【実施例】
【0016】
以下、実施例に基づいて、本発明は実施例に限定されるものではない。本発明は、前記した原理を基づく技術的思想にあると解釈すべきである。
【0017】
実施例1
鎖編糸を編成するための糸及び経編地を編成するための糸として、330デシテックス/96フィラメントのポリエステルマルチフィラメント糸を準備した。このマルチフィラメント糸は捲縮加工が施された加工糸である。
連結糸として、200デシテックスのポリエステルモノフィラメント糸と、330デシテックス/15フィラメントのポリエステルマルチフィラメント糸を準備した。
【0018】
そして、マイヤー社製のダブルラッセル編機(型番HDR−6DPLM)を用いて、各糸につき二枚筬で編成し、加湿用シートを得た。編成条件は以下のとおりである。
鎖編糸を編成するための筬(L1及びL2):準備した加工糸を各筬に供給し、いずれも0.2/2.2/2.0/0.0//の組織で編成した。
連結糸の筬(L3):準備したポリエステルモノフィラメント糸を二本束ねて供給し、0.2/4.6/10.8/6.4//の組織で編成した。
連結糸の筬(L4):準備したポリエステルマルチフィラメント糸を供給し、0.2/4.6/10.8/6.4//の組織で編成した。
経編地を編成するための筬(L5):準備した加工糸を供給し、4.4/4.2/4.4/4.6/4.4/4.2/2.2/2.0/2.2/2.4/2.2/2.0/2.2/2.4/4.4/4.6//の組織で編成した。
経編地を編成するための筬(L6):準備した加工糸を供給し、2.2/2.4/2.2/2.0/2.2/2.4/4.4/4.6/4.4/4.2/4.4/4.6/4.4/4.2/2.2/2.0//の組織で編成した。
【0019】
得られた加湿シートは
図3に示すような構造のものであった。
図3中、黒っぽく傾斜して見える糸が、ポリエステルモノフィラメント糸よりなる連結糸である。また、白っぽく傾斜して見える糸が、ポリエステルマルチフィラメント糸よりなる連結糸である。したがって、モノフィラメント糸よりなる連結糸とマルチフィラメント糸よりなる連結糸が2列ごとに交互に用いられている。また、各鎖編糸から延びるモノフィラメント糸からなる連結糸は、1列左と2列左の経編地の編目列に絡んでおり、かつ、2列右と3列右の経編地に絡んでいる。さらに、各鎖編糸から延びるマルチフィラメント糸からなる連結糸は、2列右と2列左の経編地の編目列に絡んでいる。
【0020】
実施例2
鎖編糸を編成するための糸及び経編地を編成するための糸として、330デシテックス/96フィラメントのポリエステルマルチフィラメント糸を準備した。このマルチフィラメント糸は捲縮加工が施された加工糸である。
連結糸として、200デシテックスのポリエステルモノフィラメント糸と、330デシテックス/15フィラメントのポリエステルマルチフィラメント糸を準備した。
【0021】
そして、マイヤー社製のダブルラッセル編機(型番HDR−6DPLM)を用いて、鎖編糸につき一枚筬(L1は使用せずにL2のみを使用)で、連結糸及び経編地を編成するための糸につき二枚筬で編成し、加湿用シートを得た。編成条件は以下のとおりである。
鎖編糸を編成するための筬(L2):準備した加工糸を供給し、0.2/2.2/2.0/0.0//の組織で編成した。
連結糸の筬(L3):準備したポリエステルモノフィラメント糸を二本束ねて供給し、0.2/4.6/10.8/6.4//の組織で編成した。
連結糸の筬(L4):準備したポリエステルマルチフィラメント糸を供給し、0.2/4.6/10.8/6.4//の組織で編成した。
経編地を編成するための筬(L5):準備した加工糸を供給し、4.4/4.2/4.4/4.6/4.4/4.2/2.2/2.0/2.2/2.4/2.2/2.0/2.2/2.4/4.4/4.6//の組織で編成した。
経編地を編成するための筬(L6):準備した加工糸を供給し、2.2/2.4/2.2/2.0/2.2/2.4/4.4/4.6/4.4/4.2/4.4/4.6/4.4/4.2/2.2/2.0//の組織で編成した。
【0022】
得られた加湿シートは
図4に示すような構造のものであった。
図4中、黒っぽく傾斜して見える糸が、ポリエステルモノフィラメント糸よりなる連結糸である。また、白っぽく傾斜して見える糸が、ポリエステルマルチフィラメント糸よりなる連結糸である。モノフィラメント糸は鎖編糸には絡んでおらず、自己ループを形成すると共にウエール方向に隣り合う自己ループ間が絡んでいる。なお、連結糸は実施例1と同様の配列となっている。
【0023】
[蒸散性能の評価]
実施例1及び2で得られた加湿用シートと、パナソニック社製の加湿用シート(品番:SK1322101、特許文献2に記載されたものと同様の構成を持つものである。)を準備した。この加湿用シートを円盤状に裁断して加湿エレメントを作成し、ダイキン社製の加湿空気清浄機(品番:MCK55MKS−T)に装着した。そして、この加湿空気清浄機を室内で運転しながら、清浄機の重量を測定し、加湿空気清浄機中の水分がどれだけ蒸散したかを測定した。この結果を以下に示した。
【0024】
[実施例1で得られた加湿用シートを用いた結果]
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時 間 室内温度 室内湿度 清浄機の重量 水分の蒸散量
(hr) (℃) (%) (kg) (kg)
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0.00 20.7 47 12.80 −
1.00 20.6 50 12.50 0.30
2.00 20.1 50 12.05 0.75
3.00 19.3 61 11.65 1.15
4.00 18.9 56 11.35 1.45
5.00 19.3 54 11.00 1.80
6.00 19.7 51 10.50 2.30
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【0025】
[実施例2で得られた加湿用シートを用いた結果]
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時 間 室内温度 室内湿度 清浄機の重量 水分の蒸散量
(hr) (℃) (%) (kg) (kg)
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0.00 22.3 48 12.50 −
1.00 21.0 52 12.25 0.25
2.00 20.5 52 11.80 0.70
3.00 20.7 51 11.40 1.10
4.00 20.5 52 10.95 1.55
5.00 20.4 52 10.55 1.95
6.00 20.2 55 10.15 2.35
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【0026】
[パナソニック社製の加湿用シートを用いた結果]
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時 間 室内温度 室内湿度 清浄機の重量 水分の蒸散量
(hr) (℃) (%) (kg) (kg)
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0.00 21.1 28 12.40 −
1.00 20.0 48 12.25 0.15
2.00 19.5 44 12.05 0.35
3.00 19.0 45 11.90 0.50
4.00 21.3 40 11.65 0.75
5.00 20.2 43 11.45 0.95
6.00 20.4 45 11.25 1.15
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【0027】
上記の結果から明らかなように、実施例1及び2で得られた加湿用シートを加湿エレメントとして場合、パナソニック社製のものに比べて、6時間後には清浄機中の水が1kg以上多く蒸散しており、その蒸散能力には有為な差があった。