(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔第一実施形態〕
(発光素子モジュールおよび発光装置)
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の発光素子モジュールとしてのLEDモジュール10が、複数個連結して構成される発光装置1の斜視図である。
LEDモジュール10は、
図1に示すように、基板21と、基板21面から立設する壁板22と、基板21上に設けられた本発明の発光素子としてのLED素子30と、基板21に接続され、LED素子30へ給電する配線40と、配線40を取り出すために壁板22に設けられた配線取出部23と、を備える。
なお、本実施形態では、基板21、壁板22、および配線取出部23によって、ホルダ20が構成される。つまり、LED素子30は、ホルダ20の基板21と壁板22に囲まれる内部空間の基板21上に設けられている。
【0017】
基板21には、配線40が電気的に接続される基板端子部や、当該基板端子部からLED素子30へと電気的に接続する電気配線部が設けられている。その他、電気配線部に定電流回路や抵抗などの電気素子を接続させてもよい。
基板21を構成する部材としては、電気配線部等を設ける面が絶縁性を有する材質で形成されていることが好ましく、例えば、合成樹脂板、ガラス板、木材板、板紙、段ボール原紙などを挙げることができる。前記部材は単独で用いるばかりでなく、複数を組み合わせて多層の積層体として用いてもよく、その場合には電気配線部等を設ける面が絶縁性であればその他の層は金属板等の非絶縁性であってもよい。
合成樹脂板の材質としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられ、これらを単独であるいは複数を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
基板21の形状は特に限定されることはないが、本実施形態では、略円形状に形成された板状の部材である。
基板21の厚さ寸法は、50μm以上30mm以下が好ましく、300μm以上20mm以下がより好ましい。厚さ寸法が50μm未満であると、基板21が薄いため、LED素子30等を支持するための強度が不足するおそれがある。さらに、基板21が薄いと、材質によっては、基板21が破れたり、折れ曲がって、電気配線部が短絡したり、切断されてしまい、LED素子30への給電に不具合が生じるおそれがある。厚さ寸法が30mmを超える場合には、基板21が厚くなり、LEDモジュール10全体の重量が増して施工性が低下したり、発光装置1としての厚さ寸法が増加したりして、看板の薄型化が難しくなるおそれがある。
基板21の裏面、すなわち、LED素子30が設置された面とは反対側の面には、発光装置1の設置対象物(看板等)に対して固定するための固定部材が設けられていることが好ましい。当該固定部材としては、両面粘着テープや接着剤等を例示できるが、ねじ、釘、画鋲等を用いれば、LED素子30の位置を決定した後にホルダを回転して配線40の長さを調整することもできる。
【0019】
壁板22は、本実施形態では、略円形状の基板21の外周部に沿うように、基板21面から立設し、LED素子30を囲んでいる。なお、壁板22は、基板21の外周部に沿って全体に形成されていなくてもよく、配線取出部23を形成することができ、配線40の巻きつけに支障が無い範囲で、例えば、部分的または間欠的に形成されていてもよい。
壁板22の上端部は
図1では同じ高さに位置するように直線的な形状を有しているが、配線40の巻きつけに支障が無ければ特に限定されるものではなく、波型やギザギザ形状などでもよい。
壁板22の上端部までの最大高さ(壁板の幅)寸法は、配線40を外周に沿って巻き付けられる幅があれば特に限定されるものではないが、2mm以上30mm以下が好ましく、3mm以上20mm以下がさらに好ましく、5mm以上15mm以下が特に好ましい。壁板の幅寸法が2mm未満であると、幅が狭いために巻きつける時に若干でも蛇行したりすると配線40が壁板からはみ出して巻かれたり、配線40よりも幅が狭かったりすると、配線40を外周に収まりよく巻き付けることが困難になる場合がある。壁板の幅寸法が30mmを超えると、LEDモジュールの高さが大きくなり、看板の厚みが厚くなり、看板の大型化につながる場合がある。
壁板22を構成する部材としては、前述で例示した基板21と同様の材質の中から適宜選択して用いることができる。壁板22の厚さ寸法は、50μm以上15mm以下が好ましく、500μm以上10mm以下がさらに好ましく、1mm以上5mm以下が特に好ましい。壁板22の厚さ寸法が50μm未満であると、薄くコシが無いために配線40を巻き付けた時に、折れ曲がってしまい、配線をきれいに巻き付けることができないおそれがある。壁板22の厚さ寸法が15mmを超えると、LEDモジュールの重さや大きさが増し、ひいては看板の大型化につながるおそれがある。
【0020】
配線取出部23は、本実施形態では、壁板22外周の2箇所に設けられ、互いに対向する位置にある。配線取出部23は、壁板22の外周から外側に膨らんで形成され、配線取出部23の外周は、湾曲している。
配線取出部23には、壁板22の外周に沿う方向に開口した取出口231が形成されており、基板21と壁板22とで囲まれる内部空間から取出口231を通じて配線40を挿通可能になっている。そのため、配線40は、取出口231を通じて壁板22の外周から外側へと取り出され、壁板22の外周に沿って延設されている。
配線取出部23を構成する部材としては、前述で例示した基板21や壁板22と同様の材質の中から適宜選択して用いることができる。
【0021】
配線40は、正極線41と、負極線42と、を備える。本実施形態では、
図1に示すように、正極線41と、負極線42とが、縦方向に配置された状態で、配線取出部23の取出口231から配線40が取り出されている。
図1では、下側に負極線42、上側に正極線41が配置されているが、配置が逆の関係であってもよい。また、正極線41と、負極線42とが横方向に配置されていてもよい。そのため、配線取出部23の取出口231は、正極線41および負極線42の配置状態に合わせた形状に形成されていることが好ましい。
正極線41および負極線42の一端が、LEDモジュール10の基板21に接続され、正極線41および負極線42の他端が、他のLEDモジュール10の基板21に接続されることで、LEDモジュール10同士が連結されている。
【0022】
正極線41および負極線42としては、通常の電気配線に用いられる配線を用いることができ、金線、銀線、銅線、アルミニウム線、ニッケル線等が例示される。正極線41および負極線42の直径としては、100μm以上10mm以下が好ましく、500μm以上5mm以下がさらに好ましい。
さらに、正極線41および負極線42としては、周囲を絶縁性の材料で被覆した被覆線を用いることが好ましく、本実施形態では、被覆銅線を用いている。また、正極線41および負極線42を壁板22の外周に沿って巻きつけ易くしたり、各種方向に向けて延ばし易くしたりするために、正極線41および負極線42は、可撓性の材質で形成することが好ましい。また、被覆された正極線41および負極線42をさらにまとめて被覆した二重被覆配線を用いてもよい。
【0023】
LED素子30は、本実施形態では、基板21上に2個設けられている。ただし、LED素子30の配置数や配置間隔は、LEDモジュール10や発光装置1に要求される輝度、照射面積、コスト等に応じて適宜設計される。
LED素子30は、基板21に設けられた電気配線部と電気的に接続されている。LED素子30を発光させるための電力は、外部電源から配線40を通じて基板21の基板端子部まで供給され、電気配線部を経て、LED素子30へと給電される。
基板21のLED素子30が配置された面には、LED封止材が配置されていることが好ましい。このLED封止材は、防水処理の役割や、LED素子30と電気配線部との接続強度の向上とその安定化、さらにはLED素子30への外的衝撃に対する保護および補強という役割も担っている。
LED封止材としては、例えば、LED素子等の発光素子の封止に用いられている封止樹脂を用いることができる。封止樹脂としては、シリコーン樹脂(アルキル変性シリコーン樹脂,エポキシ変性シリコーン樹脂,アルキッド変性シリコーン樹脂,アクリル変性シリコーン樹脂,ポリエステル変性シリコーン樹脂,フェニルシリコーン樹脂、ジメチルシリコーン樹脂等)、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂などが例示される。
また、LED封止材としては、LED素子30から出射された光を外部へと放射させるため、光透過性の材料で構成されている。この場合、LED封止材は、無色透明であってもよいし、光透過性を損なわない範囲で着色して光の風合いの演出を図ることもできる。また、LED素子30からの出射光を遮り過ぎない範囲で、部分的に透明にし、他の部分を着色して光透過を制限してもよい。
【0024】
本実施形態において、1個のLEDモジュール10の構成単位は、ホルダ20(基板21、壁板22、および配線取出部23)と、ホルダ20内部の基板21に設けられたLED素子30と、基板21に接続された配線40である。この1個のLEDモジュール10の配線40(正極線41および負極線42)の他端が、別のLEDモジュール10の配線取出部23の取出口231を通じて、当該別のLEDモジュール10の基板21に接続される。このようにして、複数個のLEDモジュール10が配線によって連結されることで発光装置1が構成される。
【0025】
(LEDモジュールの設置方法)
LEDモジュール10の設置方法を説明する。
設置前のLEDモジュール10は、
図1に示すように、配線取出部23の取出口231から配線40が延ばされたままの状態である。このような状態のLEDモジュール10を設置対象物に設置する際は、LEDモジュール10のホルダ20を基板21面内方向で回転させて、配線40を壁板22の外周に沿うように巻きつける。
本実施形態では、ホルダ20を時計回り方向に回転させると、配線40は、壁板22の外周に沿って巻き取られる。また、上述のように配線取出部23の側面が湾曲しているため、配線40は、配線取出部23の外周に対しても壁板22と同じように沿いながら巻き取られる。
このようにして、LEDモジュール10同士を連結する配線40の長さ寸法を調整し、設置対象物に複数のLEDモジュール10が設置される。なお、配線40の巻きつけ寸法は、設置対象物の大きさやLED素子30の配置間隔に応じて適宜設定することができる。
【0026】
一方で、特許文献1に記載された従来技術のように、発光素子用ホルダ外周から垂直方向に配線コードが接続された場合について説明する。
このような従来技術の場合、
図6(A)に示すように発光素子用ホルダ200外周から、配線コード400が垂直方向に接続されている。発光素子用ホルダ200は、基板210と、基板210の外周部に設けられ、基板210面から立設する側壁部220と、基板210上に設けられたLED素子300とを備える。そして、配線コード400は、発光素子用ホルダ200の側壁部220から垂直方向に延設されている。なお、配線コード400の延設方向が、垂直方向であるとは、基板210面に対して垂直方向ではなく、側壁部220面に対する垂直方向である。さらに言い換えれば、配線コード400は、湾曲する側壁部220に対する接線に対して垂直方向に接続されている。
そして、
図6(B)に示すように発光素子用ホルダ200を回転させて、配線コード400の長さ寸法の調整を行うと、配線コード400が側壁部220から浮いた状態となり、隙間空間Zを生じる。発光素子用ホルダ200をさらに回転させて、配線コード400をさらに側壁部220に巻き付けようとすると、隙間空間Zにより浮いた状態の配線コード400の上にさらに配線コード400を巻き付けるので、巻きつけ径が大きくなるばかりでなく、隙間空間Z部が凸部となっているためにきれいに巻き付けることができない。そのため、発光素子用ホルダ200を枠体とキャップ材とで形成される収容空間内部に収容させると、当該収容空間内の限られたスペースで配線コード400を収容しきれず、長さ寸法の調整を容易に行うことができない。そのため、配線コード400の膨らみを考慮して枠体を大きく形成しておく必要がある。また、配線コード400の折り曲げられた部位には、その折り曲げによる負荷が増大し、配線コード400が断線するおそれがある。
【0027】
(発光装置の利用形態)
次に、発光装置1の利用形態について説明する。
本実施形態では、発光装置1を
図2に示すようなL字形状の文字看板50に設置し、文字形発光看板の光源として利用する場合を一例に挙げて説明する。
まず、文字看板50のL字形状に沿って、発光装置1を構成する各LEDモジュール10を配置する。本実施形態では、文字看板50の縦方向L1に対し、LEDモジュール10のホルダ20を5個配置する。
図1に示すような配線40を延ばしたまま縦方向L1の寸法に対してホルダ20を5個配置しようとすると、LEDモジュール10同士の間隔よりも配線40の方が長い場合、配線40が撓んだ状態となってしまう。このような場合には、上述のLEDモジュール10の設置方法のように、LEDモジュール10のホルダ20を基板21面内方向で回転させて、配線40を壁板22の外周に沿うように巻きつけることで、
図2に示すように、LEDモジュール10のホルダ20部分が、縦方向L1においてはみ出さないように設置できる。さらに、文字看板50の横方向L2に対して4個配置するには、縦方向L1の一番下側に設置されたホルダ20から、
図2の横方向L2(右方向)に向かってLEDモジュール10を設置する。この場合も、同様にして、配線40を壁板22の外周に沿うように巻きつけることで、配線40が撓まないように設置できる。このようにしてL字形状の文字看板50に発光装置1を設置し、当該文字看板50を店舗の外壁等に取り付けて利用する。
なお、発光装置1を構成する複数のLEDモジュール10のうち、一端に設置されているLEDモジュール10の配線40は、電源と接続される。当該電源から電力供給を受け、配線40を通じて、各LEDモジュール10のLED素子30へと給電される。また、発光装置1を構成する複数のLEDモジュール10のうち、他端に設置されているLEDモジュール10の配線40は、壁板22の外周に沿って巻きつけ、配線40の端部は、特に処理を施さなくてもよいし、樹脂等で封止しておいてもよい。また、当該配線40をホルダ20の基板21から取り外しておいてもよい。
【0028】
(第一実施形態の効果)
本実施形態のLEDモジュール10およびLEDモジュール10の設置方法によれば、次のような効果を奏する。
LEDモジュール10では、ホルダ20の壁板22の外周には、配線取出部23が設けられ、配線取出部23は、壁板22の外周に沿う方向に開口した取出口231を有する。配線40は、取出口231を通じて壁板22の外周から外側へと取り出されている。
そのため、複数のLEDモジュール10を配線40で連結して発光装置1を構成し、LEDモジュール10同士の間隔を調整する場合には、配線40を壁板22の外周に沿う方向に巻きつけることが可能になり、上述の
図6(B)のように配線コード400が折り曲げられて隙間空間Zが生じ、膨らんでしまうことを防止できる。
ゆえに、LEDモジュール10によれば、配線40の膨らみによる映り込み、部分的な照度のバラツキ、影の発生等を防止しつつ、配線40の長さ寸法の調整を容易に実施することができる。
また、LEDモジュール10は、基板21、壁板22、および配線取出部23で構成されるホルダ20に配線40を巻きつけることが可能であり、従来技術のようにホルダと枠体とキャップ材との3つの個別の部材を組み立てる必要が無く、部材数を削減することができる。
ゆえに、LEDモジュール10によれば、部材数の削減により、設置作業を簡素化することができる。
さらに、LEDモジュール10によれば、配線40が断線するおそれを低減できる。
【0029】
LEDモジュール10では、配線取出部23の外周が湾曲している。そのため、配線取出部23の湾曲した外周においても、壁板22と同様に配線40を沿わせて巻きつけることができる。
ゆえに、LEDモジュール10によれば、配線40の巻きつけ寸法が大きくなる場合でも、配線40が折り曲げられて膨らんでしまうことを防止し、長さ寸法の調整を容易に実施するとともに、配線40の断線を防止することができる。
【0030】
また、複数のLEDモジュール10が連結されてなる発光装置1によれば、文字看板50に対して所望の間隔で配線40の撓み無くホルダ20を設置することができる。そのため、LEDモジュール10の間隔や配置数を調整することが容易になり、要求される明るさやコスト等に対して柔軟に対応できる。
また、
図2に示すL字形状は、縦方向L1と横方向L2とで屈曲した部位を有するが、発光装置1によれば、配線40を負荷のかかる方向に無理に折り曲げることなく配置でき、配線40の断線を防止することができる。
【0031】
〔第二実施形態〕
次に、図面を参照して、本発明の第二実施形態を説明する。
図3は、本発明の第二実施形態に係るLEDモジュール11のホルダ20A部分の断面図である。
第二実施形態のLEDモジュール11では、第一実施形態のLEDモジュール10と比べて、ホルダの形状において相違する。
なお、以降の説明に当たり、第一実施形態と同一の構成については同符号を付し、その説明を簡略または省略する。
【0032】
本実施形態のホルダ20Aは、LED素子30が設けられた基板21Aと、基板21Aに設けられた壁板22と、第一実施形態と同様の配線取出部と、を備える。
基板21Aには、壁板22が設けられた位置よりも外側に向かって延出する基板張出部25が設けられている。基板21Aおよび基板張出部25は、上述の基板21を構成する部材として説明した部材から選択して構成される。
また、壁板22の上端部には、外側に向かって延出する壁板張出部26が設けられている。壁板張出部26は、上述の基板21を構成する部材として説明した部材から選択して構成される。なお、壁板張出部26は、壁板22の上端部から延出する場合に限定されず、収容する配線40のサイズに応じて、例えば、壁板22の上端部と下端部との間に適宜設けることができる。
【0033】
LEDモジュール11では、壁板22が設けられている位置よりも基板21A面方向の外側に延出する基板張出部25および壁板張出部26が形成され、基板張出部25と、壁板張出部26と、が対向して配置されていることで、配線40を収容および固定する配線固定手段としての配線収納溝27が構成される。
【0034】
(第二実施形態の効果)
本実施形態のLEDモジュール11によれば、上述の第一実施形態の効果の他に、次のような効果を奏する。
LEDモジュール11は、基板張出部25と、壁板張出部26と、が対向して配置されてなる配線固定手段としての配線収納溝27を備える。そのため、配線40を壁板22の外周に沿う方向に巻きつける際に、この配線収納溝27によって配線40が収容および固定される。
ゆえに、LEDモジュール11によれば、巻き取った配線40が、より確実に壁板22の外周に巻きつけられて収まりが良くなり、配線40の膨らみによる映り込み、部分的な照度のバラツキ、影の発生等をより確実に防止することができるとともに、LEDモジュール11の設置作業が容易になる。
【0035】
〔第三実施形態〕
次に、図面を参照して、本発明の第三実施形態を説明する。
図4は、本発明の第三実施形態に係るLEDモジュール12のホルダ20B部分の断面図である。
第三実施形態のLEDモジュール12では、第一実施形態のLEDモジュール10や第二実施形態のLEDモジュール11と比べて、ホルダの形状において相違する。
なお、以降の説明に当たり、上記実施形態と同一の構成については同符号を付し、その説明を簡略または省略する。
【0036】
本実施形態のホルダ20Bは、LED素子30が設けられた基板21Aと、基板21Aに設けられた壁板22と、第一実施形態と同様の配線取出部と、基板21AのLED素子30が設けられた面に対向して設けられた天板24と、を備える。本実施形態のLEDモジュール12では、LED素子30が、ホルダ20Bの基板21Aと、壁板22と、天板24とで囲まれる内部空間の基板21A上に設けられている。
ホルダ20Bにおいては、基板張出部25の外周部には、壁板22が立設する方向と略同じ方向に突出する基板突出部25Aが形成されている。
【0037】
天板24は、壁板22の上端部と接続され、上述の内部空間を形成する蓋材としての機能も担う。天板24には、壁板22が設けられた位置よりも外側に向かって延出する天板張出部26Bが設けられている。天板24および天板張出部26Bは、上述の基板21を構成する部材として説明した部材から選択して構成される。
また、天板張出部26Bの外周部には、基板張出部25側に向かって突出する天板突出部26Aが形成されている。
天板24は、LED素子30から出射された光を透過させるために、光透過性の部材で構成されている。ここで、天板24は、LED素子30からの出射光を遮り過ぎない範囲で、部分的に透明にし、他の部分を着色して光透過性を制限してもよい。また、天板24は、前述のLED封止材と同様、無色透明であってもよいし、光透過性を損なわない範囲で着色して光の風合いの演出を図ることもできる。
天板24の厚さ寸法は、上述の基板21と同様の寸法範囲で形成される。
【0038】
本実施形態では、壁板22と、基板張出部25と、天板張出部26Bと、基板突出部25Aと、天板突出部26Aとで囲まれる領域にて配線固定手段としての配線収納溝27Aが構成される。LEDモジュール12においては、基板突出部25Aおよび天板突出部26Aが、配線収納溝27Aから配線40が壁板22側から離れてはみ出さないようにするためのはみ出し防止突起となっている。
基板突出部25Aおよび天板突出部26Aは、ホルダ20Bの外周全部に設けられているものではなく、部分的に設けられているものである。基板突出部25Aおよび天板突出部26Aは、上下対で設置されていることが好ましいが、片方ずつ交互に設けられていてもよい。基板突出部25Aおよび天板突出部26Aのうち少なくともいずれかは、ホルダ20Bの外周に2箇所以上12箇所以下に設けられていることが好ましく、4箇所以上8箇所以下に設けられていることがさらに好ましい。基板突出部25Aおよび天板突出部26Aのうち少なくともいずれかは、等間隔に設けられていることが好ましいが、特にそれに限られるものではない。
また、基板突出部25Aおよび天板突出部26Aの突出高さ寸法は、同じであっても良いし、異なっていても良い。さらに、ホルダ20B外周の複数箇所に設けられている各突出部25A,26Aについても、突出高さ寸法は、同じであっても良いし、異なっていても良い。
LEDモジュール12では、巻き取った配線40は、壁板22の外周に沿う方向に巻きつける際に、基板突出部25Aと天板突出部26Aとの隙間を通じて配線収納溝27Aに収容し、固定する。
【0039】
(第三実施形態の効果)
本実施形態のLEDモジュール12によれば、上述の第一実施形態および第二実施形態の効果の他に、次のような効果を奏する。
LEDモジュール12では、基板突出部25Aおよび天板突出部26Aを有する配線収納溝27Aが形成されている。そして、配線収納溝27Aに収容された配線40は、基板突出部25Aおよび天板突出部26Aのうち少なくともいずれかによって膨らみが防止される。更に基板突出部25Aおよび天板突出部26Aのうち少なくともいずれかは、収納された配線40が緩んで繰り出されたりしないように、巻き取られた配線40を固定することができる。
ゆえに、LEDモジュール12によれば、巻き取った配線40が、より確実に壁板22の外周に巻きつけられて収まりが良くなり、配線40の膨らみによる映り込み、部分的な照度のバラツキ、影の発生等をより確実に防止することができるとともに、LEDモジュール12の設置作業が容易になる。
【0040】
また、ホルダ20Bでは、天板24が壁板22の上端部と接続され、当該天板24は、LED素子30を収容する内部空間を形成するための蓋材としての機能も担う。そのため、LEDモジュール12によれば、外部からの衝撃や異物・水分等の侵入からLED素子30をより確実に保護することができる。
【0041】
<実施形態の変形>
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0042】
発光素子としては、上記実施形態で例を挙げて説明したLED素子に限定されず、EL素子等を用いて発光素子モジュールおよび発光装置を構成してもよい。
【0043】
発光装置が設置される看板としては、表面板がある看板であっても、表面板の無い板状の看板であってもよい。
表面板を備える看板としては、例えば、内照式看板が挙げられる。内照式看板は、文字、数字、絵柄等が形成された表面板と、この表面板から離隔して配置され発光装置が設置される背板と、表面板と背板との外縁同士を連結する側面板と、を備えた箱状に形成された筐体の内部に、発光装置が収容される。表面板は、光透過性の材質で形成されている。発光素子から出射された光は、表面板を透過し、筐体外部へと放射される。表面板が筐体内部から照らされることで、文字等の視認性が向上する。
【0044】
上記実施形態では、文字看板としてL字形状のものを例に挙げて説明したが、これに限定されない。他の様々な文字、数字、記号等の形状に合わせて、発光装置を設置できる。
また、一つの看板に対して一つの発光装置を設置する場合に限定されず、複数の発光装置を設置してもよい。
【0045】
発光素子モジュールや発光装置の設置対象物は、看板に限定されず、表示板、案内板などにも適用される。
その他、発光素子モジュールや発光装置は、家庭用照明や電子機器のバックライト等の光源としても適用可能である。
【0046】
発光素子モジュールや発光装置の設置形態としては、平面状に配置する形態に限定されない。例えば、曲面や球面に沿って配置させてもよいし、直方体や三角錐等の多面体表面に沿って設置させてもよい。
【0047】
発光素子モジュールの構成は、上記第一実施形態で説明したものに限定されない。
例えば、
図5(A)や
図5(B)に示すように、LEDモジュール13やLEDモジュール14同士をコネクタ43で連結する構成としても良い。
図5(A)に示すLEDモジュール13では、ホルダ20の一方の配線取出部23の取出口231から延設された配線40の端部に、雄型コネクタ43Aが取り付けられている。また、他方の配線取出部23の取出口231には、雄型コネクタ43Aと着脱可能な雌型コネクタ43Bが取り付けられている。LEDモジュール13を複数個連結する場合には、LEDモジュール13の雄型コネクタ43Aを、別のLEDモジュール13の雌型コネクタ43Bに接続することで、両LEDモジュール13が電気的に接続される。
また、
図5(B)に示すLEDモジュール14では、ホルダ20の一方の配線取出部23の取出口231から延設された配線40の端部に、雄型コネクタ43Aが取り付けられている。また、他方の配線取出部23の取出口231から延設された配線40の端部には、雌型コネクタ43Bが取り付けられている。LEDモジュール14を複数個連結する場合には、LEDモジュール14の雄型コネクタ43Aを、別のLEDモジュール14の雌型コネクタ43Bに接続することで、両LEDモジュール14が電気的に接続される。
なお、LEDモジュール13とLEDモジュール14とをコネクタ43で接続してもよい。
【0048】
雄型コネクタおよび雌型コネクタとしては、防水性の着脱可能コネクタを用いることが好ましい。着脱可能コネクタとしては、例えば、上述のような雄型コネクタと雌型コネクタとを嵌合させて、両者を電気的に接続するコネクタを挙げることができる。さらに、雄型コネクタのハウジングに設けた係止片と、雌型コネクタのハウジングに設けた係止孔との係り合いによって嵌合状態を保持する構造とすれば、係止片の係止孔に対する係り合いを解除することで、雄型コネクタと雌型コネクタとの離脱を容易に行うことができる。そして、雄型コネクタと雌型コネクタとを嵌合させて、ハウジングによって端子部を覆い水密構造とすれば、防水性も付与できる。つまり、着脱と防水性付与とを容易に実施できる。なお、防水性を有し、着脱可能で着脱容易なコネクタとしては、特に限定されないが、例えば、住鉱テック株式会社製の防水コネクタ(CB01A5−02)を用いることができる。
したがって、上述のようなコネクタ付きの発光素子モジュールとすることで、複数個の発光素子モジュールを着脱自在に連結可能になり、発光装置を構成する発光素子モジュールの個数を自在に調整できる。
【0049】
また、基板の形状は、上記実施形態で説明した形状に限定されない。例えば、発光素子モジュールの平面視で、基板は、楕円形状であったり、丸みを帯びた四角形状であったりしてもよい。このように、丸みを帯びた基板の外周部に壁板を設けることで、壁板の外周を湾曲させることができ、湾曲した壁板の外周に沿う方向に配線を巻きつけることができる。なお、上記第一実施形態では、基板の外周部に壁板を設ける態様を例に挙げて説明したが、壁板を、基板外周部よりも所定寸法内側において基板面から立設させて、発光素子を囲む態様としてもよい。
その他、正方形や長方形などの矩形状や三角形、五角形、六角形などの多角形状、円形状、楕円形状、不定形状など最終製品の用途により様々選択されればよい。
また、基板は平板状のものに限定されず、凹凸が形成された基板であっても良い。上記実施形態では、LEDモジュールの断面図で見て、LED素子が平板状の基板に設けられ、壁板の上下方向の下端部側に配置されている例を挙げて説明したが、このような態様に限定されない。
例えば、基板に盛り上げた部分を形成し、この部分にLED素子(発光素子)を設けることで、壁板の上下方向の上端部側に発光素子を配置する態様としてもよい。
【0050】
また、基板は、発光素子の光を反射または吸収するため、基板の表面の色目により明るさの調整や色合いを変更することができ、光の風合いを演出することもできる。具体的には、基板の表面の色目を白系統にすれば明るさが増し、黒系統にすれば暗い印象を与えることができる。また、当該色目を赤系統にすれば、暖かみのある演出が可能であり、青系統にすれば、清涼感のある涼しげな演出も可能になる。
基板を着色する方法としては、これら各部材の原料に染料や顔料を配合して形成する方法や、各部材の表面に所望の色のインクを印刷したり、塗料を塗装したりする方法が挙げられる。封止材や天板についても同様にして着色し、風合いの演出が可能である。
【0051】
基板は、上記部材からなる単一の層構成とするか、または複数の部材を積層してなる積層構成とすることができる。
基板を積層構成とする場合、例えば、発光素子が実装される面側から順に、合成樹脂板、接着層、および金属板が積層された構成とすることができる。
合成樹脂板としては、上記例示の材質で形成された樹脂板を用いることが好ましい。例えば、ポリエステル樹脂の一種であるポリエチレンテレフタレート樹脂製の樹脂板が好ましい。
接着層は、例えば、合成樹脂板と金属板とが熱ラミネート処理等で直接接着可能な材質であれば、必ずしも必要ではない。ただし、基板を積層構成とする際に、積層される部材間を貼り合わせて積層状態を維持するためには、接着層を設けることが好ましい。接着層の材質は、積層される部材間の積層状態を維持可能な材質であれば特に限定されず、積層される部材の組合せに応じて適宜選択されるものである。接着層の接着剤として、例えば、アクリル系、シリコーン系、ゴム系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ポリウレタン系の樹脂を主成分とする接着剤が挙げられる。中でも、アクリル系接着剤は、接着力および耐久性のバランスの点で優れているので、好ましい。また、接着層として、両面テープを用いてもよい。両面テープの粘着樹脂成分としては、接着層の材質として例示したもの等を使用できる。接着層の厚さ寸法は、1μm以上1mm以下が好ましく、5μm以上500μm以下がさらに好ましい。厚さ寸法が1μm未満だと接着性が不足するおそれがあり、1mmを超えると側面から接着剤がはみ出すおそれがあり、さらに、基板の軽量化の観点から好ましくない。
金属板は、絶縁性の合成樹脂板に対して、接着層を介して積層されており、樹脂板の強度向上や樹脂板側に実装された発光素子の発光に伴う熱の放熱等の役割を果たす。金属板の材質としては、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、プラチナ(白金)、ステンレス等を例示することができる。アルミニウム板を金属板として用いれば、積層構成の基板を用いたとしても、発光素子モジュールの放熱性向上と軽量化とを実現できる。
【0052】
ホルダの基板に対向して設けられる天板は、LED素子を衝撃や湿度等から守るため、第一実施形態のLEDモジュール10のホルダ20に設けてもよい。
【0053】
また、配線固定手段として、上記第三実施形態では、基板突出部25Aおよび天板突出部26Aを両方設ける態様を例に挙げて説明したが、これに限定されない。どちらか一方の突出部を形成すればよい。
また、天板24を取り付けない第一実施形態や第二実施形態のような態様では、基板21,21Aにだけ基板張出部25、基板突出部25Aを形成して配線固定手段を形成し、配線40を収容および固定してもよい。
また、基板突出部25Aおよび天板突出部26Aを両方設ける態様であっても、基板突出部25Aおよび天板突出部26Aが必ずしも対向して配置されていなくてもよく、交互に配置されている態様であってもよい。
【0054】
また、配線固定手段として、上記第二実施形態および第三実施形態では、溝形状を例に挙げて説明したが、この態様に限定されず、巻き取った配線を固定できるものであれば特に限定されない。
例えば、クリップ状の配線固定具を用いてもよい。配線の途中に配線固定具を仮固定しておき、巻き取られた配線を壁板とともに配線固定具で把持して固定する。そのため、基板張出部、壁板張出部、天板張出部、基板突出部および天板突出部などを形成することなく、巻き取った配線を容易に壁板の外周に巻き取って固定することができ、配線の映り込み、部分的な照度のバラツキ、影の発生等をより確実に防止することができる。なお、配線固定具としては、クリップのような形状および機構の固定具に限定されない。
【0055】
基板および壁板は、一体に形成されていても良いし、別体に形成されていても良い。別体に形成されている場合には、着脱可能に形成されていても良い。
また、天板を設ける場合にも、基板、壁板および天板は、一体に形成されていても良いが、ホルダの製造工程や、発光素子を内部空間に収容したり、配線を基板に接続する工程を考慮した場合には、別体に形成されている方が好ましい。別体に形成されている場合としては、基板と壁板とを一体に形成しておいて、発光素子の収容や配線の接続後に天板を取り付ける態様としても良い。それとは異なり、平板上の基板に発光素子の収容や配線の接続をした後、一体に形成された壁板および天板を基板上の発光素子を覆うように取り付ける態様とすることもできる。さらには、基板および天板にそれぞれ壁板を形成しておき、当該基板および当該天板の壁板の端部同士を互いに接続することで、ホルダを構成する態様としてもよい。
基板張出部、壁板張出部、天板張出部、基板突出部および天板突出部は、着脱可能に別体に形成されていても良いが、作業性や取り扱い性の観点から、それぞれ、基板、壁板、天板に対して一体に形成されている方が好ましい。