特許第6053148号(P6053148)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6053148
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】加湿用シート
(51)【国際特許分類】
   F24F 6/04 20060101AFI20161219BHJP
   D04B 21/14 20060101ALI20161219BHJP
   D04B 21/00 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   F24F6/04
   D04B21/14 Z
   D04B21/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-52046(P2013-52046)
(22)【出願日】2013年3月14日
(65)【公開番号】特開2014-178063(P2014-178063A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2015年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】594054520
【氏名又は名称】株式会社ユニチカテクノス
(73)【特許権者】
【識別番号】500076974
【氏名又は名称】株式会社テクノフロンティア
(73)【特許権者】
【識別番号】507130945
【氏名又は名称】トーシンケミテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089152
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】竹内 正史
(72)【発明者】
【氏名】飛田 徳明
(72)【発明者】
【氏名】河原 利和
(72)【発明者】
【氏名】木場 義和
【審査官】 久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−255894(JP,A)
【文献】 特開平08−103782(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/04
D04B 21/00
D04B 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエール方向に編成された隣り合う編目列間に透孔が形成された経編地と、前記経編地の編目列に対応してウエール方向に直進する鎖編糸の列と、前記鎖編糸の各編目に絡められると共に前記経編地の各編目に絡められて、前記鎖編糸と前記経編地間を繋ぐ連結糸とよりなり、
前記鎖編糸から延びる前記連結糸は、前記鎖編糸が対応する前記経編地の編目列には絡められておらず、前記鎖編糸が対応する経編地の編目列に対して1列又は2列以上左右に離れた経編地の編目列に絡められており、連結糸が各コース間で交差していることを特徴とする加湿用シート。
【請求項2】
鎖編糸に絡められている連結糸がモノフィラメント糸である列とマルチフィラメント糸である列が存在する請求項1記載の加湿用シート。
【請求項3】
鎖編糸が存在しない列を有し、該列において連結糸は鎖編糸に絡められずに自己ループを形成している請求項1記載の加湿用シート。
【請求項4】
自己ループを形成する連結糸はモノフィラメント糸である請求項3記載の加湿用シート。
【請求項5】
ウエール方向に隣り合う自己ループ間が相互に絡んでいる請求項3記載の加湿用シート。
【請求項6】
請求項1又は3記載の加湿用シートを円盤状又は長方形状に裁断してなる加湿エレメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加湿器若しくは加湿空気清浄器等に内蔵される加湿エレメントとして好適に使用しうる加湿用シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
加湿器若しくは加湿空気清浄器には、水を吸水及び保水すると共に、保水した水を蒸散させる加湿エレメントが内蔵されている。加湿エレメントは、水貯留槽から水を吸い上げると共に保水し、加湿エレメントを通過する空気中に蒸散させて加湿空気とするものである。加湿空気は室内に送られて、室内が適度な湿度に保たれるのである。
【0003】
加湿エレメントとして、ダブルラッセル編物等の立体編物(三次元構造布帛)が用いられている(特許文献1)。立体編物は表編地、裏編地及び両者を繋ぐ連結糸とよりなるものである。立体編物の中でも、ダブルラッセル編物は、表編地及び裏編地をウエール方向に編成すると共に、表編地及び裏編地の各編目に連結糸を絡ませて得られるものである。かかる立体編物は、表編地及び裏編地を構成する糸間に、及び連結糸間に水を保水するため、一般の平面的な布帛に比べて、保水能力が高く好ましいものである。
【0004】
特許文献2には、ダブルラッセル編物よりなる加湿エレメントが提案されている。特許文献2に記載されたダブルラッセル編物は、表編地と裏編地の透孔を一対一に対応させて、相互に連通するようにして、空気の通過性を良好にし、圧力損失の低下を防止しようというものである(特許文献2、段落0015)。しかしながら、かかる加湿エレメントは、保水した水を空気中に蒸散させる能力が低いということがあった。この理由は以下のとおりである。すなわち、加湿エレメントを通過する空気は、ダブルラッセル編地の厚み方向に通過するのであるから、透孔内に糸が存在しない特許文献2記載のものでは、透孔を通過する空気が、保水した水に接触しにくいからである。
【0005】
また、加湿エレメントの使用方法として種々のタイプが存在するが、たとえば、円筒体に巻回して使用する方法がある。かかる使用方法では、加湿エレメントに常に厚み方向に荷重が負荷されていることになる。しかるに、特許文献2記載のダブルラッセル編地は、連結糸がほぼ垂直に直立しているため、厚み方向に荷重が負荷され続けると、へたり易いという欠点もあった。加湿エレメントがへたるとその厚みが減少し、保水量が低下するのである。
【0006】
【特許文献1】特開2000−274754号公報(特許請求の範囲及び段落0010)
【特許文献2】特許第4854792号公報(特許請求の範囲、段落0015、図4図14及び図15
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の第一の課題は、保水量を増加させると共に空気中への水の蒸散能力の高い加湿エレメントを提供しようというものである。また、本発明の第二の課題は、加湿エレメントが厚み方向に荷重を負荷されるような場合であっても、へたりにくく、保水量が低下しにくい加湿エレメントを提供しようというものである。なお、本発明では、一定の形状をもって加湿器等に内蔵されうる状態のものを加湿エレメントと称し、加湿エレメントを作成するための長尺状のシートを加湿用シートと称している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一方のみに経編地を用い他方は列をなした鎖編糸とし、かつ連結糸の編成方法を工夫することによって、上記二つの課題を一挙に解決したものである。すなわち、本発明は、ウエール方向に編成された編目列間に透孔が形成された経編地と、前記経編地の編目列に対応してウエール方向に直進する鎖編糸の列と、前記鎖編糸の各編目に絡められると共に前記経編地の各編目に絡められて、前記鎖編糸と前記経編地間を繋ぐ連結糸とよりなり、前記鎖編糸から延びる前記連結糸は、前記鎖編糸が対応する前記経編地の編目列には絡められておらず、前記鎖編糸が対応する経編地の編目列に対して1列又は2列以上左右に離れた経編地の編目列に絡められており、連結糸が各コース間で交差していることを特徴とする加湿用シートに関するものである。
【0009】
まず、本発明の原理を図に基づいて説明する。図1は、本発明の一例にかかる加湿用シートの一部を経編地側から見た概略模式図である。なお、図を見やすくするために、連結糸については一部のみを示しているが、現実は図3及び4に示すように、密集して存在するものである。2a,2b,2c,2d,2e,2fは、ウエール方向に編成された経編地の編目列を示している。隣り合う編目列2a及び2b間と2a及び2c間には、各々、透孔4が形成されている。経編地の編目列に対応する位置には、各々、鎖編糸がウエール方向に直進する状態で編成されている。すなわち、編目列2aに対応する位置において、鎖編糸1aがウエール方向に直進している。編目列2bと鎖編糸1bも同様の関係であり、2c及び1c以下も同様である。そして、経編地及び鎖編糸に連結糸を絡めることによって、経編地と鎖編糸とが連結されている。本発明においては、この際、連結糸が特定の態様で絡められている。図1は、鎖編糸が対応する経編地の編目列に対して1列左右に離れた経編地の編目列に絡められている状態を示したものである。すなわち、鎖編糸1aから延びる連結糸3aは、経編地の編目列2aに絡められずに、1列左に離れた編目列2bと、1列右に離れた編目列2cとに絡められている。また、鎖編糸1bから延びる連結糸3bは、1列左に離れた編目列2dと1列右に離れた編目列2aとに絡められている。また、鎖編糸1cから延びる連結糸3cは、1列左に離れた編目列2aと1列右に離れた編目列2eとに絡めれている。したがって、連結糸3aは、コース間において連結糸3b及び3cと交差しているのである。
【0010】
図2は、鎖編糸が対応する経編地の編目列に対して2列左右に離れた経編地の編目列に絡められている状態を示したものである。鎖編糸1aから延びる連結糸3aは、2列左に離れた編目列2dと2列右に離れた編目列2cとに絡められている。また、鎖編糸1cから延びる連結糸3cは、2列左に離れた編目列2bと2列右に離れた編目列2fとに絡められている。また、鎖編糸1bから延びる連結糸3bは、2列左に離れた編目列(図示せず)と2列右に離れた編目列3cとに絡められている。鎖編糸1dから延びる連結糸3dは、2列左に離れた編目列(図示せず)と2列右に離れた編目列3aとに絡められている。鎖編糸1eから延びる連結糸3eは、2列左に離れた編目列3aと2列右に離れた編目列(図示せず)に絡めれている。したがって、連結糸3aは、コース間において連結糸3b、3c、3d及び3eと交差しているのである。
【発明の効果】
【0011】
したがって、本発明に係る加湿用シートは、経編地の透孔内に多数の連結糸が交差して存在しているため、連結糸間で保水できる保水量を増加させることができる。また、透孔内で保水されているため、透孔を通過する空気によく蒸散し、蒸散能力が高くなるという効果を奏する。しかも、連結糸が直立せずに傾斜して、鎖編糸を左右両側から支持する構成となっているため、厚み方向に荷重が負荷されても、へたりにくいという効果をも奏する。さらに、本発明においては、ウエール方向に直進する鎖編糸が存在するため、ウエール方向に水を吸い上げる速度が早いという特有の効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の原理を示すための概略模式図であり、経編地側から観察した図である。鎖編糸が対応する経編地の編目列に対して1列左右に離れた経編地の編目列に、連結糸が絡められている状態を示した概略模式図である。
図2】本発明の原理を示すための概略模式図であり、経編地側から観察した図である。鎖編糸が対応する経編地の編目列に対して2列左右に離れた経編地の編目列に、連結糸が絡められている状態を示した概略模式図である。
図3】本発明に係る加湿用シートの一例を示す模式的斜視図である。
図4】本発明に係る加湿用シートの他の例を示す模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
経編地としては、ラッセル編地やトリコット編地等の任意の経編地を採用しうる。そして、従来公知の方法で編目列間に透孔を設けることができる。透孔の形状は亀甲、楕円形、四角形等の任意の形状であってよい。鎖編糸の列は、コース方向に連結させずに経編機で編成すればよい。また、鎖編糸は、経編地の編目列に全て対応する状態で編成してもよいが、一部、鎖編糸を編成しなくても差し支えない。たとえば、2列ごとに鎖編糸を編成せずに、鎖編糸が存在する列と鎖編糸が存在しない列とにしてもよい。鎖編糸が存在しない列は、鎖編糸を導入するための筬に糸を供給しなければよい。鎖編糸が存在しない列では、連結糸は鎖編糸に絡ませることができず、自己ループを形成している。隣り合う自己ループ間はウエール方向に絡んでいるのが好ましい。これによって、自己ループは安定な状態となる。
【0014】
連結糸は、モノフィラメント糸であってもマルチフィラメント糸であってよい。モノフィラメント糸は高剛性であるので、加湿用シートのへたり防止に有効である。また、マルチフィラメント糸は、長繊維が束ねられてなるものであるから、長繊維間に保水することができ、保水量を増加させるのに有効である。さらに、モノフィラメント糸やマルチフィラメント糸を構成する長繊維として、異形断面の糸又は繊維、さらに捲縮加工が施された繊維を用いるのが好ましい。異形断面の糸又は繊維や、捲縮加工が施された繊維間には、空隙が形成されやすく、保水量を増加させるのに有効だからである。モノフィラメント糸とマルチフィラメント糸とは、剛性及び保水量の観点から、併用するのが好ましい。たとえば、鎖編糸にモノフィラメント糸が絡められる列と、マルチフィラメント糸が絡められる列とを交互に設けるのが好ましい。特に、鎖編糸が存在しない列は、連結糸をモノフィラメント糸で構成するのがより好ましい。鎖編糸が存在しない列のへたりを防止するためである。経編地を編成するための糸及び鎖編糸を編成するための糸としては、一般的にマルチフィラメント糸が用いられ、就中、異形断面の繊維よりなるものや捲縮加工が施されたマルチフィラメント糸が好ましい。この方が、経編地や鎖編糸中に水を保水しやすいためである。
【0015】
本発明に係る加湿用シートは、円盤状や長方形状に裁断して加湿エレメントとして用いられる。たとえば、円盤状の加湿エレメントを枠に装着して、その下部が加湿器等の貯水槽に浸るようにして内蔵する。そして、この加湿エレメントを回転させると共に、その上部で空気を通過させて、加湿空気を室内に供給することができる。また、長方形状の加湿エレメントの下部が加湿器等の貯水槽に浸るようにして内蔵し、水を上部に吸い上げると共に、その上部に空気を通過させて、加湿空気を室内に供給することができる。
【実施例】
【0016】
以下、実施例に基づいて、本発明は実施例に限定されるものではない。本発明は、前記した原理を基づく技術的思想にあると解釈すべきである。
【0017】
実施例1
鎖編糸を編成するための糸及び経編地を編成するための糸として、330デシテックス/96フィラメントのポリエステルマルチフィラメント糸を準備した。このマルチフィラメント糸は捲縮加工が施された加工糸である。
連結糸として、200デシテックスのポリエステルモノフィラメント糸と、330デシテックス/15フィラメントのポリエステルマルチフィラメント糸を準備した。
【0018】
そして、マイヤー社製のダブルラッセル編機(型番HDR−6DPLM)を用いて、各糸につき二枚筬で編成し、加湿用シートを得た。編成条件は以下のとおりである。
鎖編糸を編成するための筬(L1及びL2):準備した加工糸を各筬に供給し、いずれも0.2/2.2/2.0/0.0//の組織で編成した。
連結糸の筬(L3):準備したポリエステルモノフィラメント糸を二本束ねて供給し、0.2/4.6/10.8/6.4//の組織で編成した。
連結糸の筬(L4):準備したポリエステルマルチフィラメント糸を供給し、0.2/4.6/10.8/6.4//の組織で編成した。
経編地を編成するための筬(L5):準備した加工糸を供給し、4.4/4.2/4.4/4.6/4.4/4.2/2.2/2.0/2.2/2.4/2.2/2.0/2.2/2.4/4.4/4.6//の組織で編成した。
経編地を編成するための筬(L6):準備した加工糸を供給し、2.2/2.4/2.2/2.0/2.2/2.4/4.4/4.6/4.4/4.2/4.4/4.6/4.4/4.2/2.2/2.0//の組織で編成した。
【0019】
得られた加湿シートは図3に示すような構造のものであった。図3中、黒っぽく傾斜して見える糸が、ポリエステルモノフィラメント糸よりなる連結糸である。また、白っぽく傾斜して見える糸が、ポリエステルマルチフィラメント糸よりなる連結糸である。したがって、モノフィラメント糸よりなる連結糸とマルチフィラメント糸よりなる連結糸が2列ごとに交互に用いられている。また、各鎖編糸から延びるモノフィラメント糸からなる連結糸は、1列左と2列左の経編地の編目列に絡んでおり、かつ、2列右と3列右の経編地に絡んでいる。さらに、各鎖編糸から延びるマルチフィラメント糸からなる連結糸は、2列右と2列左の経編地の編目列に絡んでいる。
【0020】
実施例2
鎖編糸を編成するための糸及び経編地を編成するための糸として、330デシテックス/96フィラメントのポリエステルマルチフィラメント糸を準備した。このマルチフィラメント糸は捲縮加工が施された加工糸である。
連結糸として、200デシテックスのポリエステルモノフィラメント糸と、330デシテックス/15フィラメントのポリエステルマルチフィラメント糸を準備した。
【0021】
そして、マイヤー社製のダブルラッセル編機(型番HDR−6DPLM)を用いて、鎖編糸につき一枚筬(L1は使用せずにL2のみを使用)で、連結糸及び経編地を編成するための糸につき二枚筬で編成し、加湿用シートを得た。編成条件は以下のとおりである。
鎖編糸を編成するための筬(L2):準備した加工糸を供給し、0.2/2.2/2.0/0.0//の組織で編成した。
連結糸の筬(L3):準備したポリエステルモノフィラメント糸を二本束ねて供給し、0.2/4.6/10.8/6.4//の組織で編成した。
連結糸の筬(L4):準備したポリエステルマルチフィラメント糸を供給し、0.2/4.6/10.8/6.4//の組織で編成した。
経編地を編成するための筬(L5):準備した加工糸を供給し、4.4/4.2/4.4/4.6/4.4/4.2/2.2/2.0/2.2/2.4/2.2/2.0/2.2/2.4/4.4/4.6//の組織で編成した。
経編地を編成するための筬(L6):準備した加工糸を供給し、2.2/2.4/2.2/2.0/2.2/2.4/4.4/4.6/4.4/4.2/4.4/4.6/4.4/4.2/2.2/2.0//の組織で編成した。
【0022】
得られた加湿シートは図4に示すような構造のものであった。図4中、黒っぽく傾斜して見える糸が、ポリエステルモノフィラメント糸よりなる連結糸である。また、白っぽく傾斜して見える糸が、ポリエステルマルチフィラメント糸よりなる連結糸である。モノフィラメント糸は鎖編糸には絡んでおらず、自己ループを形成すると共にウエール方向に隣り合う自己ループ間が絡んでいる。なお、連結糸は実施例1と同様の配列となっている。
【0023】
[蒸散性能の評価]
実施例1及び2で得られた加湿用シートと、パナソニック社製の加湿用シート(品番:SK1322101、特許文献2に記載されたものと同様の構成を持つものである。)を準備した。この加湿用シートを円盤状に裁断して加湿エレメントを作成し、ダイキン社製の加湿空気清浄機(品番:MCK55MKS−T)に装着した。そして、この加湿空気清浄機を室内で運転しながら、清浄機の重量を測定し、加湿空気清浄機中の水分がどれだけ蒸散したかを測定した。この結果を以下に示した。
【0024】
[実施例1で得られた加湿用シートを用いた結果]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
時 間 室内温度 室内湿度 清浄機の重量 水分の蒸散量
(hr) (℃) (%) (kg) (kg)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
0.00 20.7 47 12.80 −
1.00 20.6 50 12.50 0.30
2.00 20.1 50 12.05 0.75
3.00 19.3 61 11.65 1.15
4.00 18.9 56 11.35 1.45
5.00 19.3 54 11.00 1.80
6.00 19.7 51 10.50 2.30
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0025】
[実施例2で得られた加湿用シートを用いた結果]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
時 間 室内温度 室内湿度 清浄機の重量 水分の蒸散量
(hr) (℃) (%) (kg) (kg)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
0.00 22.3 48 12.50 −
1.00 21.0 52 12.25 0.25
2.00 20.5 52 11.80 0.70
3.00 20.7 51 11.40 1.10
4.00 20.5 52 10.95 1.55
5.00 20.4 52 10.55 1.95
6.00 20.2 55 10.15 2.35
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0026】
[パナソニック社製の加湿用シートを用いた結果]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
時 間 室内温度 室内湿度 清浄機の重量 水分の蒸散量
(hr) (℃) (%) (kg) (kg)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
0.00 21.1 28 12.40 −
1.00 20.0 48 12.25 0.15
2.00 19.5 44 12.05 0.35
3.00 19.0 45 11.90 0.50
4.00 21.3 40 11.65 0.75
5.00 20.2 43 11.45 0.95
6.00 20.4 45 11.25 1.15
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0027】
上記の結果から明らかなように、実施例1及び2で得られた加湿用シートを加湿エレメントとして場合、パナソニック社製のものに比べて、6時間後には清浄機中の水が1kg以上多く蒸散しており、その蒸散能力には有為な差があった。
【符号の説明】
【0028】
1a,1b,1c,1d,1e,1f 鎖編糸
2a,2b,2c,2d,2e,2f 経編地の編目列
3a,3b,3c,3d,3e,3f 連結糸
4 透孔
図1
図2
図3
図4