(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
調乳は昼夜問わず行われることが多く、哺乳瓶を流水にさらすのは労力が大きい。水や湯に容器を浸す方法では、温度調整に時間を要し、効率の良い方法とはいえない。特許文献1に開示された技術では、回転する哺乳瓶近傍の水がその場に留まるため、効率的な温度調整が促されるとは言い難い。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、対象物の温度調整をより効率的に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る温度調整装置は、温度調整の対象物を収容する収容具と、前記収容具内の液体に気泡を発生させる気泡発生部とを有する。
【0008】
また、上記課題を解決するため、前記気泡発生部は、前記対象物の表面を沿って上昇するよう前記気泡を発生させてもよい。
【0009】
また、上記課題を解決するため、前記気泡発生部は、超音波を用いて前記気泡を発生させてもよい。
【0010】
また、上記課題を解決するため、前記温度調整装置は、留め具を用いて支えられた前記対象物を回転させる回転体を有していてもよい。
【0011】
また、上記課題を解決するため、前記気泡発生部は、略円筒形の前記対象物の表面に沿って鉛直上向よりも傾いた方向に前記気泡を放出する複数のノズルを有していてもよい。
【0012】
また、上記課題を解決するため、前記収容具は、対向する2方向に開口部を有する柱状に形成され、下方の開口部から入った前記気泡を上方の開口部へと導いてもよい。
【0013】
また、上記課題を解決するため、前記収容具は、対向する2方向に開口部を有する柱状に形成され、上方の開口部の外周に複数の凸部が形成されてもよい。
【0014】
また、上記課題を解決するため、前記温度調整装置は、前記液体を冷却する冷却装置を有していてもよい。
【0015】
また、上記課題を解決するため、前記温度調整装置は、前記液体を加熱する加熱装置を有していてもよい。
【0016】
また、上記課題を解決するため、前記温度調整装置は、凍結した前記対象物を解凍するものであってもよい。
【0017】
また、上記課題を解決するため、前記気泡発生部は、0.5mm以上3mm未満の気泡を発生させてもよい。
【0018】
また、上記課題を解決するため、前記気泡発生部は、さらにマイクロバブルを発生させてもよい。
【0019】
また、上記課題を解決するため、前記気泡発生部は、定期的に前記マイクロバブルを発生させてもよい。
【0020】
また、上記課題を解決するため、前記気泡発生部は、さらにナノバブルを発生させてもよい。
【0021】
また、上記課題を解決するため、前記気泡発生部は、気泡の温度を調整する気泡温度調整装置を有してもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、対象物の温度調整をより効率的に行う温度調整装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、第1の実施形態における温度調整装置1の外観を示した図である。本実施形態では、ミルクの入った哺乳瓶を温度調整の対象物に用いた例を説明するが、対象物は哺乳瓶に限定されない。対象物は液体を収容した物であっても、固体であってもよい。対象物の一例として、容器に入ったジュースや、魚等が挙げられる。
【0026】
温度調整装置1は、収容具2と、ノズル3と、載置台4と、留め具5と、送風パイプ6と、送風ポンプ7と、センサー8と、操作盤9と、を備える。収容具2は、対象物Aと、冷媒である液体とを収容する。以下、冷媒に水を用いた場合について説明する。冷媒は氷を含むものであってもよく、アルコールを含むものであってもよい。収容具2は、外部への水はねを防ぐ蓋を有していてもよい。ノズル3と、送風パイプ6と、送風ポンプ7とは、気泡発生部として機能する。
【0027】
ノズル3は、対象物Aの底面の外周に沿って1又は複数設けられ、収容具2内の水に対して気泡を発生させる。ノズル3は、後述の載置台4に対して設けられた開口部であってもよいし、載置台4の開口部に一端が接続され、他端に第2の開口部を有する他の部材であってもよい。ノズル3から発生した気泡の少なくとも一部は、対象物Aの表面に沿って上昇する。
【0028】
載置台4は、対象物Aを載置する台であり、1又は複数の開口部を有する。送風パイプ6は、送風ポンプ7から送られた空気を、載置台4内部へと導く管である。留め具5は、載置台4に対象物Aを係止する部材である。送風ポンプ7は、動力を用いて空気を送風パイプ6へと送る機具である。センサー8は、対象物Aの表面又は容器内部の温度を検知する。センサー8は接触式又は非接触式のいずれであってもよい。操作盤9は、使用者の操作を受け付けるユーザーインターフェイスである。
【0029】
本実施形態では、ミルクの入った哺乳瓶と水とを収容具2に収容させる。哺乳瓶は、留め具5により載置台4に係止される。操作盤9が操作を受け付けると、温度調整が開始される。具体的には、送風ポンプ7が駆動し、載置台4内部へと導かれた空気が気泡となって、ノズル3から排出される。
【0030】
気泡は水圧により哺乳瓶周辺に押し付けられ、張り付くように付着する。その後、気泡の少なくとも一部は、哺乳瓶の表面を伝って回転するように上昇する。気泡が回転しながら哺乳瓶の表面を伝って上昇することは、哺乳瓶の表面近傍に滞留している水をはがす効果がある。また、哺乳瓶の表面近傍の水は、気泡により上昇を促されるため、より速やかな温度調整が可能となる。さらに、気泡が回転しながら上昇することで、上昇速度を速める効果が期待できる。
【0031】
なお、直径0.1mm以上1mm未満の気泡はほぼ球形であって、直線的に上昇する。直径1mmを超える気泡は、大きくなるにつれて上下方向に扁平になり、短軸を回転軸とする回転楕円形状になる。また、直径1mm超の気泡はらせん状に上昇するが、さらに大きくなると不規則な振動をしながら上昇する。ノズル3から発生する気泡は、望ましくは0.1mm以上5mm未満である。より望ましくは、0.5mm以上3mm未満である。
【0032】
哺乳瓶と水との境界では熱交換が行われる。より具体的には、哺乳瓶の熱が哺乳瓶近傍の水へと伝導する。哺乳瓶近傍の水は気泡と共に上昇し、収容具2内の水に対流を引き起こす。対流は、収容具2の断面を横方向から観察した場合、上昇した哺乳瓶近傍の水が収容具2上部の壁面まで運搬され、収容具2壁面を沿って下降し、哺乳瓶の下部に向かって運搬され、再び気泡と共に哺乳瓶近傍を上昇するという流動により引き起こされる。哺乳瓶表面は、対流により水の滞留が制限されるため、より速やかな冷却が促される。
【0033】
また、温度調整装置1は、内部に図示しない演算装置を有し、予め操作盤9を介して入力された適温に達したことをセンサー8が検知すると、送風ポンプ7の機能を停止させ、報知音を発生させる。なお、温度調整装置1は、センサー8に代わって、又はセンサー8に加えて、タイマーを有していてもよい。気泡発生後所定期間が経過すると、送風ポンプ7の機能が停止し、気泡の発生が停止する。
【0035】
図2は、第1の変形例における温度調整装置1の概要を示す図である。第1の変形例における温度調整装置1は、ノズル3と、送風パイプ6と、送風ポンプ7と、に代えて、超音波振動子11を有する。超音波振動子11は、気泡発生部として機能する。超音波振動子11は、圧電・電歪素子を有し、駆動信号を用いて変形させることにより超音波が発生し、これにより微細な気泡が発生する。
図2に示す温度調整装置1の超音波振動子11は、載置台4の裏面(対象物Aが接する面と対向する面)に接するよう設置されている。
【0036】
また、
図2は、発生した気泡が哺乳瓶の表面に沿って上昇する様子を示している。前述したように、哺乳瓶の表面に接した気泡の少なくとも一部は、哺乳瓶の表面を転がりながら上昇すると考えられる。これにより、対象物Aから哺乳瓶近傍の水への熱の伝導がより速やかに行われ、温度調整がより活発に行われる。
【0037】
<第2の変形例>
次に、第2の変形例について説明する。本変形例における気泡発生部は、少なくとも2種類の大きさの気泡を発生させる。本変形例の気泡発生部は、少なくとも上述の実施形態におけるノズル3と、送風パイプ6と、送風ポンプ7とを有し、上述の実施形態と同様の0.1mm以上5mm未満の気泡(以下、「通常の気泡」と記載)を発生させる。
【0038】
また、本変形例における気泡発生部は、マイクロバブル及び/又はナノバブルを発生させる。マイクロバブルの直径は、0.5μm以上50μm未満である。ナノバブルの直径は、500nm未満(例えば10nm以上500nm未満)である。
【0039】
マイクロバブルの発生方法は限定しない。例えば、通常の大きさの気泡を発生させるノズル3の他に、マイクロバブルを発生させるノズル3を設ける。マイクロバブル用のノズル3に、加圧装置を接続し、送風パイプ6を経由して送風ポンプ7から送り込まれた空気を加圧してノズル3から射出することにより、マイクロバブルを発生させてもよい。または、例えばマイクロバブル用のノズル3に、渦流発生装置を接続し、渦流によりマイクロバブルを発生させてもよい。ナノバブルの発生方法についても同様である。
【0040】
又は、気泡発生部は、ノズル3、送風パイプ6、及び送風ポンプ7の他に、超音波振動子11を有していてもよい。この場合、例えば載置台4内部に設置された超音波振動子11からマイクロバブル又はナノバブルが発生するとともに、送風ポンプ7により載置台4内部に空気が送り込まれ、載置台4のノズル3から気泡が発生する。
【0041】
図3は、第2の変形例における温度調整装置1の概要を示す図である。本図に示す温度調整装置1においては、通常の気泡を発生させるノズル3と、マイクロバブルを発生させるノズル3とが交互に設置されている。本図は、収容具内の水がマイクロバブルにより白濁している状態を示す。なお、温度調整装置1は、ナノバブルを発生させるノズル3を含むものであってもよいが、ナノバブル程度の粒径の気泡を発生させる場合には、気泡は必ずしも目視できるものではない。
【0042】
なお、マイクロバブル及びナノバブルは、粒子が小さいため、通常の気泡に比べ長時間水中を漂う。そのため、気泡発生部は、間欠的にマイクロバブル又はナノバブルを発生させるものであってもよい。この場合、気泡発生部は定期的にマイクロバブル及びナノバブルを発生させる一方で、通常の気泡を継続的に発生させるものであってもよい。
【0043】
なお、マイクロバブル及びナノバブルには洗浄作用及び殺菌作用があることが知られている。本変形例の温度調整装置1によれば、効率的に温度調整を行うことに加え、対象物の表面の洗浄、殺菌が期待できる。
【0044】
付言すれば、本変形例における温度調整装置1は、通常の気泡に加えてマイクロバブルを発生させるものであってもよく、通常の気泡に加えてナノバブルを発生させるものであってもよい。また、通常の気泡に加え、マイクロバブルとナノバブルとを発生させるものであってもよい。
【0046】
図4は、第3の変形例における温度調整装置1の概要を示す図である。本変形例におけるノズル3は、略円筒形状であって、載置台4に対して複数設置され、鉛直上向よりも哺乳瓶の側面に沿って傾いた方向に先端を向けるよう設置されている。ノズル3は、各々先端が共通する方向に回転するよう傾いて設置される。その結果、送風ポンプ7から空気が送出されると、ノズル3から斜め上方に向かって、哺乳瓶の表面を沿うように気泡が放出される。
【0047】
なお、ノズル3は、望ましくは載置台4に対して50度以上85度未満の角度をなすよう設置される。より望ましくは、ノズル3は、載置台4に対して60度以上75未満の角度をなすよう設置される。
【0048】
なお、
図4におけるノズル3は、気泡が発生する側の一端が載置台4表面よりも上方に位置するように載置台4に設置されている。しかしながら、ノズル3の構成についてはこれに限られず、気泡が発生する側の一端が載置台4表面と略同一の面上に位置するよう設置されるものであってもよい。その場合、載置台4表面と同じ高さに位置するノズル3の一端から斜め上方に向かって、哺乳瓶の表面を沿うよう気泡が噴出する。
【0049】
付言すれば、本変形例におけるノズル3は、哺乳瓶の側面に沿って傾いた方向に先端を有するよう設置されるため、複数のノズル3と載置台4との接点を結んで得られる略円形状の軌道の直径と、複数のノズル3の気泡発生側の一端を結んで得られる略円形状の軌道の直径とは、略同一であるか、又は後者の方が小さい。
【0050】
本変形例における温度調整装置1によれば、斜め上方に噴出する気泡によって、対象物A近傍に対象物Aを軸とする渦流が発生する。これにより、前述した哺乳瓶近傍と収容具2壁面との間で行われる対流に加え、渦流による水の流動が行われるため、より活発な温度調整が促進される。
【0052】
図5は、第4の変形例における温度調整装置1の概要を示す図である。本変形例における温度調整装置1は、第2の変形例における温度調整装置1と同様に、略円筒形状のノズル3を有し、ノズル3は鉛直上向よりも傾いた方向に先端を向けるよう設置されている。また、複数のノズル3は、先端が共通する方向に回転するよう傾いて設置される。本変形例におけるノズル3は、先端が対象物Aを中心としてやや外側に傾いた方向を向くよう設置される。
【0053】
結果として、複数のノズル3と載置台4との接点を結んで得られる略円形状の軌道の直径よりも、複数のノズル3の気泡発生側の一端を結んで得られる略円形状の軌道の直径の方が大きい。
【0054】
本変形例におけるノズル3の構成により、対象物Aを軸とし、対象物Aよりも大きい直径の渦流が発生する。哺乳瓶近傍と収容具2壁面との間で行われる対流に加え、渦流により水が撹拌されるため、速やかな温度調整が促進される。
【0056】
図6は、第2の実施形態における温度調整装置10の概要を示す図である。本実施形態における温度調整装置10は、収容具2内に収容された対象物Aを回転させる。本実施形態における温度調整装置10は、軸12aと、軸12bと、歯車13と、回転台14と、モーター15と、スイッチ16と、変速部17と、を備える。以下、上述の実施形態と同じ構成を有するものについては同じ符号を付与し、上述の実施形態と異なる点について説明する。
【0057】
回転台14は、対象物Aを載置した載置台4を回転させる機能を有する。回転台14は、送風ポンプ7と、軸12aと、軸12bと、歯車13と、モーター15と、スイッチ16と、変速部17と、を収容する。また、回転台14は電池Bを収容しており、スイッチ16の操作によって電池Bからモーター15へ電力が供給される。モーター15が駆動すると、軸12aが回転し、軸12aの回転が歯車13へと伝わり、軸12bを回転させる。軸12bの回転により、載置台4が回転する。
【0058】
載置台4には留め具5が設置されており、対象物Aを係止する。これにより、対象物Aの底が載置台4に支えられ、対象物Aが載置台4と共に回転運動する。
【0059】
変速部17は、図示しないカムを有し、軸12bを周期的に加速又は減速させる。これにより、収容具2内部の水が対象物Aと一体となり回転することを防止し、より大きく撹拌されるため、熱交換がより効果的に促進される。なお、温度調整装置10をより簡便に構成するために、変速部17を含まないものであってもよい。
【0060】
収容具2は、収容する水の水はねを防ぐ蓋2aを有する。また、載置台4は、図示しないノズル3を有し、上述の実施形態と同様にノズル3から気泡が発生する。
【0061】
本実施形態によれば、対象物Aが回転することにより対象物A表面の水の滞留が制限されると共に、収容具2内部の水が撹拌されるため、より効率的に対象物Aと水との熱交換が行われ、速やかな温度調整の実現が可能となる。なお、本実施形態の温度調整装置10は、オルゴール機能を有していてもよい。
【0063】
図7は、第3の実施形態における温度調整装置20の概要を示す図である。上述の実施形態と同じ構成を有するものについては同じ符号を付与し、上述の実施形態と異なる点について説明する。
【0064】
本実施形態における温度調整装置20は、容器Cに収容される。容器C内に水が入れられ、水は収容具2と対象物Aとの隙間に入り込む。収容具2は、略円柱又は略角柱状に形成されており、対向する2方向に開口部を有する。
図7に示す収容具2は、略垂直方向に延伸するよう温度調整装置20に設置されているが、2つの開口部の高さが異なるよう設置されればよく、例えば斜め方向に延伸するよう設置されてもよい。収容具2は、気泡ポンプ(エアリフトポンプ)での揚水管の役割を果たす。
【0065】
また、
図7に示す収容具2には対象物Aを係止する留め具5が設置されているが、留め具5は上述の実施形態と同様に載置台4に設置されるものであってもよい。収容具2と載置台4とは互いに固定されているが、固定方法は問わない。
【0066】
また、本実施形態における載置台4は、
図7に示すように、送風パイプ6の機能を兼ねており、略垂直方向に延伸する。載置台4の有するノズル3は、載置台4の側面に、1又は複数設置される。しかしながら、載置台4及びノズル3の構成はこれに限られず、上述の実施形態と同様に、載置台4の上面にノズル3を有するものであってもよい。
【0067】
送風ポンプ7により空気が載置台4に送り込まれると、ノズル3から気泡が放出される。気泡は収容具2の下方開口部から収容具2内に流れ込み、下方開口部付近の水を上方へと押し上げる。水及び気泡は、収容具2の内壁と対象物Aとの間を上方へと導かれ、収容具2の上方開口部から放出される。収容具2の上方開口部に到達した水は、容器Cの内壁に当たり下方へと移動する(
図7矢印方向)。これにより、容器C内の水が対流する。この流動が継続的に行われることにより、収容具2内の水が下方から上方へと循環し、対象物Aから水への熱交換が活発に行われる。
【0069】
図8は、第3の実施形態の変形例における温度調整装置20の概要を示す図である。本変形例における載置台4にはノズル3が設置されず、代わりに収容具2の下方開口部付近まで延伸する送風パイプ6に1又は複数のノズル3が設置される。ノズル3から放出される気泡は、上述の実施形態と同様に、収容具2の下方開口部から収容具2内に入り、収容具2内壁と対象物Aとの間を上方へと導かれる。
【0070】
本変形例によれば、収容具2による揚水作用により効率的に温度調整が行われる。また、送風ポンプ7の取り外しが容易なため、より簡便に温度調整装置20を構成することができる。
【0072】
図9は、第4の実施形態における温度調整装置30の概要を示す図である。
図9(A)は、第4の実施形態における温度調整装置30の断面図である。上述の実施形態と同じ構成を有するものについては同じ符号を付与し、上述の実施形態と異なる点について説明する。
図9には、対象物Aにワインの瓶を用いた例を示す。
【0073】
本実施形態における温度調整装置30は、留め具5が設置された収容具2と、送風パイプ6と、1又は複数の送風ポンプ7と、を備え、収容具2はバケツ等の容器Cに収容されている。収容具2は、対向する2方向に開口部を有する筒状に形成されている。収容具2は、少なくとも下方開口部近傍に、水の出入りが可能な複数の穴が設けられている。
【0074】
また、送風パイプ6の一端が収容具2の下方開口部近傍に設置されている。送風パイプ6の一端はノズル3として機能し、ノズル3から放出された気泡は収容具2内壁と対象物Aとの間を上昇する。上述の第3の実施形態と同様に、収容具2は気泡ポンプでの揚水管の役割を有し、下方開口部から上方開口部への水の循環を促す。
【0075】
なお、収容具2は、上方開口部と下方開口部が略同じ半径を有する筒形状であってもよいし、
図9(A)に示すように、上方開口部が下方開口部よりも狭く窄まった形状をしていてもよい。対象物Aに応じた形状であればよい。また、
図9(A)に示すように、下方開口部が円筒状の収容具2の胴体部分から漸次外側に広がるよう形成されていてもよい。
【0076】
また、第3の実施形態と同様に、収容具2は長辺が垂直になるよう設置されるものでなくてもよい。一方の開口部と他方の開口部の高さが異なるよう設置されるものであればよい。また、
図9(A)に示す収容具2の上方開口部は、水面よりも高い位置にある。これにより、上方開口部から噴出する水を視認することができ、清涼感を感じさせる演出が可能となる。なお、収容具2の上方開口部は、水面より低い位置にあってもよい。
【0077】
図9(B)は、第4の実施形態における収容具2の平面図である。
図9(B)は、
図9(A)に示す収容具2をy方向から重力方向へ向かって俯瞰した図である。また、収容具30の上方開口部の外周には、等間隔に複数の凸部2bが形成される。凸部2bは、対象物Aを中心として外側へめくれた形状をしている。換言すれば、上方開口部は漸次外側に広がるよう形成される。
【0078】
凸部2bが形成される結果、上方開口部は、平面図において円形外周の複数個所が中心に向かって窪んだ略星型形状となる。
図9(B)に示す収容具2の上方開口部2bは、等間隔に6つの凸部2bを有する。なお、凸部2bの先端は、凸部2bと凸部2bの間の凹形状をなす部分に比べ、X方向から見て下方に位置するものであってもよい。換言すれば、収容具30を側面から見た場合に、上方開口部が波型に形成されてもよい。これにより、上方開口部が水面より高い位置にある場合に、放出される水が円滑に容器C内に注がれ、美しい景観を演出する。
【0079】
なお、上方開口部の形状は適宜変更が可能である。当然ながら円形であってもよい。
【0081】
図10は、第4の実施形態の変形例における温度調整装置30の断面図(その1)である。
図10には、対象物Aに徳利を用いた例を示す。本実施形態における温度調整装置30は、加熱が可能な装置であるヒーター22を有し、冷たい対象物Aを温めることができる。
【0082】
図10に示すヒーター22は、容器C外部に設置され、容器C内部の水を温める。水は予め他の手段で温められたものであってもよい。収容具2の下方開口部から気泡が収容具2内に入ると、ヒーター22で温められた水が気泡と共に上昇する。すると、温められた水から対象物Aへと熱が移動し、対象物Aが温まる。収容具2の内壁と対象物Aとの間を、気泡と温水とが上方へと循環するため、速やかに対象物Aの温度調整が行われる。
【0083】
これにより、例えば酒を温めたい場合等に、簡便かつ効率的に温度調整を行うことができる。
【0084】
なお、他の手段で温めた温水を容器C内に入れることで、目的の温度まで対象物Aを温めることができれば、ヒーター22は必ずしも必要ではない。また、対象物Aを冷やすことを目的として、ヒーター22の代わりに冷却装置を用いてもよい。
【0085】
図11は、第4の実施形態の変形例における温度調整装置30の断面図(その2)である。本図に示す対象物Aは、飲料及び飲料の容器ではなく、冷凍食品等の食品である。収容具2は、下方開口部近傍に気泡を通過させることが可能なすのこ状部材を有する。対象物Aはすのこ状部材の上面に載置される。
【0086】
送風パイプ6の一端であるノズル3から放出された気泡は、対象物Aの表面に沿って収容具2内を上昇すると共に、すのこ状部材を通過して収容具2を横断する。これにより、対象物Aを多方向から気泡が包み込んで上昇し、活発な温度調整が促される。
【0087】
図12は、第4の実施形態の変形例における収容具2の概要を示す図である。
図12は、
図11に示す収容具2をy方向から重力方向へ俯瞰して見た図である。
【0088】
本変形例における収容具2は、部材31と部材32の2つの部材を有する。部材31及び部材32には、各々内壁に1又は複数のヒレ状部材33が設けられている。ヒレ状部材33は、収容具2の外壁と対象物Aとの間に、気泡及び上昇する水が通るために適切な距離を設けるのに役立つ。ヒレ状部材33は、収容具2の長辺に沿って継続して延伸していてもよいし、収容具2の長辺に沿った複数個所に分離して設けられていてもよい。
【0089】
部材31と部材32とは、コの字型の部材であって、部材32が部材31を収容可能な入れ子構造となっている。
図12(B)に示す収容具2は、部材31を部材32が収容した状態を示す。部材31を部材32が収容する場合、部材32の内壁のうち部材31と接する内壁に設けられたヒレ状部材33は、内壁に沿って折りたたまれる。これにより、収容具2の大きさの変更が可能となり、種々の大きさの対象物Aを収容することができる。
【0090】
なお、第4の実施形態の変更例において、部材31、部材32、及びヒレ状部材33は必須の構成ではない。
【0091】
魚等を解凍する場合、鮮度を保つために、例えば摂氏0度以上6度未満、望ましくは摂氏2度前後の低温を保つことが望まれる。また、野菜の温度調整を行う場合、摂氏4度前後の温度を保つことが望まれる。本実施形態の温度調整装置によれば、速やかに適切な温度を保つよう温度調整を行うことができる。
【0092】
また、内部まで凍結した冷凍食品を解凍する場合、短時間で内部まで解凍させることは困難であった。しかしながら、本実施形態の温度調整装置は、気泡が回転しながら水を対流させるため、対象物を速やかに解凍させることが容易となった。このように、本実施形態の温度調整装置によれば、対象物を速やかに適切な温度になるよう調整することができる。特に、マイクロバブルやナノバブルを発生させ、水中に溶融させることで、より効率よく熱伝達を高めることが可能となる。
【0093】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【0094】
例えば、温度調整装置は、気泡の温度を調整することにより、温度調整の速度を制御するものであってもよい。その場合、例えば送風ポンプ7に対し、気泡の温度を調整するヒーター又はクーラーが接続される。送風ポンプ7は、温度調整された気泡をノズル3から発生させる。
【0095】
また例えば、温度調整装置は、二酸化炭素や窒素ガスを所定量以上含む気泡を発生させるものであってもよい。これにより、安全性や熱効率を高めることができる。
【0096】
また、各実施形態は、それぞれの特徴を組み合わせることができる。上述のいずれかの温度調整装置が、他の実施形態の特徴を併せ持つものであってもよい。
【解決手段】温度調整装置1は、収容具2と、ノズル3と、載置台4と、留め具5と、送風パイプ6と、送風ポンプ7と、センサー8と、操作盤9と、を備える。収容具は、対象物Aと、冷媒である液体とを収容する。冷媒は氷を含むものであってもよく、アルコールを含むものであってもよい。収容具は、外部への水はねを防ぐ蓋を有していてもよい。ノズルと、送風パイプと、送風ポンプとは、気泡発生部として機能する。気泡の少なくとも一部は、哺乳瓶の表面を転がりながら上昇すると考えられる。これにより、対象物から哺乳瓶近傍の水への熱の伝導がより速やかに行われ、温度調整がより活発に行われる。