(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6053326
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】リニアアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
E05F 15/635 20150101AFI20161219BHJP
【FI】
E05F15/635
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-116774(P2012-116774)
(22)【出願日】2012年5月22日
(65)【公開番号】特開2012-241516(P2012-241516A)
(43)【公開日】2012年12月10日
【審査請求日】2015年4月2日
(31)【優先権主張番号】PD2011A000162
(32)【優先日】2011年5月23日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512133764
【氏名又は名称】トップ・ソシエタ・ペル・アチオニ・ア・ソチオ・ユニコ
【氏名又は名称原語表記】TOPP S.P.A. A SOCIO UNICO
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【復代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【復代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(74)【代理人】
【識別番号】100084135
【弁理士】
【氏名又は名称】本庄 武男
(72)【発明者】
【氏名】トーニ・カヴァルカンテ
【審査官】
家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−194065(JP,A)
【文献】
特開平06−010562(JP,A)
【文献】
特開平11−343772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/00−17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライドドア用およびスライドドアと窓用のリニアアクチュエータ(10)であって、ドア(P)における2つの枠柱(S1,S2)の間に対応の固定手段によって固定される支持部材(11)と、前記支持部材(11)内に収納され固定され、往復動作される前記ドア(P)のドア板(A)に固定された被駆動ラック(14)と噛み合う駆動ギア(13)を回転するモータ駆動手段(12)と、を備え、
前記支持部材(11)は、一方の端が、金属ブラケット(30)とこれを枠柱と支持部材(11)の側部カバーに固定する対応のねじ要素によって枠柱(S1)に固定され、その他端が、前記被駆動ラック(14)上で摺動できるように連結されたスライダ(22)によって固定されている、
リニアアクチュエータ。
【請求項2】
前記駆動ギア(13)が、ウォームねじによって構成され、そのねじ溝(15)が前記被駆動ラック(14)の斜めの歯(16)と噛み合うように形成されてなる請求項1記載のリニアアクチュエータ。
【請求項3】
前記モータ駆動手段(12)が電動モータで構成され、中間伝達手段を介してあるいは介さずに前記電動モータの駆動シャフトが前記駆動ギア(13)を支持するシャフト(17)を駆動するものである請求項1記載のリニアアクチュエータ。
【請求項4】
前記支持部材(11)が、中央部材(20)に関して、少なくとも1個の側面部分(18)から抜き出すことができる、筒状で入り子式である請求項1記載のリニアアクチュエータ。
【請求項5】
前記被駆動ラック(14)が前記ドア板(A)に接着されるか、あるいはねじ結合によって固定されている請求項1記載のリニアアクチュエータ。
【請求項6】
前記被駆動ラック(14)が、長手方向側部(23、24)に前記スライダ(22)から突き出たスライドタブ(27および28)を収容する縦溝(25,26)を備えてなる請求項1に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項7】
前記スライダ(22)が、駆動ギア(13)の部分で前記支持部材(11)に固定されており、前記被駆動ラック(14)に前記駆動ギア(13)のねじ溝(15)を係合可能にする開口(29)を備えてなる請求項6に記載のリニアアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にドアあるいはスライドドアと窓を摺動させるための直動
(リニア)アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、ホームオートメーションおよび住空間の自動化の分野では、室内ドアの開閉用アクチュエータの使用が増加している。
しかしながら、スライドドアとして知られている摺動可能な可動ドアの自動化は、それらのスライドドアは通常手動で動くように設定されていると共に、ドア板の往復動作を自動化するための作動手段を、後発的に取り付けることが比較的複雑で不便であるので、今日まだ一般的ではない。
【0003】
そのような後発的な取り付けには、実際には、ドア板に固定される作動機構の部品やさらには作動手段を収容する箱状体を取り付けるドアの枠柱の取り外しが必要であり、作動手段については、切断して長さを調整した後で、前記ドアの上端部に設けられるように、アクチュエータ自体のための支持構造を構成する金属製の交差部材によって箱状体の内部に支持されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記箱状体および構造上の交差部材は、それら自体がコストを上昇させることに加えて、それらが適応されるドアの空間に従って長さを調整するために切断する必要があるという欠点を有する。
【0005】
更に、ドア板を駆動するための通常の直動アクチュエータは、歯付きベルトタイプであり、それ故、比較的複雑であり、組み立てに過度の時間がかかる。そのようなベルトアクチュエータは、ベルトが伝えることができる動力が一般的に限定されること、およびドアの駆動の安定性や継続性がないことによって、ドア板の駆動の精度について更に不利であり、特に重いドア板の場合に実用的でない。
【0006】
この発明の目的は、特にドアおよびスライドドアと窓を摺動させる直動アクチュエータの構造を提供することであり、比較可能な従来のスライドドア用直動アクチュエータの一般的な欠点を解消することができるスライドドア用直動アクチュエータを提供することである。
【0007】
そのために、この発明は、特に重いスライドドアであっても連続性と安定性に優れたドア板の往復動作を可能とする伝達力に優れた直動アクチュエータを提供することを目的とする。
【0008】
この発明は、使用されるいかなる開口幅についても容易に適用可能な直動アクチュエータを提供することを目的とする。
【0009】
さらにまたこの発明は、小型であり、かつ熟練のない作業者にも適応可能な直動アクチュエータを提供することを目的とする。
【0010】
さらにこの発明は、組み立て容易な直動アクチュエータを提供することを目的とする。
【0011】
この発明は更に、従来知られたシステムと技術を用いて作ることのできるドアおよびスライドドアと窓を摺動させる直動アクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
ここに更に明瞭となるこの発明の目的およびその他の形態は、特にスライドドア用およびスライドドアと窓用の直動アクチュエータ10であって、ドアPあるいはドアまたは窓枠における2つの枠柱S1,S2の間に対応の固定手段によって固定される支持部材11と、前記支持部材11内に収納され固定され、往復動作される前記ドアPのドア板Aに固定された被駆動ラック14と噛み合う駆動ギア13を回転するモータ駆動手段12と、を備えた直動アクチュエータによって達成される。
本発明の更なる特徴と有利な点は、これ以後の説明によって明瞭となるであろう。しかしながら、本発明の範囲は、以後の図面に示された実施例によって限定されるものではない。
【発明の効果】
【0013】
特に、この発明では、直動アクチュエータは、中央部材から入り子状に滑り出る横方向の部材が、この発明が摘要されるドアのどのような開口幅にも容易に適応するように創作されている。
さらに、この直動アクチュエータは、ギアを用いた伝動装置によって、重いドア板であっても、連続的に安定してドア板の往復動作させるように動力を伝達可能に構成されている。
さらに、この発明によれば、小型で、上述のように組み立てが簡単であるために専門的な熟練を受けていない者であっても利用できる直動アクチュエータが提供される。
さらにこの発明によれば、容易に組み立てることのできる直動アクチュエータが提供される。
さらにこの発明によって、高い場所でも低い場所でも、あるいはドア用の床や窓用の壁部におけるくぼんだ場所でもドア板および窓ブラインドに適用できる直動アクチュエータが提供される。
最後にこの発明によれば、特にスライドドアのための直動アクチュエータは、公知のシステムおよび技術を用いて製造できるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】スライドドアに適用されたこの発明のアクチュエータの透視図。
【
図2】この発明にかかるアクチュエータを正面から見た断面図。
【
図3】
図2に示されたこの発明にかかるアクチュエータを正面から見た細部の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
これらの図において、この発明にかかるドアあるいはスライドドアと窓を摺動させるための直動アクチュエータは、その全体が符号10で示される。
直動アクチュエータ10は、ドアPまたはドアあるいは窓の枠における枠柱S1とS2の間に、以下によりよく記載される対応する固定手段によって固定される支持部材11を備えている。
【0016】
前記支持部材11上には、被駆動ラック14と噛み合う駆動ギア13を回転させるように固定されたモータ駆動手段12が収納されている。被駆動ラック14は、往復移動する前記ドアPのドア板Aに固定されている。
前記駆動ギア13は、無端
(ウォーム)ねじで構成され、そのねじ溝15は、前記被駆動ラック14の斜めの歯16と噛み合うように形成されている。
前記モータ駆動手段12は、電動モータで構成され、その駆動軸は、中間伝達手段介してあるいは介することなく、無端ねじ、即ち前記駆動ギア13を支持するシャフト17を駆動する。
【0017】
簡略化のため図示されておらず、また良く知られた形式からなる前記中間伝達手段は、歯車列あるいはベルト、更にはそれらに類似か均等な手段によって提供される。
前記支持部材11は、実質的に筒状である。
有利には、支持部材11は、中央部材20に関して、対向側面部分18と19を抜き出し可能に、入れ子式に構成されている。
【0018】
前記支持部材11の伸縮性によって、異なる幅の通過開口を持つドアに適用可能である。
前記支持部材11は、その一端が、金属ブラケット30とこれを枠柱と支持部材11の側部カバー21に固定する対応のねじ要素(部材)によって枠柱S1に固定され、その他端が、
図5に明らかなように前記ラック14上で摺動できるように連結されたスライダ22によって固定されている。
【0019】
前記ラック14は、前記ドア板Aに接着されるか、あるいは簡素化のために図示されていないねじ結合によって、前記ドア板Aに固定されている。
前記ラック14は、長手方向の側部23および24に、スライダ22から突き出た係合スライドタブ27および28を収容する縦溝25および26をそれぞれ備えている。
スライダ22は、駆動ギア13の部分で支持部材に固定されており、ラック14と駆動ギア13との噛み合いを可能とする開口29を備えている。
【0020】
前記スライダ22の前記支持部材11への固定は、例えば、ねじ31および32によって達成される。2つのねじの頭部が、
図5に示されている。
【0021】
この発明における前記直動アクチュエータ10の動作は次の通りである。
前記被駆動ラック14が前記ドア枠Aに固定され、測定のために長さ調整された前記支持部材11がその一端において枠柱S1に連結され、さらに前記スライダ22が他端側において前記ラック14上に挿入されると、前記駆動ギア13が前記ラック14と連結され、前記アクチュエータが使用できるようになる。
前記電動モータは主経路からの電力あるいはバッテリーによって駆動される。
前記無端ねじの回転によって前記ラック14およびそれと共に前記ドア板Aの往復動作が行われる。
【0022】
前記無端ねじのねじ溝と前記ラック14の歯との正確な噛み合わせは、前記縦方向の溝25および26上における前記スライダ22の接合によって保証される。
実際には、この発明は、発明の目的と課題の解決に向けて十分に実行される。
【0023】
このように創作された本発明は、特許請求の範囲内で種々の変形と改変が可能である。また、この発明の細部については、その他の技術的に等価な要素によって代用可能である。採用された材料を実行するに当たって、あるいは次元や形状を条件として、種々の求めや技術状態に応じることになろう。
【産業上の利用可能性】
【0024】
この発明によって、高い場所でも低い場所でも、あるいはドア用の床や窓用の壁部におけるくぼんだ場所でもドア板および窓ブラインドに適用できる直動アクチュエータが提供される。
【符号の説明】
【0025】
10…直動アクチュエータ
11…支持部材
12…モータ駆動手段
13…駆動ギア
14…被駆動ラック
15…ねじ溝
16…斜めの歯
17…シャフト
18…側面部分
20…中央部材
22…スライダ
23、24…長手方向側部
25,26…縦溝
27、28…スライドタブ
29…開口
30…金属ブラケット
A…ドア板
P…ドア
S1,S2…枠柱