特許第6053320号(P6053320)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6053320電力系統設備を対象にする訓練シミュレータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6053320
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】電力系統設備を対象にする訓練シミュレータ
(51)【国際特許分類】
   G09B 9/00 20060101AFI20161219BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20161219BHJP
   G06Q 50/00 20120101ALI20161219BHJP
   G06Q 50/20 20120101ALI20161219BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   G09B9/00 B
   H02J3/00
   G06Q50/00
   G06Q50/20
   G05B23/02 H
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-112035(P2012-112035)
(22)【出願日】2012年5月16日
(65)【公開番号】特開2013-238749(P2013-238749A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2014年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073759
【弁理士】
【氏名又は名称】大岩 増雄
(74)【代理人】
【識別番号】100088199
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 岑生
(74)【代理人】
【識別番号】100094916
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 啓吾
(74)【代理人】
【識別番号】100127672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 憲治
(72)【発明者】
【氏名】寺脇 充
【審査官】 宇佐田 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−015861(JP,A)
【文献】 特開2004−129401(JP,A)
【文献】 特開平09−050230(JP,A)
【文献】 特開昭59−091476(JP,A)
【文献】 特開平11−312011(JP,A)
【文献】 特開平09−114358(JP,A)
【文献】 特開平06−043801(JP,A)
【文献】 特開平07−253750(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 9/00
G05B 23/02
G06Q 50/00
G06Q 50/20
H02J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統設備を対象にした事故シナリオ、およびこの事故シナリオに対応する初期の系統状態が複数保存されている系統状態データベースと、
入力装置に対する操作履歴が操作順序に対応する操作履歴カウントと関連付けて記録される操作履歴データベースと、
前記初期の系統状態と保存命令が入力された時の系統状態との差分から構成される系統ケースが系統ケースの番号と関連付けて記録される系統ケースデータベースと、
前記系統状態データベースと前記操作履歴データベースと前記系統ケースデータベースから前記事故シナリオと前記初期の系統状態と前記操作履歴と前記系統ケースをそれぞれ読み出して訓練事故を表示および再現する訓練卓を備え、
前記訓練卓は、訓練中に保存命令が入力されると、前記系統ケースを作成し、この作成された系統ケースを系統ケースの番号と関連付けて前記系統ケースデータベースに保存することを特徴とする電力系統設備を対象にする訓練シミュレータ。
【請求項2】
前記訓練卓は、訓練中に系統ケースの番号操作履歴カウントが入力されると、前記系統ケースデータベースに保存されているこの入力された系統ケースの番号に対応した系統ケースと前記操作履歴データベースに記録されているこの入力された操作履歴カウントに対応した操作履歴とを読み出し事故シナリオを、この読み出した系統ケースを反映させて、前記操作履歴カウントに対応する操作場面から再現することを特徴とする請求項1に記載の電力系統設備を対象にする訓練シミュレータ。
【請求項3】
前記訓練卓は、訓練中に一時停止の命令が入力されると、事故シナリオを選択する画面に戻ることを特徴とする請求項2に記載の電力系統設備を対象にする訓練シミュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、訓練シミュレータに関するもので、特に訓練再現機能を備えた電力系統設備を対象にする訓練シミュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
電力系統向け監視制御システムの運用技術向上のため、訓練シミュレータを用いて運転員を訓練することが実施されている。訓練には実運用に用いられている電力系統のデータベースを使用し、実運用に近い訓練が可能となってきている。訓練システムとしては、実運用中の監視制御システムに機能の一部として実装される併設型の訓練シミュレータと訓練専用システムとして研修施設に設置される独立型の訓練シミュレータがある。
【0003】
訓練は大別して、訓練準備、訓練実行、訓練評価の3段階に分けられる。訓練システムはこれに対応して、訓練準備モード、訓練実行モード、訓練評価モードといった異なるモードを備えている。訓練準備においては、訓練実行開始時の初期の電力系統における電力設備の負荷値や電力設備の状態等の各種設定を行う。
【0004】
近年では、実系統のオンライン情報を訓練用の系統情報として保存する機能も提案されている。訓練実行中に発生させる事故シナリオの作成も訓練準備にて行う。訓練実行においては、トレーナ(指導員)は、設定した系統状態にて作成した事故シナリオを任意のタイミングで発生させる。トレーニ(訓練者)は、発生した事故に対して電力系統の復旧操作を実施し、事故対応の訓練を受ける。訓練評価においては、訓練実行中のトレーニの事故対応について、トレーナによる評価と指導が行われる。
【0005】
評価支援を目的として、操作履歴の保存機能の実装や、訓練状況のビデオ撮影も行われている。ビデオ映像の活用は訓練過程を評価することを目的として実施されているが、操作履歴と関連付けがされていないこと、画面操作などの詳細な訓練状況が把握できないことなどが課題に残されている。
【0006】
トレーニの操作手順が正しいかどうか評価することを目的に、事故復旧操作手順を保存する機構を実装している訓練シミュレータが知られている(例えば特許文献1と特許文献3)。しかしながら、操作手順だけではその際の操作画面やトレーニの行動を知ることができず、どのような状況にて操作を誤ったのかを把握することは難しい。
【0007】
復旧操作に関しては同一の事故に対しても復旧方法は幾通りものパターンがある。現状では訓練終了後に訓練実行途中の状態から再開することはできないため、複数パターンの復旧操作を効率よく訓練することはできない。実際に起こった事故発生時における系統設備の設備情報を保存し、その保存データから設備情報を再現することにより、実際の事故発生時の系統状態に基づく訓練が行うことはできる(例えば特許文献2)。しかしながら、訓練実行中の系統状態を保存することは想定されておらず、訓練実行中において復旧操作に誤りがあった場合、訓練実行途中から訓練を再開することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−15861号公報
【特許文献2】特開2000−112515号公報
【特許文献3】特開2000−175357号公報
【特許文献4】特開2011−107455号公報
【特許文献5】特開平7−84513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、トレーニおよびトレーナの訓練実行中におけるマウス操作、キーボード入力および卓釦操作を操作履歴として保存し、訓練実行中におけるシステム全体の挙動を再現することができる仕組みを提供することを目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかる電力系統設備を対象にする訓練シミュレータは、電力系統設備を対象にした事故シナリオ、およびこの事故シナリオに対応する初期の系統状態が複数保存されている系統状態データベースと、入力装置に対する操作履歴が操作順序に対応する操作履歴カウントと関連付けて記録される操作履歴データベースと、初期の系統状態と保存命令が入力された時の系統状態との差分から構成される系統ケースが系統ケースの番号と関連付けて記録される系統ケースデータベースと、系統状態データベースと操作履歴データベースと系統ケースデータベースから事故シナリオと初期の系統状態と操作履歴と系統ケースをそれぞれ読み出して訓練事故を表示および再現する訓練卓を備えている。訓練卓は、訓練中に保存命令が入力されると、系統ケースを作成し、この作成された系統ケースを系統ケースの番号と関連付けて系統ケースデータベースに保存する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、訓練実行中にトレーナが任意のタイミングで電力設備の負荷値や電力設備の状態を保存および反映できる機能を有するため、訓練実行途中から訓練を再開することができる仕組みが提供される。操作履歴保存と再現機能とを組み合わせることにより、任意のタイミングからの訓練状況の再現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】訓練シミュレータの構成図である。
図2】系統設備の設定値を表す図である。
図3】訓練の流れを表す図である。
図4】操作記録処理を実施するためのフローチャートを表す図である。
図5】操作記録の一例を表す図である。
図6】操作再現処理を実施するためのフローチャートを表す図である。
図7】系統情報保存操作を実施するためのフローチャートを表す図である。
図8】系統状態再現操作を実施するためのフローチャートを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明にかかる訓練シミュレータの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の既述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0014】
実施の形態.
図1は、この発明を実施するために使用する訓練シミュレータの構成図である。訓練シミュレータ100は、系統状態データベース1、系統ケースデータベース2、操作履歴データベース3および訓練卓10を備えている。訓練卓10はトレーニの人数分そろえられている。トレーニは各自に割り振られた訓練卓10に座って訓練を受ける。訓練卓10のモニタからは、メインメニュー、訓練実行モード、訓練評価モード、訓練再現モードなどの各種モードを選定することが出来る。系統状態データベース1には事故シナリオ(訓練事故1〜訓練事故N)が保存されている。訓練の準備段階において、訓練実行開始時の初
期の電力系統における電力設備(例えば、発電機、サーキットブレーカ、負荷)の負荷値や電力設備の状態等の各種設定が行われる。図2に示されるような、訓練開始時には系統設備の設定値などは、系統状態データベース1に保存される。
【0015】
訓練卓10は、系統状態データベース1、系統ケースデータベース2、操作履歴データベース3を管理するCPU(Central Processing Unit)を備えている。トレーニが訓練
卓10の操作画面を通じて訓練処理を実行すると、訓練シミュレータ100は、訓練実行中の入力装置に対する操作内容を操作履歴として操作履歴データベース3に随時保存する。訓練卓10は入力装置としてマウス、キーボード、卓釦(ボタン)を備えている。卓釦にはモニタに表示されたボタンも含むものとする。操作履歴データベース3は操作履歴1〜操作履歴MまでのMケースを保存することが可能である。ここで、操作記録処理の開始から終了までを1ケースとする。操作再現処理ではトレーナが再現させたい操作履歴を選択し実行することにより、操作履歴データベース3を参照しながら自動操作により操作履歴が再現される。
【0016】
トレーナが訓練卓10の操作画面を通じて系統情報保存操作を実行すると、訓練シミュレータ100は、処理実行時に系統状態データベース1から訓練で使用中の系統情報を系統ケースデータベース2に保存する(図7参照)。保存にあたり、訓練開始時の系統状態と処理実行時の系統状態との差分を抽出し、この差分を保存するようにしている。系統ケースデータベース2は系統ケース1〜系統ケースNまでのNケースを保存することが可能である。系統情報再現操作では、選択した系統ケースを系統ケースデータベース2から訓練で使用中の系統状態データベース1にコピーし、データに反映させる(図8参照)。
【0017】
図3は、訓練の流れを表している。訓練が開始されると、トレーナは訓練事故1から訓
練事故Nの中から任意の訓練事故nを選択する。選択された訓練事故nに対して、訓練卓に系統イメージが表示される。トレーニは表示された訓練事故nの系統イメージに対して訓練復旧を行う。復旧操作には、マウス、キーボード、卓釦を使った操作が含まれる。これらの操作履歴は操作履歴データベース3に訓練の実行中、常時、保存される(図4参照)。トレーナは事故の再現が必要と感じる状況が発生した場合、ボタンを押して訓練時の系統状態を記録する。この場合、必要な部分のみ記録するので、メモリが少なくて済む。復旧操作が完了してから或いは復旧操作を進める途中で、復旧操作を再現したい状況が生じた場合、系統情報再現操作を選択する(図6参照)。系統情報再現操作を選択する必要がなくなれば訓練は終了する。
【0018】
訓練シミュレータ100は、訓練実行中に、任意のタイミングにて系統状態を保存する。訓練中に記録したケースから随時新たに訓練を開始することができる。指定したケースから操作履歴再現中に一時停止し、そこから新たに訓練を進めることもできる。保存したタイミングから再度訓練を実施することにより、事故系統復旧操作を試行することができるため、訓練効果の向上が期待できる。また、操作履歴保存機能と操作履歴再現機能により実施した系統運用操作の再現が可能であり、トレーニ自身が実施した操作を第三者の視点から把握することやトレーナが訓練過程を評価するのに利用することもできる。
【0019】
図4は操作記録処理の動作を示すフローチャートである。操作記録処理は全ての訓練卓において同期した状態にて行われる。操作記録処理は訓練実行中のみ操作内容の全ての記録を実施する。まず訓練が開始すると、操作内容の実行順番を示す操作履歴カウントの初期値を設定し、操作待ち状態に遷移する。操作履歴として記録する操作内容は、トレーナおよびトレーニによるマウス操作、キーボード入力、卓釦(ボタン)操作を対象とする。マウス操作があった場合は、画面上のカーソルの位置、操作内容としてクリックまたはクリックリリース状態を保存する。キーボード入力があった場合は入力キーに割当てられた固有番号、卓釦操作があった場合は卓釦に割当てられた固有番号を保存する。次に系統情
報再現機能との連係のために操作時刻を保存する。そして、操作履歴カウントの値を保存し、操作待ち状態に遷移する。訓練が終了した場合、操作記録処理も終了する。図5にこのとき作成される操作記録の一例を示す。操作記録は操作記録データベース3に保存される。
【0020】
図6は操作再現処理の動作を示すフローチャートである。操作再現処理は全ての訓練卓において同期した状態にて自動操作を実行する。操作再現処理は訓練実行中のみ操作履歴の再現を実施する。まず再現操作を希望する系統ケースの番号を指定し、操作内容の実行順番を示す操作履歴カウントの初期値を設定する。操作履歴が再現されるごとにカウントの値は加算される。特定の卓釦を一時停止用に設定することにより、操作再現処理の一時停止操作を受け付ける。訓練シミュレータ100は、設定した操作履歴カウントに対応する操作履歴の操作内容を操作履歴データベース3から読み出し、操作内容の再現を実行する。ワンカウント分の操作が再現されると操作履歴カウントの値を加算し、次の操作履歴の実行に遷移する。操作の一時停止を受け付けるとメインメニューに戻る。メインメニューに戻ると、新たに事故1から事故Nを選択することが出来る。特定の卓釦を終了用に設
定することにより、操作再現処理の終了操作を受け付ける。カウンタが最終値になった場合、或いは停止釦が押された場合、再現処理は終了する。
【0021】
図7は系統情報保存操作の動作を示すフローチャートである。系統情報保存操作は訓練実行中に、トレーナが保存ボタンを押すと開始する。系統情報保存操作が開始すると現状の系統状態を新規系統ケースとして系統ケースデータベース2に保存する。系統情報の保存の際には、その時点における操作履歴カウントの値を併せて保存する。これにより系統状態を再現した状態からの操作履歴の再現が可能となる。
【0022】
図8は系統情報再現操作の動作を示すフローチャートである。図8図6に示したフローチャートを実行するための前処理に相当する。系統情報再現操作は訓練実行中に実行可能である。再現したい系統ケースを選択し実行すると、選択した系統ケースが系統状態に反映される。系統ケースの選択画面では、ビデオ映像との連係を容易にするため、当該系統ケースの時刻情報の表示を行う。初期系統計算を実施した後、再現後の系統状態にて訓練可能となる。
【0023】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【符号の説明】
【0024】
系統状態データベース 1、系統ケースデータベース 2、操作履歴データベース 3、訓練卓 10、訓練シミュレータ 100
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8