特許第6053164号(P6053164)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6053164
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】電話システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20161219BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20161219BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20161219BHJP
   H01M 10/46 20060101ALI20161219BHJP
   H02J 50/90 20160101ALI20161219BHJP
【FI】
   H02J7/02 U
   H02J7/00 301D
   H04M1/02 C
   H01M10/46
   H02J50/90
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-138936(P2013-138936)
(22)【出願日】2013年7月2日
(65)【公開番号】特開2015-12775(P2015-12775A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2016年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井原 康介
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 健一
(72)【発明者】
【氏名】石川 和利
(72)【発明者】
【氏名】赤木 幸知
【審査官】 小池 堂夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−163720(JP,A)
【文献】 特開平4−326233(JP,A)
【文献】 特開平8−046671(JP,A)
【文献】 特開2012−210056(JP,A)
【文献】 特開2010−207017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00−7/12
H02J 7/34−7/36
H02J 50/00−50/90
H04M 1/02−1/23
H01M 10/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定電話回線に接続される親機、および前記親機との間で無線通信可能な少なくとも1台の子機を含んだ電話システムであって、
前記親機に設けられた、前記子機に含まれる充電池をワイヤレス充電可能な充電部と、
前記子機に設けられたディスプレイと、
前記ディスプレイの表示を制御するための制御手段とを備え、
前記充電部は、前記子機の、前記ディスプレイの設けられた面である第1の面を前記親機に向け前記第1の面と異なる第2の面を外側に向けた第1のセット状態と、前記第2の面を前記親機に向け前記第1の面を外側に向けた第2のセット状態との両状態で前記子機を前記親機の上にセット可能に成形されており、
前記制御手段は、前記充電池の充電中に前記子機を前記第1のセット状態でセットするよう前記ディスプレイにガイド表示を行なう、電話システム。
【請求項2】
前記充電部は、前記第1のセット状態での充電効率が前記第2のセット状態での充電効率よりも高いように構成されている、請求項1に記載の電話システム。
【請求項3】
前記充電部および前記子機は、前記第1のセット状態と前記第2のセット状態とで、前記充電池と前記充電部との位置関係が異なるように成形されている、請求項2に記載の電話システム。
【請求項4】
前記充電部に含まれる充電面は、前記第1のセット状態で前記子機がセットされたときに前記子機の長手方向の一方の端面と接するよう成形されており、
前記第2のセット状態での、前記子機の前記端面のうちの前記充電面へ接する面積は、前記第1のセット状態での接する面積よりも少ない、請求項3に記載の電話システム。
【請求項5】
前記充電部は前記子機に対して長手方向に離れた少なくとも2か所で接触することで前記子機を前記親機の上にセット可能であり、
前記子機の長手方向の軸は、曲率中心が前記第1の面の向く側にある曲率を有する、請求項3または4に記載の電話システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は電話システムに関し、特に、親機と子機とがコードレス通信する電話システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コードレス通信する親機と子機とを含んだ電話システムにおける子機はユーザの通話に用いられ、親機は子機を充電するための充電部を有している。たとえば、特開2008−211928号公報(以下、特許文献1)は、充電式のコードレス電話装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−211928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、子機は通話時以外には親機上にセットされ、充電されている。その状態で電話システムはリビングなどの居室内に置かれることが多いため、デザイン性が重視される。
【0005】
また、子機はユーザの通話に用いられるため、デザイン性に加えて使い勝手の良さも要求される。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、デザイン性とユーザの使い勝手とを両立する電話システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、電話システムは、固定電話回線に接続される親機、および親機との間で無線通信可能な少なくとも1台の子機を含む。電話システムは、親機に設けられた、子機に含まれる充電池をワイヤレス充電可能な充電部と、子機に設けられたディスプレイと、ディスプレイの表示を制御するための制御手段とを備える。充電部は、子機の、ディスプレイの設けられた面である第1の面を親機に向け第1の面と異なる第2の面を外側に向けた第1のセット状態と、第2の面を親機に向け第1の面を外側に向けた第2のセット状態との両状態で子機を親機の上にセット可能に成形されており、制御手段は、充電池の充電中に子機を第1のセット状態でセットするようディスプレイにガイド表示を行なう。
【0008】
好ましくは、充電部は、第1のセット状態での充電効率が第2のセット状態での充電効率よりも高いように構成されている。
【0009】
より好ましくは、充電部および子機は、第1のセット状態と第2のセット状態とで、充電池と充電部との位置関係が異なるように成形されている。
【0010】
より好ましくは、充電部に含まれる充電面は、第1のセット状態で子機がセットされたときに子機の長手方向の一方の端面と接するよう成形されており、第2のセット状態での、子機の端面のうちの充電面へ接する面積は、第1のセット状態での接する面積よりも少ない。
【0011】
好ましくは、充電部は子機に対して長手方向に離れた少なくとも2か所で接触することで子機を親機の上にセット可能であり、子機の長手方向の軸は、曲率中心が第1の面の向く側にある曲率を有する。
【0012】
好ましくは、制御手段は子機のセット状態を検出し、子機が第2のセット状態であるときにはディスプレイにガイド表示を行ない、第1のセット状態であるときには行なわない。
【0013】
好ましくは、電話システムは親機とは別体で形成された、子機を充電するための充電台をさらに含み、制御手段は子機が親機の充電部へセットされているか充電台にセットされているかを検出し、子機が親機の充電部へセットされているときにはディスプレイにガイド表示を行ない、充電台にセットされているときには行なわない。
【発明の効果】
【0014】
この発明によると、親機と子機とがコードレスで通信可能な電話システムであって、子機を親機に設けられた充電部にセットして充電する際に第1のセット状態と第2のセット状態とが可能であるとき、第2のセット状態においてユーザに対して機能やデザイン上優位な第1のセット状態とすることを効率的に促すことができるため、デザイン性とユーザの使い勝手とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態にかかる電話システムの具体例(A)と、変形例(B)とを示す図である。
図2】電話システムに含まれる子機の概略図である。
図3】電話システムに含まれる親機の概略図である。
図4】親機への子機の第1のセット状態を表わした図である。
図5】親機への子機の第2のセット状態を表わした図である。
図6】第1のセット状態(A)および第2のセット状態(A)の、爪部と子機との関係を説明するための概略断面図である。
図7】子機の装置構成の具体例を示すブロック図である。
図8】親機の装置構成の具体例を示すブロック図である。
図9】充電部での充電方法を説明するための図(A)、および充電部、充電池それぞれに含まれるコイルの位置関係を規定するパラメータを説明するための図(B)〜(D)である。
図10】ガイド表示の具体例を表わした図である。
図11】第2のセット状態でのガイドの状態(A)、第1のセット状態でガイドの状態(B)を表わした図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらの説明は繰り返さない。
【0017】
<装置形状の説明>
図1(A)は、本実施の形態にかかる電話システム1の具体例を示す図である。図1(A)を参照して、電話システム1は、子機100と親機200とを含む。親機200は固定電話回線に接続される。子機100は親機200に登録されており、子機100と親機200とは無線通信で接続される。子機100と親機200との間の無線通信は、たとえば、DECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunications)方式と呼ばれるデジタルコードレス電話規格に従った無線通信や、Bluetooth(登録商標)などの無線通信などが該当する。
【0018】
親機200は、机や壁などの平面上に設置可能なように面状に成形された設置面を有し、机や壁などの平面に設置されて用いられる。子機100は、少なくとも通話時には親機200から分離して用いられる。親機200には後述する充電部6が設けられ、充電部6に子機100がセットされることで、子機100が充電される。
【0019】
なお、図1(A)は、親機200に子機100を充電するための充電部6(図3参照)に加えてディスプレイ2B(図3参照)やボタン3B(図3参照)が備えられて、親機200もユーザの操作対象となり得る例が示されているが、図1(B)に示されたように、親機200には充電部6のみ備えられてディスプレイ2Bやボタン3Bがなくてもよい。
【0020】
図1では電話システム1に子機100が1台含まれている例が示されているが、電話システム1は子機を複数台含んでもよい。複数の子機の中には親機200と上記の無線通信が可能な携帯電話機やいわゆるスマートホンなどと呼ばれる多機能端末が含まれてもよい。また、電話システム1に複数台の子機が含まれる場合、これら子機の間で親機200を介さない無線通信が可能であってもよい。さらに、電話システム1には、親機200とは別体で、図1(B)の親機200のような、子機100を充電するための充電台が含まれてもよい。
【0021】
図2は、子機100の概略図である。図2(A)は、子機100のある一面(第1面)側から見た図であり、第1面を正面とする。すなわち、図2(A)は、子機100の正面図である。図2(B)は、子機100を上記第1面に接した面から見た図、つまり側面図である。図2(C)は、子機100を上記第1面の反対側の面から見た図、つまり背面図である。図2(A)〜図2(C)を参照して、子機100の正面にはスピーカ1Aとディスプレイ2Aとボタン3Aとマイク4とが配される。子機100の背面にはスピーカ1Bが配される。子機100内部の、長手方向(軸方向)の一方端よりには、充電池5が設置されている。
【0022】
子機100は、通話時には、正面がユーザの顔(耳および口)に向くようにして耳に押し当てられて用いられることが想定されている。また、操作時(たとえば架電時等)には、正面がユーザに向けられて用いられることが想定されている。そのため、スピーカ1A、ディスプレイ2A、ボタン3A、およびマイク4は、その順で軸方向に並んで配置される。好ましくは、子機100は、ヒトの顔側部のカーブに沿うように、後述する正面側(ディスプレイ2A等が配される側の面)を内側として軸方向に円弧状に、やや湾曲した形状を呈している。すなわち、第1面である表面の向く側を曲率中止として、長手方向の軸が曲率を有している。これにより、通話時に、顔のカーブに沿ってユーザの耳および口にそれぞれスピーカ1Aおよびマイク4が接近するようになる。
【0023】
図3は、親機200の概略図である。図3(A)は、親機200を上記設置面とは異なるある一面から見た図であり、この面を正面とする。すなわち、図3(A)は、親機200の正面図である。図3(B)は親機200の側面図である。図3(A)および図3(B)を参照して、親機200の正面には、ディスプレイ2Bとボタン3Bとが配される。さらに、親機200の正面には、子機100をセット可能に成形され、子機100内の充電池5をワイヤレス充電可能な充電部6が設けられる。
【0024】
詳しくは、充電部6の正面側は面状に形成され、その面よりも突出した形状の爪部7が設けられている。爪部7の正面側は、子機100の対応する位置の形状に応じた形状に成形されている。充電部6の上記面の端部には、上記面に対して角度を有する、充電面である充電部壁6Aが形成されている。充電部壁6A内には充電機8が設置されている。
【0025】
充電時、子機100は、正面または背面が充電部6の正面側の面に向かい、充電池5が設置されている側の端部が充電部壁6Aに当接するように充電部6に載荷される。充電部6は上記のように親機200の正面に設けられているため、充電時には、親機200の正面に子機100が置かれるようにセットされることになる。
【0026】
図4および図5は、親機200への子機100のセット状態を説明するための図である。図4(A)および図4(B)は第1のセット状態、図5(A)および図5(B)は第2のセット状態を表わしている。第1のセット状態は、子機100の正面を親機200の充電部6側に向け、子機100の背面を親機200の正面に向けてセットした状態を指す。この状態では、親機200の正面からは子機100の背面が見える。図4(A)は第1のセット状態にある電話システム1を親機200の正面から見た図であり、図4(B)は親機200の側面から見た図である。第2のセット状態は、子機100の背面を親機200の充電部6側に向け、子機100の正面を親機200の正面に向けてセットした状態を指す。この状態では、親機200の正面からは子機100の正面が見える。図5(A)は第2のセット状態にある電話システム1を親機200の正面から見た図であり、図5(B)は親機200の側面から見た図である。図4(B)および図5(B)を参照して、子機100は、充電池5が設置されている側の端部が充電部壁6Aと当接し、正面または背面の一部が爪部7と当接する。すなわち、充電部6は、長手方向に離れた少なくとも2か所で子機100と接触することで子機100をセット可能である。これにより、子機100の親機200に対する位置が固定される。
【0027】
さらに図4(B)および図5(B)を参照して、充電面である充電部壁6Aは、子機100が第1のセット状態で親機200の充電部6にセットされたときに(図4(B))に子機100の端部と接する角度で形成されている。上記のように子機100は正面の向く側を曲率中心とした曲率を有している、すなわち、軸方向に円弧状に湾曲している。そのため、図5(B)に表わされたように第2のセット状態となると、子機100の端部と充電部壁6Aとの接触状態は変化する。すなわち、子機100の端部と充電部壁6Aとの接触面積は第1のセット状態のときの接触面積よりも小さくなる。また、子機100の端部の法線方向と充電部壁6Aの法線方向とのなす角度も第1のセット状態のときのその角度よりも大きくなる。
【0028】
図6(A)および図6(B)は、それぞれ、第1のセット状態および第2のセット状態の、爪部7と子機100との関係を説明するための概略断面図である。図6(A)および図6(B)の断面図は、充電部6にセットされた状態の子機100を、爪部7を含む、子機100の軸に直交する方向の断面を表わす概略図である。
【0029】
図6(A)および図6(B)を参照して、子機100の匡体は、正面側は概ね平面を呈し、背面側は曲面を呈している。この形状によって、通話時や架電のための操作時などには子機100の背面がユーザの手のひらにフィットし、平面に配置されたディスプレイ2Bやボタン3Bをユーザは視認することになるため、ユーザの使い勝手が向上する。
【0030】
爪部7の正面側は、子機100の正面側の形状に応じて平面に成形されている。それ故、図6(A)に表わされたように、子機100の親機200へのセット状態が第1のセット状態である場合には、平面である子機100の正面と爪部7の正面とが面状に当接することになるため、安定して充電部6に子機100がセットされることになる。
【0031】
一方、図6(A)に表わされたように、子機100の親機200へのセット状態が第2のセット状態である場合には、曲面である子機100の背面と平面である爪部7の正面とが当接することになるため、接触面積が第1のセット状態のときよりも小さくなる。それ故、子機100の充電部6に対するセット状態が第1のセット状態よりも不安定となり、子機100の端部と充電部壁6Aとの位置関係が第1のセット状態での位置関係と異なるものとなりやすくなる。
【0032】
<装置構成の説明>
図7および図8は、それぞれ、子機100および親機200の装置構成の具体例を示すブロック図である。
【0033】
図7を参照して、子機100は、装置全体を制御するためのCPU(Central Processing Unit)10と、CPU10で実行されるプログラムや電話帳データなどを記憶するためのメモリであるROM(Read Only Memory)11と、着信履歴を記憶したりCPU10でプログラムを実行する際の作業領域となったりするメモリであるRAM(Random Access Memory)12と、ディスプレイ2Aと、スピーカ1Aと、マイク4と、ボタン3Aと、充電池5と、親機200や図示しない他の子機との間で無線通信を行なうための通信部13とを含む。
【0034】
図8を参照して、親機200は、装置全体を制御するためのCPU20と、CPU20で実行されるプログラムなどを記憶するためのメモリであるROM21と、CPU20でプログラムを実行する際の作業領域ともなるメモリであるRAM22と、ディスプレイ2Bと、ボタン3Bと、充電機8と、子機100との間で無線通信を行なうための第1通信部23と、固定電話回線を介した通信を行なうための第2通信部24とを含む。
【0035】
<動作概要>
上記のように、子機100は親機200に対して、正面に向かう面の異なる第1のセット状態と第2のセット状態との両状態でセット可能である。いずれのセット状態であっても親機200の充電部6は子機100を充電可能であるが、機能またはデザイン上、第1のセット状態の方が第2のセット状態よりも優位である。ここでの優位性は、特定の特性に着目したものに限定されず、機能およびデザイン、またはその組み合わせ等に関する様々な特性が含まれる。たとえば、子機100および親機200の形状が上記のような形状であるため、第1のセット状態の方が第2のセット状態よりも充電効率が高いことが挙げられる。また、他の例として、子機100の正面側にスピーカ1A、マイク4、およびボタン3Aが配置されているために正面側に埃や水などがかかることが好ましくないことから、第1のセット状態の方が第2のセット状態よりも設置上、優位であることが挙げられる。また、他の例として、子機100の軸方向に湾曲していることから第1のセット状態の方が第2のセット状態よりもユーザの使い勝手がよい(親機200から持ち上げやすい)ことが挙げられる。
【0036】
以下では、上記のような特性のうちの充電効率を具体例として説明する。本実施の形態にかかる電話システム1は、第1のセット状態の方が第2のセット状態よりも充電効率が高いときに、第1のセット状態で子機100を親機200にセットするようガイドする。
【0037】
<動作の説明>
充電部6は、充電池5をワイヤレス充電可能である。この充電方法は、無接点給電や非接触給電やワイヤレス給電などとも呼ばれ、電磁誘導を利用する電磁誘導方法や、磁界結合に共振条件を考慮した共鳴方式や、無線で電力を送出する無線電波方式などの方法がある。一例として、充電部6は電磁誘導方式を採用するものとする。
【0038】
すなわち、充電部6は、子機100の端部が充電部壁6Aに当接されることで、機械的な接続なく充電池5を充電する。この方式での充電のために、図9(A)に表わされたように、充電池5と充電機8とのそれぞれにコイル5A,8Aが含まれる。
【0039】
図9(A)は、電磁誘導方式を採用した充電部6での充電方法を説明するための図である。図9(A)を参照して、充電部6は、充電時に充電機8に含まれるコイル8Aに電流を流す。これによりコイル8Aには磁束が生じる。充電部6は、この磁束を媒介として充電池5内のコイル5Aに起電力を生じさせ、蓄電させる。このとき、両コイル8A,5A間に位置ずれがあると充電効率が低下する。
【0040】
図9(B)〜図9(D)は、コイル5A,8Aの位置関係を規定するパラメータを説明するための図である。すなわち、図9(B)はコイル5A,8Aの巻きを含む平面が平行であるときの両コイル間の距離d1を表わし、図9(C)はコイル5A,8Aの巻きを含む平面が平行であるときの一方のコイル(たとえばコイル8A)の中心から他方のコイル(たとえばコイル5A)までの距離d2を表わし、図9(D)は両コイル5A,8Aそれぞれの軸のなす角度rを表わしている。充電効率は、すなわちコイル5A,8Aの巻きを含む平面が平行に近く、コイル間の距離が小さく、かつ、コイル5A,8Aの重なる面積が大きいほど高くなる。コイル8Aに生じた磁束によってコイル5Aの磁束の変化を大きくすることができるためである。それ故、角度rが小さいほど充電効率は大きくなり、充電可能な角度rの範囲がコイルの特性や与える電流によって規定される。また、距離d1が小さいほど充電効率は大きくなり、充電可能な距離d1の範囲がコイルの特性や与える電流によって規定される。また、距離d2は両コイルの中心が重なる長さであるほど充電効率は大きくなり、充電可能な距離d2はコイルの特性(特に巻き径)や与える電流によって規定される。実際の電話システムでは、最も充電効率が高くなる距離d1として、たとえば4mm〜5mm程度が想定されている。充電可能な距離d1としては、たとえば15mm程度以下が想定され、距離d2はたとえば15mm程度以下が想定され、角度rはたとえば45度程度以下が想定されている。
【0041】
充電部壁6A内に設置された充電機8に含まれるコイル8Aは、第1のセット状態で子機100がセットされたときの子機100の充電池5内のコイル5Aに対して上記のように充電効率ができるだけ高くなるような位置関係となるように設置されている。なお、好ましくは、充電部6は、第2のセット状態で子機100がセットされたときにも両コイル5A,8Aの関係が上記の充電可能な範囲となるよう成形されている。
【0042】
第1のセット状態で子機100が充電部6にセットされると、設計された(高い)充電効率で充電池5が充電されることになる。しかしながら、第2のセット状態で子機100が充電部6にセットされると、上記のように子機100の長手方向の軸が曲率を有していることから、子機100の端部と充電部壁6Aとの位置関係が第1のセット状態のときの位置関係と異なってくる。そのため、コイル5A,8Aの位置関係が異なってくる。このとき、上記のように第1のセット状態での充電効率が最も高くなるようにコイル8Aが設置されているので、第2のセット状態となると充電効率が第1のセット状態での充電効率よりも低くなる。したがって、充電時、子機100は第1のセット状態で充電部6にセットされることが好ましい。
【0043】
そこで、本実施の形態にかかる電話システム1は、第2のセット状態で子機100が充電部6にセットされたとき、すなわち、子機100のディスプレイ2Aの配された面が正面側となるように親機200の充電部6におかれた場合(図5(A),(B))、第1のセット状態、すなわち、反対向きに子機100をセットすることを促すガイドをユーザに対して報知する。
【0044】
この報知のため、一例として、子機100のCPU10は、子機100が充電中であるときに、ディスプレイ2Aにガイド表示を行なう。図10は、ガイド表示の具体例を表わした図である。図10を参照して、CPU10は、たとえば「充電時はこの面を下向きに置いて下さい」などのガイド表示を行なう。CPU10は、充電池5の電池残量を監視するなどして充電中であることを検出すると第1のセット状態であるか第2のセット状態であるかを検出する処理を行なうことなく、図10のガイド表示を行なうようにしてよい。
【0045】
図11は、電話システム1でのガイドを説明するための図であって、図11(A)は第2のセット状態でのガイドの状態、図11(B)は第1のセット状態でガイドの状態を表わした図である。図11(A)を参照して、充電効率の低い第2のセット状態ではディスプレイ2Aを含んだ子機100の正面が正面を向いているために、ユーザはガイド表示を正面から視認可能となる。そのため、ユーザに対してガイドが報知されることになる。一方、図11(B)を参照して、充電効率の高い第1のセット状態ではディスプレイ2Aを含んだ子機100の正面が親機200側を向いているために、ユーザはガイド表示を正面から視認することができない。そのため、上記ガイド表示がなされていてもユーザに報知はなされない。なお、図11にも表わされているように、充電時、親機200のCPU20は、子機100から充電中である通知を受け付けて、その旨を表わすメッセージ(たとえば「充電中」など)をディスプレイ2Bに表示するようにしてもよい。
【0046】
なお、CPU10は、充電中であることを検出すると第1のセット状態であるか第2のセット状態であるかを検出し、第2のセット状態であることが検出されると図10のガイド表示を行なうようにしてもよい。CPU10は、たとえば、子機100の正面または背面に照度センサを配置し、照度センサからのセンサ信号が示す照度が所定照度以上であるときに子機100の照度センサが設置された側の面が正面を向き、上記所定照度に満たないときに上記面が親機200側を向いているとして、第1のセット状態または第2のセット状態を検出するようにしてもよい。また、他の例として、子機100の正面または背面の爪部7に相当する位置に押圧センサを配置し、その押圧センサからのセンサ信号に基づいて第1のセット状態または第2のセット状態を検出するようにしてもよい。
【0047】
また、上記のように、電話システム1に親機200とは別体の子機100を充電するための充電台が含まれている場合、当該充電台で子機100が充電されているときには上記のようなガイド表示は不要となる。そこで、子機100のCPU10は、充電中であることが検出されると、親機200の充電部6での充電であるか図示しない充電台での充電であるかを検出し、充電部6での充電であると検出されると上記のようにガイド表示を行なうようにしてもよい。このとき、一例としてCPU10は、図示しない親機200の子機100との無線通信用のアンテナでの通信強度に基づいて、子機100が親機200の充電部6にセットされているか別体の充電台にセットされているかを検出するようにしてもよい。この場合、好ましくは、上記アンテナは充電部6近傍に配置されるものとする。また、他の例として、上記と同様に子機100の背面に照度センサを配置して、上記照度センサからのセンサ信号が示す照度が所定照度に満たないときには第2のセット状態であると検出してガイド表示を行ない、上記所定照度以上のときには第1のセット状態、または親機200ではない充電台にセットされていると検出するようにしてもよい。
【0048】
<実施の形態の効果>
CPU10このような表示制御を行なうことで、たとえば充電効率の低いなど、優位性の低い第2のセット状態で子機100が親機200の充電部6にセットされているときに効果的にユーザにより優位な第1のセット状態とすることを促すことができる。これにより、図示したように、デザイン性や持ちやすさなどに考慮したデザインの結果、セット状態によって充電効率に差がある場合であっても効果的に充電効率の高いセット状態をガイドすることができ、デザイン性と使い勝手とを両立させることができる。
【0049】
このときに、CPU10は、第1のセット状態であるか第2のセット状態であるかを検出する処理を行なうことなく、第2のセット状態で正面を向く側の子機100の面(正面)に配されたディスプレイにガイド表示を行なうことで、セット状態を検出するための処理を不要として効果的に優位なセット状態をガイドすることができる。
【0050】
または、CPU10は、第1のセット状態であるか第2のセット状態であるかを検出して第2のセット状態であると検出された場合にガイド表示を行なうことで、不要なガイド表示を行なうことなく効果的に優位なセット状態をガイドすることができる。さらに、さらに、親機200とは別体の充電台が電話システム1に含まれるときにCPU10が上記充電台にセットされているか親機200の充電部6にセットされているかを検出して親機200の充電部6にセットされていると検出された場合にガイド表示を行なうことで、不要なガイド表示を行なうことなく効果的に優位なセット状態をガイドすることができる。
【0051】
<他の例>
子機100のCPU10に上記の表示制御を実行させるためのプログラムを提供することもできる。このプログラムをインストールすることで、既存の電話システムでも同様のガイド表示が実現される。そのため、既存の電話システムの子機が上記のように親機の充電部へのセット状態によって充電効率が異なる場合に、該プログラムをインストールすることで上記のようなガイド表示がなされることになり、使い勝手を向上させることができる。
【0052】
プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。すなわち、プログラムは、一例として固定電話回線を介してダウンロードによって親機200にダウンロードされた後、子機100に無線通信で配信されてもよい。また、他の例として、インターネットなどのネットワークや着脱式のメモリなどによって、いったん、携帯電話機やモバイル端末などに配布され、そのような装置から子機100に対して無線通信で配信されてもよい。
【0053】
なお、本発明にかかるプログラムは、他のプログラムに組み込まれるプログラムの一部(モジュール)であって、当該他のプログラムの一部に組み込まれて提供されるものであってもよい。または、モジュールだけが提供されて、他のプログラムの一部に組み込まれて(またはそのモジュール部分が書き換えられて)用いられてもよい。このような他のプログラムに組み込まれた(組み込まれる)プログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0054】
<まとめ>
本発明の局面は、次のように表わすことができる。
【0055】
(1)
固定電話回線に接続される親機(親機200)、および親機との間で無線通信可能な少なくとも1台の子機(子機100)を含んだ電話システムであって、
親機に設けられた、子機に含まれる充電池をワイヤレス充電可能な充電部(充電部6)と、
子機に設けられたディスプレイ(ディスプレイ2A)と、
ディスプレイの表示を制御するための制御手段(CPU10)とを備え、
充電部は、子機の、ディスプレイの設けられた面である第1の面(正面)を親機に向け第1の面と異なる第2の面(裏面)を外側に向けた第1のセット状態と、第2の面を親機に向け第1の面を外側に向けた第2のセット状態との両状態で前記子機を前記親機の上にセット可能に成形されており、
制御手段は、充電池の充電中に子機を第1のセット状態でセットするようディスプレイにガイド表示を行なう、電話システム。
【0056】
(1)にかかる電話システムは、デザイン性とユーザの使い勝手とを両立させることができる。
【0057】
(2)
充電部は、第1のセット状態での充電効率が第2のセット状態での充電効率よりも高いように構成されている、(1)に記載の電話システム。
【0058】
(2)にかかる電話システムは、充電効率の観点で優位なセット状態となるようガイド表示を行なうことができる。
【0059】
(3)
充電部および子機は、第1のセット状態と第2のセット状態とで、充電池と充電部との位置関係が異なるように成形されている、(2)に記載の電話システム。
【0060】
(3)にかかる電話システムは、デザイン性とユーザの使い勝手とを両立させることができる。
【0061】
(4)
充電部に含まれる充電面(充電部壁6A)は、第1のセット状態で子機がセットされたときに子機の長手方向の一方の端面と接するよう成形されており、
第2のセット状態での、子機の端面のうちの充電面へ接する面積は、第1のセット状態での接する面積よりも少ない、(3)に記載の電話システム。
【0062】
(4)にかかる電話システムは、デザイン性とユーザの使い勝手とを両立させることができる。
【0063】
(5)
充電部は子機に対して長手方向に離れた少なくとも2か所で接触することで子機を親機の上にセット可能であり、
子機の長手方向の軸は、曲率中心が第1の面の向く側にある曲率を有する、(3)または(4)に記載の電話システム。
【0064】
(5)にかかる電話システムは、デザイン性とユーザの使い勝手とを両立させることができる。
【0065】
(6)
制御手段は、子機のセット状態を検出し、子機が第2のセット状態であるときにはディスプレイにガイド表示を行ない、第1のセット状態であるときには行なわない、(1)に記載の電話システム。
【0066】
(6)にかかる電話システムは、効率的にガイド表示を行なうことができる。
(7)
親機とは別体で形成された、子機を充電するための充電台をさらに含み、
制御手段は、子機が親機の充電部へセットされているか充電台にセットされているかを検出し、子機が親機の充電部へセットされているときにはディスプレイにガイド表示を行ない、充電台にセットされているときには行なわない、(1)に記載の電話システム。
【0067】
(7)にかかる電話システムは、効率的にガイド表示を行なうことができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0068】
1 電話システム、1A,1B スピーカ、2A,2B ディスプレイ、3A,3B ボタン、4 マイク、5 充電池、5A,8A コイル、6 充電部、6A 充電部壁、7 爪部、8 充電機、10,20 CPU、13 通信部、112,1 ROM、12,22 RAM、23 第1通信部、24 第2通信部、100 子機、200 親機。
図1
図2
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図11