特許第6053419号(P6053419)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6053419
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】パレットおよび機械式駐車場
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/42 20060101AFI20161219BHJP
【FI】
   E04H6/42 H
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-208722(P2012-208722)
(22)【出願日】2012年9月21日
(65)【公開番号】特開2014-62414(P2014-62414A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2014年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】大柴 茂
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−144565(JP,A)
【文献】 特開2010−226817(JP,A)
【文献】 実開平04−039018(JP,U)
【文献】 実開昭61−192628(JP,U)
【文献】 特開2011−157798(JP,A)
【文献】 特開2011−080265(JP,A)
【文献】 特開2010−041779(JP,A)
【文献】 特開平06−057986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00 − 6/42
B60L 11/18
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を搭載して機械式駐車場のなかを移動するパレットであって、
その一端部に設けられたプラグと、前記プラグと他端部との間に設けられており充電の制御を行う電子機器が収められたコントローラボックスと、を有し、前記車両に給電するための給電ケーブルと、
前記プラグが着脱可能に構成されたケーブル接続部と、
前記コントローラボックスの本パレット上での移動を規制する規制部と、を備え、
前記コントローラボックスは、その長手方向が前記パレットの長手方向に沿うように、かつ、平面視した場合に前記パレットの上面の外縁に位置するよう設けられた状態で前記規制部により移動が規制されていることを特徴とするパレット。
【請求項2】
本パレットの前記車両が搭載されるべき車両搭載面に、前記車両搭載面との間で前記ケーブルを挟むように取り付けられる弾性部材をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のパレット。
【請求項3】
前記規制部は、前記コントローラボックスを少なくとも部分的に環囲することにより前記コントローラボックスの移動を規制し、
本パレットはさらに、前記ケーブルが前記車両と前記ケーブル接続部とに接続されたときに余ってコイル状とされたケーブルの部分を、前記規制部の外周に取り付ける取付部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のパレット。
【請求項4】
前記ケーブル接続部は、前記ケーブル接続部に前記ケーブルの前記端部が接続された場合に、前記端部から前記ケーブルに沿って所定の距離離れている前記コントローラボックスの下面が支持されるように構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のパレット。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のパレットを備えることを特徴とする機械式駐車場。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレットおよび機械式駐車場に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、少ないスペースで多数の車両を効率的に駐車できる駐車場として、機械式駐車場が知られている。機械式駐車場も種々の構造が提供されているが、その1つとしてパレットの上に車両を載置し、このパレットを前後或いは左右にレールや溝を利用して移動させることにより、空いているパレットスペースへ運ぶ構成としたパレット式の機械式駐車場が提供されている。また、このパレット式の機械式駐車場にリフト及び立体的な駐車層を組み合わせることにより、より駐車効率を高めた機械式駐車場も提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、近年、低騒音でクリーンな電気自動車やプラグインハイブリッド車(以下これらをEV車と総称する)が普及し始めている。EV車はそれに搭載されているリチウムイオン電池などの二次電池からの電力を動力源としている。この二次電池を充電するためには、現状数十分から数時間の充電時間が必要である。そこで駐車場にEV車を駐車している時間を利用してEV車の二次電池を充電する技術が提案されている(例えば、特許文献2、3、4参照)。
【0004】
特許文献2には、電気自動車の給電口に差し込んだ給電ガン端部のケーブルがパレット端部からはみ出さないようにするケーブル固定治具が開示されている。また、パレット端部にはみ出し防止棒が設けられており、このはみ出し防止棒により、パレット上のケーブルがパレット上面からはみ出したり滑り落ちたりすることが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−197417号公報
【特許文献2】特開2012−102474号公報
【特許文献3】特開2011−144565号公報
【特許文献4】特開2011−80265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
最近のEV車充電用のケーブルには、コンセント側に充電制御用のコントローラボックスが設けられていることが多い。しかしながら、特許文献2、3、4に示されるような従来のケーブルはみ出し防止技術は、そのようなコントローラボックス付きのケーブルに対応しきれていない。
【0007】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的はコントローラボックス付きのケーブルのパレットからのはみ出しを抑制できるケーブル管理技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様はパレットに関する。このパレットは、車両を搭載して機械式駐車場のなかを移動するパレットであって、車両に給電するためのケーブルの車両とは反対側の端部と着脱可能に構成されたケーブル接続部と、ケーブルの途中に設けられた給電制御用のコントローラボックスの本パレット上での移動を規制する規制部と、を備える。
【0009】
この態様によると、コントローラボックスを含むケーブルのパレットからのはみ出しを抑制できる。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、コントローラボックス付きのケーブルのパレットからのはみ出しを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態に係る給電パレットを備える機械式駐車場の正面図である。
図2図1のB1F駐車室の平面図である。
図3図1の給電パレットの上面図である。
図4図3のホルダ部付近の上面図である。
図5図3のホルダ部付近の側面図である。
図6図4のB−B線断面図である。
図7図3のケーブル押さえ付近の上面図である。
図8図7のC−C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0014】
実施の形態に係る給電パレットは、自動車などの車両を搭載して、機械式駐車場のなかを移動する。この給電パレットには、EV車のバッテリを充電するための給電ケーブルと着脱可能に構成されたコンセントが設けられている。さらにこの給電パレットには、給電ケーブルの途中に設けられた給電制御用のコントローラボックスが収まるホルダ部が設けられている。これにより、コントローラボックス付きの給電ケーブルがEV車およびコンセントに接続された状態で給電パレットが機械式駐車場のなかを移動しても、コントローラボックスの給電パレットに対する動きは抑制される。したがって、給電ケーブル、特にそのコントローラボックスが給電パレットからはみ出す可能性を低減できる。
【0015】
図1は、実施の形態に係る給電パレット32を備える機械式駐車場10の正面図である。図2は、B1F駐車室14の平面図である。図2では理解を容易とするため給電パレット32に搭載される車両を省略して表示する。機械式駐車場10は、地上に設けられた建物104の地下に地下3階まで設けられた、いわゆる地下式の機械式駐車場である。
【0016】
機械式駐車場10は、地下1階の駐車室であるB1F駐車室14と、地下2階の駐車室であるB2F駐車室16と、地下3階の駐車室であるB3F駐車室18と、複数の給電パレット32と、第1移載装置56と、複数の第2移載装置58と、リフトフレーム88と、断面が略矩形の昇降路96の四隅に支柱として設けられた4本のマスト90、92、106、108と、昇降装置94と、複数の給電システム40と、を備える。
【0017】
機械式駐車場10は、給電パレット32を用いたパレット式の駐車場である。このパレット式の機械式駐車場10は、昇降装置94を用いて車両20が搭載された状態の給電パレット32を昇降させたり、あるいは第1移載装置56や第2移載装置58を使用して面方向に移動させたりすることにより、駐車室に車両20を駐車させる構成とされている。
【0018】
給電パレット32は、平板状の部材である。給電パレット32の上面は車両20が搭載されるべき車両搭載面32aであり、平面視で略矩形である。給電パレット32の詳細は後述するが、図1では給電パレット32に含まれる3端子のパレット側給電コネクタ34が示される。
【0019】
B1F駐車室14、B2F駐車室16、B3F駐車室18はそれぞれ10の駐車スペースを含む。それら10の駐車スペースは、平面視した場合に移載方向(図のx方向)に5行、移載方向と実質的に直交する交差方向(図のy方向)に2列のマトリクス状に配列される。各駐車スペースは給電パレット32を収容可能に構成される。駐車スペースは給電パレット32と共に車両20が駐車されうる駐車室内の1駐車領域(駐車の1単位)である。
【0020】
各駐車室に含まれる10の駐車スペースのうち、昇降路96から最も遠い位置に配置された2つの駐車スペースは、EV車などの給電を要する車両への給電が可能な給電駐車スペースとされる。給電駐車スペースは給電システム40を有する。
【0021】
図1図2に示されるB1F駐車室14の給電駐車スペース14aを例にとって説明する。給電駐車スペース14aは、B1F床98の上に設置された第2移載装置58aと、第2移載装置58aに搭載された給電パレット32bと、給電システム40aと、給電パレット32bに搭載され給電システム40aから給電されているEV車20aと、を含む。すなわち、給電駐車スペース14aはEV車20aが駐車されておりかつEV車20aに給電システム40aから給電が行われている給電状態にある。給電駐車スペースの他の状態としては、車両が駐車されているが給電は行われていない駐車状態と、給電パレットはあるが車両は駐車されていない空車状態と、給電パレットがない無パレット状態と、がある。
【0022】
給電システム40aは、給電盤42aと、駐車室側給電コネクタ44aと、を有する。給電盤42aと駐車室側給電コネクタ44aとは図中で破線で示されるように電気的に接続されている。給電盤42aは、外部電源から得られる電力をEV車20aに供給するのに好適な電圧にして駐車室側給電コネクタ44aに供給する。駐車室側給電コネクタ44aは、例えばパレット側給電コネクタ34に対応する形状を有する給電コネクタである。駐車室側給電コネクタ44aは、パレット側給電コネクタ34と着脱可能に構成され、給電パレット32が給電駐車スペース14aに配置されると、そのパレット側給電コネクタ34と電気的に接続される。
【0023】
給電駐車スペースでない他の駐車スペースは、基本的には給電駐車スペースの構成から給電システムを除いた構成とされる。
【0024】
機械式駐車場10においては、昇降路96が鉛直方向(図のz方向)に沿って設けられている。昇降路96は、B1F駐車室14、B2F駐車室16、B3F駐車室18のそれぞれと連通する。昇降路96の下端には昇降装置94が設置されている。
【0025】
平面視した場合に略矩形のリフトフレーム88は、4本のマスト90、92、106、108に昇降自在に支持される。リフトフレーム88の上部には第1移載装置56が搭載される。昇降装置94は昇降路96に沿ってリフトフレーム88を昇降させる。第1移載装置56の上部には給電パレット32が搭載される。第1移載装置56は、移載方向に給電パレット32を移動可能に構成される。駐車スペースと駐車スペースとの間には、駐車スペースをまたいで給電パレット32が移動する際に給電パレット32を支持する転倒防止ローラ38が設置される。
【0026】
リフトフレーム88、4本のマスト90、92、106、108、昇降装置94、は、第1移載装置56およびそれに搭載された給電パレット32を昇降路96に沿って昇降させるリフトを形成する。
【0027】
機械式駐車場10へ車両20を入れたり機械式駐車場10から車両20を取り出したりするための乗降室12は建物104内に設けられている。乗降室12は昇降路96の上端に設けられている。より具体的には、乗降室12と昇降路96とは給電パレット32が通過できる程度の大きさの連通孔100を介して連結されている。
【0028】
なお、リフトフレーム88、4本のマスト90、92、106、108、および昇降装置94には、本出願人が先に出願した特許文献1に記載のリフトフレーム、4本のマスト、昇降装置、をそれぞれ適用することができる。
【0029】
また、第2移載装置58には、例えば本出願人が先に出願した特公平7−29681号公報に記載の搬送装置を適用することができる。すなわち、第2移載装置58の四隅には、モータにより駆動される駆動車輪が配設されている。第2移載装置58は、搭載された給電パレット32をこれらの駆動車輪を回すことで移動する。また、この四隅に配設された4個の駆動車輪は、アクチュエータにより約90°回転可能な構成とされている。更に、駆動車輪は正転および逆転のいずれも行いうるよう構成される。したがって、第2移載装置58は、給電パレット32を移載方向および交差方向のいずれにも移動することができる。第1移載装置56の構成については、第1移載装置56が給電パレット32を移載方向にのみ移動する点、すなわち第1移載装置56の四隅に設けられた駆動車輪は給電パレット32を移載方向に移動するよう固定されている点を除いては第2移載装置58の構成と同様である。
【0030】
図3は、給電パレット32の上面図である。給電パレット32は、車両搭載面32aを上面とする板部110と、防水カバー付きコンセント76と、ホルダ部112と、はみ出し防止棒72と、3つのケーブル押さえ114と、余剰ケーブル固定用面ファスナ116と、を備える。
【0031】
給電パレット32のパレット側給電コネクタ34と防水カバー付きコンセント76とは、不図示の配線により電気的に接続されている。給電パレット32が給電駐車スペースに配置されると、3本の棒状の駐車室側給電コネクタ44が不図示のアクチュエータ等により動かされ、パレット側給電コネクタ34に接続される。すると給電盤42と防水カバー付きコンセント76とが電気的に接続され、給電盤42から防水カバー付きコンセント76に電力が供給される。
【0032】
EV車が搭載された給電パレット32上にてそのEV車に給電するための給電ケーブル(図3では不図示)は、給電パレット32に備え付けであってもよいし、EV車に備え付けであってもよい。給電ケーブルの一端はプラグとなっており防水カバー付きコンセント76に接続される。防水カバー付きコンセント76は、給電ケーブルのプラグと着脱可能に構成される。給電ケーブルの他端には給電ガン(不図示)が取り付けられており、この給電ガンがEV車の対応する給電口に差し込まれることにより給電盤42からEV車へ電力が供給される。EV車へ供給される電力は例えばEV車の二次電池を充電するために使用される。
【0033】
ホルダ部112は、給電ケーブルの途中に設けられた給電制御用のコントローラボックスの給電パレット32上での移動を規制する。ホルダ部112は防水カバー付きコンセント76の近傍に設けられており、特に防水カバー付きコンセント76に隣接して設けられている。ホルダ部112には余剰ケーブル固定用面ファスナ116が取り付けられている。
【0034】
はみ出し防止棒72は、車両搭載面32aの縁、特に右辺に沿って設けられた金属棒である。はみ出し防止棒72は機械的な固定手段(不図示)によって板部110に対して固定される。はみ出し防止棒72の直径は、行政が制定するバリアフリーの基準を満たすように決定される。はみ出し防止棒72には所定の間隔でケーブル押さえ114が3つ取り付けられている。はみ出し防止棒72は、給電パレット32が乗降室12から給電駐車スペースに移動するあいだ、車両搭載面32a上の給電ケーブルがはみ出したり滑り落ちたりすることを抑制する。
【0035】
図4は、ホルダ部112付近の上面図である。図5は、ホルダ部112付近の側面図である。給電ケーブル68は、コントローラボックス68aと、プラグ68bと、コントローラボックス68aとプラグ68bとの間のケーブル部分(以下、コンセント側ケーブル部分68dと称す)と、コントローラボックス68aから給電ガンに向けて延びるケーブル部分(以下、車両側ケーブル部分68cと称す)と、を有する。コントローラボックス68aには、例えば充電の開始や停止を制御するための電子機器や漏電監視機能および漏電遮断機能を実現する電子機器が収められている。コントローラボックス68aとプラグ68bとは給電ケーブル68に沿って所定の距離Lだけ離れている。すなわち、コンセント側ケーブル部分68dの長さは距離Lである。
【0036】
防水カバー付きコンセント76は、防水カバー付きコンセント76にプラグ68bが接続された場合に、コントローラボックス68aが車両搭載面32aによって支持されるように構成されている。特に防水カバー付きコンセント76の差し込み口76aの車両搭載面32aからの高さHは、コンセント側ケーブル部分68dの長さLよりも小さい。差し込み口76aは、車両搭載面32aと略平行または斜め下方を向いている。これにより、差し込み口76aにプラグ68bが差し込まれている状態で、コンセント側ケーブル部分68dはプラグ68bから車両搭載面32aと略平行に、または車両搭載面32aに向かって、出る。
【0037】
防水カバー付きコンセント76にはゴム製の防水カバー120が取り付けられている。防水カバー120は、防水カバー付きコンセント76の不使用時は差し込み口76aに蓋をするようにして差し込み口76aを覆い、使用時すなわちプラグ68bが差し込み口76aに差し込まれるときはプラグ68bおよび差し込み口76aの上部を覆う。図5は、使用時の位置にある防水カバー120を示す。
【0038】
ホルダ部112は、コントローラボックス68aを部分的に環囲することによりコントローラボックス68aの移動を規制する。ホルダ部112は、第1柵部112aと、第2柵部112bと、第3柵部112cと、を含む。第1柵部112a、第2柵部112bおよび第3柵部112cは、車両搭載面32a上に、コントローラボックス68aが収容されるべき収容空間124を画定する。
【0039】
特に第1柵部112aおよび第2柵部112bはコントローラボックス68aを挟むように配置され、給電ケーブル68が延在する方向(図4の方向A1)と交差する方向(図4の方向A2)におけるコントローラボックス68aの移動を制限する。第3柵部112cは、コントローラボックス68aのプラグ68bとは反対側に配置され、第2柵部112bと溶接等により結合される。第3柵部112cと第1柵部112aとにはギャップ118が存在する。
【0040】
コントローラボックス68aが収容空間124に収まっている場合、車両側ケーブル部分68cは、ギャップ118を通じて収容空間124の外部に出る。すなわち、ギャップ118はケーブル取り出し口として機能する。
【0041】
特に給電ケーブル68がEV車に備え付けである場合、給電ケーブル68は、給電パレットのサイズの違いや給電パレット上でのコンセントの位置の違いに対応できるように長めに構成されていることが多い。したがって、給電ガンが給電口に取り付けられ、かつ、プラグ68bが防水カバー付きコンセント76に差し込まれたときに、給電ケーブル68の長さが余る可能性がある。
【0042】
車両側ケーブル部分68cのうちそのように余った部分はコイル状とされ、余剰ケーブル固定用面ファスナ116を使用して第1柵部112aに取り付けられる。すなわち、余剰ケーブル固定用面ファスナ116は、車両側ケーブル部分68cのうち余ってコイル状とされた部分を第1柵部112aの外周に固縛する。
【0043】
図6は、図4のB−B線断面図である。余剰ケーブル固定用面ファスナ116の一端は、収容空間124側に存在する面ファスナ固定板122に巻き付けられる。面ファスナ固定板122は、第1柵部112aの内周面112dとの間で余剰ケーブル固定用面ファスナ116の一部を挟み込むようにして第1柵部112aにネジ止めされる。余剰ケーブル固定用面ファスナ116は第1柵部112aに設けられた面ファスナ孔112eを通じて収容空間124の外側に出る。余剰ケーブル固定用面ファスナ116は、余ってコイル状となっている車両側ケーブル部分68cを括り、第1柵部112aを超えて収容空間124に戻る。余剰ケーブル固定用面ファスナ116の他端は、面ファスナ固定板122に巻き付けられている余剰ケーブル固定用面ファスナ116の部分と着脱可能である。
【0044】
図7は、ケーブル押さえ114付近の上面図である。図8は、図7のC−C線断面図である。ケーブル押さえ114は板状の弾性部材すなわちゴム板であり、ゴム押さえ固定部126によってはみ出し防止棒72に固定される。ゴム押さえ固定部126は、断面が略円弧状のゴム押さえ板128と、ゴム押さえ板128およびケーブル押さえ114を貫通してはみ出し防止棒72に螺合される押さえネジ130と、を有する。ケーブル押さえ114の一端側はゴム押さえ板128とはみ出し防止棒72とによって挟まれている。
【0045】
ゴム押さえ固定部126は、車両側ケーブル部分68cを押さえていない状態のケーブル押さえ114の他端側が車両搭載面32aの中央に向けて延びるよう、かつ、その他端側が斜め下方を向くよう、ケーブル押さえ114をはみ出し防止棒72に対して固定する。車両側ケーブル部分68cは、ケーブル押さえ114の他端側と車両搭載面32aとの間に挟まれる。ケーブル押さえ114の弾性力により車両側ケーブル部分68cのはみ出し防止棒72から離れる向きの移動が抑制される。
【0046】
はみ出し防止棒72の直径D1は車両側ケーブル部分68cの直径D2よりも大きい。したがって、車両側ケーブル部分68cがケーブル押さえ114に押さえられた状態で、ケーブル押さえ114は斜め下方を向いている。
【0047】
以上のように構成された給電パレット32を備える機械式駐車場10の動作について説明する。
ドライバがEV車を機械式駐車場10に入庫して入庫中に充電する場合を考える。ドライバはまずEV車を運転して乗降室12の給電パレット32上に停車させる。ドライバは降車し、ドライバまたは係員はEV車に備え付けの給電ケーブル68を取り出す。ドライバまたは係員は給電ケーブル68の給電ガンをEV車の給電口に差し込み、プラグ68bを防水カバー付きコンセント76に差し込む。ドライバまたは係員は、給電ケーブル68のコントローラボックス68aをホルダ部112に収納し、ホルダ部112のギャップ118から車両側ケーブル部分68cを給電パレット32の中央よりに広げる。ドライバまたは係員は、EV車の給電口側から、車両側ケーブル部分68cをケーブル押さえ114の下に潜り込ませる。ドライバまたは係員は、車両側ケーブル部分68cのうち余った部分をコイル状にして余剰ケーブル固定用面ファスナ116で第1柵部112aに固定する。
【0048】
ドライバまたは係員は給電ケーブル68を上記のように固定したら、乗降室12の不図示の操作パネルを操作し、EV車の入庫および入庫中充電を指示する。機械式駐車場10はその指示があると、EV車が搭載された給電パレット32を、乗降室12から例えばB1F駐車室14の給電駐車スペース14aへ、リフトおよび移載装置を使用して移動させる。給電パレット32が給電駐車スペース14aに到着すると、パレット側給電コネクタ34に給電駐車スペース14aの駐車室側給電コネクタ44aが接続され、EV車への給電が開始される。
【0049】
本実施の形態に係る給電パレット32によると、給電パレット32が機械式駐車場10のなかを移動する際、給電ケーブル68のコントローラボックス68aの移動がホルダ部112によって規制される。したがって、給電パレット32の移動に伴う慣性等によりコントローラボックス68aが給電パレット32からはみ出す可能性を低減できる。
【0050】
また、コントローラボックス68aの揺動が抑制されるので、コントローラボックス68aに接続されている車両側ケーブル部分68cやコンセント側ケーブル部分68dの揺動も抑制できる。したがって、それらのケーブル部分が給電パレット32からはみ出す可能性も低減できる。
【0051】
また、本実施の形態に係る給電パレット32では、コントローラボックス68aは車両搭載面32a上に載置され、車両搭載面32aによって直接支持される。したがって、プラグをコンセントに差し込むとコントローラボックスが宙に浮く形となる場合と比較して、コントローラボックス68aを含む給電ケーブル68の状態をより安定化することができる。
【0052】
また、本実施の形態に係る給電パレット32では、給電パレット32の移動中車両側ケーブル部分68cはケーブル押さえ114によって押さえられている。したがって、車両側ケーブル部分68cの給電パレット32からのはみ出しを抑制できる。
【0053】
特に、給電ケーブル68にカール状のクセが残る場合、車両側ケーブル部分68cは部分的に車両搭載面32aから浮き上がろうとする。ケーブル押さえ114がない場合、そのように浮き上がった部分がはみ出し防止棒72を超えて給電パレット32からはみ出す虞がある。これに対して本実施の形態では、ケーブル押さえ114によってそのような浮き上がりが抑制されるので、車両側ケーブル部分68cが給電パレット32からはみ出す可能性をさらに低減できる。
【0054】
また、ケーブル押さえ114はゴム等の弾性部材であるので、ケーブル押さえ114が車両のタイヤに踏まれてもケーブル押さえ114が破損する可能性は小さく、ケーブル押さえ114へのダメージを抑えることができる。
【0055】
また、本実施の形態に係る給電パレット32では、ケーブル押さえ114ははみ出し防止棒72に押さえネジ130で固定されており、はみ出し防止棒72からの取り外しが困難となるよう構成されている。したがって、ドライバが誤ってケーブル押さえ114を持ち出してしまう可能性を低減できる。
【0056】
また、本実施の形態では、はみ出し防止棒72にケーブル押さえ114を取り付ける構成としたので、既にはみ出し防止棒72を有する給電パレットのはみ出し抑制機能を、より簡易にかつ低コストで強化することができる。
【0057】
また、本実施の形態に係る給電パレット32では、給電ケーブル68の余った部分は余剰ケーブル固定用面ファスナ116によってホルダ部112に取り付けられる。したがって、給電ケーブル68に余りが生じるような状況にも好適に適応できる給電パレット32が提供される。
【0058】
また、本実施の形態に係る給電パレット32は、給電ケーブル68を給電パレット32に容易に着脱可能としている。したがって、ケーブルを固定するための作業は比較的煩わしくなく、ドライバまたは係員に、より確実に給電ケーブル68を固定させることができる。その結果、給電パレット32の端部からの給電ケーブル68のはみ出しをより確実に抑止できる。
【0059】
以上、実施の形態に係る給電パレット32およびそれを備える機械式駐車場10の構成と動作について説明した。この実施の形態は例示であり、その各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0060】
実施の形態では、乗降室が昇降路の上端に位置する、いわゆる地下式の機械式駐車場10について説明したが、これに限られず、本実施の形態の技術的思想は乗降室が昇降路の下端に位置する場合や、昇降路の中間に機械式駐車場を設ける場合にも適用できる。また、昇降路の四隅に支柱としてマストが設置されている例について説明したが、2本のマストを昇降路の両側に設置しても良い。また、第1移載装置、第2移載装置は、4個の駆動車輪でパレットを移動する場合について説明したが、対角に位置する2ヶ所に駆動車輪を配置し、残りの車輪を従動車輪としても良い。
【0061】
実施の形態では、はみ出し防止棒72、ホルダ部112および防水カバー付きコンセント76は車両搭載面32aの右辺に沿って設けられる場合について説明したが、これに限られず、それらは車両搭載面32aの左辺に沿って設けられてもよいし、右辺および左辺のそれぞれに沿って設けられてもよい。
【0062】
実施の形態におけるホルダ部112は、防水カバー付きコンセント76を車両のタイヤから保護するコンセント保護部として機能してもよい。すなわち、第1柵部112aは、車両搭載面32aに進入してくる車両のタイヤが防水カバー付きコンセント76に接触するのを防止する接触防止柵として機能してもよい。この場合、収容空間124を形成するための柵とタイヤの接触を防止するための柵とをひとつの柵で実現できるので、部材点数を削減してコストを低減できる。
【0063】
実施の形態では、ケーブル押さえ114の他端側は斜め下方を向く場合について説明したが、これに限られず、例えば車両搭載面32aと略平行であってもよく、または斜め上方を向いていてもよい。
【0064】
実施の形態では、ケーブル押さえ114ははみ出し防止棒72に取り付けられる場合について説明したが、これに限られず、例えばケーブル押さえは車両搭載面32aに直接取り付け可能に構成されてもよい。
【0065】
実施の形態に係る給電パレット32はさらに、例えば特許文献2に記載されるようなケーブル固定治具を備えてもよい。
【符号の説明】
【0066】
10 機械式駐車場、 12 乗降室、 20 車両、 32 給電パレット、 32a 車両搭載面、 68 給電ケーブル、 68a コントローラボックス、 72 はみ出し防止棒、 76 防水カバー付きコンセント、 112 ホルダ部、 114 ケーブル押さえ。
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