特許第6053126号(P6053126)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6053126
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】周波数偏差抑圧支援装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/015 20060101AFI20161219BHJP
【FI】
   H04B7/015
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-240934(P2012-240934)
(22)【出願日】2012年10月31日
(65)【公開番号】特開2014-93547(P2014-93547A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2015年10月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】柴田 孝基
(72)【発明者】
【氏名】小野 芳人
【審査官】 前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−285167(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0265997(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0286473(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信アンテナに到来した放送波の周波数変換により生成されて送信アンテナから放射された再放送波の前記受信アンテナへの回り込み波が前記放送波に重畳されてなる合成波の帯域の内、周波数軸上で前記回り込み波の搬送波及び側波帯の周波数を含む特定の帯域に分布する電力を求める電力取得手段と、
前記周波数軸上における前記回り込み波の搬送波及び側波帯の周波数を含む特定の帯域に分布する電力について、前記放送波の周波数変換に供される局発信号の周波数にオフセットがないときの前記回り込み波の搬送波の周波数を基準とする分布の偏りが減少する方向に、前記放送波の周波数変換に供される局発信号の周波数を更新する局発制御手段と
を備えたことを特徴とする周波数偏差抑圧支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の周波数偏差抑圧支援装置において、
前記周波数軸は、
前記放送波または前記回り込み波のオーバーサンプリングの下で離散周波数の列として与えられる
ことを特徴とする周波数偏差抑圧支援装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の周波数偏差抑圧支援装置において、
前記特定の帯域には、
前記放送波の搬送波成分が分布する
ことを特徴とする周波数偏差抑圧支援装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の周波数偏差抑圧支援装置において、
前記特定の帯域には、
前記放送波の搬送波成分が分布しない
ことを特徴とする周波数偏差抑圧支援装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の周波数偏差抑圧支援装置において、
前記放送波が無変調波である
ことを特徴とする周波数偏差抑圧支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回り込み経路を有する伝送系において、周波数変換により生成された送信波の周波数偏差の要因となる局発周波数の誤差を是正する周波数偏差抑圧支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
AM方式のラジオ放送波をトンネル等の内部に再送信する中継装置には、再送信された放送波の回り込みに起因する種々の問題を解決するために、回り込みキャンセラが搭載される。
図3は、回り込みキャンセラが搭載された中継装置の構成例を示す図である。
【0003】
図において、放送局からアンテナ41に到来した放送波は、局部発振器42が生成する局発信号(周波数=fLr)に基づいて周波数変換器43が行う周波数変換の下で、ベースバンド信号に変換される。このようなベースバンド信号は、後述する回り込み経路の伝送路推定の下でその回り込み経路の遅延時間,振幅比,および位相に基づいて生成した逆位相波を用いた回り込み波の削除が加算器44によって施され、制御部50からの設定に応じて周波数オフセット付加部52が電波法で既定されている再放送波の周波数許容偏差以内の周波数オフセットを周波数変換器47で付加し、かつ局部発振器46によって生成された局発信号(周波数=fLt)に基づいて周波数変換器48が行う周波数変換の下で、所望の周波数の再放送波に変換されてアンテナ49からトンネル等の内部に放射される。
【0004】
一方、制御部50は、以下の処理を行う。
(1) 配下の周波数オフセット付加部52によって生成される周波数オフセット量の周波数を所定のインターバルで2通りの周波数Δf,(Δf+k)に切り替え、これらの周波数の周波数オフセット量に応じて個別に得られるベースバンド信号を示す式の対からなる連立方程式の解として、回り込み経路の伝送路推定を行う。
【0005】
(2) このような伝送路推定の結果として得られた上記回り込み経路の遅延時間,振幅比,および位相より回り込み波が相殺されるタップ係数をトランスバーサルフィルタ51に設定する。
【0006】
トランスバーサルフィルタ51は、周波数変換器48を介してアンテナ49に給電される再放送波の一部に上記係数に基づく濾波処理を施すことによって、既述の回り込み経路で生じる歪みと逆位相の帰還信号を生成する。
【0007】
加算器44は、上記ベースバンド信号にこのような帰還信号を加算することによって、回り込みの相殺を図る。
ところで、本発明に関連性がある先行技術には、後述する特許文献1ないし特許文献3があった。
【0008】
(1) 「無線機に、周波数(fL2/m)の第2基準データを印加すると共に、比較部の出力及び印加する第2初期データが書き込まれ/読み出される第2記憶部4bと、比較部の出力を用いて第2局発信号の周波数を制御する電圧を生成する第2制御電圧生成部6と、スイッチ部SW1〜SW7とを設け、外部からのスイッチ駆動信号により、対応するスイッチを駆動して、比較部の入力側に周波数(fL2±Δε2)/mの分周第2局発信号と第2基準データを加え、比較部の出力を第2記憶部と第2制御電圧生成部に送出して、第2局発信号の周波数誤差(±Δε2)も抑圧する」ことにより、「中間周波数の周波数誤差を抑圧すると共に、工場調整時に周波数調整工数の削減を図る」点に特徴がある局発信号の自動周波数制御方法…特許文献1
【0009】
(2) 「VCXOを制御する前後の受信電力を比較判定するレベル比較部と、AFC部出力の位相誤差情報と、レベル比較部出力の判定情報を入力して位相情報を算出して出力するAFC補正部と、AFC部出力及びAFC補正部出力を入力して無線制御部によって出力情報を切替えるSWを有し、AFC部出力の位相誤差情報によってVCXOを制御し、AFC補正部出力の位相情報によってVCXOの制御を行う」ことにより、「遅延検波方式を用いた端末の受信装置において、基地局または発呼側端末との周波数偏差Δfが、1/8≦|Δf・T|<1/4(T:シンボル周期)の関係となる場合でも、基地局または発呼側端末に周波数を追従させることが可能である」点に特徴があるAFC回路…特許文献2
【0010】
(3) 「受信されたRF信号が周波数変換されて得られたIF信号を復調する復調手段と、前記IF信号に含まれる搬送波周波数誤差を検出する検出手段と、前記復調手段の復調処理における周波数の初期値を設定するとともに、前記検出手段により検出された前記搬送波周波数誤差に基づいて、前記復調手段の復調処理に用いられる周波数の周波数誤差を補正する周波数制御手段と、受信チャンネルが切り替えられた場合、前記検出手段により検出された受信チャンネル切り替え前の前記搬送波周波数誤差に基づいて、受信チャンネル切り替え後の前記周波数制御手段による前記復調手段の復調処理における周波数の初期値の設定を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記検出手段により検出された受信チャンネル切り替え前の前記搬送波周波数誤差に基づいて、前記復調手段の復調処理に用いられる周波数の初期値が希望波の中心周波数であった場合に対応する周波数誤差を算出する誤差算出手段と、前記誤差算出手段により算出された周波数誤差と、周波数誤差が生じないときのチャンネルの変更前後の局発信号周波数の比に基づいて、チャンネル切り替え後の周波数誤差を推定する推定手段と、前記推定手段により推定された受信チャンネル切り替え後の周波数誤差に基づいて、前記復調手段の復調処理における周波数の初期値を算出する初期値算出手段とを備える」ことにより、「信号を受信する場合に、速やかに周波数誤差のないベースバンド信号を得る」点に特徴がある受信装置…特許文献3
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平6−21772号公報
【特許文献2】特開2001−237906号公報
【特許文献3】特許第4849329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、上述した従来例では、再放送波の周波数には、局部発振器46によって生成される局発信号の周波数fLtの偏差に起因して誤差を生じる。
【0013】
また、このような誤差は、各部の特性の経年や環境条件に応じても変化し、かつ回り込みキャンセラの性能を左右し得る要因であるために、安価に精度よく圧縮できる技術が強く要望されていた。
【0014】
なお、AM方式のラジオ放送の分野における再放送波の周波数許容偏差は、0.1%以内、すなわち、531kHzないし1602kHzの中波の放送帯域では、±265.5Hzと、さほど厳しい値ではない。
【0015】
すなわち、再放送のために回り込みキャンセラが適用されない場合には、上記誤差は、十分に許容可能な限度内のものであるために、従来は、特段の対処が図られていなかった。
【0016】
本発明は、構成が大幅に複雑化したりコストが増加することなく、経年変化および環境条件に柔軟に追従して周波数変換を安定に精度よく実現できる周波数偏差抑圧支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1に記載の発明では、電力取得手段は、第一の信号の周波数変換により生成された第二信号の回り込み波が前記第一の信号に重畳されてなる合成波の帯域の内、周波数軸上で前記回り込み波の搬送波の周波数を含む特定の帯域に分布する電力を求める。局発制御手段は、前記周波数軸上における前記電力の分布の偏りが減少する方向に、前記周波数変換に供される局発信号の周波数を更新する。
【0018】
すなわち、周波数変換の下で生成された第二の信号の占有帯域または搬送波周波数は、その周波数変換に供された局発信号の周波数に偏差があっても、精度よく周波数軸上の正規の位置に収束し、かつ安定に維持される。
【0019】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の周波数偏差抑圧支援装置において、前記特定の帯域には、前記合成波の側波帯の成分が含まれる。
【0020】
すなわち、周波数変換に供された局発信号の周波数の偏差は、その周波数変換の下で生成された第二の信号の搬送波成分だけではなく側波帯の成分の電力の偏りに基づいて識別される。
【0021】
請求項3に記載の発明では、請求項1に記載の周波数偏差抑圧支援装置において、前記特定の帯域には、前記第一の信号の搬送波成分が分布する。
【0022】
すなわち、周波数変換の下で生成された第二の信号の占有帯域または搬送波周波数は、その周波数変換の対象となった第一の信号が非搬送波抑圧型の変調方式に基づいて生成された場合であっても、この変調方式に整合した周波数スペクトルの分布に基づいて周波数軸上の正規の位置に精度よく収束し、かつ安定に維持される。
【0023】
請求項4に記載の発明では、請求項1に記載の周波数偏差抑圧支援装置において、前記特定の帯域には、前記第一の信号の搬送波成分が分布しない。
【0024】
すなわち、周波数変換の下で生成された第二の信号の占有帯域または搬送波周波数は、その周波数変換の対象となった第一の信号が搬送波抑圧型の変調方式に基づいて生成された場合であっても、この変調方式に整合した周波数スペクトルの分布に基づいて周波数軸上の正規の位置に精度よく収束し、かつ安定に維持される。
【0025】
請求項5に記載の発明では、請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の周波数偏差抑圧支援装置において、前記第一の信号が無変調波である。
【0026】
すなわち、周波数変換に供された局発信号の周波数の偏差は、第一の信号が無変調波である場合、あるいは変調されていない期間においても、識別可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明が適用された装置やシステムは、局発信号の周波数の偏差に起因する性能や仕様の劣化および低下から免れる。
本発明は、第二の信号に適合した多様な変調方式に対する柔軟な適応が可能となる。
本発明は、変調方式や運用の形態が多様な装置およびシステムに柔軟に適応可能となる。
したがって、本発明が適用された装置やシステムは、コストが大幅に増加することなく、付加価値および信頼性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態を示す図である。
図2】本実施形態の動作を説明する図である。
図3】回り込みキャンセラが搭載された中継装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す図である。
本実施形態と、図3に示す従来例との構成の相違点は、以下の点にある。
(1) 制御部50の特定の出力と周波数変換器43の出力とに接続された周波数オフセット推定・補正部11が備えられる。
(2) 周波数変換器47、48の段間に配置され、かつ周波数オフセット推定・補正部11の制御端子に接続された周波数変換器12が備えられる。
【0030】
図2は、本実施形態の動作を説明する図である。
以下、図1および図2を参照して本実施形態の動作を説明する。
【0031】
本発明の特徴は、本実施形態では、既述の局発信号の周波数fLtが後述するように局部発振器46によって設定され、局部発振器46が持つ周波数オフセット量を周波数オフセット推定・補正部11において推定し,補正値が周波数変換器12に適宜設定される点にある。
周波数オフセット推定・補正部11は、後述する手順に基づいて局部発振器46が本来与えるべき局発信号の周波数fLtに対する周波数オフセット量を推定し、補正値を周波数変換器12に与え、かつ更新する。
【0032】
アンテナ41に到来した放送波は、アンテナ49から放射された再放送波の回り込み成分が重畳されて周波数変換器43に入力される。以下、このような再放送波の回り込み成分が重畳された放送波を「回り込み重畳波」という。
【0033】
周波数変換器43は、その回り込み重畳波を周波数変換することによりベースバンド領域の信号(以下、「ベースバンド信号」という。)を生成する。
周波数オフセット推定・補正部11は、以下の処理を行う。
【0034】
(1) オーバーサンプリングの下で上記ベースバンド信号を離散フーリエ変換することにより、そのベースバンド信号の周波数スペクトルを求める。
【0035】
(2) この周波数スペクトルの内、上記放送波の搬送波成分およびその近傍の帯域における周波数スペクトルの分布を求める。
【0036】
(3) その分布の周波数軸上における偏りを判別し、この偏りが減少する(緩和される)方向に、局発信号の周波数fLtに対する周波数オフセット補正値を更新する。
【0037】
このような周波数軸上における偏りは、例えば、図2(a)に太い実線で示す搬送波成分が周波数軸上で高い方向にシフトした状態では、図2(b)に点線枠で示すように、シフトした搬送波成分に隣接してレベルに較差がある2つの離散周波数として観測される。
【0038】
また、このような偏りは、反対に、周波数軸上で低い方向にシフトした状態では、シフトした搬送波成分に隣接してレベルに較差がある2つの離散周波数として観測される。
【0039】
すなわち、周波数オフセット推定・補正部11は、このような2つの離散周波数のレベルの較差を所定の頻度(周期)で監視し、その較差が圧縮される方向に局発信号の周波数fLtに対する周波数オフセット補正値を更新する。
【0040】
したがって、本実施形態によれば、図3に示す従来例に比べて、構成が大幅に変更されることなく、アンテナ41に到来した放送波の再送信波を生成するために周波数変換器48によって行われる周波数変換が精度よく安定に実現される。
【0041】
なお、本実施形態では、トンネル内にAM方式のラジオ放送波を再送信する中継装置において、回り込みのキャンセルの後に再送信波を生成する周波数変換に供される局発信号の周波数の偏差が精度よく安定に圧縮されている。
【0042】
しかし、本発明は、このような用途に限定されず、例えば、所望の変調波(無変調波であってもよい。)の周波数変換が望ましい形態で実現されるべき多様な装置にも、同様に適用可能である。
【0043】
また、本実施形態では、既述の回り込みキャンセラの方式は、如何なるものであってもよい。
【0044】
さらに、本実施形態では、周波数変換器43には、アンテナ41に到来した放送波が入力されている。
【0045】
しかし、このような放送波は、メタリックなケーブルや光伝送路を介して与えられてもよく、かつ周波数変調波や位相変調波だけではなく、搬送波抑圧形のAM変調方式あるいは拡散符号との乗算(実質的な振幅変調)に基づいて生成された信号であってもよい。
【0046】
また、本実施形態では、ベースバンド信号の周波数スペクトルの分布の偏りは、オーバーサンプリングの下で2つの離散周波数のレベルの較差として識別されている。
【0047】
しかし、このような偏りは、例えば、周波数軸上で正規の搬送波周波数を基準とする所定の複数の帯域(ベースバンド信号の側波帯の一部であってもよい)に分布する電力の較差として識別されてもよい。
【0048】
さらに、本実施形態では、ベースバンド信号の周波数スペクトルの偏差が局発信号の周波数fLtの更新の基準として参照されている。
【0049】
しかし、本発明は、このような周波数スペクトルの偏差は、例えば、以下の要件(1),(2)の双方が成立する期間に限って局発信号の周波数fLtが更新されてもよい場合には、回り込み波のキャンセルの結果として加算器44によって生成された信号の周波数スペクトルの偏差で代替されてもよい。
【0050】
(1)トランスバーサルフィルタ51および加算器44の連係による回り込み波のキャンセルの精度が十分に高い。
(2) その精度が変動しない。
【0051】
また、本実施形態では、周波数オフセット補正値が算出される過程において、例えば、搬送波の周波数近傍の電力の総和に基づいて既述の較差が正規化されることにより、精度の向上および安定化が図られてもよい。
更に、本実施形態では、周波数オフセット補正値が算出される過程において、例えば、搬送波の周波数近傍の電力の総和に基づいて正規化された較差の大きさが周波数オフセットの大きさに対応(比例)することから、正規化された較差の大きさに応じて周波数オフセット補正値を適応的に変えて、周波数オフセットを補正する追従性能を高めてもよい。
【0052】
さらに、本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の範囲において多様な実施形態の構成が可能であり、構成要素の全てまたは一部に如何なる改良が施されてもよい。
【0053】
以下、本願に開示された発明の内、「特許請求の範囲」に記載しなかった発明の構成、作用および効果を「特許請求の範囲」、「課題を解決するための手段」および「発明の効果」の各欄の記載に準じた様式により列記する。
【0054】
[請求項6] 請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の周波数偏差抑圧支援装置において、
前記周波数軸は、
前記第一の信号または前記第二の信号のオーバーサンプリングの下で離散周波数の列として与えられる
ことを特徴とする周波数偏差抑圧支援装置。
このような構成の周波数偏差抑圧支援装置では、請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の周波数偏差抑圧支援装置において、前記周波数軸は、前記第一の信号または前記第二の信号のオーバーサンプリングの下で離散周波数の列として与えられる。
すなわち、周波数変換に供された局発信号の周波数の偏差は、オーバーサンプリングに基づいて識別可能な離散周波数毎の電力の分布の偏差として識別可能となる。
したがって、ディジタル信号処理の利点が積極的に反映され、ハードウェアの規模が増加することなく、応答性および精度の向上が容易に実現可能となる。
[請求項7] 請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載の周波数偏差抑圧支援装置において、
前記電力取得手段は、
所望の応答性または精度が達成される頻度またはインターバルで、前記特定の帯域に分布する電力を求める
ことを特徴とする周波数偏差抑圧支援装置。
このような構成の周波数偏差抑圧支援装置では、請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載の周波数偏差抑圧支援装置において、前記電力取得手段は、所望の応答性または精度が達成される頻度またはインターバルで、前記特定の帯域に分布する電力を求める。
すなわち、周波数変換に供された局発信号の周波数の偏差は、本発明が適用された装置やシステムのニーズに適した形態で圧縮される。
したがって、所望の性能および仕様に対する柔軟な適応が可能となる。
【符号の説明】
【0055】
11 周波数オフセット推定・補正部
12,43,47,48 周波数変換器
41,49 アンテナ
42,46 局部発振器
44 加算器
50 制御部
51 トランスバーサルフィルタ
52 周波数オフセット付加部
図1
図2
図3