(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回転駆動される回転体の周囲に設けられて、該回転体と共に回転する複数の計量器を備え、前記回転体を回転させながら、前記計量器の回転移動経路の供給位置で前記計量器に被計量物を落下供給し、落下供給された被計量物の重量を前記計量器の荷重センサによって計量する回転式計量装置であって、
前記複数の各計量器にそれぞれ設けられた当接部材と、
前記計量器と共に回転移動する前記当接部材の移動経路の一部に固定配置されて、回転移動する前記当接部材を受け止め支持すると共に、その受け止め支持を解除する支持部材とを備え、
前記支持部材が固定配置される前記移動経路の前記一部が、前記供給位置よりも前記回転体の回転方向の上手側の、被計量物が前記計量器に落下供給される前の位置から、前記供給位置で落下供給された被計量物の重量を前記計量器の荷重センサによって計量する計量領域よりも前記回転方向の前記上手側の位置までに亘り、
前記支持部材は、前記供給位置で被計量物が落下供給される前記計量器の当接部材を、受け止め支持して前記荷重センサの変位を規制する、
ことを特徴とする回転式計量装置。
【背景技術】
【0002】
かかる回転式計量装置として、例えば、特許文献1に開示されているように、縦向きの軸心を中心にして水平に回転する回転台の周囲に複数の計量器を設け、回転台を回転させながら各計量器に供給される被計量物の重量を測定してその重量ランクを判定し、判定した重量ランクに対応する所定の振分け位置で被計量物を排出して選別する回転式の重量選別機がある。
【0003】
上記構成の回転式計量装置においては、供給コンベヤで搬送されてきた被計量物が計量器に備えられた計量皿に落下供給されるので、その落下供給時に発生した衝撃荷重が計量皿を介して荷重センサに伝えられ、荷重信号に大きな外乱信号が生じる。
【0004】
そこで、荷重センサからの荷重信号を処理する測定回路にフィルタを設けることで外乱振動信号を減衰させ、衝撃荷重による影響を極力抑制した状態で計測を行うようにしている。そして、被計量物の供給によって、荷重センサや計量皿からなる秤系のバネ定数と質量に応じた周波数に基づく固有振動が発生するので、この固有振動信号を最も大きく減衰させるようにフィルタの特性が選択設定される。
【0005】
しかしながら、被計量物を、計量皿に供給したときに発生する大きな衝撃荷重により秤系に大きなステップ信号が入力されると共に、被計量物は必ずしも一定姿勢で計量皿に落下供給されるとは限らないので、落下による衝撃力が鉛直方向のみに作用せずに、秤系に種々の方向の捻りモーメントを与えるように作用することがある。このため、秤系に鉛直方向の荷重が作用した場合のバネ定数より小さいバネ定数によって、上記固有振動とは異なる低い周波数による固有振動が複合的に発生して、荷重信号に外乱信号として含まれる場合も生じる。
【0006】
従って、適切な荷重信号を得るためには、複数種類の、かつ、低周波数の信号振動をも減衰させるフィルタが必要となるのであるが、減衰対象とする周波数の種類が多いほど、また、低周波数信号に対する減衰効果が大きいほど応答が遅くなり、所定の時間内にピークの大きい外乱信号を所定の精度内に収束させることが困難となる。
【0007】
このため、例えば、特許文献2には、計量ホッパへ被計量物を供給した際に、衝撃に起因する外乱信号の発生を抑制して高い精度での計量を行うための手段が提案されている。この手段においては、ロードセルからなる荷重センサの遊端側に、計量ホッパを連結支持し、荷重センサの遊端側下方に、回転カム状のストッパを回転制御可能に配備している。そして、計量ホッパへ被計量物が供給される時点では、ストッパで荷重センサの遊端側を当接支持するようにストッパの回転位相を制御することで、衝撃によって荷重センサが変位するのを阻止することで、大きい外乱信号が発生することを抑制し、その後、外乱信号が発生しないようにストッパの回転制御によって当接支持を徐々に解除して荷重センサの変位を許容するようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のように、被計量物の供給時点で荷重センサの変位を機械的に阻止し、その後、荷重センサの変位を徐々に許容することで、被計量物の供給の衝撃に起因する外乱等の発生を十分抑制して、高い精度での計量を行うことができる。
【0010】
しかしながら、上記特許文献2の構成を、回転式計量装置に適用しようとすると、回転台に装備された多数の計量器それぞれにストッパおよびこれを回転駆動するモータ等の駆動手段やその制御手段を備える必要があり、設備コストが大幅に増大することになり、実用上には難点がある。
【0011】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、構造簡単で安価に製作できるものでありながら、被計量物の供給の衝撃に起因する外乱等の発生を十分抑制して、高い精度で計量を行うことができる回転式計量装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明では、次のように構成している。
【0013】
(1)本発明は、回転駆動される回転体の周囲に設けられて、該回転体と共に回転する複数の計量器を備え、前記回転体を回転させながら、前記計量器の回転移動経路の供給位置で前記計量器に被計量物を
落下供給し、
落下供給された被計量物の重量を前記計量器の荷重センサによって計量する回転式計量装置であって、
前記複数の各計量器にそれぞれ設けられた当接部材と、
前記計量器と共に回転移動する前記当接部材の移動経路の一部に固定配置されて、回転移動する前記当接部材を受け止め支持すると共に、その受け止め支持を解除する支持部材とを備え、
前記支持部材が固定配置される前記移動経路の前記一部が、前記供給位置よりも前記回転体の回転方向の上手側の、被計量物が前記計量器に落下供給される前の位置から、前記供給位置で落下供給された被計量物の重量を前記計量器の荷重センサによって計量する計量領域よりも前記回転方向の前記上手側の位置までに亘り、
前記支持部材は、前記供給位置で被計量物が
落下供給される前記計量器の当接部材を、受け止め支持して前記荷重センサの変位を規制する。
【0014】
本発明の回転式計量装置によると、計量器が移動経路における供給位置で被計量物の供給を受ける際には、計量器に設けた当接部が固定配置された支持部材に受け止め支持されて荷重センサの変位が規制されるので、被計量物の供給による衝撃で荷重センサが変位するのが規制され、衝撃による外乱の発生が抑制される。
【0015】
しかも、支持部材は、計量器と共に回転移動する当接部材の移動経路の一部に固定配置さるので、回転駆動される回転体の回転によって、回転移動する複数の各計量器の各当接部材は、共通の支持部材による受け止め支持及びその解除が順次になされることになり、回転体を回転駆動するための駆動手段以外に、当接部材や支持部材を駆動する駆動手段やその制御手段等を必要とせず、簡単かつ安価に製作することができる。
【0016】
本発明の
参考例では、前記支持部材は、前記被計量物が供給された後に、前記荷重センサの1自由度系への荷重負荷応答時に発生する振動における下降速度よりも遅い下降速度で前記荷重センサを連続的に下降変位させるように、前記当接部材の受け止め支持を解除する。
【0017】
この
参考例によると、被計量物が供給された後には、荷重センサの1自由度系への荷重負荷応答時に発生する振動における下降速度よりも遅い下降速度で前記荷重センサを連続的に下降変位させるように、当接部材の受け止め支持を解除するので、受け止め支持の解除に伴う過渡応答振動の発生がより小さく抑制される。
【0018】
本発明の
参考例では、前記支持部材は、回転移動する前記当接部材の受け止め支持を、当該当接部材の計量器が、該計量器に供給された被計量物の重量を荷重センサによって計量する計量位置に到達する前に解除する。
【0019】
この
参考例によると、計量器に供給された被計量物の重量を、荷重センサによって計量する計量位置では、支持部材による受け止め支持が解除されて荷重センサの変位が許容される自由状態となるので、被計量物の荷重が正しく荷重センサに印加されて、被計量物を精度良く計量することができる。
【0020】
(
2)本発明の他の実施態様では、前記当接部材の当接部位の高さを調節する調節手段を備える。
【0021】
この実施態様によると、各計量器の製作誤差や組立て誤差によって当接部材の高さに差異が生じていても、共通の支持部材に対して各計量器の当接部材を適正な高さでそれぞれ接触作用するよう調整することができる。これによって、各計量器における衝撃支持性能を好適かつ十分に発揮させて、計量器ごとの計量精度を均一にすることができる。
【0022】
(
3)本発明の他の実施態様では、前記当接部材を遊転自在なローラで構成し、このローラを前記支持部材で転動移動可能に支持する。
【0023】
この実施態様によると、回転移動する計量器に設けられた当接部材としてのローラを、支持部材で受け止め支持しながら円滑に移動させることができ、ローラが支持部材に対して移動する際に振動が発生することを回避し、安定した状態で被計量物の供給に備えることができると共に、被計量物が供給された後に支持部材から安定した状態で離脱させることができる。
【0024】
(
4)上記(
3)の実施態様では、前記支持部材は、前記ローラを受け止め支持して前記荷重センサの変位を規制する水平規制面を有すると共に、該水平規制面の始端側および終端側に前記ローラを案内する案内傾斜面を有する構成としてもよい。
【0025】
この実施態様によると、計量器のローラが支持部材の水平規制面を転動移動する際、ローラは、案内傾斜面によって衝撃なく円滑に支持部材に乗り上がり、被計量物の供給に備えることができる。また、計量器が被計量物の供給を受けた後、支持部材から離脱する際も、計量器のローラは案内傾斜面によって衝撃なく円滑に支持部材から離脱することができ、過渡応答振動などの外乱の発生を効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0026】
このように、本発明によれば、被計量物が供給される際の衝撃に影響されることなく、精度の高い計量を行うことができる回転式計量装置を構造簡単かつ安価に製作することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0029】
この実施形態では、回転式計量装置として、回転式重量選別機に適用して説明する。
【0030】
図1は、本発明の実施形態に係る回転式重量選別機の概略構成を示す平面図であり、
図2は、
図1の計量器付近を拡大した平面図であり、
図3は、
図1の計量器付近の縦断面図である。
【0031】
この回転式重量選別機1は、回転中心x回りに
図1の矢符方向へ所定の回転速度で回転する回転台2を備え、この回転台2の周囲には、回転台2と一体に回転する複数(この例では16台)の計量器3が、等間隔で取り付けられている。
【0032】
各計量器3は、
図3に示すように回転台2に連結固定した支持ブラケット4に内側基端部を連結支持されたロードセル等からなる荷重センサ5と、この荷重センサ5の外側遊端部に外向き片持ち状に連結支持された計量皿6とを備えている。
【0033】
計量皿6は、
図2,
図3に示すように、荷重センサ5の遊端側に連結支持された基端側ブラケット7に、互いに対向する一対の受け板6aを、回動支軸8を介して下方に揺動開放可能に支持して構成されており、図示されていないエアシリンダなどのアクチュエータによって開閉駆動されるようになっている。
【0034】
海産物や農産物等、例えば、魚等の被計量物wは、
図1に示すように、供給コンベヤ9によって計量器3の回転移動経路上方にまで搬入され、所定の回転移動位置に到達した計量器3の計量皿6に落下供給される。供給コンベヤ9は、被計量物wを1個ずつ収容載置する載置領域が桟等によって所定の間隔で仕切られており、収容載置した被計量物wを矢符方向へ水平搬送する。ここで、計量器3の移動速度と供給コンベヤ9の搬送速度とが同期制御されており、供給コンベヤ9の搬送終端下方の供給領域に回転移動してきた各計量器3の計量皿6へ被計量物wが順次1個ずつ落下供給される。
【0035】
供給コンベヤ9から計量器3の計量皿6に供給された被計量物wは、回転台2の回転に伴って計量領域を移動しながら、その重量が荷重センサ5によって計測され、計測された重量値及び予め設定された境界重量値に基づいて、重量ランクが判定される。
【0036】
この実施形態では、8つの重量ランクのいずれかに判定され、重量ランクが判定された被計量物wは、
図1に示される円周方向に沿う排出領域において、判定された重量ランクに対応する所定の振分け位置にて、計量皿6の下方開放作動によって排出され、排出シュート10を介して振分けられる。
【0037】
計量器3に被計量物wが落下供給される際には、落下衝撃が発生することになり、この衝撃が荷重センサ5に悪影響を及ぼすのを抑制するために、以下に示すような構造が備えられている。
【0038】
すなわち、
図2及び
図3に示すように、各計量器3における計量皿6の遊端側には、両受け板6aの支軸8を回動自在に支持するステー11が備えられており、このステー11の中央部に、当接部材としてのローラ12がブラケット13を介して遊転自在に軸支されている。このローラ12は、荷重センサ5に比べると変形が無視できるほど硬い材料、例えば、金属、合成樹脂から構成される。
【0039】
ステー11とブラケット13との間には、
図4に示すように各種厚さのスペーサプレート(シム板)14が介在され、スペーサプレート14の組合せ厚さの変更によってローラ12の下端高さを調整して、無荷重状態にある全ての計量器3におけるローラ12の下端高さ、つまり、当接部位の高さが一定となるように調節される。
【0040】
計量器3群の移動経路の外側には、丸パイプ材からなる保護フレーム15が支柱(図示せず)を介して固定配置されている。この保護フレーム15に装着固定した連結ブラケット16には、前記ローラ12の移動経路の直下に位置するように、荷重センサ5に比べると変形が無視できるほど硬い金属厚板を湾曲形成した支持部材17が縦壁状に連結固定されている。
【0041】
この実施形態では、支持部材17は、被計量物wが計量器3へ落下供給される供給位置より回転方向の上手側(計量器3へ被計量物wが供給される前の位置)から計量領域より回転方向の上手側(計量器3が計量領域に到達しない位置)に亘る長さの供給領域に固定配置されており、その上端にローラ12を受け止め支持して計量器3の荷重センサ5の下方変位を当接阻止する所定長さの水平規制面S1が備えられている。
【0042】
図5に、ローラ12と支持部材17との相対関係が示されており、図中のaは、計量皿6に被計量物wが載置されていない無負荷状態におけるローラ12の軸心レベル、bは、ローラ12が支持部材17の水平規制面S1に乗り上がった状態におけるローラ12の軸心レベル、cは、計量皿6に被計量物wが静止荷重として載荷されたとしたときの下方に変位した状態におけるローラ12の軸心レベルである。
【0043】
支持部材17における上記水平規制面S1の始端位置P2の前方(回転方向の上手)、および、水平規制面S1の終端位置P3の後方(回転方向の下手)には、緩い傾斜で案内傾斜面S2,S3がそれぞれ連設されている。計量器3のローラ12が始端側の上りの案内傾斜面S2を介して円滑に水平規制面S1に乗り上がり、また、終端側の下りの案内傾斜面S3を介して水平規制面S1から円滑に離れてゆくようになっている。
【0044】
この実施形態では、支持部材17は、始端位置P2から終端位置P3に至る水平規制面S1が、計量器3の計量皿6への被計量物wの落下供給の動作が開始されてから動作が完了するまでの計量器3のローラ12の移動経路となるように配置される。
【0045】
なお、被計量物wの計量器3の計量皿6への落下供給の動作が開始されるタイミング、厳密に言えば、被計量物wが計量皿6上へ到達するタイミングは、計量器3のローラ12が、支持部材17の案内傾斜面S2に到達していれば、水平規制面S1の始端位置P2に到達していなくてもよい。
【0046】
この実施形態では、計量器3の計量皿6が、被計量物wの供給領域に到達すると、ローラ12が支持部材17の上りの案内傾斜面S2を経て水平規制面S1に乗り上がって転動移動し、ローラ12の下方変位が阻止されている間、つまり、ローラ12が水平規制面S1に乗り上がっている間に、被計量物wが計量器3の計量皿6に落下供給される。
【0047】
もし、支持部材17が無く、計量器3に供給される被計量物wの荷重が静止荷重であったとすると、計量器3のローラ12は、その軸心レベルが、無負荷状態の軸心レベルaよりも下方の上記軸心レベルcの上下方向に振動しながら、静止荷重位置である軸心レベルcで振動が収束する。すなわち、計量器3の荷重センサ5は、被計量物wが上方から載荷されたときに、無荷重位置よりも下方であって、被計量物wの静止重量に対応する静止荷重位置の上下方向に振動しながら、静止荷重位置で振動が収束する特性を有する。
【0048】
実際には、衝撃荷重が加わるので、支持部材17が無かったとすると、計量器3のローラ12は、その軸心レベルが、上記軸心レベルcよりも遥かに下のレベルまで降下するところ、支持部材17の水平規制面S1によって、ローラ12の下向き荷重が受け止め支持されるので、ローラ12は、その軸心レベルが、上記軸心レベルbよりも下方へ変位することがない。同時にローラ12と共に計量皿6及び荷重センサ5を含む秤系も変位することがなく、また、捻りモーメントを受けることもない。
【0049】
このように被計量物wの落下供給によって衝撃が発生するが、荷重センサ5を含む計量器3全体の下方変位が阻止されているので、荷重センサ5への衝撃伝達が抑制され、衝撃荷重の発生による秤系の大きい外乱信号、つまり、荷重信号におけるピークや、捩れ現象などによって生じる種々の周波数の外乱ノイズ信号の発生を抑制することができる。ここで、
図5の支持部材17において、水平規制面S1の終了する位置を、出力端部Aとし、案内傾斜面S3がないとすると、ローラ12が出力端部Aまで移動した時点で被計量物の載置された計量皿の荷重をステップ入力とする信号が荷重センサに加わることにより、秤系に振動信号が発生するが、支持部材17がなく、被計量物を直接、計量皿上に落下させる場合の衝撃力よりは、遥かに小さい衝撃力で済ませることができる。
【0050】
しかし、より好ましい構成として、被計量物wが供給された計量器3が、水平規制面S1の終端位置P3の近くにまで移動すると、ローラ12が水平規制面S1から終端側の緩やかな下りの案内傾斜面S3にかかり、ローラ12は軸心レベルbから案内傾斜面S3に沿って少しずつ下方変位し、ついには軸心レベルcにまで下方変位し、それ以降は、案内傾斜面S3から離脱するような構成とする。このとき、ローラ12の下方変位は、ローラ12と共に計量皿6及び荷重センサ5を含む秤系の固有振動周期で決まる応答に対して、十分に遅い速度で下方変位させる。つまり、荷重センサ5には重量負荷が緩やかなランプ入力として印加されることになり、荷重センサ5は、秤系の固有振動周期で決まる応答に対して、十分に遅い速度で連続的に下方変位する。計量領域においては、ローラ12が案内傾斜面S3から離れた後、所定の時間を見込んで荷重信号から重量値を取得する。
【0051】
なお、水平規制面S1の終端位置P3から、ローラ12が案内傾斜面S3から離脱を開始する離脱位置P4までの水平走行距離Lは、計量器3の回転移動速度と、計量皿6に最も重い荷重が作用した場合のローラ12が軸心レベルbから軸心レベルcまでの下方変位量と、荷重センサ5を含む秤系の固有振動数とに基づいて設定する。つまり、秤系にステップ荷重が加わる場合、秤系の応答がピーク荷重に到達するために要する時間tは、秤系の固有振動数の約1/2周期であるから、この時間tの数倍程度の時間をかけて前記水平走行距離Lを移動するように設定すると、規制解除に伴う過渡応答振動をもたらすことなくローラ12を支持部材17から離脱させることができる。
【0052】
具体的には、前記水平走行距離Lを、例えば次のようにして決定する。
【0053】
図5において、ローラ12が水平走行の後に水平規制面S1の終端位置P3から下りの案内傾斜面S3を走行し、離脱位置P4で案内傾斜面S3から離脱させるとした場合に必要な水平走行距離L(mm)は、
ローラ12の回転中心xからの回転半径r=1000mmとする。
【0054】
回転円周の長さ=2・π・1000(mm)
計量器3の回転速度が最大で20rpm=1/3rpsとする。
【0055】
ローラ12の移動速度v=2・π・1000/3 (mm/sec)
=2・π/3 (mm/msec)
また、荷重センサを含む秤系、つまり、1自由度振動系の固有振動数を25Hz、1周期=40msecの所要時間であるとする。
【0056】
秤系にステップ荷重が加わる場合に、秤系の応答がピーク荷重まで到達するために要する時間は固有振動周期の約1/2周期(=20msec)であるから、水平規制面S1の終端位置P3から離脱位置P4まで案内傾斜面S3を走行する時間を、例えば、この時間の4倍の所要時間を見込んで80msecとする。つまり、80msecかけて静止荷重の変位位置まで下降するようにする。
【0057】
このとき下り傾斜をなす案内傾斜面S3の直線距離Lは、
L=(2・π/3)・80=(160・π)/3 mm
であるから、水平距離にして少なくともLmm以上の下り傾斜長さを持つ支持部材17を設ける。
【0058】
また、傾斜量を決めるための高さの変化量Dは、軸心レベルbと軸心レベルcの差で決まるが、計量皿6へ載置される被計量物の静止重量による荷重センサの変位、すなわち、軸心レベルaと軸心レベルcの差が、例えば80μmであるとすると、80μmを超える値、例えば100μm程度に設定して傾斜寸法を決定する。要するに計量に使用する最も重い被計量物の静止重量を負荷した場合に荷重センサが変位する値の大きさを超える値に設定すればよい。
【0059】
以上のように、この実施形態によれば、計量器3が供給領域で被計量物wの供給を受ける際には、計量器3に設けたローラ12が固定配置された支持部材17に受け止め支持されて荷重センサ5の変位が規制されるので、被計量物wの供給による衝撃で荷重センサ5が変位するのが規制され、衝撃による外乱の発生が抑制される。その後、荷重センサ5の1自由度系への荷重負荷応答時に発生する振動における下降速度よりも遅い下降速度で荷重センサ5を連続的に下降変位させるように、ローラ12の受け止め支持を解除する、すなわち、支持部材17から離脱するので、離脱に伴う外乱信号の発生を極めて小さく抑制することができる。
【0060】
このように支持部材の離脱時には、大きなステップ荷重も作用しないので、荷重信号に含まれる振動信号を減衰させるフィルタとして、種々の周波数に対応する複数種類の、かつ、平滑特性が大きく、応答時間の長いフィルタを用いる必要がなく、計量皿6への被計量物wの供給が完了してから短い時間で高精度に被計量物wの重量値を取得することが可能となる。
【0061】
しかも、回転駆動される回転台2の回転によって、回転移動する複数の各計量器3の各ローラ12は、共通の支持部材17による受け止め支持及びその解除が順次になされることになり、回転台2を回転駆動するための駆動手段以外に、ローラ12や支持部材17を駆動する駆動手段やその制御手段等を必要とせず、簡単かつ安価に製作することができる。
【0062】
[他の実施形態]
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0063】
(1)
図6に示すように、当接部材としてのローラ12を、計量器3における計量皿6の基端側に備えるとともに、このローラ12を受け止め支持する支持部材17を固定配置することもできる。
【0064】
(2)当接部材としてのローラ12を、計量器3における計量皿6の基端側と遊端側にそれぞれ備えるとともに、これらに対応する支持部材17を内外に固定配置して、計量皿6を内外の2箇所で確実に受け止め支持するように構成することもできる。
【0065】
(3)計量器3側の当接部材として、下端辺に上記した水平規制面S1と始端側の傾斜面S2、および、終端側の傾斜面S3を下向きに備えた厚板状の当接部材を、計量皿6の外側遊端部に設けるとともに、この当接部材の下端面に対向する支持部材としてローラを供給位置に配置し、供給位置に到達した計量器3の計量皿6を、計量皿6側の当接部材と固定側のローラとの当接によって受け止め支持することで、衝撃が荷重センサ5に及ぶことを阻止することもできる。