(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記生産輸送計画評価部は、前記製品又は前記部品が新規に生産される場合と、改造によって生産される場合とで異なる値を取り得る前記生産拠点の評価値に基づいて、前記仮の生産輸送計画を評価する
請求項1または2に記載の生産輸送計画立案装置。
前記生産輸送計画評価部は、前記生産拠点にて生産される前記製品又は前記部品の品質に関する値を含む前記生産拠点の評価値に基づいて、前記仮の生産輸送計画を評価する
請求項1から3のいずれか一項に記載の生産輸送計画立案装置。
前記生産輸送計画評価部は、前記生産拠点にて生産される前記製品又は前記部品のコストに関する値を含む前記生産拠点の評価値に基づいて、前記仮の生産輸送計画を評価する
請求項1から4のいずれか一項に記載の生産輸送計画立案装置。
前記生産輸送計画評価部は、前記生産拠点にて生産される前記製品又は前記部品の納期の確実さに関する値を含む前記生産拠点の評価値に基づいて、前記仮の生産輸送計画を評価する
請求項1から5のいずれか一項に記載の生産輸送計画立案装置。
前記生産輸送計画評価部は、前記仮の生産輸送計画から算出される前記生産拠点毎の生産量が、前記生産拠点毎に設定される適正範囲から乖離するほど、前記仮の生産輸送計画を低く評価する
請求項1から6のいずれか一項に記載の生産輸送計画立案装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0025】
図1は、一実施形態に係る生産輸送計画立案装置10のブロック構成の一例を示す。生産輸送計画立案装置10は、一以上の生産拠点にて生産されて、一以上の販売拠点にて販売される製品の生産輸送計画を立案する装置である。例えば、生産輸送計画立案装置10は、生産管理システム20と接続されて、生産管理システム20により管理される製品の出荷予定数等に基づいて、製品の生産輸送計画を立案する。ここで、生産輸送計画とは、生産計画と輸送計画とを含む計画である。生産計画とは、製品やその部品(素材)をどの生産拠点にて、いつ、どれだけ生産するのかを示す計画である。輸送計画とは、製品やその部品をどの生産拠点又は販売拠点からどの生産拠点又は販売拠点へ、いつ、どれだけ輸送するのかを示す計画である。また、製品とは、生産拠点にて生産されるものを意味し、必ずしも最終製品を意味しない。即ち、製品には、他の製品に組み込まれる部品が含まれることがある。
【0026】
生産輸送計画立案装置10は、表示部11、入力部12、通信部13、媒体読取部14、制御部15及び記憶部16を備える。
【0027】
表示部11は、液晶ディスプレイや有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイ等の表示装置を有し、制御部15から送信される制御信号に基づいて、文字や図形等の各種情報を表示する。
【0028】
入力部12は、キーボード等の入力装置を有し、利用者が入力装置に対して行う操作に対応する信号を制御部15へ出力する。
【0029】
通信部13は、所定の通信プロトコルに基づいて、他の装置との間での情報の送受信を制御する。
【0030】
媒体読取部14は、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、メモリカード等の記憶媒体からプログラムやデータを読み取る。
【0031】
制御部15は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)151と、記憶手段であるメモリ152とを備え、これらのハードウェア資源を用いてプログラムを実行することによって各種の機能を実現する。例えば、制御部15は、記憶部16に記憶されているプログラムを読み出してメモリ152に展開し、メモリ152に展開されたプログラムに含まれる命令をCPU151に実行させる。そして、制御部15は、CPU151による命令の実行結果に応じて、メモリ152及び記憶部16に対してデータの読み書きを行ったり、通信部13等の動作を制御したりする。
【0032】
記憶部16は、磁気記憶装置や半導体記憶装置等の不揮発性を有する記憶装置から成り、各種のプログラム及びデータを記憶する。記憶部16に記憶されるデータには、構成情報161、生産手段情報162、出荷予定情報163、在庫情報164、在庫評価パラメータ情報165、稼働状況評価パラメータ情報166、QCD評価パラメータ情報167、拠点間輸送手段情報170、製品毎輸送関連情報171、輸送コスト情報172、及び生産輸送計画情報168が含まれる。記憶部16に記憶されるプログラムには、生産輸送計画立案プログラム169が含まれる。
【0033】
なおまた、記憶部16が記憶していることとしたプログラム及びデータの全体又は一部は、媒体読取部14が読み取り可能な記憶媒体に記憶されていてもよい。また、記憶部16が記憶していることとしたプログラム及びデータの全体又は一部は、通信部13による通信によって他の装置から取得されてもよい。
【0034】
図2は、構成情報161に格納される情報の一例をテーブル形式で示す。構成情報161には、製品番号、及び部品番号の各情報が対応付けられて格納される。
【0035】
製品番号の情報は、生産される製品を識別するための番号を示す情報である。部品番号の情報は、製品を構成する部品を識別するための番号を示す情報である。例えば、この例においては、「A01」という製品番号で識別される製品は、「B01」という部品番号で識別される部品と、「B02」という部品番号で識別される部品と、「B03」という部品番号で識別される部品とで構成されることを示している。また、この例においては、「A02」という製品番号で識別される製品は、「B01」という部品番号で識別される部品と、「B02」という部品番号で識別される部品と、「B13」という部品番号で識別される部品とで構成されることを示している。また、この例においては、「A03」という製品番号で識別される製品は、「B21」という部品番号で識別される部品と、「B22」という部品番号で識別される部品と、「B23」という部品番号で識別される部品とで構成されることを示している。
【0036】
なおまた、本実施形態では、製品を構成する部品を1階層だけ管理することを想定しているが、構成情報161は、製品を構成する部品を複数の階層に渡って管理できるように構成されてもよい。即ち、構成情報161は、部品の構成に関する情報を保持できるように構成されてもよい。
【0037】
図3は、生産手段情報162に格納される情報の一例をテーブル形式で示す。生産手段情報162には、製品/部品番号、生産拠点、及び改造拠点の各情報が対応付けられて格納される。ここで、生産手段とは、製品又は部品を生産するための生産拠点と、製品又は部品を新規に生産するか改造によって生産するかの区分との組み合わせを意味する。また、生産拠点とは、例えば、工場、製造ライン又は製造装置である。また、改造とは、製品又は部品に対して構成の追加、変更、削除の少なくともいずれか1つを施すことにより、他の製品又は部品を生産することをいう。
【0038】
製品/部品番号の情報は、製品番号又は部品番号を示す情報である。生産拠点の情報は、対応する製品又は部品を新規に生産するために用いられる生産拠点を識別するための番号のリストを示す情報である。例えば、製品又は部品を新規に生産するために用いられる生産拠点が複数ある場合、それらの生産拠点のそれぞれに対応する番号が生産拠点の項目に格納される。改造拠点の情報は、対応する製品又は部品を改造によって生産するために用いられる生産拠点を識別するための番号と改造される製品又は部品を識別するための番号の組み合わせのリストを示す情報である。例えば、この例においては、「A01」という製品番号で識別される製品は、「X01」という番号で識別される生産拠点、又は「X02」という番号で識別される生産拠点で新規に生産可能であることを示している。また、この例においては、「A01」という製品番号で識別される製品は、「X01」という番号で識別される生産拠点で「A02」という製品番号で識別される製品を改造するか、「X02」という番号で識別される生産拠点で「A02」という製品番号で識別される製品を改造することによっても生産可能であることを示している。また、この例においては、「A03」という製品番号で識別される製品は、「X03」という番号で識別される生産拠点のみで新規に生産可能であることを示している。また、この例においては、「A03」という製品番号で識別される製品は、他の製品を改造することによって生産することはできないことを示している。
【0039】
図4は、出荷予定情報163に格納される情報の一例をテーブル形式で示す。出荷予定情報163には、製品番号、並びに日付毎の出荷予定数量及び受注確度の各情報が対応付けられて格納される。
【0040】
製品番号の情報は、生産される製品を識別するための番号を示す情報である。出荷予定数量の情報は、対応する日付に製品を出荷する予定の数量を示す情報である。受注確度の情報は、対応する日付に製品を出荷する契約を受注できる確度を示す情報である。受注確度の情報には、例えば、受注が確実である場合には「100%」が格納され、失注する確率が半分である場合、即ち、対応する日付に対応する製品の出荷が不要になる確率が半分ある場合には、「50%」が格納される。受注確度の情報の値は、例えば、営業担当者の見込みに基づいて設定してもよいし、過去の実績に基づいて設定してもよいし、先の日付ほど低い値となるように設定してもよい。例えば、この例においては、「A01」という製品番号で識別される製品の「4月1日」の出荷予定数量が「10」で、その受注確度が「100%」であることを示している。
【0041】
図5は、在庫情報164に格納される情報の一例をテーブル形式で示す。在庫情報164には、製品/部品番号、適正在庫数量、及び在庫数量の各情報が対応付けられて格納される。
【0042】
製品/部品番号の情報は、製品番号又は部品番号を示す情報である。適正在庫数量の情報は、対応する製品又は部品の適正な在庫数量を示す情報である。在庫数量の情報は、生産輸送計画の開始時点における、対応する製品又は部品の在庫数量を示す情報である。例えば、この例においては、「A01」という製品番号で識別される製品の在庫は、「10」個が適正であるが、生産輸送計画の開始時点では「15」個となっていることを示している。また、この例においては、「A02」という製品番号で識別される製品の在庫は、「10」個が適正であるが、生産輸送計画の開始時点では「20」個となっていることを示している。また、この例においては、「A03」という製品番号で識別される製品の在庫は、生産輸送計画の開始時点において、適正な「10」個となっていることを示している。
【0043】
在庫評価パラメータ情報165には、在庫数量の観点から生産輸送計画を評価するための情報が格納される。在庫数量の観点からの在庫数量の評価については、後述する。
【0044】
図6は、稼働状況評価パラメータ情報166に格納される情報の一例をテーブル形式で示す。稼働状況評価パラメータ情報166には、生産拠点、期間、最大生産数量、適正範囲上限値、適正範囲下限値、最小生産数量、過小時評価係数、及び過大時評価係数の各情報が対応付けられて格納される。稼働状況評価パラメータ情報166は、1つの生産拠点の値に対して、期間〜過大時評価係数の値の組み合わせを複数保持できるように構成される。
【0045】
生産拠点の情報は、生産拠点を識別するための番号を示す情報である。期間の情報は、対応する最大生産数量〜過大時評価係数の情報が有効な期間を示す情報である。期間に関する制約がない場合、期間の情報は、空欄となる。最大生産数量の情報は、対応する生産拠点を最大限に稼働させた場合に生産可能な製品又は部品の数量を示す情報である。適正範囲上限値の情報は、対応する生産拠点で製品又は部品を生産する数量の適正な範囲の上限を示す情報である。適正範囲下限値の情報は、対応する生産拠点で製品又は部品を生産する数量の適正な範囲の下限を示す情報である。最小生産数量の情報は、対応する生産拠点を維持するために最低限生産すべき製品又は部品の数量を示す情報である。過小時評価係数の情報は、製品又は部品の生産数量が適正範囲下限値の項目の値を下回る場合に生産輸送計画の評価値を算出するために用いられる係数を示す情報である。過大時評価係数の情報は、製品又は部品の生産数量が適正範囲上限値の項目の値を上回る場合に生産輸送計画の評価値を算出するために用いられる係数を示す情報である。生産拠点の稼働状況の観点からの在庫数量の評価については、後述する。例えば、この例においては、「X01」という番号で識別される生産拠点の生産数量は、「2012年12月」までは、拠点を最大限に稼働させた場合に「300」であり、「250」〜「150」が適正であり、最低でも「100」であるべきことを示している。また、この例においては、「X01」という番号で識別される生産拠点の生産数量は、「2013年1月」以降は、拠点を最大限に稼働させた場合に「350」であり、「300」〜「150」が適正であり、最低でも「100」であるべきことを示している。また、この例においては、「X02」という番号で識別される生産拠点の生産数量は、期間に関わりなく、拠点を最大限に稼働させた場合に「120」であり、「100」〜「80」が適正であり、最低でも「50」であるべきことを示している。
【0046】
なおまた、本実施形態では、稼働状況評価パラメータ情報166に格納される生産数量は一月当たりの値であることを想定しているが、稼働状況評価パラメータ情報166に格納される生産数量はこれに限定されない。稼働状況評価パラメータ情報166に格納される生産数量は、例えば、一日当たりの値、一週間当たりの値、四半期値当たりの値又は一年当たりの値であってもよい。
【0047】
QCD評価パラメータ情報167は、生産拠点の選定の適確さの観点から生産輸送計画を評価するための情報を保持する。具体的には、QCD評価パラメータ情報167は、選定された生産拠点のQCD、即ち、品質(Q)、コスト(C)及び納期(D)の観点から生産輸送計画を評価するための情報を保持する。
【0048】
図7は、QCD評価パラメータ情報167に格納される情報の一例をテーブル形式で示す。QCD評価パラメータ情報167には、生産拠点、並びに新規生産と改造とで別々に設けられる品質、コスト及び納期の各情報が対応付けられて格納される。
【0049】
生産拠点の情報は、生産拠点を識別するための番号を示す情報である。品質の情報は、対応する生産拠点において新規生産又は改造によって生産される製品又は部品の品質の高さを示す情報である。例えば、品質の情報は、製品又は部品の歩留まり率(良品率)等の情報である。コストの情報は、対応する生産拠点において新規生産又は改造によって生産される製品又は部品のコストの高さを示す情報である。例えば、コストの情報は、生産コストが最も高い生産拠点の生産コストを100とする相対値等の情報である。納期の情報は、対応する生産拠点において新規生産又は改造によって生産される製品又は部品の納期の確実さを示す情報である。例えば、納期の情報は、製品又は部品の納期の遵守率等の情報である。例えば、この例においては、「X01」という番号で識別される生産拠点は、製品又は部品を新規に生産する場合、品質の高さが「99」で、コストの高さが「100」で、納期の確実さが「100」であることを示している。また、この例においては、「X01」という番号で識別される生産拠点は、製品又は部品を改造によって生産する場合、品質の高さが「99」で、コストの高さが「50」で、納期の確実さが「100」であることを示している。この例に示すように、QCDは、生産拠点が同一であっても、製品又は部品を新規に生産するか改造によって生産するかによって異なる場合がある。
【0050】
図8は、拠点間輸送手段情報170に格納される情報の一例をテーブル形式で示す。拠点間輸送手段情報170には、輸送元拠点、輸送先拠点、輸送手段、及びリードタイムの各情報が対応付けられて格納される。
【0051】
輸送元拠点の情報は、ある生産拠点又は販売拠点から他の生産拠点又は販売拠点へ、製品又は部品を輸送する場合の、輸送元の拠点を示す情報である。輸送先拠点の情報は、ある生産拠点又は販売拠点から他の生産拠点又は販売拠点へ、製品又は部品を輸送する場合の、輸送先の拠点を示す情報である。輸送手段の情報は、ある生産拠点又は販売拠点から他の生産拠点又は販売拠点へ、製品又は部品を輸送する場合の、輸送手段を示す情報である。リードタイムの情報は、ある生産拠点又は販売拠点から他の生産拠点又は販売拠点へ、製品又は部品を輸送するのにかかる所要期間を示す情報である。例えば、この例においては、「X01」という番号で識別される拠点から、「X02」という番号で識別される拠点まで、製品又は部品を「船便」にて輸送する場合のリードタイムが「2」であることを示している。
【0052】
図9は、製品毎輸送関連情報171に格納される情報の一例をテーブル形式で示す。製品毎輸送関連情報171には、製品/部品番号、輸送手段、占有体積、及び重量の各情報が対応付けられて格納される。
【0053】
製品/部品番号の情報は、製品番号又は部品番号を示す情報である。輸送手段の情報は、輸送手段の種類を示す情報である。占有体積の情報は、製品/部品番号の情報によって識別される製品又は部品を、輸送手段の情報によって示される種類の輸送手段にて輸送する場合に、その製品又は部品が占有する空間の体積を示す情報である。重量の情報は、製品/部品番号の情報によって識別される製品又は部品の重量を示す情報である。例えば、この例においては、「A01」という製品番号で識別される製品を「船便」にて輸送する場合の体積は「10」であり、製品の重量が「500」であることを示している。
【0054】
図10は、輸送コスト情報172に格納される情報の一例をテーブル形式で示す。輸送コスト情報172には、輸送手段、占有体積、重量、及び輸送コストの各情報が対応付けられて格納される。
【0055】
輸送手段の情報は、製品又は部品を輸送するための輸送手段の種類を示す情報である。占有体積の情報は、製品又は部品を輸送する場合に、その製品又は部品が占有する空間の体積を示す情報である。重量の情報は、製品又は部品の重量を示す情報である。輸送コストの情報は、輸送手段の情報によって示される種類の輸送手段にて、占有体積の情報によって示される占有体積以内の製品又は部品、もしくは重量の情報によって示される重量以内の製品又は部品を輸送する場合のコストを示す情報である。例えば、この例においては、「船便」にて、占有体積が「10」以内、もしくは重量が「100」以内の製品又は部品を輸送する際のコストが「10」であることを示している。
【0056】
生産輸送計画情報168には、作成された生産輸送計画が格納される。生産輸送計画情報168の例については、後述する。
【0057】
生産輸送計画立案プログラム169は、好適な生産輸送計画を立案するための機能を提供する。生産輸送計画立案プログラム169は、初期計画作成部169aと、生産輸送計画評価部169bと、生産輸送計画探索部169cとを含む。
【0058】
初期計画作成部169aは、出荷予定情報163等に基づいて、製品及び部品を生産したり輸送したりするための初期の生産輸送計画(以下、「初期計画」ということがある)を作成する機能を提供する。初期計画は、どのような内容の計画であってもよい。初期計画は、例えば、構成情報161、生産手段情報162、出荷予定情報163、在庫情報164、拠点間輸送手段情報170、及び製品毎輸送関連情報171等に基づいて、各製品が予定出荷日に予定数量出荷されように作成される。また、初期計画は、製品及び部品の適正な在庫数量が保たれるように作成されてもよい。
【0059】
初期計画作成部169aは、生産輸送計画を作成するための既存の技術を用いて実現することができる。初期計画は、生産管理システム20等の外部のシステムによって作成され、生産輸送計画立案装置10へ送信されてもよい。
【0060】
生産輸送計画評価部169bは、生産輸送計画を評価する機能を提供する。生産輸送計画評価部169bは、在庫数量、生産拠点の稼働状況、生産拠点の選定の適確さ及び輸送コストの観点から生産輸送計画を評価する。在庫数量の観点では、在庫数量が適正に保たれ、且つ、欠品が生じない生産輸送計画が高く評価される。生産拠点の稼働状況の観点では、それぞれの生産拠点の生産数量が適正な範囲に収まる生産輸送計画が高く評価される。生産拠点の選定の適確さの観点では、QCDにおいて優れた生産拠点を用いて製品及び部品が生産される生産輸送計画が高く評価される。輸送コストの観点では、輸送コストが低い生産輸送計画が高く評価される。
【0061】
生産輸送計画探索部169cは、初期計画を起点として好適な生産輸送計画を探索する機能を提供する。具体的には、生産輸送計画探索部169cが提供する機能によれば、以下のように局所探索法によって好適な生産輸送計画が探索される。まず、初期計画が現行の生産輸送計画(以下、「現行計画」ということがある)とされる。そして、現行計画の評価値と、現行計画の一部を変更した近傍の生産輸送計画の評価値とが比較され、近傍の生産輸送計画の方が高評価の場合、近傍の生産輸送計画が現行計画とされる。こうして、所定の終了条件が満たされるまで探索が繰り返し実行される。
【0062】
例えば、近傍の生産輸送計画としては、ある日のある製品又は部品の生産数量をある数だけ増減した生産輸送計画が作成される。また、例えば、近傍の生産輸送計画としては、ある製品又は部品の生産日を他の日へ変更した生産輸送計画が作成される。また、例えば、近傍の生産輸送計画としては、ある日に生産される製品又は部品を他の製品又は部品へ変更した生産輸送計画が作成される。また、例えば、近傍の生産輸送計画としては、ある日のある製品の生産手段を他の生産手段へ変更した生産輸送計画が作成される。また、例えば、近傍の生産輸送計画としては、ある日のある製品又は部品の輸送数量をある数だけ増減した生産輸送計画が作成される。また、例えば、近傍の生産輸送計画としては、ある製品又は部品の輸送日を他の日へ変更した生産輸送計画が作成される。また、例えば、近傍の生産輸送計画としては、ある日に輸送される製品又は部品を他の製品又は部品へ変更した生産輸送計画が作成される。また、例えば、近傍の生産輸送計画としては、ある日のある製品の輸送手段を他の輸送手段へ変更した生産輸送計画が作成される。
【0063】
次に、生産輸送計画の評価についてより詳細に説明する。生産輸送計画の評価値Evは、以下の式(1)を用いて算出される。
【0065】
ここで、Psは、在庫数量の観点による評価値である。Wsは、在庫数量の観点による評価値を調整するための重みである。Poは、生産拠点の稼働状況の観点による評価値である。Woは、生産拠点の稼働状況の観点による評価値を調整するための重みである。Pqcdは、生産拠点の選定の適確さの観点による評価値である。Wqcdは、生産拠点の選定の適確さの観点による評価値を調整するための重みである。Ptransは、輸送コストの観点による評価値である。Wtransは、輸送コストの観点による評価値を調整するための重みである。生産輸送計画立案装置10は、Ws、Wo、Wqcd及びWtrans等の各種のパラメータ情報が、ユーザによって任意の値に設定可能なように構成される。
【0066】
本実施形態においては、各評価値は、ペナルティとして算出される。即ち、算出される評価値が小さいほど、生産輸送計画の評価は高い。評価値の計算の仕方は、このような方式に限定されず、算出される評価値が大きいほど生産輸送計画の評価は高いように評価値を算出してもよい。
【0067】
以下の説明においては、
図11から
図13を参照しながら、在庫数量の観点による生産輸送計画の評価について説明する。
【0068】
図11は、在庫数量の経時的な変化の一例を示す。
図12は、受注確度を考慮した場合の評価値の一例を示す。
図13は、受注確度を考慮しない場合の評価値の一例を示す。
【0069】
曲線C1は、ある製品又は部品の受注確度を考慮した場合の在庫数量の経時的な変化を示している。受注確度を考慮した場合の在庫数量は、生産輸送計画の開始時点における在庫数量を初期の値として、生産輸送計画における生産数量から受注確度を考慮した出荷数量を減算した値を日毎に積算することによって算出される。生産輸送計画の開始時点における在庫数量は、在庫情報164から取得される。受注確度を考慮した出荷数量は、出荷予定情報163に格納されている当日の
出荷数量の項目の値に当日の受注確度の項目の値を乗じることによって算出される。
【0070】
曲線C2は、ある製品又は部品の受注確度を考慮しない場合の在庫数量の経時的な変化を示している。受注確度を考慮しない場合の在庫数量は、生産輸送計画の開始時点における在庫数量を初期の値として、生産輸送計画における生産数量から受注確度を考慮しない出荷数量を減算した値を日毎に積算することによって算出される。受注確度を考慮しない出荷数量は、出荷予定情報163に格納されている当日の
出荷数量の項目の値そのものである。
【0071】
曲線C1が示す各時点の在庫数量は、受注確度が考慮されているため、その時点での実際の在庫数量に近いと想定される。このため、曲線C1が示す在庫数量は、対応する製品又は部品の適正在庫数量に近いことが好ましい。したがって、生産輸送計画は、受注確度を考慮した場合の在庫数量と適正在庫数量の差が小さいほど評価が高くなる。
【0072】
一方、曲線C2が示す各時点の在庫数量は、受注確度が考慮されていないため、出荷予定数量通りに出荷が行われる場合の各時点の在庫数量、即ち、各時点の在庫数量が取り得る最小値を示す。このため、適正在庫数量に関わらず、曲線C2が示す在庫数量が0以上であれば、欠品は、生じない。したがって、生産輸送計画は、受注確度を考慮しない場合の在庫数量が0以上であれば評価が高くなる。
【0073】
このように、在庫数量の観点による生産輸送計画の評価は、受注確度を考慮した場合の在庫数量と、確度を考慮しない場合の在庫数量との2つを用いて行われる。即ち、在庫数量の観点による評価値Psは、以下の式(2)を用いて算出される。
【0075】
ここで、Pspは、受注確度を考慮した場合の在庫数量に基づく評価値であり、Psmは、確度を考慮しない場合の在庫数量に基づく評価値である。評価値Psは、製品又は部品毎、且つ、生産輸送計画が作成される対象の期間内の生産が行われる日毎に算出される。上記の式(1)では、こうして製品又は部品毎、且つ、日毎に算出される評価値Psが合算される。
【0076】
評価値Pspは、例えば、以下の式(3)を用いて算出される。
【0078】
ここで、qspは、受注確度を考慮した場合の在庫数量である。qrは、適正在庫数量である。適正在庫数量は、在庫情報164から取得される。
【0079】
受注確度を考慮した場合の在庫数量が適正在庫数量よりも多い場合、評価値Pspは、関数fs1()を用いて算出される。
図12に示すように、関数fs1()は、qsp−qr、即ち、適正在庫数量を基準とする在庫の余剰数量が多いほどペナルティが大きくなるように設定される。
【0080】
在庫に余剰があることによる問題は、余剰が少なければ、保管場所が多くとられるものの大きくない。そのため、
図12に示す例では、関数fs1()は、余剰数量が少ない場合にはペナルティが比較的小さいままとなるような非線形の関数となっている。また、在庫に余剰があることによる問題は、出荷数量が多い(需要が多い)、寸法が小さい、又はコストが低い製品又は部品であるほど少ない。そのため、関数fs1()は、出荷数量が多いほど(需要が多いほど)ペナルティが小さくなるように設定されてもよいし、寸法が小さいほどペナルティが小さくなるように設定されてもよいし、コストが低いほどペナルティが小さくなるように設定されてもよい。
【0081】
受注確度を考慮した場合の在庫数量が適正在庫数量と等しい場合、評価値Pspは、0、即ち、最も高い評価を示す値となる。
【0082】
受注確度を考慮した場合の在庫数量が適正在庫数量よりも少なく、且つ、0以上の場合、評価値Pspは、関数fs2()を用いて算出される。
図12に示すように、関数fs2()は、qr−qsp、即ち、適正在庫数量を基準とする在庫の不足数量が多いほどペナルティが大きくなるように設定される。
【0083】
在庫数量が適正在庫数量よりも少ないということは、欠品が生じる可能性が高いことを意味する。欠品の発生は、重大な問題である。そのため、
図12に示す例では、関数fs2()の在庫数量の変動に対する傾きは、関数fs1()のそれよりも大きくなっている。
【0084】
受注確度を考慮した場合の在庫数量が0よりも少ない場合、即ち、欠品が生じる場合、評価値Pspは、関数fs3()を用いて算出される。
図12に示すように、関数fs3()は、−qsp、即ち、欠品数量が多いほどペナルティが大きくなるように設定される。現に欠品が発生するということは、非常に重大な問題である。そのため、
図12に示す例では、関数fs3()の在庫数量の変動に対する傾きは、関数fs2()のそれよりも更に大きくなっている。
【0085】
評価値Psmは、例えば、以下の式(4)を用いて算出される。
【0087】
ここで、qsmは、受注確度を考慮しない場合の在庫数量である。
【0088】
上述したように、受注確度を考慮しない場合の在庫数量が0以上の場合には、欠品が生じることはない。このため、受注確度を考慮しない場合の在庫数量が0以上の場合、評価値Psmは、0、即ち、最も高い評価を示す値となる。
【0089】
受注確度を考慮しない場合の在庫数量が0よりも少ない場合、即ち、欠品が生じる可能性がある場合、評価値Psmは、関数fs4()を用いて算出される。
図13に示すように、関数fs4()は、−qsm、即ち、発生しうる欠品数量が多いほどペナルティが大きくなるように設定される。
【0090】
式(3)及び式(4)に関する情報は、在庫評価パラメータ情報165に格納されてもよいし、生産輸送計画評価部169bに埋め込まれてもよい。
【0091】
以下の説明においては、
図14及び
図15を参照しながら、生産拠点の稼働状況の観点による生産輸送計画の評価について説明する。
【0092】
図14は、生産拠点の稼働状況の評価の一例を示す。
図15は、生産拠点の稼働状況の評価の基準が変化する一例を示す。
【0093】
図14における棒グラフは、ある生産拠点における製品又は部品の生産数量の月毎の集計値の経時的な変化を示している。製品又は部品の生産数量の月毎の集計値は、例えば、集計対象の生産拠点を用いて生産される製品又は部品の生産日時及び生産数量を生産輸送計画から抽出し、生産数量を月毎に合算することによって算出される。集計対象の生産拠点を用いて生産される製品又は部品に複数の種類の製品又は部品が混在していてもよい。
【0094】
生産拠点の稼働状況の観点による評価値Poは、例えば、以下の式(5)を用いて算出される。
【0096】
ここで、qpは、生産拠点における製品又は部品の生産数量の月毎の集計値である。qulは、生産拠点における製品又は部品の生産数量の適正範囲上限値である。qllは、生産拠点における製品又は部品の生産数量の適正範囲下限値である。適正範囲上限値及び適正範囲下限値は、稼働状況評価パラメータ情報166から取得される。評価値Poは、生産拠点毎、且つ、生産輸送計画が作成される対象の期間内の月毎に算出される。上記の式(1)では、こうして生産拠点毎、且つ、月毎に算出される評価値Poが合算される。
【0097】
生産数量が適正範囲上限値と適正範囲下限値の間に収まる場合、生産拠点の稼働状況は適正である。このため、この場合、評価値Poは、0、即ち、最も高い評価を示す値となる。
【0098】
生産数量が適正範囲上限値を超過する場合、評価値Poは、関数fo1()を用いて算出される。
図14に示すように、関数fo1()は、qp−qul、即ち、適正範囲上限値を基準とする生産数量の超過数量が多いほどペナルティが大きくなるように設定される。
図14に示す例では、2012年9月及び2012年11月に生産数量が適正範囲上限値を超過しているが、超過数量は2012年9月の方が多い。そのため、2012年9月の当該生産拠点のペナルティP3は、2012年11月の当該生産拠点のペナルティP2よりも大きい。
【0099】
生産数量が適正範囲下限値を下回る場合、評価値Poは、関数fo2()を用いて算出される。
図14に示すように、関数fo2()は、qll−qp、即ち、適正範囲下限値を基準とする生産数量の不足数量が多いほどペナルティが大きくなるように設定される。
図14に示す例では、2012年7月に生産数量が適正範囲下限値を下回っており、この月の当該生産拠点のペナルティは、ペナルティP1となる。
【0100】
関数fo1()は、例えば、生産数量の超過数量に、稼働状況評価パラメータ情報166に格納されている当該拠点の過大時評価係数を乗じることによってPoを算出する。関数fo2()は、例えば、生産数量の不足数量に、稼働状況評価パラメータ情報166に格納されている当該拠点の過小時評価係数を乗じることによってPoを算出する。
【0101】
生産拠点の生産能力は、設備の増設、人員配置数の増加等によって変動することがある。例えば、
図15に示す例では、2013年1月から生産拠点の生産能力が強化され、最大生産数量及び適正範囲上限値がより大きな値となっている。このような生産拠点の生産能力の変動は、
図6で示した稼働状況評価パラメータ情報166の例のように、期間を設定して、それぞれの期間毎にパラメータを設定することによって対処することができる。
【0102】
生産輸送計画立案装置10は、それぞれの生産拠点の生産数量が、最大生産数量を超過せず、且つ、最小生産数量を下回らないように生産輸送計画を作成するように構成されてもよい。この場合、最大生産数量を超過する生産数量及び最小生産数量を下回る生産数量については、生産拠点の稼働状況の観点による評価値を算出することができなくてもよい。
【0103】
以下の説明においては、生産拠点の選定の適確さの観点による生産輸送計画の評価について説明する。生産拠点の選定の適確さの観点による評価値Pqcdは、例えば、以下の式(6)を用いて算出される。
【0105】
ここで、Pqは、生産拠点で生産される製品又は部品の品質に関する評価値である。Pqは、生産拠点で生産される製品又は部品の品質が高いほど小さな値となる。Pqは、例えば、QCD評価パラメータ情報167の当該生産拠点に対応する行の品質の項目の値を100から除算することによって求められる。品質の項目の値は、製品又は部品が新規に生産されるか改造によって生産されるかに応じて異なることがある。Wqは、品質に関する評価値を調整するための重みである。
【0106】
Pcは、生産拠点で生産される製品又は部品のコストに関する評価値である。Pcは、生産拠点で生産される製品又は部品のコストが低いほど小さな値となる。Pcとしては、例えば、QCD評価パラメータ情報167の当該生産拠点に対応する行のコストの項目の値がそのまま用いられる。コストの項目の値は、製品又は部品が新規に生産されるか改造によって生産されるかに応じて異なることがある。Wcは、コストに関する評価値を調整するための重みである。
【0107】
Pdは、生産拠点で生産される製品又は部品の納期に関する評価値である。Pdは、生産拠点で生産される製品又は部品の納期が遵守されるほど小さな値となる。Pdは、例えば、QCD評価パラメータ情報167の当該生産拠点に対応する行の納期の項目の値を100から除算することによって求められる。納期の項目の値は、製品又は部品が新規に生産されるか改造によって生産されるかに応じて異なることがある。Wdは、納期に関する評価値を調整するための重みである。
【0108】
評価値Pcdは、製品又は部品毎、且つ、生産輸送計画が作成される対象の期間内の生産が行われる日毎に算出される。上記の式(1)では、こうして製品又は部品毎、且つ、日毎に算出される評価値Pqcdが合算される。
【0109】
以下の説明においては、輸送コストの観点による生産輸送計画の評価について説明する。輸送コストの観点による評価値Ptransは、輸送コスト情報172に格納されている情報を参照して算出される。例えば、評価値Ptransは、製品又は部品を輸送する計画に基づいて、その輸送手段と、輸送すべき製品又は部品の総占有面積と、その製品又は部品の総重量とに基づいて、総占有面積及び総重量を充足するコストを算出する。
【0110】
以下の説明においては、
図16から
図23を参照しながら、生産輸送計画立案装置10が実行する生産輸送計画立案処理の処理手順について説明する。
図16は、生産輸送計画立案処理の処理フローの一例を示す。
図16に示す処理手順は、制御部15が生産輸送計画立案プログラム169を実行することによって実現される。
【0111】
制御部15は、まず、初期計画を作成する(ステップS101)。制御部15は、作成した初期計画を現行計画Pcとし、生産輸送計画情報168内に格納する(ステップS102)。現行計画Pcは、その時点で探索された最も好適な生産輸送計画である。そして、制御部15は、現行計画Pcの評価値を算出する(ステップS103)。
【0112】
続いて、制御部15は、近傍解探索処理を実行することによって、現行計画Pcの一部を変更した近傍解Pnを作成する(ステップS104)。そして、制御部15は、近傍解Pnの評価値を算出する(ステップS105)。
【0113】
近傍解Pnの評価値が現行計画Pcの評価値よりも小さい場合、即ち、近傍解Pnが現行計画Pcよりも高評価の場合(ステップS106,Yes)、制御部15は、近傍解Pnを現行計画Pcとし、生産輸送計画情報168内に格納する(ステップS107)。そして、制御部15は、終了条件が充足されたかを判定する(ステップS108)。
【0114】
制御部15は、例えば、以下の場合に終了条件が充足されたと判定する。まず、制御部15は、現行計画Pcの近傍の生産輸送計画を全て評価したが、現行計画Pcよりも高評価の生産輸送計画がなかった場合に、終了条件が充足されたと判定する。また、制御部15は、生産輸送計画の評価回数が所定の回数より多くなった場合に、終了条件が充足されたと判定する。また、制御部15は、生産輸送計画立案処理の処理時間が所定の時間より長くなった場合に、終了条件が充足されたと判定する。また、制御部15は、現行計画Pcの評価が十分に良好な場合、即ち、現行計画Pcの評価値が所定の条件を満たす場合に、終了条件が充足されたと判定する。所定の条件とは、例えば、評価値が0であること、又は評価値が十分小さい閾値未満であることである。
【0115】
終了条件が充足された場合(ステップS108,Yes)、制御部15は、現行計画Pcを最適解とし(ステップS109)、生産輸送計画立案処理を終了させる。終了条件が充足されない場合(ステップS108,No)、制御部15はステップS104以降を再実行する。
【0116】
近傍解Pnの評価値が現行計画Pcの評価値以上の場合、即ち、近傍解Pnが現行計画Pcよりも高評価でない場合(ステップS106,No)、制御部15は、終了条件が充足されたかを判定する(ステップS108)。終了条件が充足された場合(ステップS108,Yes)、制御部15は、現行計画Pcを最適解とし(ステップS109)、生産輸送計画立案処理を終了させる。終了条件が充足されない場合(ステップS108,No)、制御部15はステップS104以降を再実行する。
【0117】
図17及び
図18は、近傍解探索処理の処理フローの一例を示す。
図17に示す処理手順は、制御部15が生産輸送計画立案プログラム169を実行することによって実現される。
【0118】
制御部15は、まず、変更する対象を決定する(ステップS201)。決定される対象は、日付と製品又は部品との組み合わせである。変更する対象は、乱数を用いて決定してもよい。あるいは、好適な解が早期に探索されるようにペナルティが最も大きい日付と製品又は部品との組み合わせを、変更する対象として決定してもよい。
【0119】
続いて、制御部15は、対象の変更方法を決定する(ステップS202)。本実施形態においては、対象の変更方法として、生産数量の変更と、生産時期の変更と、物品の変更と、生産手段の変更と、輸送数量の変更と、輸送時期の変更と、輸送物品の変更と、輸送手段の変更とのいずれかが選択可能である。対象の変更方法は、乱数を用いて決定してもよい。あるいは、変更する対象が変わる度に、対象の変更方法が、所定の順序で選択されてもよい。
【0120】
生産数量の変更は、
図19に示す例のように、対象の日に対象の製品又は部品が生産される数量を増やすか、
図20に示す例のように、対象の日に対象の製品又は部品が生産される数量を減らす方法である。生産数の変更は、在庫数量の観点による評価値及び生産拠点の稼働状況の観点による評価値に影響を与える。生産数量の変更が選択される場合、生産数量の増減数も決定される。生産数量の増減数は、常に1又は−1であってもよい。生産数量の増減数は、所定の範囲内で、乱数を用いて決定されてもよい。
【0121】
現行計画Pcにおいて、対象の日に対象の製品又は部品を生産する予定がない場合には、生産に用いる生産手段も決定される。この場合、生産数の変更は、生産拠点の選定の適確さの観点による評価値にも影響を与える。
【0122】
生産時期の変更は、
図21に示す例のように、対象の製品又は部品が生産される時期を変更する方法である。生産時期の変更は、在庫数量の観点による評価値及び生産拠点の稼働状況の観点による評価値に影響を与える。
【0123】
物品の変更は、
図22に示す例のように、対象の日に生産される製品又は部品を変更する方法である。物品の変更は、製品又は部品を生産するために用いられる生産手段が変わらないように行ってもよい。この場合、物品の変更は、在庫数量の観点による評価値に影響を与える。あるいは、物品の変更は、製品又は部品を生産するために用いられる生産手段が変わる変更を含んでもよい。この場合、物品の変更は、在庫数量の観点による評価値、生産拠点の稼働状況の観点による評価値及び生産拠点の選定の適確さの観点による評価値に影響を与える。
【0124】
生産手段の変更は、
図23に示す例のように、対象の日に生産される製品又は部品を生産するための生産手段を変更する方法である。生産手段の変更には、同一の生産拠点を用いながら、新規に生産するか改造によって生産するかを切り替える変更が含まれる。生産手段の変更は、生産拠点の稼働状況の観点による評価値及び生産拠点の選定の適確さの観点による評価値に影響を与える。
【0125】
対象の変更方法は、実施可能な範囲で選択される。例えば、改造によって生産することができない製品又は部品を改造によって生産するようにする変更は選択されない。改造される製品又は部品の在庫がない場合には、製品又は部品を改造によって生産するようにする変更は選択されない。生産拠点の最大生産数量及び最小生産数量の制約に違反する変更は選択されない。他の製品又は部品を生産するために既に割り当てられている生産拠点を重複して利用することになる変更は選択されない。
【0126】
生産輸送計画立案装置10は、製品又は部品の生産数量の変更、生産時期の変更、又は物品の変更に伴って、変更後の製品又は部品を生産できるように、その部品の生産数量、生産時期等を変更するように構成されてもよい。
【0127】
輸送数量の変更は、
図24に示す例のように、対象の日に対象の製品又は部品が輸送される数量を増やすか、
図25に示す例のように、対象の日に対象の製品又は部品が輸送される数量を減らす方法である。輸送数の変更は、輸送コストの観点による評価値に影響を与える。輸送数量の変更が選択される場合、輸送数量の増減数も決定される。輸送数量の増減数は、常に1又は−1であってもよい。輸送数量の増減数は、所定の範囲内で、乱数を用いて決定されてもよい。
【0128】
現行計画Pcにおいて、対象の日に対象の製品又は部品を輸送する予定がない場合には、輸送に用いる輸送手段も決定される。
【0129】
輸送時期の変更は、
図26に示す例のように、対象の製品又は部品が輸送される時期を変更する方法である。輸送時期の変更は、輸送コストの観点による評価値に影響を与える。
【0130】
輸送物品の変更は、
図27に示す例のように、対象の日に輸送される製品又は部品を変更する方法である。輸送物品の変更は、製品又は部品を輸送するために用いられる輸送手段が変わらないように行ってもよい。この場合、輸送物品の変更は、輸送コストの観点による評価値に影響を与える。あるいは、輸送物品の変更は、製品又は部品を輸送するために用いられる生産手段が変わる変更を含んでもよい。
【0131】
輸送手段の変更は、
図28に示す例のように、対象の日に輸送される製品又は部品を生産するための輸送手段を変更する方法である。輸送手段の変更は、輸送コストの観点による評価値に影響を与える。
【0132】
輸送対象の変更方法は、実施可能な範囲で選択される。例えば、空輸によって輸送することができない製品又は部品を空輸によって輸送するようにする変更は選択されない。輸送される製品又は部品の在庫がない場合には、製品又は部品を他の輸送手段よって輸送するようにする変更は選択されない。
【0133】
変更方法として生産数量の変更が決定された場合(S203:Yes)、制御部15は、変更する数量を決定する(S204)。続いて、制御部15は、現行計画Pcにおける対象の生産数量を決定した数量だけ変更する(S205)。そして、制御部15は、変更後の生産輸送計画を近傍解Pnとする(S226)。
【0134】
変更方法として生産時期の変更が決定された場合(S203:No→S206:Yes)、制御部15は、変更後の時期を決定する(S207)。続いて、制御部15は、現行計画Pcにおける対象の生産時期を決定した時期へ変更する(S208)。そして、制御部15は、変更後の生産輸送計画を近傍解Pnとする(S226)。
【0135】
変更方法として物品の変更が決定された場合(S206:No→S209:Yes)、制御部15は、変更後の製品又は部品を決定する(S210)。続いて、制御部15は、対象の製品又は部品に代えて、決定した製品又は部品を生産するように現行計画Pcを変更する(S211)。そして、制御部15は、変更後の生産輸送計画を近傍解Pnとする(S226)。
【0136】
変更方法として、生産手段の変更が決定された場合(S209:No、S212:Yes)、制御部15は、変更後の生産手段を決定する(S213)。続いて、制御部15は、現行計画Pcにおける対象の生産手段を決定した生産手段へ変更する(S214)。そして、制御部15は、変更後の生産輸送計画を近傍解Pnとする(S226)。
【0137】
変更方法として輸送数量の変更が決定された場合(S212:No→S215:Yes)、制御部15は、変更する数量を決定する(S216)。続いて、制御部15は、現行計画Pcにおける対象の輸送数量を決定した数量だけ変更する(S217)。そして、制御部15は、変更後の生産輸送計画を近傍解Pnとする(S226)。
【0138】
変更方法として輸送時期の変更が決定された場合(S215:No→S218:Yes)、制御部15は、変更後の時期を決定する(S219)。続いて、制御部15は、現行計画Pcにおける対象の輸送時期を決定した時期へ変更する(S220)。そして、制御部15は、変更後の生産輸送計画を近傍解Pnとする(S226)。
【0139】
変更方法として輸送物品の変更が決定された場合(S218:No→S221:Yes)、制御部15は、変更後の製品又は部品を決定する(S222)。続いて、制御部15は、対象の製品又は部品に代えて、決定した製品又は部品を輸送するように現行計画Pcを変更する(S223)。そして、制御部15は、変更後の生産輸送計画を近傍解Pnとする(S226)。
【0140】
変更方法として、上記以外、即ち、輸送手段の変更が決定された場合(S221:No)、制御部15は、変更後の輸送手段を決定する(S224)。続いて、制御部15は、現行計画Pcにおける対象の輸送手段を決定した輸送手段へ変更する(S225)。そして、制御部15は、変更後の生産輸送計画を近傍解Pnとする(S226)。
【0141】
次に、作成される生産輸送計画の例について説明する。
図29は、初期計画が格納された生産輸送計画情報168の一例を示す。
図30は、探索された好適な生産輸送計画が格納された生産輸送計画情報168の一例を示す。
【0142】
図29に示す例と比較して、
図30に示す例では、「A01」という製品番号で識別される製品の4月2日の生産手段が、新規生産から改造による生産に変更され、生産数量が10個から5個に減少している。更に、この変更にともなって、「A02」という製品番号で識別される製品の在庫数が、改造に用いられるために、5個減少している。
【0143】
初期計画では、「A01」という製品番号で識別される製品は、在庫数量が過剰であったが、この変更によって、在庫数量が適正な数量に近くなっている。同様に、初期計画では、「A02」という製品番号で識別される製品は、在庫数量が過剰であったが、この変更によって、在庫数量が適正な数量に近くなっている。これらの変更により、在庫数量の観点からの評価値が改善している。
【0144】
本実施形態では、新規生産よりも改造による生産の方が、コストが低いと想定している。このため、「A01」という製品番号で識別される製品生産手段を新規生産から改造による生産へ変更することにより、生産拠点の選定の適確さの観点からの評価値が改善している。
【0145】
上述してきたように、本実施形態に係る生産輸送計画立案装置10は、多様な観点から生産輸送計画を評価して好適な生産輸送計画を立案することができる。
【0146】
なおまた、上記の実施形態で示した本発明の態様は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更することができる。例えば、上記の実施形態で示したプログラムは、複数のモジュールに分割されていてもよいし、他のプログラムと統合されていてもよい。また、上記の実施形態では、好適な生産輸送計画を探索するために局所探索法を用いることとしたが、他の解探索手法を用いて好適な生産輸送計画を探索してもよい。
【0147】
また、上記の実施形態では、値が小さいほど好適な生産輸送計画であることを示すように評価値を算出する例について説明したが、生産輸送計画立案装置10は、値が大きいほど好適な生産輸送計画であることを示すように評価値を算出してもよい。
【0148】
また、上記の実施形態では、在庫数の推移を日毎に管理し、生産数の推移を月毎に管理する例を示したが、在庫数及び生産数の推移を管理する時間の単位は、状況及び目的に応じて任意に変更してよい。
【0149】
また、上記の実施形態では、製品と部品を同じパラメータを用いて評価する例について説明したが、製品と部品とで異なるパラメータを用いてもよい。
【0150】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は、上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更、又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更、又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0151】
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示したシステム、方法、装置、プログラム、及び記録媒体における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現し得ることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。