(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、特許文献1のようなOCTの計測結果においては、得られる情報が構造情報のみであり、例えば、血管とリンパ管など、同じ管状構造でありながら機能が異なる器官の信号に大きな差はない。そのため、信号処理によって血管を検出する際に、リンパ管など血管以外の管状構造も同時に検出されてしまう問題がある。その一方で、特許文献2,3に示される分光情報を利用するNBIやIHbの手法では、深さ分解能が落ちるため、OCTで実現される高い分解能で血管の深さ情報を得ることはできない。OCTと分光による血液分析装置を兼用した特許文献4の手法でも、分光情報が得られるのは主に観察試料表面のみであり、OCTで取得可能な断層方向の血液分析は困難であった。
【0009】
今までの議論は血液分析を例に挙げたものであるが、血管に含まれる血液以外を検査対象としても分光評価とOCT計測を同時に行うことは各々の計測原理上困難である。OCTは光断層画像を取得するために低コヒーレント長の測定光(計測光)、すなわち広帯域な波長スペクトルを有する測定光を照射する必要があり、高速測定時にはその波長スペクトルを深さ方向の構造情報を取得するために利用する。一方で、分光評価では、取得した分光スペクトルから検査対象特有の光学変化を抽出する。つまり、両者を同時に評価することは難しく、特許文献4においても別々の評価装置を組み合わせる構成を取らざるを得なかった理由となっている。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、検査対象物質の分光特性に注目し、OCTとは異なる手法にて光断層観察を行うと同時に検査対象物質の断層方向分布を表示することが可能な光断層観察装置及び方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の光断層観察装置は好適には、光源ユニットと、光観察ヘッドユニットと、光検出ユニットと、制御部と、信号処理部と、情報入出力部を有する。
【0012】
光源ユニットは、少なくとも2つの異なる波長のレーザ光を出射する。光観察ヘッドユニットは、光源ユニットから出射した異なる波長のレーザ光を含む光束を第1と第2の光束とに分割する第1の光学素子と、第1の光束を試料に集光して照射し試料から反射された反射光を信号光として受光する対物レンズと、第2の光束を試料に照射せずに参照光として反射させる反射鏡と、信号光と参照光を合波する第2の光学素子と、対物レンズを少なくとも光軸方向に駆動するアクチュエータとを有する。光検出ユニットは、複数の光検出器と、信号光と参照光を各光検出器上において互いに異なる位相関係で干渉させる干渉光学系とを有する。制御部は、アクチュエータ及び異なる波長のレーザ光の発光状態を制御する。信号処理部は、波長毎に複数の光検出器の出力を入力とする演算を行って検出信号を取得し、異なる波長に対する検出信号の比を試料内の位置毎に算出することで試料内における検査対象の断層分布を求める。情報入出力部は、光観察ヘッドユニットにて観察すべき試料内の位置を入力する入力部と、検査対象の断層分布を表示する表示部とを有する。
【0013】
これにより、複数の光検出器で、参照光と試料に当たって反射してきた信号光を合波し、干渉効果により信号光を増幅することができるため、微小な反射信号を高S/Nで検出することができる。すなわち、高感度
な光断層観察が可能になる。更に、複数波長での検出信号の比が、検査対象となる物質の存在比を反映するものとなるため、検査対象の断層分布結果も同時に表示可能となる。
【0014】
第1の具体的な光断層観察装置の構成として、光源ユニットは、異なる波長を出射するための少なくとも2つのレーザ素子、及び少なくとも2つのレーザ素子からの光束を合波する光学素子を有しており、光観察ヘッドユニットに用いる対物レンズは、少なくとも2つの異なる波長に対応する構成とした。光源ユニットで対応可能な波長を増やすことで、検査対象物質を増やしたり、検査対象の測定精度を高めたりすることが可能となる。
【0015】
第2の具体的な光断層観察装置の構成として、光源ユニットに2つの波長を選択的に出射することができる二波長半導体レーザを、光検出ユニットに4つの光検出器を用い、干渉光学系において複数の光検出器上に光束を導くために回折格子を使用することで、光学系の小型化が可能となる。このとき二波長半導体レーザの波長をλ
1,λ
2(λ
1>λ
2)、二波長半導体レーザにおける出射面上の発光点のシフト量をΔS、回折格子のピッチ間隔をd、回折格子から4つの光検出器の検出面までの距離をL、二波長半導体レーザの発光点面と光検出器の検出面での結像倍率をM、4つの光検出器の中で最も大きな光検出器の大きさをAとすると、Aが式(1)を満たすことにより、異なる波長の干渉光を同一光検出器にて受けることができるため、光検出部の小型化が可能となる。
【0016】
【数1】
【0017】
更に、信号処理部において二波長半導体レーザの発光点シフト量に伴う試料上での集光点シフト量をメモリ部に格納し、メモリ部より引き出した集光点シフト量を補正した位置データにて2つの波長における検出信号の比の演算を行い、検査対象の断層分布結果を表示することで、二波長半導体レーザの使用により発生する発光点シフトの影響を無効化することが可能となる。二波長半導体レーザ、回折格子、上式(1)で示される好適なサイズの光検出器、集光点シフト量を補正する信号処理部を備えることで、多くの光学部品を異なる波長の測定時に共通化できるため、光断層観察装置の小型化・低コスト化が可能となった。
【0018】
第3の具体的な光断層観察装置の構成として、光源ユニットと、光観察ヘッドユニットと、光検出ユニットと、制御部と、信号処理部は、接続コネクタを有しており、光源ユニットと、光観察ヘッドユニットと、光検出ユニットは、制御部と信号処理部に対し、各々が配線を含む接続ユニットと接続コネクタを介して、電気的に接続するようにした。このような構成とすることで、制御部と信号処理部からなる解析装置を、モジュール化した光源ユニット、光観察ヘッドユニット、光検出ユニットから配線長を長くするだけで遠ざけることが可能となり、解析装置をバックヤードに退避させた状態での光断層観察が可能となった。
【0019】
第4の具体的な光断層観察装置の構成として、光源ユニットと、光観察ヘッドユニットと、光検出ユニットは配線コネクタ及び光ファイバコネクタを有しており、制御部と信号処理部は配線コネクタを有している。また、光源ユニットと、光観察ヘッドユニットと、光検出ユニットは、制御部と、信号処理部に対し各々が配線を含む接続ユニットと配線コネクタを介して、電気的に接続されている。更に、光観察ヘッドユニットは、光源ユニットと、光検出ユニットに対し、各々が光ファイバを含む接続ユニットと光ファイバコネクタを介して、光学的に接続するようにした。このような構成とすることで、光観察ヘッドユニットの交換、メンテナンスが簡易になるだけでなく、配線長を長くすることで、光観察ユニットのみを遠くまで移動させることが可能となり、マイクロスコープを用いた手軽な観察のように光断層観察を行うことができる。
【0020】
本発明の光断層観察方法は、検査対象とする材料に対し光学的感度が異なる複数の波長のレーザ光を含む光束を第1と第2の光束とに分割し、第1の光束を試料に集光して照射し、試料から反射された信号光を複数の光検出器に導き、第2の光束を試料に照射せずに参照光として複数の光検出器に導き、複数の光検出器上で信号光と参照光を両者の光学的な位相関係が互いに異なる状態で光学的に干渉させる。そして、複数の波長の各々に対して複数の光検出器からの出力を入力とする演算を行い、演算の結果を第1の光束の集光点での試料内構造を反映した検出信号として取得し、試料内の同一集光点における各波長での検出信号の強度比を演算し、試料内での第1の光束の集光位置を変えながら検出信号を取得することにより、試料内の断層方向における検査対象の存在分布を可視化して試料の断層観察を行う。
【0021】
このようにOCTとは異なる、ホモダイン光干渉技術を用いることで、一般的な半導体レーザのような高コヒーレント光源、すなわち単一波長光源を用いた光断層観察が可能となる。更に、検査対象物質の光学的感度が異なる複数の波長が利用可能な光源ユニットを用意し、複数波長での測定結果を比較することで、検査対象物質の光断層方向の存在分布の可視化が可能となる。
【0022】
また、複数の波長を有する光束を試料に対し時間的に分割して照射することで、複数の波長に対して検出信号を取得するための光検出器を共用できる。これは、光断層観察装置の小型化、信号伝送の簡素化に関して有用である。
【0023】
更に、演算の調整を行うことで、光学系が不完全又は不安定な状況においても、干渉状態によらない検出信号を得ることができる。具体的には、干渉信号を取得する光検出器が4個の場合、参照光と信号光の間の位相関係は、第1の光検出器上と第2の光検出器上では互いに略180度異なり、第3の光検出器上と第4の光検出器上では互いに略180度異なり、第1の光検出器上と第3の光検出器上では略90度異なるようにする。これにより、略360度の位相関係のうち、略90度ずつずれた4つの位相状態を同時に検出することができる。検出信号は光の位相状態の360度の変化に応じて正弦波状に変化するため、略90度ずつ位相状態のずれた4つの信号を観測することで、任意の位相状態での信号状態を演算によって再現することが可能になる。すなわち任意の位相状態での安定した検出が実現される。演算として、第1の光検出器と第2の光検出器の差動信号と、第3の光検出器と第4の光検出器の差動信号との、2乗和とした。
【0024】
このとき、4つの干渉信号を取得する光学系などが理想的な状態からずれている場合も、位相ダイバーシティ検出と呼ばれる演算により干渉位相に依存しない一定の出力信号を得ることが可能となる。また、干渉信号を取得する光検出器を3個として、参照光と信号光の間の位相関係は、第1の光検出器上から第3の光検出器まで互いに120度異なるようにし、第1の光検出器から第3の光検出器の信号を2次多項式演算し、検出信号としても良い。光検出器を減らすことで光検出ユニットの小型化、電気回路の簡素化が実現できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、OCTとは異なる手法による干渉型の光断層観察、検査対象物質の断層方向分布表示を同時に行う光断層観察装置を提供することができる。
【0026】
上記した以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0029】
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1による光断層観察装置のブロック図である。この光断層観察装置は、光源ユニット101、光観察ヘッドユニット102、光検出ユニット103、制御部104、信号処理部105、及び情報入出力部106を備える。
【0030】
まず、本装置にて光断層構造を観察するための動作について説明する。
【0031】
制御部104に含まれるマイクロプロセッサ111は、制御信号ケーブル112にて接続された情報入出力部106に含まれる入力装置113より送られてくる、光断層観察条件に対応した測定用変調信号を作成し、変調信号をレーザドライバ114へ送信する。
【0032】
光源ユニット101は、第1の光源115、第2の光源116、及びダイクロイックミラー117を備える。第1の光源115及び第2の光源116は、いずれもレーザドライバ114から出力される変調信号にて交互に時分割駆動される。本実施例では、第1の光源に波長780nmの半導体レーザを、第2の光源に波長660nmの半導体レーザを使用した。また、ダイクロイックミラー117は、第1の光源115の波長に対し透過、第2の光源116の波長に対し反射になるよう設計することで、ダイクロイックミラー117通過後にいずれの光源の光束も同一光軸となるよう調整されている。これによって、複数波長を用いた光学系の簡素化が実現されている。
【0033】
第1の光源115あるいは第2の光源116から出射し、ダイクロイックミラー117を通過した光束は、光観察ヘッドユニット102に導かれる。続いて、光観察ヘッドユニット102に導かれた光束は、λ/2板118を透過する。ここで、λ/2板118の光学軸方向は水平方向に対して22.5度に設定されており、光束の偏光方向が45度回転させられる。偏光ビームスプリッタ119は垂直偏光を反射し、水平偏光を透過する性質を有しており(本発明に用いられるいずれの偏光ビームスプリッタも同一の性質を有する)、偏光の回転した光は偏光ビームスプリッタ119によって反射する垂直偏光の光束と透過する水平偏光の光束とに分割される。このうち反射された光束は、第一のコリメートレンズ120によって平行光とされたのち、λ/4板(軸方向:水平偏光方向に対して45度)121を通過し、アクチュエータ122に搭載された二波長用互換対物レンズ123によって試料124の内部に集光される。ここで、二波長用互換対物レンズ123を搭載しているアクチュエータ122をポジションコントローラ125からの制御信号を用いて駆動し、光スポット126を光軸方向(光断層方向)に走査することで、試料124から光断層深さに対応した反射光が得られる。
【0034】
アクチュエータは、例えば、ヨークと永久磁石からなる磁気回路と、対物レンズと駆動コイルを取付けた可動部と、この可動部を保持する固定部と、固定部に接続され可動部を弾性支持する支持部材によって構成することができる。ヨークと永久磁石からなる磁気回路で作られる磁界の中で、第1の駆動コイルに電流を流すと、ローレンツ力が発生して可動部が光軸方向に駆動される。同様にヨークと永久磁石からなる磁気回路で作られる磁界の中で、第2の駆動コイルに電流を流すと、ローレンツ力が発生して可動部が光軸と直交する方向に駆動される。すなわち、アクチュエータは、駆動コイルに印加する電流を変化させることで対物レンズを光軸方向及びそれと直交する方向に走査することができ、光スポットを走査して光断層画像を取得するために好適である。また、二波長用互換対物レンズは、異なる二波長の光束を同じ光スポット位置に集光することのできる既知の構成のレンズであり、本実施例では波長780nmの光束と波長660nmの光束を同じ位置に集光することのできるレンズを用いた。
【0035】
試料124からの反射光(以後、信号光と呼ぶ)は、照射時と逆の光路を辿り、偏光ビームスプリッタ119に水平偏光の状態で入射する。一方、偏光ビームスプリッタ119を透過した光束(以後、参照光と呼ぶ)は、コリメートレンズ127で平行光束とされた後、ミラー128で正反対の方向に反射され、λ/4板129(軸方向:水平偏光方向に対して45度)を往復で通過することにより偏光方向を垂直偏光とされ、偏光ビームスプリッタ119に再び入射する。ここで信号光と参照光が、偏光が直交した状態で合波され、光検出ユニット103に導かれる。
【0036】
光検出ユニット103に導かれた合波光束は、無偏光ハーフビームスプリッタ130によって透過光と反射光に2分割される。透過光は光学軸が水平方向に対して22.5度に設定されたλ/2板131を通過して偏光が45度回転し、ウォラストンプリズム132によってp偏光成分とs偏光成分に分離される。分離された光束は差動検出器133のフォトダイオード134,135にそれぞれ入射し、強度の差に比例した電気信号が差動検出器133から出力される。同様に、無偏光ハーフビームスプリッタ130を反射した光束は、光学軸が水平方向に対して45度に設定されたλ/4板136を通過した後にウォラストンプリズム137によって分離され、差動検出器138で検出される。後で述べるように、ウォラストンプリズム132,137で分離された後の光束はいずれも信号光と参照光とが干渉した干渉光であり、差動検出器133,138の出力は干渉成分を抽出したものになっている。
【0037】
差動検出器133,138の出力は、信号処理部105に送られる。出力信号は、信号処理部105に備えられたデジタル信号処理回路139に送られ、ここで光断層構造を反映した反射光の光強度としての検出信号を取得できる。得られた検出信号は復調回路140で復調された後、復号回路141に送られてメモリ部142に格納される。メモリ部142に格納された検出信号は、制御部104に備えられたグラフィックプロセッサ143によって、情報入出力部106に備えられた表示デバイス144に送られることにより、操作者は指定した位置の光断層観察像を確認することができる。
【0038】
ここで、上に述べた動作により干渉光が生成され、これによってOCTとは異なる原理で光断層構造に起因した反射光が得られる原理について述べる。無偏光ハーフビームスプリッタ130に入射する光束は、p偏光成分として信号光を、s偏光成分として参照光を含んでいるため、この偏光状態をジョーンズベクトルで表すと次式のようになる。
【0040】
ここでE
sは信号光の電場、E
rは参照光の電場である。また、このベクトルの第一成分はp偏光を、第二成分はs偏光を表す。この光束が無偏光ハーフビームスプリッタ130を透過し、λ/2板131を通過した後のジョーンズベクトルは次のようになる。
【0042】
次に、ウォラストンプリズム132によってp偏光成分とs偏光成分に分離されるため、分離された光束の電場はそれぞれ次のようになり、信号光と参照光の重ね合わせ、すなわち干渉光となっている。
【0044】
一方、無偏光ハーフビームスプリッタ130を反射した光がλ/4板136を通過した後のジョーンズベクトルは次のようになる。
【0046】
次に、ウォラストンプリズム137によってp偏光成分とs偏光成分に分離されるため、分離された光束の電場はそれぞれ
【0048】
となり、やはり信号光と参照光の重ね合わせ、すなわち干渉光となっている。従って4つの干渉光の強度はそれぞれ、
【数7】
となり、それぞれ第1項、第2項が信号光、参照光の強度成分を表し、第3項が信号光と参照光の干渉を表す項である。Δφは参照光の位相を基準とした信号光の位相であり、これが検出されるべき変調信号である。差動検出器133,138の出力はこれらの分岐光の強度の差分に比例するため、それぞれ次式のように表され、上記の干渉を表す項に比例した出力となっている。なお、説明を簡単にするため光検出器の変換効率は1とした。
【0050】
上記の差動検出器133,138の出力はデジタル信号処理回路139においてまずA/D変換された後、演算回路に入力され、下記演算の結果が出力される。
【0052】
以上のように、信号光と参照光の干渉光を生成し、これを検出することによって信号光の強度値の平方根に比例した信号を得ることも可能である。式(15)の平方根を省略すれば、信号光の強度値に比例した信号となる。式(15)は、電場の位相項を含まないため、これは既存の光増幅技術で必要となったナノメートル精度の高度な光路長補正が不要になることを示している。つまり、本検出方法を用いることにより、簡易な光干渉増幅技術が実現されている。
【0053】
続いて、本検出技術を用いて光断層観察が可能である理由を示す。本検出手法では、二波長互換対物レンズ123にて集光された光スポット126の物体面と、4つのフォトダイオード134,135の観察面は結像の関係にある。このとき、物体面から光断層方向に離れた位置では光スポット126はデフォーカスし、光の位相分布が乱れた状態となる。これは観察面となるフォトダイオード134,135上において、信号光と参照光の位相関係が乱れた状態を示しており、このとき十分な信号増幅が実現できない。
【0054】
一方、フォーカス状態での信号光と参照光は光検出器上で位相が揃った状態となるため、式(15)に示す信号増幅が実現される。これらの結果はすなわち、物体面に異種材料境界があるとき、すなわち反射率変化が起こるときのみ信号増幅が行われ、一方で一般的な光学観察手法においてデフォーカス状態で発生する迷光成分をカットできることを示している。
【0055】
本実施例では、検査対象の物質に20mmの厚み時に
図2に示すような分光特性を持つ水を用いた。
図2から分かるように、第1の波長780nmの光に対しては95%の透過率を持ち、第2の波長660nmの光に対しては100%の透過率を持っている。また、同物質2wt.%を含んだ厚み10μmのフィルムを光断層観察用サンプルとして準備した。フィルム材料は、第1、第2いずれの波長に対しても吸収がない光学プラスチック材料を使用した。
【0056】
図3に、第1の波長にて取得した規格化検出信号強度の光断層方向分布を示す。
図3を見ると分かるように、本光検出手法において、二波長互換対物レンズ123を光断層方向に変位させたとき、2つの検出ピークが確認できた。この検出ピーク間距離は10.1μmであり、光断層観察用サンプルの厚みそのものを示している。また、
図3において、検出ピークの幅は、この光断層観察における測定精度を反映したものとなっており、本実施例において第1の波長780nmにおける測定精度は、半値全幅3μmであった。本光検出技術の原理上この検出ピーク幅は、光スポット126の焦点深度に即したものとなっている。
【0057】
また、
図4に第2の波長にて取得した規格化検出信号強度の光断層方向分布を示す。
図4を見ると分かるように、
図3と同様に二波長互換対物レンズ123を光断層方向に変位させたとき、2つの検出ピークが確認できた。また、検出ピーク間距離も10.0μmとほぼ等しい。一方で、
図3に対し、以下2点で異なっている。1つ目の相違点は、検出ピーク幅が
図3に比べ、
図4の方が狭くなっている。これは、すなわち測定精度が向上したことを示している。この要因としては、短い波長及び高い開口数(高倍率レンズ)を用いたことにより、光スポット126の焦点深度が狭くなったことが原因である。2つ目の相違点は、
図3に比べ、
図4はフィルム内部での光量変化が小さくなっている。
図3の第1の波長を用いた測定では、変位量が少なくなる(マイナス側に向う)に従って、検出ピークの高さ、及びその中間地点での信号強度も減少していた。これは、
図3の第1の波長での測定では、フィルム内部を光が伝播する際に光吸収が発生していたことを示している。一方で、
図4の第2の波長での測定では、光吸収が発生していなかったのでフィルム内部での信号強度減少が確認されなかった。この傾向は、
図2の検出対象物質の分光特性と一致している。ここで、
図3及び
図4の測定結果から、第1及び第2の信号強度比を取ることでフィルム内に含まれる検査対象の含有量が推測可能となる。
【0058】
図5に、第1・第2の波長における検出信号強度比算出結果及び検査対象含有率分布を示す。光断層観察において構造に起因する検出ピークを除いた、変位量0〜−4μmの範囲に対して検出信号強度比を求めたところ、同強度比は装置校正時に含有率2%のリファレンスサンプルで求めた直線とほぼ同じ一致した。これは、すなわち本フィルム内には、光断層方向にて一様な2wt.%の検査対象物質が分布していることを示している。リファレンスサンプルの測定結果は、装置組立後に測定を行い、同測定データをメモリ部142に格納しておくことで、以降の測定ではリファレンス計測を不要とすることができる。
【0059】
[実施例2]
図6は、本発明の実施例2による光断層観察装置のブロック図を示したものである。本実施例では、光源ユニット101に二波長半導体レーザ601を、光検出ユニット103に集積光検出モジュールを用いることで、光断層観察装置の小型化、簡素化を行った。装置の基本的な構成及び動作は実施例1と同じである。構成の相違点に着目すると、光観察ヘッドユニット102から光検出ユニット103に光を導く際にコリメートレンズ602を追加し、集積光検出モジュールにコリメート光(平行光)を入射するようにしている。また、集積光検出モジュールは、回折格子603、位相板604、λ/2板605、ウォラストンプリズム606、集光レンズ607、4つのフォトダイオード608〜611、差動検出器612を備える。
【0060】
最初に、集積光検出モジュールの機能及び構成について説明する。
【0061】
図7は、集積光検出モジュールの各光学素子の機能を説明する概略図である。集積光検出モジュール内では、信号光と参照光が合波された光束(1)は、まず回折格子603にて±1次の回折光、すなわち2つの光束に分割され(2)、続いて、その2つの光束間でπ/2の位相差が付くように傾けて配置された位相板604を通過する(3)。その後、45度傾けたλ/2板605にて偏光方向が回転され(4)、ウォラストンプリズム606にて更に2つずつ、各々の偏光方向が90度ずつ異なっている計4種類の偏光に分割される(5)。
【0062】
図8に、集積光検出モジュールの構成図を示す。ウォラストンプリズム606を通過した各々の偏光方向が90度ずつ異なっている4つの光束は、集光レンズ607にてそれぞれが異なる4つのフォトダイオード608〜611に集光される。その後、差動検出器612から出力される信号は、実施例1と違いはないため詳細は省略する。
【0063】
図9に示すように、二波長半導体レーザは、半導体レーザ基板901上に半導体チップ(第1の光源)902、半導体チップ(第2の光源)903が結晶成長プロセスにて形成されており、いずれの半導体レーザチップも略直方体の形状をしている。半導体レーザ基板901は、サブマウント904とメタライズ層905を介して接着されている。
【0064】
サブマウント904は、アルティック(Al
2O
3・TiC)等によって形成された導電体である。また、メタライズ層905は、半導体レーザをサブマウントに物理的に固定すると共に半導体レーザの底面と電気的なコンタクトを形成するために設けられており、AuSn等の半田材料を用いることができる。二波長半導体レーザは、多重量子井戸構造を持つ半導体レーザを使用できる。これらの半導体レーザは、多層構造の劈開面の前後に、全反射による発振を励起するためのSiO
2やAl
2O
3等からなる反射膜が成膜されている。二波長半導体レーザは、GaAlAs系等、他の半導体材料を用いた他の構成のものであってもよい。
【0065】
本実施例では、半導体レーザ基板901材料としてGaAs基板、半導体チップ(第1の光源)902の材料としてGaAlAs、半導体チップ(第2の光源)903の材料としてInGaAlPを選択した。このとき第1の光源の波長は780nm、第2の光源の波長は660nmであり、実施例1と同様の波長となっている。また、第1の光源902と第2の光源903は、レーザドライバ114によって交互に時分割発光させることができる。二波長半導体レーザは、2種類の発振波長を有する光源を同一基板で大量生産できるため、低コスト、小型化、省電力駆動と様々な利点を有する一方、下記の様な問題が発生する。
【0066】
二波長半導体レーザでは、半導体チップ(第1の光源)902内に位置する第1の光源における発光点906、及び半導体チップ(第2の光源)903内に位置する第2の光源における発光点907が別の場所に存在するため、必ず発光点シフトΔSが存在する。この発光点シフトΔSは、実施例1にて説明した対物レンズにて集光された試料内の光スポット焦点面となる物体面、及びフォトダイオードの検出面となる観察面のいずれにおいても同様の発光点シフトとなってしまう。
【0067】
そこで、本実施例では、フォトダイオードの大きさ及び配置を工夫することで、発光点シフトが存在する二波長半導体レーザを用いたときでも簡素な構成で光断層観察を行うことができるようにした。その詳細を
図10に示す。集積ホモダイン検出モジュールにおいて観察面には、D1からD4の4つのフォトダイオードを配置する必要がある。観察面には
図7で説明したように回折格子603及びウォラストンプリズム606によって各波長毎に4つの光束に分割される。このとき、回折格子からの回折角α、回折格子への入射角β、回折格子ピッチd、入射光の波長λとすると、下記関係式を満たす。
【0069】
nは回折次数である。本実施例では入射光はコリメート光のためβは0度であることから、回折格子からの回折角αは次のように表わすことができる。
【0071】
ここで±1次の回折光のみに注目し(n=1)、回折格子から光検出器の検出面までの距離をL、二波長半導体レーザの出射面上の発光点のシフト量をΔS、二波長半導体レーザ発光点面と光検出器面の結像倍率をMとすると、観察面における二波長半導体レーザの異なる波長の光スポット間距離を求めることができる。この光スポット間距離が光検出器に求められるサイズAの最小値であり、次式で表わすことができる。
【0073】
なお、結像倍率Mは、二波長半導体レーザのコリメートレンズと光検出器手前の対物レンズの開口数比で求めることができる。更に光検出器に求められるサイズAの最大値は、回折格子にて分離した±1次光の光スポット間の距離と等しく次式となる。
【0075】
これら、式(18)、(19)を整理することで、次式を満たす光検出器を使用することで、発光点シフトが存在する二波長半導体レーザ使用時にも異なる波長の光スポットを同一光検出器で光検出することができる。
【0077】
以上は、フォトダイオードの検出面における発光点シフトの問題に対する対策であるが、対物レンズ123によって試料内に形成される第1の波長のスポット位置と第2の波長のスポット位置も、二波長半導体レーザの発光点シフトΔSに起因して、対物レンズの光軸に垂直な方向にずれる。そこで、本実施例では、信号処理部105のメモリ部142に予め二波長半導体レーザの発光点シフト量に伴う試料上での集光点シフト量を格納しておき、その集光点シフト量を参照して第1の波長による検出信号と第2の波長による検出信号が同じ光スポット位置の検出信号となるように2つの検出信号の組を選択し、2つの波長に対する検出信号の比の演算を行う。そのためには、アクチュエータ122による対物レンズ123の光軸方向に垂直な方向への移動量を試料上での集光点シフト量の整数倍あるいは整数分の1等に設定するのが好ましい。
【0078】
[実施例3]
図11は、本発明の実施例3における光断層観察装置のブロック図である。本実施例では、光源ユニット101、光観察ヘッドユニット102、光検出ユニット103をモジュール化し、制御部104及び信号処理部105との電気配線を接続ユニット1101を介して行うことで、電気配線の取り回し拡張性を図ったものである。電気配線の長さを変えることで、制御部104及び信号処理部105から光観察ヘッドユニット102までの距離、すなわち測定対象までの距離を変えることができ、制御部104及び信号処理部105からなる解析装置とモジュール化した検査装置の距離を離すことが可能となる。この変更に合わせて、光源ユニット101、光観察ヘッドユニット102、光検出ユニット103、制御部104、信号処理部105いずれにも配線コネクタ1102を追加した。更に、モジュールした光観察ヘッドユニット102に故障判別ユニット1103を追加した。故障判別ユニット1103は、光源ユニット101、光観察ヘッドユニット102、光検出ユニット103と電気接続されている。
【0079】
故障判別ユニット1103の光源ユニット101との電気接続は、二波長半導体レーザ601に設けられたバックモニタ光検出器に対して行われている。バックモニタ光検出器は、一般的な半導体レーザモジュールでパッケージ化されているものであり、半導体レーザの出力パワーを計測するのに用いられている。例えば、このバックモニタ信号を一定強度にするようにレーザドライバからの電流量を調整することで、環境条件が変化した場合でも所望の出力パワーが得られるような制御が行われる。すなわち、このバックモニタ検出器からの信号をチェックすることで、熱履歴による劣化や、電気的要因による故障で損傷しやすい半導体レーザ、すなわち光源ユニット101の交換が必要か判断することが可能となる。
【0080】
故障判別ユニット1103の光観察ヘッドユニット102との電気接続は、アクチュエータ122に対して行われる。アクチュエータ122は、前述したようにコイルに電気を流すことにより対物レンズを走査するために用いられており、走査、すなわちメカニカル駆動を行うため物理的劣化(摩耗)等が生じやすいだけでなく、想定外の電流がコイルに印加されると、アクチュエータ内電気回路のジュール発熱等で配線が切れてしまう、対物レンズ走査が不能になる故障が発生することがある。そこで、アクチュエータ122に印加する電流をチェックすることで、上記故障が発生していないか判別することが可能となる。
【0081】
故障判別ユニット1103の光検出ユニット103との電気接続は、フォトダイオード134,135に対して行われる。フォトダイオード134,135も、半導体レーザ同様に熱履歴による劣化や、電気的要因による故障で損傷しやすい素子であるが、それに加えて本発明のような光干渉計では、フォトダイオード自身が壊れていないケースでも、光観察ヘッドユニット102や光検出ユニット103内の光学部品(レンズ・プリズム・偏光板・フォトダイオード等)の位置ずれによって、所望の光干渉信号が得られなくなってしまう。こうした位置ずれは、温度変化の繰り返しや、落下・激突等の物理的衝撃によってもたらされるケースが多い。そこで、フォトダイオード134,135からの出力電圧より、本発明の装置起動時に所望の光干渉信号強度が得られているかチェックすることで、上記故障が発生していないか判別することが可能となる。
【0082】
故障判別ユニット1103は、上記故障を判別するための判別回路と、故障を起こしたユニットを明示するための表示部、更に装置より駆動電源が届いていなくても自立駆動できるようにするための電池部にて構成されている。
【0083】
その他基本的な構成、動作は実施例1及び実施例2と同じである。
図12を参照して、本実施例の故障検出ユニットによる故障判別の手順を説明する。制御部104に電源投入後、ステップ11に進み、故障検出ユニットは半導体レーザ601、アクチュエータ122及びフォトダイオード134,135の通電をチェックする。このとき異常を検出すればステップ21に進み、故障検出ユニット1103は、その表示部に「配線チェック必要」のアラートランプを点灯する。ステップ11で異常がなければステップ12に進み、制御部104にてレーザドライバ114を駆動し、故障検出ユニット1103は二波長半導体レーザ601のバックモニタ光検出器の出力から半導体レーザ出力を確認する。このとき異常を検知すればステップ22に進み、故障検出ユニット1103は、その表示部に「光源ユニット交換」のアラートランプを点灯する。ステップ12で異常が無い場合にはステップ13に進み、制御部104にてアクチュエータ122を駆動し、故障検出ユニット1103にてアクチュエータに流れる電流をモニタしてアクチュエータの動作確認を行う。ここで異常が検知されるとステップ23に進み、故障検出ユニット1103は、その表示部に「光断層観察ユニット交換(アクチュエータ)」のアラートランプを点灯する。
【0084】
ステップ13で異常がなければステップ14に進み、制御部104にてレーザドライバ114を駆動し、故障検出ユニット1103にてフォトダイオード134,135の出力を確認する。このとき、いずれかのフォトダイオードからの入力信号が未検出であればステップ24に進み、故障検出ユニット1103は、その表示部に「光検出ユニット交換(フォトダイオード)」のアラートランプを点灯する。また、複数のフォトダイオードからの入力信号強度バランスずれを検出したときはステップ25に進み、故障検出ユニット1103は、その表示部に「光検出ユニット交換(光干渉計不良)」のアラートランプを点灯する。
【0085】
本実施例において、
図12の様な故障判別フローを行うことで、光干渉計として機械振動及び熱的影響を受けやすいモジュール化した光源ユニット101、光観察ヘッドユニット102、光検出ユニット103を一括して交換することが可能となり、高いメンテナンス性が実現できる。
【0086】
[実施例4]
図13は、本発明の実施例4における光断層観察装置のブロック図である。本実施例では、接続ユニット1101に、実施例3のような電気配線だけではなく、光ファイバ1301も含めることで、光観察ヘッドユニット102のみを装置本体から離して使用できるようにしたものである。光観察ヘッドユニット102のみを単体のユニットとすることで、更なる軽量化が図られ、既存のファイバースコープと同様の使いまわしを実現することができる。この変更に合わせて、光源ユニット101、光観察ヘッドユニット102、光検出ユニット103いずれにも光ファイバコネクタ1302を追加した。更に光ファイバコネクタ1302の前後に、コリメートレンズ1303、集光レンズ1304を設置することで、光学系の機能としては実施例1から実施例3までと変わらないようにした。
【0087】
更に、本実施例では光検出ユニット103の構成を変更し、これまでの実施例の4つの光検出器から3つの光検出器に個数を削減した簡素な構成を採用した。光検出ユニット103において、入射光束を無偏光ビームスプリッタ1305,1306によって3つに分割し、そのうち1つの光束はs偏光がp偏光に対して120度の位相差を生じる位相板1307を,別の光束にはs偏光がp偏光に対して240度の位相差を生じる位相板1308を通過させ、3つの光束のいずれも45度偏光のみを透過する偏光子1309,1310,1311を透過し、光検出器1312,1313,1314によって検出する。これらの光検出器の出力は次式(20)(21)(22)のように表される。ここで、積分は電場の成分に対する積分である。
【0089】
これらの出力から、式(23)で表される演算を行い、これらに基づき式(24)に相当する出力が得られる。
【0091】
式(24)は、上に述べた干渉光が4つの場合と全く同様に信号光強度を取得することが可能なことを示している。ここでは3つの異なる位相の干渉光強度を検出する例を説明したが、このように、位相、偏光を調整するようにして、4つ、5つなどの、3つ以上の複数の位相の干渉光強度を検出することでも信号光強度を取得することができる。
【0092】
更に、光観察ヘッドユニット102において測定光の一部を、偏光ビームスプリッタ1315を追加することで分離し、集光レンズ1304を用いてフォトダイオード1316上に集光させた。この偏光ビームスプリッタ1315は、光断層観察に必要な光量を考えて、透過・反射の分光比が95:5と、取り出す光を最小限とする設計とした。フォトダイオード1316では検出光パワーに相当する電圧信号が生成され、実施例3と同様故障検出ユニット1317と電気接続した。また、アクチュエータ122も、実施例3と同様故障検出ユニット1317と電気接続した。また、アクチュエータ122を駆動する信号は、制御部104の配線コネクタと光観察ヘッドユニット102の配線コネクタ間を結ぶ接続ユニット1101の配線を介して供給され、故障検出ユニット1317はこの駆動信号をモニタすることでアクチュエータの故障検出を行う。
【0093】
一方で、光源ユニット101及び光検出ユニット103は、制御部104、信号処理部105の近傍に配置されるため、これらユニットの故障検出は、一般的な機械装置と同じく、制御部104で行う構成とした。
【0094】
図14を参照して、本実施例の故障検出ユニットによる故障判別の手順を説明する。制御部104に電源投入後、ステップ31に進み、故障検出ユニットは半導体レーザ601、アクチュエータ122及びフォトダイオード1316の通電をチェックする。このとき異常を検出すればステップ41に進み、故障検出ユニット1103は、その表示部に「配線チェック必要」のアラートランプを点灯する。ステップ31で異常がなければステップ32に進み、制御部104にてレーザドライバ114を駆動し、故障検出ユニット1317にてフォトダイオード1316の信号をモニタして半導体レーザ115,116の出力を確認する。ここで異常を検出すればステップ42に進み、故障検出ユニット1317は、その表示部に「光ファイバ配線チェック必要」のアラートランプを点灯させる。
【0095】
ステップ32で異常がなければステップ33に進み、制御部104にてレーザドライバ114を出力電流を変えながら駆動し、故障検出ユニット1317にてフォトダイオード1316の信号をモニタして半導体レーザ115,116の出力を確認する。ここで異常を検出すればステップ43に進み、故障検出ユニット1317は、その表示部に「光源ユニット交換」のアラートランプを点灯する。ステップ33で異常がなければステップ34に進み、制御部104にてアクチュエータ122を駆動し、故障検出ユニットにてアクチュエータの動作を確認する。ここで異常を検出すればステップ44に進み、故障検出ユニット1317は、その表示部に「光断層観察ユニット交換(アクチュエータ)」のアラートランプを点灯する。
【0096】
ステップ34で異常がなければステップ35に進み、「光断層観察ユニット正常動作」のランプを点灯させる。そして、ステップ36に進み、制御部にて光検出ユニットの動作チェックを実施する。
【0097】
その他、本実施例の基本的な構成、動作は実施例1、実施例2及び実施例3と同じである。本実施例において、
図14の様な故障判別フローを行うことで、光干渉計として機械振動及び熱的影響を受けやすいモジュール化した光観察ヘッドユニット102を一括して交換することが可能となり、高いメンテナンス性が実現できる。
【0098】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。