(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態に係る電源装置1の構成例を示す図である。
図1に示すように、電源装置1は、一次側回路20、二次側回路40、同期整流制御回路60、及び制御回路70を備える。電源装置1は、トランス30によって一次側回路20と二次側回路40とが絶縁されて構成される。一次側回路20には、バッテリ10が接続され、二次側回路40にはバッテリ50が接続される。なお、
図1に示した例では、負荷としてバッテリ50が接続される例を示したが、負荷は、他の外部電源等であってもよい。また、バッテリ50または外部電源等の負荷は、電源装置1に対して、例えばケーブルで接続されていてもよい。
【0011】
一次側回路20は、第1の一次巻線31、第2の一次巻線32、スイッチング素子21〜24、及びコンデンサ25を備える。
スイッチング素子21〜24は、それぞれ例えばNチャネルのMOS型FET(電界効果トランジスタ)である。スイッチング素子21〜24は、不図示のPWM(パルス幅)制御回路の制御に応じて、各スイッチング素子に供給されるパルス信号の幅が制御される。スイッチング素子21〜24によって、フルブリッジ回路が構成されている。
【0012】
そして、正電圧の出力時において、スイッチング素子21と24とがPWM制御回路によってオン状態に制御され、スイッチング素子22と23とがオフ状態に制御される。一方、負電圧の出力時において、スイッチング素子22と23とがオン状態に制御され、スイッチング素子21と24とがオフ状態に制御される。ここで、PWM制御回路はパルス信号の幅を制御することで、第1の一次巻線31と第2の一次巻線32とに供給される電圧値を制御する。PWM制御回路は、例えば、電源装置1のグランドと出力端子間の電圧を検出し、検出した電圧が所定の電圧になるようにスイッチング素子21〜24のパルス信号の幅を制御する。
【0013】
スイッチング素子21と22とは直列に接続される。スイッチング素子21のドレインは、スイッチング素子23のドレインと、コンデンサ25の一端と、バッテリ10の正極とに接続される。スイッチング素子21のソースは、スイッチング素子22のドレインと、第2の一次巻線32の他端とに接続される。スイッチング素子21のゲートは、PWM制御回路に接続される。
スイッチング素子22のソースは、スイッチング素子24のソースと、コンデンサ25の他端と、バッテリ10の負極とに接続される。スイッチング素子22のゲートは、PWM制御回路に接続される。
【0014】
スイッチング素子23と24とは直列に接続される。スイッチング素子23のソースは、スイッチング素子24のドレインと、第1の一次巻線31の一端とに接続される。スイッチング素子23のゲートは、PWM制御回路に接続される。
スイッチング素子24のゲートは、PWM制御回路に接続される。
【0015】
トランス30において、第1の一次巻線31が、第1の二次巻線33及び34に磁気結合される。また、第2の一次巻線32が、第2の二次巻線35に磁気結合され、カレントトランスを形成している。ここで、第2の一次巻線32の巻き数N2は、第1の一次巻線31の巻き数N1未満である。また、第2の二次巻線35の巻き数N4は、第1の二次巻線33及び34の巻き数の合計巻き数N3未満である。
【0016】
第1の二次巻線33の一端には、スイッチング素子41のドレインが接続される。第1の二次巻線34の一端には、スイッチング素子42のドレインが接続される。また、第1の二次巻線33の他端と第1の二次巻線34の他端との接続点には、一端がバッテリ50に接続されたコイル43の他端が接続される。
第2の二次巻線35の一端と他端とには、整流回路61の入力端子が接続される。
【0017】
二次側回路40は、第1の二次巻線33及び34、スイッチング素子41及び42、コイル43、及びコンデンサ44を備える。
ここで、一次側回路20の第1の一次巻線31及び第2の一次巻線32、二次側回路40の第1の二次巻線33、第1の二次巻線34及び35は、トランス30を構成する。
スイッチング素子41及び42は、例えばNチャネルのMOS型FET(電界効果トランジスタ)である。スイッチング素子41及び42は、第1の二次巻線33及び34に発生する電力に対して、制御回路の制御に応じて同期整流を行う。
スイッチング素子41及び42のそれぞれのソースは接地され、それぞれのゲートは制御回路70に接続される。
【0018】
同期整流制御回路60は、第2の二次巻線35、整流回路61、整流器62、分圧回路63、第1電流検出回路64、及び第2電流検出回路65を備える。
第2の二次巻線35の両端には、整流回路61の入力端子が接続される。
整流回路61の出力端子の一端は、整流器62の入力端子(例えばアノード)と、第1電流検出回路64の入力端子と、第2電流検出回路65の入力端子とに接続される。また、整流回路61の出力端子の他端は、接地される。
【0019】
整流器62の出力端子(例えばカソード)は、分圧回路63の入力端子に接続される。整流器62は、例えばダイオードである。整流器62は、後述する第1電流検出回路64の整流器641(
図2)、第2電流検出回路65の整流器651(
図3)の順電圧Vfの補償用ダイオードである。
分圧回路63の出力端子は、制御回路70の入力端子に接続される。なお、分圧回路63の基準電圧端子は接地される。分圧回路63は、例えば全波整流回路である。
【0020】
第1電流検出回路64の出力端子は、制御回路70の入力端子に接続される。なお、第1電流検出回路64の基準電圧端子は接地される。
第2電流検出回路65の出力端子は、制御回路70の入力端子に接続される。なお、第2電流検出回路65の基準電圧端子は接地される。
【0021】
制御回路70は、第2電流検出回路65が検出した結果に基づいて一次側回路20に逆流が発生しているか否かを判別する。制御回路70は、一次側回路20に逆流が発生していると判別した場合、スイッチング素子41及び42のゲートに制御信号を供給することで同期整流の動作を停止させるように制御する。
【0022】
次に、第1電流検出回路64、第2電流検出回路65、及び制御回路70の構成について、
図2と
図3を用いて説明する。
図2は、本実施形態に係る第1電流検出回路64の構成例と制御回路70の一部の構成例を示す回路図である。
図3は、本実施形態に係る第2電流検出回路65と制御回路70の一部の構成例を示す回路図である。
【0023】
まず、制御回路70の構成について説明する。
図2に示すように、制御回路70は、ADC(アナログ信号−デジタル信号変換回路)71、処理部72を備える。
図3に示すように、制御回路70は、処理部72、コンパレータ73、及び基準電圧源74を備える。なお、ADC71は、第1電流検出回路64が備えてもよい。また、コンパレータ73及び基準電圧源74は、第2電流検出回路65が備えてもよい。
ADC71の入力端子には、第1電流検出回路64の出力端子が接続される。ADC71は、第1電流検出回路64が出力した電流値をデジタル値に変換し、変換した値を示す情報を検出結果として制御回路70の処理部72に出力する。
【0024】
コンパレータ73の一方の入力端子には、第2電流検出回路65の出力端子が接続され、他方の入力端子には基準電圧源74が接続される。すなわちコンパレータ73は、基準電圧源74の出力電圧値と第2電流検出回路65の出力値とを比較し、比較した結果を検出結果として、制御回路70の処理部72に出力する。
基準電圧源74の出力電圧値は、後述するように、第2電流検出回路65によって検出される電流値の極小値を検出できるように、例えば実験によって決定された電圧値に応じて設定されている。
【0025】
処理部72は、このようにコンパレータ73の検出結果を用いて一次側回路20に発生する逆流を検出し、検出した結果に応じてスイッチング素子41及び42のゲートを制御する。また、制御回路70は、ADC70の検出結果と、分圧回路63の出力に基づいて、一次側回路20のスイッチング素子21〜24を制御することで、例えば電源装置1の出力電圧、及び出力電流を制御する。
【0026】
次に、第1電流検出回路64について説明する。
図2に示すように、第1電流検出回路64は、整流器641、コンデンサ642、抵抗643、抵抗644、コンデンサ645、及び抵抗646を備える。
【0027】
整流器641の入力端子(例えばアノード)は、第1電流検出回路64の入力端子である。整流器641の出力端子(例えばカソード)は、抵抗643の一端とコンデンサ642の一端とに接続される。整流器641は、例えばダイオードである。整流器641は、電流のピークを検出する働きをする。
【0028】
抵抗643の他端は、抵抗644の一端とコンデンサ645の一端と抵抗646の一端とに接続される。
コンデンサ642の他端、抵抗644の他端、及びコンデンサ645の他端は、接地される。
コンデンサ642、コンデンサ645、抵抗643、抵抗644、及び抵抗646によって、第1の応答速度で電流を検出する回路が構成される。
抵抗646の他端は、制御回路70のADC71に接続される。
【0029】
次に、第2電流検出回路65について説明する。
図3に示すように、第2電流検出回路65は、整流器651、コンデンサ652、抵抗653、抵抗654、コンデンサ655、及び抵抗656を備える。
図3に示すように、第2電流検出回路65の構成は、
図2に示した第1電流検出回路64の構成と同じである。整流器651は整流器641、コンデンサ652はコンデンサ642、抵抗653は抵抗643、抵抗654は抵抗644、コンデンサ655はコンデンサ645、抵抗656は抵抗646にそれぞれ対応する。そして、抵抗656の他端は、制御回路70のコンパレータ73の一方の入力端子に接続される。
【0030】
第2電流検出回路65は、コンデンサ652、コンデンサ655、抵抗653、抵抗654、及び抵抗656によって、第2の応答速度で電流を検出する回路が構成される点が第1電流検出回路64と異なっている。なお、第2の応答速度は、第1の応答速度よりも速い。
第1の応答速度は、第2の応答速度より遅く設定されているため、電流値の平均値に近い値が第1電流検出回路64によって検出される。一方、第2の応答速度は、第1の応答速度より速く設定されている。このため、第2電流検出回路65は、入力される電流信号とほぼ同じ電流信号をコンパレータ73に出力する。コンパレータ74は、第2電流検出回路65から入力された電流信号と基準電圧源74とを常に比較し、比較した結果を処理部72に出力する。これにより、同期整流制御回路60に流れる電流値を常に検出することができる。この結果、第2電流検出回路65とコンパレータ73と処理部72とによって、逆流が発生したときや負荷に供給される電流の変化によって生じる第2電流検出回路65に入力される電流の変化を検出することができる。
以上のように、第1電流検出回路64は、過電流の検出を行う。一方、第2電流検出回路65は、逆流の検出を行う。
【0031】
次に、バッテリ50の電圧値が、二次側回路40の出力電圧値より高くなり、電源装置1に逆流が発生し、その後サージ電圧が発生する原理を、
図4と
図5を用いて説明する。
図4は、比較例における同期整流制御回路60を備えない電源装置1’の構成例を示す図である。
図5は、本実施形態の電源装置1’における逆流発生時の波形の一例の図である。
【0032】
図4に示すように、電源装置1’は、一次側回路920、二次側回路940、及び制御回路970を備える。電源装置1’の一次側には、バッテリ910が接続され、二次側にはバッテリ960が接続される。電源装置1’の構成は、
図1に示した電源装置1が同期整流制御回路60を備えていない構成である。一次側回路920が電源装置1の一次側回路20、トランス930が電源装置1のトランス30、二次側回路940が電源装置1の二次側回路40、制御回路970が電源装置1の制御回路70にそれぞれ対応する。
【0033】
一次側回路920は、一次巻線931、スイッチング素子921〜924、及びコンデンサ925を備える。スイッチング素子921〜924は電源装置1のスイッチング素子21〜24に対応し、コンデンサ925は電源装置1のコンデンサ25に対応する。
【0034】
二次側回路940は、二次巻線932、二次巻線933、スイッチング素子941及び942、コイル943、及びコンデンサ944を備える。スイッチング素子941及び942は電源装置1のスイッチング素子41及び42に対応し、コイル943が電源装置1のコイル43に対応し、コンデンサ944が電源装置1のコンデンサ44に対応する。
ここで、一次側回路920の一次巻線931、二次側回路940の二次巻線932及び二次巻線933は、トランス930を構成する。一次巻線931は電源装置1の第1の一次巻線31に対応し、二次巻線932が電源装置1の第1の二次巻線33に対応し、二次巻線933が電源装置1の第1の二次巻線34に対応する。
上述した一次側回路920、トランス930、二次側回路940、及び制御回路970における各部品、回路の接続関係は、
図1の電源装置1と同様である。
【0035】
図5において、横軸は時刻であり、上段の波形の縦軸は出力電圧値であり、下段の波形の縦軸は出力電流値である。波形211は、時刻に対する出力電圧値の変化を示す波形であり、符号212で囲んだ領域の波形は、サージ電圧による波形を示す。また、波形221は、時刻に対する出力電圧値の変化を示す波形である。なお、
図4における出力電圧は、
図4のコンデンサ944の両端の電圧に等しい。
【0036】
図4において、時刻0〜t1の期間、バッテリ960の電圧値と二次側回路940の出力電圧値が等しく、電圧値がV1である。この期間、出力電流値がI1である。
時刻t1〜t2の期間、波形211のようにバッテリ960の電圧がV1からV2に上昇する。なお、電圧値V2は、電圧値V1より大きい。
バッテリ960の電圧がV1からV2に上昇した場合、スイッチング素子941及び942が短絡し、バッテリ960からコイル943を介してトランス930における二次巻線934に電圧上昇に応じた電流が流れる。二次巻線934には、二次巻線933と二次巻線934との接続点から、スイッチング素子942のドレインに電流が流れる。この結果、
図5に示す波形221のように、時刻t1以降、電流値がI1から減少し、逆流が生じる。
【0037】
二次巻線934に電流が流れることによって、二次巻線934と磁気的に結合している一次巻線931にも電流が発生する。一次巻線931及び932には、スイッチング素子922のドレインが接続されている他端から、スイッチング素子923のソースが接続されている一端に電流が発生する。
そして、一次巻線931及び932に電流が発生したことによって、スイッチング素子923のソースからドレインに電流が流れ、さらにスイッチング素子23のドレインからバッテリ10の正極に電流が流れる。
【0038】
図5において、例えば出力電流値が−I2に達したとき、時刻t3のタイミングで、同期整流動作が停止する。ここで、電流値−I2は、0[A(アンペア)]より小さい。
この結果、時刻t3〜t4の期間、波形221に示したように電流値が−I2から0になる。これにより、電源装置1’では、時刻t3〜t4の期間、同期整流が停止しスイッチング素子941及び942がオフ状態になり、コイル943にチャージされていたエネルギーによって、スイッチング素子941及び942のソースとドレインとの間にサージ電圧が発生する(符号212)。発生するサージ電圧の最大値は、
図4の符号212で示すように、例えばV3である。この、電圧値V3は、電圧値V2より大きい。
【0039】
このように発生したサージ電圧は、電源装置1’に接続される負荷やスイッチング素子941及び942に影響を与える場合もある。サージ電圧がスイッチング素子941及び942の耐圧を超える場合は、この逆流やサージ電圧によって、スイッチング素子941及び942が破壊されてしまう場合もある。
【0040】
次に、電源装置1において負荷電圧が変化した場合の動作を、
図1と
図6を用いて説明する。
図6は、本実施形態に係る電源装置1において負荷電圧が変化した場合の出力電圧と同期整流制御回路60によって検出される検出結果の一例を説明する図である。
図6において、横軸は時刻、左の縦軸は電流、右の縦軸は電圧である。
【0041】
図6の上段及び下段において、波形311は、負荷電圧が変動した場合をシミュレーションした波形である。
図6の上段において、波形312は、第1電流検出回路64によって検出される電流波形であり、鎖線321は、第1電流検出回路64によって検出される電流波形の平均値I
c1を示している。
図6の下段において、波形313は、第2電流検出回路65によって検出される電流波形である。
【0042】
まず、第1電流検出回路64によって検出される電流波形について説明する。
図6の上段に示したように、時刻t11からt12の期間、負荷電圧がV2からV3に増加する。これに伴って、第1電流検出回路64によって検出される電流値はI
c1LからI
c1Hに増加する。なお、V3はV2より大きな電圧値であり、I
c1HはI
c1Lより大きな電流値である。
【0043】
時刻t12からt13の期間、負荷電圧がV3からV1に減少する。また、時刻t12からt14の期間、第1電流検出回路64によって検出される電流値はI
c1HからI
c1Lに減少する。なお、V1はV2より小さな電圧値である。
そして、時刻t11からt14の期間、制御回路70のADC71は、第1電流検出回路64によって検出されたI
c1HとI
c1Lとの平均値であるI
c1の電流値を検出する。
なお、時刻t14からt16は、時刻t11からt13の繰り返しである。
【0044】
次に、第2電流検出回路65によって検出される電流波形について説明する。
図6の下段に示したように、時刻t11からt12の期間、負荷電圧がV2からV3に増加することに伴って、第2電流検出回路65によって検出される電流値はI
c2からI
c2Hに増加する。なお、I
c2HはI
c2より大きな電流値である。
【0045】
時刻t12からt13の期間、負荷電圧がV3からV1に減少する。また、時刻t12からt14の期間、第2電流検出回路65によって検出される電流値はI
c2HからI
c2に減少する。
そして、時刻t11からt14の期間、制御回路70は、第2電流検出回路65によって検出された電流の変化を検出し、制御回路70のコンパレータ73が、第2電流検出回路65によって検出された電流の極小値であるI
c2を、時刻t14のタイミングで検出する。
また、時刻t14からt16の動作は、
図6の上段における時刻t11からt13の動作と同様である。
【0046】
次に、
図6に示したように負荷電圧が変化した場合の電源装置1の動作を説明する。
制御回路70は、第2電流検出回路65によって検出された電流の変化を検出し、電流値が極小値である時刻t13のタイミングで逆流が発生したことを検出する。そして、制御回路70は、逆流が発生したことが検出されたとき、スイッチング素子41及び42の同期整流動作を停止させるように制御する。
【0047】
以上のように、電源装置1は、電圧の変換を行うトランス30の第1の二次巻線(33、34)に誘起される電力を同期整流するスイッチング素子(41または42)と、トランス30の第2の二次巻線35に誘起される電流値を検出する第1電流検出回路64と、第2の二次巻線35に誘起される電流の変化を検出する、電流の変換に対する応答速度が第1電流検出回路64よりも速い第2電流検出回路65と、第2電流検出回路65によって検出された電流の変化に基づいて、トランス30の一次巻線側に逆流が発生しているか否かを判別して、判別した結果に応じてスイッチング素子(41または42)を制御する制御部(制御回路70)と、を備える。
【0048】
この構成によって、本実施形態の電源装置1によれば、負荷電圧が変化して逆流が発生し始めるタイミング(時刻t14)で同期整流動作を瞬時に停止することができるので、逆流が流れる期間を、きわめてわずかな時間にすることができる。これにより、スイッチング素子41、42に流れる逆流を低減し、与える影響を少なくすることができる。従って、本実施形態の電源装置1によれば、逆流によるスイッチング素子41、42等の半導体素子の破壊等を防ぐことができる。
【0049】
また、従来の電源装置では、逆流が発生しても、例えば
図5に示した時刻t3のようなタイミングで同期整流動作が停止していた。このため、従来の電源装置において逆流やサージ電圧が発生するため、同期整流動作は、スイッチング素子などの部品の耐圧が高い、例えば50A(アンペア)等の高い電流以上の領域でしか使用できなかった。
一方、本実施形態の電源装置1によれば、逆流が発生し始めるタイミングで同期整流を停止させることができるので、従来の電源装置より部品の耐圧を低くすることができる。このため、低い電流値の領域(例えば10A)においても、同期整流動作を行うことが可能になる。この結果、本実施形態の電源装置1によれば、高負荷時に限らず広範囲の負荷領域において同期整流動作させることができるので、本発明の電源装置を搭載する製品の軽負荷時の効率を大幅に向上することができる。例えば、車両に搭載した場合は、車両の燃費を向上させることができる。
【0050】
上述した実施形態では、一次側回路20の回路が、フルブリッジ回路で構成される場合の例について説明したが、フルブリッジ回路に限られるものではなく、二次側回路40の整流回路が同期整流方式の回路で構成されていればよい。例えば、一次側回路20の回路方式が、非共振型のPWM制御の回路方式であってもよく、また、フェーズシフト型のスイッチ回路で構成されるスイッチング電源装置であってもよい。
【0051】
なお、上述した電源装置1において、制御回路70内の各処理部は専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、各処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
すなわち、上述の制御回路70内に、CPU、ROM、及びRAM等を有するマイクロコントローラやマイクロコンピュータ等のコンピュータシステムを搭載し、CPUが、ソフトウェアプログラムを読み込み実行することにより、制御回路70の一部又は全部の処理機能を実現してもよい。