(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0035】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態について、
図1〜
図3を用いて説明する。
本実施形態では、内部が中空の球状の導光体を備えた太陽電池モジュールの例を挙げる。
図1は、本実施形態の太陽電池モジュールの構成を示す斜視図である。
図2は、太陽電池モジュールの断面図である。
図3は、
図2の一部の拡大図である。
なお、以下の全ての図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0036】
本実施形態の太陽電池モジュール1は、
図1に示すように、導光体2と、太陽電池素子3と、を備えている。導光体2は、透光性を有する基材からなり、内部が密閉空間となった殻状の球体(構造体)で構成されている。本実施形態の例では、球体の内部が密閉された空間であるとしたが、必ずしも密閉された空間でなくても良い。例えば球体の一部が開口しており、球体の内部が開放された空間であっても良い。透光性を有する基材として、例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィンポリマー樹脂等の透明性の高い有機材料を用いることができる。あるいは、ガラスなどの透明性の高い無機材料を用いることもできる。ただし、透光性を有する基材は、これらに限定されるものではない。導光体2の寸法の一例として、球体の半径が例えば250mm程度、導光体2の厚さが例えば1mm程度、である。なお、
図1に示すように、球体の中心を通り、互いに直交する3つの軸をx軸、y軸、z軸として以下、説明する。
【0037】
導光体2は、外光L0(太陽光)により励起されて蛍光L1を発光する蛍光体を内部に含んでいる。導光体2は、入射した外光L0が励起光となって蛍光体から発せられた蛍光L1を太陽電池素子3に導く機能を果たす。太陽電池素子3は、外光L0の入射によって蛍光体から発せられ、導光体2の内部を伝播する蛍光L1を受光して電力を発生する機能を果たす。本実施形態の場合、導光体2は、
図2に示すように、蛍光体を含む蛍光体層4を両側から上記の透光性基材5、例えばアクリル樹脂で挟んだ構成を有している。すなわち、導光体2は、透光性基材5/蛍光体層4/透光性基材5の3層構造を有している。
【0038】
上記構成の導光体2を作製する際には、例えばアクリル樹脂で内側の球体を作製した後、球体に太陽電池素子3を固定した状態でその外側に蛍光体材料、アクリル樹脂を順次コーティングし、蛍光体層4、外側の球体を形成すれば良い。以下の説明では、導光体2の内部空間に面する面を「内面」と称し、導光体2の外部空間に面する面を「外面」と称する。
【0039】
蛍光体層4は、例えば可視光や赤外光を吸収して可視光や赤外光を放出する蛍光体、あるいは、紫外光を吸収して可視光を放出する蛍光体を含んでいる。一例として、BASF社製Lumogen F Violet 570(商品名)を0.02%、BASF社製Lumogen F Yellow 083(商品名)を0.02%、BASF社製Lumogen F Orange 240(商品名)を0.02%、BASF社製Lumogen F Red 305(商品名)を0.02%、NILE BLUE A(CAS登録番号3625−57−8)を0.5%、Ir-140(CAS登録番号53655−17−7)を0.5%、Ir-144(CAS登録番号54849−69−3)を0.5%、量子ドットPbS(硫化鉛)を3%からなる複数種の蛍光体を含有したものを用いることができる。上記複数種の蛍光体を含む蛍光体層4からは、400nm〜1500nm程度の広い波長領域を持つ蛍光が放射される。
【0040】
太陽電池素子3は、
図1に示すように、導光体2を構成する球体の中心Oを通る平面(xy平面)と球体の表面とが交差してできる円の円周の1/2にあたる部分に配置されている。すなわち、太陽電池素子3は、円環を半分に割った形状を有している。太陽電池素子3は、
図2に示すように、球体の中心を通る平面(xy平面)上において導光体2の内部に埋め込まれている。太陽電池素子3は、導光体2に接する2つの面3a,3b(
図2における上面3aおよび下面3b)がともに受光面となっている。したがって、実際には、太陽電池素子3として、2つの太陽電池素子を受光面と反対側の面を背中合わせにして貼り合わせたものを用いるのが好ましい。ただし、本実施形態ではこれを1つの太陽電池素子とみなして説明する。太陽電池素子3には、シリコン系太陽電池、化合物系太陽電池、有機系太陽電池などの公知の太陽電池を用いることができる。
【0041】
上述の太陽電池の中でも、化合物半導体を用いた化合物系太陽電池は、高効率の発電が可能であることから本実施形態に好適に用いられる。化合物系太陽電池の一例としては、半導体基板上にInGaAs層とGaAs層とInGaP層とを積層したものが用いられる。この化合物系太陽電池は、例えば400nm〜1200nmの波長領域で80%以上、500nm〜950nmの波長領域で95%以上といった高い発電効率を持っている。
そのため、上記の蛍光体と上記の化合物系太陽電池とを組み合わせることにより、幅広い波長領域で効率の高い発電が可能となる。
【0042】
上記構成の太陽電池モジュール1においては、外光L0(太陽光)が導光体2に照射されると、外光L0が励起光となって蛍光体層4中の蛍光体が発光する。発せられた蛍光L1の多くは、
図3に示すように、導光体2の内面2aと外面2bとの間で全反射を繰り返しながら導光体2の内部に閉じこめられた状態で導光する。導光体2の球体がある程度の曲率半径を有していれば、吸収損失がない限り、導光を続けることができる。発せられた蛍光L1は、あらゆる方向に導光するが、常に外光L0の入射点と球体の中心とを通る任意の平面と球体の表面とが交差してできる円の円周に沿って導光する。したがって、太陽電池素子3が、球体の中心を通る平面と球体の表面とが交差した円の円周の1/2にあたる部分に配置されていれば、
図1に示すように、蛍光体層4から発せられた蛍光L1のほとんど全てが1周以下の経路で確実に太陽電池素子3に到達する。
【0043】
本実施形態の導光体2は球体であるから、球体を任意の方向からその方向に垂直な平面上に投影した図形である円の面積が導光体2の受光面積に相当する。この受光面積(円の面積)に対して照射された光を、円周×1/2×導光体2の厚さに相当する面積の太陽電池素子3に集光することができる。面積に対して周囲の長さが最も短い図形は円であるから、原理的に最も集光効率が高い太陽電池モジュール1を実現することができる。先の寸法の例で言えば、導光体2の受光面積が250×250×π(mm
2)、太陽電池素子3の面積が250×2×π×1/2×1(mm
2)であるから、太陽電池素子3の面積に対する導光体2の受光面積の比は250となる。この値は、例えば長方形状の導光体では得られない値である。
【0044】
また、いずれの方向においても球体を平面上に射影した図形は常に円であり、円の面積は変わらない。したがって、球体状の導光体2を備えた本実施形態の太陽電池モジュール1の場合、時間変動や季節変動により太陽の位置が変わっても、太陽光の強度自体が大きく変わらない限り、発電量が大きく変動することはない。さらに、球体状の導光体2は、太陽から直接到達する光だけでなく、雲、地面、建築物等で反射、散乱され、あらゆる方向から到達する光を受光することができる。その観点からも、本実施形態の太陽電池モジュール1は高い発電効率を得ることができる。
【0045】
蛍光体層4を用いる場合、蛍光体層4が導光体2の外面に露出していたとすると、蛍光体層4から発せられた蛍光L1の一部が外部空間に放出され、導光体2の内部を導光する成分が少なくなる。これに対して、本実施形態の導光体2の場合、蛍光体層4の両側を透光性基材5で挟んだ構成であるから、蛍光体層4から発せられた蛍光L1のほとんど全てが導光体2の内部を導光する。その結果、集光効率が高い太陽電池モジュール1を実現することができる。
【0046】
また、導光体2が所定の体積を有していても、導光体2の内部が中空であるため、太陽電池モジュール1を軽量化することができる。また、導光体2の体積に対して太陽電池モジュール1の設置面積が小さくて済む。これらの効果により、土台の強度がそれ程高くない場所、もしくは面積が限られた場所に本実施形態の太陽電池モジュール1を設置することができ、設置場所の自由度が向上する。さらに、太陽電池モジュール1のコストの低減を図ることができる。
【0047】
[第1実施形態の第1変形例]
第1実施形態では、蛍光体層4の両側を透光性基材5で挟んだ構成の導光体2を用いた。この導光体2に代えて、本変形例の太陽電池モジュール7では、
図4に示すように、透光性を有する基材8の内部に粒子状の蛍光体9を分散させた導光体10を用いている。この導光体10を作製する際には、例えば予め蛍光体9を分散させたアクリル樹脂を準備しておき、このアクリル樹脂を射出成型して球体を形成し、導光体10とすれば良い。
【0048】
[第1実施形態の第2変形例]
第1実施形態では、太陽電池素子3は導光体2の内部に埋め込まれていた。この構成に代えて、本変形例の太陽電池モジュール12では、
図5に示すように、太陽電池素子13が導光体2の外面2bに貼り付けられている。この構成においては、太陽電池素子13の受光面13aを導光体2に向けて配置する。上述したように、蛍光体層4から発せられた蛍光L1は、導光体2の内部で全反射を繰り返しながら導光する。したがって、導光体2の厚さが極端に厚くない限り、太陽電池素子13が導光体2の外面2bに配置されていても、太陽電池素子13は蛍光L1を十分に受光することができる。この太陽電池モジュール12は、太陽電池素子13を導光体2の内部に埋め込むよりも構造が簡単であり、製造も容易である。
図5では、太陽電池素子13を導光体2の外面2bに貼り付けた例を示したが、この他、太陽電池素子13を導光体2の内面2aに貼り付けても良いし、導光体2の外面2bと内面2aの両方に貼り付けても良い。
【0049】
[第1実施形態の第3変形例]
第2変形例においても、太陽電池素子13は蛍光L1を十分に受光できるが、蛍光L1が太陽電池素子13の設置された位置を通り抜け、導光体2をさらに1周導光すると、光損失が生じる虞があり、無駄である。そこで、本変形例の太陽電池モジュール15では、
図6に示すように、太陽電池素子13の設置位置に略対向する位置にあたる導光体2の内面2aに、凹凸部2dが設けられ、凹凸部2dの表面に反射層16が設けられている。凹凸部2dは、導光体2の内面が凹凸加工されたものである。反射層16は、凹凸部2dの表面に金属膜や誘電体多層膜が形成されたものである。
図6では凹凸部2dの断面形状を三角形状に示したが、入射した光を散乱させる作用を持つものであれば、必ずしも断面形状が三角形状である必要はない。
【0050】
導光体2の内面2aに凹凸部2dが設けられていなかったとすると、太陽電池素子13の設置位置に比較的近い導光体2の内面2aで反射する蛍光L1は、
図6に破線の矢印L2で示すように、太陽電池素子13の位置を通り抜ける場合がある。これに対して、導光体2の内面2aに凹凸部2dと反射層16とが設けられている場合、凹凸部2dおよび反射層16に入射した蛍光L1は反射、散乱し、蛍光L1の一部が太陽電池素子13に入射する。すなわち、太陽電池素子13の位置を通り抜けていた蛍光L1の一部を凹凸部2dと反射層16とによって太陽電池素子13に導くことができる。これにより、太陽電池素子13を導光体2の外面2bに貼り付けた構成において、発電効率を高めることができる。
【0051】
なお、導光体2の内面に太陽電池素子13を設置した場合には、導光体2の外面2bに凹凸部2dを設ければよい。また、凹凸部2dと反射層16とを設けることに代えて、太陽電池素子13を設置する箇所もしくはその近傍の箇所の導光体2の厚さを部分的に薄くしても良い。その場合、導光体2の厚さを薄くした箇所ではそれ以外の箇所に比べて光が全反射する回数が増える。その結果、太陽電池素子13に入射する光の割合が増え、発電効率を高めることができる。
【0052】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、
図7を用いて説明する。
本実施形態の太陽電池モジュールの基本構成は第1実施形態と同様であり、導光体の構成が第1実施形態と異なる。
図7は、本実施形態の太陽電池モジュールを示す斜視図である。
【0053】
第1実施形態では、導光体2の全体が一体となった継ぎ目のない構成を想定した。ところが、導光体2の全ての表面が滑らかな球面となるように導光体2を成型するのは困難である。導光体2の球体の表面が滑らかでない場合、光の全反射が阻害されるため、光の損失が生じて太陽電池素子3への集光効率が低下する。
【0054】
そこで、本実施形態の太陽電池モジュール18は、
図7に示すように、内部が中空の半球体19a,19bを2つ貼り合わせた構成の導光体20を有している。球体を成型する場合に比べれば、半球体を成型する方が表面を滑らかに形成し易い。ただし、2つの半球体19a,19bの接合面は導光時に光の損失が生じやすい。その観点から、発光点から太陽電池素子に至る光の経路が半球体19a,19bの接合面を跨がないようにすることが望ましい。したがって、一方の半球体19aの縁にあたる端面の全周に太陽電池素子21を配置し、この太陽電池素子21を挟み込むようにして他方の半球体19bを貼り合わせれば良い。
【0055】
したがって、本実施形態の場合、太陽電池素子21は、導光体20の中心を通る平面と導光体20の表面とが交差してできる円の全周にわたって配置されている。したがって、蛍光体層(図示略)から発せられた蛍光は、いずれの方向に導光した光についても1/2周以下の経路で太陽電池素子21に到達する。本実施形態の場合、光が太陽電池素子21に至る経路の途中に半球体19a,19b接合面が存在しないため、接合面での光の損失が生じにくく、太陽電池素子21への集光効率を確保することができる。
【0056】
本実施形態においても、集光効率が高い太陽電池モジュールを実現できる、発電量の変動を抑えられる、太陽電池モジュールの軽量化、低コスト化が図れる、設置場所の自由度が向上する、等の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0057】
[第2実施形態の第1変形例]
第2実施形態では、半球状の導光体の端面の全周に太陽電池素子を配置した。この構成に代えて、半球状の導光体の端面の一部に太陽電池素子を配置しても良い。例えば
図8に示す太陽電池モジュール23では、導光体20を構成する半球体19a,19bの端面のうち、1/2に相当する部分に太陽電池素子24が配置され、残りの1/2に相当する部分には反射部25が形成されている。反射部25は、半球体19a,19bの端面に光反射率の高い金属膜等が形成されたものである。具体的には、反射部25は、半球体19a,19bの端面に蒸着法等によりアルミニウム、銀等の金属膜を成膜したものでも良いし、酸化シリコン/酸化チタン等からなる誘電体多層膜を成膜したものでも良い。また、反射部25の表面は滑らかな面であっても良いし、凹凸がある面であっても良い。ただし、反射部25に凹凸がある場合、導光体20から光が漏れ出さないように、導光体20の内面および外面と平行な方向に沿って延在する凹凸はない方が望ましい。
【0058】
本変形例の太陽電池モジュール23においては、蛍光体層(図示略)から発せられた蛍光L1のうち、発光点Tから太陽電池素子24の方向に向けて伝播した蛍光L1は、そのまま太陽電池素子24に受光される。一方、発光点Tから反射部25の方向に向けて伝播した蛍光L3は、反射部25で反射した後、太陽電池素子24の方向に向けて進行し、太陽電池素子24に受光される。このようにして、発光点Tからいずれの方向に進行した蛍光L1,L3も、最終的には略全てが太陽電池素子24に受光される。本変形例の太陽電池モジュール23によれば、太陽電池素子24の使用量が少なくて済み、コストの低減を図ることができる。
【0059】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態について、
図9を用いて説明する。
本実施形態の太陽電池モジュールの基本構成は第1実施形態と同様であり、導光体の形状が第1実施形態と異なるのみである。
図9は、本実施形態の太陽電池モジュールを示す斜視図である。
【0060】
本実施形態の太陽電池モジュール26は、
図9に示すように、内部が中空の半球状の導光体27と、太陽電池素子28と、を備えている。導光体27は、xy平面側が開口部27aとなっており、内部が開放空間となった半球状の透光性基材で構成されている。太陽電池素子28は、半球状の導光体27の端面の全周にわたって設置されている。すなわち、本実施形態の太陽電池モジュール26は、
図7に示した第2実施形態の太陽電池モジュール18を構成する2つの導光体19a,19bのうち、上半分の導光体19aと太陽電池素子21とで構成されたものと言える。
【0061】
本実施形態の太陽電池モジュール26は、太陽電池素子28が配置された導光体27の端面側(開口部27a側)を下方に向けた姿勢で、例えば建築物の屋上や地上等の水平面に設置される。この太陽電池モジュール26を水平面上に設置した場合、導光体27が半球状であるから、鉛直方向上方から導光体27を水平面上に射影した図形は円であるが、任意の方向から平面上に射影した図形が常に円になるわけではない。例えば、斜め上方から導光体27を射影した図形は円がつぶれたような形状となる。したがって、本実施形態の導光体27は、見る方向によって射影した図形の形状が変化し、それに伴って図形の面積が変化する。すなわち、本実施形態の導光体27は、太陽の位置によって受光面積が変化する。
【0062】
そのため、本実施形態の太陽電池モジュール26は、球状の導光体を備えた第1、第2実施形態の太陽電池モジュールに比べて、太陽の位置による発電量の変動が大きくなる。
例えば朝や夕方など、太陽の傾きが大きいときに導光体27の受光面積が減り、発電量が低下する傾向にある。しかしながら、平面状の導光体を備えた従来の太陽電池モジュールに比べれば、発電量の変動を抑えることができる。また、本実施形態の太陽電池モジュール26は、第2実施形態の太陽電池モジュール18のように2つの導光体を接合する工程が不要であるため、製造が容易である。また、本実施形態の太陽電池モジュール26は、導光体27の端面側(開口部27a側)を下方に向けた姿勢で設置されるため、設置後の安定性に優れたものとなる。
【0063】
本実施形態においても、集光効率が高い太陽電池モジュールを実現できる、発電量の変動を抑えられる、太陽電池モジュールの軽量化、低コスト化が図れる、設置場所の自由度が向上する、等の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、導光体27の形状は必ずしも完全な半球状でなくても良く、球体を任意の平面で分割した形状としても良い。
【0064】
[第3実施形態の第1変形例]
第3実施形態では、半球状の導光体27の端面の全周に太陽電池素子28を配置した。
この構成に代えて、半球状の導光体の端面の一部に太陽電池素子を配置しても良い。例えば
図10に示す太陽電池モジュール30では、半球状の導光体27の端面のうち、1/2に相当する部分に太陽電池素子31が配置され、残りの1/2に相当する部分には反射部32が形成されている。反射部32は、導光体27の端面に光反射率の高い金属膜等が形成されたものである。具体的には、反射部32は、導光体27の端面に蒸着法等によりアルミニウム、銀等の金属膜を成膜したものでも良いし、酸化シリコン/酸化チタン等からなる誘電体多層膜を成膜したものでも良い。また、反射部32の表面は滑らかな面であっても良いし、凹凸がある面であっても良い。ただし、反射部32に凹凸がある場合、導光体27から光が漏れ出さないように、導光体27の内面および外面と平行な方向に沿って延在する凹凸はない方が望ましい。
【0065】
本変形例の太陽電池モジュール30においては、蛍光体層(図示略)から発せられた蛍光のうち、発光点Tから太陽電池素子31の方向に向けて伝播した蛍光L1は、そのまま太陽電池素子31に受光される。一方、発光点Tから反射部32の方向に向けて伝播した蛍光L3は、反射部32で反射した後、太陽電池素子31の方向に向けて進行し、太陽電池素子31に受光される。このようにして、発光点Tからいずれの方向に進行した蛍光も、最終的には略全てが太陽電池素子31に受光される。本変形例の太陽電池モジュール30によれば、太陽電池素子31の使用量が少なくて済み、コストの低減を図ることができる。
【0066】
[第3実施形態の第2変形例]
先の第1変形例では、
図10に示したように、半球状の導光体27の端面のうち、1/2に相当する部分に太陽電池素子31が配置され、残りの1/2に相当する部分には反射部32が形成されていた。この構成に代えて、
図11に示す太陽電池モジュール39では、半球状の導光体27の端面の全周にわたって反射部40が形成されている。反射部40は、上述の第1変形例と同様、金属膜や誘電体多層膜を用いることができる。
図11において、反射部40は
図11のxy平面上に位置している。また、xz平面で導光体27を切断したときの断面形状である半円のうち、半円の1/2に相当する部分に太陽電池素子44が配置されている。太陽電池素子44は、上述した例と同様、導光体27の内部に埋め込まれていても良いし、導光体27の外面もしくは内面に設置されていても良い。
【0067】
本変形例においても、発光点Tから太陽電池素子44に向けて伝播した蛍光L1は、太陽電池素子44に直接受光される。発光点Tから反射部40に向けて伝播した蛍光L3は、反射部40で反射した後、太陽電池素子44に受光される。本変形例の太陽電池モジュール39によれば、第1変形例の太陽電池モジュール30に比べ、太陽電池素子44の大きさが略1/2になるため、集光効率がより高められ、更なるコストの低減を図ることができる。
【0068】
[第4実施形態]
以下、本発明の第4実施形態について、
図12を用いて説明する。
本実施形態の太陽電池モジュールの基本構成は第3実施形態と同様であり、導光体を複数個備えた点が第3実施形態と異なるのみである。
図12は、本実施形態の太陽電池モジュールを示す斜視図である。
【0069】
本実施形態の太陽電池モジュールアレイ34は、
図12に示すように、半球状の導光体27の端面に太陽電池素子28を備えた太陽電池モジュール26が、複数個アレイ状に配列されたものである。複数個の太陽電池モジュール26の配置は、格子上に配列しても良いし、1列毎に半ピッチずつずらして配置しても良い。
【0070】
本実施形態においても、個々の太陽電池モジュール26については、集光効率が高い太陽電池モジュールを実現できる、発電量の変動を抑えられる、太陽電池モジュールの軽量化、低コスト化が図れる、設置場所の自由度が向上する、等の第1〜第3実施形態と同様の効果を得ることができる。また、太陽電池モジュールアレイ34としては、複数個の太陽電池モジュール26を集積したことで全体の発電量を増大させることができる。
【0071】
[第5実施形態]
以下、本発明の第5実施形態について、
図13、
図14A及び
図14Bを用いて説明する。
本実施形態の太陽電池モジュールの基本構成は第1実施形態と同様であり、導光体の形状が第1実施形態と異なるのみである。
図13は、本実施形態の太陽電池モジュールを示す斜視図である。
図14A、14Bは、本実施形態の太陽電池モジュールの使用形態を示す図である。
【0072】
本実施形態の太陽電池モジュール36は、
図13に示すように、導光体37と、太陽電池素子38と、を備えている。導光体37は、透光性を有する基材からなり、内部が密閉空間となった殻状の楕円体(構造体)で構成されている。導光体37を構成する楕円体は、x軸を長軸とする楕円を、x軸を中心として回転したときに得られる回転楕円体である。したがって、
図13において、導光体37をxy平面もしくはxz平面で切断したときの断面形状は楕円であり、導光体37をyz平面で切断したときの断面形状は円である。
ただし、楕円体は必ずしも回転楕円体である必要はなく、導光体37を上記の3つの平面で切断したときの全ての断面形状が楕円であっても良い。
【0073】
太陽電池素子38は、導光体37を構成する楕円体の中心Oを通り、回転対称軸に垂直な平面(yz平面)と楕円体の表面とが交差してできる円の円周の1/2にあたる部分に配置されている。すなわち、太陽電池素子38は、円環を半分に割った形状を有している。言い換えると、太陽電池素子38は、楕円体の中心Oを通る様々な平面で導光体37を切断した断面のうち、導光体37の断面積が最小となる平面に沿って配置されている。太陽電池素子38は、楕円体の中心を通る平面(yz平面)上において導光体37の内部に埋め込まれている。その他の構成については、第1実施形態と同様である。
【0074】
導光体37を楕円体とした場合、太陽電池素子38の面積が同じであっても、導光体が球体である場合よりも受光面積がさらに増加する。そのため、低コストで発電量が大きな太陽電池モジュール36を実現することができる。
【0075】
球状の導光体2を備えた第1実施形態の太陽電池モジュール1の場合、方向によらずに導光体2を射影した図形の形状は常に円であり、円の面積は変化しなかった。これに対して、本実施形態の太陽電池モジュール36の場合、方向によって導光体37を射影した図形の形状が楕円と円との間で変化し、それに伴って図形の面積が変化する。そのため、本実施形態の太陽電池モジュール36は、球状の導光体2を備えた第1、第2実施形態の太陽電池モジュールに比べて、太陽の位置による発電量の変動が大きくなる。
【0076】
ところが、逆に考えれば、太陽電池モジュール36を太陽の位置に対してどのような姿勢で設置するかにより、1日のうちの朝夕で発電量を変えることができる。例えば北半球の場合、
図14Aに示すように、導光体37の長軸を概ね東西の方位に向け(導光体37の長軸の各端部を、それぞれ東西の方位に概ね一致させ)、導光体37の長軸を水平にした姿勢で太陽電池モジュールを設置したとする。この場合、昼に太陽が南中したとき、導光体37の受光面積が最大になり、朝夕に太陽が傾くと、導光体37の受光面積が小さくなる。よって、昼に最大の発電量を得ることができる。
【0077】
一方、
図14Bに示すように、導光体37の長軸を概ね南の方位に向け(導光体37の長軸の各端部を、それぞれ南北の方位に概ね一致させ)、水平方向から所定の角度(例えば30度〜80度)だけ立てた姿勢で太陽電池モジュール36を設置したとする。この場合、昼に太陽が南中したとき、導光体37の受光面積が最小になり、朝夕に太陽が傾いたとき、導光体37の受光面積が大きくなる。したがって、朝夕に発電量を増大させることができる。このように、1日の電力の利用状況等に応じて、太陽電池モジュール36の発電量を最適化することができる。
【0078】
あるいは、導光体37を構成する楕円体の回転対称軸(
図13のx軸)を除く、楕円体の中心を通る軸(例えば
図13のy軸やz軸)を中心として導光体37を回転可能に構成しても良い。その場合、太陽電池モジュール36を設置する際には、導光体37の回転軸を南北の方位に向け、導光体37の長軸(
図13のx軸)が東西方向に回転できるようにする。さらに、太陽電池モジュール36に追尾装置を付加することにより、導光体37の射影形状である楕円のうち、最も面積の大きい楕円が常に太陽の方向を向くように、導光体37を太陽の動きに追尾させることができる。この構成によれば、導光体37の受光面積が常に最大になるため、1日を通した総発電量を最も高めることができる。また、導光体37を1つの回転軸でのみ回転させれば良く、導光体37が軽量であるため、低コストの追尾装置を用いることができる。
【0079】
[第6実施形態]
以下、本発明の第6実施形態について、
図15、
図16を用いて説明する。
本実施形態の太陽電池モジュールの基本構成は第1実施形態と同様であり、導光体の形状が第1実施形態と異なる。
図15は、本実施形態の太陽電池モジュールを示す斜視図である。
図16は、
図15に示す太陽電池モジュールの一部の拡大図である。
【0080】
本実施形態の太陽電池モジュール41は、
図15に示すように、導光体42と、太陽電池素子43と、を備えている。第1実施形態では球体状の導光体2の例を挙げ、第5実施形態では楕円体状の導光体37の例を挙げた。これに対して、本実施形態の導光体42は、内部が密閉空間となった立方体(構造体)で構成されている。
図15では、立方体の互いに直交する3つの辺をそれぞれx軸、y軸、z軸に一致させて描いている。ただし、立方体を構成する6つの面のうち、互いに直交する2つの面が接する全ての辺、および互いに直交する3つの面が接する全ての角は、尖っておらず、所定の曲率で丸められている。
なお、導光体42の形状は内部が中空の立方体に限ることなく、内部が中空の直方体であっても良い。
【0081】
太陽電池素子43は、導光体42を構成する立方体の6つの面のうち、互いに対向する2つの面のそれぞれの対角線とこれら対角線の端部同士を結ぶ辺とに沿って配置されている。したがって、太陽電池素子43は、矩形環状の形状を有している。また、太陽電池素子43は、上記の2本の対角線を含む平面内において導光体42の内部に埋め込まれている。その他の構成については、第1実施形態と同様である。
【0082】
本実施形態の太陽電池モジュール41においても、第1〜第5実施形態の太陽電池モジュールと同様、
図16に示すように、蛍光体層4から発せられた蛍光L1は、導光体42の内面42aと外面42bとの間で全反射を繰り返しながら導光体42の内部を導光する。ところが、導光体42が立方体、直方体等の角を有する立体である場合、仮に角が尖っていたとすると、角の部分に入射した光は全反射条件を満たさず、導光体42の外部に漏れる虞がある。そのため、導光体42の角は、全反射による光の導光が保たれる程度の曲率を持っていることが必要である。
【0083】
本実施形態においても、集光効率が高い太陽電池モジュールを実現できる、発電量の変動を抑えられる、太陽電池モジュールの軽量化、低コスト化が図れる、設置場所の自由度が向上する、等の第1〜第5実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、導光体42の形状は、内部が中空の立方体や直方体に限ることなく、上述したように、角の部分がある程度の曲率を持ったものであれば、内部が中空の他の立体形状であっても良い。例えば、導光体に広告効果のあるデザインを持たせても良い。また、この種の太陽電池モジュールを複数個アレイ状に配列しても良い。
【0084】
[第6実施形態の第1変形例]
第6実施形態において、太陽電池素子43は、導光体42を構成する立方体の6つの面のうち、必ずしも対向する2つの面の対角線に沿って配置する必要はない。太陽電池素子の配置には種々の形態が考えられる。しかしながら、
図18に示す太陽電池モジュール46のように、例えば導光体42を構成する立方体の一辺に対して太陽電池素子45を平行に配置した場合、蛍光体層の発光点Tから立方体の一辺に対して平行に導光する蛍光L1は太陽電池素子45に到達することができない。そのため、集光効率が低下する。
【0085】
そこで、
図17に示す太陽電池モジュール47のように、導光体42を構成する立方体の一辺に対して太陽電池素子45を平行に配置した場合、反射部48を、太陽電池素子45と交差するように一つの面の対角線上に配置すれば良い。反射部48は、第2実施形態の第1変形例(
図8参照)に示した反射部25と同様、金属膜や誘電体多層膜から構成されるものである。反射部48を太陽電池素子45に交差するように設けた場合、立方体の一辺に対して平行に導光する蛍光L1は反射部48に対して斜めに入射するため、進行方向が立方体の一辺と交差する方向に変わる。その結果、蛍光L1は太陽電池素子45に到達することができる。このように、太陽電池素子45を
図18のように配置した際の集光効率の低下を、
図17のような反射部48を設けることで補うことができる。
【0086】
[第7実施形態]
以下、本発明の第7実施形態について、
図19〜
図21を用いて説明する。
第1〜第6実施形態の太陽電池モジュールは全て導光体中に蛍光体を含んでいたのに対し、本実施形態の太陽電池モジュールは導光体中に蛍光体を含まない点が異なっている。
図19は、本実施形態の太陽電池モジュールを示す斜視図である。
図20は、
図19のA−A’線に沿う断面図である。
図21は、
図20に示す太陽電池モジュールの一部の拡大図である。
【0087】
本実施形態の太陽電池モジュール50は、
図19に示すように、導光体51と、太陽電池素子52と、を備えている。導光体51は、内部が密閉空間となった殻状の球体(構造体)で構成されている。
図19に示すように、球体の中心Oを通り、互いに直交する3つの軸をx軸、y軸、z軸として以下、説明する。また、説明をし易くするため、球体の中心Oを含むxy平面と球体の表面とが交差してできる円Cを「最大円」と称する。z軸上において球体の中心から最も遠い球体上の2つの点のうち、上側(+z側)の点Z1を「最上点」と称し、下側(−z側)の点Z2を「最下点」と称する。球体のうち、xy平面よりも上側の部分を「上半球」と称し、xy平面よりも下側の部分を「下半球」と称する。
【0088】
導光体51を構成する球体のうち、上半球には、導光体51の外面から入射した外光L0を反射させて光の進行方向を変更する反射面を有する凹凸部53が設けられている。凹凸部53は、
図20、
図21に示すように、導光体51の外面51bに形成された断面形状が三角形の複数の凸条54と、導光体51の内面51aに形成された断面形状が三角形の複数の溝55と、から構成されている。凸条54および溝55は、xy平面に対して平行に設けられている。全ての凸条54および溝55は、z軸を中心として同心円状に設けられている。
【0089】
凹凸部53は、例えば導光体51の内面51aおよび外面51bを切削加工することによって形成することができる。あるいは、凸条54の形状を反転させた凹形状と溝55の形状を反転させた凸形状とを有する金型を用いて、樹脂の射出成形を行うなどの方法によっても凹凸部53を形成することができる。
【0090】
導光体51を構成する球体のうち、下半球には、上記の凹凸部53は形成されておらず、滑らかな曲面となっている。球体の最下点Z2には、例えば円柱状の太陽電池素子52が設けられている。太陽電池素子52は、
図20に示すように、球体の中心Oを通るz軸上において導光体51の内部に埋め込まれている。太陽電池素子52は、導光体51に接する側面52aが受光面となっている。
【0091】
凹凸部53を構成する凸条54や溝55の断面形状は三角形状であると説明したが、
図21に示すように、凸条54や溝55を構成する各面の角度は導光体51上の位置によって異なっている。今、太陽が導光体51の上半球側に位置しているとする。その場合、外光L0は、導光体51の上半球の外面51bの入射点Sから入射した後、導光体51の内面51aに設けられた溝55の一面で全反射し、その進行方向を斜め下向きに変えて導光体51の外面51bもしくは凸条54の一面と内面51aとの間で全反射を繰り返しつつ、上半球から下半球に向けて導光する。その後、外光L0は、最下点Z2にある太陽電池素子52に到達して受光面52aから受光される。すなわち、外光L0は、導光体51上の入射点Sと最下点Z2とを通る平面と導光体51の表面とが交差してできる円の円周にほぼ沿った経路を導光し、太陽電池素子52に受光される。
【0092】
第1〜第6実施形態の太陽電池モジュールにおいて、太陽電池素子は、導光体に入射した太陽光を励起光として蛍光体から発せられた蛍光を受光し、この蛍光を電気エネルギーに変換していた。これに対して、本実施形態の太陽電池モジュール50において、太陽電池素子52は、導光体51に入射し、導光体51中を導光してきた外光L0(太陽光)を受光し、この外光を電気エネルギーに変換する。
【0093】
本実施形態においても、集光効率が高い太陽電池モジュールを実現できる、太陽電池モジュールの軽量化、低コスト化が図れる、設置場所の自由度が向上する、等の第1〜第6実施形態と同様の効果を得ることができる。特に本実施形態の場合、太陽電池素子52を最下点Z2に点状に配置すれば良く、第1〜第5実施形態のように線状に長く配置する必要がない。そのため、太陽電池素子52の単位面積あたりの集光率を高めることができる。
【0094】
[第7実施形態の第1変形例]
第7実施形態においては、導光体51を構成する球体の最下点に太陽電池素子52が設けられていた。この場合、導光体51に対する太陽の位置が変わると、太陽光が導光体51に入射した後の集光位置が変化するため、太陽電池素子52の集光効率が低下する。これに対して、本変形例の太陽電池モジュール57では、
図22に示すように、太陽電池素子58は、導光体51の最大円Cの全周にわたって配置されている。
【0095】
この構成によれば、太陽電池素子58が導光体51の最大円Cに沿って配置されているため、太陽の位置の変動に応じた集光効率の変動をある程度抑えることができる。なお、本変形例の太陽電池モジュール57の場合、上半球に入射された光が導光体51の最大円Cに沿った太陽電池素子58で受光されるため、下半球側の導光体はなくても良い。
【0096】
[第7実施形態の第2変形例]
上記の第1変形例の太陽電池モジュール57においては、第7実施形態に比べて太陽電池素子58の面積が増えるため、製造コストが上がる。そこで、本変形例の太陽電池モジュール60においては、
図23に示すように、太陽電池素子61は、xy平面に平行な平面であって導光体51の最大円Cと最下点Z2との間に位置する平面と球体の表面とが交差してできる円の円周上に配置されている。
【0097】
この構成によれば、太陽の位置の変動に応じた集光効率の変動を抑えつつ、太陽電池素子の面積の増加も抑えることができる。
【0098】
[第7実施形態の第3変形例]
本変形例の太陽電池モジュール63は、
図24に示すように、導光体51を構成する球体の中心Oを通るxz平面と球体の表面とが交差してできる円の円周のうち、下半球側に相当する部分に太陽電池素子64が配置されている。本変形例の太陽電池モジュール63においても、第7実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0099】
[第8実施形態]
以下、本発明の第8実施形態について、
図25を用いて説明する。
本実施形態の太陽電池モジュールの基本構成は第1実施形態と同様であり、保護部材を備えた点が異なるものである。
図25は、本実施形態の太陽電池モジュールを示す断面図である。なお、
図25において、第1実施形態の
図2と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明は省略する。
【0100】
本実施形態の太陽電池モジュール66は、
図25に示すように、太陽電池モジュール本体67と、保護部材68と、を備えている。太陽電池モジュール本体67は、第1実施形態の太陽電池モジュール1と同一のものである。保護部材68は、透光性を有する基材からなり、太陽電池モジュール本体67よりも直径が大きく、内部が中空の球体(構造体)で構成されている。保護部材68は、太陽電池モジュール本体67の導光体2の外側に、導光体2から間隔をおいて導光体2を覆うように配置されている。
【0101】
導光体2と保護部材68との間の空間には、導光体2よりも屈折率が低い材料が充填されている必要がある。そこで、本実施形態では、導光体2と保護部材68との間の空間に、空気69が充填されている。もしくは、導光体2と保護部材68との間の空間が真空状態であっても良い。
【0102】
本実施形態においても、集光効率が高い太陽電池モジュールを実現できる、太陽電池モジュールの軽量化、低コスト化が図れる、設置場所の自由度が向上する、等の第1〜第7実施形態と同様の効果を得ることができる。特に本実施形態の場合、例えば太陽電池モジュール66を屋外に設置したときに、太陽電池モジュール本体67が保護部材68で覆われていることで雨や砂塵等の汚染から導光体2を保護することができる。導光体2の表面が汚染されると、汚染された部分が光の全反射の妨げとなるため、発電量が低下する。その点、本実施形態によれば、雨や砂塵等の汚染に強く、発電量の低下が生じにくい太陽電池モジュール66を提供することができる。
【0103】
[第9実施形態]
以下、本発明の第9実施形態について、
図26を用いて説明する。
本実施形態の太陽電池モジュールは、第1実施形態の太陽電池モジュールと第7実施形態の太陽電池モジュールとを組み合わせ、2重構造としたものである。
図26は、本実施形態の太陽電池モジュールを示す断面図である。なお、
図26において、第1実施形態の
図2および第7実施形態の
図20と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明は省略する。
【0104】
本実施形態の太陽電池モジュール71は、
図26に示すように、第1の太陽電池モジュール72と、第2の太陽電池モジュール73と、を備えている。第1の太陽電池モジュール72は、第1実施形態の太陽電池モジュール1と同一のものである。第2の太陽電池モジュール73は、第7実施形態の太陽電池モジュール50と同一のものである。第2の太陽電池モジュール73は、第1の太陽電池モジュール72よりも直径が大きく、第1の太陽電池モジュール72の導光体2の外側に導光体2から一定の間隔をおいて配置されている。第1の太陽電池モジュール72と第2の太陽電池モジュール73とは球体の中心が一致している。また、第1の太陽電池モジュール72と第2の太陽電池モジュール73との間には空気69が充填されている。
【0105】
本実施形態の太陽電池モジュール71において、外光L0は、最初に外側に配置された第2の太陽電池モジュール73に入射し、導光体51を介して太陽電池素子52に受光される。ところが、第2の太陽電池モジュール73に入射した光のうち、導光体51上の入射位置もしくは入射角によっては導光体51の内部に取り込めず、導光体51を透過する外光L4も存在する。ここで、本実施形態の場合、第2の太陽電池モジュール73の内側に第1の太陽電池モジュール72が備えられているので、第2の太陽電池モジュール73を透過した光が、第1の太陽電池モジュール72に入射し、導光体2を介して太陽電池素子3に受光される。第1の太陽電池モジュール72には導光体2の全面にわたって蛍光体層4が設けられているため、第2の太陽電池モジュール73で取り込めなかった光を励起光として効率良く利用することができる。
【0106】
このように、本実施形態においては、第1の太陽電池モジュール72と第2の太陽電池モジュール73とを総合すると、第2の太陽電池モジュール73で取り込めなかった光を利用できる分、第7実施形態の太陽電池モジュールに比べて集光効率を高め、発電量を増やすことができる。
【0107】
[第10実施形態]
以下、本発明の第10実施形態について、
図27、
図28を用いて説明する。
図27は、本実施形態の太陽電池モジュールを示す断面図である。
図28は、本実施形態の太陽電池モジュールの使用形態の一例を示す図である。
【0108】
本実施形態の太陽電池モジュール75は、
図27に示すように、導光体76と、太陽電池素子77と、気体出入口78と、を備えている。導光体76は、透光性を有する基材で形成されており、内部が中空の球体である。第1〜第9実施形態の導光体は剛性を有していたのに対し、本実施形態の導光体76は可撓性を有している。したがって、本実施形態の導光体76は変形が可能である。導光体76の構成材料の一例としては、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル等を挙げることができる。導光体76の内部には、粒子状の蛍光体79が分散されている。
【0109】
導光体76には、円環を半分に割った形状を有する太陽電池素子77が設けられている。また、導光体76には、内部空間に気体を注入する、もしくは内部空間から気体を排出するための気体出入口78が設けられている。気体出入口78には、気体出入口78を開閉するための弁80が設けられている。
【0110】
本実施形態の太陽電池モジュール75を使用する際には、気体出入口78の弁80を開き、例えば水素、ヘリウム等の導光体76の外部の空気よりも比重が軽い気体を内部空間に注入した後、弁80を閉じる。このようにして、この種の気体を導光体76の内部空間に封入すると、太陽電池モジュール75に浮力が生じ、太陽電池モジュール75が空中に浮き上がる。そこで、例えば
図28に示すように、紐81等を用いて太陽電池モジュール75を建物Kの屋上に係留すれば、太陽電池モジュール75を建物Kの上空に浮かび上がらせることができる。太陽電池モジュール75の使用を止める場合には、気体出入口78の弁80を開いて導光体76の内部の気体を排出すれば、導光体76を折り畳むことができる。
【0111】
本実施形態によれば、導光体76の内部空間に比重が軽い気体を封入できるので、太陽電池モジュール75の全体の重量を軽減できる。その結果、太陽電池モジュール75を設置する際の土台とする箇所の強度がそれ程高くなくても良く、強度設計時の負担を軽減できる。また、例えば従来の太陽電池モジュールでは強度不足であった建物の屋根等にも太陽電池モジュール75を設置できるようになり、設置場所の選択肢が広がる。
【0112】
また、導光体76の内外で気体を出し入れできるため、例えば雨天や曇天のときや不要なときには導光体76を折り畳み、晴天のときや必要なときに導光体76を広げることができる。これにより、従来にはない携帯性や収納性を有する太陽電池モジュール75を実現することができる。さらに、導光体76の内部空間から気体が漏れた場合には気体出入口78から気体を補充すれば良いため、長期的な使用にも耐えることができる。
【0113】
図28に示したように、太陽電池モジュール75を建物Kの上空に浮かべることができるため、周囲に高い建物があったとしても、周囲の建物によって太陽光が遮られることがない。そのため、特に太陽が低い位置にある朝夕の発電量を増やすことができ、1日を通して安定した発電量を得ることができる。なお、導光体76の形状は球状に限ることなく、種々の形状を採用することができる。また、導光体76の内部空間に空気を封入し、導光体76にさらにヘリウム等を封入した気球を連結し、気球の浮力を利用して導光体76を浮かべる構成としても良い。このとき、例えばアドバルーンのように、太陽電池モジュール75に広告効果を持たせることもできる。
【0114】
[第11実施形態]
以下、本発明の第11実施形態について、
図29を用いて説明する。
本実施形態の太陽電池モジュールの基本構成は第1実施形態と同様であり、導光体の一部に蛍光体を含まない部分がある点が異なっている。
図29は、本実施形態の太陽電池モジュールを示す断面図である。なお、
図29において、第1実施形態の
図2と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明は省略する。
【0115】
上記第1〜第6実施形態では、導光体の内部全体に蛍光体が含まれていた。これに対して、本実施形態の太陽電池モジュール83では、
図29に示すように、導光体2を構成する球体のうち、上半球のみに蛍光体層4が設けられている。下半球は、蛍光体層4を含まない透光性基材5のみで構成されている。なお、本実施形態の例では、球体のうち、蛍光体層4が設けられた部分と蛍光体層4が設けられていない部分とを1/2ずつに分けたが、必ずしも1/2ずつに分ける必要はなく、場合によって適切な割合とすれば良い。また、ここでは層状の蛍光体を含有する例を挙げたが、
図4に示したように、透光性基材中に粒子状の蛍光体を分散させる構成においても、導光体の一部に蛍光体を含まない部分を設けても良い。
【0116】
一般に、蛍光体は自己吸収性を有しており、蛍光体の存在は導光にとって阻害要因となる。また、多くの場合、太陽光は導光体の上方から照射される。このような観点に立てば、球体の下半球側に蛍光体を含有させない方が有利である。本実施形態はこのような思想によるものである。本実施形態の導光体2では、上半球が蛍光発光と導光を担い、下半球が専ら導光を担っている。
【0117】
本実施形態においても、集光効率が高い太陽電池モジュールを実現できる、発電量の変動を抑えられる、太陽電池モジュールの軽量化、低コスト化が図れる、設置場所の自由度が向上する、等の第1〜第5実施形態と同様の効果を得ることができる。本実施形態の太陽電池モジュール83が半球状導光体を用いた第3実施形態の太陽電池モジュール(
図9)と異なる点は、導光体2の内部が密閉空間とできるため、第10実施形態のように、太陽電池モジュールを空中に浮かせる等の応用が利く点である。
【0118】
なお、導光体を、蛍光体を含む部分と蛍光体を含まない部分とに分けるのではなく、導光体に含まれる蛍光体の密度が分布を有する構成としても良い。すなわち、導光体に含まれる蛍光体の密度が不均一であっても良い。その場合、導光体の第1部分での蛍光体の密度が相対的に大きく、第1部分と反対側に位置する導光体の第2部分での蛍光体の密度が相対的に小さくてもよい。例えば、太陽電池モジュールを設置したときに、導光体のうち、太陽に近い部分での蛍光体の密度を相対的に大きくし、太陽から遠い部分(例えば地面に近い部分)での蛍光体の密度を相対的に小さくすることが望ましい。
【0119】
[太陽光発電装置]
以下、本発明の一実施形態である太陽光発電装置について、
図30を用いて説明する。
図30は本実施形態の太陽光発電装置を示すブロック図である。
【0120】
本実施形態の太陽光発電装置100は、
図30に示すように、上記第1〜第11実施形態の導光体101と太陽電池素子102とからなる太陽電池モジュール103と、インバータ104と、蓄電池105と、を有している。太陽電池モジュール103によって得られた電力はインバータ104によって直流−交流変換され、外部の負荷106に出力される。また、他の電力源107が外部の負荷106に接続されている。太陽電池モジュール103によって得られた電力は蓄電池105に充電され、必要に応じて蓄電池105から放電される構成となっている。
【0121】
本実施形態によれば、上記第1〜第11実施形態の太陽電池モジュール103を備えているので、高い発電効率が得られ、軽量で設置が容易であり、安価な太陽光発電装置100を実現することができる。
【0122】
なお、本発明の態様における技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の態様における趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば上記実施形態では、導光体の形状として球体、半球体、楕円体、立方体等の定形的な立体の例を示したが、不定形の形状を有する立体であっても良い。また、必ずしも導光体の全体が立体でなくても良く、例えば平面の一部が立体的に盛り上がった形状でも良い。ただし、その場合でも、平面部分と立体部分との境界は全反射による導光が保たれる程度の曲率を持っている必要がある。
【0123】
その他、上記実施形態の太陽電池モジュールにおける各種構成要素の形状、寸法、数、配置、構成材料、製造方法等については、上記実施形態で例示したものに限らず、適宜変更が可能である。