されている。各ティース11は、T型のティースであって、その径方向内周面11aは、回転軸3の中心軸線Oを中心として同心円の円弧が軸線方向に延出した円弧面である。そして、12個のティース11には、周方向に3相巻線、即ち、U相巻線13u、V相巻線13v、W相線13wが順番に集中巻きにて巻回されている。
【0081】
そして、これら巻回した各相巻線13u,13v,13wに3相電源電圧を印加してステータ2に回転磁界を形成される。
図9〜
図12に示すように、ステータ2の内側に配設されたロータ4は、第1及び第2ロータコア20,30と、環状磁石40(
図11及び
図12参照)とを備える。
【0082】
図12に示すように、第1ロータコア20は、略円盤状に形成された第1コアベース21の外周部に、等間隔に4つの第1爪状磁極部22が径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成されている。
【0083】
そして、各第1爪状磁極部22の周方向の角度、即ち前記周方向両端面22a,22b間の角度は、周方向に隣り合う第1爪状磁極部22同士の隙間の角度より小さく設定されている。
【0084】
また、第1爪状磁極部22の径方向外側面f1は、軸直交方向断面形状が回転軸3の中心軸線Oを中心とする同心円形状の円弧面を有し、その径方向外側面f1に第1補助溝25と第2補助溝26の2つの溝を有している。
【0085】
詳述すると、
図10に示すように、第1爪状磁極部22の径方向外側面f1であって、回転軸3の中心軸線Oから第1爪状磁極部22の周方向の中間位置を通過する直線を中心線L1とする。その中心線L1を基準として時計回り方向側及び反時計回り方向側に角度θ1に位置する中心軸から延びる直線をそれぞれ第1直線L1aと第2直線L1bとする。
【0086】
ここで、角度θ1は、コギングトルクの周期(角度φ)に基づいて、以下の演算式を使って求めた。
θ1=(1/2+n)・φ
なお、nは整数であって、本実施形態は、n=0としている。
【0087】
コギングトルクの周期φは、一般に、360度を、ロータ4の磁極数とステータ2のスロット数の最小公倍数で割った値である。
この時、ロータ4の磁極数は8、ステータ2のスロット数は12であることから、最小公倍数は24となる。そして、コギングトルクの周期φは、15(=360/24)度となる。
【0088】
従って、角度θ1は、7.5(=15/2)度となる。
そして、径方向外側面f1において、中心線L1を中心に時計回り方向及び反時計回り方向にそれぞれ7.5度変位した位置ある第1直線L1aと第2直線L1bを周方向の中間位置として一定の幅を有した溝を軸線方向にそれぞれ凹設する。
【0089】
そして、第1直線L1aを周方向中間位置とする溝を第1補助溝25とし、反対に、第2直線L1bを周方向中間位置とする溝を第2補助溝26としている。従って、回転軸3の中心軸線Oを中心に第1補助溝25と第2補助溝26がなす角度は、コギングトルクの周期φ(=15度)と一致する。
【0090】
つまり、中心線L1と第1直線L1aがなす角度及び中心線L1と第2直線L1bがなす角度は、共にコギングトルクの周期φの半周期(=7.5度)となり、第1補助溝25と第2補助溝26は中心線L1を対称軸として対称位置に形成されている。
【0091】
この第1及び第2補助溝25,26は、軸直交方向断面形状がコ字状に形成され、その底面25a,26aが平面であって、その両側から径方向外側から延びる側面に対して直角に形成されている。
【0092】
従って、第1及び第2補助溝25,26を有する第1爪状磁極部22の径方向外側面f1は、第1及び第2補助溝25,26の底面25a,26aが平面形状であることから、全体として、軸直交方向断面形状が回転軸3の中心軸線Oを中心とする同心円形状にならない。
【0093】
図12に示すように、第2ロータコア30は、第1ロータコア20と同形状であって、略円盤状の第2コアベース31の外周部に、等間隔に4つの第2爪状磁極部32が径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成されている。
【0094】
第2爪状磁極部32の周方向端面32a,32bは径方向に延びる平坦面とされている。そして、各第2爪状磁極部32の周方向の角度、即ち前記周方向両端面32a,32b間の角度は、周方向に隣り合う第2爪状磁極部32同士の隙間の角度より小さく設定されている。
【0095】
また、第2爪状磁極部32の径方向外側面f2は、軸直交方向断面形状が回転軸3の中心軸線Oを中心とする同心円形状の円弧面を有し、その径方向外側面f2に第1補助溝35と第2補助溝36の2つの溝を有している。
【0096】
詳述すると、
図10に示すように、第2爪状磁極部32の径方向外側面f2であって、回転軸3の中心軸線Oから第2爪状磁極部32の周方向の中間位置を通過する直線を中心線L2とする。その中心線L2を基準として時計回り方向側及び反時計回り方向側に角度θ2の位置にある中心軸から延びる直線をそれぞれ第1直線L2aと第2直線L2bとする。ここで、角度θ2は、上記と同様に、コギングトルクの周期φに基づいて、以下の演算式を使って求めた。
【0097】
θ2=(1/2+n)・φ
なお、nは整数であって、本実施形態は、n=0としている。コギングトルクの周期φは、前記と同様に、15(=360/24)度である。
【0098】
従って、角度θ2は、角度θ1と同じ、7.5(=15/2)度となる。
そして、径方向外側面f2において、中心線L2を中心に時計回り方向及び反時計回り方向にそれぞれ7.5度変位した位置ある第1直線L2aと第2直線L2bを周方向の中間位置として一定の幅を有した溝を軸線方向にそれぞれ凹設する。
【0099】
そして、第1直線L2aを周方向中間位置とする溝を第1補助溝35とし、反対に、第2直線L2bを周方向中間位置とする溝を第2補助溝36としている。従って、回転軸3の中心軸線Oを中心に第1補助溝35と第2補助溝36がなす角度は、コギングトルクの周期φ(=15度)と一致する。
【0100】
つまり、中心線L2と第1直線L2aがなす角度及び中心線L2と第2直線L2bがなす角度は、共にコギングトルクの周期φの半周期(=7.5度)となり、第1補助溝35と第2補助溝36は中心線L2を対称軸として対称位置に形成されている。
【0101】
この第1及び第2補助溝35,36は、軸直交方向断面形状がコ字状に形成され、その底面35a,36aが平面であって、その両側から径方向外側から延びる側面に対して直角に形成されている。
【0102】
従って、第1及び第2補助溝35,36を有する第2爪状磁極部32の径方向外側面f2は、第1及び第2補助溝35,36の底面35a,36aが平面形状であることから、全体として、軸直交方向断面形状が回転軸3の中心軸線Oを中心とする同心円形状にならない。
【0103】
そして、第1実施形態と同様に、第2ロータコア30は、各第2爪状磁極部32がそれぞれ対応する各第1爪状磁極部22間に配置される。そして、このとき、第2ロータコア30は、第1コアベース21と第2コアベース31との軸方向の間に、第1実施形態と同様に、環状磁石40(
図11参照)が配置(挟持)されるようにして第1ロータコア20に対して組み付けられる。
【0104】
次に、上記のように構成した第1及び第2ロータコア20,30の製造方法について説明する。
まず、第1及び第2ロータコア20,30は、軟磁性材よりなる電磁鋼板を打ち抜き加工にて、
図13(a)に示すように、貫通穴20a,30a、第1及び第2コアベース21,31、及び、第1及び第2コアベース21,31から径方向に延びる部位を打ち抜き形成する。打ち抜き形成した後、第1及び第2コアベース21,31から径方向に延びる部位の一側面をプレス等にて押し潰して(塑性変形させて)第1補助溝25,35及び第2補助溝26,36を形成する。
【0105】
そして、第1補助溝25,35及び第2補助溝26,36を形成した後、径方向に延びた部位を、
図13(a)で2点鎖線示す部分から軸方向に折り曲げ形成する。これによって、
図13(b)に示す、第1補助溝25,35及び第2補助溝26,36が形成された第1及び第2爪状磁極部22,32を有する第1及び第2ロータコア20,30が形成される。
【0106】
次に、上記のように構成した実施形態の作用を以下に記載する。
ロータ4は、第1爪状磁極部22の径方向外側面f1に第1補助溝25と第2補助溝26を軸線方向に沿って形成するとともに、第2爪状磁極部32の径方向外側面f2に第1補助溝35と第2補助溝36を軸線方向に沿って形成した。そのため、第1爪状磁極部22の径方向外側面f1及び第2爪状磁極部32の径方向外側面f2は、全体として、軸直交方向断面形状が回転軸3の中心軸線Oを中心とする同心円形状にならない。
【0107】
このことから第1実施形態と同様に、第1補助溝25,35及び第2補助溝26,36を形成する前に比べて、第1補助溝25,35及び第2補助溝26,36を形成に基づく上記した磁界の変化が非常に大きくなり、保持力(ディテントトルク)は大きくなる。
【0108】
しかも、第1爪状磁極部22の径方向外側面f1に形成した第1補助溝25と第2補助溝26を、中心線L1を軸として線対称位置に形成するとともに、第1補助溝25(第1直線L1a)と第2補助溝26(第2直線L1b)とがなす角度が、コギングトルクの周期φ(=15度)と一致するように形成した。
【0109】
同様に、第2爪状磁極部32の径方向外側面f2に形成した第1補助溝35と第2補助溝36を、中心線L2を軸として線対称位置に形成するとともに、第1補助溝35(第1直線L2a)と第2補助溝36(第2直線L2b)とがなす角度が、コギングトルクの周期φ(=15度)と一致するように形成した。
【0110】
つまり、
図14に示すように、第1補助溝25,35及び第2補助溝26,36を形成する前の元々の溝形成前ディテントトルクTaと、補助溝ディテントトルクTbを同相になるようにした。これによって、溝形成前ディテントトルクTaが補助溝ディテントトルクTbが重畳されて、
図14に示す合計ディテントトルクTcを最大に引き出せる。
【0111】
次に、上記実施形態の効果を以下に記載する。
(1)本実施形態によれば、第1及び第2爪状磁極部22,32の径方向外側面f1,f2は、その中心線L1,L2を軸として周方向両側の対称位置に第1補助溝25,35と第2補助溝26,36を形成したので、ディテントトルクを増大でき、ブラシレスモータMの静止状態での保持力を増大することができる。
【0112】
(2)本実施形態によれば、第1補助溝25,35及び第2補助溝26,36は、それぞれ中心線L1,L2とのなす角度θ1,θ2がコギングトルクの周期(角度φ)の半周期(=φ/2=7.5度)となる位置に形成したので、最も大きな合計ディテントトルクTcを発生させることができる。
【0113】
しかも、第1補助溝25,35及び第2補助溝26,36を線対称位置に形成したことから、正逆回転可能なブラシレスモータMにおいて、正転する場合と逆転する場合とで発生するコギングトルクの周期変動がない。
【0114】
(3)本実施形態によれば、第1及び第2ロータコア20,30は、軟磁性材よりなる電磁鋼板を打ち抜き加工して、貫通穴20a,30a、第1及び第2コアベース21,31、及び、第1及び第2コアベース21,31から径方向に延びる部位を打ち抜き形成した。そして、径方向に延びた部位を、軸方向に折り曲げ形成することによって、第1及び第2爪状磁極部22,32を有する第1及び第2ロータコア20,30を形成した。
【0115】
このとき、折り曲げ形成する前に、第1及び第2コアベース21,31から径方向に延びる部位の一側面をプレス等にて押し潰して第1補助溝25,35及び第2補助溝26,36を形成した。
【0116】
従って、打ち抜き加工、押し潰し加工、折り曲げ加工の3工程で第1及び第2ロータコア20,30が製造でき、第1及び第2ロータコア20,30の製造コストを安価にすることができる。
【0117】
上記第2実施形態は、以下のように変更してもよい。
○
図15(a)(b)に示すように、第2実施形態で示したロータ4において、
図7(a)(b)に示すロータ4と同様に、第1爪状磁極部22と第2爪状磁極部32の間に、磁極間補助磁石51を介在させるとともに、第1及び第2爪状磁極部22,32の径方向内側にそれぞれ背面補助磁石52,53を介在させて実施してもよい。
【0118】
これによって、
図7に示すロータ4と同様に、ディテントトルクをより増加させることができる。
○本実施形態では、第1補助溝25,35及び第2補助溝26,36の周方向中間位置を決める第1直線L1a,L2a及び第2直線L1b,L2bを、コギングトルクの周期(角度φ)に基づいて決めた。これを第1直線L1a,L2a及び第2直線L1b,L2bからずらした位置を第1補助溝25,35及び第2補助溝26,36の中間位置として実施してもよい。この場合、ディテントトルクは小さくなるものの、ディテントトルクの大きさを調整する場合には利用できる。
【0119】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を
図16及び
図17に従って説明する。
本実施形態では、第2実施形態で示した第1及び第2爪状磁極部22,32の径方向外側面f1,f2に形成した第1補助溝25,35及び第2補助溝26,36の形態のみが相違する。従って、その相違する部分について説明する。
【0120】
図16に示すように、第1ロータコア20の各第1爪状磁極部22の径方向外側面f1に、第1直線L1aを線対称の軸として周方向両側に第1左側補助溝25L及び第1右側補助溝25Rを形成するとともに、第2直線L1bを線対称の軸として周方向両側に第2左側補助溝26L及び第2右側補助溝26Rを形成する。
【0121】
従って、径方向外側面f1には、4つの補助溝25L,25R,26L,26Rが形成されている。
詳述すると、第1爪状磁極部22の第1左側補助溝25L及び第1右側補助溝25Rは、第1直線L1aを中心線として周方向両側にそれぞれ予め設定した同じずれ角度Δθ離間した中心軸線Oから延びる直線を周方向の中間位置として一定の幅を有した溝を軸線方向にそれぞれ凹設する。
【0122】
そして、
図16において第1直線L1aの時計回り方向側の溝を第1左側補助溝25Lとし、反対に、第1直線L1aの反時計回り方向側の溝を第1右側補助溝25Rとしている。
【0123】
ここで、ずれ角度Δθは、以下の数1の関係式が成立するように設定する。
(1/4+n)・φ<Δθ<(3/4+n)・φ
このとき、n=0であるから、のとき、
(15/4)度<Δθ<(45/4)度
3.75度<Δθ<11.25度
となる。そして、この範囲で中心軸線Oから延びる前記直線を設定する。
【0124】
同様に、第1爪状磁極部22の第2左側補助溝26L及び第2右側補助溝26Rは、第2直線L1bを中心線として周方向両側にそれぞれ上記したずれ角度Δθ離間した中心軸線Oから延びる直線を周方向の中間位置として一定の幅を有した溝を軸線方向にそれぞれ凹設する。
【0125】
そして、
図16において第2直線L1bの時計回り方向側の溝を第2左側補助溝26Lとし、反対に、第2直線L1bの反時計回り方向側の溝を第2右側補助溝26Rとしている。
【0126】
一方、
図16に示すように、第2ロータコア30の各第2爪状磁極部32の径方向外側面f2に、第1直線L2aを線対称の軸として周方向両側に第1左側補助溝35L及び第1右側補助溝35Rを形成するとともに、第2直線L2bを線対称の軸として周方向両側に第2左側補助溝36L及び第2右側補助溝36Rを形成する。
【0127】
従って、径方向外側面f2には、4つの補助溝35L,35R,36L,36Rが形成されている。
第2爪状磁極部32の第1左側補助溝35L及び第1右側補助溝35Rは、第1直線L2aを中心線として周方向両側に上記したずれ角度Δθ離間した中心軸線Oから延びる直線を周方向の中間位置として一定の幅を有した溝を軸線方向にそれぞれ凹設する。
【0128】
そして、
図16において第1直線L2aの時計回り方向側の溝を第1左側補助溝35Lとし、反対に、第1直線L2aの反時計回り方向側の溝を第1右側補助溝35Rとしている。
【0129】
同様に、第2爪状磁極部32の第2左側補助溝36L及び第2右側補助溝36Rは、第2直線L2bを中心線として周方向両側にそれぞれ上記したずれ角度Δθ離間した中心軸線Oから延びる直線を周方向の中間位置として一定の幅を有した溝を軸線方向にそれぞれ凹設する。
【0130】
そして、
図16において第2直線L2bの時計回り方向側の溝を第2左側補助溝36Lとし、反対に、第2直線L2bの反時計回り方向側の溝を第2右側補助溝36Rとしている。
【0131】
なお、本実施形態の第1及び第2ロータコア20,30は、第2実施形態で説明した製造方法で製造できることは言うまでもない。
次に、上記のように構成した実施形態の作用を以下に記載する。
【0132】
ロータ4は、第1爪状磁極部22の径方向外側面f1に第1左側及び右側補助溝25L,25Rと第2左側及び右側補助溝26L,26Rを軸線方向に沿って形成した。さらに、第2爪状磁極部32の径方向外側面f2に第1左側及び右側補助溝35L,35Rと第2左側及び右側補助溝36L,36Rを軸線方向に沿って形成した。そのため、第1爪状磁極部22の径方向外側面f1及び第2爪状磁極部32の径方向外側面f2は、全体として、軸直交方向断面形状が回転軸3の中心軸線Oを中心とする同心円形状にならない。
【0133】
このことから第2実施形態と同様に、第1左側補助溝25L,35L及び第2右側補助溝26R,36Rを形成する前に比べて、磁界の変化が非常に大きくなり、保持力(ディテントトルク)は大きくなる。
【0134】
また、第1爪状磁極部22の径方向外側面f1に形成した第1左側及び右側補助溝25L,25Rと第2左側及び右側補助溝26L,26Rを、中心線L1を軸として線対称位置に形成した。そして、第1左側及び右側補助溝25L,25Rが第1直線L1aを軸として線対称位置に形成されているとともに、第2左側及び右側補助溝26L,26Rが第2直線L1bを軸として線対称位置に形成されている。
【0135】
同様に、第2爪状磁極部32の径方向外側面f2に形成した第1左側及び右側補助溝35L,35Rと第2左側及び右側補助溝36L,36Rを、中心線L2を軸として線対称位置に形成した。そして、第1左側及び右側補助溝35L,35Rが第1直線L2aを軸として線対称位置に形成されているとともに、第2左側及び右側補助溝36L,36Rが第2直線L2bを軸として線対称位置に形成されている。
【0136】
従って、これら径方向外側面f1に形成された4つの補助溝25L,25R,26L,26R及び径方向外側面f2に形成された4つの補助溝35L,35R,36L,36RによるディテントトルクTbの周期が、コギングトルクの周期と一致する。
【0137】
これによって、第2実施形態と同様に大きな合計ディテントトルクTcを引き出せる。
ちなみに、第1爪状磁極部22の径方向外側面f1に第1左側補助溝25Lと第2左側補助溝26Lのみ形成し、第2爪状磁極部32の径方向外側面f2に第1左側補助溝35Lと第2左側補助溝36Lのみ形成した時、
図17に示すディテントトルクTb1となる。
【0138】
つまり、この場合のディテントトルクTb1は、径方向外側面f1に4つの補助溝25L,25R,26L,26R及び径方向外側面f2に4つの補助溝35L,35R,36L,36Rを形成した時のディテントトルクTbより小さくなる。
【0139】
反対に、第1爪状磁極部22の径方向外側面f1に第1右側補助溝25Rと第2右側補助溝26Rのみ形成し、第2爪状磁極部32の径方向外側面f2に第1右側補助溝35Rと第2右側補助溝36Rのみ形成した時、
図17に示すディテントトルクTb2となる。
【0140】
つまり、この場合のディテントトルクTb2は、径方向外側面f1に4つの補助溝25L,25R,26L,26R及び径方向外側面f2に4つの補助溝35L,35R,36L,36Rを形成した時のディテントトルクTbより小さくなる。
【0141】
このことから、溝形成によるディテントトルクの増加を図れるものの小さなものとなる。従って、ディテントトルクの大きさを調整する場合には、いずれか一方の補助溝を省略して調整を行うことに利用できる。
【0142】
これによって本実施形態によれば第2実施形態と同様な効果を奏する。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を
図18〜
図21に従って説明する。
【0143】
本実施形態では、第2実施形態で示した第1及び第2爪状磁極部22,32の径方向外側面f1,f2に形成した第1補助溝25,35及び第2補助溝26,36の形態が相違する。従って、その相違する部分について説明する。
【0144】
図18〜
図21に示すように、ステータ2の内側に配設されたロータ4は、第1及び第2ロータコア20,30と、環状磁石40(
図20及び
図21参照)とを備える。
(第1ロータコア20)
図21に示すように、第1ロータコア20は、略円盤状に形成された第1コアベース21の外周部に、等間隔に4つの第1爪状磁極部22が径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成されている。
【0145】
そして、各第1爪状磁極部22の周方向の角度、即ち前記周方向両端面22a,22b間の角度は、周方向に隣り合う第1爪状磁極部22同士の隙間の角度より小さく設定されている。
【0146】
また、第1爪状磁極部22の径方向外側面f1は、軸直交方向断面形状が回転軸3の中心軸線Oを中心とする同心円形状の円弧面を有している。
本実施形態では、径方向外側面f1において、第2実施形態で形成した第1補助溝25と同じ軸線方向であって、第1爪状磁極部22の軸線方向両端部に一対の第1補助溝25x,25yを形成している。同様に、径方向外側面f1において、第2実施形態で形成した第2補助溝26と同じ軸線方向であって、第1爪状磁極部22の軸線方向両端部に一対の第2補助溝26x,26yを形成している。
【0147】
つまり、一対の第1補助溝25x,25yは互いに軸線方向において連通せずに離間して形成されているとともに、一対の第2補助溝26x,26yは互いに軸線方向において連通せずに離間して形成されている。
【0148】
そして、第1補助溝25x,25y及び第2補助溝26x,26yの溝面は、軸直交方向の断面形状が円弧となる円弧面である。
従って、第1補助溝25x,25y及び第2補助溝26x,26yを有する第1爪状磁極部22の径方向外側面f1は、軸線方向の中央部分において軸直交方向断面形状が回転軸3の中心軸線Oを中心とする同心円形状ではあるが、径方向外側面f1全体としては同心円形状にならない。
【0149】
(第2ロータコア30)
図21に示すように、第2ロータコア30は、第1ロータコア20と同形状であって、略円盤状の第2コアベース31の外周部に、等間隔に4つの第2爪状磁極部32が径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成されている。
【0150】
第2爪状磁極部32の周方向端面32a,32bは径方向に延びる平坦面とされている。そして、各第2爪状磁極部32の周方向の角度、即ち前記周方向両端面32a,32b間の角度は、周方向に隣り合う第2爪状磁極部32同士の隙間の角度より小さく設定されている。
【0151】
また、第2爪状磁極部32の径方向外側面f2は、軸直交方向断面形状が回転軸3の中心軸線Oを中心とする同心円形状の円弧面を有している。
本実施形態では、径方向外側面f2において、第2実施形態で形成した第1補助溝35と同じ軸線方向であって、第2爪状磁極部32の軸線方向両端部に一対の第1補助溝35x,35yを形成している。同様に、径方向外側面f2において、第2実施形態で形成した第2補助溝36と同じ軸線方向であって、第2爪状磁極部32の軸線方向両端部に一対の第2補助溝36x,36yを形成している。
【0152】
つまり、一対の第1補助溝35x,35yは互いに軸線方向において連通せずに離間して形成されているとともに、一対の第2補助溝36x,36yは互いに軸線方向において連通せずに離間して形成されている。
【0153】
そして、第1補助溝35x,35y及び第2補助溝36x,36yの溝面は、軸直交方向の断面形状が円弧となる円弧面である。
従って、第1補助溝35x,35y及び第2補助溝36x,36yを有する第2爪状磁極部32の径方向外側面f2は、軸線方向の中央部分において軸直交方向断面形状が回転軸3の中心軸線Oを中心とする同心円形状ではあるが、径方向外側面f2全体としては同心円形状にならない。
【0154】
そして、第2実施形態と同様に、第2ロータコア30は、各第2爪状磁極部32がそれぞれ対応する各第1爪状磁極部22間に配置される。そして、このとき、第2ロータコア30は、第1コアベース21と第2コアベース31との軸方向の間に、第2実施形態と同様に、環状磁石40(
図20参照)が配置(挟持)されるようにして第1ロータコア20に対して組み付けられる。
【0155】
なお、本実施形態の第1及び第2ロータコア20,30は、第2実施形態で説明した製造方法で製造できることは言うまでもない。
次に、上記のように構成した実施形態の作用を以下に記載する。
【0156】
ロータ4は、第1爪状磁極部22の径方向外側面f1において、第1爪状磁極部22の軸線方向両端部に一対の第1補助溝25x,25yを形成するとともに、第1爪状磁極部22の軸線方向両端部に一対の第2補助溝26x,26yを形成した。
【0157】
また、ロータ4は、第2爪状磁極部32の径方向外側面f2において、第2爪状磁極部32の軸線方向両端部に一対の第1補助溝35x,35yを形成するとともに、第2爪状磁極部32の軸線方向両端部に一対の第2補助溝36x,36yを形成した。
【0158】
そのため、第1爪状磁極部22の径方向外側面f1は、軸線方向の中央部分において軸直交方向断面形状が回転軸3の中心軸線Oを中心とする同心円形状ではあるが、径方向外側面f1全体としては同心円形状にならない。同様に第2爪状磁極部32の径方向外側面f2は、軸線方向の中央部分において軸直交方向断面形状が回転軸3の中心軸線Oを中心とする同心円形状ではあるが、径方向外側面f2全体としては同心円形状にならない。
【0159】
このことから第2実施形態と同様に、一対の第1補助溝25x,25y,35x,35y及び一対の第2補助溝26x,26y,36x,36yを形成する前に比べて、一対の第1補助溝25x,25y,35x,35y及び一対の第2補助溝26x,26y,36x,36yを形成に基づく上記した磁界の変化が非常に大きくなり、保持力(ディテントトルク)は大きくなる。
【0160】
しかも、第1爪状磁極部22の径方向外側面f1に形成した一対の第1補助溝25x,25yと一対の第2補助溝26x,26yを、中心線L1を軸として線対称位置に形成するとともに、一対の第1補助溝25x,25y(第1直線L1a)と一対の第2補助溝26x,26y(第2直線L1b)とがなす角度が、コギングトルクの周期φ(=15度)と一致するように形成した。
【0161】
同様に、第2爪状磁極部32の径方向外側面f2に形成した一対の第1補助溝35x,35yと一対の第2補助溝36x,36yを、中心線L2を軸として線対称位置に形成するとともに、一対の第1補助溝35x,35y(第1直線L2a)と一対の第2補助溝36x,36y(第2直線L2b)とがなす角度が、コギングトルクの周期φ(=15度)と一致するように形成した。
【0162】
従って、第2実施形態と同様に、溝形成前ディテントトルク(
図14の溝形成前ディテントトルクTaに相当)に補助溝ディテントトルク(
図14の補助溝ディテントトルクTbに相当)が重畳されて、合計ディテントトルク(
図14の合計ディテントトルクTcに相当)を最大に引き出せる。
【0163】
さらに、第1爪状磁極部22の軸線方向両端部にそれぞれ形成した一対の第1補助溝25x,25y及び一対の第2補助溝26x,26yの軸線方向の長さを適宜変更できる。同様に、第2爪状磁極部32の軸線方向両端部にそれぞれ形成した一対の第1補助溝35x,35y及び一対の第2補助溝36x,36yの軸線方向の長さを適宜変更できる。これら軸線方向の長さを適宜変更することで、ディテントトルクの大きさを調整できる。
【0164】
次に、上記実施形態の効果を以下に記載する。
(1)本実施形態によれば、第1及び第2爪状磁極部22,32の径方向外側面f1,f2は、その中心線L1,L2を軸として周方向両側の対称位置に一対の第1補助溝25x,25y,35x,35yと一対の第2補助溝26x,26y,36x,36yを形成した。従って、ディテントトルクを増大でき、ブラシレスモータMの静止状態での保持力を増大することができる。
【0165】
(2)本実施形態によれば、一対の第1補助溝25x,25y,35x,35y及び一対の第2補助溝26x,26y,36x,36yは、それぞれ中心線L1,L2とのなす角度θ1,θ2がコギングトルクの周期(角度φ)の半周期(=φ/2=7.5度)となる位置に形成したので、大きな合計ディテントトルクを発生させることができる。
【0166】
しかも、一対の第1補助溝25x,25y,35x,35y及び一対の第2補助溝26x,26y,36x,36yを線対称位置に形成したことから、正逆回転可能なブラシレスモータMにおいて、正転する場合と逆転する場合とで発生するコギングトルクの周期変動がない。
【0167】
(3)本実施形態によれば、第1爪状磁極部22の軸線方向両端部にそれぞれ一対の第1補助溝25x,25y及び一対の第2補助溝26x,26yを形成した。同様に、第2爪状磁極部32の軸線方向両端部にそれぞれ一対の第1補助溝35x,35y及び一対の第2補助溝36x,36yを形成した。
【0168】
従って、これら、一対の第1補助溝25x,25y,35x,35y及び一対の第2補助溝26x,26y,36x,36yの軸線方向の長さを適宜変更でき、これら軸線方向の長さを適宜変更することで、ディテントトルクの大きさを調整できる。
【0169】
(4)本実施形態によれば、第1補助溝25x,25y,35x,35y及び一対の第2補助溝26x,26y,36x,36yは、それぞれ第1及び第2爪状磁極部22,32の軸線方向両端部という限られた範囲に形成した。従って、第1補助溝25x,25y,35x,35y及び一対の第2補助溝26x,26y,36x,36yを塑性変形させて(押し潰して)形成する際の、寸法変化を小さくすることができる。
【0170】
上記第4実施形態は、以下のように変更してもよい。
○第4実施形態の一対の第1補助溝25x,25y,35x,35y及び一対の第2補助溝26x,26y,36x,36yを第3実施形態に応用してもよい。つまり、第3実施形態の形成した径方向外側面f1の4つの補助溝25L,25R,26L,26R及び径方向外側面f2の4つの補助溝35L,35R,36L,36Rと同じ軸線方向に一対の第1補助溝25x,25y,35x,35y及び一対の第2補助溝26x,26y,36x,36yをそれぞれ形成してもよい。
【0171】
○
図22に示すように、一対の第1補助溝25x,25y,35x,35y及び一対の第2補助溝26x,26y,36x,36yの深さを軸線方向端部に向かうほど深くなるように形成してもよい。ディテントトルクの大きさをより細かく調整できる。
【0172】
また、第4実施形態では、一対の第1補助溝25x,25y,35x,35y及び一対の第2補助溝26x,26y,36x,36yの軸直交方向断面が円弧状であったが、コ字状であってもよい。
【0173】
○
図23に示すように、第1爪状磁極部22の径方向外側面f1において、一対の第1補助溝25x,25yと同じ軸線方向であってその軸線方向中央部分に第1補助溝25zを形成するとともに、一対の第2補助溝26x,26yと同じ軸線方向であってその軸線方向中央部分に第2補助溝26zを形成する。
【0174】
同様に、第2爪状磁極部32の径方向外側面f2において、一対の第1補助溝35x,35yと同じ軸線方向であってその軸線方向中央部分に第1補助溝35zを形成するとともに、一対の第2補助溝36x,36yと同じ軸線方向であってその軸線方向中央部分に第2補助溝36zを形成する。
【0175】
これによって、第1補助溝25z及び第2補助溝26zを有する第1爪状磁極部22の径方向外側面f1は、軸線方向の両端部分において軸直交方向断面形状が回転軸3の中心軸線Oを中心とする同心円形状ではあるが、径方向外側面f1全体としては同心円形状にならない。
【0176】
同様に、第1補助溝35z及び第2補助溝36zを有する第2爪状磁極部32の径方向外側面f2は、軸線方向の両端部分において軸直交方向断面形状が回転軸3の中心軸線Oを中心とする同心円形状ではあるが、径方向外側面f2全体としては同心円形状にならない。
【0177】
その結果、この場合も第4実施形態と同様な効果を有する。
勿論、
図23に示す第1補助溝25z,35z及び第2補助溝26z,36zを、第3実施形態の別例として具体化して実施してもよい。
【0178】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態を
図24〜
図29に従って説明する。
本実施形態は、第1実施形態で示した第1及び第2爪状磁極部22,32の径方向外側面f1,f2に特徴を有している。従って、特徴部分について詳細に説明して、第1実施形態と共通する部分は、説明の便宜上詳細な説明は省略する。
【0179】
図24に示すように、本実施形態のブラシレスモータMは、ステータ2を備え、そのステータ2の内側には、回転軸3に固着され同回転軸3とともに一体回転するロータ4が配設されている。
【0180】
ステータ2は、ステータコア10を有し、そのステータコア10の内側には12個のティース11が延出形成されている。各ティース11は、T型のティースであって、その径方向内周面11aは、回転軸3の中心軸線Oを中心とする同心円の円弧が軸線方向に延出した円弧面である。そして、12個のティース11には、周方向に3相巻線、即ち、U相巻線13u、V相巻線13v、W相線13wが順番に集中巻きにて巻回されている。
【0181】
そして、これら巻回した各相巻線13u,13v,13wに3相電源電圧を印加してステータ2に回転磁界が形成される。
図26〜
図28に示すように、ステータ2の内側に配設されたロータ4は、第1及び第2ロータコア20,30と、環状磁石40、磁極間補助磁石51、背面補助磁石52,53とを備える。
【0182】
(第1ロータコア20)
図27に示すように、第1ロータコア20は、略円盤状に形成された第1コアベース21の外周部に、等間隔に4つの第1爪状磁極部22が径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成されている。ここで、第1爪状磁極部22において、第1コアベース21の外周面21cから径方向外側に突出した部分を第1基部23といい、軸方向に屈曲された先端部分を第1磁極部24という。
【0183】
第1基部23と第1磁極部24からなる第1爪状磁極部22の周方向両端面22a,22bは、径方向に延びる平坦面となっている。そして、各第1爪状磁極部22の周方向の角度、即ち前記周方向両端面22a,22b間の角度は、周方向に隣り合う第1爪状磁極部22同士の隙間の角度より小さく設定されている。
【0184】
また、
図27に示すように、第1爪状磁極部22(第1磁極部24)の径方向外側面f1は、その軸直交方向断面形状が、回転軸3の中心軸線Oを中心とする同心円形状にならない。
【0185】
詳述すると、
図25に示すように、径方向外側面f1の時計回り方向側の一端部とティース11の径方向内周面11aとの間隔(エアギャップ)を第1エアギャップG1とする。一方、径方向外側面f1の反時計回り方向側の他端部とティース11の径方向内周面11aとの間隔(エアギャップ)を第2エアギャップG2とする。そして、第1磁極部24の径方向外側面f1は、第1エアギャップG1を第2エアギャップG2よりも狭く形成しているとともに、時計回り方向側の一端部から反時計回り方向側の他端部間を円弧面で形成している。
【0186】
つまり、第1磁極部24の径方向外側面f1は、ティース11の径方向内周面11aとの間隔(エアギャップ)が反時計回り方向側に向かうほど長くなる。従って、径方向外側面f1は、回転軸3の中心軸線Oを中心とする円弧面とならない。
【0187】
そして、第1エアギャップG1をαmmとし第2エアギャップG2をβmmとしたとき、1.0<α/β≦5.0となるように形成している。
(第2ロータコア30)
図27に示すように、第2ロータコア30は、第1ロータコア20と同一形状であって略円盤状に形成された第2コアベース31の外周部に、等間隔に4つの第2爪状磁極部32が径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成されている。ここで、第2爪状磁極部32において、第2コアベース31の外周面31cから径方向外側に突出した部分を第2基部33といい、軸方向に屈曲された先端部分を第2磁極部34という。
【0188】
第2基部33と第2磁極部34からなる第2爪状磁極部32の周方向両端面32a,32bは、径方向に延びる平坦面となっている。そして、各第2爪状磁極部32の周方向の角度、即ち前記周方向両端面32a,32b間の角度は、周方向に隣り合う第2爪状磁極部32同士の隙間の角度より小さく設定されている。
【0189】
また、
図27に示すように、第2爪状磁極部32(第2磁極部34)の径方向外側面f2は、その軸直交方向断面形状が、回転軸3の中心軸線Oを中心とする同心円形状にならない。
【0190】
詳述すると、
図25に示すように、径方向外側面f2の時計回り方向側の一端部とティース11の径方向内周面11aとの間隔(エアギャップ)を、第1磁極部24と同じ、第1エアギャップG1とする。一方、径方向外側面f2の反時計回り方向側の他端部とティース11の径方向内周面11aとの間隔(エアギャップ)を、第1磁極部24と同じ、第2エアギャップG2とする。そして、第2磁極部34の径方向外側面f2は、第1エアギャップG1を第2エアギャップG2よりも狭く形成しているとともに、時計回り方向側の一端部から反時計回り方向側の他端部間を円弧面で形成している。
【0191】
つまり、第2磁極部34の径方向外側面f2は、ティース11の径方向内周面11aとの間隔(エアギャップ)が反時計回り方向側に向かうほど長くなる。従って、径方向外側面f2は、回転軸3の中心軸線Oを中心とする円弧面とならない。
【0192】
ここで、第1エアギャップG1をαmmとし第2エアギャップG2をβmmとしたとき、第1磁極部24と同じ、1.0<α/β≦5.0となるように形成している。
そして、第1実施形態と同様に、第2ロータコア30は、各第2爪状磁極部32がそれぞれ対応する各第1爪状磁極部22間に配置される。このとき、
図26に示すように、第2ロータコア30は、第1コアベース21と第2コアベース31との軸方向の間に、第1実施形態と同様に、環状磁石40が配置(挟持)されるようにして第1ロータコア20に対して組み付けられる。
【0193】
また、
図28(a)(b)に示すように、ロータ4において、第1爪状磁極部22と第2爪状磁極部32の間に、磁極間補助磁石51を介在させるとともに、第1及び第2磁極部24,34の径方向内側にそれぞれ背面補助磁石52,53を介在させている。
【0194】
ここで、磁極間補助磁石51の磁化方向は、第1爪状磁極部22側がN極、第2爪状磁極部32側がS極となるように磁化されている。一方、
図28(a)に示す背面補助磁石52は、第1コアベース21側がN極、第2爪状磁極部32側がS極となるように磁化される。また、
図28(b)に示す背面補助磁石53は、第2コアベース31側がS極、第1爪状磁極部22側がN極となるように磁化される。
【0195】
次に、上記のように構成した実施形態の作用を以下に記載する。
今、回転しているブラシレスモータMついて、各相巻線13u,13v,13wへの3相電源電圧の印加を停止すると、回転磁界が消失してロータ4は回転を停止する。このとき、ロータ4は、第1ロータコア20の第1磁極部24がステータコア10のティース11に流れ込む磁束と、第2ロータコア30の第2磁極部34にステータコア10のティース11から流れ込む磁束がそれぞれ最も安定した状態となる回動位置で停止する。
【0196】
つまり、第1及び第2磁極部24,34のいずれか一方の径方向外側面f1(径方向外側面f2)が、それぞれティース11の径方向内周面11aと対向する位置に位置する場合である。
図24は、第1爪状磁極部22の径方向外側面f1が、それぞれティース11の径方向内周面11aと対向する位置に位置する場合を示す。この場合、ブラシレスモータMは、ロータ4が8極、ステータ2が12スロットルのモータであることから、第2磁極部34の径方向外側面f2は、ティース11とティース11の中間位置に位置する。
【0197】
この状態において、ロータ4(回転軸3)を時計回り方向に回転させると、第1磁極部24の径方向外側面f1が、それぞれ対向するティース11の径方向内周面11aに対して、時計回り方向に回転する。
【0198】
このとき、第1及び第2磁極部24,34の径方向外側面f1,f2は、ティース11の径方向内周面11aとの間隔(エアギャップ)が反時計回り方向側の他端部に向かうほど長くなる円弧面で形成した。そのため、時計回り方向の回転に伴もなって磁束は次第に減少する。従って、元の大きい磁束の状態に戻ろうとする作用が働くので、時計回り方向の回転に対する保持力(ディテントトルク)は大きくなる。
【0199】
反対に、ロータ4(回転軸3)を反時計回り方向に回転させると、第1磁極部24の径方向外側面f1が、それぞれ対向するティース11の径方向内周面11aに対して、反時計回り方向に回転する。このとき、反時計回り方向の回転に伴もなって磁束は次第に増大する。従って、元の大きい磁束より大きな磁束の状態になるので、反時計回り方向の回転に対する保持力(ディテントトルク)は変わらない。
【0200】
このように、第1及び第2磁極部24,34の径方向外側面f1,f2は、ティース11の径方向内周面11aとの間隔(エアギャップ)が反時計回り方向側の他端部に向かうほど長くなる円弧面で形成した。その結果、ロータ4の回転方向において、反時計回り方向の回転に対する保持力(ディテントトルク)よりも時計回り方向の回転に対するディテントトルクの方を大きくなる。
【0201】
図29は、第1及び第2磁極部24,34の径方向外側面f1,f2を、反時計回り方向側の他端部に向かうほど、ティース11の径方向内周面11aとのエアギャップが長くなる円弧面で形成したときのディテントトルクTx1の検証結果を示すグラフである。ここで、ここで得られたディテントトルクTx1は、第1エアギャップG1をαmmとし第2エアギャップG2をβmmとしたとき、(α/β)=5.0にした時のとなるディテントトルクである。
【0202】
また、
図29に示す回転角に対するディテントトルクTx2は、第1及び第2磁極部24,34の径方向外側面f1,f2が、回転軸3の中心軸線Oを中心とする同心円形状の場合のディテントトルクを示す。換言すれば、ディテントトルクTx2は、第1エアギャップG1をαmmとし第2エアギャップG2をβmmとしたとき、(α/β)=1.0にした時のとなるディテントトルクである。
【0203】
図29から明らかなように、回転軸3の中心軸線Oを中心とする同心円形状の場合のディテントトルクTx2に対して、本実施形態のディテントトルクTx1は、時計回り方向に大きな保持力(ディテントトルク)を発現していることがわかる。反対に、反時計回り方向では、ディテントトルクTx2に対して、本実施形態のディテントトルクTx1は、小さな保持力(ディテントトルク)を発現していることがわかる。
【0204】
すなわち、第1エアギャップG1をαmmとし、第2エアギャップG2をβmmとしたとき、1.0<(α/β)≦5.0の範囲で第1エアギャップG1と第2エアギャップG2を設定すれば、出力を大きく低減することなく反時計回り方向の回転に対して時計回り方向の回転に対するディテントトルクを大きくすることができる。
【0205】
また、
図29のディテントトルクTx1から明らかなように、第1及び第2磁極部24,34の径方向外側面f1,f2は、円弧面、すなわち、滑らかな曲線で形成したことから、時計回り方向の保持力(ディテントトルク)は、回転角に対して滑らかに変化することがわかる。
【0206】
次に、上記実施形態の効果を以下に記載する。
(1)本実施形態によれば、第1及び第2磁極部24,34の径方向外側面f1,f2を、反時計回り方向側の端部に向かうほど、ティース11の径方向内周面11aとの間隔(エアギャップ)が長くなる円弧面で形成した。従って、ロータ4の回転方向において、反時計回り方向よりも時計回り方向の回転に対する保持力(ディテントトルク)を大きくすることができる。
【0207】
しかも、第1及び第2磁極部24,34の径方向外側面f1,f2は、円弧面、即ち曲線形状で形成したことから、時計回り方向の回転に対する保持力(ディテントトルク)を、回転角に対して滑らかに変化させることができる。
【0208】
(2)本実施形態によれば、第1エアギャップG1をαmmとし、第2エアギャップG2をβmmとしたとき、1.0<(α/β)≦5.0の範囲で第1エアギャップG1と第2エアギャップG2を設定するようにした。従って、出力を大きく低減することなく反時計回り方向の回転に対して時計回り方向の回転に対するディテントトルクを大きくすることができる。
【0209】
(3)本実施形態によれば、ロータ4に補助磁石51,52,53を設けたので、第1及び第2爪状磁極部22,32とステータコア10のティース11との間で発生する磁束が大きくなり、磁界の変化をさらに大きくすることができることから、保持力(ディテントトルク)をより増加させることができる。
【0210】
なお、上記第5実施形態は、以下のように変更してもよい。
○本実施形態では、第1及び第2磁極部24,34の径方向外側面f1,f2を、反時計回り方向側の他端部に向かうほど、ティース11の径方向内周面11aとのエアギャップが長くなる円弧面で形成した。
【0211】
これを、反対に、径方向外側面f1,f2において時計回り方向側の一端部に向かうほど、ティース11の径方向内周面11aとのエアギャップが長くなる円弧面で実施するようにしてもよい。
【0212】
この場合、ロータ4の回転方向において、時計回り方向よりも反時計回り方向の回転に対する保持力(ディテントトルク)を大きくすることができる。
○本実施形態では、径方向外側面f1,f2の軸直交方向断面形状を、反時計回り方向側の他端部に向かうほど、ティース11の径方向内周面11aとのエアギャップが長くなる円弧面、すなわち、非線形の円弧面で形成した。これを、径方向外側面f1,f2の軸直交方向断面形状を、周方向の両端部を直線(線形)で結ぶ断面形状とし、反時計回り方向側の他端部に向かうほど、ティース11の径方向内周面11aとのエアギャップが長くなる平面で形成してもよい。
【0213】
○本実施形態では、第1爪状磁極部22と第2爪状磁極部32の間に、磁極間補助磁石51を介在させるとともに、第1及び第2爪状磁極部22,32の径方向内側にそれぞれ背面補助磁石52,53を設けたが、これらを省略して実施してもよい。
【0214】
○本実施形態では、第1及び第2磁極部24,34の径方向外側面f1,f2を、反時計回り方向側の端部に向かうほど、ティース11の径方向内周面11aとのエアギャップが長くなる円弧面で形成した。これを、径方向外側面f1,f2を段差状の面で実施してもよい。
【0215】
例えば、
図30に示すように、第1磁極部24の径方向外側面f1であって、回転軸3の中心軸線Oから第1爪状磁極部22の周方向の中間位置を通過する直線の中心線L1とする。そして、径方向外側面f1は、この中心線L1を境に時計回り方向側の第1円弧面f1xと反時計回り方向側の第2円弧面f1yとが段差を有する回転軸3の中心軸線Oを中心とする2つの同心円である。
【0216】
そして、時計回り方向側の第1円弧面f1xとティース11の径方向内周面11aとのエアギャップが、反時計回り方向側の第2円弧面f1yとティース11の径方向内周面11aとのエアギャップより小さくなるように形成している。
【0217】
同様に、第2磁極部34の径方向外側面f2であって、回転軸3の中心軸線Oから第2爪状磁極部32の周方向の中間位置を通過する直線の中心線L2とする。そして、径方向外側面f2は、この中心線L2を境に時計回り方向側の第1円弧面f2xと反時計回り方向側の第2円弧面f2yとが段差を有する回転軸3の中心軸線Oを中心とする2つの同心円である。
【0218】
そして、時計回り方向側の第1円弧面f2xとティース11の径方向内周面11aとのエアギャップが、反時計回り方向側の第2円弧面f2yとティース11の径方向内周面11aとのエアギャップより小さくなるように形成している。
【0219】
このような構成おいても、ロータ4の回転方向において、反時計回り方向よりも時計回り方向の回転に対する保持力(ディテントトルク)を大きくすることができる。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態を
図31〜
図35に従って説明する。
【0220】
第2実施形態では、第1及び第2爪状磁極部22,32の径方向外側面f1,f2に、それぞれ第1補助溝25,35及び第2補助溝26,36を形成した。本実施形態では、第1補助溝25,35及び第2補助溝26,36に相当する部分を、別部材で形成した点に特徴を有する。
【0221】
従って、本実施形態では、特徴部分のロータ4について詳細に説明して、第2実施形態と共通する部分は、説明の便宜上詳細な説明は省略する。
図31及び
図33に示すように、ステータ2(第2実施形態の
図8参照)の内側に配設されたロータ4は、第1及び第2ロータコア20,30、環状磁石40、第1及び第2背面補助磁石55,56、第1及び第2極間補助磁石57,58を有している。そして、
図31に示すように、その第1及び第2ロータコア20,30、環状磁石40、第1及び第2背面補助磁石55,56、第1及び第2極間補助磁石57,58を有したロータ4は、その径方向外周面に保持力形成部材60が装着されている。
【0222】
(第1ロータコア20)
図35に示すように、第1ロータコア20は、回転軸3を貫挿固着する貫通穴20aを有する略円盤状に形成された第1コアベース21の外周部に、等間隔に複数(本実施形態では4つ)の第1爪状磁極部22が径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成されている。ここで、第1爪状磁極部22において、第1コアベース21の外周面21cから径方向外側に突出した部分を第1基部23といい、軸方向に屈曲された先端部分を第1磁極部24という。
【0223】
第1基部23と第1磁極部24からなる第1爪状磁極部22の周方向両端面22a,22bは、径方向に延びる平坦面となっている。そして、各第1爪状磁極部22の周方向の角度、即ち前記周方向両端面22a,22b間の角度は、周方向に隣り合う第1爪状磁極部22同士の隙間の角度より小さく設定されている。
【0224】
また、
図35示すように、第1爪状磁極部22の径方向外側面f1は、軸直交方向断面形状が回転軸3の中心軸線Oを中心とする同心円形状の円弧面を有している。つまり、本実施形態の径方向外側面f1には、第2実施形態のように、第1及び第2補助溝25,26が形成されておらず、回転軸3の中心軸線Oを中心とする同心円形状の円弧面である。
【0225】
(第2ロータコア30)
図35に示すように、第2ロータコア30は、第1ロータコア20と同形状であって、回転軸3を貫挿固着する貫通穴30aを有する略円盤状の第2コアベース31の外周部に、等間隔に4つの第2爪状磁極部32が径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成されている。ここで、第2爪状磁極部32において、第2コアベース31の外周面31cから径方向外側に突出した部分を第2基部33といい、軸方向に屈曲された先端部分を第2磁極部34という。
【0226】
第2基部33と第2磁極部34からなる第2爪状磁極部32の周方向端面32a,32bは径方向に延びる平坦面となっている。そして、各第2爪状磁極部32の周方向の角度、即ち前記周方向両端面32a,32b間の角度は、周方向に隣り合う第2爪状磁極部32同士の隙間の角度より小さく設定されている。
【0227】
また、第2爪状磁極部32の径方向外側面f2は、軸直交方向断面形状が回転軸3の中心軸線Oを中心とする同心円形状の円弧面を有している。つまり、本実施形態の径方向外側面f2には、第2実施形態のように、第1及び第2補助溝35,36が形成されておらず、回転軸3の中心軸線Oを中心とする同心円形状の円弧面である。
【0228】
そして、第2実施形態と同様に、第2ロータコア30は、各第2爪状磁極部32がそれぞれ対応する各第1爪状磁極部22間に配置される。このとき、第2ロータコア30は、第1コアベース21と第2コアベース31との軸方向の間に、第2実施形態と同様に、環状磁石40(
図33参照)が配置(挟持)されるようにして第1ロータコア20に対して組み付けられる。
【0229】
(環状磁石40)
図33及び
図35に示すように、第1ロータコア20と第2ロータコア30との間に挟持された環状磁石40は、ネオジム磁石よりなる円板状の永久磁石である。
【0230】
図35に示すように、環状磁石40は、その中央位置に回転軸3を貫通する貫通穴41が形成されている。そして、環状磁石40の一方の側面40aが、第1コアベース21の対向面21aと、環状磁石40の他方の側面40bが、第2コアベース31の対向面31aとそれぞれ当接し、環状磁石40は第1ロータコア20と第2ロータコア30との間に挟持固定される。
【0231】
環状磁石40の外径は、第1及び第2コアベース21,31の外径と一致するように設定され、厚さが予め定めた厚さに設定されている。
つまり、
図33に示すように、第1ロータコア20と第2ロータコア30との間に、環状磁石40を配置したとき、第1磁極部24の先端面22cと第2コアベース31の反対向面31bとが面一になる。同様に、第2磁極部34の先端面32cと第1コアベース21の反対向面21bとが面一になるようにしている。また、環状磁石40の外周面40cが第1及び第2コアベース21,31の外周面21c,31cと面一となる。
【0232】
図33に示すように、環状磁石40は、軸方向に磁化されていて、第1ロータコア20側をN極(第1の磁極)、第2ロータコア30側をS極(第2の磁極)となるように磁化されている。従って、この環状磁石40によって、第1ロータコア20の第1爪状磁極部22はN極(第1の磁極)として機能し、第2ロータコア30の第2爪状磁極部32はS極(第2の磁極)として機能する。
【0233】
従って、本実施形態のロータ4は、環状磁石40を用いた所謂ランデル型構造のロータである。ロータ4は、N極となる第1爪状磁極部22と、S極となる第2爪状磁極部32とが周方向に交互に配置されており、磁極数が8極となる。
【0234】
(第1及び第2背面補助磁石55,56)
図33に示すように、第1磁極部24の背面24a(径方向内側の面)であって、第2コアベース31の外周面31c、環状磁石40の外周面40c、第1基部23の第2ロータコア30側の面23aとで形成される空間には、第1背面補助磁石55が配置されている。
【0235】
第1背面補助磁石55は、その軸直交方向断面が扇形状の略直方体形状であって、その部分での漏れ磁束を低減すべく、第1磁極部24の背面24aに当接する側が第1爪状磁極部22と同極のN極に、第2コアベース31に当接する側が同第2コアベース31と同極のS極となるように径方向に磁化されている。
【0236】
図33に示すように、第2磁極部34の背面34a(径方向内側の面)であって、第1コアベース21の外周面21c、環状磁石40の外周面40c、第2基部33の第1ロータコア20側の面33aとで形成される空間には、第2背面補助磁石56が配置されている。
【0237】
第2背面補助磁石56は、その軸直交方向断面が扇形状の略直方体形状であって、その部分での漏れ磁束を低減すべく、第2磁極部34の背面34aに当接する側が第2爪状磁極部32と同極のS極に、第1コアベース21に当接する側が同第1コアベース21と同極のN極となるように径方向に磁化されている。
【0238】
(第1及び第2極間補助磁石57,58)
図34に示すように、第1背面補助磁石55が配置された第1爪状磁極部22と第2背面補助磁石56が配置された第2爪状磁極部32との周方向の間には、第1及び第2極間補助磁石57,58がそれぞれ配置されている。
【0239】
詳述すると、第1極間補助磁石57は、第1爪状磁極部22の一方の周方向端面22aと前記第1背面補助磁石55の周方向端面とで形成される平坦面と、第2爪状磁極部32の他方の周方向端面32bと前記第2背面補助磁石56の周方向端面とで形成される平坦面との間に配置されている。
【0240】
同様に、第2極間補助磁石58は、第1爪状磁極部22の他方の周方向端面22bと前記第1背面補助磁石55の周方向端面とで形成される平坦面と、第2爪状磁極部32の一方の周方向端面32aと前記第2背面補助磁石56の周方向端面とで形成される平坦面との間に配置されている。
【0241】
そして、第1及び第2極間補助磁石57,58は、第1及び第2爪状磁極部22,32とそれぞれ同じ磁極となるように(第1爪状磁極部22側がN極で、第2爪状磁極部32側がS極となるように)周方向に磁化されている。
【0242】
(保持力形成部材60)
上記のように組み付けられたロータ4の径方向外側面には、保持力形成部材60が装着されている。
【0243】
図31〜
図34に示すように、保持力形成部材60は、本実施形態では軟磁性材よりなる電磁鋼板にて形成されている。また、保持力形成部材60を、複合磁性材料で形成してもよい。保持力形成部材60は、円筒形状に形成され、その径方向内側面が、第1及び第2ロータコア20,30、環状磁石40、第1及び第2背面補助磁石55,56、第1及び第2極間補助磁石57,58を組み付けたロータ4の径方向外側面と圧着されている。そして、保持力形成部材60は、ロータ4に対して一体的に固定され、同ロータ4に対してずれることはない。なお、円筒形状の保持力形成部材60は、その軸方向の長さをロータ4の軸方向の長さと一致させている。
【0244】
保持力形成部材60の径方向外側面f3は、軸直交方向断面形状が回転軸3の中心軸線Oを中心とする同心円形状の円弧面である。そして、その径方向外側面f3であって第1磁極部24の径方向外側面f1と対向する各領域面は、外径が大きい第1大径外側面f3aとなっている。この各第1大径外側面f3aには、第1溝61と第2溝62の2つの溝が凹設されている。
【0245】
詳述すると、
図32に示すように、各第1大径外側面f3aおいて、回転軸3の中心軸線Oから第1爪状磁極部22の周方向の中間位置を通過する直線を中心線L1とする。その中心線L1を基準として時計回り方向側及び反時計回り方向側に角度θ1に位置する中心軸線Oから延びる直線をそれぞれ第1直線L1aと第2直線L1bとする。
【0246】
ここで、角度θ1は、コギングトルクの周期(角度φ)に基づいて、以下の演算式を使って求めた。
θ1=(1/2+n)・φ
なお、nは整数であって、本実施形態は、n=0としている。
【0247】
コギングトルクの周期φは、一般に、360度を、ロータ4の磁極数とステータ2のスロット数の最小公倍数で割った値である。
本実施形態では、ロータ4の磁極数は8、ステータ2のスロット数は12であることから、最小公倍数は24となる。そして、コギングトルクの周期φは、15(=360/24)度となる。
【0248】
従って、角度θ1は、7.5(=15/2)度となる。
そして、各第1大径外側面f3aにおいて、中心線L1を中心に時計回り方向及び反時計回り方向にそれぞれ7.5度変位した位置ある第1直線L1aと第2直線L1bを特定する。そして、第1直線L1aと第2直線L1bを周方向の中間位置として一定の幅を有した溝を軸線方向にそれぞれ凹設する。
【0249】
そして、第1直線L1aを周方向中間位置とする溝を第1溝61とし、反対に、第2直線L1bを周方向中間位置とする溝を第2溝62としている。従って、回転軸3の中心軸線Oを中心に第1溝61と第2溝62がなす角度は、コギングトルクの周期φ(=15度)と一致する。
【0250】
つまり、中心線L1と第1直線L1aがなす角度及び中心線L1と第2直線L1bがなす角度は、共にコギングトルクの周期φの半周期(=7.5度)となり、第1溝61と第2溝62は中心線L1を対称軸として対称位置に形成されている。
【0251】
また、各第1大径外側面f3aは、第1及び第2溝61,62を凹設したことから、全体として、軸直交方向断面形状が回転軸3の中心軸線Oを中心とする同心円弧形状にならない。
【0252】
一方、保持力形成部材60の径方向外側面f3であって第2磁極部34の径方向外側面f2と対向する各領域面には、第1大径外側面f3aと同じ形状の外径が大きい第2大径外側面f3bとなっている。この各第2大径外側面f3bには、第1溝63と第2溝64の2つの溝が凹設されている。
【0253】
詳述すると、
図32に示すように、各第2大径外側面f3bおいて、回転軸3の中心軸線Oから第2爪状磁極部32の周方向の中間位置を通過する直線を中心線L2とする。その中心線L2を基準として時計回り方向側及び反時計回り方向側に角度θ2に位置する中心軸線Oから延びる直線をそれぞれ第1直線L2aと第2直線L2bとする。
【0254】
ここで、角度θ2は、コギングトルクの周期(角度φ)に基づいて、以下の演算式を使って求めた。
θ2=(1/2+n)・φ
なお、nは整数であって、本実施形態は、n=0としている。
【0255】
コギングトルクの周期φは、一般に、360度を、ロータ4の磁極数とステータ2のスロット数の最小公倍数で割った値である。
本実施形態では、ロータ4の磁極数は8、ステータ2のスロット数は12であることから、最小公倍数は24となる。そして、コギングトルクの周期φは、15(=360/24)度となる。
【0256】
従って、角度θ2は、7.5(=15/2)度となる。
そして、各第2大径外側面f3bにおいて、中心線L2を中心に時計回り方向及び反時計回り方向にそれぞれ7.5度変位した位置ある第1直線L2aと第2直線L2bを特定する。そして、第1直線L2aと第2直線L2bを周方向の中間位置として一定の幅を有した溝を軸線方向にそれぞれ凹設する。
【0257】
そして、第1直線L2aを周方向中間位置とする溝を第1溝63とし、反対に、第2直線L2bを周方向中間位置とする溝を第2溝64としている。従って、回転軸3の中心軸線Oを中心に第1溝63と第2溝64がなす角度は、コギングトルクの周期φ(=15度)と一致する。
【0258】
つまり、中心線L2と第1直線L2aがなす角度及び中心線L2と第2直線L2bがなす角度は、共にコギングトルクの周期φの半周期(=7.5度)となり、第1溝63と第2溝64は中心線L1を対称軸として対称位置に形成されている。
【0259】
また、各第2大径外側面f3bは、第1及び第2溝63,64を凹設けたことから、全体として、軸直交方向断面形状が回転軸3の中心軸線Oを中心とする同心円弧形状にならない。
【0260】
なお、保持力形成部材60の径方向外側面f3であって、交互に形成された第1及び第2大径外側面f3a,f3bの間の径方向外側面f3の部分は、レーザを照射して非磁性化させて磁気抵抗を高くしている。これによって、保持力形成部材60の第1大径外側面f3aの部分から第2大径外側面f3bの部分への磁束の漏れを防止するようになっている。
【0261】
次に、上記のように構成した実施形態の作用を以下に記載する。
ロータ4の外周面に装着した保持力形成部材60の径方向外側面f3に、第1及び第2大径外側面f3a,f3bを形成するとともに、その第1及び第2大径外側面f3a,f3bに第1溝61,63及び第2溝62,64を形成した。そのため、保持力形成部材60の径方向外側面f3は、全体として、軸直交方向断面形状が回転軸3の中心軸線Oを中心とする同心円形状にならない。
【0262】
このことから第2実施形態と同様に、第1及び第2大径外側面f3a,f3bに形成した第1溝61,63及び第2溝62,64に基づく上記した磁界の変化が非常に大きくなり、保持力(ディテントトルク)は大きくなる。
【0263】
しかも、第1大径外側面f3aに形成した第1溝61と第2溝62を、中心線L1を軸として線対称位置に形成するとともに、第1溝61(第1直線L1a)と第2溝62(第2直線L1b)とがなす角度が、コギングトルクの周期φ(=15度)と一致するように形成した。
【0264】
同様に、第2大径外側面f3b形成した第1溝63と第2溝64を、中心線L2を軸として線対称位置に形成するとともに、第1溝63(第1直線L2a)と第2溝64(第2直線L2b)とがなす角度が、コギングトルクの周期φ(=15度)と一致するように形成した。
【0265】
従って、第2実施形態で示した合計ディテントトルクTcを最大に引き出せることができる。
次に、上記実施形態の効果を以下に記載する。
【0266】
(1)本実施形態によれば、ロータ4の径方向外側面に保持力形成部材60を装着した。そして、保持力形成部材60の径方向外側面f3に、第1及び第2大径外側面f3a,f3bを形成するとともに、その第1及び第2大径外側面f3a,f3bにその中心線L1,L2を軸として周方向両側の対称位置に第1溝61,63と第2溝62,64を形成した。その結果、ディテントトルクを増大でき、ブラシレスモータMの静止状態での保持力を増大することができる。
【0267】
(2)本実施形態によれば、第1溝61,63及び第2溝62,64は、それぞれ中心線L1,L2とのなす角度θ1,θ2がコギングトルクの周期(角度φ)の半周期(=φ/2=7.5度)となる位置に形成したので、最も大きな合計ディテントトルクTcを発生させることができる。
【0268】
しかも、第1溝61,63及び第2溝62,64を線対称位置に形成したことから、正逆回転可能なブラシレスモータMにおいて、正転する場合と逆転する場合とで発生するコギングトルクの周期変動がない。
【0269】
(3)本実施形態によれば、ロータ4の径方向外側面に保持力形成部材60を装着することによって、同保持力形成部材60にて第1及び第2極間補助磁石57,58の径方向外側面が覆われる。従って、ロータ4の回転する第1及び第2極間補助磁石57,58の径方向外側面を保持力形成部材60が押さえ付けていることから、回転による遠心力が第1及び第2極間補助磁石57,58に加えられても第1及び第2ロータコア20,30から飛び出す虞はない。
【0270】
(4)本実施形態によれば、既存のロータ4に対して、保持力形成部材60を装着するだけの簡単な組み付けで、ディテントトルクを増大でき、ブラシレスモータMの静止状態での保持力を増大することができる。
【0271】
しかも、ディテントトルクの大きさを調整したい場合は、第1及び第2大径外側面f3a,f3bに形成した第1溝61,63と第2溝62,64の大きさ等を調整すればよい。つまり、保持力形成部材60のみを設計変更するだけで種々にディテントトルクを設定することができる。
【0272】
なお、上記第6実施形態は、以下のように変更してもよい。
○本実施形態において、径方向外側面f3に第1及び第2大径外側面f3a,f3bを形成し、その第1及び第2大径外側面f3a,f3bに第1溝61,63と第2溝62,64を形成した。これを、第1溝61,63と第2溝62,64に代えて、第1及び第2大径外側面f3a,f3bに、第1溝61,63と第2溝62,64を形成した位置に軸方向に延びる突起(突条)を形成して実施してもよい。これによって、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0273】
○本実施形態において、各第1及び第2大径外側面f3a,f3bを、第1〜第5実施形態で示す形状に変更して実施してもよい。これによって、それぞれ第1〜第4実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0274】
○本実施形態において、保持力形成部材60は円筒形状であった。これを、
図36及び
図37に示すように、保持力形成部材60の一方の開口部を閉塞した有底円筒体65にて形成してもよい。つまり、有底円筒体65の底壁66に回転軸3が貫通する貫通穴66aを形成する。そして、有底円筒体65の内側面にロータ4を収容する。この時、ロータ4の径方向内側面は、有底円筒体65の径方向内側面と圧着されている。その結果、有底円筒体65は、ロータ4に対して一体的に固定されている。
【0275】
そして、有底円筒体65の径方向外側面f3は、第1及び第2磁極部24,34の径方向外側面f1,f2とそれぞれ対向する各領域面に第1及び第2大径外側面f3a,f3bを形成し、その各第1及び第2大径外側面f3a,f3bに第1溝61,63と第2溝62,64を形成する。
【0276】
これによって、ディテントトルクを増大でき、ブラシレスモータMの静止状態での保持力を増大することができる。
また、ロータ4を収容した有底円筒体65の他方の開口部は、中央部に貫通穴67aを形成したカバープレート67で閉塞する。カバープレート67は、ロータ4に対して接着剤にて接着固定されている。
【0277】
これによって、第1及び第2極間補助磁石57,58の径方向外側面が有底円筒体65の径方向内側面にて押さえ付けていることから、回転による遠心力が第1及び第2極間補助磁石57,58に加えられても第1及び第2ロータコア20,30から飛び出す虞はない。
【0278】
しかも、ロータ4は、軸方向の両側面がカバープレート67と有底円筒体65の底壁66にてカバーされていることから、第1及び第2極間補助磁石57,58、並びに、第1及び第2背面補助磁石55,56が欠損し、その破片が軸方向から飛び出すことはない。
【0279】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態を
図38〜
図40に従って説明する。
本実施形態では、第6実施形態の保持力形成部材60に相当する部分の構成が相異し特徴を有する。
【0280】
従って、本実施形態では、その構成が相異する保持力形成部材60について詳細に説明して、第5実施形態と共通する部分は、説明の便宜上詳細な説明は省略する。
図38及び
図39に示すように、ロータ4には、保持力形成部材60が装着されている。
【0281】
保持力形成部材60は、第1ロータコア20側に配置される第1プレート71と第2ロータコア30側に配置される第2プレート72とからなる。第1及び第2プレート71,72は、共に本実施形態では軟磁性材よりなる電磁鋼板にて形成されている。また、第1及び第2プレート71,72を、複合磁性材料で形成してもよい。
【0282】
(第1プレート71)
第1プレート71は、円板状に形成され、中央部に回転軸3を貫通する貫通穴71aが形成されている。第1プレート71の外径は、第1及び第2磁極部24,34の径方向外側面f1,f2の外径と同じなるように形成されている。
【0283】
また、第1プレート71は、その外周縁部であって各第1磁極部24の径方向外側面f1に対応する位置に、一対の第1及び第2保持力形成バー73,74が径方向外側面f1に沿って第2ロータコア30側に配置された第2プレート72に向かってそれぞれ延出形成されている。
【0284】
第1及び第2保持力形成バー73,74の先端部には、カシメ用爪73a,74aがそれぞれ設けられている。そして、
図38に示すように、各カシメ用爪73a,74aが第2プレート72の外周縁部と係合するようにカシメられることによって、第1プレート71は第2プレート72に対しては連結される。
【0285】
(第2プレート72)
第2プレート72は、円板状に形成され、中央部に回転軸3を貫通する貫通穴72aが形成されている。第2プレート72の外径は、第1及び第2磁極部24,34の径方向外側面f1,f2の外径と同じなるように形成されている。
【0286】
また、第2プレート72は、その外周縁部であって各第2磁極部34の径方向外側面f2に対応する位置に、一対の第1及び第2保持力形成バー75,76が径方向外側面f2に沿って第1ロータコア20側に配置された第1プレート71に向かってそれぞれ延出形成されている。
【0287】
第1及び第2保持力形成バー75,76の先端部には、カシメ用爪75a,76aがそれぞれ設けられている。そして、
図38に示すように、各カシメ用爪75a,76aが第1プレート71の外周縁部と係合するようにカシメられることによって、第2プレート72は第1プレート71に対しては連結される。
【0288】
つまり、第1プレート71と第2プレート72は、ロータ4を挟持し、同ロータ4と一体回転する。
次に、第1磁極部24の径方向外側面f1上に配置される第1プレート71に設けた第1及び第2保持力形成バー73,74の配置位置について説明する。
【0289】
図40に示すように、各径方向外側面f1おいて、回転軸3の中心軸線Oから第1爪状磁極部22の周方向の中間位置を通過する直線を中心線L1とする。その中心線L1を基準として時計回り方向側及び反時計回り方向側に角度θ1に位置する中心軸から延びる直線をそれぞれ第1直線L1aと第2直線L1bとする。
【0290】
ここで、角度θ1は、コギングトルクの周期(角度φ)に基づいて、以下の演算式を使って求めた。
θ1=(1/2+n)・φ
なお、nは整数であって、本実施形態は、n=0としている。
【0291】
コギングトルクの周期φは、一般に、360度を、ロータ4の磁極数とステータ2のスロット数の最小公倍数で割った値である。
本実施形態では、ロータ4の磁極数は8、ステータ2のスロット数は12であることから、最小公倍数は24となる。そして、コギングトルクの周期φは、15(=360/24)度となる。
【0292】
従って、角度θ1は、7.5(=15/2)度となる。
ここで、各径方向外側面f1において、中心線L1を中心に時計回り方向及び反時計回り方向にそれぞれ7.5度変位した位置ある第1直線L1aと第2直線L1bを特定する。そして、径方向外側面f1上であってその第1直線L1aと第2直線L1bに対して直交する軸線方向に位置するように、第1プレート71に設けた第1及び第2保持力形成バー73,74を配置する。従って、回転軸3の中心軸線Oを中心に第1保持力形成バー73と第2保持力形成バー74がなす角度は、コギングトルクの周期φ(=15度)と一致する。
【0293】
つまり、中心線L1と第1直線L1aがなす角度及び中心線L1と第2直線L1bがなす角度は、共にコギングトルクの周期φの半周期(=7.5度)となり、第1保持力形成バー73と第2保持力形成バー74は、中心線L1に対して直交する軸線方向の直線を対称軸として対称位置に形成されている。
【0294】
次に、第2磁極部34の径方向外側面f2上に配置される第2プレート72に設けた第1及び第2保持力形成バー75,76の配置位置について説明する。
図40に示すように、各径方向外側面f2おいて、回転軸3の中心軸線Oから第2爪状磁極部32の周方向の中間位置を通過する直線を中心線L2とする。その中心線L2を基準として時計回り方向側及び反時計回り方向側に角度θ2に位置する中心軸から延びる直線をそれぞれ第1直線L2aと第2直線L2bとする。
【0295】
ここで、角度θ2は、コギングトルクの周期(角度φ)に基づいて、以下の演算式を使って求めた。
θ2=(1/2+n)・φ
なお、nは整数であって、本実施形態は、n=0としている。
【0296】
コギングトルクの周期φは、一般に、360度を、ロータ4の磁極数とステータ2のスロット数の最小公倍数で割った値である。
本実施形態では、ロータ4の磁極数は8、ステータ2のスロット数は12であることから、最小公倍数は24となる。そして、コギングトルクの周期φは、15(=360/24)度となる。
【0297】
従って、角度θ2は、7.5(=15/2)度となる。
ここで、各径方向外側面f2において、中心線L2を中心に時計回り方向及び反時計回り方向にそれぞれ7.5度変位した位置ある第1直線L2aと第2直線L2bを特定する。そして、径方向外側面f2上であってその第1直線L2aと第2直線L2bに対して直交する軸線方向に位置するように、第2プレート72に設けた第1及び第2保持力形成バー75,76を配置する。従って、回転軸3の中心軸線Oを中心に第1保持力形成バー75と第2保持力形成バー76がなす角度は、コギングトルクの周期φ(=15度)と一致する。
【0298】
つまり、中心線L2と第1直線L2aがなす角度及び中心線L2と第2直線L2bがなす角度は、共にコギングトルクの周期φの半周期(=7.5度)となり、第1保持力形成バー75と第2保持力形成バー76は、中心線L2に対して直交する軸線方向の直線を対称軸として対称位置に形成されている。
【0299】
次に、上記のように構成した実施形態の作用を以下に記載する。
第1プレート71と第2プレート72は、ロータ4を挟んで第1保持力形成バー73,75及び第2保持力形成バー74,76を介して互いに連結した。そして、第1プレート71の第1及び第2保持力形成バー73,74は、各第1磁極部24の径方向外側面f1上に配置するとともに、第2プレート72の第1及び第2保持力形成バー75,76は、各第2磁極部34の径方向外側面f2上に配置した。
【0300】
このため、各径方向外側面f1,f2は、第1保持力形成バー73,75及び第2保持力形成バー74,76によって見かけ上、軸直交方向断面形状が回転軸3の中心軸線Oを中心とする同心円形状にならない。
【0301】
このことから、各径方向外側面f1,f2に配置された第1保持力形成バー73,75及び第2保持力形成バー74,76に基づく上記した磁界の変化が非常に大きくなり、保持力(ディテントトルク)は大きくなる。
【0302】
しかも、第1プレート71の第1及び第2保持力形成バー73,74を、中心線L1を軸として線対称位置に形成するとともに、その第1保持力形成バー73と第2保持力形成バー74がなす角度が、コギングトルクの周期φ(=15度)と一致するように形成した。
【0303】
同様に、第2プレート72の第1及び第2保持力形成バー75,76を、中心線L2を軸として線対称位置に形成するとともに、その第1保持力形成バー75と第2保持力形成バー76がなす角度が、コギングトルクの周期φ(=15度)と一致するように形成した。
【0304】
従って、第2実施形態と同様に合計ディテントトルクTcを最大に引き出せる。
次に、上記実施形態の効果を以下に記載する。
(1)本実施形態によれば、第1プレート71の第1及び第2保持力形成バー73,74を各第1磁極部24の径方向外側面f1上に配置するとともに、第2プレート72の第1及び第2保持力形成バー75,76を各第2磁極部34の径方向外側面f2上に配置した。
【0305】
そして、各第1磁極部24の径方向外側面f1上に配置された第1及び第2保持力形成バー73,74を第1磁極部24と同極(N極)に、各第2磁極部34の径方向外側面f2上に配置された第1及び第2保持力形成バー75,76を第2磁極部34と同極(S極)にした。従って、径方向外側面f1上に第1及び第2保持力形成バー73,74と径方向外側面f2上の第1及び第2保持力形成バー75,76とが、離間して配置されることから短絡磁束を低減できることから、ディテントトルクの増大を図ることができとともに出力の維持を図ることができる。
【0306】
しかも、第1プレート71の第1及び第2保持力形成バー73,74を、中心線L1を軸として周方向両側の対称位置に配置するとともに、第2プレート72の第1及び第2保持力形成バー75,76を、中心線L2を軸として周方向両側の対称位置に配置した。
【0307】
その結果、ディテントトルクを増大でき、ブラシレスモータMの静止状態での保持力を増大することができる。
(2)本実施形態によれば、第1保持力形成バー73,75及び第2保持力形成バー74,76は、それぞれ中心線L1,L2とのなす角度θ1,θ2がコギングトルクの周期(角度φ)の半周期(=φ/2=7.5度)となる位置に形成したので、最も大きな合計ディテントトルクTcを発生させることができる。
【0308】
しかも、第1保持力形成バー73,75及び第2保持力形成バー74,76を線対称位置に形成したことから、正逆回転可能なブラシレスモータMにおいて、正転する場合と逆転する場合とで発生するコギングトルクの周期変動がない。
【0309】
(3)本実施形態によれば、第1及び第2プレート71,72にてロータ4の軸方向両外側面を覆ったので、第1及び第2極間補助磁石57,58、並びに、第1及び第2背面補助磁石55,56が欠損し、その破片が軸方向から飛び出すことはない。
【0310】
(4)本実施形態によれば、既存のロータ4に対して、第1プレート71と第2プレート72を連結するだけの簡単な組み付けで、ディテントトルクを増大でき、ブラシレスモータMの静止状態での保持力を増大することができる。
【0311】
しかも、既存のロータ4に対して、ディテントトルクの大きさを調整したい場合は、第1及び第2プレート71,72に形成した第1保持力形成バー73,75と第2保持力形成バー74,76の大きさ、位置等を調整すればよい。つまり、第1及び第2プレート71,72のみを設計変更するだけで種々にディテントトルクを設定することができる。
【0312】
(5)本実施形態によれば、第1プレート71と第2プレート72は、同一形状、同一材料で形成されているため、第1プレート71と第2プレート72との組み付けが容易となるとともに、部品点数を減らすことができる。
【0313】
なお、上記第7実施形態は、以下のように変更してもよい。
○本実施形態では、第1プレート71の第1及び第2保持力形成バー73,74を、第2プレート72の第1及び第2保持力形成バー75,76をそれぞれ設けた。これを、
図41及び
図42に示すように、例えば、第1プレート71は、その第1及び第2保持力形成バー73,74を省略する。そして、第2プレート72には、省略した第1プレート71の第1及び第2保持力形成バー73,74をあわせて設けて実施してもよい。
【0314】
○本実施形態では、各径方向外側面f1,f2には、第1保持力形成バー73,75と第2保持力形成バー74,76の2つの保持力形成バーを配置したが、2つに限らず、1つ又は3つ以上配置させるように実施してもよい。
【0315】
また、上記各実施形態は以下のように変更して実施してもよい。
○上記第2〜第4実施形態では、第1及び第2ロータコア20,30の第1補助溝25,35及び第2補助溝26,36を形成する場合、塑性変形させて(押し潰して)形成した。これを、溝が形成される部分について、その部分の材質を変更させるようにして実施してもよい。ここで、材質を変更させるとは、例えば、複合磁性材のように、溝が形成される部分にレーザを照射して複合磁性材の連結部分だけを非磁性化させて磁気抵抗を高くして補助溝と同等の効果を奏するようにする。
【0316】
勿論、第6実施形態の保持力形成部材60の第1及び第2大径外側面f3a,f3bに形成した第1溝61,63と第2溝62,64が形成される部分について、その部分の材質を変更させるようにして実施してもよい。同様に、第7実施形態の第1及び第2保持力形成バー73,74の材質を他の部位と変更させるようにして実施してもよい。
【0317】
○上記各実施形態では、8極・12スロットのブラシレスモータMであった。これを例えば、10極・15スロットのブラシレスモータ等、2極・3スロットル系のブラシレスモータに応用してもよい。