特許第6053109号(P6053109)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 花王株式会社の特許一覧
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6053109
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】水不溶性高分子ビルダー
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/37 20060101AFI20161219BHJP
   C11D 7/22 20060101ALI20161219BHJP
   C11D 17/06 20060101ALI20161219BHJP
   C08J 3/12 20060101ALI20161219BHJP
   C08F 2/32 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   C11D3/37
   C11D7/22
   C11D17/06
   C08J3/12 ZCEY
   C08F2/32
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-151420(P2012-151420)
(22)【出願日】2012年7月5日
(65)【公開番号】特開2014-12793(P2014-12793A)
(43)【公開日】2014年1月23日
【審査請求日】2015年6月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
(74)【代理人】
【識別番号】100089185
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 誠
(72)【発明者】
【氏名】下川 慶史
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 史雄
(72)【発明者】
【氏名】藤野 敬介
【審査官】 古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−228850(JP,A)
【文献】 特開平02−255804(JP,A)
【文献】 特開平02−196802(JP,A)
【文献】 特開平02−120399(JP,A)
【文献】 特開平09−279184(JP,A)
【文献】 特開平09−279200(JP,A)
【文献】 特開平05−222107(JP,A)
【文献】 特開2006−199969(JP,A)
【文献】 特開2007−169372(JP,A)
【文献】 特開2000−258742(JP,A)
【文献】 特開2008−037971(JP,A)
【文献】 特開2010−047522(JP,A)
【文献】 特開2014−098172(JP,A)
【文献】 特開2005−023120(JP,A)
【文献】 特開2010−065116(JP,A)
【文献】 特開2012−057085(JP,A)
【文献】 特表2004−515660(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/078059(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/015870(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/054107(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/044929(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/033025(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 3/37
C08F 2/32
C08J 3/12
C11D 7/22
C11D 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程1〜3を含む、水不溶性高分子ビルダーの製造方法であり、
水不溶性高分子ビルダーを構成する全モノマー中の有機カルボン酸モノマー(a)の量は35〜60質量%であり、
水不溶性高分子ビルダーを構成する全モノマー中の架橋性モノマー(b)の量は0.01〜1質量%であり、
水不溶性高分子ビルダーを構成する全モノマー中のアニオン性モノマー(c)、カチオン性モノマー(d)、両性モノマー(e)、及びノニオン性モノマー(f)よりなる群から選択されるモノマーの含有量が40〜60質量%であり、
乾燥時の体積平均粒子径(d1)と水による膨潤時の体積平均粒子径(d2)との比(d2/d1)が5〜100である、水不溶性高分子ビルダーの製造方法
工程1:有機カルボン酸モノマー(a)、架橋性モノマー(b)、有機カルボン酸モノマー(a)を除くアニオン性モノマー(c)、カチオン性モノマー(d)、両性モノマー(e)、及びノニオン性モノマー(f)よりなる群から選択される1種又は2種以上のモノマーと、重合開始剤を含む水性混合液を調製する工程
工程2:工程1で得られた水性混合液を疎水性溶媒(A)に分散させて分散液(a)を調製する工程
工程3:温度が50℃以上沸点以下である疎水性溶媒(B)に、前記工程2で得られた分散液(a)を滴下して重合を行う工程
【請求項2】
前記体積平均粒子径(d1)が1〜50μmであり、前記体積平均粒子径(d2)が20〜100μmである、請求項1に記載の水不溶性高分子ビルダーの製造方法
【請求項3】
前記架橋性モノマー(b)が、1分子中に2個以上の二重結合を有する多官能モノマーである、請求項1又は2に記載の水不溶性高分子ビルダーの製造方法
【請求項4】
前記架橋性モノマー(b)が、メチレンビスアクリルアミドである、請求項1〜3のいずれかに記載の水不溶性高分子ビルダーの製造方法
【請求項5】
前記分散液(a)中の水性混合液の体積平均分散径が1〜50μmである、請求項1〜4のいずれかに記載の水不溶性高分子ビルダーの製造方法。
【請求項6】
前記工程3において疎水性溶媒(B)の還流下で重合を行う、請求項1〜5のいずれかに記載の水不溶性高分子ビルダーの製造方法。
【請求項7】
前記工程3で得られた水不溶性高分子ビルダーを含む分散液(b)から水を除去する水除去工程を有する、請求項のいずれかに記載の水不溶性高分子ビルダーの製造方法。
【請求項8】
前記水除去工程において、分散液(b)に含まれる水のうち30質量%以上を除去する、請求項に記載の水不溶性高分子ビルダーの製造方法。
【請求項9】
前記水除去工程において、分散液(b)に含まれる水のうち80〜95質量%を除去する、請求項又はに記載の水不溶性高分子ビルダーの製造方法。
【請求項10】
前記水除去工程の後に水不溶性高分子ビルダーを乾燥させる乾燥工程を有する、請求項のいずれかに記載の水不溶性高分子ビルダーの製造方法。
【請求項11】
前記疎水性溶媒(A)が分散剤を含有している、請求項10のいずれかに記載の水不溶性高分子ビルダーの製造方法。
【請求項12】
前記疎水性溶媒(B)が分散剤を含有している、請求項11のいずれかに記載の水不溶性高分子ビルダーの製造方法。
【請求項13】
前記分散剤がショ糖エステル、又はソルビタンエステルである請求項11又は12に記載の水不溶性高分子ビルダーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水不溶性高分子ビルダー及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境意識の高まりにより節水タイプの洗濯機が普及しており、また、1回あたりの洗濯物量の増加に伴って洗濯機の浴比が低下していることから、洗濯物から分離した汚れが洗濯液中に十分に分散せずに洗濯物に再び付着する、いわゆる再汚染の問題が顕著となりつつある。
この問題に対して、水難溶性無機物と、水溶性ポリマー及び水溶性塩類から選ばれる一種以上の水溶性成分とを含有してなるベース顆粒群に、界面活性剤が担持されてなる洗剤粒子群を含有する粉粒状洗剤が提案されている(特許文献1参照)。
一方、水難溶性物質と膨潤性高分子化合物とを含有する組成物により被処理水中の泥を凝集させ、被処理水から泥を除去する方法が提案されている(特許文献2参照)。
また、膨潤性高分子化合物の製造方法としては、逆送懸濁重合法が知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−345199号公報
【特許文献2】特表2004−501750号公報
【特許文献3】特開2004−315627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される粉状洗浄剤は、洗浄力と再汚染防止性能とを両立することができるが、その性能は十分とは言えず、更なる改善が望まれている。
特許文献2には、効率的な泥の除去方法が記載されているが、再汚染防止性能に関する具体的な記載はない。
特許文献3には、膨潤性高分子化合物の調製方法が記載されているが、再汚染防止性能に関する具体的な記載はない。
本発明は、優れた洗浄力と再汚染防止性能とを兼ね備える水不溶性高分子ビルダー、及び水不溶性高分子ビルダーの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、下記[1],[2]を要旨とするものである。
[1]有機カルボン酸モノマーと架橋性モノマーとの共重合体で構成される水不溶性高分子ビルダーであって、乾燥時の体積平均粒子径(d1)と水による膨潤時の体積平均粒子径(d2)との比(d2/d1)が5〜100である水不溶性高分子ビルダー。
[2]下記工程1〜3を含む水不溶性高分子ビルダーの製造方法。
工程1:有機カルボン酸モノマー、架橋性モノマー、及び重合開始剤を含む水性混合液を調製する工程
工程2:工程1で得られた水性混合液を疎水性溶媒(A)に分散させて分散液(a)を調製する工程
工程3:温度が50℃以上沸点以下である疎水性溶媒(B)に、前記工程2で得られた分散液(a)を滴下して重合を行う工程
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、優れた洗浄力と再汚染防止性能とを兼ね備える水不溶性高分子ビルダー、及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[水不溶性高分子ビルダー]
本発明の水不溶性高分子ビルダーは、有機カルボン酸モノマーと架橋性モノマーとの共重合体で構成される水不溶性高分子ビルダーであって、乾燥時の体積平均粒子径(d1)と水による膨潤時の体積平均粒子径(d2)との比(d2/d1)が5〜100であるため、洗浄力と再汚染防止性能とを高い水準で兼ね備えるものである。なお、本明細書において比(d2/d1)を膨潤度という場合がある。
【0008】
<膨潤度>
本発明の水不溶性高分子ビルダーは、乾燥時の体積平均粒子径(d1)と水による膨潤時の体積平均粒子径(d2)との比(d2/d1)で表される膨潤度が5〜100である。膨潤時に汚れを吸着し、洗浄力、及び再汚染防止性能を向上させる観点から、比(d2/d1)は5以上であり、汚れを吸着した高分子ビルダーを洗濯液中で効率的に分散させる観点から100以下である。
前記比(d2/d1)は、洗浄力、及び再汚染防止性能を向上させる観点から、5以上であり、6以上が好ましく、7以上がより好ましく、10以上が更に好ましい。そして、前記比(d2/d1)は、汚れを吸着した高分子ビルダーを洗濯液中で効率的に分散させる観点から、40以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下が更に好ましい。
【0009】
乾燥時の体積平均粒子径(d1)は、洗浄力を向上させる観点から、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、3μm以上が更に好ましく、そして、洗浄剤組成物に配合する観点から、50μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、10μm以下が更に好ましい。
なお、本発明における乾燥時の体積平均粒子径は、80℃、25kPa(絶対圧力)で12時間乾燥を行った後に測定した体積平均粒子径を指し、具体的には後述の乾燥工程を行った後に測定することができる。乾燥時の体積平均粒子径については、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0010】
水による膨潤時の体積平均粒子径(d2)は、再汚染防止性能を向上させる観点から、20μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましく、35μm以上が更に好ましく、40μm以上がより更に好ましく、50μm以上がより更に好ましく、そして、洗浄力の観点から、100μm以下が好ましく、80μm以下がより好ましく、70μm以下が更に好ましく、60μm以下がより更に好ましい。
なお、本発明における水による膨潤時の体積平均粒子径とは、水不溶性高分子ビルダーを25℃の水に30分以上浸漬させた後に測定した体積平均粒子径を指す。水による膨潤時の体積平均粒子径については、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0011】
<水不溶性高分子ビルダーを構成するモノマー>
前記水不溶性高分子ビルダーは、洗剤に配合したときの汚れ分散性の観点から、前記有機カルボン酸モノマー及び架橋性モノマーを必須とし、必要に応じて共重合可能な他のモノマーとの共重合体としてもよい。
(必須モノマー)
(a):有機カルボン酸モノマー
有機カルボン酸モノマーは、重合性の不飽和基を有するカルボン酸やその酸無水物を挙げることができる。具体的には、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸及び/又はその無水物から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸、メタクリル酸又はそれらの混合物を意味する。
【0012】
(b):架橋性モノマー
架橋性モノマーとしては、1分子中に2個以上の二重結合を持った多官能性モノマーが挙げられ、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、ジビニル化合物、ポリアリル化合物、不飽和アルコールの(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。具体的には、メチレンビスアクリルアミドが好ましい。
【0013】
(その他のモノマー)
本発明においては、前記必須モノマーの他に、本発明の効果を阻害しない範囲でその他のモノマーを用いてもよい。その他のモノマーとしては、モノマー(a)を除くアニオン性モノマー(c)、カチオン性モノマー(d)、両性モノマー(e)、及びノニオン性モノマー(f)から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
【0014】
(c):(a)を除くアニオン性モノマー
アニオン性モノマーとしては、スルホン酸モノマー、及びリン酸モノマーが挙げられる。具体的には、スチレンスルホン酸、アルキル基の炭素数が1〜4の2−(メタ)アクリルアミド−2−アルキルプロパンスルホン酸、アルキル基の炭素数が1〜4の(メタ)アクリロイロキシアルキルリン酸から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
【0015】
(d):カチオン性モノマー
カチオン性モノマーとしては、一般式(I)及び(II)で表されるカチオン性ビニルモノマーから選ばれる1種が好ましい。
(一般式(I)で表されるカチオン性モノマー)
【0016】
【化1】
【0017】
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2及びR3は同一又は異なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキル基又はアルケニル基を示し、R4は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Yは−O−、−NH−又は−O−CH2CH(OH)−基を示し、Zは炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、Xは酸の共役塩基、ハロゲン原子又は炭素数1〜4の硫酸エステルを示す。)
【0018】
一般式(I)で表されるカチオン性ビニルモノマーの具体例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアルキル基の総炭素数2〜8がジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリルアミドを酸で中和した酸中和物、あるいは4級化剤を反応させた4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0019】
【化2】
【0020】
(式中、R5及びR6は同一又は異なり、水素原子又はメチル基を示し、R7及びR8は同一又は異なり、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Xは前記の意味を示す。)
一般式(II)で表されるカチオン性モノマーの具体例としては、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジアリルジエチルアンモニウムクロライド等のジアリル型4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0021】
酸中和物を得るための好ましい酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;酢酸、ギ酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、トルエンスルホン酸、乳酸、コハク酸等の有機酸から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
4級アンモニウム塩を得るための好ましい4級化剤としては、塩化メチル、塩化エチル、臭化メチル、ヨウ化メチル等の炭素数1〜4のハロゲン化アルキル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジ−n−プロピル等の一般的なアルキル化剤から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
【0022】
上記一般式(I)又は(II)で表されるカチオン性モノマーの中で好ましいものとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドを前記の4級化剤で4級化した4級アンモニウム塩、あるいはジアリルジメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。
酸中和物型のモノマーとしては、ポリマー構造の安定性を確保し、再汚染防止性能を確保する観点から、4級アンモニウム塩型モノマーがより好ましく、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの4級アンモニウム塩、あるいはジアリルジメチルアンモニウムクロライドが更に好ましい。
【0023】
(e):両性モノマー
両性モノマーとしては、N−(3−スルホプロピル)−N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−(3−スルホプロピル)−N−(メタ)アクリロイルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−(カルボキシメチル)−N−(メタ)アクリロイルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−カルボキシメチル−N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン等のベタイン構造を有するビニルモノマーから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
【0024】
(f):ノニオン性モノマー
ノニオン性モノマーとしては、アルキル基の炭素数が1〜8のN−アルキル(メタ)アクリルアミド、アルキル基の総炭素数が2〜8のN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、アルキル基の炭素数が1〜8のN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリンから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
【0025】
水不溶性高分子ビルダーを構成する全モノマー中の(a)〜(f)の合計量は、70質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましく、そして、100質量%以下が好ましい。
水不溶性高分子ビルダーを構成する全モノマー中の有機カルボン酸モノマー(a)の量は、30質量%以上が好ましく、35質量%以上がより好ましく、40質量%以上が更に好ましく、そして、99質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、60質量%以下が更に好ましい。
【0026】
水不溶性高分子ビルダーを構成する全モノマー中の架橋性モノマー(b)のモノマー量は、0.005質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、そして、5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
【0027】
水不溶性高分子ビルダーを構成する全モノマー中の(a)を除くアニオン性モノマー(c)の量は、1〜69質量%が好ましく、40〜60質量%がより好ましい。
水不溶性高分子ビルダーを構成する全モノマー中のカチオン性モノマー(d)の量は、1〜69質量%が好ましく、40〜60質量%がより好ましい。
水不溶性高分子ビルダーを構成する全モノマー中の両性モノマー(e)の量は、1〜69質量%が好ましく、40〜60質量%がより好ましい。
水不溶性高分子ビルダーを構成する全モノマー中のノニオンモノマー(f)の量は、1〜69質量%が好ましく、40〜60質量%がより好ましい。
【0028】
[水不溶性高分子ビルダーの製造方法]
本発明の水不溶性高分子ビルダーの製造方法は、下記工程1〜3を含むものである。
工程1:有機カルボン酸モノマー、架橋性モノマー、及び重合開始剤を含む水性混合液を調製する工程
工程2:工程1で得られた水性混合液を疎水性溶媒(A)に分散させて分散液(a)を調製する工程
工程3:温度が50℃以上沸点以下である疎水性溶媒(B)に、前記工程2で得られた分散液(a)を滴下して重合を行う工程
【0029】
(工程1)
本発明における工程1は、有機カルボン酸モノマー、架橋性モノマー、及び重合開始剤を含む水性混合液を調製する工程である。
工程1において、有機カルボン酸モノマーは、水への溶解性を向上させる観点から、その一部又は全部が工程1の終了時に中和されていることが好ましい。なお、有機カルボン酸モノマー以外のアニオン性モノマーを併用する場合は、有機カルボン酸モノマーとアニオン性モノマーとの両方の一部又は全部が中和されていることが好ましい。
【0030】
前記有機カルボン酸モノマーのカルボキシ基の中和に用いるアルカリ量は、水への溶解性を高め、重合反応を円滑に行う観点から、カルボキシ基に対して0.3〜1.3当量が好ましく、0.5〜1.2当量がより好ましい。
前記中和は、工程1の前、又は工程1の途中で行うことができるが、生産性の観点から、工程1の途中で行うことが好ましく、重合開始剤の添加前に行うことが更に好ましい。
中和に用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム及びそれらの水溶液が好ましい。
【0031】
工程1で得られる水性混合液中の有機カルボン酸モノマー、架橋性モノマー及びその他のモノマー(以下、これらのモノマーを「原料モノマー」ともいう)の濃度は、重合後の水除去工程の負荷を軽くし、生産効率を高める観点から、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、35質量%以上が更に好ましい。また、原料モノマーの濃度は、得られる水性混合液の均一性、粘度等の安定性の観点から、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、65質量%以下が更に好ましい。
【0032】
水性混合液を調製するにあたっては、溶媒に対して原料モノマーの全てを一括して同時に添加してもよく、溶媒に対して各モノマーを個別に添加してもよい。各モノマーを個別に添加する場合の順序に制限はない。
原料モノマーの添加は、得られる水性混合液の安定性の観点から、水を添加したのち重合開始剤の添加前に行うことが好ましい。
【0033】
重合開始剤としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過酸化ベンゾイル等の過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ化合物が挙げられ、これらの中では過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の水溶性のものが好ましい。
重合開始剤の添加量は、再汚染防止性能に優れる水不溶性高分子ビルダーを得る観点から、全モノマー100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましく、0.05〜3質量部がより好ましく、0.1〜1質量部が更に好ましく、0.2〜0.5質量部がより更に好ましい。
重合開始剤は、水に溶解させて水溶液とした後に水性混合液に対して添加することが好ましい。
本発明の工程1で使用される水の量は、原料モノマー及び重合開始剤の濃度が好ましい範囲になるような量を使用することが好ましい。
【0034】
工程1の水性混合液を調製する際の温度は、工程1においてモノマーが重合してしまうことを回避する観点から、0〜50℃が好ましく、0〜30℃がより好ましい。
また、工程1は回分式、半回分式、連続式のいずれの反応装置であっても行うことができる。モノマーの中和も含め、系を均一に混合可能であれば、撹拌翼や静止型混合機等、一般的に用いられている混合装置、手段を用いることができる。
【0035】
(工程2)
本発明では、工程1で得られた水性混合液を疎水性溶媒(A)に分散させる。工程2で用いられる疎水性溶媒(A)とは、25℃における水に対する溶解度が1質量%以下のものであり、具体的には、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソパラフィン等の炭化水素系溶媒、四塩化炭素、ジクロルエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。これらの中では、炭化水素系溶媒が好ましく、シクロヘキサン、ヘキサンがより好ましい。
【0036】
工程2における疎水性溶媒(A)の使用量は、疎水性溶媒(A)に分散させた前記水性混合液の液滴の安定性を向上させる観点から、工程1で得られた水性混合液100質量部に対して50質量部以上が好ましく、90質量部以上がより好ましく、95質量部以上が更に好ましく、100質量部以上がより更に好ましい。
また、前記疎水性溶媒(A)の使用量は、精製工程での負荷を低減し、円滑に生産する観点から、水性混合液100質量部に対して200質量部以下が好ましく、150質量部以下がより好ましく、130質量部以下が更に好ましく、120質量部以下がより更に好ましい。
工程2における疎水性溶媒(A)の具体的な使用量としては、水性混合液100質量部に対して50〜200質量部が好ましく、90〜150質量部がより好ましく、95〜130質量部が更に好ましく、100〜120質量部がより更に好ましい。
【0037】
工程2において疎水性溶媒(A)に分散させた水性混合液の液滴の体積平均分散径は、液滴の安定性、及び工程3で得られる高分子ビルダーの再汚染防止性能を向上させる観点から、1〜50μmが好ましく、5〜30μmがより好ましい。
前記液滴の体積平均分散径は、例えば、コールターLS―230(ベックマンコールター社製)等でレーザー回折法によって測定することができる。
【0038】
分散液を調製する際に使用する分散機としては、一般的に分散、混合に用いられている高圧ホモジナイザー、ラインミキサー、静止型混合器等を用いることができる。ラインミキサーを使用する場合の回転数は、上述した分散径の油中水型分散液滴を得る観点から、7,000〜500,000r/minが好ましく、8,000〜100,000r/minがより好ましく、9,000〜20,000r/minが更に好ましい。
なお、これら分散機での処理に先立って、簡便な撹拌槽等を用い、予め疎水性溶媒(A)と水性混合液を予備分散しておくことが好ましい。
【0039】
工程2の水分散液を調製する際の温度としては、工程2においてモノマーが重合することを回避する観点から、0〜50℃が好ましく、0〜30℃がより好ましい。
【0040】
工程2においては、工程1で得られた水性混合液からなる液滴の疎水性溶媒中(A)での安定性を向上させる観点から、疎水性溶媒(A)に分散剤を含有させることが好ましい。
分散剤としては、乳化性の観点から親水性−親油性バランス(HLB)が、好ましくは4〜30、より好ましくは5〜20、更に好ましくは6〜10である界面活性剤が挙げられる。なお、HLB値は、デービスの式に基づき、「HLB=7+Σ(親水基の基数)−Σ(疎水基の基数)」により算出することができる[(参考)「界面活性剤」竹内節著、米田出版(1999年)]。
また、分散剤としては、例えば、ショ糖エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレン誘導体;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルアルコール等の合成ポリマー;アルキル硫酸塩等のアニオン性界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
これらの中では、工程1で得られた水性混合液からなる液滴の疎水性溶媒中での安定性を向上させる観点から、脂肪酸エステルが好ましく、ショ糖エステル、ソルビタンエステルがより好ましく、ショ糖エステルが更に好ましい。ショ糖エステルの中では、ショ糖ステアリン酸エステル(HLB=7)が好ましい。
【0041】
工程2で使用する分散剤は、疎水性溶媒(A)中における液滴の安定性を向上させる観点から、原料モノマー100質量部に対し、0.1〜20質量部が好ましく、0.15〜10質量部がより好ましく、0.2〜1質量部が更に好ましい。
工程2で使用する分散剤は、疎水性溶媒(A)中における液滴の安定性を向上させる観点から、工程1で得られた水性混合液を疎水性溶媒に分散させる前に、疎水性溶媒(A)に添加、溶解させておくことが好ましい。
【0042】
(工程3)
本発明における工程3では、原料モノマーを前記工程2で得られた分散液(a)を滴下することにより重合を行う工程である。
工程3で使用することができる疎水性溶媒(B)とは、25℃における水に対する溶解度が1質量%以下のものであり、具体的にはシクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の炭化水素系溶媒、四塩化炭素、ジクロルエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アイソバー等の鉱油から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。これらの中では、生産性の観点から、炭化水素系溶媒が好ましく、シクロヘキサン、ヘキサンがより好ましい。
なお、生産性の観点から疎水性溶媒(B)は、工程1で用いる疎水性溶媒(A)と同一の溶媒であることが好ましい。
【0043】
工程3における重合反応の温度は50℃以上、疎水性溶媒(B)の沸点以下である。反応温度が50℃以上であると重合反応が生じ、沸点以下とすると製造エネルギーを徒に消費することがないため好ましい。
前記重合反応の温度としては、モノマーの反応性の観点から、50℃以上であり、60℃以上が好ましく、65℃以上がより好ましい。また、前記反応温度は、安定的に水不溶性高分子ビルダーを生産する観点から、95℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましく、80℃以下が更に好ましい。
なお、本製造方法においては、疎水性溶媒(B)及び水を還流させながら反応を行うことが好ましい。
【0044】
工程3における分散液(a)の滴下時間は、急激な反応温度の上昇を抑止し、反応を制御する観点から、0.1時間以上が好ましく、0.5時間以上がより好ましく、1時間以上が更に好ましい。また、前記滴下時間は、生産性の観点から、10時間以下が好ましく、5時間以下がより好ましく、2時間以下が更に好ましい。
【0045】
工程3において用いる疎水性溶媒(B)と分散液(a)との質量比(分散液(a)/疎水性溶媒(B))は、反応に使用する溶媒量を低減する観点から、200/100以上が好ましく、250/100以上がより好ましく、270/100以上が更に好ましい。また、前記質量比は、再汚染防止性能に優れた疎水性高分子ビルダーを得る観点から、400/100以下が好ましく、350/100以下がより好ましく、310/100以下が更に好ましい。
【0046】
分散液(a)の滴下速度は、水不溶性高分子ビルダーの生産性の観点から、工程3において使用する疎水性溶媒(B)100質量部に対して、1.5質量部/min以上が好ましく、2質量部/min以上がより好ましく、2.5質量部/min以上が更に好ましい。
また、前記分散液(a)の滴下速度は、急激な反応温度の上昇を抑止し、反応を制御する観点から、工程3で使用する疎水性溶媒(B)100質量部に対して、30質量部/min以下が好ましく、15質量部/min以下がより好ましく、10質量部/min以下が更に好ましく、5質量部/min以下がより更に好ましい。
【0047】
疎水性溶媒(B)は、重合反応を速やかに進行させ、再汚染防止性能に優れる高分子ビルダーを得る観点から、重合反応開始前に昇温することが好ましく、工程2で得られた分散液(a)を疎水性溶媒(B)に対して滴下する前に50℃から疎水性溶媒等の反応溶液の沸点の間の温度に昇温することがより好ましい。
【0048】
工程3では、再汚染防止性能に優れる疎水性高分子ビルダーを得る観点から、疎水性溶媒(B)に分散剤を含有させることが好ましい。
分散剤としては、ショ糖エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレン誘導体、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルアルコール等の合成ポリマー、アルキル硫酸塩等のアニオン性界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
これらの中で、更に好ましくは脂肪酸エステル、更に好ましくはショ糖エステル、又はソルビタンエステル、更に好ましくはショ糖エステルである。ショ糖エステルの中では、ショ糖ステアリン酸エステルが好ましい。
【0049】
工程3において用いる分散剤は、生産性の観点から、工程2で用いる分散剤と同一であることが好ましく、工程2において疎水性溶媒(A)に対して分散剤を溶解させ、この疎水性溶媒(A)を工程3において疎水性溶媒(B)として用いることが更に好ましい。
また、工程3は回分式反応装置で行うことが好ましい。系を均一に混合可能であれば、撹拌翼や静止型混合機等、一般的に用いられている混合装置、手段を用いることができる。
【0050】
(水除去工程)
本発明においては、工程3における重合反応の後、分散液(b)から水を留去する水除去工程を設けることが好ましい。
工程3で得られた分散液(b)から、水を留去する際の温度は、エネルギー効率、及び水不溶性高分子ビルダーの凝集を防ぐ観点から、50〜100℃が好ましく、70〜90℃がより好ましく、75〜85℃が更に好ましい。また、減圧下又は大気圧下で、0.5〜20時間行うことが好ましい。
水の除去量は、水不溶性高分子ビルダーの凝集を防ぐ観点から、工程3で得られた分散液(b)に含まれる水のうち、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、85質量%以上がより更に好ましい。また、前記水の除去量は、優れた泥捕捉性を得る観点から、95質量%以下が好ましい。
なお、工程3で得られた分散液(b)に含まれる水に対し、除去する水の割合を、以下、脱水率という場合がある。
【0051】
水除去工程の具体的な方法としては、以下に示す方法が挙げられる。
疎水性溶媒及び水を共沸させて反応容器から得られた留分を回収する。回収した留分から静置分離等により水を分離し排出する一方で、疎水性溶媒を反応容器の分散液(b)に戻す操作を繰り返すことにより、分散液(b)から水を除去し、上記の好ましい量の水を除去する。
水除去工程後の疎水性溶媒中の水不溶性高分子ビルダーのレーザー回折法による体積平均粒子径は1〜50μmが好ましく、5〜30μmが更に好ましい。
【0052】
(乾燥工程)
本発明においては、前記水除去工程後、水不溶性高分子ビルダーを乾燥させる乾燥工程を設けることが好ましい。
乾燥工程の具体的な方法としては、以下に示す方法が挙げられる。
すなわち、前記水除去工程において一定量の水を回収した後、分散液(b)から固形分をろ別し、ろ別した固形分を棚型乾燥機や噴霧乾燥機等の乾燥機にて乾燥させることにより行う方法が好ましい。
前記乾燥工程は、減圧下又は大気圧下、好ましくは減圧下で行うことが好ましい。
乾燥工程における温度は、60〜150℃が好ましく、70〜120℃がより好ましく、75〜110℃が更に好ましい。
乾燥時間は0.5〜20時間が好ましく、1〜10時間がより好ましい。
すなわち、水除去工程においては、水分等を含む水不溶性高分子ビルダーを60〜100℃に保持し、減圧下、0.5〜20時間程度乾燥を行うことが好ましい。
【実施例】
【0053】
以下の実施例、比較例における体積平均分散径、及び水不溶性高分子ビルダーの体積平均粒子径は以下の方法で測定した。
<体積平均分散径、及び体積平均粒子径の測定方法>
測定装置としては、(株)堀場製作所製レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−920」を用いた。
乾燥時の体積平均粒子径は、水不溶性高分子ビルダーを80℃、25kPa(絶対圧力)で12時間乾燥を行った後、分散媒をシクロヘキサン、相対屈折率を1.12として測定を行った。
水による膨潤時の体積平均粒子径は、水不溶性高分子ビルダーを水に30分以上浸漬させることにより膨潤させ、分散媒を4.5(mM)Na2CO3、4[°dH]の水とし、相対屈折率を1.12として測定を行った。
【0054】
実施例1
(工程1)
2Lフラスコに32質量%水酸化ナトリウム水溶液158gを仕込み、次いで2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(東亜合成化学(株)製)100g、80質量%アクリル酸水溶液を100g加えて中和した後に、メチレンビスアクリルアミド0.295gを添加して、混合した。これにペルオキソ硫酸ナトリウム0.380gを脱イオン水70.0gに溶解させたものを添加し、溶解させた(水性混合液(1))。
(工程2)
3Lの丸型フラスコにシクロヘキサン712gをとり、ショ糖ステアリン酸エステル(HLB=7)2.10gを撹拌混合しながら添加し、50℃まで昇温し、50℃を1時間保つことで完全に溶解させた(疎水性溶媒(A1))。
前記疎水性溶媒(A1)を430gとり、これに前記水性混合液(1)を添加し、ホモミキサーを用い9000r/minで8分間混合分散を行い分散液(a)を得た。
(工程3)
残りの疎水性溶媒(A1)284gを疎水性溶媒(B1)として4Lフラスコにとり、窒素ガスを50ml/min流し、180r/minで撹拌混合し、70℃まで到達したのち還流させ、このフラスコ中に前記分散液(a)を90分間かけて滴下し重合を行った。
【0055】
(水除去工程)
工程3の後、フラスコに脱水管を取り付けて分散液(b)の共沸脱水を行った。195gの水を回収した。脱水率は89質量%であった。
(乾燥工程)
水除去工程後の分散液(b)を室温まで冷却後、この分散液(b)から固形分をろ別して固形分を平バットにとり、棚型乾燥器で80℃、25kPa(絶対圧力)で12時間乾燥を行い、水不溶性高分子ビルダーを得た。
この水不溶性高分子ビルダーの平均体積粒子径はレーザー回折式粒度分布測定装置「LA−950」にてバッチ式で測定したところ、乾燥時で5.3μm、膨潤時で40μm、膨潤度は7.4であった。
【0056】
実施例2
(工程1)
2Lフラスコに80質量%アクリル酸水溶液100gを仕込み、32質量%水酸化ナトリウム水溶液97.1gを加えて中和し、次いでメタクリロイルオキシエチレントリメチルアンモニウムクロライド70質量%水溶液143gを加えた後にメチレンビスアクリルアミド0.295gを添加して、均一混合した。これにペルオキソ硫酸ナトリウム0.380gを脱イオン水20.0gに溶解させたものを添加し、均一溶解させた(水性混合液(2))。
(工程2)
3Lの丸型フラスコにシクロヘキサン712gをとり、ショ糖ステアリン酸エステル2.10gを撹拌混合しながら添加し、50℃まで昇温し、50℃を1時間保つことで完全に溶解させた(疎水性溶媒(A2))。
前記疎水性溶媒(A2)を430gとり、これに前記水性混合液(2)を添加し、ホモミキサーを用い9000r/minで8分間混合分散を行い分散液(a)を得た。
(工程3)
残りの疎水性溶媒(A2)284gを疎水性溶媒(B2)として4Lフラスコにとり、反応容器中の雰囲気を窒素に置換した後、窒素ガスを50ml/min流し、180r/minで撹拌混合し、70℃まで到達したのち還流させ、このフラスコ中に分散液(a)を90分間かけて滴下し重合を行った。
【0057】
(水除去工程)
実施例1と同じ操作により水除去工程を行った。130gの水を回収した。脱水率は87質量%であった。
(乾燥工程)
実施例1と同じ操作により乾燥工程を行った。この水不溶性高分子ビルダーの平均体積粒子径はレーザー回折式粒度分布測定装置「LA−950」にてバッチ式で測定したところ、乾燥時で5.3μm、膨潤時で56μmであった。
【0058】
比較例1
3Lの丸型フラスコにシクロヘキサン1050gをとり、ショ糖ステアリン酸エステル1.05gを撹拌混合しながら添加し、50℃まで昇温し、50℃を1時間保つことで完全に溶解させた。
また、2Lフラスコに脱イオン水107g、48質量%水酸化ナトリウム水溶液52.5gを仕込み、次いで2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸50.2g、80質量%アクリル酸水溶液を50.0g加えて中和した後に、メチレンビスアクリルアミド0.148gを添加して、均一混合した。
これにペルオキソ硫酸ナトリウム0.190gを脱イオン水3.00gに溶解させたものを添加し、均一溶解させた。
これを、前記のショ糖ステアリン酸エステルを溶解させたシクロヘキサン中に添加し、ホモミキサーを用い9000r/minで8分間混合分散を行い、微細粒子径の分散液を得た。
反応容器中の雰囲気を窒素に置換した後、窒素ガスを50ml/min流しながら分散液を180r/minで撹拌混合し、1℃/minで昇温し、65℃に到達した後、40分間保持し、その後1℃/minのペースで70℃まで昇温し重合を行った。
【0059】
(水除去工程)
実施例1と同じ操作により水除去工程を行った。130gの水を回収した。脱水率は92質量%であった。
(乾燥工程)
実施例1と同じ操作により乾燥工程を行った。この水不溶性高分子ビルダーの平均体積粒子径はレーザー回折式粒度分布測定装置「LA−950」にてバッチ式で測定したところ、乾燥時で5.3μm、膨潤時で24μmであった。
【0060】
実施例、及び比較例で得られた水不溶性高分子ビルダーを試験用高分子ビルダーとして、下記の方法で洗浄性試験を行った。
<洗浄試験>
泥汚染布は特開平10−204769記載の製法により、木綿メリヤスに鹿沼赤玉土を付着させることにより調製した。
表1に示す組成の試験液を100mL調製し、これに直径が15μmのスチール球15個、木綿メリヤス白布(6×6cm)5枚、泥汚染布(4×5cm)5枚を添加後、15分間撹拌した。水温は20℃とした。撹拌終了後、白布、泥汚染布を取出し、脱水、乾燥後、白布の反射率、及び汚染布の反射率を測定し(日本電色工業(株)製分光色差計、型番「SE2000」)、汚染布の反射率の平均値を洗浄率、白布の反射率の平均値を再付着防止率とした。結果を表2に示す。なお、前記試験液の硬度成分は塩化カルシウム二水和物/塩化マグネシウム六水和物=8/2(mol比)であり、硬度は4[°dH]とした。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
実施例1と比較例1との対比から、本発明の水不溶性高分子ビルダーは再汚染防止性に優れていることが分かった。また、実施例2により、カチオン性モノマーとの共重合体である水不溶性高分子ビルダーも、水に対する膨潤度が高く、衣料用の高分子ビルダーとして再汚染防止性能に優れていることが分る。
【0064】
実施例3〜5
水除去工程において表3に示す脱水率になるまで脱水を行ったこと以外は、実施例1と同様に水不溶性高分子ビルダーを製造した。各水不溶性高分子ビルダーの物性を表3に示す。
【0065】
実施例3〜5により得られた水不溶性高分子ビルダーについて、以下の方法により泥捕捉率を測定した。
<泥捕捉率の測定方法>
50mlスクリュー管((株)マルエム製)に表4に記載の泥溶液を約40ml入れ、この泥試験液中に分散している泥の濃度(T1)を下記方法で測定した。
更に前記泥試験液に対して実施例3〜5の水不溶性高分子ビルダーをそれぞれ泥試験液の濃度が20mg/kgになるように添加した。このスクリュー管に30mmスターラーチップを投入し、500r/mで15分間撹拌した。
次いで、泥試験液を孔径10μmポリカーボネート製フィルターに通すことにより固液分離を行い、ろ液中に分散している泥の濃度(T2)を測定した。
なお、前記泥試験液の硬度成分は塩化カルシウム二水和物/塩化マグネシウム六水和物=8/2(mol比)であり、硬度は4[°dH]とした。
<泥濃度の測定方法>
分散している泥の濃度は、(株)日立製作所製分光光度計、型番「U―3300」を用いて575nmの吸光度を測定して算出した。検量線は、表4に記載の試験液の泥分散濃度を変えて575nmの吸光度より作成した。
泥捕捉率は下記計算式にしたがって算出した。
泥捕捉率(%)=(1−T2/T1)×100
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】
上記実施例3〜5の結果より、膨潤度が高いほど泥捕捉性が高いことが分かる。