特許第6053455号(P6053455)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6053455
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】多軸ジョイスティック
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/02 20060101AFI20161219BHJP
   G06F 3/0338 20130101ALI20161219BHJP
【FI】
   B25J13/02
   G06F3/0338 412
【請求項の数】3
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-237804(P2012-237804)
(22)【出願日】2012年10月29日
(65)【公開番号】特開2014-87857(P2014-87857A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日鐵住金株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507368685
【氏名又は名称】アクティブリンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100128587
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 一騎
(72)【発明者】
【氏名】高田 亮平
(72)【発明者】
【氏名】藤本 弘道
【審査官】 中田 善邦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−234186(JP,A)
【文献】 特開2006−090551(JP,A)
【文献】 特開平07−148684(JP,A)
【文献】 特開昭62−173184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J1/00−21/02,
G06F3/033−3/039,
F16C11/00−11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者によって把持される操作部と、
前記操作部と接続され、前記操作部の傾き角度を検出する傾き角度検出機構と、
前記操作部の並進位置の変位を検出する並進変位検出機構と、
前記角度検出機構と前記並進変位検出機構との間に設けられ、前記操作部を傾ける動作が前記操作部の並進位置の変位に与える影響をキャンセルするキャンセル機構と、
を備え
前記キャンセル機構は、前記操作者の手首を保持する手首ホールダーを有し、
前記手首ホールダーは、前記傾き角度検出機構及び前記並進変位検出機構のそれぞれに対して相対的に回動可能である回転体を有し、前記操作者の手首周りの回転が前記手首の並進位置の変位に与える影響をキャンセルし、
前記回転体は球体であり、
前記手首ホールダーは、ハウジングを更に有し、
前記ハウジングの内部の空洞部には、前記球体が回動可能に収容され、
前記ハウジング及び前記球体には、前記ハウジング及び前記球体を貫通して形成され、前記手首を保持する保持空間が設けられ、
前記球体の中心の位置は、前記ハウジングに対して変化しない
ことを特徴とする多軸ジョイスティック。
【請求項2】
前記並進変位検出機構は、第1軸方向の前記操作部の並進位置の変位を検出する第1の並進位置検出部と、前記第1軸と直交する第2軸方向の前記操作部の並進位置の変位を検出する第2の並進位置検出部と、前記第1軸及び前記第2軸と直交する第3軸方向の前記操作部の並進位置の変位を検出する第3の並進位置検出部と、を有し、
前記傾き角度検出機構は、第4軸周りの前記操作部の回転角度を検出する第1の回転角度検出部と、前記第4軸と直交する第5軸周りの前記操作部の回転角度を検出する第2の回転角度検出部と、前記第4軸及び前記第5軸と直交する第6軸周りの前記操作部の回転角度を検出する第3の回転角度検出部と、を有する
ことを特徴とする、請求項に記載の多軸ジョイスティック。
【請求項3】
前記保持空間は、前記ハウジング及び前記球体に設けられる溝によって形成される
ことを特徴とする、請求項に記載の多軸ジョイスティック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多軸ジョイスティックに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、化学プラントや製鉄プラント等での製造工程においては、操作者の遠隔操作によって駆動する遠隔操作装置(ロボット)の使用が普及しつつある。
【0003】
遠隔操作装置としては、例えばマニュピュレータやロボットアームが挙げられる。操作者は、例えば、操作入力装置を用いて、マニュピュレータの先端に設けられる先端ツールに対して、位置入力、姿勢入力を行う。ここで、位置入力とは、作業対象物に対する先端ツールの相対的な位置を制御するための入力であり、姿勢入力とは、作業対象物に対する先端ツールの相対的な向き(姿勢)を制御するための入力である。
【0004】
また、遠隔操作装置の操作入力装置としては、例えばマスターアームやジョイスティックが用いられる。例えば、マスターアームは、操作者の操作の動きに対応してスレーブアームを動かすことができるため、直感的な操作を実現でき、操作性が高い。しかし、その反面、細かい操作が困難であり、また、操作入力装置の構造も大きなものとなってしまうという欠点があった。
【0005】
一方、ジョイスティックは、マスターアームに比べてコンパクトな構成を有するため、高速動作や微小な入力が可能になる。例えば、下記特許文献1には、グリップの並進位置と傾き角度を検出して、6軸分の入力情報を得ることができる、操作装置が開示されている。また、下記特許文献2には、腕を載せるアームとアームの先端に取り付けられるグリップとを備え、操作者の腕及び手首の関節機構に応じた回転角度を検出することができる多軸ジョイスティックが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−57783号公報
【特許文献2】特開平4−129682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、ひとつのジョイスティックが多数の検出軸を備える場合には、その操作に一定の経験を必要とする。従って、一般的に、ひとつのジョイスティックで同時操作入力を行うことができるのは、3軸程度までとされてきた。
【0008】
例えば、特許文献1に記載の操作装置は6つの検出軸を有するが、操作者が、グリップの並進位置(グリップが並進方向に移動した位置)とグリップの傾き角度とを厳密に個別分離して入力することは困難であった。例えば、操作者が、グリップの並進位置は変えずに傾きだけを変えようとした場合であっても、人体の構造上、グリップを傾けることによって回転中心の位置、例えば手首の位置が自然と移動するため、グリップの並進位置に変位が生じてしまう。従って、操作者の意図に反した入力がなされてしまい、繊細な入力の妨げとなっていた。
【0009】
また、例えば、特許文献2に記載の多軸ジョイスティックは、5つ又は6つの検出軸を有する。しかし、位置入力が操作者の腕の回転角度、例えば肘を中心とした回転角度によって行われるため、位置入力の基準点が明確でなく、直線的な位置入力を行うには不適当であった。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、位置入力と姿勢入力とを、より正確に行うことが可能な、新規かつ改良された多軸ジョイスティックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、操作者によって把持される操作部と、前記操作部と接続され、前記操作部の傾き角度を検出する傾き角度検出機構と、前記操作部の並進位置の変位を検出する並進変位検出機構と、前記角度検出機構と前記並進変位検出機構との間に設けられ、前記操作部を傾ける動作が前記操作部の並進位置の変位に与える影響をキャンセルするキャンセル機構と、を備える多軸ジョイスティックが提供される。
【0012】
また、前記キャンセル機構は、前記操作者の手首を保持する手首ホールダーを有し、前記手首ホールダーは、前記操作者の手首周りの回転が、前記手首の並進位置の変位に与える影響をキャンセルしてもよい。
【0013】
また、前記手首ホールダーは、前記傾き角度検出機構及び前記並進変位検出機構のそれぞれに対して相対的に回動可能である回転体を有してもよい。
【0014】
また、前記手首ホールダーは、ハウジングと、前記ハウジングの内部の空洞部に回動可能に収容される球体と、を有し、前記ハウジング及び前記球体には、前記ハウジング及び前記球体を貫通して形成され、前記手首を保持する保持空間が設けられ、前記球体の中心の位置は、前記ハウジングに対して変化しなくてもよい。
【0015】
また、前記並進変位検出機構は、第1軸方向の前記操作部の並進位置の変位を検出する第1の並進位置検出部と、前記第1軸と直交する第2軸方向の前記操作部の並進位置の変位を検出する第2の並進位置検出部と、前記第1軸及び前記第2軸と直交する第3軸方向の前記操作部の並進位置の変位を検出する第3の並進位置検出部と、を有し、前記傾き角度検出機構は、第4軸周りの前記操作部の回転角度を検出する第1の回転角度検出部と、前記第4軸と直交する第5軸周りの前記操作部の回転角度を検出する第2の回転角度検出部と、前記第4軸及び前記第5軸と直交する第6軸周りの前記操作部の回転角度を検出する第3の回転角度検出部と、を有してもよい。
【0016】
また、前記保持空間は、前記ハウジング及び前記球体に設けられる溝によって形成されてもよい。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、並進変位検出機構と傾き角度検出機構との間にキャンセル機構が設けられ、当該キャンセル機構が、操作部を傾ける動作が操作部の並進位置の変位に与える影響をキャンセルする。従って、位置入力操作と姿勢入力操作とを、より正確に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る多軸ジョイスティックの一構成例を示す概略斜視図である。
図2A】本実施形態に係る多軸ジョイスティックの一構成例を示す概略斜視図である。
図2B図2Aに示す多軸ジョイスティックの検出軸を示す概略斜視図である。
図3A】本実施形態に係る傾き角度検出機構及びキャンセル機構の一構成例を示す上面図である。
図3B】本実施形態に係る傾き角度検出機構及びキャンセル機構の一構成例を示す側面図である。
図3C】本実施形態に係る傾き角度検出機構及びキャンセル機構の一構成例を示す正面図である。
図4】本実施形態に係るキャンセル機構の一構成例を示す概略斜視図である。
図5A】従来の6軸ジョイスティックにおける、並進変位検出機構及び傾き角度検出機構の座標軸と、操作者の上肢との関係を示す概念図である。
図5B】本実施形態に係る多軸ジョイスティックにおける、並進変位検出機構及び傾き角度検出機構の座標軸と、操作者の上肢との関係を示す概念図である。
図6A】本実施形態に係る多軸ジョイスティックによって操作される遠隔操作装置の一構成例を示す概略図である。
図6B図6Aに示す遠隔操作装置のノズル部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
<1.ジョイスティックの構造>
ここでは、図1図2A、B、図3A〜C及び図4を参照して、本発明の一実施形態に係る多軸ジョイスティックの概略構成について説明する。まず、図1を参照して、本実施形態に係る多軸ジョイスティックの概略構成について説明する。図1は、本実施形態に係る多軸ジョイスティックの一構成例を示す概略斜視図である。ここで、図1においては、本実施形態に係る多軸ジョイスティックの使用方法を明確にするために、操作者も同時に図示している。
【0021】
図1を参照すると、本実施形態に係る多軸ジョイスティック1は、操作部10、傾き角度検出機構20、並進変位検出機構30及びキャンセル機構40を備える。操作部10は、例えば棒状の部材であり、多軸ジョイスティック1を使用する際に操作者によって把持されるグリップである。多軸ジョイスティック1を使用する際は、操作者は、図1に示すように、キャンセル機構40に手首を保持された状態で、操作部10を把持する。操作部10の一端は傾き角度検出機構20に接続される。
【0022】
ここで、以下の説明では、操作者が操作部10を把持するためにキャンセル機構40を介して腕を伸ばす方向のことを、多軸ジョイスティック1の「前」と呼ぶこととする。また、それに対応して、「前」の逆方向を「後ろ」、「前」を向いた状態での左右方向を「左」、「右」と定義する。更に、多軸ジョイスティック1が設置される床面と垂直な方向において、床面に対して多軸ジョイスティック1が設置される方向を「上」、その逆方向を「下」と呼ぶこととする。
【0023】
また、以下の説明においては、これらの方向を座標軸と対応付けて説明する。図1に示すように、多軸ジョイスティック1の「前」方向がx軸の正方向であり、多軸ジョイスティック1の「左」から「右」に向かう方向がy軸の正方向であり、多軸ジョイスティック1の「上」方向がz軸の正方向である。
【0024】
操作者は、操作部10を把持して位置入力及び/又は姿勢入力を行う。操作者は、操作部10を把持した状態で、操作部10を並進移動させることで位置入力を行うことができる。また、操作者は、操作部10を把持した状態で、操作部10を傾けることで姿勢入力を行うことができる。ここで、以下の説明では、操作部10を並進移動させる操作のことを並進操作、操作部10を傾ける操作のことを回転操作と呼ぶこととする。
【0025】
傾き角度検出機構20は、操作部10の回転操作を検出し、遠隔操作装置への姿勢入力を行う。具体的には、傾き角度検出機構20は、操作部10の傾き角度を回転軸周りの回転角度として検出し、検出した回転角度に応じた信号を出力する。傾き角度検出機構20が検出した回転角度に応じて姿勢入力が行われる。傾き角度検出機構20の詳細については、[1.2.傾き角度検出機構の構造]で詳しく説明する。傾き角度検出機構20は、キャンセル機構40を介して並進変位検出機構30と接続される。
【0026】
並進変位検出機構30は、操作部10の並進操作を検出し、遠隔操作装置への位置入力を行う。具体的には、並進変位検出機構30は、操作部10の並進位置の変位を検出し、検出した並進位置の変位に応じた信号を出力する。並進変位検出機構30が検出した並進位置の変位に応じて位置入力が行われる。並進変位検出機構30の詳細については、[1.1.並進変位検出機構の構造]で詳しく説明する。
【0027】
キャンセル機構40は、操作部10を傾ける動作が操作部10の並進位置の変位に与える影響をキャンセルする。すなわち、操作部10の回転操作が、並進操作に及ぼす影響をキャンセルする。具体的には、キャンセル機構40は、回転操作に伴って意図せず生じる操作部10の並進移動が並進位置の変位に与える影響をキャンセルし、操作部10の並進位置を不変に保つ。キャンセル機構40の詳細については、[1.3.キャンセル機構の構造]で詳しく説明する。
【0028】
また、多軸ジョイスティック1は、別に設けられる情報処理装置(図示せず。)と接続されてよい。当該情報処理装置は、例えば制御部を有し、多軸ジョイスティック1を統合的に制御する。例えば、当該制御部は、傾き角度検出機構20が行う、操作部10の回転角度の検出動作を制御する。また、例えば、当該制御部は、並進変位検出機構30が行う、操作部10の並進位置の変位の検出動作を制御する。ここで、検出動作の制御とは、例えば、後述するリニアエンコーダ、ロータリエンコーダ、並進動作制御機器及び回転動作制御機器等の制御である。また、例えば、当該制御部は、検出された回転角度及び/又は並進位置に応じた信号を、操作対象である遠隔操作装置に出力する。
【0029】
ここで、多軸ジョイスティック1に接続される情報処理装置は、例えば一般的なPC(Personal Computer)やサーバ、シーケンサー、プログラマブルロジックコントローラ(PLC:Programmable Logic Controller)等の機器制御装置であってよく、その構成は特に限定されない。以下の説明においては、多軸ジョイスティック1の構成について主に説明し、当該情報処理装置に関する詳細な説明は省略する。
【0030】
以上説明したように、本実施形態に係る多軸ジョイスティック1は、並進変位検出機構30と傾き角度検出機構20との間に、操作部10における回転操作が並進操作に及ぼす影響をキャンセルするキャンセル機構40を備える。従って、姿勢入力を行う際に、意図しない位置入力が行われることを防止することができる。よって、より正確な入力操作を行うことが可能になる。
【0031】
[1.1.並進変位検出機構の構造]
ここからは、多軸ジョイスティック1の各構成部材の詳細について説明する。まず、図2A、Bを参照して、並進変位検出機構30の概略構成について説明する。図2Aは、本発明の一実施形態に係る多軸ジョイスティックの一構成例を示す概略斜視図である。また、図2Bは、図2Aにおける多軸ジョイスティックの検出軸を示す概略斜視図である。ここで、図2A、Bには、本実施形態に係る多軸ジョイスティックの全体構成が図示されているが、ここでは、主に並進変位検出機構30について説明し、その他の構成については後ほど詳しく説明する。
【0032】
本実施形態に係る並進変位検出機構30は、例えば、3つの検出軸を有する。図2A、Bを参照すると、本実施形態に係る並進変位検出機構30は、基台310、第1並進位置検出部320、第2並進位置検出部330及び第3並進位置検出部340を有する。第1並進位置検出部320、第2並進位置検出部330及び第3並進位置検出部340は、それぞれ、操作部10の、第1軸方向、第2軸方向及び第3軸方向の並進位置を検出する機能を有する。ここで、第1軸、第2軸及び第3軸は、互いに直交する3軸であり、例えば、それぞれ、図2A、Bに示すx軸、z軸、y軸に対応している。更に、x軸方向、y軸方向及びz軸方向は、それぞれ、前後方向、左右方向及び上下方向に対応している。
【0033】
基台310は、並進変位検出機構30を床面(設置面)に固定するための台座であり、例えば、略直方体の柱材である。柱状の基台310は床面に立設され、その一端は、例えばビス等で床面に固定される。また、基台310には、第1並進位置検出部320が接続される。
【0034】
上述したように、第1並進位置検出部320は、操作部10の、第1軸方向の並進位置の変位を検出する機能を有する。ここで、第1軸方向は、例えば床面に対して略水平な面内の一方向であってよく、本実施形態においては、図2A、Bに示すx軸方向である。第1並進位置検出部320は、第1基板321及び第1並進部322を有する。
【0035】
第1基板321は、例えば略長方形の面を有する板状の部材であってよい。第1基板321の一面の一部領域は、その長辺方向が第1軸方向と略平行になるように、基台310の一側面に接続される。また、第1基板321の他面、すなわち、基台310と接続された面と逆側の面には、第1軸方向に沿って、2本のガイドレール323a、323bが互いに略平行に設けられる。
【0036】
第1並進部322は、例えば略直方体の部材であり、第1並進部322の一面には、ガイドレール323a、323bに対応する2本の溝324a、324bが形成される。第1並進部322は、溝324a、324bが、それぞれ、ガイドレール323a、323bに嵌合された状態で、第1軸方向に摺動可能に、第1基板321と接続される。
【0037】
ここで、第1並進部322は、第1基板321に対する第1並進部322の並進位置の変位を検出するリニアエンコーダ(図示せず。)を有する。従って、第1並進位置検出部320は、第1並進部322の第1軸方向の並進位置の変位を検出することができる。
【0038】
また、第1並進部322は、自身の動作を制御するための、並進動作制御機器(図示せず。)を更に内蔵していてもよい。ここで、並進動作制御機器は、例えば、摺動動作に一定の抵抗を付与する制御、摺動速度に応じた抵抗を付与する制御、摺動動作のストロークを制限する制御等を行ってもよい。更に、並進動作制御機器は、操作者が操作部10から手を離したときに、第1並進部322が予め定められたニュートラルな位置に移動する制御を行ってもよい。第1並進部322が予め定められたニュートラルな位置に移動する制御には、例えば、スプリングによるセンター戻り機構等が用いられてよい。また、並進動作制御機器が行うこれらの制御の具体的な設定は、操作者の操作感覚に応じて適宜設定されてよい。
【0039】
第1並進位置検出部320には、同様な機構を有する第2並進位置検出部330が接続される。上述したように、第2並進位置検出部330は、操作部10の、第2軸方向の並進位置の変位を検出する機能を有する。ここで、第2軸方向は、例えば、床面に対して略垂直な方向であってよく、本実施形態においては、図2A、Bに示すz軸方向である。第2並進位置検出部330は、第2基板331、第2並進部332、支持部材335、支持棒受け部材336及び支持棒337を有する。
【0040】
第2基板331は、例えば略長方形の面を有する板状の部材であってよい。第2基板331の一面は、その長辺方向が第2軸方向と略平行になるように、第1並進位置検出部320の第1並進部322の一面と固定的に接続される。ここで、第1並進部322の接続面は、溝324a、324bが設けられる面とは逆側の面である。また、第2基板331の他面、すなわち、第1並進部322と接続された面と逆側の面には、第2軸方向に沿って、2本のガイドレール333a、333bが互いに略平行に設けられる。
【0041】
第2並進部332は、例えば略直方体の部材であり、第2並進部332の一面には、ガイドレール333a、333bに対応する2本の溝334a、334bが形成される。第2並進部332は、溝334a、334bが、それぞれ、ガイドレール333a、333bに嵌合された状態で、第2軸方向に摺動可能に、第2基板331と接続される。
【0042】
また、第2並進部332の床面と対向する面には、面内の略中心から床面に向かって延出する支持棒337が設けられる。更に、支持棒337の床面に向かって延出する先端は、管状の支持棒受け部材336に挿入される。ここで、支持棒受け部材336の管の内径は、支持棒337の外径よりも大きく形成されており、支持棒337は、支持棒受け部材336に挿入された状態で、ピストン状に第2軸方向に動くことができる。
【0043】
支持部材335は、板状の部材が略L字状に屈曲されて形成される。支持部材335のL字の短辺に当たる面は、床面と略平行に配設され、支持棒受け部材336の床面方向の一端と接続される。また、支持部材335のL字の長辺に当たる面は、支持棒337及び支持棒受け部材336と略平行に延設され、すなわち、上方向に延設され、その先端は、第2基板331に接続される。
【0044】
つまり、第2基板331に支持部材335を介して支持棒受け部材336が接続され、第2並進部332に支持棒337が接続される。そして、第2並進部332及び支持棒337は、第2基板331、支持部材335及び支持棒受け部材336に対して、相対的に第2軸方向に動くことができる。なお、支持棒337が挿入される支持棒受け部材336の管の内部には、圧縮ばね、ガススプリング等の反力部材が配設されてもよい。当該反力部材が、支持棒337及び支持棒337よりも上部に接続される各部材の重量を支えることにより、操作者が第2並進部332を第2軸方向に移動させる際の負担を軽減することができる。
【0045】
ここで、第2並進部332は、第1並進部322と同様、第2基板331に対する第2並進部332の並進位置の変位を検出するリニアエンコーダ(図示せず。)を有する。従って、第2並進位置検出部330は、第2並進部332の第2軸方向の並進位置の変位を検出することができる。また、第2並進部332は、第1並進部322と同様の並進動作制御機器(図示せず。)を更に内蔵していてもよい。
【0046】
第2並進位置検出部330には、同様な機構を有する第3並進位置検出部340が更に接続される。上述したように、第3並進位置検出部340は、操作部10の、第3軸方向の並進位置の変位を検出する機能を有する。ここで、第3軸方向は、例えば床面に対して略水平な面内で第1軸方向と直交する方向であってよく、本実施形態においては、例えば図2A、Bに示すy軸方向である。第3並進位置検出部340は、第3基板341、第3並進部342を有する。
【0047】
第3基板341は、例えば略長方形の面を有する板状の部材であってよい。第3基板341は、その長辺方向が第3軸方向と略平行になるように、第2並進部332の上面に固定的に接続される。ここで、第3基板341は、例えばその短辺方向が第2軸方向、すなわち床面に対して略垂直な方向と略平行になるように配設されてよい。すなわち、第3基板341は、その長辺に対応する側面が、第2並進部332の上面に接続されてよい。また、第3基板341の一面には、第3軸方向に沿って、2本のガイドレール343a、343bが互いに略平行に設けられる。
【0048】
第3並進部342は、例えば略直方体の部材であり、第3並進部342の一面には、ガイドレール343a、343bに対応する2本の溝344a、344bが形成される。第3並進部342は、溝344a、344bが、それぞれ、ガイドレール343a、343bに嵌合された状態で、第3軸方向に摺動可能に、第3基板341と接続される。また、第3並進部342の上面は、後述するキャンセル機構40の接続基台410の下面(底面)と固定的に接続される。
【0049】
ここで、第3並進部342は、第1並進部322及び第2並進部332と同様に、第3基板341に対する第3並進部342の並進位置の変位を検出するリニアエンコーダ(図示せず。)を有する。従って、第3並進位置検出部340は、第3並進部342の第3軸方向の並進位置の変位を検出することができる。また、第3並進部342は、第1並進部322及び第2並進部332と同様の並進動作制御機器(図示せず。)を更に内蔵していてもよい。
【0050】
ここで、操作部10における並進操作が、並進変位検出機構30によって検出される仕組みについて説明する。上述したように、多軸ジョイスティック1を使用する際は、操作者は、キャンセル機構40に手首が保持された状態で、操作部10を把持する。従って、操作者が操作部10を把持した状態で並進操作を行うと、操作者の手首を保持しているキャンセル機構40も、操作部10と同時に並進移動する。
【0051】
まず、操作者が操作部10を把持した状態で、第3軸方向に並進操作を行う場合を考える。この場合、操作部10の並進移動に応じて、キャンセル機構40も同時に第3軸方向に並進移動する。ここで、上述したように、第3並進部342の上面は、後述するキャンセル機構40の接続基台410の下面(底面)と固定的に接続されている。従って、操作者が操作部10を把持した状態で第3軸方向に並進操作を行うと、キャンセル機構40及びキャンセル機構40に固定的に接続されている第3並進部342が、第3基板341に対して第3軸方向に摺動する。従って、第3並進部342が有するリニアエンコーダによって、第3並進部342の第3軸方向の並進位置の変位、すなわち、操作部10の第3軸方向の並進位置の変位が検出される。
【0052】
次に、操作者が操作部10を把持した状態で、第2軸方向に並進操作を行う場合を考える。この場合、操作部10の移動に応じて、キャンセル機構40及びキャンセル機構40に固定的に接続されている第3並進部342も同時に第2軸方向に並進移動する。ここで、第3並進部342は、第3基板341に対して、第3軸方向にのみ摺動可能に接続されている。従って、第3並進部342が第2軸方向に並進移動すると、第3基板341も同時に第2軸方向に並進移動する。ここで、更に、第3基板341は、第2並進部332の上面に固定的に接続されている。従って、第3基板341が第2軸方向に並進移動すると、第2並進部332も同時に第2軸方向に並進移動する。つまり、操作者が操作部10を把持した状態で第2軸方向に並進操作を行うと、操作部10、キャンセル機構40、第3並進部342、第3基板341及び第2並進部332が、同時に第2軸方向に並進移動する。第2並進部332は、第2基板331に対して第2軸方向に摺動可能に接続されているため、第2並進部332が有するリニアエンコーダによって、第2並進部332の第2軸方向の並進位置の変位が検出される。すなわち、操作部10の第2軸方向の並進位置の変位が検出される。
【0053】
最後に、操作者が操作部10を把持した状態で、第1軸方向に並進操作を行う場合を考える。この場合、操作部10の移動に応じて、キャンセル機構40及びキャンセル機構40に固定的に接続されている第3並進部342も同時に第1軸方向に並進移動する。ここで、第3並進部342は、第3基板341に対して、第3軸方向にのみ摺動可能に接続されており、また、第3基板341と固定的に接続されている第2並進部332は、第2基板331に対して、第2軸方向にのみ摺動可能に接続されている。従って、第3並進部342が第1軸方向に並進移動すると、第3基板341、第2並進部332及び第2基板331も同時に第1軸方向に並進移動する。ここで、更に、第2基板331は、第1並進部322の一面に固定的に接続されているため、第2基板331が第1軸方向に並進移動すると、第1並進部322も同時に第1軸方向に並進移動する。つまり、操作者が操作部10を把持した状態で第1軸方向に並進操作を行うと、操作部10、キャンセル機構40、第3並進部342、第3基板341、第2並進部332、第2基板331及び第1並進部322が同時に第1軸方向に並進移動する。第1並進部322は、第1基板321に対して第1軸方向に摺動可能に接続されているため、第1並進部322が有するリニアエンコーダによって、第1並進部322の第1軸方向の並進位置の変位が検出される。すなわち、操作部10の第1軸方向の並進位置の変位が検出される。
【0054】
以上説明した内容をまとめる。本実施形態に係る並進変位検出機構30においては、操作部10が第1軸方向に並進移動する場合には、第1並進部322が第1基板321に対して第1軸方向に摺動する。また、操作部10が第2軸方向に並進移動する場合には、第2並進部332が第2基板331に対して第2軸方向に摺動する。更に、操作部10が第3軸方向に並進移動する場合には、第3並進部342が第3基板341に対して第3軸方向に摺動する。そして、第1並進部322、第2並進部332及び第3並進部342が、それぞれ、自分自身の並進位置の変位を検出することができる。従って、操作部10における並進操作を、並進変位検出機構30によって検出することができる。
【0055】
以上、図2A、Bを参照して説明したように、本実施形態に係る並進変位検出機構30は、操作部10の第1軸方向、第2軸方向及び第3軸方向の並進位置の変位を検出する機能を有する。従って、検出した並進位置の変位に基づいて、遠隔操作装置に対して位置入力を行うことができる。
【0056】
ここで、上記で説明した、並進位置の変位を検出する際の基準位置は、操作者の体格等を考慮して、任意に設定されてよい。また、上述した並進動作制御機器によって制御されるニュートラルな位置が、並進位置の変位を検出する際の基準位置に設定されてもよい。
【0057】
また、上記の説明において、固定的な接続は、例えばビスやボルト等による機械的な接続であってもよいし、接着剤等による化学的な接続であってもよいし、溶接による接続であってもよい。また、固定的な接続がなされる部材同士は一体的に形成されてもよい。
【0058】
[1.2.傾き角度検出機構の構造]
次に、図3A〜Cを参照して、本実施形態に係る傾き角度検出機構20の概略構成について説明する。図3Aは、本実施形態に係る傾き角度検出機構20及びキャンセル機構40の一構成例を示す上面図である。図3Bは、本実施形態に係る傾き角度検出機構20及びキャンセル機構40の一構成例を示す側面図である。図3Cは、本実施形態に係る傾き角度検出機構20及びキャンセル機構40の一構成例を示す正面図である。ここで、キャンセル機構40の概略構成については、[1.3.キャンセル機構の構造]で詳しく説明するため、ここでは、主に傾き角度検出機構20の構成について説明する。
【0059】
本実施形態に係る傾き角度検出機構20は、例えば、3つの検出軸を有する。図3A〜Cを参照すると、本実施形態に係る傾き角度検出機構20は、第1回転角度検出部210、第2回転角度検出部220及び第3回転角度検出部230を有する。第1回転角度検出部210、第2回転角度検出部220及び第3回転角度検出部230は、それぞれ、操作部10の、第4軸方向、第5軸方向及び第6軸周りの回転角度を検出する機能を有する。ここで、第4軸、第5軸及び第6軸は、例えば、操作者が操作部10から手を離したニュートラルな状態において、それぞれ、前後方向、上下方向及び左右方向に対応していてよい。ここで、第4軸、第5軸及び第6軸は、例えば、それぞれ、図3A〜Cに示すr軸、t軸、s軸に対応している。
【0060】
第1回転角度検出部210は、操作部10の、第4軸周りの回転角度を検出する機能を有する。ここで、第4軸方向は、例えば前後方向であってよく、本実施形態においては、図3A〜Cに示すr軸方向である。すなわち、第1回転角度検出部210は、いわゆるロール角(φ)を検出する。第1回転角度検出部210は、第1アーム部材211及び第1回転部212を有する。
【0061】
第1アーム部材211は、例えば略長方形の面を有する板状の部材が、L字状に屈曲されて形成される。第1アーム部材211は、例えば、当該L字の一辺が前後方向に延設され、他辺が上下方向に延設されるように配設される。
【0062】
第1アーム部材211の前後方向に延設される一辺に当たる面の一端には、操作部10の一端が接続される。また、第1アーム部材211の上下方向に延設される他辺に当たる面の一端は、第1回転部212を介して、第2回転角度検出部220に軸支される。すなわち、第1アーム部材211は、第1回転部212を介して、第2回転角度検出部220に対して回転可能に接続される。なお、ここで、第1回転部212は、その回転軸の方向が、第4軸方向と一致するように配設される。従って、操作者が、操作部10を把持した状態で、操作部10を左右方向に傾ける操作を行うと、第1アーム部材211が、第2回転角度検出部220に対して、第4軸周りに回転する。
【0063】
ここで、第1回転部212は、第2回転角度検出部220に対する第1回転部212の回転角度を検出するロータリエンコーダ(図示せず。)を有する。従って、第1アーム部材211の第4軸周りの回転角度、すなわち、操作部10の第4軸周りの回転角度を検出することができる。
【0064】
また、第1回転部212は、自身の動作を制御するための、回転動作制御機器(図示せず。)を更に内蔵していてもよい。ここで、回転動作制御機器は、例えば、回転動作に一定の抵抗を付与する制御、回転速度に応じた抵抗を付与する制御、回転角度量の上限を定める制御等を行ってもよい。更に、回転動作制御機器は、操作者が操作部10から手を離したときに、第1回転部212が予め定められたニュートラルな角度まで回転する制御を行ってもよい。第1回転部212が予め定められたニュートラルな角度まで回転する制御には、例えば、スプリングによるセンター戻り機構等が用いられてよい。また、回転動作制御機器が行うこれらの制御の具体的な設定は、操作者の操作感覚に応じて適宜設定されてよい。
【0065】
第1回転角度検出部210には、同様な機構を有する第2回転角度検出部220が接続される。上述したように、第2回転角度検出部220は、操作部10の、第5軸周りの回転角度を検出する機能を有する。ここで、第5軸方向は、例えば上下方向であってよく、本実施形態においては、図3A〜Cに示すt軸方向である。すなわち、第2回転角度検出部220は、いわゆるヨー角(ψ)を検出する。第2回転角度検出部220は、第2アーム部材221及び第2回転部222を有する。
【0066】
第2アーム部材221は、例えば略長方形の面を有する板状の部材が、L字状に屈曲されて形成される。第2アーム部材221は、例えば、当該L字の一辺が前後方向に延設され、他辺が上下方向に延設されるように配設される。
【0067】
第2アーム部材221の上下方向に延設される一辺に当たる面の一端には、上述した、第1回転部212を介して、第1アーム部材211が接続される。また、第2アーム部材221の前後方向に延設された他辺に当たる面の一端は、第2回転部222を介して、第3回転角度検出部230に軸支される。すなわち、第2アーム部材221は、第2回転部222を介して、第3回転角度検出部230に対して回転可能に接続される。なお、ここで、第2回転部222は、その回転軸の方向が、第5軸方向と一致するように配設される。従って、操作者が、操作部10を把持した状態で、操作部10を捻る操作を行うと、第2アーム部材221が、第3回転角度検出部230に対して、第5軸周りに回転する。
【0068】
ここで、第2回転部222は、第1回転部212と同様に、第3回転角度検出部230に対する第2回転部222の回転角度を検出するロータリエンコーダ(図示せず。)を有する。従って、第2アーム部材221の第5軸周りの回転角度、すなわち、操作部10の第5軸周りの回転角度を検出することができる。また、第2回転部222は、第1回転部212と同様の回転動作制御機器(図示せず。)を更に内蔵していてもよい。
【0069】
第2回転角度検出部220には、同様な機構を有する第3回転角度検出部230が接続される。上述したように、第3回転角度検出部230は、操作部10の、第6軸周りの回転角度を検出する機能を有する。ここで、第6軸方向は、例えば左右方向であってよく、本実施形態においては、図3A〜Cに示すs軸方向である。すなわち、第3回転角度検出部230は、いわゆるピッチ角(θ)を検出する。第3回転角度検出部230は、第3アーム部材231、第3回転部232及び第4アーム部材233を有する。
【0070】
第3アーム部材231は、例えば略長方形の面を有する板状の部材が、L字状に屈曲されて形成される。第3アーム部材231は、例えば、当該L字の一辺が左右方向に延設され、他辺が上下方向に延設されるように配設される。
【0071】
第3アーム部材231の左右方向に延設される一辺に当たる面の一端には、上述した、第2回転部222を介して、第2アーム部材221が接続される。また、第3アーム部材231の上下方向に延設される他辺に当たる面の一端は、第3回転部232を介して、第4アーム部材233に軸支される。すなわち、第3アーム部材231は、第3回転部232を介して、第4アーム部材233に対して回転可能に接続される。ここで、第3回転部232は、その回転軸が、第6軸と一致するように配設される。
【0072】
また、第4アーム部材233は、例えば略長方形の面を有する板状の部材が、L字状に屈曲されて形成される。第4アーム部材233は、例えば、当該L字の一辺が前後方向に延設され、他辺が左右方向に延設されるように配設される。ここで、第4アーム部材233の前後方向に延設する一辺に当たる面の一端には、上述した、第3回転部232を介して、第3アーム部材231が接続される。また、第4アーム部材233の左右方向に延設される他辺に当たる面の一端は、後述する、キャンセル機構40のハウジング421の外周面に固定的に接合される。
【0073】
従って、操作者が、操作部10を把持した状態で、操作部10を前後方向に傾ける操作を行うと、第3アーム部材231が、第4アーム部材233に対して、第6軸周りに回転する。
【0074】
ここで、第3回転部232は、第1回転部212及び第2回転部222と同様、第4アーム部材233に対する第3回転部232の回転角度を検出するロータリエンコーダ(図示せず。)を有する。従って、第3アーム部材231の第6軸周りの回転角度、すなわち、操作部10の第6軸周りの回転角度を検出することができる。また、第3回転部232は、第1回転部212及び第2回転部222と同様の回転動作制御機器(図示せず。)を更に内蔵していてもよい。
【0075】
以上、図3A〜Cを参照して説明したように、本実施形態に係る傾き角度検出機構20は、操作部10の第4軸周り、第5軸周り及び第6軸周りの回転角度を検出する機能を有する。従って、検出した回転角度に基づいて、遠隔操作装置の姿勢入力を行うことができる。
【0076】
ここで、上記で説明した、回転角度を検出する際の基準位置は、操作者の体格等を考慮して、任意に設定されてよい。また、回転動作制御機器によって制御されるニュートラルな位置が、回転角度を検出する際の基準位置に設定されてもよい。
【0077】
[1.3.キャンセル機構の構造]
次に、図4を参照して、本実施形態に係るキャンセル機構40の概略構成について説明する。上述したように、キャンセル機構40は、操作部10を傾ける動作が前記操作部の並進位置の変位に与える影響をキャンセルする。すなわち、キャンセル機構40は、操作部10の回転操作が、並進操作に及ぼす影響をキャンセルする機能を有する。
【0078】
図4は、本実施形態に係るキャンセル機構40の一構成例を示す概略斜視図である。ここで、図4に示すx軸、y軸、z軸は、図2A、Bに示す座表軸と対応している。
【0079】
図4を参照すると、本実施形態に係るキャンセル機構40は、接続基台410及び手首ホールダー420を備える。接続基台410は、キャンセル機構40を並進変位検出機構30に固定するための台座である。[1.1.並進変位検出機構の構造]で説明したように、接続基台410の下面(底面)は、並進変位検出機構30の第3並進部342の上面と固定的に接続される。
【0080】
接続基台410の上面には、手首ホールダー420が設けられる。手首ホールダー420は、操作者が操作部10を把持する際に、手首を保持する役割を果たす。具体的には、手首ホールダー420には、前後方向(x軸方向)から見て、略U字形状を有する溝が形成されており、操作者の手首が当該溝に差し込まれることで、手首が保持される。ここで、手首ホールダー420に設けられる手首を保持する部位の形状は、当該溝に限定されるものではなく、例えば、貫通孔であってもよい。
【0081】
手首ホールダー420は、例えば、傾き角度検出機構20及び前記並進変位検出機構30のそれぞれに対して相対的に回動可能である回転体を有する。具体的には、手首ホールダー420は、例えば、図4に示すように、ハウジング421及び球体422を有する。ハウジングの底面(z軸の負方向に位置する面)は、接続基台410の上面に固着される。ここで、ハウジング421と球体422は、ハウジング421の内部に球体422が回転可能に収容されることで、いわゆる球面軸受を構成する。すなわち、球体422は、ハウジング421の内部において、ハウジング421に対して相対的に回動することができる。
【0082】
具体的には、ハウジング421は、内部に球体422が回転可能に収容される空洞部を有する。また、ハウジング421の前面及び後面(x軸方向に位置する面)には、当該空洞部と外部とを連通する略円形状の開口部が設けられ、上面(z軸の正方向に位置する面)の一部領域には、同じく、当該空洞部と外部とを連通する、上面を前後方向に貫く開口部が設けられている。更に、これらの開口部は互いにつながり、ひとつの溝を形成している。すなわち、ハウジング421は、前後方向(x軸方向)から見て略U字形状の溝を有する。
【0083】
球体422は、ハウジング421の空洞部に回転可能に収容される。また、球体422には、ハウジング421の溝に対応する溝が形成される。従って、操作者が操作部10を把持する際には、操作者の手首は、ハウジング421の溝及び球体422の溝に同時に差し入れられる。
【0084】
ここで、ハウジング421の空洞部の内壁と、球体422の表面との距離はほぼ0であってよく、すなわち、両者は略接触していてよい。従って、ハウジング421に対して、球体422の中心の位置が相対的に移動することが制限される。ここで、球体422の回転を滑らかにするために、ハウジング421の空洞部の内周面と、球体422の表面との間には、例えばグリス等の潤滑剤が注入されてもよい。あるいは、ハウジング421の空洞部の内周面と、球体422の表面との間には、例えばボールベアリングが設けられてもよい。
【0085】
ここで、キャンセル機構40が有する、操作部10の回転操作が並進操作に及ぼす影響をキャンセルする機能について説明する。上述したように、本実施形態に係るキャンセル機構40は、いわゆる球面軸受の機構を有する。また、キャンセル機構40の手首ホールダー420は、接続基台410を介して、並進変位検出機構30の第3並進部342に固着される。また、更に、キャンセル機構40のハウジング421の一側面には、傾き角度検出機構20の第4アーム部材233が固着される。従って、キャンセル機構40は、傾き角度検出機構20と、並進変位検出機構30との間に設けられる。
【0086】
ここで、例えば操作者が回転操作を行う場合を考える。操作者が操作部10を把持した状態で、例えば右方向に操作部10を傾けたとすると、自然と、腕の延伸方向を回転軸として、操作者の手首が時計回りに回転する。操作時において、操作者の手首は、手首ホールダー420の球体422の溝部に保持されているため、操作部10の右傾に伴い生じる手首の回転は、球体422の回転を引き起こす。ここで、一般的に、操作部10の右傾に伴う手首の回転は、人体の構造上、手首の位置自体の右方向への並進移動を意図せず発生させ得る。しかし、球体422は、球体422を収容するハウジング421に対して、相対的に回動自在に設けられるため、球体422が回転しても、ハウジング421の位置変化に影響を与えない。従って、操作者が操作部10を右に傾けたとしても、ハウジング421の並進位置が変化することはない。よって、本実施形態に係るキャンセル機構40は、操作者の手首周りの回転が、手首の並進位置の変位に与える影響をキャンセルし、操作部10の並進位置を不変に保つ機能を有する。
【0087】
ここで、図5A、Bを参照して、本実施形態に係るキャンセル機構40の機能を、より詳しく説明する。図5Aは、従来の6軸ジョイスティック(例えば上記特許文献1に記載の操作装置)における、並進変位検出機構及び傾き角度検出機構の座標軸と、操作者の上肢との関係を示す概念図である。また、図5Bは、本実施形態に係る多軸ジョイスティックにおける、並進変位検出機構及び傾き角度検出機構の座標軸と、操作者の上肢との関係を示す概念図である。なお、図5A、Bにおいては、操作者の上肢を、「手」、「手首関節」及び「前腕」の3つの部位に概念的に分割して図示している。また、図5A、Bにおいて、破線で示す矢印は、並進変位検出機構及び傾き角度検出機構によって検出される操作部の動きが、操作者の上肢の各部位(手、手首関節、前腕)のうち、いずれの部位の動きに起因して生じるか、という対応関係を概念的に示すものである。
【0088】
まず、図5Aを参照すると、従来の6軸ジョイスティックにおいては、並進変位検出機構、傾き角度検出機構が、それぞれ、操作者の手の動きに伴って生じる操作部(操作者の手によって把持された操作部)の並進変位及び傾き角度を検出する。つまり、従来の6軸ジョイスティックにおいては、操作者の手の動き(操作部の動き)が、並進変位検出機構における座標軸(例えば、図示したX軸、Y軸、Z軸)と、傾き角度検出機構における座標軸(R軸、S軸、T軸)との両方の座標軸上の動きとして検出される。従って、当該6軸ジョイスティックに代表される従来の操作入力装置においては、例えば、本来は操作部の傾き角度のみを検出したい場合であっても、回転操作によって生じる意図せぬ並進操作まで検出されてしまい、遠隔操作装置における位置入力及び姿勢入力に不具合が生じていた。
【0089】
一方、図5Bを参照すると、本実施形態に係る多軸ジョイスティックにおいては、操作者の手首関節部にキャンセル機構の手首ホールダー部が連結され、当該手首ホールダー部の並進位置の変位に基づいて、操作部の並進変位が検出される。つまり、本実施形態に係る多軸ジョイスティックにおいては、並進変位検出機構は、操作者の前腕部の動きに伴って生じる操作部の並進変位を検出する。また、傾き角度検出機構は、操作者の手の動きに伴って生じる、操作部(操作者の手によって把持された操作部)の傾き角度を検出する。つまり、本実施形態に係る多軸ジョイスティックにおいては、並進変位検出機構における座標軸(x軸、y軸、z軸)上で検出される操作部の並進変位と、傾き角度検出機構における座標軸(r軸、s軸、t軸)上で検出される操作部の傾き角度とが、それぞれ、操作者の上肢の別個の部位の動きに基づいて検出される。
【0090】
更に、本実施形態に係る多軸ジョイスティックにおいては、操作者の手首関節部にキャンセル機構が連結されることにより、図4を参照して上記説明したように、操作者の手による操作部を傾ける動作が、操作者の前腕部による操作部を並進移動させる動作に与える影響がキャンセルされる。すなわち、回転操作に伴う意図せぬ並進操作が生じない。従って、本実施形態に係る多軸ジョイスティックにおいては、操作者の前腕部の動きに伴って生じる操作部の並進変位と、操作者の手の動きに伴って生じる操作部の傾き角度とが、それぞれ別個の座標軸上で検出されるため、より精度の高い位置入力及び姿勢入力が実現される。
【0091】
以上説明したように、本実施形態に係る多軸ジョイスティック1においては、傾き角度検出機構20と並進変位検出機構30との間にキャンセル機構40が設けられる。従って、回転操作に伴い生じ得る意図せぬ並進操作による影響を防止することができ、より正確な入力操作を行うことができる。
【0092】
<2.多軸ジョイスティックの適用例>
次に、図6A、Bを参照して、本実施形態に係る多軸ジョイスティック1の、遠隔操作装置への適用例について説明する。図6Aは、本実施形態に係る多軸ジョイスティック1により操作される遠隔操作装置の一構成例を示す概略図である。また、図6Bは、図6Aにおける遠隔操作装置のノズル部の拡大図である。
【0093】
図6Aを参照すると、遠隔操作装置900は、例えば塗料噴霧用のマニピュレータである。遠隔操作装置900は、本実施形態に係る多軸ジョイスティック1と相互に通信可能であり、操作者が多軸ジョイスティック1を用いて行った位置入力及び姿勢入力に基づいて、その駆動が制御される。
【0094】
遠隔操作装置900は、基台910、アーム部920及びノズル部930を備える。ここで、以下の説明においては、基台910から見て、アーム部920が延伸し、ノズル部930が存在する方向を「前」と呼ぶこととする。また、それに対応して、「前」の逆方向を「後ろ」、「前」を向いた状態での左右方向を「左」、「右」と定義する。更に、遠隔操作装置900が設置される床面と垂直な方向において、床面に対して遠隔操作装置900が設置される方向を「上」、その逆方向を「下」と呼ぶこととする。すなわち、図6Aに示すu軸方向、v軸方向、w軸方向は、それぞれ、前後方向、左右方向及び上下方向に対応している。
【0095】
基台910は、遠隔操作装置900を床面(設置面)に固定するための台座である。また、遠隔操作装置900は、例えば、基台910を通して、別に設けられる制御装置(図示せず。)と接続されてよい。当該制御装置は、遠隔操作装置900の駆動を統合的に制御するものであり、例えば、多軸ジョイスティック1からの入力に基づいて、アーム部920及びノズル部930を駆動する制御を行う。
【0096】
アーム部920は、例えば、棒状のアーム部材921a、921b、921c及びこれらアーム部材同士を回転可能に接続するアーム関節部922a、922b、922cを有する。アーム部材921aの一端は、アーム関節部922aを介して、基台910に対して回転可能に接続される。また、アーム部材921aの他端は、アーム関節部922bを介して、アーム部材921bの一端に回転可能に接続される。ここで、アーム関節部922aとアーム関節部922bの回転軸は、互いに直交する方向であってよい。例えば、図6Aに示すように、アーム関節部922aの回転軸は、v軸方向であり、アーム関節部922bの回転軸は、w軸方向である。
【0097】
アーム部材921bの他端は、アーム関節部922cを介して、アーム部材921cの一端に回転可能に接続される。ここで、アーム関節部922cの回転軸は、例えばv軸方向であってよい。また、アーム部材921cの他端には、ノズル部930が接続される。
【0098】
図6Bを参照すると、遠隔操作装置900のノズル部930は、棒状のノズル部アーム部材931a、931b及びこれらノズル部アーム部材同士を回転可能に接続する、ノズル部関節部932a、932bを有する。ノズル部アーム部材931aの一端は、ノズル部関節部932aを介して、アーム部材921cに回転可能に接続される。また、ノズル部アーム部材931aの他端は、ノズル部関節部932bを介して、ノズル部アーム部材931bの一端に回転可能に接続される。ここで、ノズル部関節部932aとノズル部関節部932bの回転軸は、互いに直交する方向であってよい。例えば、図6Bに示すように、ノズル部関節部932aの回転軸は、m軸方向であり、ノズル部関節部932bの回転軸は、n軸方向である。ここで、図6Bに示すように、m軸方向は、アーム部材921cの延伸方向であり、n軸方向は、紙面と水平な面内で、m軸と直交する方向を示す。また、m軸及びn軸の両方と直交する方向をk軸と呼ぶこととする。
【0099】
ノズル部アーム部材931bの、m軸とk軸とで規定される面上には、支持部材935を介してノズル933が接続される。ノズル933からは、配管934が延設されており、配管934によって、例えば、塗料等の溶液がノズル933に供給される。
【0100】
ここで、操作者が、多軸ジョイスティック1を用いて、位置入力及び/又は姿勢入力を行うと、当該位置入力及び/又は当該姿勢入力に応じた信号が、上述した制御装置に入力される。当該制御装置は、入力された信号に応じて、遠隔操作装置900を駆動する。
【0101】
例えば、当該制御装置は、多軸ジョイスティック1による位置入力に対応して、ノズル部930が並進移動するように、アーム部920を駆動してもよい。具体的には、例えば、操作者が操作部10を右方向に並進移動させると、その変位量に応じてノズル部930も右方向に並進移動するように、当該制御装置は、アーム部920を駆動してもよい。また、例えば、操作者が操作部10を右方向に並進移動させると、その変位量に応じてノズル部930に右方向への並進移動速度が与えられるように、当該制御装置は、アーム部920を駆動してもよい。ここで、操作部10の並進位置の変位量とノズル部930の並進位置の変位量との関係、及び操作部10の並進位置の変位量とノズル部930の並進移動速度との関係は、線形な関係でもよく、非線形な関係でもよく、特定の関係に限定されない。操作者が、操作部10を介して、直感的にノズル部930の並進位置を変化させることができるように、当該制御装置は、操作部10の並進位置の変位量に対して、座標変換やスケール変換等の処理を適宜施すことで、ノズル部930の並進位置の変位量や並進移動速度を調整することができる。
【0102】
また、例えば、当該制御装置は、多軸ジョイスティック1による姿勢入力に対応して、ノズル部930の向き(姿勢)が変化するように、ノズル部930を駆動してもよい。具体的には、例えば、操作者が操作部10を手前方向に傾けたら、その傾き角度の変化量に応じてノズル部930のノズル933の先端が上方を向くように、当該制御装置は、ノズル部930を駆動してもよい。また、例えば、操作者が操作部10を手前方向に傾けたら、その傾き角度の変化量に応じてノズル部930のノズル933の先端に上方への回転角速度が与えられるように、当該制御装置は、ノズル部930を駆動してもよい。ここで、操作部10の傾き角度の変化量とノズル933の先端の方向変化量との関係、及び操作部10の傾き角度の変化量とノズル933の回転角速度との関係は、線形な関係でもよく、非線形な関係でもよく、特定の関係に限定されない。操作者が、操作部10を介して、直感的にノズル933の先端の方向を変化させることができるように、当該制御装置は、操作部10の傾き角度の変化量に対して、座標変換やスケール変換等の処理を適宜施すことで、ノズル933の先端の方向変化量や回転角速度を調整することができる。
【0103】
ここで、多軸ジョイスティック1におけるx軸、y軸、z軸、r軸、s軸、t軸と、遠隔操作装置900におけるu軸、v軸、w軸、m軸、n軸、k軸とは、1対1に対応していなくてもよい。多軸ジョイスティック1において検出された各軸に関する並進操作及び/又は回転操作は、操作者が遠隔操作装置900を直感的に操作できるように、当該制御装置によって適宜座標変換やスケール変換等の処理が施され、遠隔操作装置900の駆動に反映されてよい。
【0104】
<3.まとめ>
以上説明したように、本実施形態に係る多軸ジョイスティックは、操作者によって把持される操作部と、操作部の並進位置の変位を検出する並進変位検出機構と、操作部の傾き角度を検出する傾き角度検出機構とを備える。従って、操作者による操作部の操作に応じて、遠隔操作装置に対して、位置入力及び姿勢入力を行うことができる。
【0105】
また、本実施形態に係る多軸ジョイスティックは、並進変位検出機構と傾き角度検出機構との間に、操作部を傾ける動作が操作部の並進位置の変位に与える影響をキャンセルするキャンセル機構を備える。当該キャンセル機構は、例えば、操作者が操作部を把持する際に、操作者の手首を保持する手首ホールダーである。当該手首ホールダーは、例えば、いわゆる球面軸受であってよく、球面軸受を構成するハウジングと球体とに、手首を保持するための溝が設けられる。従って、操作者が操作部を傾ける動きに伴い、操作者の手首が回転しても、球体だけが回転し、並進変位検出機構に影響を及ぼさない。よって、操作部を傾ける動作が行われても操作部の並進位置が不変に保たれるため、位置入力と姿勢入力とを個別分離して行うことができ、より正確な入力操作が可能となる。
【0106】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0107】
例えば、上記実施形態では、キャンセル機構は、いわゆる球面軸受によって構成される手首ホールダーを有していたが、本発明はかかる例に限定されない。本実施形態に係るキャンセル機構と同様の機能を有する構造であれば、他の構造であってもよい。例えば、手首ホールダー部はジンバル構造によって構成されてもよい。また、本実施形態に係る手首ホールダーは、操作者の手首を保持する機能を有するが、操作者の手首は、固定的に保持されなくてもよい。つまり、本実施形態に係る手首ホールダーは、操作者の手首を支持するだけでもよい。
【0108】
また、例えば、上記実施形態では、並進変位検出機構は検出軸を3軸有し、傾き角度検出機構は検出軸を3軸有していたが、本発明はかかる例に限定されない。対象とする遠隔操作装置の用途や構造に応じて、検出軸の数は適宜設定されてよい。また、並進変位検出機構及び傾き角度検出機構の具体的な構成も、上記実施形態で説明した構成に限定されるものではなく、設定される検出軸の数や方向等に応じて、適宜変更されてよい。例えば、並進変位検出機構は、検出軸方向への並進位置の変位を直接検出する直動機構でなくてもよく、操作部の所定の方向への移動や所定の回転軸周りの回転が、所望の方向への並進位置の変位に変換される平行リンク機構であってもよい。
【符号の説明】
【0109】
1 多軸ジョイスティック
10 操作部
20 傾き角度検出機構
30 並進変位検出機構
40 キャンセル機構
210 第1回転角度検出部
220 第2回転角度検出部
230 第3回転角度検出部
310 基台
320 第1並進位置検出部
330 第2並進位置検出部
340 第3並進位置検出部
410 接続基台
420 手首ホールダー
421 ハウジング
422 球体
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図6A
図6B