(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記充放電制御部は、前記自然エネルギー発電装置が発電する発電電力が前記負荷装置による消費電力より小さい場合において、前記蓄電池の容量が前記施設外使用電力量に前記蓄電池の容量の許容下限値を加算した値に達したときに、前記負荷装置に供給する電力を、前記蓄電池の放電電力から前記外部供給電力に切り替える
ことを特徴とする請求項1に記載の電力管理装置。
前記必要充電量算出部は、前記蓄電池の容量の許容上限値と許容下限値との差分である最大使用可能電力量と前記差分電力量との差が、前記施設外使用電力量未満である場合に、前記蓄電池の容量の許容上限値から前記最大ピーク時刻における前記蓄電池の容量を減じた電力量を、前記必要充電量とする
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力管理装置。
前記必要充電量算出部は、前記蓄電池の容量の許容上限値と許容下限値との差分である最大使用可能電力量から、前記蓄電池を不定期に前記施設外で使用する際に当該使用に要する不定期利用電力量及び前記差分電力量を減じた電力量が、前記施設外使用電力量以上である場合に、前記差分電力量と前記施設外使用電力量と前記不定期利用電力量とを加算した電力量から前記最大ピーク時刻における前記蓄電池の容量を減じた電力量以上の電力量を、前記必要充電量とする
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の電力管理装置。
前記蓄電池が前記施設外で使用されている間、前記自然エネルギー発電装置が発電する発電電力を用いてヒートポンプを運転するヒートポンプ制御部を備えることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の電力管理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載のように走行体に搭載した蓄電池を、自然エネルギーによる余剰発電電力のバッファとして用いる場合、走行体が走行に用いられるときに、当該走行に充分な電力量が蓄電池に残らないおそれがある。
本発明の目的は、自然エネルギーによる発電装置が設けられた施設外での使用が可能な蓄電池に、当該施設外で用いる用途に充分な電力量を確保する電力管理装置、電力管理方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、自然エネルギー発電装置、負荷装置及び蓄電池を備える施設において電力の管理を行う電力管理装置であって、前記蓄電池の前記施設外での使用を開始する時刻である施設外使用開始時刻、当該使用を終了する時刻である施設外使用終了時刻及び当該使用に要する施設外使用電力量を予測する施設外使用予測部と、前記負荷装置による消費電力の時間変化と、前記自然エネルギー発電装置が発電する発電電力の時間変化とに基づいて、前記発電電力によって前記負荷装置を稼働させる場合の余剰・不足電力の時間変化を予測する余剰・不足電力予測部と、前記施設外使用予測部が予測した施設外使用開始時刻、施設外使用終了時刻及び施設外使用電力量、並びに余剰・不足電力予測部が予測した余剰・不足電力の時間変化に基づいて、外部供給電力による充電を行わない場合の前記蓄電池の容量の時間変化を予測する変化量予測部と、前記変化量予測部が予測した前記蓄電池の容量の時間変化に基づいて、前記蓄電池の容量が最大となる時刻である最大ピーク時刻を特定するピーク特定部と、前記変化量予測部が予測した前記蓄電池の容量の時間変化に基づいて、前記最大ピーク時刻における前記蓄電池の容量と前記施設外使用開始時刻における前記蓄電池の容量との差分である差分電力量を算出する差分電力量算出部と、前記最大ピーク時刻における前記蓄電池の容量と前記蓄電池の容量の許容上限値とに基づいて、
前記蓄電池が供給する電力によって前記負荷装置を稼働させる時間帯の開始時刻までに前記蓄電池に充電すべき電力量である必要充電量を算出する必要充電量算出部と、前記
開始時刻までに、前記外部供給電力を用いて前記蓄電池に前記必要充電量の充電を行う充放電制御部とを備え、前記必要充電量算出部は、前記差分電力量と前記施設外使用電力量とを加算した電力量から前記最大ピーク時刻における前記蓄電池の容量を減じた電力量以上の電力量を、前記必要充電量とすることを特徴とする。
【0007】
また、本発明においては、前記充放電制御部は、前記自然エネルギー発電装置が発電する発電電力が前記負荷装置による消費電力より
小さい場合において、前記蓄電池の容量が前記施設外使用電力量に前記蓄電池の容量の許容下限値を加算した値に達したときに、前記負荷装置に供給する電力を、前記蓄電池の放電電力から前記外部供給電力に切り替えることが好ましい。
【0008】
また、本発明においては、前記必要充電量算出部は、
前記蓄電池の容量の許容上限値と許容下限値との差分である最大使用可能電力量と前記差分電力量との差が、前記施設外使用電力量未満である場合に、前記蓄電池の容量の許容上限値から前記最大ピーク時刻における前記蓄電池の容量を減じた電力量を、前記必要充電量とすることが好ましい。
【0009】
また、本発明においては、前記必要充電量算出部は、
前記蓄電池の容量の許容上限値と許容下限値との差分である最大使用可能電力量から、前記蓄電池を不定期に前記施設外で使用する際に当該使用に要する不定期利用電力量及び前記差分電力量を減じた電力量が、前記施設外使用電力量以上である場合に、前記差分電力量と前記施設外使用電力量と前記不定期利用電力量とを加算した電力量から前記最大ピーク時刻における前記蓄電池の容量を減じた電力量以上の電力量を、前記必要充電量とすることが好ましい。
【0010】
また、本発明においては、前記蓄電池が前記施設外で使用されている間、前記自然エネルギー発電装置が発電する発電電力を用いてヒートポンプを運転するヒートポンプ制御部を備えることが好ましい。
【0011】
また、本発明においては、前記蓄電池は走行体に搭載され、当該走行体の走行により、前記蓄電池が前記施設外で使用されることが好ましい。
【0012】
また、本発明は、自然エネルギー発電装置、負荷装置及び蓄電池を備える施設において電力の管理を行う電力管理装置を用いた電力管理方法であって、施設外使用予測部は、前記蓄電池の前記施設外での使用を開始する時刻である施設外使用開始時刻、当該使用を終了する時刻である施設外使用終了時刻及び当該使用に要する施設外使用電力量を予測し、余剰・不足電力予測部は、前記負荷装置による消費電力の時間変化と、前記自然エネルギー発電装置が発電する発電電力の時間変化とに基づいて、前記発電電力によって前記負荷装置を稼働させる場合の余剰・不足電力の時間変化を予測し、変化量予測部は、前記施設外使用予測部が予測した施設外使用開始時刻、施設外使用終了時刻及び施設外使用電力量、並びに余剰・不足電力予測部が予測した余剰・不足電力の時間変化に基づいて、外部供給電力による充電を行わない場合の前記蓄電池の容量の時間変化を予測し、ピーク特定部は、前記変化量予測部が予測した前記蓄電池の容量の時間変化に基づいて、前記蓄電池の容量が最大となる時刻である最大ピーク時刻を特定し、差分電力量算出部は、前記変化量予測部が予測した前記蓄電池の容量の時間変化に基づいて、前記最大ピーク時刻における前記蓄電池の容量と前記施設外使用開始時刻における前記蓄電池の容量との差分である差分電力量を算出し、必要充電量算出部は、前記最大ピーク時刻における前記蓄電池の容量と前記蓄電池の容量の許容上限値とに基づいて、
前記蓄電池が供給する電力によって前記負荷装置を稼働させる時間帯の開始時刻までに前記蓄電池に充電すべき電力量である必要充電量を算出する際、前記差分電力量と前記施設外使用電力量とを加算した電力量から前記最大ピーク時刻における前記蓄電池の容量を減じた電力量以上の電力量を、前記必要充電量とし、充放電制御部は、前記
開始時刻までに、前記外部供給電力を用いて前記蓄電池に前記必要充電量の充電を行うことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、自然エネルギー発電装置、負荷装置及び蓄電池を備える施設において電力の管理を行う電力管理装置を、前記蓄電池の前記施設外での使用を開始する時刻である施設外使用開始時刻、当該使用を終了する時刻である施設外使用終了時刻及び当該使用に要する施設外使用電力量を予測する施設外使用予測部、前記負荷装置による消費電力の時間変化と、前記自然エネルギー発電装置が発電する発電電力の時間変化とに基づいて、前記発電電力によって前記負荷装置を稼働させる場合の余剰・不足電力の時間変化を予測する余剰・不足電力予測部、前記施設外使用予測部が予測した施設外使用開始時刻、施設外使用終了時刻及び施設外使用電力量、並びに余剰・不足電力予測部が予測した余剰・不足電力の時間変化に基づいて、外部供給電力による充電を行わない場合の前記蓄電池の容量の時間変化を予測する変化量予測部、前記変化量予測部が予測した前記蓄電池の容量の時間変化に基づいて、前記蓄電池の容量が最大となる時刻である最大ピーク時刻を特定するピーク特定部、前記変化量予測部が予測した前記蓄電池の容量の時間変化に基づいて、前記最大ピーク時刻における前記蓄電池の容量と前記施設外使用開始時刻における前記蓄電池の容量との差分である差分電力量を算出する差分電力量算出部、前記最大ピーク時刻における前記蓄電池の容量と前記蓄電池の容量の許容上限値とに基づいて、
前記蓄電池が供給する電力によって前記負荷装置を稼働させる時間帯の開始時刻までに前記蓄電池に充電すべき電力量である必要充電量を算出する必要充電量算出部、前記
開始時刻までに、前記外部供給電力を用いて前記蓄電池に前記必要充電量の充電を行う充放電制御部として機能させ、前記必要充電量算出部は、前記差分電力量と前記施設外使用電力量とを加算した電力量から前記最大ピーク時刻における前記蓄電池の容量を減じた電力量以上の電力量を、前記必要充電量とすることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電力管理装置は、蓄電池の初期時刻における必要充電量を、蓄電池の容量の許容上限値から最大ピーク時刻における前記蓄電池の容量を減じた電力量以下とする。これにより、最大ピーク時刻において蓄電池の容量が許容上限値を超えることを防ぐことができる。また、電力管理装置は、蓄電池の最大使用可能電力量と差分電力量との差が施設外使用電力量以上である場合に、蓄電池の初期時刻における必要充電量を、差分電力量と施設外使用電力量とを加算した電力量から最大ピーク時刻における蓄電池の容量を減じた電力量以上とする。これにより、施設外使用開始時刻において蓄電池の容量が施設外使用電力量未満になることを防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
《第1の実施形態》
図1は、本発明の第1の実施形態による電力管理装置100を備える施設の構成を示す図である。
第1の実施形態による施設には、電力管理装置100、蓄電池201を搭載した車両200(走行体)、自然エネルギー発電装置300、負荷装置400が設けられる。
電力管理装置100は、施設内において発電され、または消費される電力の管理を行う。また、電力管理装置100は、ネットワーク500に接続されており、当該ネットワーク500を介して天気予報などの情報を受信する。
車両200は、搭載する蓄電池201から供給される電力により走行する。また、車両200が施設内に停車しているときは、電力管理装置100によって蓄電池201の充放電が制御される。
自然エネルギー発電装置300は、太陽光や風力などの自然エネルギーによる発電を行う。
負荷装置400は、施設に設けられた電気機器全般のことであり、蓄電池201が供給する電力または系統電力などの外部供給電力によって稼働する。
【0017】
なお、一般的に、外部供給電力の使用料金は、当該電力を使用する時刻によって異なる。例えば、午後11時から午前7時の時間帯は、午前7時から午後11時までの時間帯と比較して外部供給電力の使用料金が安くなる。この場合、電力管理装置100は、午後11時から午前7時の時間帯(安価期間)の間、外部供給電力によって負荷装置400を稼働させ、午前7時から午後11時の時間帯(高価期間)の間、蓄電池201が供給する電力によって負荷装置400を稼働させる。したがって、電力管理装置100は、高価期間の間、蓄電池201が供給する電力によって負荷装置400を稼働させることができるよう、蓄電池201の容量の制御を行う。
【0018】
次に、電力管理装置100の構成について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態による電力管理装置100の構成を示す概略ブロック図である。
電力管理装置100は、施設外使用予定受付部101、施設外使用予測部102、発電電力予測部103、消費電力予測部104、変化量予測部106、ピーク特定部107、差分電力量算出部108、必要充電量算出部109、充放電制御部110、容量監視部111を備える。
【0019】
施設外使用予定受付部101は、使用者から、蓄電池201の施設外での使用予定、すなわち車両200を走行させる予定の入力を受け付ける。
施設外使用予測部102は、施設外使用予定受付部101が受け付けた情報、及びネットワーク500を介して取得した天気予報や渋滞情報などに基づいて、蓄電池201が施設外で使用される時刻(施設外使用開始時刻)、当該使用を終了する時刻(施設外使用終了時刻)及び当該使用に必要な電力量(施設外使用電力量)を予測する。
【0020】
発電電力予測部103は、ネットワーク500を介して取得した天気予報などに基づいて、高価期間において自然エネルギー発電装置300が発電する発電電力の時間変化を予測する。
消費電力予測部104は、ネットワーク500を介して取得した天気予報や、過去の負荷装置400の稼働履歴などに基づいて、高価期間における負荷装置400による消費電力の時間変化を予測する。
変化量予測部106は、発電電力予測部103が予測した発電電力の時間変化、及び消費電力予測部104が予測した消費電力の時間変化に基づいて、高価期間において外部供給電力による充電を行わない場合の蓄電池201の容量の時間変化を予測する。
【0021】
ピーク特定部107は、変化量予測部106が予測した蓄電池201の容量の時間変化に基づいて、高価期間において蓄電池201の容量が最大となる時刻(最大ピーク時刻)及びそのときの蓄電池201の容量(最大ピーク容量)を特定する。また、ピーク特定部107は、変化量予測部106が予測した蓄電池201の容量の時間変化に基づいて、高価期間において蓄電池201の容量が最小となるときの容量(最小ピーク容量)を特定する。
差分電力量算出部108は、変化量予測部106が予測した蓄電池201の容量の時間変化に基づいて、ピーク特定部107が特定した最大ピーク時刻における蓄電池201の容量と、施設外使用予測部102が予測した施設外使用開始時刻における蓄電池201の容量との差分の電力量(差分電力量)を算出する。
【0022】
必要充電量算出部109は、ピーク特定部107が特定した最大ピーク容量と蓄電池201の容量の許容上限値とに基づいて、高価期間の開始時刻までに蓄電池201に充電すべき電力量である必要充電量を算出する。
充放電制御部110は、高価期間の開始時刻までに、外部供給電力を用いて蓄電池201に必要充電量算出部109が算出した必要充電量の充電を行う。また、充放電制御部110は、容量監視部111が監視する容量に応じて、負荷装置400の充放電を行う。
容量監視部111は、蓄電池201の容量を監視する。
【0023】
次に、電力管理装置100の動作について説明する。
電力管理装置100は、蓄電池201の充電制御を行う前に、予め使用者から当該充電制御に用いる情報を収集する。具体的には、電力管理装置100の施設外使用予定受付部101が、使用者から車両200の使用目的、使用予定時刻、走行距離、使用時間からなる使用予定の入力を受け付け、当該情報を内部のデータベースに記録する。ここで、車両200の使用目的としては、例えば定期利用(通勤など)、高頻度不定期利用(買い物、送迎など)、単発利用(旅行など)が挙げられる。なお、電力管理装置100は、これらの情報に基づいて施設外使用開始時刻や施設外使用電力量を算出するため、車両200を使用する日の高価期間の開始時刻までに、これらの情報の入力がなされている必要がある。
【0024】
なお、使用予定の入力は、使用予定がある日の前日までに使用者によって使用予定毎になされる必要があるが、本実施形態による電力管理装置100の施設外使用受付部は、使用目的に応じて使用予定を推測することで、一部の情報の入力を省略する。
【0025】
具体的には、車両200の使用目的が通勤などの定期利用である場合、施設外使用予定受付部101は、初回に使用者から使用予定時刻、運転距離、及び使用時間、並びに使用間隔の入力を受け付けて、内部のデータベースにこの情報を記録する。そして、施設外使用予定受付部101は、当該使用予定と同じ使用予定を、使用間隔毎に用いる。
【0026】
また、車両200の使用目的が買い物などの高頻度不定期利用である場合、施設外使用予定受付部101は、初回に使用者から運転距離及び使用時間の入力を受け付けて、内部のデータベースにこの情報を記録する。そして、施設外使用予定受付部101は、使用予定時刻のみを使用者から受け付け、残りのパラメータは、当該使用予定と同じものを用いる。これは、車両200を買物などに利用する場合、行き先及び買物に要する時間がほぼ変わらないことが推測されるためである。
【0027】
なお、車両200の使用目的が単発利用である場合、使用予定を予測することは困難であるため、施設外使用予定受付部101は、当該使用予定の入力を毎回受け付ける。
【0028】
図3は、本発明の第1の実施形態による電力管理装置100の安価期間の動作を示すフローチャートである。
次に、電力管理装置100が蓄電池201の充電制御を行う際の動作について説明する。
電力管理装置100は、高価期間の開始時刻以前の時刻(例えば、安価期間の開始時刻)に、蓄電池201の充電を行うための計算を行う。
【0029】
まず、施設外使用予測部102は、施設外使用予定受付部101の内部データベースを参照し、次回の高価期間の間における、車両200の使用予定時刻(施設外使用開始時刻)及び当該走行に要する電力量(施設外使用電力量)を算出する(ステップS1)。なお、施設外使用予測部102は、車両200の走行に要する電力量として、入力された走行距離の定数倍の値を用いて算出する。なお、車両200の走行に要する電力量の算出方法は、これに限られない。例えば、走行距離に使用目的別の係数を乗じることで算出しても良いし、走行距離並びに気温及び時間を独立変数とする関数に基づいて算出しても良いし、走行距離に加え、交通情報等の渋滞予測情報を用いて算出しても良い。
【0030】
次に、発電電力予測部103は、次回の高価期間の間に自然エネルギー発電装置300が発電する電力の時間変化を予測する(ステップS2)。例えば発電電力予測部103は、ネットワーク500を介して、翌日の気温、天気、日照強度などを示す気象情報を取得し、過去の発電電力と気象情報とを関連付けて記憶するデータベース(図示せず)から、時間帯毎に類似する気象情報に関連付けられた発電電力を複数読み出し、それらの平均値を算出することで、発電電力量の時間変化を予測する。
【0031】
また、消費電力予測部104は、次回の高価期間の間に負荷装置400が消費する電力の時間変化を予測する(ステップS3)。例えば消費電力予測部104は、過去の負荷装置400の稼働実績を曜日ごとに記録したデータベースから、翌日の曜日に関連付けられた稼働実績を複数読み出し、当該稼働実績の平均値から消費電力を算出することで、消費電力の時間変化を予測する。
【0032】
次に、変化量予測部106は、発電電力予測部103が予測した発電電力の時間変化と消費電力予測部104が予測した消費電力の時間変化とに基づいて、次回の高価期間の間における蓄電池201の容量の時間変化を算出する(ステップS4)。なお、ここで予測される蓄電池201の容量の時間変化は、外部供給電力による充電を行わない場合の蓄電池201の容量の時間変化となる。変化量予測部106における蓄電池201の容量の予測は、例えば、発電電力と消費電力の予測が一時間ごとの電力量として与えられる場合、以下の手法で行うことができる。つまり、変化量予測部106は、ある時刻(例えば8時)における発電電力量と消費電力量の差の電力で蓄電池201に一時間充電した場合の充電率を、次の時刻(例えば9時)における蓄電池201の充電率として算出し、これを高価期間の全ての時刻について行うことで、高価期間の間における蓄電池201の容量の時間変化を算出することができる。なお、本算出方法はあくまで一例であり、変化量予測部106は、発電電力の時間変化と消費電力の時間変化とに基づいて、次回の高価期間の間における蓄電池201の容量の時間変化をどのように算出しても良い。
【0033】
次に、ピーク特定部107は、変化量予測部106が予測した次回の高価期間の間における蓄電池201の容量の時間変化に基づいて、高価期間の開始時刻から施設外使用予測部102が予測した設備外使用時刻までの間において蓄電池201の容量が最大となる時刻(最大ピーク時刻)及びその容量(最大ピーク容量)を特定する。さらに、ピーク特定部107は、変化量予測部106が予測した次回の高価期間の間における蓄電池201の容量の時間変化に基づいて、施設外使用予測部102が予測した設備外使用時刻に使用時間を加算した時刻から高価期間の終了時刻までの間における蓄電池201の容量の最小値(最小ピーク容量)を特定する(ステップS5)。
【0034】
次に、差分電力量算出部108は、ピーク特定部107が特定した最大ピーク時刻における蓄電池201の容量と設備外使用時刻における蓄電池201の容量の差を算出することで、差分電力量を算出する(ステップS6)。
【0035】
次に、必要充電量算出部109は、最大ピーク容量と最小ピーク容量の差が許容上限値と許容下限値との差(蓄電池201の使用範囲)よりも小さいか否かを判定する(ステップS7)。最大ピーク容量と最小ピーク容量の差が蓄電池201の使用範囲以上である場合(ステップS7:NO)、必要充電量算出部109は、蓄電池201の容量の許容上限値から最大ピーク容量を減じた容量に相当する電力量を、必要充電量とする(ステップS8)。これにより、高価期間の開始時刻以前に当該必要充電量を蓄電池201に充電することで、最大ピーク時刻における蓄電池201の容量は、蓄電池201の容量の許容上限値となる。
【0036】
最大ピーク容量と最小ピーク容量の差が蓄電池201の使用範囲より小さい場合(ステップS7:YES)、必要充電量算出部109は、以下の3つの条件を満たす電力量を、必要充電量とする(ステップS9)。3つの条件とは、(1)蓄電池201の容量の許容上限値から最大ピーク容量を減じた電力量以下であること、(2)差分電力量と施設外使用電力量とを加算した電力量から最大ピーク容量を減じた電力量以上であること、及び(3)許容下限値から最小ピーク容量を減じた電力量以上であること、である。3つの条件を満たす必要充電量の算出方法としては、蓄電池201の容量の許容上限値から最大ピーク容量を減じた容量に相当する電力量を必要充電量とする方法や、蓄電池201の容量の許容上限値から最大ピーク容量を減じた容量に相当する電力量と蓄電池201の容量の許容下限値から最小ピーク容量を減じた容量に相当する電力量の平均値を必要充電量とする方法などがある。
【0037】
(1)の条件により、最大ピーク時刻における蓄電池201の容量は、蓄電池201の容量の許容上限値を超えることを防ぐことができる。また、(2)の条件により、施設外使用開始時刻において、蓄電池201の容量が施設外使用電力量を下回らなくなる。また、(3)の条件により、蓄電池201の容量が、蓄電池201の容量の許容下限値未満となることを防ぐことができる。
【0038】
そして、ステップS8またはステップS9で必要充電量算出部109が必要充電量を算出すると、充放電制御部110は、安価期間の間に蓄電池201に対して必要充電量の充電を行う(ステップS10)。
【0039】
ここで、具体的な例を用いて電力管理装置100による充電動作の例について説明する。
図4は、電力管理装置100による充電動作の例を示す図である。
図4に示す例では、蓄電池201の容量の許容上限値から最大ピーク容量を減じた電力量が、充電電力量として用いることができる最大の電力量となる。また、蓄電池201の容量の許容下限値から最小ピーク容量を減じた電力量が、充電電力量として用いることができる最小の電力量となる。このとき、充放電制御部110が最小の充電電力量から最大の充電電力量までの電力量で蓄電池201の充電をすることで、
図4に示すとおり、最大ピーク容量は許容上限値を超えず、かつ最小ピーク容量は許容下限値未満とならない。
【0040】
次に、電力管理装置100の高価期間の動作について説明する。
図5は、本発明の第1の実施形態による電力管理装置100の高価期間の動作を示すフローチャートである。
高価期間において、電力管理装置100の充放電制御部110は、自然エネルギー発電装置300の現在の発電電力と、負荷装置400の現在の消費電力とを比較する(ステップS11)。充放電制御部110は、発電電力が消費電力より大きいと判定した場合(ステップS11:YES)、容量監視部111から蓄電池201の容量を取得し、蓄電池201の容量が蓄電池201の許容上限値に達しているか否かを判定する(ステップS12)。蓄電池201の容量が許容上限値に達している場合(ステップS12:YES)、蓄電池201の動作モードを、充放電を行わないスタンバイモードに切り替える(ステップS13)。他方、蓄電池201の容量が許容上限値に達していない場合(ステップS12:NO)、蓄電池201の動作モードを、充放電を行う通常モードに切り替える(ステップS14)。
【0041】
充放電制御部110は、ステップS11において、発電電力が消費電力以下であると判定した場合(ステップS11:NO)、施設外使用予測部102から施設外使用開始時刻を取得し、高価期間内であって現在時刻以降に車両200の使用予定があるか否かを判定する(ステップS15)。充放電制御部110は、現在時刻以降に車両200の使用予定があると判定した場合(ステップS15:YES)、施設外使用予測部102から施設外使用開始電力量を取得し、蓄電池201の容量が、蓄電池201の容量の許容下限値に施設外使用電力量を加算した値以下であるか否かを判定する(ステップS16)。
【0042】
充放電制御部110は、蓄電池201の容量が、許容下限値に施設外使用電力量を加算した値以下であると判定した場合(ステップS16:YES)、蓄電池201の動作モードを、充放電を行わないスタンバイモードに切り替える(ステップS13)。他方、充放電制御部110は、蓄電池201の容量が、許容下限値に施設外使用電力量を加算した値より大きいと判定した場合(ステップS16:NO)、蓄電池201の動作モードを、充放電を行う通常モードに切り替える(ステップS14)。これにより、電力管理装置100は、車両200を使用するときに走行に要する電力量を蓄電池201に残すよう制御することができる。
【0043】
ステップS15において充放電制御部110は、現在時刻以降に車両200の使用予定があると判定した場合(ステップS15:YES)、蓄電池201の容量が、蓄電池201の容量の許容下限値以下であるか否かを判定する(ステップS17)。
【0044】
充放電制御部110は、蓄電池201の容量が、許容下限値以下であると判定した場合(ステップS17:YES)、蓄電池201の動作モードを、充放電を行う通常モードに切り替える(ステップS14)。他方、充放電制御部110は、蓄電池201の容量が、許容下限値より大きいと判定した場合(ステップS17:YES)、蓄電池201の動作モードを、充放電を行わないスタンバイモードに切り替える(ステップS13)。
【0045】
充放電制御部110は、ステップS13またはステップS14により、蓄電池201の動作モードを切り替えると、高価期間が終了しているか否かを判定する(ステップS18)。充放電制御部110は、高価期間が終了していないと判定した場合(ステップS18:NO)、ステップS11に戻り、蓄電池201の動作モードの判定を繰り返し実行する。他方、充放電制御部110は、高価期間が終了したと判定した場合(ステップS18:YES)、処理を終了する。
【0046】
ここで、具体的な例を用いて電力管理装置100による充電動作の例について説明する。
図6は、電力管理装置100による放電動作の例を示す図である。
図6に示す例では、発電電力が消費電力を上回っている間、すなわち最大ピーク時刻までの期間、及びその後に発電電力が消費電力を下回ってから蓄電池201の容量が施設外使用電力量に達するまで(期間(A))は、ステップS14により、蓄電池201が放電する電力により負荷装置400を稼働させる。
【0047】
次に、蓄電池201の容量が施設外使用電力量に達してから、車両200が使用されるまで(期間(B))は、ステップS13により、蓄電池201の充放電を停止し、外部供給電力により負荷装置400を稼働させる。なお、本実施形態では、
図6(B)に示すとおり、蓄電池201の放電停止時に、自然エネルギー発電装置300の発電電力を負荷装置400の稼働に充てるが、これに限られず、例えば蓄電池201の放電停止時にも、自然エネルギー発電装置300の発電電力による蓄電池201の充電は継続されても良い。次に、車両200の使用時間中(期間(C))は、蓄電池201の電力は専ら車両200の走行に用いられる。
【0048】
次に、車両200の使用が終了してから、蓄電池201の容量が許容下限値に達するまで(期間(D))は、ステップS14により、蓄電池201が放電する電力により負荷装置400を稼働させる。そして、蓄電池201の容量が許容下限値に達した以降(期間(E))は、ステップS13により、蓄電池201の放電を停止し、外部供給電力により負荷装置400を稼働させる。
【0049】
上述した動作により電力管理装置100が蓄電池201の充放電を制御することで、
図6に示すとおり、車両200の使用時に、蓄電池201に車両200の走行に要する電力を残しておくことができる。また、蓄電池201の容量が許容上限値を超えることを防ぎ、かつ許容下限値未満となることを防ぐことができる。
【0050】
《第2の実施形態》
第1の実施形態では、車両200の使用目的が買い物などの高頻度不定期利用であるときに、施設外使用予定受付部101が、その使用時刻のみの入力を受け付ける場合について説明した。しかしながら、買い物に行く時刻は決まっていないことが多く、また買い物に行く頻度が高い場合、わざわざ毎回使用予定を入力することが面倒であることが考えられる。そこで、第2の実施形態による電力管理装置100は、施設外使用予定受付部101は、高頻度不定期利用についての使用予定の入力を省略する。
【0051】
これは、必要充電量算出部109が、上述したステップS9において、必要充電量算出部109が、以下の3つの条件を満たす電力量を、必要充電量とすることで実現される。3つの条件とは、(1)蓄電池201の容量の許容上限値から最大ピーク容量を減じた電力量以下であること、(2)差分電力量と施設外使用電力量と高頻度不定期利用の際に要する電力量(不定期利用電力量)とを加算した電力量から最大ピーク容量を減じた電力量以上であること、及び(3)許容下限値と高頻度不定期利用の際に要する電力量とを加算した値から最小ピーク容量を減じた電力量以上であること、である。これにより、高頻度不定期利用による車両200の使用予定の入力を予め受け付けなくても、常に高頻度不定期利用の際に要する電力量を蓄電池201に残しておくことができる。
【0052】
《第3の実施形態》
図7は、本発明の第3の実施形態による電力管理装置100を備える施設の構成を示す図である。
第3の実施形態による施設には、第1の実施形態による施設が備える構成に加え、さらにヒートポンプ給湯器600が設けられる。
第1の実施形態、第2の実施形態では、車両200が走行している間、自然エネルギー発電装置300の発電電力により、負荷装置400を稼働させる。このとき、自然エネルギー発電装置300の発電電力が負荷装置400の消費電力を上回る場合、余剰電力は電力系統に逆潮流されることにより、売電される。しかしながら、逆潮流により電力系統の電力が、電力系統の許容電力を超える場合、逆潮流する電力量に制限が掛かるため、車両200が走行している間の自然エネルギー発電装置300の発電電力は、無駄になってしまう。
【0053】
そこで、第3の実施形態による電力管理装置100は、車両200が走行している間、自然エネルギー発電装置300が発電する発電電力を用いてヒートポンプ給湯器600を稼働させるヒートポンプ制御部(図示せず)を備える。これにより、車両200の走行中で蓄電池201が使用できないときの自然エネルギー発電装置300の発電電力の無駄を削減することができる。
【0054】
以上、図面を参照してこの発明のいくつかの実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、上述した実施形態では、蓄電池201が車両200に搭載され、車両200の走行のための電力供給に用いられる場合について説明したが、これに限られず、施設外において他の用途に用いられるものであっても良い。
【0055】
例えば、本実施形態では、蓄電池201の最大ピーク容量が蓄電池201の容量の許容上限値と等しくなるように、安価期間に蓄電池201の充電を行うよう制御する場合について説明したが、これに限られない。例えば、蓄電池201の最大ピーク容量と蓄電池201の容量の許容上限値との差分ΔSOC1と、蓄電池201の最小ピーク容量と蓄電池201の容量の許容下限値との差分ΔSOC2とが等しくなるように、安価期間に蓄電池201の充電を行うよう制御しても良い。また、蓄電池201の充電量オーバによる自然エネルギー発電電力を破棄することの損失と、蓄電池201の充電量不足による電力購入による損失とを評価関数で表し、その損失が最小となるように、安価期間に蓄電池201の充電を行うよう制御しても良い。
【0056】
上述の電力管理装置100は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0057】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。