(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたような従来装置では、被照射体が大径化されると、オペレータは、大きくて重い被照射体を腕を伸ばしてガラスプレートの支持面に支持させなければならないため、当該オペレータに負担をかけるという不都合がある。
【0005】
本発明の目的は、オペレータの負担を軽減して支持面に被照射体を支持させることができる光照射装置および光照射方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光照射装置は、光に反応する被照射体を支持する支持面
が形成されたテーブルを有する支持手段と、前記支持面で支持されて照射姿勢となった被照射体に光を照射する発光手段とを備え、前記支持手段は、前記支持面
が形成されたテーブルを前記照射姿勢と当該照射姿勢に対して起立する方向に傾斜した傾斜姿勢との間で移動
させる駆動機器を備え、前記傾斜姿勢時の支持面の中心が前記照射姿勢時の支持面の中心よりも当該支持面に前記被照射体を供給する側に位置することを特徴とする。
【0007】
本発明の光照射方法は、光に反応する被照射体を支持する支持面
が形成されたテーブルを駆動機器によって
照射姿勢に対して起立する方向に傾斜した傾斜姿勢に移動させ
、前記傾斜姿勢時の支持面の中心を前記照射姿勢時の支持面の中心よりも当該支持面に前記被照射体を供給する側に位置させる工程と、
前記傾斜姿勢に移動した支持面に前記被照射体を支持させる工程と、前記支持面
に前記被照射体が支持されたテーブルを
前記駆動機器によって前記照射姿勢に移動させる工程と、前記支持面で支持された被照射体に光を照射する工程とを実施することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上のような本発明によれば、支持面が照射姿勢と傾斜姿勢との間で移動可能に設けられているため、支持面をオペレータに近づけることが可能となり、オペレータの負担を軽減して支持面に被照射体を支持させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本明細書におけるX軸、Y軸、Z軸は、それぞれが直交する関係にあり、X軸およびY軸は、水平面内の軸とし、Z軸は、水平面に直交する軸とする。さらに、本実施形態では、Y軸と平行な
図1の手前方向から観た場合を基準とし、方向を示した場合、「上」がZ軸の矢印方向で「下」がその逆方向、「左」がX軸の矢印方向で「右」がその逆方向、「前」がY軸の紙面に直交する手前方向で「後」がその逆方向とする。
【0011】
図1および
図2において、光照射装置1は、光に反応する被照射体IRを支持する支持面32Cを有する支持手段3と、支持面32Cで支持されて水平面と平行な照射姿勢となった被照射体IRに光を照射する発光手段4と、開閉可能に設けられ、支持面32Cを覆うカバーとしての移動カバー5と、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスを供給する供給手段6と、発光手段4を検査する検査手段7と、発光手段4を冷却するシロッコファンやヒートパイプ等の冷却手段8とを備え、各手段がケース2内に収容されている。ここで、被照射体IRは、基材シートBSの一方の面に接着剤層ADを有する接着シートASを介してウェハWFがリングフレームRFに一体化されたものである。接着剤層ADは、光硬化型(紫外線硬化型)の接着剤で構成され、所定波長(例えば、λ=365nm)の光が照射されることによって硬化が始まり、その接着力が低下するように設計され、本実施形態の場合、当該接着剤層ADが被照射面となる。
【0012】
ケース2は、六面封止型のフレーム部21に固定された固定カバー部22を備えている。固定カバー部22は、フレーム部21を覆う箱状に形成され、支持手段3に被照射体IRを供給、排出可能な側面視L字状の開口部22Aを備えている。フレーム部21の上面部21Aには、開口部21Bおよび開口部21Cが形成され、当該開口部21Cには、発光手段4から照射される光を透過可能なガラス板23を支持する段部21Dが形成されている。
【0013】
支持手段3は、支持面32Cを照射姿勢と当該照射姿勢に対して起立する方向に傾斜した傾斜姿勢との間で移動可能に設けられ、フレーム部21の上面部21Aに支持された駆動機器としての回動モータ31の出力軸31Aに支持されたテーブル32を備えている。テーブル32は、上面32Aに設けられ、被照射体IRを位置決め可能な凹部32Bと、凹部32Bの底面で構成された支持面32Cと、ウェハWFよりも大きな内径を有する開口32Dとを備えている。
【0014】
発光手段4は、フレーム部21の底面21Eに支持された駆動機器としてのリニアモータ41のスライダ41Aに支持された電源ユニット42と、電源ユニット42の上面に設けられ、前後方向に所定間隔をあけて複数設けられた光源43とを備えている。光源43は、LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)ランプや高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、蛍光灯、ハロゲンランプ、レーザなど、紫外線を発光するものの他、接着シートASの接着剤層ADを硬化させる所定波長の光を発光できるものであれば、任意の構成を採用することができ、設置数は単数であってもよい。
【0015】
移動カバー5は、支持手段3を収容可能な大きさを有する下部開放型の箱状に形成され、図示しない駆動機器やスライドレールを介してフレーム部21に移動可能に支持されている。
【0016】
供給手段6は、移動カバー5に支持された駆動機器としての直動モータ61の出力軸61Aに支持され、テーブル32とで密閉空間SPを形成可能なケース62を備えている。ケース62は、下面62Aが円形状に開口した箱状に形成され、配管63を介して不活性ガスを供給可能な図示しないタンクやボンベ等の気体供給装置に接続されるとともに、配管64を介して密閉空間SP内の気体を排出可能な図示しない減圧ポンプや真空エジェクタ等の気体排出装置に接続されている。
【0017】
検査手段7は、フレーム部21の開口部21Bの上方に設けられ、フレーム部21の上面部21Aに支持された駆動機器としてのリニアモータ71のスライダ71Aに支持された照度計72を備えている。
【0018】
冷却手段8は、フレーム部21の底面21Eに支持され、配管81を介して外部に接続されている。
【0019】
以上の光照射装置1において、被照射体IRに光を照射する手順について説明する。
先ず、図示しない操作手段によって起動信号が入力されると、冷却手段8が駆動するとともに、発光手段4が電源ユニット42を駆動し、光源43を
図1中実線で示す位置で発光させる。次いで、検査手段7がリニアモータ71を駆動し、照度計72を前後方向に移動させて各光源43の照度を検査する。この際、照度が不足する光源43が発見されると、検査手段7が図示しない警告音発生手段や点灯手段等の警告手段を駆動し、照度が不足していることをオペレータに知らせる。
【0020】
次に、図示しない駆動機器またはオペレータが移動カバー5を
図1中二点鎖線で示す位置に移動させる。次いで、支持手段3が回動モータ31を駆動し、
図1中二点鎖線で示すように、支持面32Cを照射姿勢に対して起立する方向に傾斜した傾斜姿勢に移動させる。そして、オペレータは、テーブル32の凹部32BにリングフレームRFの外縁を係合させながら、支持面32Cに被照射体IRを支持させる。この際、凹部32Bおよび支持面32Cが照射姿勢に対して起立する方向に傾斜して光照射装置1の外側に向くため、オペレータが支持面32Cに被照射体IRを容易に載置することができる。
【0021】
次に、支持手段3が回動モータ31を駆動し、
図1中実線で示すように、支持面32Cを照射姿勢に移動させる。そして、図示しない駆動機器またはオペレータが移動カバー5を
図1中実線で示す位置に移動させる。次いで、供給手段6が直動モータ61を駆動し、ケース62を下降させて下面62Aをテーブル32の上面32Aに当接させて密閉空間SPを形成する。そして、供給手段6が図示しない気体供給装置を駆動し、密閉空間SP内に不活性ガスを供給する。
【0022】
次に、発光手段4がリニアモータ41および電源ユニット42を駆動し、光源43を右方向に移動させながら被照射体IRに光を照射することで、ウェハWFの下方に位置する接着剤層AD全体を硬化させる。そして、発光手段4がリニアモータ41を駆動し、光源43を
図1中右側の二点鎖線で示す位置に移動させた後、発光手段4がリニアモータ41および電源ユニット42の駆動を停止する。また、供給手段6が図示しない気体排出装置および直動モータ61を駆動し、密閉空間SP内の不活性ガスを排気した後、ケース62を
図1中実線で示す位置に上昇させる。
【0023】
そして、図示しない駆動機器またはオペレータが移動カバー5を
図1中二点鎖線で示す位置に移動させた後、支持手段3が回動モータ31を駆動し、
図1中二点鎖線で示すように、支持面32Cを照射姿勢に対して起立する方向に傾斜した傾斜姿勢に移動させる。そして、オペレータは、支持面32Cから被照射体IRを取り出した後、次の被照射体IRを支持面32Cに支持させる。光が照射された被照射体IRは、図示しない搬送手段で次工程に搬送され、以降上記同様の動作が繰り返される。
【0024】
以上のような本実施形態によれば、支持面32Cが照射姿勢と傾斜姿勢との間で移動可能に設けられているため、支持面32Cをオペレータに近づけることが可能となり、オペレータの負担を軽減して支持面32Cに被照射体IRを支持させることができる。
【0025】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0026】
例えば、支持手段3は、開口32Dの外形よりもサイズの小さい被照射体IRを支持面32Cに支持されるための補助部材を備えてもよい。この際、補助部材を検知する検知手段を設け、当該検知手段の検知結果に応じて、発光させる光源43を選択すれば、被照射体IRのサイズに合わせて必要な光源43のみを発光させることができる。
【0027】
また、支持面32Cを覆うカバーは、開閉可能なものであれば任意の構成を採用でき、例えば、両開き(観音開き)可能なカバーや跳ね上げタイプのカバーを採用してもよく、これらカバーを蝶番やヒンジ等の開閉補助手段を介してテーブル32に直接設けてもよい。
さらに、テーブル32の傾斜姿勢は、テーブル32の前方側を回転中心として後方側を上方にして傾斜させたり、後方側を回転中心として前方側を上方にして傾斜させたり、左側を回転中心として右側を上方にして傾斜させたりしてもよい。
また、照射姿勢は、水平面に対して傾斜していてもよい。
【0028】
さらに、ケース62は、凹部32Bよりも小さい外形を有するものであってもよく、下面62AをリングフレームRF又はリングフレームRFとウェハWFとの間に位置する接着シートASに当接させてもよい。
また、供給手段6は、フレーム部21、固定カバー部22、および移動カバー5で形成された密閉空間に不活性ガスを供給してもよい。
【0029】
さらに、発光手段4は、被照射体または被照射面の形状に応じた広さを有する発光源を採用し、当該発光源を移動させることなく接着剤層ADに一括で光を照射可能なものでもよい。
また、光源43は、接着剤層ADが硬化する波長に合わせて発光する光の波長を適宜変更でき、例えば、400nmの光で光硬化する接着剤層ADが採用された場合、光源43は、400nmの光を発光できればよい。
さらに、光源43は、被照射面が硬化する波長の光だけを照射できるものであってもよいし、接着剤層ADが硬化する波長を含む光を照射できるものであってもよい。
また、光源43は、接着剤層に光反応を起こさせることができるもので構成されていれば、紫外線に限らず赤外線、自然光、マイクロ波等、他の光を照射可能なものであってよい。
さらに、光反応としては、光によって硬化する反応に限らず、光によって軟化する反応、光によって昇温、降温する反応、光によって接着力が増す反応等の他の反応であってもよい。
【0030】
さらに、被照射体IRは、ウェハWFと、当該ウェハWFと同形状の接着シートASとで構成してもよい。
また、接着シートASの材質、種別、形状等は、特に限定されず、例えば、接着剤層ADだけの単層のもの、基材シートBSと接着剤層ADとの間に中間層を有するもの、基材シートBSの上面にカバー層を有する等3層以上のもの、更には、基材シートBSを接着剤層ADから剥離することのできる所謂両面接着シートのようなものであってもよく、両面接着シートは、単層又は複層の中間層を有するものや、中間層のない単層又は複層のものであってよい。また、板状部材としては、例えば、シリコン半導体ウェハや化合物半導体ウェハ等の半導体ウェハ、回路基板、光ディスク等の情報記録基板、ガラス板、鋼板、陶器、木板又は樹脂板等、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。さらに、接着シートASを、例えば、情報記載用ラベル、装飾用ラベル、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルム、ダイボンディングテープ、記録層形成樹脂シート等の任意の形状の任意のシート、フィルム、テープ等を前述のような任意の被着体に貼付することができる。
【0031】
本発明における手段および工程は、それら手段および工程について説明した動作、機能または工程を果たすことができる限りなんら限定されることはなく、まして、前記実施形態で示した単なる一実施形態の構成物や工程に全く限定されることはない。例えば、支持手段は、前記支持面を水平面に対して傾斜可能なものであれば、出願当初の技術常識に照らし合わせ、その技術範囲内のものであればなんら限定されることはない(他の手段および工程についての説明は省略する)。
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダおよびロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。