(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一対の第一案内部は前記本線軌道及び前記受渡走行路に凸状に設けられて、一対のタイヤが転動する走行路の幅方向内側の面によって構成されている請求項1又は2に記載の車両受渡装置。
前記第二案内部には、前記第二案内部の長手方向に沿って上方に向けて開口し、前記第二案内輪が上方から挿入される凹部が形成されている請求項7に記載の車両受渡装置。
前記一対の分岐案内部は、一方が前記第一の位置へ前記第二案内輪を案内可能とする第一分岐レールであり、他方が前記第二の位置へ前記第二案内輪を案内可能とする第二分岐レールである請求項11に記載の車両受渡装置。
前記第一分岐レール及び前記第二分岐レールには、これら第一分岐レール及び第二分岐レールの長手方向に沿って上方に開口し、前記第二案内輪が上方から挿入される凹部が形成されている請求項12に記載の車両受渡装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されている構造では、軌道上の幅方向両側で車両を案内するガイドレール自体を可動させて受渡走行路(分岐路)に車両を案内するため、ガイドレールの回動を行う機構が必要となるが、その詳細については開示されていない。そして、仮にこのような機構が採用された場合、ガイドレールを、軌道を跨るように回動させる必要があるため分岐機構が大掛かりな構造になる。さらに、車両の走行の妨げにならないためには、軌道上を跨る状態のガイドレールを軌道上で支持することは困難である。
【0008】
本発明は、車両の受渡走行路における複線軌道間の幅を削減し、幅方向占有範囲の抑制を可能としながら、簡易な構成を用いて車両の受け渡しが可能な車両受渡装置、及びこの車両受渡装置を備えた軌道系交通システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の態様に係る車両受渡装置は、車両に設けられた一対の第一案内輪を、前記第一案内輪それぞれの外側で案内する一対の第一案内部を有する二つの本線軌道と、前記二つの本線軌道の間に設けられて、車両が走行可能であるとともに、これら二つの本線軌道の間で車両を受け渡す受渡走行路と、前記受渡走行路の内部に設けられ、前記車両の下部に配された第二案内輪を案内する第二案内部と、前記本線軌道に設けられて前記本線軌道に沿う方向と前記受渡走行路に沿う方向とに前記車両の方向を転換可能な転換手段とを備え、前記転換手段は、前記第二案内部の端部に設けられ第一の端部及び第二の端部を有する分岐案内部と、前記第二の端部に接続され前記分岐案内部を前記第一の端部を中心に回転させる移動手段と、を備え、
前記移動手段は、前記分岐案内部を回転させるアクチュエータを有する転轍機であり、前記アクチュエータに対して前記車両から押し込み方向の力が作用した際に、該押し込み方向の力を前記第一案内部も受けるような位置に設けられている。
【0010】
このような車両受渡装置によれば、二つの本線軌道のうちの一方を走行する車両が受渡走行路に接近した際に、転換手段によって本線軌道の沿う方向又は受渡走行路に沿う方向のいずれか一方へ車両が案内される。本線軌道方向が選択された場合には、転換手段と、一対の第一案内部のうちの受渡走行路側と反対側の第一案内部とによって車両が案内されて、車両はそのまま本線軌道上を走行する。
また、受渡走行路方向が選択された場合には、転換手段と、一対の第一案内部のうちの受渡走行路側の第一案内部とによって、車両は受渡走行路方向へ案内され、第二案内部によって車両の第二案内輪が案内可能な状態となる。ここで、第二案内部は受渡走行路の内部、即ち、受渡走行路の幅方向内側に設置されており、またこの第二案内部に対応するように第二案内輪が車両の下部において車両の両側部の間に配置されている。このため、仮に受渡走行路内で、受渡走行路の両側部に案内する手段が二つ設けられた場合に、一方の案内する手段で案内された状態から、他方の案内手段で案内された状態への移行作業が不要であり、かつ車両が受渡走行路を走行中に非拘束状態となることもない。従って、二つの案内する手段同士のオーバーラップ区間を削減することが可能となる。
さらに、転換手段によって第二案内輪が第二案内部へ案内されることのみで、車両を受渡走行路へ誘導することができるため、車両受渡装置全体の構成を簡易な構成とすることができる。
【0011】
また、本発明の第二の態様に係る車両受渡装置においては、前記二つの本線軌道は、前記一対の第一案内部を、前記車両が前記転換手段によって転換される位置のみに有していてもよい。
【0012】
このような第一案内部によって、車両が転換される位置のみでサイドガイド方式を採用することができる。即ち車両が転換される位置以外の本線軌道においては、第二案内輪によって車両が案内されるような、例えばセンターガイド方式を採用することができる。そして、このようなセンターガイド方式を採用した場合であっても、転換手段及び第二案内部によって、受渡走行路での複線軌道間の幅を削減し、幅方向の占有範囲を抑制しながら、簡易な構成を用いて車両の受け渡しを行うことができる。
【0013】
さらに、本発明の第三の態様に係る車両受渡装置においては、前記一対の第一案内部は前記車両の両側部の外側に配された案内レールであってもよい。
【0014】
このような第一案内部によって、車両が確実に本線軌道上で案内される。
【0015】
また、本発明の第四の態様に係る車両受渡装置においては、前記一対の第一案内部は前記車両の両側部の内側に配された案内レールであってもよい。
【0016】
このような第一案内部によって、車両が確実に本線軌道上で案内されるとともに、本線軌道の幅寸法を縮小して、本線軌道と受渡走行路を含めた全体の幅方向占有範囲をさらに抑制できる。
【0017】
さらに、本発明の第五の態様に係る車両受渡装置においては、前記一対の第一案内部は前記本線軌道及び前記受渡走行路に凸状に設けられて、一対のタイヤが転動する走行路の幅方向内側の面によって構成されていてもよい。
【0018】
走行路が第一案内部の役割も果たすため、別途案内レール等の第一案内部を設置する必要がなくなり、コストを抑えながら、本線軌道と受渡走行路を含めた全体の幅方向占有範囲を抑制できる。
【0019】
また、本発明の第六の態様に係る車両受渡装置においては、前記第二案内部は、前記受渡走行路の幅方向中央に設けられていてもよい。
【0020】
幅方向中央に第二案内部が設けられることによって、車両側の第二案内輪の配置位置を車両下部の中央とすることができ、運行上の都合等によって車両の走行方向に対して車両の前後を入替えした場合であっても、問題なく受渡走行路を走行でき、一方の本線軌道から他方の本線軌道への車両の受け渡しを行うことができる。
【0021】
さらに、本発明の第七の態様に係る車両受渡装置においては、前記第二案内輪が上下方向に延在する軸線回りに回転可能なガイドローラであり、前記第二案内部は、前記第二案内輪を前記車両の幅方向に規制するガイドレールであってもよい。
【0022】
このように、ガイドレールとガイドローラとが係合してガイドローラが幅方向に移動を規制されることによって、受渡走行路内において車両が幅方向に蛇行等することなく走行でき、一方の本線軌道から他方の本線軌道への車両の受け渡しを確実に行うことができる。
【0023】
また、本発明の第八の態様に係る車両受渡装置においては、前記第二案内部には、前記第二案内部の長手方向に沿って上方に向けて開口し、前記第二案内輪が上方から挿入される凹部が形成されていてもよい。
【0024】
このような凹部によって、第二案内輪が幅方向両側から規制されることで、車両が蛇行等することなく受渡走行路内を走行し、さらに確実に車両の受け渡しを行うことができる。
【0025】
さらに、本発明の第九の態様に係る車両受渡装置においては、前記第二案内部は、対をなして前記車両に設けられる前記第二案内輪によって挟み込まれてもよい。
【0026】
第二案内輪が第二案内部を挟み込むことによって、幅方向への車両の移動を規制することで、車両が蛇行等することなく受渡走行路内を走行し、さらに確実に車両の受け渡しを行うことができる。
【0027】
また、本発明の第十の態様に係る車両受渡装置においては、前記転換手段は、前記第二案内輪をそれぞれ案内可能な一対の分岐案内部と、前記分岐案内部の幅方向外側に設けられ、前記一対の分岐案内部を、一方の前記分岐案内部が前記本線軌道に沿う方向に前記第二案内輪を案内可能であるとともに、他方の前記分岐案内部が前記第二案内輪と干渉しない第一の位置と、他方の前記分岐案内部が前記受渡走行路に沿う方向に前記第二案内輪を案内可能であるとともに、一方の前記分岐案内部が前記第二案内輪と干渉しない第二の位置とに移動させることが可能な移動手段とを備えていてもよい。
【0028】
このような転換手段によれば、車両が分岐位置に接近した際には、分岐案内部が、本線軌道に沿う方向又は受渡走行路に沿う方向のいずれか一方に第二案内輪を案内することができる。
第二案内輪が本線軌道に沿う方向へ案内された場合には、他方の分岐案内部は第二案内輪と干渉しない第一の位置に移動されるため、車両を円滑に、確実に本線軌道に沿う方向へ案内することができる。また、第二案内輪が受渡走行路に沿う方向へ案内された場合には、一方の分岐案内部は第二案内輪と干渉しない第二の位置に移動されるため、車両を円滑に、確実に受渡走行路に沿う方向へ案内することができる。このような分岐案内部の構成により転換手段全体の構成が簡易になる。
【0029】
さらに、本発明の第十一の態様に係る車両受渡装置においては、前記分岐案内部は、前記本線軌道の幅方向中央に設けられていてもよい。
【0030】
このように分岐案内部を設けることで、転換手段を本線軌道の幅方向内側へ寄せることができる。従って、仮に車両の両側部に転換手段が設けられた場合に、本線軌道の幅方向外側に必要となる転換手段を設置するスペースを別途設ける必要がない。このため転換位置での本線軌道の幅寸法を縮小して、本線軌道と受渡走行路を含めた全体の幅方向占有範囲をさらに抑制できる。
また、このように分岐案内部を設けることで、車両の第二案内輪を車両下部の中央の位置に配置することができ、運行上の都合等によって車両の走行方向に対して車両の前後を入替えした場合であっても、問題なく車両の方向転換を行うことができる。
【0031】
また、本発明の第十二の態様に係る車両受渡装置においては、前記一対の分岐案内部は、一方が前記第一の位置へ前記第二案内輪を案内可能とする第一分岐レールであり、他方が前記第二の位置へ前記第二案内輪を案内可能とする第二分岐レールであってもよい。
【0032】
このように、一対の分岐案内部が、第一分岐レールと第二分岐レールによって構成されているため、第一の方向又は第二の方向のいずれか一方に、車両を確実に誘導することができる。
【0033】
さらに、本発明の第十三の態様に係る車両受渡装置においては、前記第一分岐レール及び前記第二分岐レールには、これら第一分岐レール及び第二分岐レールの長手方向に沿って上方に開口し、前記第二案内輪が上方から挿入される凹部が形成されていてもよい。
【0034】
このような凹部によって、分岐案内輪が幅方向両側から規制されることで、車両が蛇行等することなく転換位置を走行し、さらに確実に車両の方向転換を行うことができる。
【0035】
さらに、本発明の第十四の態様に係る車両受渡装置においては、前記転轍機は、前記車両の走行方向に向かって左側に配置され、かつ、前記二つの本線軌道の間で、前記第一案内部の直下に配置されており、前記アクチュエータに対して前記車両から押し込み方向の力が作用した際に、該押し込み方向の力を前記第一案内部も受けるような位置に設けられていてもよい。
また、本発明の第十
五の態様に係る軌道系交通システムは、上記車両受渡装置と、前記第二案内輪が下部に配された車両とを備える。
【0036】
このような軌道系交通システムによれば、車両が受渡走行路を走行する際に、仮に受渡走行路の両側部に案内する手段が二つ設けられた場合に、一方の案内する手段で案内された状態から、他方の案内手段で案内された状態への移行作業が不要であり、かつ車両が受渡走行路を走行中に非拘束状態となることもない。従って、二つの案内する手段同士のオーバーラップ区間を削減することができる。
さらに、転換手段によって第二案内輪が第二案内部へ案内されることのみによって、車両を受渡走行路へ誘導することができるため、受渡装置全体の構成が簡易になる。従って、受渡走行路での複線軌道間の幅を削減し、幅方向の占有範囲の抑制を可能としながら、簡易な構成を用いて本線軌道間で車両の受け渡しができる。
【発明の効果】
【0037】
上記の車両受渡装置、及び軌道系交通システムによれば、受渡走行路の内部に設けられた第二案内部によって、受渡走行路での複線軌道間の幅を削減し、幅方向の占有範囲を抑制しながら、簡易な構成を用いて車両の受け渡しを行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の第一実施形態に係る軌道系交通システム1について説明する。
図1に示すように、本実施形態の軌道系交通システム1は、案内レール(第一案内部)21が両側部に設けられた二つの本線軌道20A、20Bとこれらの間に設けられた受渡走行路23とを主に有する車両受渡装置3と、案内レール21によって案内される第一案内輪14が両側部に設けられた車両2とを備えたサイドガイド方式の新交通システムである。
【0040】
図1から
図4Bに示すように、車両2は、乗客を収容する箱状の車体10と、この車体10の下方に配置され、車体10を支持する走行装置11とを有している。走行装置11は車体10の延在方向、即ち、前後方向Yに間隔を空けて二つが設置されている。
さらに、車両2は、前後方向Yと直交する方向となる車両2の幅方向Xの両側部に設けられてそれぞれ対応する案内レール21によって案内される第一案内輪14と、上記走行装置11の下部において、車両2の幅方向Xの略中央に設けられた第二案内輪15とを備えている。
【0041】
以下では、車両2における走行方向を前後方向Yと称する。また、走行する車両2の走行方向となる本線軌道20A、20Bに沿う方向をそれぞれ前後方向Ya、Ybと称する。同様に、受渡走行路23に沿う方向を前後方向Ycと称する。また、車両2における走行方向に向かって左右方向を幅方向Xと称する。
さらに、本線軌道20A、20Bにおいては、それぞれ前後方向Ya、Ybと直交し、走行する車両2の走行方向に向かって左右方向を幅方向Xa、Xbと称する。同様に受渡走行路23においても、走行する車両2の走行方向に向かって左右方向を幅方向Xcと称する。
【0042】
走行装置11は、本実施形態では、車両2の前後方向Yに二つ設けられている。また、各走行装置11は、車両2の幅方向Xの両側に設けられた一対のゴムタイヤ13を有しており、このゴムタイヤ13は車両2の幅方向Xに延在する回転軸12によって回転可能とされている。
【0043】
さらに、一対の第一案内輪14は、走行装置11の幅方向Xの両側において、車両2の上下方向に延在する回転軸回りに回転可能に取り付けられている。これら一対の第一案内輪14は、車両2の前後方向Yに一定の間隔を空けて二組設けられている。
【0044】
第二案内輪15は、車両2の下部に配置され、即ち、走行装置11の下部から突出して設置されて上下方向に沿う回転軸回りに回転可能に取り付けられたガイドローラである。本実施形態では、第二案内輪15は、一対のゴムタイヤ13の間のそれぞれにおいて、車両2の幅方向Xの略中央に設けられている。
【0045】
続いて、車両受渡装置3について説明する。
図2から
図4Bに示すように、車両受渡装置3は、二つの本線軌道20A、20Bと、これら本線軌道20A、20B同士の間に設置されて、二つの本線軌道20A、20Bの間で車両2の行き来を可能にする受渡走行路23とを有している。
また、この車両受渡装置3は、受渡走行路23の内部に設けられて車両2の第二案内輪15を案内する第二固定ガイドレール(第二案内部)40と、分岐部27において本線軌道20A、20Bの方向に沿って走行するか受渡走行路23の方向に沿って走行するかの切り換えを行なう転換手段24とを有している。
【0046】
本線軌道20A、20Bは、左右を側壁20aと底面20cとによって囲まれた断面U字形状をなす車両2の走行路である。車両2の一対のゴムタイヤ13が転動する二つの走行部25は、底面20cから突出して設けられており、この走行部25の上面は全面にわたって平坦面をなして、ゴムタイヤ13が転動可能となっている。
【0047】
さらに本線軌道20A、20Bは、この本線軌道20A、20Bの左右の側壁20aに沿うように底面20cから立ち上がる支持部22によって支持された断面H字状をなす案内レール21を有している。案内レール21は、本線軌道20A、20Bの前後方向Ya、Ybに沿って延設されている。案内レール21は、車両2と対向する面である案内面21aに車両2の上記第一案内輪14の外周面が接触することによって、本線軌道20A、20Bに沿う方向に車両2を案内可能としている。
【0048】
また、本線軌道20A、20Bでは、受渡走行路23への分岐する位置となる分岐部27において、両側壁20aの内、受渡走行路23へ接続する側の側壁20aは分断され、受渡走行路23への車両2の走行が可能となっている。また、走行部25も、それぞれ本線軌道20A、20Bに沿う方向に延設されるとともに、受渡走行路23側へと分岐している。
【0049】
さらに、本線軌道20A、20Bは、分岐部27において前後方向Ya、Ybの前側には、底面20cにおける幅方向Xa、Xbの略中央で本線軌道20A、20Bに沿う方向に延設されて、車両2の第二案内輪15を本線軌道20A、20Bに沿う方向に案内可能な第一固定ガイドレール30を備えている。
図3に示すように、この第一固定ガイドレール30の断面形状はL字状をなしている。即ち、本線軌道20A、20Bの底面20cに平行な底部30aと、底部30aの幅方向Xa、Xb内側(
図3の紙面に向かって右側)から上方へ突出して設けられ、本線軌道20A、20Bに沿う方向に延びて第二案内輪15が接触、転動する案内面を形成する側部30bとを有している。
【0050】
受渡走行路23は、底面23cから突出して設けられて車両2の一対のゴムタイヤ13が転動する二つの走行部25を有している。これら走行部25は、それぞれ二つの本線軌道20A、20B内へと延びて、各分岐部27で、本線軌道20A、20Bに対応する走行部25と接続されている。また本実施形態では、第二固定ガイドレール40が受渡走行路23の内部、即ち底面23cの幅方向Xcの略中央に設けられている。
【0051】
また、第二固定ガイドレール40の両端部は、それぞれ対応する本線軌道20A、20Bに沿うように湾曲しており、本線軌道20Aにおいては第一固定ガイドレール30の前後方向Yaの後側の端部に対して、本線軌道20Bにおいては第一固定ガイドレール30の前後方向Ybの前側の端部に対して、幅方向Xa、Xbに並ぶようにして配置されている。
【0052】
図4Aに示すように、第二固定ガイドレール40は、底面23c、20cに支持された底部40cと、底部40cの幅方向Xcの両側から立設された側部40bとを有している。第二固定ガイドレール40には両側部40bと底部40cとによって第二固定ガイドレール40自身の長手方向に沿って上方に開口する凹部40aが形成されて断面が凹形状なしている。凹部40aは、第二案内輪15が挿入可能な幅寸法に設定されていて、両側部40bの互いに対向する面が案内面として第二案内輪15を案内可能としている。
【0053】
さらに、上記第二固定ガイドレール40は、上記本線軌道20A、20Bの走行部25を跨ぐ部分において、走行部25に埋め込まれた埋込み部25aを有している。
図4Bに示すように、埋込み部25aでは、第二固定ガイドレール40は、側部40bそれぞれの上端から、もう片側の側部40bに向かって張り出す張出部40dを有している。両側部40bから張り出すこれら張出部40d同士の間には、第二案内輪15の回転軸が挿通可能な隙間が形成されている。即ち、埋込み部25aにおいては、第二固定ガイドレール40に沿う方向に第二案内輪15を案内可能としつつ、本線軌道20A、20Bの走行部25上をゴムタイヤ13が走行する際に横断する開口幅を、第二案内輪15が挿通可能な範囲で、最小限にしている。
【0054】
第一固定ガイドレール30においても、第二固定ガイドレール40同様に、上記本線軌道20A、20Bの走行部25を跨ぐ部分において、走行部25に埋め込まれた埋込み部28を有している。
【0055】
転換手段24は、本線軌道20A、20Bの幅方向Xa、Xbの略中央に配置され、車両2の走行方向を本線軌道20A、20Bに沿う前後方向Ya、Ybか、又は、受渡走行路23に沿う前後方向Ycかに切り換えを行なうものである。具体的には、本実施形態の転換手段24は、本線軌道20Aを走行する車両2をそのまま走行させる場合には、車両2の第二案内輪15を第一固定ガイドレール30によって案内する。また、本線軌道20Aを走行する車両2を受渡走行路23に走行させる場合、及び受渡走行路23を走行する車両2を本線軌道20Bに走行させる場合には、車両2の第二案内輪15を第二固定ガイドレール40によって案内する。
【0056】
以下、詳細を説明する。
転換手段24は、第一固定ガイドレール30及び第二固定ガイドレール40の端部に上下に延びる軸55回りに回転可能に設けられた第一可動ガイドレール(分岐案内部、第一分岐レール)50及び第二可動ガイドレール(分岐案内部、第二分岐レール)60と、第一可動ガイドレール50及び第二可動ガイドレール60を回転させる転轍機(移動手段)26とを有している。
【0057】
転轍機26は、二つの本線軌道20A、20Bの間で、案内レール21の直下に配置されている。
【0058】
第一可動ガイドレール50及び第二可動ガイドレール60については、本線軌道20A、20Bの幅方向Xa、Xbにおいて受渡走行路23側に第一可動ガイドレール50が設けられ、受渡走行路23とは反対側に第二可動ガイドレール60が第一可動ガイドレール50に並べて設けられ、一体的に軸55回りに回転可能とされている。
【0059】
第一可動ガイドレール50は、
図2に示すように、底面20cに略平行に配された底部50cと、底部50cの両側から立設された側部50bとを有し、両側部50bと底部50cとによって、第一可動ガイドレール50自身の長手方向に沿って上方に開口する凹部50aが形成されることで断面が凹形状なしている。凹部50aは、内部に挿入された第二案内輪15を両側部50bの互いに対向する面を案内面として案内する。
【0060】
また、第二可動ガイドレール60も、底面20cに略平行に配された底部60cと、底部60cの両側から立設された側部60bとを有し、両側部60bと底部60cとによって、第二可動ガイドレール60自身の長手方向に沿って上方に開口する凹部60aが形成されることで断面が凹形状なしている。凹部60aは、内部に挿入された第二案内輪15を両側部60bの互いに対向する面を案内面として案内する。
【0061】
ここで、第一可動ガイドレール50及び第二可動ガイドレール60は、軸55回りに回転して本線軌道20A、20Bへの案内位置である第一の位置P1に位置すると、第一可動ガイドレール50が本線軌道20A、20Bの幅方向Xa、Xbの略中央で本線軌道20A、20Bに沿う方向に略平行に配され、本線軌道20A、20Bを走行する車両2の第二案内輪15を本線軌道20A、20Bに沿う方向に案内する。また、第一可動ガイドレール50及び第二可動ガイドレール60が第一の位置P1に位置すると、第二可動ガイドレール60は本線軌道20A、20Bを走行する車両2の第二案内輪15と干渉しない位置に配される。このため、本線軌道20A、20Bを走行する車両2の第二案内輪15を本線軌道20A、20Bに沿う前後方向Ya、Ybへ案内することを可能としている。
【0062】
また、この際、第一可動ガイドレール50の受渡走行路23側の側部50bの案内面が第一固定ガイドレール30の側部30bの案内面と滑らかに接続されることとなり、第一固定ガイドレール30との間で車両の第二案内輪15の受け渡しが可能となる。
【0063】
また、第一可動ガイドレール50及び第二可動ガイドレール60は、軸55回りに回転して受渡走行路23への案内位置である第二の位置P2に位置すると、第二可動ガイドレール60は、回転軸と接続された端部と反対側の端部が本線軌道20A、20Bの幅方向Xa、Xbの略中央に位置するとともに、受渡走行路23の前後方向Ycに沿うように配され、本線軌道20A、20Bを走行する車両2の第二案内輪15を受渡走行路23に沿う方向に案内する。また、第一可動ガイドレール50及び第二可動ガイドレール60が第二の位置P2に位置すると、第一可動ガイドレール50は、受渡走行路23を走行する車両2の第二案内輪15と干渉しない位置に配される。このため、本線軌道20A、20Bを走行する車両2の第二案内輪15を受渡走行路23に沿う前後方向Ycへ案内することを可能としている。
【0064】
また、この際、第二可動ガイドレール60の受渡走行路23側と反対側の側部60bの案内面が第二固定ガイドレール40の凹部40aの案内面と滑らかに接続されることとなり、第二固定ガイドレール40との間で車両2の第二案内輪15の受け渡しが可能となる。
【0065】
このような軌道系交通システム1によれば、二つの本線軌道20A、20Bの内の一方の本線軌道20Aを走行する車両2が受渡走行路23に接近した際には、転轍機26によって第一可動ガイドレール50の後側の端部及び第二可動ガイドレール60の後側の端部の内のいずれか一方が選択され、本線軌道20Aの幅方向Xaの略中央に配置される。そして、第一可動ガイドレール50の凹部50aか第二可動ガイドレール60の凹部60aの内の選択されたいずれか一方に、車両2の第二案内輪15が上方から挿入される。従って、第二案内輪15が幅方向Xa、Xbの両側への移動を規制され、車両2が第一可動ガイドレール50又は第二可動ガイドレール60の方向へ誘導されることによって、車両2の走行方向が選択される。
【0066】
まず、
図5に示すように、第一可動ガイドレール50が転轍機26によって選択された場合、即ち、第一の位置P1が選択された場合には、第一可動ガイドレール50から第一固定ガイドレール30に第二案内輪15が誘導されて、車両2が本線軌道20A上を走行することになる。第二案内輪15が第一固定ガイドレール30まで到達した際には、車両2の走行方向に向かって右側の案内レール21に、右側の第一案内輪14の外周面が係合することによって、右方向への移動を規制されるとともに、幅方向Xaの略中央においては、第一固定ガイドレール30の側部30bに第二案内輪15の外周面が係合し、左方向への移動を規制する。
【0067】
ここで、車両2の走行方向左側は側壁20aが存在しない分岐部27となっているため、左側の第一案内輪14は案内レール21によって規制されることなく自由な状態となっているが、右側の案内レール21と、第一固定ガイドレール30とによって車両2が蛇行等することなく本線軌道20A上を走行することができる。さらにこの際、第二案内輪15は第二可動ガイドレール60に干渉することはない。
【0068】
次に、
図6に示すように、第二可動ガイドレール60が転轍機26によって選択された場合、即ち、第
二の位置P
2が選択された場合には、第二可動ガイドレール60から第二固定ガイドレール40に第二案内輪15が誘導されて、車両2が受渡走行路23上を走行することになる。第二案内輪15が第二固定ガイドレール40まで到達した際には、第二固定ガイドレール40の凹部40aに上方から第二案内輪15が挿入される。
【0069】
ここで、受渡走行路23には側壁20aが存在しないため、車両2の第一案内輪14は案内レール21によって規制されることなく、自由な状態となっているが、第二固定ガイドレール40の凹部40aによって、第二案内輪15が幅方向Xa両側から移動を規制されるため、車両2が蛇行等することなく受渡走行路23上を走行することができる。さらにこの際、第二案内輪15は第一可動ガイドレール50に干渉することはない。
【0070】
そして、第二固定ガイドレール40が受渡走行路23の底面23cにおいて、受渡走行路23の幅方向Xcの略中央に設けられている。
このため、仮に第二固定ガイドレール40が受渡走行路23の幅方向Xc両側に一対設けられ、車両2の幅方向Xの両側に一対設けられた第二案内輪15がこれら一対の第二固定ガイドレール40によって案内される場合に必要となる第二案内輪15の左右の受け渡しが不要となる。従って、車両2が常に案内された状態を保つために設けられる左右の第二固定ガイドレール40が重なり合う区間、即ち、オーバーラップ区間の削減が可能となり、二つの本線軌道20A、20Bの幅方向Xa、Xbの大きさに受渡走行路23を加えた大きさ、即ち、車両受渡装置3の複線軌道間の幅を削減し、幅方向の占有範囲を抑制することができる。
【0071】
また、第一可動ガイドレール50及び第二可動ガイドレール60が、本線軌道20A、20Bの幅方向Xa、Xbの略中央に配置されることによって、本線軌道20A、20B内において、本線軌道20A、20Bの幅方向Xa、Xbの略中央へ転轍機26を寄せて設置することが可能となる。このため、車両受渡装置3において、転轍機26の設置スペースを車両受渡装置3の本線軌道20A、20Bから幅方向Xa、Xbにはみ出すように別途設ける必要がなく、この点においても車両受渡装置3の軌道幅方向の占有範囲を抑制することにつながる。
【0072】
さらに、仮に第一可動ガイドレール50及び第二可動ガイドレール60を本線軌道20A、20Bの両側部に設けた場合に比べて、転轍機26のアクチュエータ26aのストローク量を小さくすることができる。また、アクチュエータ26aの最小ストローク量の分だけ第一可動ガイドレール50及び第二可動ガイドレール60から離間した位置に転轍機26を配置する必要があるが、本実施形態においては、本線軌道20A、20B内において、本線軌道20A、20Bの幅方向Xa、Xbの略中央へ転轍機26を寄せて設置することが可能となる。従って、転換手段24の設置箇所における軌道幅方向の占有範囲をさらに抑制することにつながる。
【0073】
一方の本線軌道20Aにおいては、転轍機26が車両2の走行方向左側に配置されていることによって、第二案内輪15が第二可動ガイドレール60によって案内されている間、車両2の第二案内輪15から転轍機26のアクチュエータ26aに対して押し込み方向の力が作用する。しかしこの際、左側の案内レール21によって車両2が支持されているため、上記アクチュエータ26aのみで全ての力を受けることを回避できる。従って、アクチュエータ26aの破損を防止するために、アクチュエータ26aの動作を規制するロックピン等を転轍機26に別途設ける必要がなくなり、転轍機26の構造を簡易化することができる。
【0074】
ここで、第一可動ガイドレール50の車両2の走行方向における右側から当接するような当て部材等が設けられることによって、アクチュエータ26aに引っ張り方向の力が作用することを防止でき、破損の回避が可能となる。
【0075】
同様に、他方の本線軌道20Bにおいては、第二案内輪15が第二可動ガイドレール60によって案内されている間、転轍機26のアクチュエータ26aに押し込み方向の力が作用するが、車両2の走行方向右側の案内レール21によって車両2が支持されているため、アクチュエータ26aのみで全ての力を受けることを回避できる。また同様に、第一可動ガイドレール50の車両2の走行方向における左側から当接するような当て部材等が設けられることによって、アクチュエータ26aに引っ張り方向の力が作用することを防止できる。
【0076】
車両2が受渡走行路23を走行中に、走行部25の埋込み部25aを跨ぐ際には、第二固定ガイドレール40の張出部40dによって、衝撃を最小限に抑えることが可能となる。
【0077】
さらに、受渡走行路23の幅方向Xcの略中央に第二固定ガイドレール40が設けられることによって、車両2の第二案内輪15を車両2の下部の略中央に設置することができ、走行方向に対する車両2の前後が入替えされた際でも、車両2が受渡走行路23を走行でき、一方の本線軌道20Aから他方の本線軌道20Bへの車両2の受け渡しが可能となる。
【0078】
本実施形態の軌道系交通システム1においては、第二固定ガイドレール40が受渡走行路23の幅方向Xcの略中央に配置されていることによって、車両受渡装置3の複線軌道間の幅を削減し、幅方向の軌道幅占有範囲を抑制できる。第二可動ガイドレール60が本線軌道20A、20Bの幅方向Xa、Xbの略中央に配置されていることによって、転轍機26を本線軌道20A、20Bの幅方向Xa、Xbの中央寄りに設置可能となるため、車両2の第二案内輪15を同様に使用し、分岐部27を通過することが可能としながら、さらなる車両受渡装置3の幅方向の占有範囲を抑制できる。
【0079】
また、転轍機26の構造の簡易化によって、耐久性の向上、メンテナンス性向上、及びコストダウン等も達成することが可能となる。
【0080】
受渡走行路23においては、第二固定ガイドレール40の張出部40dによって、衝撃を最小限に抑えることが可能となり、走行時の快適性及び安全性向上につながる。
【0081】
さらに、受渡走行路23の幅方向Xcの略中央に第二固定ガイドレール40が設けられていることによって、車両2の前後方向Yを入れ替えた際でも、受渡走行路23内を車両2が走行可能となるため、車両2の運行上の制約が少なくなる。
【0082】
ここで、転換手段24は本線軌道20A、20Bの幅方向Xa、Xbの中央に設けられていなくてもよい。具体的には、第一可動ガイドレール50及び第二可動ガイドレール60が、本線軌道20A、20Bの幅方向Xa、Xbの両側に設けられ、車両2側においては、第二案内輪15が走行装置11の下部中央、及び幅方向Xa、Xb両側の三箇所に設置されていてもよい。
【0083】
この場合においても、車両受渡装置3の複線軌道間の幅を削減し、軌道幅占有範囲を抑制しながら、確実に受渡走行路23へ車両を走行させることが可能である。
【0084】
また、第一固定ガイドレール30は断面がL字状をなしているが、例えば、第一可動ガイドレール50及び第二可動ガイドレール60と同様に凹部が形成された断面凹形状をなしていてもよい。この場合、幅方向Xa、Xb、Xcの両側から第二案内輪15の規制が可能となるため、より確実に車両2を本線軌道20A、20Bの方向に案内可能となる。
【0085】
第一可動ガイドレール50及び第二可動ガイドレール60は、凹部50a、60aが形成された断面凹形状の部材であるが、第一固定ガイドレール30同様に、断面L字形状をなしていてもよい。この場合、本線軌道20Aでは第一可動ガイドレール50は車両2の走行方向左側から第二案内輪15を規制するように配置され、また、第二可動ガイドレール60は車両2の走行方向右側から第二案内輪15を規制するように配置される。この場合、サイドガイド方式の左右の案内レール21の内の一方と、第一可動ガイドレール50又は第二可動ガイドレール60とによって幅方向Xa、Xbの両側から車両2が案内されるため、二つの案内レール21で車両2が案内されるのと同様な構成となる。
【0086】
さらに、第二案内輪15は車両2の幅方向Xの略中央に設置されず、中央から幅方向Xの左右いずれかに偏心した位置に配置されていてもよい。この場合、同時に第一固定ガイドレール30及び第二固定ガイドレール40、第一可動ガイドレール50及び第二可動ガイドレール60についても、第二案内輪15に対応するように、本線軌道20A、20B及び受渡走行路23の幅方向Xa、Xbの略中央から偏心させる必要がある。
【0087】
この場合、車両2の下部に配される、例えばATC装置(Automatic Train Control)等の床下機器を、車両2の幅方向Xの略中央に配置することが可能となる。
【0088】
次に
図7を参照して、本発明の第二実施形態に係る軌道系交通システム1Aについて説明する。
第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
本実施形態では、車両受渡装置3における第一固定ガイドレール30A及び第二固定ガイドレール40Aの断面形状、第一可動ガイドレール50A及び第二可動ガイドレール60Aの断面形状と、車両2における第二案内輪15Aの構成が第一実施形態と異なっている。
【0089】
第二案内輪15Aは、左右の第一案内輪14同士の間の中央において左右二つのゴムタイヤ13に挟まれる位置に、車両2の下部、即ち、走行装置11の下部から突出して設けられている。またこの第二案内輪15Aは、車両2の中央から幅方向Xに同一距離の位置に、間隔を空けて、左右対称に2つずつ設置されるガイドローラであり、上下方向に延在する軸線を中心に回転可能とされている。
【0090】
第一固定ガイドレール30A及び第二固定ガイドレール40A、第一可動ガイドレール50A及び第二可動ガイドレール60Aは、上方に向かって突出する凸部70が形成され、断面形状が逆T字状をなしている。
【0091】
このような軌道系交通システム1Aによれば、左右対称に2つずつ設けられた第二案内輪15Aが、第一固定ガイドレール30A及び第二固定ガイドレール40A、第一可動ガイドレール50A及び第二可動ガイドレール60Aの凸部70を幅方向Xa、Xb、Xcの両側から挟み込むことによって、車両2の幅方向Xa、Xb、Xcの両側への移動を規制することができる。
【0092】
本実施形態の軌道系交通システム1Aにおいては、第一実施形態と同様に、第二固定ガイドレール40A及び第二可動ガイドレール60Aが本線軌道20A、20B及び受渡走行路23の幅方向Xa、Xb、Xcの略中央に配置されていることによって、上述のオーバーラップ区間の削減、及び転轍機26の設置位置を本線軌道20A、20Bの幅方向Xa、Xbの中央へ寄せることが可能となり、車両受渡装置3の複線軌道間の幅を削減し、軌道幅占有範囲を抑制できる。
【0093】
さらに、上記凸部70を第二案内輪15Aが挟み込むことによって、より確実に車両2の蛇行等を抑制しながら車両2を走行させ、転換手段24によって本線軌道20A、20Bに沿う方向、又は、受渡走行路23に沿う方向のいずれに車両2を走行させるかを選択できる。
【0094】
本実施形態では、第一固定ガイドレール30A及び第二固定ガイドレール40A、第一可動ガイドレール50A及び第二可動ガイドレール60Aには上方に突出する凸部70が形成されているが、逆に下方向に突出するように断面T字状をなしていてもよい。
この場合、幅方向Xa、Xb、Xcに第二案内輪15Aを規制することに加え、上方からも第二案内輪15Aを規制することが可能となる。
【0095】
さらに、第一実施形態同様に、第二案内輪15A、第一固定ガイドレール30A、第二固定ガイドレール40A、第一可動ガイドレール50A、及び第二可動ガイドレール60Aは車両2の幅方向Xa、Xb、Xcの略中央に設置せず、中央から幅方向Xa、Xb、Xcの左右のいずれかに偏心した位置に配置されていてもよい。
【0096】
次に
図8及び
図9を参照して、本発明の第三実施形態に係る軌道系交通システム1Bについて説明する。
第一実施形態及び第二実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
本実施形態では、第一実施形態の軌道系交通システム1を基本構成として、転換手段24における第一可動ガイドレール50及び第二可動ガイドレール60が、第一可動ガイドレール50と第二可動ガイドレール60とが一体とされた可動ガイドレール(分岐案内部)80となっている点で、第一実施形態及び第二実施形態と異なっている。
【0097】
可動ガイドレール80は、上方に向かって突出する凸部が形成され、断面形状が逆T字状をなしており、この凸部の本線軌道20A、20Bの幅方向Xa、Xbにおいて受渡走行路23側を向く面が一方の分岐案内部を構成する第一案内面80aとされ、受渡走行路23とは反対側を向く面が他方の分岐案内部を構成する第二案内面80bとされている。これら第一案内面80a及び第二案内面80bには、それぞれ幅方向Xa、Xbの左右から第二案内輪15の外周面が接触して第二案内輪15が転動し、案内される。
【0098】
ここで、可動ガイドレール80が、軸55回りに回転して本線軌道20A、20Bへの案内位置となる第一の位置P1に位置すると、第一案内面80aが本線軌道20A、20Bの幅方向Xa、Xbの略中央で本線軌道20A、20Bに沿う方向に略平行に配され、本線軌道20A、20Bを走行する車両2の第二案内輪15を本線軌道20A、20Bに沿う前後方向Ya、Ybへ案内する。
【0099】
この際、第一案内面80aが第一固定ガイドレール30の側部30bの案内面と滑らかに接続されることとなり、第一固定ガイドレール30との間で車両の第二案内輪15の受け渡しが可能となる。
【0100】
また、可動ガイドレール80が、軸55回りに回転して受渡走行路23への案内位置となる第二の位置P2に位置すると、第二案内面80bが軸55と接続された端部と反対側の端部が本線軌道20A、20Bの幅方向Xa、Xbの略中央に位置するとともに、受渡走行路23の前後方向Ycに沿うように配され、本線軌道20A、20Bを走行する車両2の第二案内輪15を受渡走行路23に沿う前後方向Yc案内することを可能としている。
【0101】
この際、第二案内面80bが第二固定ガイドレール40の案内面と滑らかに接続されることとなり、第二固定ガイドレール40との間で車両2の第二案内輪15の受け渡しが可能となる。
【0102】
このような軌道系交通システム1Bによれば、二つの本線軌道20A、20Bの内の一方の本線軌道20Aを走行する車両2が受渡走行路23に接近した際には、転轍機26によって可動ガイドレール80の第一案内面80aか第二案内面80bの内のいずれか一方が選択され、本線軌道20Aの幅方向Xaの略中央に配置される。第二案内輪15は、第一案内面80aか第二案内面80bによって幅方向Xa、Xbから規制され、第一案内面80aか第二案内面80bの内のいずれか一方に第二案内輪15が案内されることによって、車両2の走行方向が選択される。
【0103】
ここで、本線軌道20Aに沿う方向へ車両2が走行する場合には、第一案内面80aが幅方向Xaの車両2における走行方向左側から第二案内輪15を規制するとともに、車両2の走行方向右側の案内レール21の案内面21aが第一案内輪14を右側から規制するため、車両2が幅方向Xaのいずれかの側へ移動可能となる非拘束状態となることはない。
【0104】
また、受渡走行路23に沿う方向へ車両2が走行する場合においても、第二案内面80bが幅方向Xaの車両2における走行方向右側から第二案内輪15を規制するとともに、車両2の走行方向左側の案内レール21の案内面21aが第一案内輪14を左側から規制するため、車両2が非拘束状態となることはない。
【0105】
本実施形態の軌道系交通システム1Bにおいては、第一実施形態及び第二実施形態と同様に、可動ガイドレール80が本線軌道20A、20B及び受渡走行路23の幅方向Xa、Xb、Xcの略中央に配置されていることによって、可動ガイドレール80の設置スペース及び可動範囲を確保するためのスペースを幅方向Xa、Xb外側に別途設ける必要がない。さらに、転轍機26についても、本線軌道20A、20Bの幅方向Xa、Xbの中央寄りに設置可能となる。従って、転換手段24の設置箇所での幅方向の占有範囲を抑制できる。
【0106】
また、可動ガイドレール80は一体構造となっているため、耐久性の向上、メンテナンス性向上、及びコストダウン等も達成することが可能となる。
【0107】
次に
図10から
図14を参照して、本発明の第四実施形態に係る軌道系交通システム1Cについて説明する。
第一実施形態から第三実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0108】
本実施形態では、第一実施形態の軌道系交通システム1を基本構成として、第二案内輪15B、案内レール(第一案内部)91、転換手段94、第二固定ガイドレール96の構成が第一実施形態と異なっており、また、第一固定ガイドレール30に代えて本線軌道案内レール95を備えている。
【0109】
図10及び
図11に示すように、第二案内輪15Bは、左右の第一案内輪14同士の間の中央において左右二つのゴムタイヤ13に挟まれる位置に、車両2の下部、即ち、走行装置11の下部から突出して設けられている。またこの第二案内輪15Bは、車両2の中央から幅方向Xに同一距離の位置に、間隔を空けて、左右対称に2つずつ設置されるガイドローラであり、上下方向に延在する軸線を中心に回転可能とされている。
【0110】
本線軌道案内レール95は、本線軌道20A、20Bにおいて、幅方向Xa、Xbの略中央で本線軌道20A、20Bに沿う方向に延設されて、車両2の第二案内輪15Bを本線軌道20A、20Bに沿う方向に案内可能としている。
即ち、本実施形態の軌道系交通システム1Cは、車両2が幅方向Xa、Xbの略中央に設けられた本線軌道案内レール95によって案内されて走行するセンターガイド方式となっている。
【0111】
さらに、
図12に示すように、この本線軌道案内レール95は断面H字状をなしており、幅方向Xa、Xbを向く面が第二案内輪15Bを案内する案内面となっている。そして二つの第二案内輪15Bが、幅方向Xa、Xbの両側からこの本線軌道案内レール95を挟み込むことで、車両2の幅方向Xa、Xbの両側への移動を規制する。また転換手段94が設置される位置においては、この本線軌道案内レール95は設けられておらず、即ち、一部で分断されている。
【0112】
第二固定ガイドレール96は、第一実施形態の第二固定ガイドレール40と略同一位置に配置され、本線軌道案内レール95と同様に断面H字状をなしており、幅方向Xcを向く面が第二案内輪15Bを案内する案内面となっている。そして二つの第二案内輪15Bが、幅方向Xcの両側からこの第二固定ガイドレール96を挟み込むことで、車両2の幅方向Xcの両側への移動を規制する。
【0113】
また、
図13及び
図14に示すように、転換手段94は、転換手段24と同様に第一可動ガイドレール(分岐案内部、第一分岐レール)97と第二可動ガイドレール98(分岐案内部、第二分岐レール)と転轍機26とを有している。
【0114】
第一可動ガイドレール97は、断面形状はL字状をなしている。即ち、本線軌道20A、20Bの底面20cに平行な底部97aと、底部97aの幅方向Xa、Xb内側(
図13及び
図14の紙面に向かって右側)から上方へ突出して設けられて第二案内輪15Bが接触、転動する案内面を形成する側部97bとを有している。
【0115】
第二可動ガイドレール98は、第一可動ガイドレール97同様に断面形状はL字状をなし、即ち、本線軌道20A、20Bの底面20cに平行な底部98aと、底部98aの幅方向Xa、Xb内側(
図13及び
図14の紙面に向かって左側)から上方へ突出して設けられて第二案内輪15Bが接触、転動する案内面を形成する側部98bとを有している。
【0116】
また、第一可動ガイドレール97及び第二可動ガイドレール98が第一の位置P1に位置すると、本線軌道案内レール95における車両2の走行方向右側に位置する案内面が第一可動ガイドレール97の側部97bの案内面と滑らかに接続される。このようにして、本線軌道20A、20Bに沿う前後方向Ya、Ybへ案内することを可能としている。
【0117】
また、第一可動ガイドレール97及び第二可動ガイドレール98が第二の位置P2に位置すると、本線軌道案内レール95における車両2の走行方向左側に位置する案内面が第二可動ガイドレール98の側部98bの案内面と滑らかに接続される。このようにして、受渡走行路23に沿う前後方向Ycへ案内することを可能としている。
【0118】
さらに、第一可動ガイドレール97の側部97bと第二可動ガイドレールの側部98bとの間には、ちょうど第二案内輪15Bが通過可能な隙間が形成されている。
【0119】
案内レール91は、第一実施形態における案内レール21と略同一構成となっており、この案内レール91の案内面91aに第一案内輪14の外周面が接触することによって車両2を案内する。またこの案内レール91は、第一可動ガイドレール97及び第二可動ガイドレール98が設置された位置、即ち車両2が転換手段94によって方向を転換される位置のみに設けられている。ここで、受渡走行路23側の案内レール91は前後方向Ycに沿うように、本線軌道20A、20B側の案内レール91は前後方向Ya、Ybに沿うように設置されている。
【0120】
このような軌道系交通システム1Cによれば、本線軌道20Aを走行する車両2が受渡走行路23に接近した際には、転轍機26によって、第一可動ガイドレール97及び第二可動ガイドレール98が軸55回りに回転されて、車両2を本線軌道20Aか受渡走行路23のいずれか一方に導く。
【0121】
具体的には、
図10に示すように、第一可動ガイドレール97が転轍機26によって選択された場合、即ち、第一の位置P1が選択された場合には、本線軌道案内レール95及び第一可動ガイドレール97の案内面同士が接続され、本線軌道案内レール95から第一可動ガイドレール97を介して、再度本線軌道案内レール95に第二案内輪15が誘導されて、車両2が本線軌道20A上を走行する。
【0122】
この際、車両2の走行方向に向かって右側の案内レール91の案内面91aに、右側の第一案内輪14の外周面が係合し、第一可動ガイドレール97に、走行方向右側の第二案内輪15Bの外周面が係合する。このようにして、車両2の幅方向Xa両側への移動を規制する。
【0123】
さらに、第一可動ガイドレール97と第二可動ガイドレール98との間を、走行方向左側の第二案内輪15Bが通り抜けるため、車両2は円滑に本線軌道20A上を走行可能である。
【0124】
また、
図11に示すように、第二可動ガイドレール98が転轍機26によって選択された場合、即ち、第二の位置P2が選択された場合には、第二可動ガイドレール98及び本線軌道案内レール95の案内面同士が接続され、本線軌道案内レール95から第二可動ガイドレール98を介して、第二固定ガイドレール40に第二案内輪15が誘導されて、車両2が受渡走行路23上を走行する。
【0125】
この際、車両2の走行方向に向かって左側の案内レール91の案内面91aに、左側の第一案内輪14の外周面が係合し、第二可動ガイドレール98の案内面に、第二案内輪15Bの外周面が係合する。このようにして、車両2の幅方向Xc両側への移動を規制する。
【0126】
さらに、第一可動ガイドレール97と第二可動ガイドレール98との間を、走行方向左側の第二案内輪15Bが通り抜けるため、車両2は円滑に受渡走行路23へ走行可能である。
【0127】
本実施形態の軌道系交通システム1Cにおいては、センターガイド方式での本線軌道20A、20Bの走行を可能としながら、第一実施形態の場合と同様に車両受渡装置3の複線軌道間の幅を削減し、幅方向の軌道幅占有範囲を抑制できる。
【0128】
ここで、
図15及び
図16は本実施形態の第一変形例を示し、例えば第一案内輪14Aが車両2の両側部に設けられず、車両2の幅方向Xの内側であって、第二案内輪15Bと車両2の側部との間に配置されていてもよい。また、案内レール91Aは第一案内輪14Aに対して幅方向Xa、Xbの外側から係合するように設けられている。この場合には、車両受渡装置3の複線軌道間の幅をさらに削減し、幅方向の軌道幅占有範囲を抑制できる。また本第一変形例では、案内レール91Aは走行部25の幅方向Xa、Xb内側に設置されており、その断面形状は底部91Aaから上方に凸部91Abが突出することで凸状となっている。第一案内輪14Aはこの凸部91Abに幅方向Xa、Xb、Xcの内側から係合する。
【0129】
そして、埋込み部25a、28については、第二案内輪15Bがちょうど通過可能となるように形成されており、さらに、車両2が本線軌道20A(20B)及び受渡走行路23を走行する際に第一案内輪14Aが走行部25に干渉しないように、走行部25には下方に凹む段差部99が形成されている。なおこの段差部99は走行部25上をゴムタイヤ13が走行する際に横断可能とする程度の開口幅に設定されている。
【0130】
また、
図17は本実施形態の第二変形例を示し、第一変形例と同様に第二案内輪15Bと車両2の側部との間に第一案内輪14Aが配置されており、さらに走行部25の幅方向Xa、Xb、Xcの内側の面が案内レール91Aの代わりとして機能してもよい。この場合には、案内レール91Aを設置する必要がなくなるため、コストダウンが可能となる。また、走行部25の幅方向Xa、Xb、Xcの内側の面には、補強及び表面平滑化のため、金属板等を貼り付けてもよい。また、一対の第一案内輪14のうち一方の案内輪を案内レール91Aによって案内し、他方の案内輪を、走行部25の幅方向Xa、Xb、Xcの内側の面によって案内してもよい。
【0131】
本実施形態での本線軌道案内レール95の断面形状は断面H字状である場合に限定されず、例えば第二実施形態の第一固定ガイドレール30Aのように断面凸状であってもよい。
【0132】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付のクレームの範囲によってのみ限定される。
例えば、実施形態では、車両2が一両の場合について説明したが、複数の車両2が連結されてもよい。
【0133】
さらに、第一案内輪14及び第二案内輪15、15A、15Bの数量は上述の実施形態の設置数量に限定されない。例えば、第一実施形態において、第二案内輪15は一つの走行装置11当り2つ、一つの車両2当りで4つ設けられているが、これを一つの走行装置11当りで1つとしてもよいし3つとしてもよい。
【0134】
また、案内レール21、91は断面H字状をなしているが、この形状に限定されず、例えば第一案内輪14の外周面と係合するように、側壁20aに平行な面を有する部材であればよい。案内レール91Aについても断面形状は凸状に限定されず、例えばH字状となっていてもよい。
【0135】
さらに、車両2の走行方向は、本実施形態の場合に限られず、逆方向(
図1の紙面左から右へ向かう方向)であってもよい。
【0136】
また、上記実施形態では、第二固定ガイドレール40が受渡走行路23の幅方向Xcの略中央に配置されているが、受渡走行路23の幅方向Xcの両側部に設けられてもよい。この場合、第二案内輪15、15A、15Bは車両2の幅方向Xの略中央に設けられるとともに、車両2の幅方向Xの両側部にも設けられる必要がある。