【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の事項を提案している。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0007】
(1) 本発明は、患者の生体器官3次元モデル(例えば、後述の3次元血管モデルAAに相当)に基づいて、体内留置型の管状治療具(例えば、
図5のステントグラフトBBに相当)を用いた治療方針に関するシミュレーションを行うシミュレーション装置(例えば、
図1のシミュレーション装置1に相当)であって、前記管状治療具を用いた治療に関する過去の情報および過去の症例を記憶するデータベース(例えば、
図1のデータベース10に相当)と、前記データベースに記憶された前記過去の情報および過去の症例と、前記生体器官3次元モデルと、に基づいて、病変部(例えば、
図2の動脈瘤Xに相当)の位置と、該病変部および該病変部の周囲の形状と、を解析し、該病変部に適した管状治療具の規格の選定を行うマッチング処理手段(例えば、
図1のマッチング処理部20に相当)と、該選定された規格の管状治療具と前記生体器官3次元モデルとを合成して、治療結果予想図としての3次元データを生成するフィッティング処理手段(例えば、
図1のフィッティング処理部30に相当)と、前記マッチング処理手段による選定結果を前記データベースに記憶させる記憶手段(例えば、
図1のマッチング処理部20に相当)と、を備えたことを特徴とするシミュレーション装置を提案している。
【0008】
この発明によれば、管状治療具を用いた治療に関する過去の情報および過去の症例と、患者の生体器官3次元モデルと、に基づいて、管状治療具の規格を選定する。このため、病変部の位置や、病変部および病変部の周辺の形状に応じて、患者の病変部に適した管状治療具の規格を選定できる。
また、選定した規格の管状治療具と生体器官3次元モデルとを合成して治療結果予想図としての3次元データを生成する。この3次元データを表示装置(例えば、後述の表示手段や外部モニタなど)に表示させれば、医師は、治療結果予想図を確認することで、病変部と管状治療具との位置関係をイメージすることができ、管状治療具の留置を術前に想定できる。
以上によれば、管状治療具を用いた治療方針の検討を容易化できる。
【0009】
(2) 本発明は、(1)のシミュレーション装置について、前記生体器官3次元モデルが、分岐(例えば、
図2の胸部大動脈A1と、腕頭動脈A10、左総頸動脈A20、および左鎖骨下動脈A30と、との分岐に相当)を有する血管の3次元血管モデルであり、前記マッチング処理手段が、前記分岐の位置や形状からなる分岐状態をも含む前記病変部に適した管状治療具の規格の選定を行うことを特徴とするシミュレーション装置を提案している。
【0010】
この発明によれば、血管の分岐の近傍に病変部が発生している場合に、この血管の分岐の位置や形状からなる分岐状態を考慮して管状治療具の規格を選定できる。
【0011】
(3) 本発明は、(1)または(2)のシミュレーション装置について、前記マッチング処理手段は、前記病変部に適した管状治療具の規格として、該病変部に最適な管状治療具の規格を1つ選定することを特徴とするシミュレーション装置を提案している。
【0012】
この発明によれば、病変部に最適なものとして選定された1つの管状治療具の規格をもとに、フィッティング処理手段による3次元データの生成処理など、後段の処理を行うことが可能となる。このため、病変部に適した管状治療具の規格として複数の規格を選定する場合と比較して、管状治療具を用いた治療方針の検討をさらに容易化できる。
【0013】
(4) 本発明は、(1)〜(3)のいずれかのシミュレーション装置について、前記フィッティング処理手段が生成した前記3次元データを表示する表示手段(例えば、
図1の表示部40に相当)を備えることを特徴とするシミュレーション装置を提案している。
【0014】
この発明によれば、治療結果予想図として生成された3次元データを、表示手段によって3次元表示する。このため、医師は、表示手段に表示された治療結果予想図を確認することで、病変部と管状治療具との位置関係をイメージすることができ、管状治療具の留置を術前に想定できる。
【0015】
また、この発明によれば、上述のように治療結果予想図を3次元表示する。このため、患者は、治療結果予想図を確認することで、管状治療具を用いてどのような治療が行われるのかを術前に認識できる。
【0016】
(5) 本発明は、(1)〜(4)のいずれかのシミュレーション装置について、前記管状治療具がステントグラフト(例えば、
図5のステントグラフトBBに相当)であることを特徴とするシミュレーション装置を提案している。
【0017】
この発明によれば、ステントグラフトを用いた治療方針の検討について、上述のように容易化できる。
【0018】
(6) 本発明は、(1)〜(4)のいずれかのシミュレーション装置について、前記管状治療具がZ型ステント骨格を有するステントグラフト(例えば、
図5のステントグラフトBBに相当)であることを特徴とするシミュレーション装置を提案している。
【0019】
この発明によれば、Z型ステント骨格を有するステントグラフトを用いた治療方針の検討について、上述のように容易化できる。
【0020】
(7) 本発明は、患者の生体器官3次元モデル(例えば、後述の3次元血管モデルAAに相当)に基づいて、体内留置型の管状治療具(例えば、
図5のステントグラフトBBに相当)を用いた治療方針に関するシミュレーションを行うシミュレーション方法であって、前記管状治療具を用いた治療に関する過去の情報および過去の症例を記憶する情報記憶ステップ(例えば、ステントグラフトを用いた治療に関する過去の情報および過去の症例を
図1のデータベース10が記憶する処理に相当)と、前記過去の情報および過去の症例と、前記生体器官3次元モデルと、に基づいて、病変部(例えば、
図2の動脈瘤Xに相当)の位置と、該病変部および該病変部の周囲の形状と、を解析し、該病変部に適した管状治療具の規格の選定を行うマッチング処理ステップ(例えば、
図3のマッチング処理に相当)と、該選定した規格の管状治療具と前記生体器官3次元モデルとを合成して、治療結果予想図としての3次元データを生成するフィッティング処理ステップ(例えば、
図4のフィッティング処理に相当)と、前記選定結果を前記過去の情報および過去の症例に追加する情報追加ステップ(例えば、
図3のステップS4の処理に相当)と、を備えたことを特徴とするシミュレーション方法を提案している。
【0021】
この発明によれば、管状治療具を用いた治療に関する過去の情報および過去の症例と、患者の生体器官3次元モデルと、に基づいて、管状治療具の規格を選定する。このため、病変部の位置や、病変部および病変部の周辺の形状に応じて、患者の病変部に適した管状治療具の規格を選定できる。
また、選定した規格の管状治療具と生体器官3次元モデルとを合成して治療結果予想図としての3次元データを生成する。この3次元データを表示装置(例えば、後述の表示手段や外部モニタなど)に表示させれば、医師は、治療結果予想図を確認することで、病変部と管状治療具との位置関係をイメージすることができ、管状治療具の留置を術前に想定できる。
以上によれば、管状治療具を用いた治療方針の検討を容易化できる。
【0022】
(8) 本発明は、(7)のシミュレーション装置について、前記生体器官3次元モデルが、分岐(例えば、
図2の胸部大動脈A1と、腕頭動脈A10、左総頸動脈A20、および左鎖骨下動脈A30と、との分岐に相当)を有する血管の3次元血管モデルであり、前記マッチング処理ステップにおいて、前記分岐の位置や形状からなる分岐状態をも含む前記病変部に適した管状治療具の規格の選定を行うことを特徴とするシミュレーション方法を提案している。
【0023】
この発明によれば、血管の分岐の近傍に病変部が発生している場合に、この血管の分岐の位置や形状からなる分岐状態を考慮して管状治療具の規格を選定できる。
【0024】
(9) 本発明は、患者の生体器官3次元モデル(例えば、後述の3次元血管モデルAAに相当)に基づいて、体内留置型の管状治療具(例えば、
図5のステントグラフトBBに相当)を用いた治療方針に関するシミュレーションを行うシミュレーション方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記管状治療具を用いた治療に関する過去の情報および過去の症例を記憶する情報記憶ステップ(例えば、ステントグラフトを用いた治療に関する過去の情報および過去の症例を
図1のデータベース10が記憶する処理に相当)と、前記過去の情報および過去の症例と、前記生体器官3次元モデルと、に基づいて、病変部(例えば、
図2の動脈瘤Xに相当)の位置と、該病変部および該病変部の周囲の形状と、を解析し、該病変部に適した管状治療具の規格の選定を行うマッチング処理ステップ(例えば、
図3のマッチング処理に相当)と、該選定した規格の管状治療具と前記生体器官3次元モデルとを合成して、治療結果予想図としての3次元データを生成するフィッティング処理ステップ(例えば、
図4のフィッティング処理に相当)と、前記選定結果を前記過去の情報および過去の症例に追加する情報追加ステップ(例えば、
図3のステップS4の処理に相当)と、をコンピュータに実行させるためのプログラムを提案している。
【0025】
この発明によれば、管状治療具を用いた治療に関する過去の情報および過去の症例と、患者の生体器官3次元モデルと、に基づいて、管状治療具の規格を選定する。このため、病変部の位置や、病変部および病変部の周辺の形状に応じて、患者の病変部に適した管状治療具の規格を選定できる。
また、選定した規格の管状治療具と生体器官3次元モデルとを合成して治療結果予想図としての3次元データを生成する。この3次元データを表示装置(例えば、後述の表示手段や外部モニタなど)に表示させれば、医師は、治療結果予想図を確認することで、病変部と管状治療具との位置関係をイメージすることができ、管状治療具の留置を術前に想定できる。
以上によれば、管状治療具を用いた治療方針の検討を容易化できる。
【0026】
(10) 本発明は、(9)のプログラムについて、前記生体器官3次元モデルが、分岐(例えば、
図2の胸部大動脈A1と、腕頭動脈A10、左総頸動脈A20、および左鎖骨下動脈A30と、との分岐に相当)を有する血管の3次元血管モデルであり、前記マッチング処理ステップにおいて、前記分岐の位置や形状からなる分岐状態をも含む前記病変部に適した管状治療具の規格の選定を行わせるためのプログラムを提案している。
【0027】
この発明によれば、血管の分岐の近傍に病変部が発生している場合に、この血管の分岐の位置や形状からなる分岐状態を考慮して管状治療具の規格を選定できる。