特許第6053359号(P6053359)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6053359
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】乳化組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/64 20060101AFI20161219BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20161219BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20161219BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20161219BHJP
   B01J 13/00 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   A61K8/64
   A61K8/06
   A61K8/31
   A61Q19/00
   B01J13/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-149387(P2012-149387)
(22)【出願日】2012年7月3日
(65)【公開番号】特開2014-9223(P2014-9223A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2015年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】早瀬 基
【審査官】 小出 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−176211(JP,A)
【文献】 特開2004−149446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
B01J13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)(A)サーファクチン又はその塩、及び(B)水を、(A)成分と(B)成分の質量比((A)/(B))を0.4以上1.4以下の範囲で混合してゲル組成物を調製する工程、
(2)前記ゲル組成物に(C)油剤を乳化組成物中に0.01〜6質量%となるように添加して混合する工程、及び
(3)さらに(D)水性成分を加えて希釈して均一に混合する工程、
を含んでなる乳化組成物の製造方法。
【請求項2】
工程(1)において、成分(A)及び成分(B)の混合温度が、15℃以上50℃以下である請求項1に記載の乳化組成物の製造方法。
【請求項3】
乳化組成物における(A)成分以外の界面活性剤の含有量が0.1質量%以下である請求項1又は2に記載の乳化組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオサーファクタントを用いた乳化組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年サスティナビリティや環境への配慮から、その構造中に石油由来成分を含まず、生分解性の高い微生物が産生する界面活性剤、いわゆるバイオサーファクタントの皮膚外用剤への利用が検討されている。
【0003】
皮膚外用剤に用いられるバイオサーファクタントとしては、サーファクチン塩、マンノシルエリスリトールリピッド、ソホロリピッドなどが知られており、特にサーファクチンは、医薬部外品としての配合認可もあり、皮膚外用剤基剤として非常に期待されているバイオサーファクタントの一つである。
【0004】
サーファクチンは東京大学の有馬らにより命名され、垣内らにより構造決定された枯草菌(Bucillus subtilis)培養液由来の物質で、環状ペプチドを親水部として持ち、アルキル側鎖を疎水部として持つリポペプチドである。環状ペプチド中のアスパラギン酸、グルタミン酸に遊離カルボキシル基があり、そのナトリウム塩はアニオン性界面活性剤としての機能を有する。高い界面活性剤としての能力のみならずアクネ菌の生育阻害などの生理作用も持つことが報告されている(非特許文献1参照)。
【0005】
近年では、皮膚外用剤への応用が進み、例えば、サーファクチン塩とカルボキシビニルポリマー及び/又はアルキル変性カルボキシビニルポリマーを併用した保存安定性に優れた皮膚外用剤(特許文献1参照)や、サーファクチン塩とグリセリンモノ脂肪酸エステルなどを併用した保存安定性に優れた乳液状皮膚外用剤(特許文献2〜4参照)や、界面活性剤としてサーファクチン塩のみを用いた高内相O/W乳化物が提案されている(非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003− 95853号公報
【特許文献2】特開2003−146827号公報
【特許文献3】特開2003−277220号公報
【特許文献4】特開2003−277250号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】日本農芸化学会2012年大会講演要旨
【非特許文献2】日本香粧品学会第28回講演要旨P57
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、サーファクチン又はその塩は、油剤には溶解せずに水に溶解しやすい特性を有しているため、サーファクチン又はその塩単独では乳化状態を形成しづらいという問題があった。また、非特許文献2には、界面活性剤としてサーファクチン塩のみを用いて高内相O/W乳化物を調製した報告があるが、これはきわめて油性感の強い製剤であって、その用途が限定されていた。
従って、本発明の課題は、サーファクチン塩を用い、使用感が良好で、安定な乳化組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本発明者は、サーファクチン又はその塩の物性に関して種々検討した結果、全く意外にも特定比率のサーファクチン又はその塩と水からなるゲル組成物を調製し、前記ゲル組成物に油剤を添加し、その後、水で希釈することで安定な乳化組成物が得られること、さらにこの乳化組成物は塗布時の感触が良好でかつ安定性にも優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、(1)(A)サーファクチン又はその塩、及び(B)水を、(A)成分と(B)成分の質量比((A)/(B))を0.4以上1.4以下の範囲で混合してゲル組成物を調製する工程、
(2)前記ゲル組成物に(C)油剤を添加して混合する工程、及び
(3)さらに(D)水性成分を加えて希釈して混合する工程、
を含んでなる方法によって製造される乳化組成物を提供するものである。
また、本発明は、(1)(A)サーファクチン又はその塩、及び(B)水を、(A)成分と(B)成分の質量比((A)/(B))を0.4以上1.4以下の範囲で混合してゲル組成物を調製する工程、
(2)前記ゲル組成物に(C)油剤を添加して混合する工程、及び
(3)さらに(D)水性成分を加えて希釈して混合する工程、
を含んでなる乳化組成物の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の乳化組成物は、使用感(伸びの良さ、さっぱり感)に優れ、安定に優れたものであり、化粧品、医薬品などの用途に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の乳化組成物は、(1)(A)サーファクチン又はその塩、及び(B)水を、(A)成分と(B)成分の質量比((A)/(B))を0.4以上1.4以下の範囲で混合してゲル組成物を調製する工程、(2)前記ゲル組成物に(C)油剤を添加して混合する工程、及び(3)さらに(D)水性成分を加えて希釈して均一に混合する工程、
を含んでなる方法によって製造される。
【0013】
本発明の工程(1)で用いられる(A)サーファクチン又はその塩は、公知の物質であり、バチルスズブチリス(Bacillus subtilis)IAM 1213株、IAM 1069株、IAM 1259株、IAM 1260株、IFO 3035株、ATCC 21332株等のバチルス属微生物により生産される天然系の界面活性剤である。サーファクチン塩としては、サーファクチン構成単位であるアミノ酸由来のカルボキシル基の金属塩(ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩等)や有機アンモニウム塩(トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、トリブチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、リジン塩、アルギニン塩、コリン塩等)等が挙げられる。
これらのうち、市場での入手のし易さの点から、サーファクチンナトリウム(商品名:カネカ・サーファクチン;カネカ社製)を使用することが好ましい。
【0014】
本発明の乳化組成物中における(A)成分の含有量は、良好な乳化状態を得る点から、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましい。具体的には、0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜8質量%がより好ましい。
【0015】
(A)成分と(B)成分とからなる前記ゲル組成物を形成する際に、保水性、油剤の乳化しやすさの点から、(A)成分と(B)成分の質量比((A)/(B))を0.4以上1.4以下の範囲で混合することが必要であり、0.65以上1.3以下とするのが好ましい。
【0016】
(A)成分と(B)成分の混合手段は、(A)成分及び(B)成分が均一に混合でき、これら2成分によりゲル組成物が形成される手段であればよく、例えばプロペラ、ディスパー、ホモミキサーなどを用いて行なわれる。混合温度は、15℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましく、50℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましい。
ここで本発明のゲル組成物が調製されたことは、偏光顕微鏡によるゲル組成物の観察で、偏光像が見られるようになる点から確認できる。なお、(A)成分と(B)成分の質量比((A)/(B))が前記範囲以外では、偏光像は確認できなかった。
【0017】
本発明の工程(2)に用いられる(C)油剤としては、例えばオリーブ油、マカデミアナッツ油、メドフォーム油、ヒマシ油、紅花油、ヒマワリ油、アボカド油、キャノーラ油、キョウニン油、米胚芽油、米糠油、ホホバ油、アルガン油、バオバブ油などの植物油やトリイソステアリン酸グリセリド、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリド、トリステアリン酸グリセリド、トリベヘン酸グリセリド、トリ(カプリル・カプリン)酸グリセリド、トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン)酸グリセリド、トリミリスチン酸グリセリド、トリイソパルミチン酸グリセリド、トリアセチルヒドロキシステアリン酸グリセリド、トリアセチルリシノール酸グリセリド、トリイソステアリン酸グリセリド、トリウンデカン酸グリセリド、トリヒドロキシステアリン酸グリセリド、トリオレイン酸グリセリド、トリ(カプリル・カプリン・イソステアリン・アジピン)酸グリセリド、トリ(カプリル・カプリン・ラウリン)酸グリセリド、トリ(カプリル・カプリン・リノール)酸グリセリド、トリカプリン酸グリセリド、トリ牛脂脂肪酸グリセリド、トリ(牛脂脂肪酸・ミンク油脂肪酸・タラ肝油脂肪酸)グリセリド、トリパルミチン酸グリセリド、トリ2−ヘプチルウンデカン酸グリセリド、トリ(ミンク油脂肪酸・パルミチン酸)グリセリド、トリヤシ油脂肪酸グリセリド、トリラウリン酸グリセリド、トリラノリン脂肪酸グリセリド、トリ(リシノレイン・カプロン・カプリル・カプリン)酸グリセリド、トリリノール酸グリセリド等の合成グリセリドなどのトリグリセリド;ジメチルポリシロキサン、環状シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン;軽質流動イソパラフィン、軽質流動パラフィン、重質流動イソパラフィン、重質流動パラフィン、ワセリン、オレフィンオリゴマー、スクワラン(オリーブスクワラン、米スクワラン、サメスクワランなど)、スクワレン、プリスタン、固形パラフィン、イソパラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;ミツロウ、モクロウ、カルナバロウ等のロウ類;ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸セチル、イソステアリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル等のエステル油;セタノール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコ―ル、ホホバアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、長鎖分岐脂肪族アルコール等の高級アルコール類;コレステロール、フィトステロール、分岐脂肪酸コレステロールエステル、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリルエステル等のステロール類及び誘導体;硬化油等の加工油類;ステアリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、パルミトオレイン酸、分岐脂肪酸、イソ型長鎖脂肪酸、アンテイソ型長鎖脂肪酸などの高級脂肪酸;ジカプリルエーテル等のエーテル;リモネン、水素添加ビサボロール等のテルペン類を用いることができる。
これらのうち、白度(白色度)の高さ、使用感(油性感のなさ、伸びの良さ)の点から、好ましくは液状の炭化水素、動粘度(25℃)が5〜300mm2/sのジメチルポリシロキサン及びメチルフェニルポリシロキサンから選ばれる1種以上であり、より好ましくは軽質流動イソパラフィン、軽質流動パラフィン、重質流動イソパラフィン、重質流動軽質流動イソパラフィン、軽質流動パラフィン、重質流動イソパラフィン、重質流動パラフィン、ワセリン、オレフィンオリゴマー、スクワラン(オリーブスクワラン、米スクワラン、サメスクワラン、酵母由来物質から半合成されたスクワランなど)、スクワレン、プリスタン、動粘度(25℃)が100〜300mm2/sのジメチルポリシロキサン及びメチルフェニルポリシロキサンから選ばれる1種以上であり、さらに好ましくはスクワラン及びメチルフェニルポリシロキサンを用いることができる。これらの油剤は1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0018】
ここで液状とは、1気圧下、25℃の環境下において流動性を有するものをいう。
【0019】
本発明で用いられる(C)油剤の乳化組成物中の含有量は、安定性、刺激性、感触の点から、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、6質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましい。具体的には、0.01〜6質量%が好ましく、0.05〜4質量%がより好ましい。
【0020】
前記ゲル組成物と(C)油剤の混合手段は、ゲル組成物と(C)油剤が均一に混合できる手段であればよく、例えばプロペラ、ディスパー、ホモミキサーなどを用いて行なわれる。混合温度は、15℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましく、50℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましい。
かかる工程(2)により乳化物が得られる。
【0021】
本発明の工程(3)で用いられる(D)水性成分としては、水、水溶性アルコール、フェノール類、水溶性高分子、水酸化物、植物、海藻又は菌体の抽出物等が挙げられる。
【0022】
水性成分の水溶性アルコールは、アルコール性水酸基を有する化合物であり、任意成分として配合することができる。好ましくは炭素数2〜8のアルコール及びフェノール類が挙げられる。エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール等が挙げられる。フェノール類としては、フェノール、クレゾール等が挙げられる。
【0023】
水性成分の水溶性高分子は、任意成分として配合することができ、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリルアミド、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、ヒアルロン酸及びそのアルカリ金属塩等が挙げられる。
【0024】
水性成分の水酸化物は任意成分として配合することができ、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物等が挙げられる。
【0025】
水性成分の植物、海藻又は菌体の抽出物は、例えばアーティチョーク、アイ、アルニカ、アロエ、アルテア、アシタバ、アセロラ、アンズ、アーモンド、アマチャ、アケビ、アニス、アボカド、インチンコウ、イラクサ、イチゴ、ウイキョウ、ウコン、ウチワサボテン、ウーロン茶、ウスベニアオイ、エイジツ、エチナシ、エンバク、エンメイソウ、エーデルワイス、オランダカラシ、オウバク、オウゴン、オウレン、オオバナサルスベリ、オトギリソウ、オレンジ、オクラ、オリーブ葉、オウサンヤク、カシス、カノコソウ、柿、火棘、カミツレ、カムカム、カロット、カワラヨモギ、カラスムギ、甘草、キュウカンバー、キョウニン、キウイ、キナ、キラヤ、キズタ、ギャバ茶、木苺、クララ、クマザサ、クワ、クルミ、グレープフルーツ、ゲンノショウコ、ゲンチアナ、ゲツトウ、コヒラタムブツ、ゴボウ、コンフリー、小麦胚芽、サクラ、サボンソウ、サルビア、サンザシ、サイシン、サイタイ、サンシシ、サンシュユ、シモツケソウ、ジュウヤク、シチヘンゲ、ショウブ、ショウガ、シコン、シソ、シラカバ、シャクヤク、ジオウ、シーカーサー、シモン、スギナ、スターフルーツ、ステビア、ゼニアオイ、センキュウ、セイヨウサンザシ、セイヨウキズタ、セイヨウナシ、セイヨウシロヤナギ、セージ、センブリ、ダイズ、ダイダイ、タイム、タチバナ、タチジャコウソウ、タマリンド、茶、チョウジ、チンピ、椿、ドクダミ、トウキ、トウニン、トウヒ、トマト、トウキセンカ、藤茶、トルメンチラ、トウモロコシ、ニーム、ニガハッカ、ニワトコ、ニンニク、ニンジン、ノバラ、パプアメース、ハイビスカス、パセリ、バナナ、バラ、ハトムギ、ハウチワマメ、ピーカンナッツ、ヒノキ、ヒソップ、ヒマラヤンラズベリー、ヒメフウロ、ビャクダン、ビルベリー、ビワ、プルーン、ブドウ、フサザキスイセン、フサフジウツギ、フトモモ、ペパーミント、ベニバナ、ヘチマ、ヘラオオバコ、ホワイトジェネピ、ホウノキ、菩提樹、ボタンボウフウ、ボタン、ホップ、ホホバ、マルメロ、マイカイカ、マロニエ、マツ、ミカン、ムクロジ、メリッサ、メマツヨイグサ、メグスリノキ、モモ、モミジ、モロヘイヤ、ヤグルマソウ、ユキノシタ、ユーカリ、ユリ、柚、ヨクイニン、ヨモギ、ラン、ライム、ラベンダーレタス、リンゴ、リュウキュウヨモギ、ルイボス、レンゲソウ、レモン、レモンバーム、ローズヒップ、ローズマリー、緑藻、紅藻、褐藻、ブクリョウ、シイタケ、クリタケ、サルノコシカケ、シロキクラゲ、レイシ、冬虫夏草、酵母、乳酸菌、根粒菌の全草、葉、茎、根、果実、種子、花、子実体、菌体から水、あるいはグリセリン、プロピレングリコール、エタノール、ブチレングリコール等の有機溶媒、或いはその混液、もしくはオリーブ油、マカデミアナッツ油などの油剤等で抽出された抽出物である。葉緑素も植物抽出物に該当する。また生乳、果汁、合成培地、半合成培地を用いた乳酸菌、酵母の培養液を菌体の除去の有無に関わらず用いることができる。
【0026】
その他、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で通常、医薬品、医薬部外品、化粧料等に使用されている他の任意の成分、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、防腐剤、保湿剤、アミノ酸誘導体、糖誘導体、香料、色剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、薬剤等の成分を前記(C)又は(D)中に適宜配合することができる。
【0027】
工程(3)において、前記ゲル組成物に(C)成分を添加して混合した混合物に対し、前記(D)水性成分の添加量は、最終的に求める乳化組成物の物性により、適宜変更することができる。水相((B)成分+(D)成分)の含有量は、分安定性、感触面の点から、乳成物総量に対して、94質量%以上が好ましく、98質量%以上がより好ましく、99.5質量%以下が好ましく、99質量%以下がより好ましい。具体的には、94〜99.5質量%が好ましく、98〜99質量%がより好ましい。
【0028】
工程(2)で得られた混合物と(D)水性成分との混合手段は、これらの成分が均一に混合できる条件であればよく、例えばプロペラ、ディスパー、ホモミキサーなどを用いて行なわれる。混合温度は、15℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましく、50℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましい。
【0029】
工程(1)〜(3)の混合操作は、特に高温や高圧を必要とせず、常温混合で、安定な乳化組成物が得られる。従って、過剰なエネルギーを使用せずに、地球環境にも優しい。
【0030】
本発明の乳化組成物は、サーファクチン又はその塩の安全性、生分解性などの優れた特性を活かすため、実質的に(A)成分以外の界面活性剤を含有しない化粧料であるのが好ましく、好ましくは乳化組成物中の(A)成分以外の界面活性剤の含有量は、0.1質量%以下であり、より好ましくは0.01質量%以下、さらに好ましくは0.001質量%である。
【0031】
本発明の乳化組成物の用途は任意であるが、化粧料、医薬品、医薬部外品等に好適に用いることができる。具体的には、シャンプー、リンス、コンディショナーなどの毛髪化粧料;洗顔料、クレンジング化粧料、ローション、乳液、美容クリーム、下地化粧料、日焼け止め化粧料、パック、マッサージ化粧料などの皮膚化粧料;各種薬剤を含有する軟膏、クリーム等の外用医薬品として好適に利用できる。特に、本発明の乳化組成物は、べたつき感やぬるつき感がないため、皮膚化粧料として好適に利用できる。
【0032】
本発明の乳化組成物の乳化型は、水中油型乳化型、油中水型乳化型、W/O/W型、O/W/O型など、特に限定されないが、ゲル組成物の高い保水性を十分に発揮させられる、水中油型乳化組成物とすることが好ましい。
【0033】
本発明の乳化組成物の剤形は任意であり、液状、クリーム状、ジェル状、スプレー状、ムース状等のものとして調製することができる。
【0034】
次に本発明の態様及び好ましい実施態様の例を挙げる。
【0035】
<1>(1)(A)サーファクチン又はその塩、及び(B)水を、(A)成分と(B)成分の質量比((A)/(B))を0.4以上1.4以下の範囲で混合してゲル組成物を調製する工程、
(2)前記ゲル組成物に(C)油剤を添加して混合する工程、及び
(3)さらに(D)水性成分を加えて希釈して混合する工程、
を含んでなる方法によって製造される乳化組成物。
<2>(1)(A)サーファクチン又はその塩、及び(B)水を、(A)成分と(B)成分の質量比((A)/(B))を0.4以上1.4以下の範囲で混合してゲル組成物を調製する工程、
(2)前記ゲル組成物に(C)油剤を添加して混合する工程、及び
(3)さらに(D)水性成分を加えて希釈して混合する工程、
を含んでなる乳化組成物の製造方法。
<3>(A)成分の含有量が、0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上であり、10質量%以下、好ましくは8質量%以下である<1>又は<2>の乳化組成物又はその製造方法。
<4>(A)成分と(B)成分の質量比((A)/(B))が、0.4以上1.4以下、好ましくは0.65以上1.3以下である<1>〜<3>の乳化組成物又はその製造方法。
<5>(C)成分が、植物油、トリグリセリド、シリコーン、炭化水素類、高級アルコール類、ステロール類、加工油類、高級脂肪酸、エーテル及びテルペン類から選ばれる1種又は2種以上であり、好ましくは少なくとも液状の炭化水素、動粘度(25℃)が0.5〜300mm2/sのジメチルポリシロキサン及びメチルフェニルポリシロキサンから選ばれる1種以上を含むものである<1>〜<4>の乳化組成物又はその製造方法。
<6>(C)油剤の含有量が、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上であり、6質量%以下、好ましくは4質量%以下である<1>〜<5>の乳化組成物又は製造方法。
<7>(D)水性成分が、水溶性アルコール及びフェノール類から選ばれる1種又は2種以上を含むものである<1>〜<6>の乳化組成物又はその製造方法。
<8>(D)成分の含有量が、1質量%以上、好ましくは2質量%以上であり、90質量%以下、好ましくは80質量%以下である<1>〜<7>の乳化組成物又はその製造方法。
<9>前記混合操作が、15℃以上、好ましくは20℃以上であり、50℃以下、好ましくは30℃以下で行なわれる<1>〜<8>の乳化組成物又はその製造方法。
<10>乳化組成物中の(A)成分以外の界面活性剤の含有量が、0.1質量%以下、好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.001質量%である<1>〜<9>の乳化組成物又はその製造方法。
【実施例】
【0036】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を詳細に説明するが、これらに限定されるものではない。まず、実施例及び比較例で用いた試験方法について下記に説明する。
【0037】
〔外観評価〕
調製後、ガラス瓶に試料を移し、目視にて外観観察を行った。
【0038】
〔官能評価〕
成人女性20名の評価パネラーに試料を使用してもらい、使用後に塗布中の重さ(伸びの良さ)、塗布後の油性感(さっぱり感)に関し、感触が良いと答えた人数で評価した。なお、外観評価により、沈殿を生じていたものについては官能評価を実施していない。
【0039】
実施例1〜4、比較例1〜4
表1に記載の組成で水中油型乳化組成物(美容液)を調製し、前記の各試験を実施した。
【0040】
【表1】
【0041】
(1)調製法〔実施例1〜4、比較例1〜3〕
1.成分(A)及び成分(B)を室温にて均一に混合攪拌する。
2.成分(C)を1に室温にて添加し、均一に混合攪拌する。
3.成分(D)を2に室温にて添加し、均一に混合攪拌する。
(2)調製法〔比較例4〕
1.成分(A’)及び成分(D)を室温にて均一に混合攪拌する。
2.成分(C)を1に室温にて添加し、均一に混合攪拌する。
【0042】
(2)特性
実施例及び比較例の製造直後の試験結果を表1に合わせて示す。表1に示すように、本発明の実施例は白濁した美容液を形成し、伸びのよさ、油性感のなさなど優れた使用感を示した。一方比較例は沈殿を形成してしまい、感触も悪いことが推測された。
【0043】
実施例5〜10
表2に記載の組成で水中油型乳化組成物(美容液)を調製し、前記の各試験を実施した。
【0044】
【表2】
【0045】
(1)調製法
1.成分(A)及び成分(B)を室温にて均一に混合攪拌する。
2.成分(C)を1に室温にて添加し、均一に混合攪拌する。
3.成分(D)を2に室温にて添加し、均一に混合攪拌する。
【0046】
(2)特性
各試験例の前記諸特性を試験した結果を表2に合わせて示す。表2に示すように、本発明の実施例は優れた使用感を示した。
【0047】
以下に本発明の処方例を示す。処方の調製方法は、実施例1、(1)調製法と同様である。いずれも本発明の効果を有し、優れた化粧料であった。
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】
【表6】
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の乳化組成物は、使用感(伸びの良さ、さっぱり感)に優れ、安定に優れたものであり、化粧品、医薬品などの用途に好適に用いることができる。