(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記補強部は前記入射光調節部と一体に設けられていて、前記入射光調節部は、前記係合面と共に、さらに該補強部において前記回転軸部材と接合されていることを特徴とする請求項2に記載の光調節装置。
前記補強部は前記回転軸部材と一体に設けられていて、前記回転軸部材は、前記外側面と共に、さらに該補強部において前記入射光調節部と接合されていることを特徴とする請求項2に記載の光調節装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
[実施形態1]
【0019】
図1〜
図7は本発明の実施形態1を示したものである。まず、
図1〜
図5を参照して、光調節装置1の構成の概要について説明する。ここに、
図1は光調節装置1の構成を示す分解斜視図、
図2は光調節装置1の構成を示す斜視図、
図3は回転軸部材11の磁気的構成を示す斜視図、
図4は駆動部2の一動作時の様子を示す図、
図5は駆動部2の他の動作時の様子を示す図である。
【0020】
光調節装置1は、入射光を調節するためのものであり、ここでいう調節としては、絞りによる光量調節および瞳調節、NDフィルタによる光量調節、レンズによる集光調節、偏光フィルタによる偏光調節、カラーフィルタによる帯域調節、あるいはこれらの組み合わせ等が幾つかの例として挙げられるが、これらに限定されるものではなく、光学的な調節であれば広く適用可能である。
【0021】
以下では、光調節がレンズを用いた調節である場合を例に挙げて説明する。
【0022】
光調節装置1は、駆動部2と、第1基板3と、第2基板4と、スペーサ5と、入射光調節部6と、脱落防止部材7と、を備えている。
【0023】
駆動部2は、本実施形態においては、軸周りに異なる磁極を有するように着磁された軸磁石でなる回転軸部材11と、芯材端において回転軸部材11の側面に近接するコイル芯材12と、コイル芯材12に巻回されたコイル13と、を有し、コイル13に電流を流すことにより発生する磁力をコイル芯材12を介して回転軸部材11に伝達することにより、回転軸部材11を回動するものである。
【0024】
回転軸部材11は、永久磁石として構成された円柱状をなす軸磁石であり、軸方向が、図示しない主光学系の光軸Oと平行となるように配置される。
図3に示すように、この回転軸部材11は、例えば二極構成となっていて、円柱状における一方の半円柱部分がS極11s、他方の半円柱部分がN極11nとなるように着磁されている。回転軸部材11は、円柱状をなすことが好ましいが、円柱状に限定されるものではなく例えば多角柱状をなしても構わない。
【0025】
コイル芯材12は、パーマロイやケイ素鋼等の磁性体によって開曲線状(すなわち、閉曲線の一部に切目がある形状)をなすように形成されていて、
図1に示す例では、コイル13が巻回された直線状の右腕部12rと、コイル13が巻回された直線状の左腕部12lと、右腕部12rと左腕部12lとを連結する直線状の連結部12mと、を備えた略三角形状に構成されている。そして、右腕部12rの先端面12r1と左腕部12lの先端面12l1とが回転軸部材11の外側面11aの両側(図示の例では回転軸部材11が円柱形であるために、回転軸部材11の周面の両側)を挟み込む一対の芯材端の面である。このようにして、コイル芯材12と回転軸部材11とで閉磁気回路を構成し、コイル13により発生された磁気を伝達するようにしている。なお、上述では閉曲線が略三角形状である例を示したが、略三角形状に限らないことはいうまでもない。
【0026】
第1基板3および第2基板4は、円板部3a,4aに矩形状の基端部3b,4bをそれぞれ連設して構成されている。
【0027】
第1基板3は、入射光を通過させるための第1光通過形状部たる開口3cと、回転軸部材11の軸方向の一端側を挿入するための第1切欠3dとを有し、一面側にコイル13およびコイル芯材12が配設されたものである。
【0028】
第2基板4は、第1基板3の他面側に対向するように第1基板3と所定間隔をもって平行に配設されており、入射光を通過させるための第2光通過形状部たる開口4cと、回転軸部材11の軸方向の他端側を挿入するための第2切欠4dとを有している。
【0029】
第1光通過形状部および第2光通過形状部は、例えば、円板部3a,4aの中央部に形成された円形の開口3c,4cとなっており、図示しない主光学系の光軸Oは、これらの開口3c,4cの中心を、第1基板3および第2基板4の基板面に垂直に通るようになっている。なお、開口3cまたは開口4cが、図示しない主光学系における開放絞りとしての機能を果たす光学開口であっても良い。
【0030】
また、第1光通過形状部および第2光通過形状部は、図示しない主光学系から入射する入射光の光軸O方向の進行を妨げることのない形状部であれば足りるために、円形開口である必要はなく、例えば多角形開口であっても構わない。さらには、開口でなくても良く、例えば、U字状切欠、矩形状切欠等であっても構わない。
【0031】
第1切欠3dおよび第2切欠4dは、回転軸部材11の一端側および他端側を光軸Oに交差する方向(具体例としては、光軸Oに垂直な方向)に挿入可能であり、回転軸部材11を第1基板3および第2基板4の基板面に垂直となるように回動可能に軸支するものである。このような構成により、組み立て性の向上を図っている。
【0032】
図1および
図2に示す例においては、第1切欠3dおよび第2切欠4dは、U字状の切欠として形成され、円板部3a,4aの周縁部における基端部3b,4bの近傍位置に、光軸Oに垂直な面内の位置を一致させて設けられている。従って、第1切欠3dおよび第2切欠4dに挿入される回転軸部材11の軸方向は、上述したように、光軸O方向と平行になる。
【0033】
スペーサ5は、上述した第1基板3と第2基板4との間の所定間隔を規定するものである。このスペーサ5は、
図1に示す例では、第1基板3および第2基板4の円板部3a,4aの先端側周方向に沿って挟み込まれる円弧状の先端スペーサ5aと、第1基板3および第2基板4の基端部3b,4bに挟み込まれる基端スペーサ5bと、を有して構成されている。
【0034】
入射光調節部6は、光を調節する機能を備えたものであり、上述した回転軸部材11が回動一体に接合されていて、第1基板3と第2基板4との間のスペーサ5により規定される所定間隔内で回転軸部材11の回動に伴って回動するように配設されている。入射光調節部6は、この例においては、上述した図示しない主光学系の光路上に挿入されて主光学系の焦点距離を変更するズームレンズや合焦位置を変更するフォーカスレンズなどの機能を有する光学要素である。
【0035】
脱落防止部材7は、入射光調節部6の脱落を防止するためのものである。すなわち、脱落防止部材7は、開口3cおよび開口4cを通過する光束の進行を妨げない大きさの円形孔7aを有する円環状をなし、外周の一部から光軸方向に脱落防止壁7bを突設している。そして、脱落防止部材7を第2基板4の下面(第1基板3に向かう側とは反対側の面)に固定することで、脱落防止壁7bが第2切欠4dとの間で回転軸部材11を挟み込んで、第1切欠3dおよび第2切欠4dに挿入された回転軸部材11の脱落を防止し、ひいては入射光調節部6の脱落を防止するようになっている。
【0036】
このような構成において、光調節装置1は、入射光調節部6を、回転軸部材11を介して駆動部2により回動し、開口3c,4cを通過する入射光の光路上から退避した退避位置と、入射光の光路上に位置する挿入位置と、に変位させることにより、入射光を調節するようになっている。
【0037】
すなわち、
図4および
図5に示すように、コイル13に一方向の電流を流すと、右腕部12rの先端面12r1と左腕部12lの先端面12l1との内の、一方がS極、他方がN極に磁化され、コイル13に他方向の電流を流すと磁化される極が逆となる。回転軸部材11は、自己の磁極と、コイル13によって形成された磁場と、の磁気的相互作用によって生じる磁場ポテンシャルの極小点を目指して回動することになる。回転軸部材11が二極構成である場合、上述した一方向の電流と他方向の電流とでは、形成される磁場ポテンシャルの極小点の位置が例えば180°反対となるが、回転軸部材11および入射光調節部6の回動範囲は挿入位置と退避位置とを規定する図示しないストッパ等によって180°よりも小さい所定の角度範囲に規制されている。従って、入射光調節部6は例えばコイル13への一方向の電流印加により挿入位置に移動し、コイル13への他方向の電流印加により退避位置に移動することになる。
【0038】
なお、入射光調節部6と駆動部2とは、ここでは簡単のために1対設けられている場合を説明したが、複数対設けられていても構わない。一例として、2対設けられている場合には、第1の入射光調節部および第2の入射光調節部が退避位置にある場合の入射光調節と、第1の入射光調節部のみが挿入位置にある場合の入射光調節と、第2の入射光調節部のみが挿入位置にある場合の入射光調節と、の3段階の入射光調節が可能となる。また、第1の入射光調節部および第2の入射光調節部の両方が同時に挿入位置となり得るように構成する場合には、さらに1段階増えて、4段階の入射光調節が可能となる。このように、入射光調節部6と駆動部2とを複数対設ける場合には、3段階以上の入射光調節が可能となる利点がある。
【0039】
次に、
図6は入射光調節部6および回転軸部材11の構成を示す斜視図、
図7は入射光調節部6および回転軸部材11の構成を示す断面図である。
【0040】
入射光調節部6は、円環状をなすレンズ枠6bに取り付けられた、光学的なパワーを有するレンズ6aを備えている。レンズ枠6bは、周縁の一部から径方向に保持部6cを突設している。そして、この保持部6cには、回転軸部材11の周面をなす外側面11aと当接する形状の、円形孔をなす係合面6dが穿設されている。入射光調節部6は、この係合面6dにおいて、回転軸部材11の外側面11aと回動一体に接合されている。従って、回転軸部材11の外側面11aと保持部6cの係合面6dとが当接する部分は、接合部分となっている。
【0041】
さらに、保持部6cの円形孔をなす係合面6dの周縁部から光軸O方向に、回転軸部材11と入射光調節部6との接合部分の接合面積を増加させるための補強部が設けられている。この補強部は、回転軸部材11の外側面11aに沿って回転軸部材11の軸方向(第1基板3に向かう方向)に突出する環状突出部6eとなっていて、入射光調節部6と一体に設けられている。環状突出部6eは、回転軸部材11の外側面11aと当接する形状の円形孔をなす第2係合面6fを備えている。入射光調節部6は、上述した係合面6dとともにこの第2係合面6fにおいて接合されることにより接合面積を増加させて、回転軸部材11と接合されている。
【0042】
ここに、係合面6dおよび第2係合面6fと回転軸部材11との接合は、例えば、圧入(摩擦力を発生させる垂直抗力が発生するような嵌合)、あるいは接着剤を用いた接着等により行われる。
【0043】
このような構成において、
図7に示すように、回転軸部材11の直径をR0、入射光調節部6の厚みをD0、環状突出部6eの光軸O方向への突出高さをD1とすると、環状突出部6eを含めた入射光調節部6と回転軸部材11との接合部分の接合面積S1は次の数式2に示すようになる。
[数2]
S1=π×R0×(D0+D1)
【0044】
従って、環状突出部6eを設けたことにより、
図17および
図18に示した従来の接合面積S0=π×R0×D0よりも、π×R0×D1だけ接合面積が増加したことになる(この増加分は、第2係合面6fの面積と等しい)。そして、環状突出部6eの突出高さD1を所望に調整することにより、接合面積の増加量を所望にコントロールすることが可能であり、設計上の自由度も高い利点がある。
【0045】
このような実施形態1によれば、補強部を設けて、回転軸部材と入射光調節部との接合部分の接合面積を増加させたために、入射光調節部を薄型化した場合でも、回転軸部材との接合強度を確保することが可能となる。
【0046】
さらに、補強部を、回転軸部材と入射光調節部との接合部分の近傍にのみ設けたために、重量増加を抑制することができるだけでなく、回転モーメントの増加も抑制することができ、入射光調節部の回転速度をほとんど減少させることがない。
【0047】
そして、補強部を入射光調節部に設けたために、回転軸部材からの回転トルクが伝達される部分の強度を効果的に高めることができる。
[実施形態2]
【0048】
図8は本発明の実施形態2を示したものであり、入射光調節部6Aおよび回転軸部材11の構成を示す断面図である。
【0049】
この実施形態2において、上述の実施形態1と同様である部分については同一の符号を付すなどして説明を適宜省略し、主として異なる点についてのみ説明する。
【0050】
本実施形態の補強部も上述した実施形態1と同様に環状突出部6eとなっているが、本実施形態の環状突出部6eは、内周側の第2係合面6gが回転軸部材11の外側面11aとの間に隙間が生じる形状に形成されている。
【0051】
一方、保持部6cの係合面6dは、上述した実施形態1と同様に、回転軸部材11の外側面11aと当接する形状である。
【0052】
そして、入射光調節部6Aは、回転軸部材11の外側面11aと第2係合面6gとの間に生じる隙間に接着剤15を充填することにより接合面積を増加させて、回転軸部材11と接合されている。
【0053】
また、この実施形態2においても、環状突出部6eを含めた入射光調節部6Aと回転軸部材11と接合部分の面積がπ×R0×(D0+D1)となるのは、上述した実施形態1と同様である。
【0054】
このような実施形態2によれば、上述した実施形態1とほぼ同様の効果を奏するとともに、回転軸部材11の外側面11aと第2係合面6gとの間に隙間を設けたことにより、接着剤15が一定の厚みで充填され、確実な接着を行うことができる。
【0055】
また、係合面6dは回転軸部材11の外側面11aと当接する形状であるために、回転軸部材11の軸位置を係合面6dにより決めることができるとともに、回転軸部材11の第2係合面6gとの隙間に充填した接着剤15が下方に垂れるのを係合面6dと外側面11aとの当接(すなわち、ほぼ隙間がない状態)により防止することができる。
【0056】
さらに、回転軸部材11が係合面6dに圧入されるように構成すれば、回転軸部材11は、接着および圧入の2種類の方法で接合されることになるために、より強固な接合を実現することが可能となる。
[実施形態3]
【0057】
図9および
図10は本発明の実施形態3を示したものであり、
図9は入射光調節部6Bおよび回転軸部材11Bの構成を示す側面図、
図10は入射光調節部6Bおよび回転軸部材11Bの構成を示す断面図である。
【0058】
この実施形態3において、上述の実施形態1,2と同様である部分については同一の符号を付すなどして説明を適宜省略し、主として異なる点についてのみ説明する。
【0059】
上述した実施形態1,2は補強部を入射光調節部6,6Aと一体に設けたが、本実施形態は補強部を回転軸部材11Bと一体に設けたものとなっている。
【0060】
回転軸部材11Bは、光軸O方向に垂直な断面積が異なる異径部を有しており、この異径部は本実施形態においては細径部11bとなっている。
【0061】
そして、回転軸部材11Bにおける細径部11bとそれ以外の外側面11aの部分とを結ぶ、軸方向に垂直な段差面11cが補強部となっており、この段差面11cは、入射光調節部6Bの光軸O方向に垂直な表面(
図9および
図10に示す上面)に接着されている。
【0062】
一方、保持部6cの係合面6hは、回転軸部材11Bの細径部11bの外側面と当接する形状となっていて、細径部11bの外側面に対して接着または圧入により接合される。
【0063】
そして、本実施形態の回転軸部材11Bは、入射光調節部6Bの
図9および
図10に示す上側から、係合面6hを有する孔に細径部11bを挿通して組み付けることになる。
【0064】
このような構成において、細径部11bの直径をR1とすると、本実施形態における、段差面11cを含めた回転軸部材11Bと入射光調節部6Bとの接合部分の接合面積S1は、次の数式3に示すようになる。
[数3]
S1=π×R1×D0+π×(R0
2−R1
2)/4
【0065】
そこで、本実施形態の接合面積S1が、
図17および
図18に示した従来の接合面積S0(数式1参照)よりも大きくなる条件、すなわち、次の数式4に示す不等式、
[数4]
S1>S0
が満たされるR1の範囲を求める。
【0066】
係数を調整しながらS0−S1を計算すると、
[数5]
4×(S0−S1)/π
=R1
2−4×D0×R1+4×D0×R0−R0
2
=(R1−R0)(R1+R0−4D0)
となるために、S0−S1=0となる解R1は、
[数6]
R1=R0,(4D0−R0)
である。
【0067】
図9、
図10に示すようにR1はR0よりも小径であるために、R0>R1の範囲で数式4を満たすR1が存在するためには、
[数7]
D0<(R0/2)
となること、すなわち、入射光調節部6Bの厚みD0が回転軸部材11Bの半径(R0/2)よりも小さいことが必要である。
【0068】
本実施形態は、入射光調節部6Bの厚みD0を薄くしたときにも、回転軸部材11Bとの接合強度を確保するためのものであるために、本実施形態の構成が適用される対象については、この数式9は満たされると考えられる。
【0069】
従って、この数式7に示す制限も含めて、
[数8]
(4D0−R0)<R1<R0 {(R0/4)<D0<(R0/2)のとき}
0<R1<R0 {D0≦(R0/4)のとき}
となる範囲内において細径部11bの直径R1を決定すれば、数式4が満たされ、すなわち、従来よりも接合面積を増加させることが可能となる。
【0070】
このような実施形態3によれば、上述した実施形態1,2とほぼ同様の効果を奏するとともに、補強部を回転軸部材11Bと一体に設けたために、入射光調節部6Bを一定の厚みのまま変更する必要がなく、入射光調節部6Bの成形が容易である利点がある。
【0071】
さらに、回転軸部材11Bは軸方向に非対称な形状となるために、入射光調節部6Bに対して、何れの側を接合すべきかを容易に認識することが可能となる。
[実施形態4]
【0072】
図11および
図12は本発明の実施形態4を示したものであり、
図11は入射光調節部6Cおよび回転軸部材11Cの構成を示す分解側面図、
図12は入射光調節部6Cおよび回転軸部材11Cの構成を示す断面図である。
【0073】
この実施形態4において、上述の実施形態1〜3と同様である部分については同一の符号を付すなどして説明を適宜省略し、主として異なる点についてのみ説明する。
【0074】
本実施形態は上述した実施形態3と同様に、補強部を回転軸部材11Cと一体に設けているが、細径部に代えて太径部としたものとなっている。
【0075】
すなわち、回転軸部材11Cは、光軸O方向に垂直な断面積が異なる異径部を有しており、この異径部は本実施形態においてはフランジ状の太径部11dとなっている。
【0076】
そして、回転軸部材11Cにおける太径部11dとそれ以外の外側面11aの部分とを結ぶ、軸方向に垂直な段差面11eが補強部となっており、この段差面11eは、入射光調節部6Cの光軸O方向に垂直な表面(
図11および
図12に示す下面)に接着されている。
【0077】
一方、保持部6cの係合面6dは、上述した実施形態1,2と同様に、回転軸部材11Cの外側面11aと当接する形状であり、太径部11dの外側面に対して接着または圧入により接合される。なお、第2基板4の第2切欠4dは、この太径部11dを介して回転軸部材11Cを軸支するように構成することになる。
【0078】
そして、本実施形態の回転軸部材11Cは、入射光調節部6Cの
図11および
図12に示す下側から、係合面6dを有する孔に挿通して組み付けることになる。
【0079】
このような構成において、
図12に示すように太径部11dの直径をR2とすると、本実施形態における、段差面11eを含めた回転軸部材11Cと入射光調節部6Cとの接合部分の接合面積S1は、次の数式9に示すようになる。
[数9]
S1=π×R0×D0+π×(R2
2−R0
2)/4
【0080】
従って、本実施形態の接合面積S1は、
図17および
図18に示した従来の接合面積S0(数式1参照)よりも、π×(R2
2−R0
2)/4だけ増加したことになる(この増加分は、段差面11eの面積と等しい)。
【0081】
このような実施形態4によれば、上述した実施形態3とほぼ同様の効果を奏するとともに、太径部11dの直径R2を所望に調整することにより、接合面積の増加量を所望にコントロールすることが可能となる利点がある。
[実施形態5]
【0082】
図13〜
図15は本発明の実施形態5を示したものであり、
図13は入射光調節部6Dおよび回転軸部材11の構成を示す斜視図、
図14は入射光調節部6Dおよび回転軸部材11の構成を示す断面図、
図15は入射光調節部6Dの保持部6cとC状突出部6k、および回転軸部材11を光軸O方向から見たときの形状を示す平面図である。
【0083】
この実施形態5において、上述の実施形態1〜4と同様である部分については同一の符号を付すなどして説明を適宜省略し、主として異なる点についてのみ説明する。
【0084】
本実施形態は、上述した実施形態1の
図6に示した保持部6cおよび環状突出部6eに対して、周方向の一部を切り欠いて、回転軸部材11を光軸Oに交差する方向(具体例としては、光軸Oに垂直な方向)から挿入することができるように構成したものとなっている。
【0085】
すなわち、保持部6cは、光軸O方向から見たときに円弧状(C字形状)をなす係合面を備えており、この係合面が回転軸部材11の周面をなす外側面11aと当接する形状部である。そして、この係合面の周方向の一部には切欠部が形成されていて、係合面および切欠部を合わせると、光軸O方向から見て略U字状をなす略U字状切欠6iとなっている。
【0086】
また、回転軸部材11と入射光調節部6Dとの接合部分の接合面積を増加させるための補強部として、保持部6cの略U字状切欠6iの縁部から光軸O方向にC状突出部6kが設けられている。このC状突出部6kも、光軸O方向から見たときに上述した略U字状切欠6iと同一形状をなす、略U字状切欠6jを備えている。この略U字状切欠6jの内部が、回転軸部材11の周面をなす外側面11aと当接するC字形状の第2係合面となっていることも、上述した略U字状切欠6iと同様である。
【0087】
そして、本実施形態の構成において、入射光調節部6Dに回転軸部材11を接合する際には、光軸O方向に交差する方向(例えば光軸O方向に垂直な方向)から回転軸部材11を略U字状切欠6i,6jに挿入して、接着等を用いて接合することになる。
【0088】
なお、
図13および
図15においては、回転軸部材11が入射光調節部6Dから外れ難いようにするために、αをπよりも幾らか大きくしたときの形状を図示している。この形状の場合には、回転軸部材11を略U字状切欠6i,6jに圧入してから、接着等を用いて接合することになる。
【0089】
このような構成において、
図14に示すようにC状突出部6kの光軸O方向の厚みをD2、
図15に示すように略U字状切欠6i,6j内部のC字形状の係合面の、回転軸部材11の軸中心11z周りのラジアンを単位として表した角度をαとすると、本実施形態における、C状突出部6kを含めた入射光調節部6Dと回転軸部材11との接合部分の接合面積S1は、次の数式10に示すようになる。
[数10]
S1=α×(R0/2)×(D0+D2)
【0090】
従って、本実施形態の接合面積S1が、
図17および
図18に示した従来の接合面積S0(数式1参照)よりも増加するための条件(上述した数式4が満たされるための条件)は、次の数式11に示すようになる。
[数11]
α×(R0/2)×(D0+D2)>π×R0×D0
【0091】
角度αについては、回転軸部材11を保持部6cおよび補強部に対して、光軸Oに垂直な方向から挿入可能(必要に応じて圧入可能)であるという条件の下で、可能な限り大きくとるようにすると、形状や材質に応じて、概略の角度は定まってくる。
【0092】
従って、数式11に示した条件式を補強部であるC状突出部6kの厚みD2を決定するための条件式であると読み替えれば、次の数式12に示すように、
[数12]
D2>{(2π/α)−1}×D0
となる。従って、この数式12を満たすように補強部の厚みD2を決定すれば、従来よりも接合面積が増大することが保証される。具体例としてα≒πである場合には、D2>D0とすれば良い。
【0093】
なお、上述では、実施形態1の構成を基礎として切欠部を設ける例を説明したが、実施形態2,4の構成を基礎として切欠部を設けても良い。また、実施形態3の構成の場合には、回転軸部材11の外側面11aの径を大きくしないと、切欠部を設けてもなおかつ従来よりも接合面積が増大するようにするのは幾らか難しいが、可能であれば必要に応じて適用しても構わない。
【0094】
このような実施形態5によれば、上述した実施形態1〜4とほぼ同様の効果を奏するとともに、回転軸部材11を光軸に交差する方向から入射光調節部6Dに取り付けることができるために、組み立ての作業性が向上する利点がある。
[実施形態6]
【0095】
図16は本発明の実施形態6を示したものであり、
図16は入射光調節部6Eおよび回転軸部材11Eの構成を示す断面図である。
【0096】
この実施形態6において、上述の実施形態1〜5と同様である部分については同一の符号を付すなどして説明を適宜省略し、主として異なる点についてのみ説明する。
【0097】
本実施形態の構成は、上述した実施形態3の
図9および
図10に示した構成に類似しているが、段差面に代えてテーパを設けたものとなっている。
【0098】
回転軸部材11Eは、光軸O方向に垂直な断面積が異なる異径部を有しており、この異径部は本実施形態においては細径部11fとなっている。
【0099】
そして、回転軸部材11Eにおける細径部11fとそれ以外の外側面11aの部分とは、軸方向に傾斜したテーパ面11gにより結ばれている。
【0100】
一方、入射光調節部6Eの保持部6cには、回転軸部材11Eのテーパ面11gに当接する形状の係合面であるテーパ受孔6mが形成されており、テーパ面11gとテーパ受孔6mとは接着により接合されて補強部が構成されている。
【0101】
従って、本実施形態の回転軸部材11Eは、入射光調節部6Eの
図16に示す上側から、細径部11f側をテーパ受孔6mに挿通し、テーパ面11gとテーパ受孔6mとを当接させて接着剤等を用いて接合することにより組み付けることになる。
【0102】
このような構成において、細径部11fの直径をR3とすると、本実施形態における、テーパ面11gおよびテーパ受孔6mを介した回転軸部材11Eと入射光調節部6Eとの接合部分の接合面積S1は、次の数式13に示すようになる。
[数13]
S1=π×(R0+R3)/2×√{(R0−R3)
2/4+D0
2}
ここに、記号「√」は、括弧内の平方根をとることを示している。
【0103】
この接合面積S1が上述した数式4の不等式「S1>S0」を満たすR3の範囲を求めることは複雑な計算となるためにここでは割愛し、数式4を満たさない例、および満たす例を挙げることで、条件に応じて従来よりも接合面積を増加させることが可能となる場合があることを証明する。
【0104】
まず、任意単位AU(Arbitrary Unit)[ここに「AU」は「μ」や「mm」などの何れであっても構わない(よりスケールの大きい単位であることを妨げるものではないが、小型撮像機器に適用される光調節装置を想定しているために、ここでは「μ」や「mm」を例に挙げた)]でD0、R0、R3の具体的な数値例を出すことにする。
【0105】
まず、D0=2、R0=4、R3=2の場合、S0=8π、S1=3√5π≒6.7πとなって、数式4の不等式は満たされない。
【0106】
一方、D0=1、R0=4、R3=2の場合、S0=4π、S1=3√2π≒4.2πとなって、数式4の不等式が満たされる。
【0107】
より一般的に、入射光調節部6Eの厚みD0が薄く、テーパがある程度大きく付けられている(R0とR3との差が大きい)場合、つまり、D0≪(R0−R3)となる場合を考えると、数式13は次の数式14に示すように近似される。
[数14]
S1=π×(R0+R3)(R0−R3)/4
【0108】
この数式14を数式1と各因数毎に比較すると、明らかに(R0+R3)>R0が成立し、また上述したD0≪(R0−R3)の場合であれば、D0<(R0−R3)/4も成立すると考えられる。従って、数式14の近似が成り立つ条件の場合には、数式4の不等式はほぼ満たされると考えられる。
【0109】
こうして、本実施形態の構成が適用される対象については、多くの場合に数式4を満たすように構成可能であることが分かる。
【0110】
なお、上述では実施形態3の
図9、
図10に示したような細径部を形成した例を説明したが、細径部に代えて実施形態4の
図11、
図12に示したような太径部を形成して、この太径部に対してテーパをなす面を形成しても構わない。
【0111】
このような実施形態6によれば、上述した実施形態3(太径部を形成する場合には上述した実施形態4)とほぼ同様の効果を奏することが可能となる。
【0112】
なお、上述した各実施形態においては、駆動部2として、回転軸部材11等が軸磁石であり、この回転軸部材11等をコイル13を巻回したコイル芯材12により磁気的に回動する例を説明したが、入射光調節部6等と回転軸部材11等との接合部に補強部を設けることに対して適用可能な駆動部2の構成は上記例に限定されるものではなく、圧電素子やその他の駆動源を用いた構成であっても構わない。従って、回転軸部材11等は駆動部2の一部を構成しても良いが、構成しなくても構わない。
【0113】
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明の態様を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。このように、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることは勿論である。